(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】圧力制御下で体外血液回路から血液を除去するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
A61M1/36 123
A61M1/36 107
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020156143
(22)【出願日】2020-09-17
(62)【分割の表示】P 2016562828の分割
【原出願日】2015-04-16
【審査請求日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】102014105473.3
(32)【優先日】2014-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ティス
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0030346(US,A1)
【文献】特開2010-184029(JP,A)
【文献】特表2012-524563(JP,A)
【文献】特開2011-160963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液処理期間の終了後に、血液処理装置にそれぞれ接続可能であるか又は接続される体外血液回路及び/又は機能装置から血液の除去を行うための方法を実施するために構成された制御装置又は調節装置であって、
前記血液処理装置が、
ライン内部を含む少なくとも1つの体外血液回路であって、少なくとも1つの動脈ライン区分及び少なくとも1つの静脈ライン区分を備える、少なくとも1つの体外血液回路と、
前記ライン内部内の血液を運搬するための少なくとも1つの血液ポンプと、
第2の流体を前記体外血液回路の前記ライン内部の中に導入するため、且つ/又は前記体外血液回路の前記ライン内部の中のライン内容物を運搬するための、少なくとも1つの第2の運搬装置
と
に接続され、
前記体外血液回路及び/又は前記機能装置から血液を除去する前記方法が、
前記制御装置又は調節装置によって、前記血液処理中の通例の前記血液ポンプの第1の運搬方向とは反対である第2の運搬方向に前記血液ポンプを作動するステップ
を含み、
前記動脈ライン区分の第1の区分が、前記体外血液回路の前記静脈ライン区分の第2の区分に流体接続され、
前記血液ポンプの供給速度が、前記血液ポンプの前記供給速度がユーザによって制限されると想定される特定の最大供給速度に到達するまで、前記第2の運搬装置の供給速度の75%~90%であるように決定され、又は前記血液ポンプの前記供給速度が、前記血液ポンプの前記供給速度が制限される所定の最大供給速度に到達するまで、前記第2の運搬装置の供給速度の75%~90%であるように決定され、
前記血液の除去中に、前記血液ポンプ及び前記第2の運搬装置の前記供給速度が、圧力制御及び/又は圧力測定及び/又は圧力制限によって、前記血液ポンプの測定された実際の供給圧力(P_art,scan)と目標値(P_art,soll)との間の制御差を決定することによって、及び前記制御差に従って前記血液ポンプの前記供給速度を上昇させることによって、監視又は制御又は調整され、
前記目標値(P_art,soll)が次式で与えられ、前記実際の供給圧力(P_art,scan)が前記目標値(P_art,soll)に到達するか又は超過するとき、前記血液ポンプの前記供給速度及び/又は前記第2の運搬装置の前記供給速度が更に上昇されず、
(数C1)
P_art,soll=a*P_art,max
ここで、以下が当てはまる:
P_art,sollは動脈圧力測定によって測定される圧力の目標値であり、
aは定数であり、
P_art,maxは、前記動脈圧力測定によって測定される圧力について予め設定された又は特定された測定範囲制限又は許容的最大値である、
制御装置又は調節装置。
【請求項2】
前記血液ポンプの前記供給速度が、前記血液ポンプの前記供給速度がユーザによって制限されると想定される前記特定の最大供給速度に到達するまで、又は前記血液ポンプの前記供給速度が制限される前記所定の最大供給速度に到達するまで、前記第2の運搬装置の供給速度の80%~84%であるように決定される、
請求項1に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項3】
前記血液ポンプの前記供給速度が、前記血液ポンプの前記供給速度がユーザによって制限されると想定される前記特定の最大供給速度に到達するまで、又は前記血液ポンプの前記供給速度が制限される前記所定の最大供給速度に到達するまで、前記第2の運搬装置の供給速度の82%であるように決定される、
請求項1に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項4】
前記血液ポンプの前記供給速度が、前記第2の運搬装置の供給速度の75%~90%にあり、前記ユーザによって特定される値に制限される、
請求項1に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項5】
前記値が、90~110/ml/minの間の値である、請求項4に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項6】
前記血液の除去中に、前記血液ポンプ及び前記第2の運搬装置の前記供給速度が、前記血液ポンプの実際の供給圧力(P_art,scan)の複数の測定によって、前記血液ポンプの前記測定された実際の供給圧力(P_art,scan)と目標値(P_art,soll)との間の制御差を決定することによって、及び前記制御差に従って前記血液ポンプの前記供給速度を上昇させることによって、監視又は制御又は調整される、
請求項1に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項7】
前記血液ポンプのポンプロータが所定の回転角度又は回転角度範囲に到達したとき、前記実際の供給圧力(P_art,scan)が、把握され、測定され、又は計算される、 請求項1から6のいずれか一項に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項8】
aが、0.85~0.95であるか、又は0.9である、請求項1に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項9】
P_art,maxが、警告を発する制限である、請求項1又は請求項8に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項10】
血液の除去を行うための前記方法が、
以下の数式によって、前記第2の運搬装置の前記供給速度を上昇させるステップをさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の制御装置又は調節装置。
(数C2)
Q5000_kuenftig=Q5000_aktuell+((P_art,soll)-(P_art,scan))*b
ここで、以下が当てはまる:
Q5000_kuenftigは、それぞれt_kuenftigの時点に以後設定される前記第2の運搬装置の供給速度であり、
Q5000_aktuellは、それぞれQ5000_kuenftigによって置換され且つ一時的にこれに先行するt_aktuellの時点での前記第2の運搬装置の実際の供給速度であり、t_aktuellがt_kuenftigの前に現れ、t_kuenftigがt(x+1)として表示され、且つt_aktuellがt(x)として表示されることが可能であり、
P_art,sollは、前記動脈圧力測定で適用又は検出されるべき予め設定された目標値であり、
P_art,scanは、前記実際の供給速度Q5000_aktuellの適合中に、動脈圧力測定で測定される圧力値であり、
bは定数である。
【請求項11】
血液の除去を行うための前記方法が、
前記供給圧力(P_art,scan)が目標圧力(P_art,soll)に到達するか又は前記目標圧力を超過するとき、以下の数式によって、前記第2の運搬装置の前記供給速度を減少させるステップをさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の制御装置又は調節装置。
(数C3)
Q5000_kuenftig=Q5000_aktuell+((P_art,soll)-(P_art,scan))*c
ここで、以下が当てはまる:
Q5000_kuenftigは、それぞれt_kuenftigの時点に以後設定されるべき前記第2の運搬装置の供給速度であり、
Q5000_aktuellは、それぞれQ5000_kuenftigによって置換され且つ一時的にこれに先行するt_aktuellの時点での前記第2の運搬装置の実際の供給速度であり、t_aktuellがt_kuenftigの前に現れ、t_kuenftigがt(x+1)として表示され、且つt_aktuellがt(x)として表示されることが可能であり、
P_art,sollは、前記動脈圧力測定に適合するべき予め設定された目標値であり、
P_art,scanは、前記実際の供給速度Q5000_aktuellの適合中に、動脈圧力測定で測定される圧力値であり、
cは定数である。
【請求項12】
血液の除去を行うための前記方法が、
代替液体が静脈追加点で前記体外血液回路の前記静脈ライン区分の中に導入される前に、又は代替液体が前記静脈ライン区分からの流体及び前記動脈ライン区分からの流体が合流又は交わる点又は場所に到達する前に、前記血液ポンプを停止するステップ、
或いは、
代替液体が前記静脈追加点で前記体外血液回路の前記静脈ライン区分の中に導入される前に、又は代替液体が前記静脈ライン区分からの流体及び前記動脈ライン区分からの流体が合流され、又は交わる点又は通路に到達する前に、前記第2の運搬装置を停止するステップ、
をさらに備える、請求項1から11のうちの一項に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項13】
前記方法が、
前記体外血液回路の前記動脈ライン区分の前記第1の区分の、前記体外血液回路の前記静脈ライン区分の前記第2の区分との前記接続を点検するステップ
をさらに含む、請求項1から12のうちの一項に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項14】
点検することが、
圧力均衡又は補償を生成することと、
拡張期患者血圧を検出することと、
前記第1の運搬方向へ運搬している前記血液ポンプによって負圧を増加させることと を含む、請求項13に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項15】
前記体外血液回路の前記静脈ライン区分の静脈追加点が、血液チャンバより上流であり且つ血塊キャッチャより上流で、前記静脈ライン区分の中につながる、請求項1から14のうちの一項に記載の制御装置又は調節装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の制御装置又は調節装置を備える、血液処理装置。
【請求項17】
血液透析装置、血液ろ過装置又は血液透析ろ過装置として具体化される、請求項16に記載の血液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の血液処理の目的のために血液処理装置にそれぞれ接続可能であり、又は接続される体外血液回路から且つ/又は機能装置から血液を除去するための請求項1による方法に関する。本発明は、請求項12による制御ユニット、並びに請求項13による血液処理装置に更に関する。さらに、本発明は、請求項14によるデジタル記憶媒体、請求項15によるコンピュータプログラム製品及び請求項16によるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特に、衛生的理由から、血液回路の中に残っている血液は、体外血液回路の使用後に、体外血液回路から定期的に除去される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、血液処理期間の終了後、体外血液回路から、又は機能的手段から血液を除去するための追加の方法を提供することである。
【0004】
さらに、それによって本発明による方法が実行可能である血液処理装置、並びに本発明による方法を実施するために提供される制御ユニット、適切なデジタル記憶媒体、適切なコンピュータプログラム製品、及び適切なコンピュータプログラムが明記される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による目的は、請求項1の特徴を含む方法によって解決される。本発明による目的は、請求項12の特徴を含む制御ユニット、並びに請求項13の特徴を含む血液処理装置によって、更に達成される。本発明による目的は、請求項14、15及び16によるデジタル記憶媒体、コンピュータプログラム製品、並びに適切なコンピュータプログラムによって更に達成される。
【0006】
本発明による方法によって達成可能なすべての利点が、減少されることなく本発明によって特定の実施形態の中で、本発明による装置によってやはり達成される。
【0007】
本発明による方法は、少なくとも1つの動脈ライン区分及び少なくとも1つの静脈ライン区分を備える体外血液回路から血液を除去するために、且つ/又は、患者の血液処理の目的のために血液処理装置にそれぞれ接続可能であり、又は接続される機能装置から、或いはその各区分から血液を除去するために適し、且つ除去することを意図される。
【0008】
本発明による方法は、血液処理のために既に使用されていた血液ポンプによって、処理の終了後に、体外血液回路の中に存在する流体を運搬するステップを含む。血液ポンプが、血液処理中に第1の運搬方向に流体を運搬したと同時に、本発明による方法では、第1の運搬方向とは反対の第2の運搬方向に、血液ポンプによって運搬するステップが行われる。本発明による方法を実施するために、動脈ライン区分の第1の区分が、体外血液回路の静脈ライン区分の第2の区分に接続される、又は接続されるようになる。
【0009】
したがって、少なくともある特定の点で、又は少なくとも連続的期間中、又は血液ポンプの供給速度が、制限される供給速度の所定の最大値に到達するまで、本発明による特定の実施形態の中で血液ポンプの供給速度は、採用される血液処理装置の第2の運搬装置の供給速度の75%~90%、好適には80%~84%、特に好適には82%であるように適合される、又は適合されるようになる。これは、特定される制限を考慮に入れて、随意でその逆に行うことが可能である。
【0010】
本発明による方法を実施するために採用される血液処理装置は、血液ポンプに隣接して、少なくとも1つの第2の運搬装置、第2の流体、特に代替流体を体外血液回路のラインの内部にもたらすために、且つ/又は体外血液回路のライン内部の中のライン内容物の運搬のために少なくとも第2の運搬装置、特に代替ポンプを備える。
【0011】
本発明による血液処理装置は、本発明による方法を実施するために設けられ、且つ具体化される、且つ/又は装備される。
【0012】
本発明による制御ユニットは、例として以下に説明される、各必要な装置と相互作用する際に本発明による方法を実施するために、適切であり、且つ設けられる、且つ/又は配置される、且つ/又は構成される。
【0013】
電気的に読取可能な制御信号を含む、特に機械読取可能なデータ記憶装置の形態、特にディスク、CD、EPROM又はDVDの形態である、本発明によるデジタルの、特に不揮発性記憶媒体が、本発明による方法の機械的ステップが促進されるように、プログラム可能なコンピュータシステムと共に相互作用することができる。
【0014】
その際に、本発明による方法の機械的に実施されるステップのすべて、又はいくつかが促進され得る。
【0015】
本発明によるコンピュータプログラム製品は、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で作動する場合、本発明による方法の機械的ステップを促進するために、揮発性であるか、又は機械読取可能な媒体上に保存されるプログラムコードを含む。本発明によって、コンピュータプログラム製品が、例えば、記憶装置上に記憶されるコンピュータプログラム、コンピュータプログラム(例えば、コンピュータプログラムを含む電子装置)を含む包括的システムとしての組込システム、コンピュータ実施コンピュータプログラムのネットワーク(例えば、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステムなど)、又はコンピュータプログラムが搭載され、実行され、保存され、又は展開されるコンピュータとして理解され得る。
【0016】
本明細書で使用される機械読取可能な媒体という用語は、本発明の特定の実施形態では、ソフトウェア及び/又はハードウェアによって解釈可能であるデータ又は情報を含む媒体を意味する。媒体は、ディスク、CD、DVD、USBスティック、フラッシュカード、SDカードなどのデータ媒体であることができる。
【0017】
コンピュータプログラムがコンピュータ上で作動する場合、本発明によるコンピュータプログラムが、本発明による方法の機械的ステップを促進するためのプログラムコードを含む。本発明によるコンピュータプログラムは、例えば、コンピュータプログラムを含む物理的、配信用意のできたソフトウェア製品として理解され得る。
【0018】
本発明によるコンピュータプログラムは、また、本発明による方法の機械的に実施されるステップのすべて、又はいくつかが促進される、本発明によるコンピュータプログラム製品、及び本発明によるコンピュータプログラムに適用される。
【0019】
本発明による実施形態は、これが当業者によって技術的に不可能であると理解されない限り、任意の組合せで以下の特徴のいくつか、又はすべてを含む。本発明の有利な展開は、それぞれ添付の特許請求の範囲の主題でもある。
【0020】
以下の実施形態のすべてにおいて、「~得る(may be)」又は「~有し得る(may have)」などという表現の使用は、それぞれ「好適には可能性がある」又は「好適には含む」などと同義的に理解されるべきであり、本発明による例示的実施形態を説明するように意図される。
【0021】
数値語が本明細書で言及される場合はいつでも、当業者はこれが数字的に低い方の制限を示すことを理解する。当業者にとって、それが任意の認識できる矛盾につながらない限り、したがって、当業者は、例えば「1つ(one)」がいつも「少なくとも1つ(at least one)」を示すと暗に読み取る。これが当業者の見解から技術的に可能である限り、本発明によって、並びに例えば「1つ」が代替的に「正確に1つ」を意味する可能性があるという解釈によって、こうした理解はやはり含まれている。その両方が、本発明によって含まれ、且つ本明細書で使用される数値語に適用する。
【0022】
本発明によるいくつかの例示的実施形態では、血液ポンプの供給速度が、特にユーザによって、所定の値に、好適には90~110ml/minの間の値に制限される。
【0023】
本発明の特定の実施形態の中で体外血液回路は、チューブセットである。いずれの場合も、例えば、血液透析、血液ろ過、血液透析ろ過などの間に、体外血液回路が、患者の血液を体外で処理するために設けられる。
【0024】
本発明によるいくつかの実施形態では、体外血液回路が、少なくとも区分の中で一体として、且つ適切な場合、機能装置の永久的部分として具体化されるが、他の例ではそうではない。体外血液回路の自由に可動であるチューブ区分は、したがって、例えば血液カセットなどの機能装置上に、又はその中に1つの部品の中に、或いは一体的に存続することができ、且つその逆も可能である。
【0025】
機能装置は、本発明の特定の実施形態では、血液処理の中で使用される装置である。機能装置の例は、内部及び外部機能装置、医療用使い捨て用品、特に、使い捨て血液カセットなどの特に血液カセット、又は他の血液処理装置を含む。
【0026】
血液カセットの例示的実施形態が、2009年4月23日にドイツ特許庁に出願された、「Externe Funktionseinrichtung,Blutbehandlungsvorrichtung zum Aufnehmen einer erfindungsgemaessen externen Funktionseinrichtung,sowie Verfahren」という表題を有する独国特許第102009018664号明細書によって、出願人の出願の中で特に開示され、且つ2009年6月10日にドイツ特許庁に出願された、同じ表題を有する独国特許第102009024468号明細書によって、出願人の出願の中で特に開示されている。各開示は、参照として全体的に本明細書に組み込まれる。
【0027】
本発明の特定の実施形態では、体外機能装置としての機能装置は、血液処理装置の部分ではなく、すなわちその一体的な要素ではない。他の実施形態では、機能装置が、血液処理装置の部分であり得る。
【0028】
血液処理装置は、医療処置、特に患者の血液処理、例えば透析を実施する、又は促進するために設けられる、且つ/又は具体化される。この目的のために、血液処理装置は、ライン内部を備える少なくとも1つの体外血液回路に接続される、又は体外血液回路を備える。
【0029】
体外血液回路の動脈ライン区分は、本発明の特定の実施形態の中で、体外血液処理の目的のために、患者の身体を出る患者の血液が流れ、且つ患者の血液が血液処理装置、例えば透析器に入る前に存在するライン区分である。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、動脈ライン区分の第1の区分が、患者への動脈針接続部、例えば二重針透析器方法の中の動脈針接続部であるか、又はそれを含む。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態では、体外血液回路の静脈ライン区分が、体外で処理された患者の血液が、血液処理装置、例えば、透析器の中でその処理後に、患者の体に向かって流れる、又は患者の体の中に戻るライン区分である。
【0032】
本発明の特定の実施形態では、静脈ライン区分の第2の区分が、静脈ポート、例えば静脈追加ポート又は静脈追加点であり、又はそれを含む。適切な場合、それは、代替液体、クエン酸カルシウムヘパリンなどを、体外回路のライン区分の中を流れる患者血液に追加するために使用される、又は設けられ得る。
【0033】
本発明の特定の実施形態では、体外血液回路の静脈ライン区分の静脈追加点が、任意選択で直接的又は間接的に、血液チャンバより、及び血塊キャッチャより上流で静脈ライン区分の中につながる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態では、静脈追加点は血液カセットの一体の部分である。
【0035】
血液処理装置は、体外血液回路のライン内部の中の血液を運搬するための血液ポンプを備える。
【0036】
本発明の特定の実施形態では、血液処理中の通例として、第1の運搬方向は、患者の動脈アクセス(採血点)から、例えば血液フィルタ又は透析器などの血液処理装置まで、且つその後、体外回路の静脈ライン区分を通って静脈アクセス(返血点)までの運搬方向に相当する。
【0037】
したがって、第1の運搬方向と反対の第2の運搬方向は、そのような実施形態の中で静脈から動脈まで進む。
【0038】
本発明の特定の実施形態では、「血液除去」は、血液処理区分の終了後、体外血液回路から血液を完全に、又は基本的に、又はほとんど完全に、又は部分的に除去することを意味する。
【0039】
体外血液回路から除去された血液を患者自身の血管系の中に再注入するステップは、本発明のいくつかの実施形態では、本発明による方法の部分ではなく、他の発明の部分である。
【0040】
血液処理装置は、少なくとも1つの第2の運搬装置を備える。第2の運搬装置は、例えば代替液体など、血液とは異なる少なくとも第2の流体を体外血液回路のライン内部の中に導入するために、且つ/又は本明細書の流体を運搬するために機能する。
【0041】
限定的ではないが、以下に簡単に代替液体と表現される第2の流体を、限定的ではないが、以下に簡単に代替ポンプと表示される第2の運搬装置を作動することによって体外血液回路のライン内部の中に導入するステップが、動脈ライン区分の第1の区分を静脈ライン区分の第2の区分に接続した後に、本発明の特定の実施形態の中で行われる。
【0042】
本発明によるいくつかの実施形態では、体外血液回路のライン内部の中に導入される代替液体の流れが、少なくとも第1の部分流と第2の部分流とに分流されるように、血液ポンプは第2の運搬方向に作動される。代替液体の第1の部分流は、血液処理装置の方へ移動し、代替液体の第2の部分流は第2の運搬方向に移動する。
【0043】
本発明による特定の実施形態では、本発明による方法が、第1の区分を切断するステップを含む。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明による方法が、第1の区分を、体外血液回路の静脈ライン区分の静脈追加点又は機能装置の静脈追加点(例えば血液カセット)に、接続するステップを含む。
【0045】
本発明の特定の実施形態では、特に、基本的に又はほとんど又は完全に、第2の運搬装置及び血液ポンプが同時に始動される。
【0046】
静脈ライン区分の区分、例えば前希釈点から又は前希釈弁から、静脈追加点まで又は静脈ライン区分からの流体及び動脈ライン区分からの流体が合流され又は交わる点まで、動脈ライン区分の前で、例えば、静脈追加点との合流まで、又は静脈ライン区分からの流体が動脈ライン区分からの流体と合流され、又は両方の流体が交わる点まで、血液を取り出して空にならないように、本発明のいくつかの実施形態では、第2の運搬装置、及び血液ポンプの供給速度が、設定され、或いは設定されるだろう。
【0047】
本発明の特定の実施形態では、血液ポンプの供給速度は、第2の運搬装置の供給速度よりも遅く(最初に、常に又は平均的に)、又は適切に調節される。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態では、血液ポンプ及び/又は第2の運搬装置の供給速度は、血液の除去中に、圧力監視、及び/又は圧力測定、及び/又は圧力制限の手段によって監視及び/又は制御される、又は調節される。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態では、血液の除去中の血液ポンプ及び第2の運搬装置の供給速度は、圧力監視及び/又は圧力測定及び/又は圧力制限の手段によって、特に血液ポンプの実際の供給速度の複数の測定手段によって、例えばメッシュ又は部分との一時的な接続の中で、又はそれがロールポンプとして具体化される限りは血液ポンプのロールの傾斜角度の中で、血液ポンプの測定された供給圧力と目標値との間の制御差を決定することによって、及び制御差に従って血液ポンプの供給速度を上昇させることによって、監視及び/又は制御される、又は調節される。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、所定の傾斜角度又は血液ポンプのポンプロータの傾斜角度領域が到達されたとき、実際の供給圧力が把握され、測定される又は計算される。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態では、実際の供給圧力が、動脈圧力センサによって測定される。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、血液ポンプの供給速度及び/又は第2の運搬装置の供給速度が、目標圧力P_art,sollに到達し、且つ/又はそれを超過しないように設定される又は制限される。目標圧力は数式(I)に従って設定される。
(数1)
P_art,soll=a*P_art,max (I)
ここで、以下が当てはまる:
P_art,sollが、動脈圧力計器によって測定される圧力である。
aは定数であり、好適には0.85~0.95の間であり、特に好適には0.9である。
P_art,maxが、動脈圧力測定によって測定される圧力について、予め設定され、又は予め決定された測定範囲制限又は許容可能な最大値であり、且つ好適には、それが警告を発する範囲である。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、方法が、数式(II)に従って第2の運搬装置の供給速度の上昇を含む。
(数2)
Q5000_kuenftig=Q5000_aktuell+((P_art,soll)-(P_art,scan))*b (II)
したがって、以下が当てはまる:
Q5000_kuenftigが、数式(II)によって得られる各時点t_kuenftigで特定される第2の運搬装置の未来の供給速度である。
Q5000_aktuellは、それぞれQ5000_kuenftigによって置換されかつ一時的にこれに先行するt_aktuellの時点での第2の運搬装置の実際の供給速度であり、t_aktuellがt_kuenftigの前に現れ、t_kuenftigがt(x+1)として表示され、t_aktuellがt(x)として表示され得る。
P_art,sollは、動脈圧力測定手段によって目標値として測定されるべき、予め設定された又は識別された目標値であり、それが「Soll-Wert」(「目標値」)に相当する。
P_art,scanは、第2の運搬装置の実際の供給速度Q5000_aktuellの適合中に、動脈圧力測定で測定される圧力値であり、したがって、それは実際の値に又はP_art,aktuellに相当する。
bは定数であり、好適には0.10~0.15の間であり、特に好適には0.12である。
【0054】
本発明の特定の実施形態では、方法が、数式(III)に従った第2の運搬装置の供給速度の低下を含む。
(数3)
Q5000_kuenftig=Q5000_aktuell+((P_art,soll)-(P_art,scan))*c (III)
以下が当てはまる:
Q5000_kuenftigが、それぞれt_kuenftigの時点に以後設定されるべき第2の運搬装置の供給速度である。
Q5000_aktuellが、それぞれQ5000_kuenftigによって置換されかつ一時的にこれに先行するt_aktuellの時点での第2の運搬装置の実際の供給速度であり、t_aktuellがt_kuenftigの前に現れ、t_kuenftigがt(x+1)として表示され、且つt_aktuellがt(x)として表示され得る。
P_art,sollが、動脈圧力測定に適合するべき予め設定された目標値である。
P_art,scanが、実際の供給速度Q5000_aktuellの適用中に、動脈圧力測定で測定される圧力値である。
cは定数であり、好適には0.20~0.30の間であり、特に好適には0.24である。
【0055】
本発明の特定の実施形態では、静脈追加点で、又は静脈ライン区分からの流体が動脈ライン区分からの流体に合流され、又は交わる点で、血液(ラインから)及び同じ希釈度の代替液体(異なるラインから)が交わるように、第2の運搬装置の供給速度が決定される。
【0056】
本発明による方法の特定の実施形態では、その意図は、下流で(第2の運搬方向又は本発明による方法に関して)代替液体が、静脈追加点又は静脈ライン区分からの流体及び動脈ライン区分からの流体が合流され、又は交わる点に到達する前に、血液ポンプを停止し、或いはその送り量又は供給速度を減少させることである。
【0057】
本発明の特定の実施形態の中でこのことが、有利なことに、血液処理装置のより強い、且つ/又は改良されたフラッシングに貢献する。
【0058】
血液ポンプを停止する、又はその供給速度を減少させる時間は、本発明の特定の実施形態の中で、体外血液回路の中に一体化される動脈気泡検出器/光学検出器(ABD/ODとしても公知である)の助けによって決定される。有利なことに、これによって停止するための時間の決定の正確さが向上する。
【0059】
本発明の他の実施形態では、本発明による方法は、下流で(第2の運搬方向又は本発明による方法に関して)代替液体が、静脈追加点又は静脈ライン区分からの流体及び動脈ライン区分からの流体が合流され、又は交わる点に到達する前に、第2の運搬装置を停止するステップ、又は第2の運搬装置の速度又は供給速度を低下させるステップを含む。有利なことに、これによって、体外血液回路の動脈ライン区分のより強く、且つ/又は改良されたフラッシングに貢献することができる。血液ポンプは、そのような実施形態の中で更に作動されるか、又はそれは更に作動されない。
【0060】
本発明の特定の実施形態では、本発明による方法が、第1の区分の接続、例えば、体外血液回路の静脈ライン区分の静脈追加点での体外血液回路の動脈針接続部の接続を点検するステップを含む(接続テスト)。
【0061】
本発明の特定の実施形態では、点検するステップは、圧力均衡を生成するステップを含む。
【0062】
そのような実施形態では、その意図は血液ポンプ及び/又は第2の運搬装置を停止することであり得る。更に、その意図は、動脈締め金具を開き、又は開いた状態に保つことであり得る。
【0063】
本発明の特定の追加の実施形態では、点検するステップが、拡張期患者血圧を決定するステップを含む。拡張期患者血圧の最小値は、例えば2.5秒間にわたって保存され得る。したがって、負圧が、第1の運搬方向、すなわち前方へ運搬する血液ポンプによって生成され、静脈締め金具が開放される、又は既に開放している。本発明の特定の実施形態では、接続が合格であるとみなされるためには、患者の静脈血圧が、2.1秒間内に50mmHg低下しなければならないことが定義される。別法として、本明細書で挙げられる以外の血圧低下について他の値及び/又は時間が考えられ得る。所望される、及び/又は要求される圧力低下が全く発生しておらず、又は所定の時間以内に発生しないならば、接続テストは失敗であるとみなされ得る。
【0064】
本発明によるいくつかの実施形態では、方法は、前希釈弁の自発的すすぎのためのステップを含む。この目的のために、第2の運搬装置の供給速度は、例えば短期的に、例えば、短期通知で、好適には0ml/minから特定の値まで上昇する。これは任意選択で100ml/minであることができる。前述の特定の値による供給速度に加えて、又は代替として、特定の運搬の量が、自発的すすぎの間に運搬される。これは、例として0ml/minに基づく。好適には、自発的すすぎが0ml/minに基づいて行われる。供給速度の特定の値に到達する後、及び/又は特定の体積を運搬する後、供給速度は0ml/minまで任意選択で低下され得る。
【0065】
本発明による機能装置は、本発明によるいくつかの実施形態では、使い捨てとして具体化される。
【0066】
本発明の特定の実施形態では、機能装置の静脈追加点が、動脈針接続部又は体外血液回路の動脈ライン区分の別の区分を一体に、簡単に締め付け、付着させ、又はネジで取り付けることによって流体接続を生成するように具体化される。相当する実施形態及び/又は配置が、本発明によって提供され得る。
【0067】
本発明のいくつかの実施形態では、機能装置の静脈追加点及び動脈針接続部又は体外血液回路の動脈ライン区分の別の区分が、同じコネクタシステム、例えばルアーコネクタ又は雌型及び雄型コネクタから由来する。
【0068】
本発明による特定の実施形態では、静脈追加点の接続部幾何形状が、体外血液回路がその利用のために接続される動脈針の接続部幾何形状と同様に具体化される、又は相当する。
【0069】
本発明による制御装置は、本発明によるいくつかの実施形態では、調節装置として具体化される。
【0070】
本発明による血液処理装置は、本発明によるいくつかの実施形態では、血液透析装置、又は血液ろ過装置、或いは血液透析ろ過装置として具体化される。
【0071】
本発明による血液処理装置は、本発明による特定の実施形態の中で、本発明による少なくとも1つの制御装置を備える。
【0072】
本発明によるいくつかの又はすべての実施形態が、上記に、且つ/又は以下に挙げられる、1つ又は複数の、又はすべての利点を備えることができる。
【0073】
本発明は、血液処理区分並びに相当する装置の後、体外血液回路から血液を除去するための簡単で、且つさほど複雑でない方法を提供する。処理の最後に血液を除去することによって、追加の使用中又は血液回路を処分する間の汚染が、有利なことに低減され得る。
【0074】
血液処理中、血液の塊が構造に関連する凹凸(
図1の参照符号33参照)の上に形成される可能性がある。本明細書で説明される、最も予防的な自発的すすぎ中、第2の運搬装置が特定の自発的すすぎ速度で、例えば、血液入口フィルタの方向の前希釈弁から約10mlの体積をもたらすことによって、特定の自発的すすぎによってそのような血液の塊を運搬する。したがって、前希釈弁は、血液の塊から解放される。血液ポンプの供給速度と第2の運搬装置の供給速度(好適には82%)との間の本明細書で説明される関係に起因して、有利なことに、そのような血液の塊が、静脈針まで静脈ライン区分の方向に、もたらされないことが保証され、むしろ、それらは、血液フィルタの血液入口側で蓄積し、血液ポンプの供給速度と第2の運搬装置の供給速度(好適には82%)との間の前述の関係を適合することによって、血液フィルタからそれらは、更に上流に移動されず、且つその後それらは、静脈ライン区分に到達することはできず、又は静脈針に到達することさえできず、且つここから更に患者の血管系に到達することはできない。この有利な状態は、他の、又は他の正確な関係によって達成可能ではない。さらに、ユーザエラーに起因して、再注入中に患者が誤って動脈針にやはり接続される場合でも、有利なことに、血液の塊は再注入される可能性は全くない。さらに、静脈追加点及び逆止弁がそのような血液の塊によって塞がれる可能性がなく、それによって迅速、且つ問題のない工程に貢献する。
【0075】
本発明による特定の実施形態では、ユーザが、血液処理装置で体外血液回路の外へ血液を除去するために、許容され、所望される又は決定される最大流を調節することができ、且つ任意の追加の入力を提示する必要がない。
【0076】
本発明によるいくつかの実施形態では、提案される調節によって、動脈血圧センサの中の測定範囲の中で超過することがないはずであることが保証される。したがって、患者及びユーザは、回避できる処置の中断を免れる。
【0077】
本発明による特定の実施形態では、動脈ライン区分及び/又は血液処理装置を介して最大限の速い供給速度が運搬され、それによって血沈を低く保つことに貢献する(且つそれによって、血液フィルタ及び/又は体外血液回路内の血液量は残存する)。
【0078】
本発明によるいくつかの実施形態では、第2の運搬装置の最大限の速い供給速度が保証され、これによって血液が血液処理装置全体からできる限り速やかに除去される。
【0079】
本発明による特定の実施形態では、血液ポンプ並びに第2の運搬装置からの供給速度の動的制御が、血液の粘性、及び再注入中に次第に希釈された血液の減少する粘性の結果に依存して、本発明によって提案される圧力制御に起因して、有利なことに可能である。
【0080】
機能的又は構造的要求のために、動脈ライン区分(
図1の参照符号1参照)は、血液の再注入するため、且つ/或いは血液フィルタ又は体外血液回路を空にするために接続される静脈追加点(
図1の参照符号7)の領域で比較的小さい断面を備える。薬品投与がそれを通って、且つ特に静脈追加点を通って目的に応じて所与され得るような(典型的には例えば、Q>1ml/min)断面が必要とされる。静脈追加点の小さい断面に起因して、静脈追加点は、動脈ライン区分又は静脈ライン区分と比較して相対的に高い血流抵抗を有する。この理由から、再注入のために、例えば国際公開第2013/017240号パンフレットによる装置の使用は、違和感があり、且つ/又は物理的に好ましくない。ユーザは、ユーザに警告すること、及び処置の中断につながる可能性があるその上方の測定範囲まで、圧力センサ上の圧力の上昇を防止したいと考える。したがって、ユーザは、第2の運搬装置について、相当する低い供給速度(典型的には、70ml/min)を特定するであろう。低い供給速度は、結局は返血の低い効率という不都合を含む。これは、再注入又は例えば血液フィルタの血液処理装置を空にするステップの終了時に、より多くの血液が血液処理装置の中に残って留まるという事実に起因する。低い供給速度の別の不都合な結果は、血液処理装置内部の血液の沈降であり、それがやはり、再注入又は例えば血液フィルタの血液処理装置を空にするステップの終了時に、より多くの血液が血液処理装置の中に残って留まるという事実に起因する、返血の低い効率につながる。低い速度の更に不都合な結果は、低い供給速度に起因して再注入の処置に長い時間がかかるということである。これらの不都合な結果は、本発明によるいくつかの実施形態では有利なことに発生しない。
【0081】
しかし、ユーザによって設定される高い供給速度もやはり、最先端技術の進歩の結果として不都合がある。高い供給速度(典型的には150ml/min)が、経験によって、圧力センサ上の測定範囲の超過に起因する定期的な警告につながるからである。これによって、ユーザの介在が必要になる。空にするステップ又は再注入の工程は、関連する中断によって、より長い時間がかかり、それが動脈ライン区分内、及び血液処理装置内の沈降に再びつながる。当技術のこれらの不都合な状態は、本発明によって防止可能である。
【0082】
本発明による特定の実施形態では、方法は、血液処理区分の終了時に体外血液回路の中に存在する血液を患者の血管系との静脈接続部を介して患者の血管系に完全に戻すことを可能にする。本明細書では、代替液体又は別の流体を同時に患者に再注入するステップを回避することができる。
【0083】
本発明による方法は、有利なことに、簡単に実行するソフトウェアのアップデートだけによって実施することから、既に公知の処理装置の中で実施され得る。実施から知られている血液処理装置は、既に必要な機械的要素を備えることが多い。
【0084】
以下に、本発明は、添付の図面を参照して例示的に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【
図1】本発明による方法によって血液を取り除くことができる、体外血液回路を含む医療機能装置を簡潔に例示する図である。
【
図2】
図1に示される配置によって、本発明による方法の本発明による例示的実施形態を実施する間、発生する可能性があり、又は測定され得る時間にわたって、圧力及び体積の経過を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
図1は、これにより接続されている体外血液回路2000を含む概略的に単純化された機能装置1000を示す。
【0087】
体外血液回路2000は、血液処理装置3000、例えば血液フィルタ又は透析器を備え、或いは血液処理装置3000、例えば血液フィルタ又は透析器に接続されている。
【0088】
本明細書で説明される方法が、体外血液回路2000の中に含まれる血液を再注入することによって、自動的に、完全に又はほとんど実施される、その装置のいくつかだけによって
図1に示される、血液処理装置が、血液ポンプ4000及び第2の運搬装置5000を備える。血液ポンプ2000及び第2の運搬装置5000の両方が、機能装置1000の区分及び体外血液回路2000の区分を通って流体を運搬する。機能装置1000は、例示的には血液カセットである。
【0089】
接続図、並びに同時の血液再注入によって血液除去の間、矢印によって特定される血液及び代替物(例として、第2の流体)の流れ方向が示される。ただ1つの二重の矢印は、代替流が2つの部分流に分流することを示す。
【0090】
体外血液回路2000は、動脈ライン区分1並びに静脈ライン区分3を備える。
【0091】
動脈ライン区分1は、第1の区分を備える。第1の区分は、
図1の例の中で、動脈針接続部5として例示的に具体化される。
【0092】
静脈ライン区分3は、第2の区分を備える。第2の区分3は、
図1の中で、機能装置1000の静脈追加点7として具体化される。
【0093】
動脈ライン区分1は、それ自体が機能装置1000の部分ではない、参照符号9で示される箇所で機能装置1000に接続される動脈圧力センサを備える。この圧力センサは、それ以外には、随意の接続テスト中に、圧力を測定し、又は圧力低下を決定することに役立つ。圧力センサは、体外血液回路2000の動脈ライン接続部1の中に配置される。
【0094】
動脈ライン区分1は、動脈締め金具11を備える。
【0095】
動脈ライン区分1は、本明細書では、任意選択により追加の装置の形態である動脈隔膜13を備える。
【0096】
静脈ライン区分3は、静脈気泡検出器/光学センサ15を備える。
【0097】
静脈ライン区分3は、静脈締め金具17を備える。
【0098】
静脈ライン区分3は、静脈患者コネクタ21上に静脈針19を備える。
【0099】
本明細書では追加の装置の形態である静脈隔壁23が、随意により血液処理装置3000と、機能装置1000上に存在する体外血液回路2000の区分とのその接続部の箇所との間に配置される。
【0100】
機能装置1000は、
図1の矢印によって示される方向に、静脈追加点7を通って機能装置1000の中に、且つ静脈ライン区分3の中に流体供給を可能にする逆止弁24を備えるが、しかし、逆止弁24は、静脈ライン区分3の外へ、静脈追加点を通って機能装置1000の外への流れを防止する。
【0101】
体外血液処理中に、ヘパリンを体外血液回路2000のライン内部に加えるために、体外血液回路2000が、機能装置1000の相当するポートを経てヘパリンシリンジ25と接続される。
【0102】
動脈ライン区分1は、動脈気泡検出器/光学センサ27を備える。
【0103】
血液処理中に、例えば
図1に示されるように、チューブシステムの形態である体外血液回路2000が、2つの針(二重針透析器の場合)を介して患者の血管系に接続される。血液処理を実施するために、体外血液回路2000が、患者の血液で充填され、この血液が、処理中に体外血液回路2000を通って流れる。
【0104】
以下に、本発明に従う、機能装置1000の静脈追加点7を使用することによる体外血液回路からの血液の除去が、説明される。機械によって実施される、本明細書で説明される方法の実施形態の例において、血液を除去する間に、この血液の同時の再注入が存在する。
【0105】
本発明による方法が、自動的に、又は医師によって手動で始動され得る。
【0106】
この目的のために、本発明の特定の実施形態では、動脈患者コネクタが、血液処理の終了後に動脈針接続部5から切断され、血液カセットのポート、本明細書の静脈追加点7と流体接続される。
図1に示される血液カセットから分かるように、任意の単一針チャンバ29を備え、静脈追加点7が、血液チャンバ29aより上流であり且つ血塊キャッチャ31より上流で、体外血液回路2000の静脈ライン区分3の中に直接的に(しかし、他の実施形態では、間接的にも)つながることができる。
【0107】
図1の例の中で、機能装置1000が、血塊キャッチャ31の位置又はその近傍で、いずれの場合もその下流であるが、しかし静脈気泡センサ15の上流で、静脈血液の流れ又は通過する流体の圧力を計測することができる、
図1に示されない静脈圧力センサを備える。本発明の別の実施形態では、静脈圧力センサは、機能装置1000又は体外血液回路2000の他の適切な位置に設けられる。
【0108】
静脈追加点7は、独国特許第102009018664明細書及び独国特許第102009024468明細書を含む、出願人の上記に挙げられた出願において、それぞれ
図1及び
図2の中で参照符号37で示される。静脈追加点7は、逆止弁を介して静脈フィルタラインに接続する。
【0109】
ユーザは、動脈針接続部5を動脈患者コネクタ(
図1に図示せず)から切断し、動脈針接続部5を機能装置1000の静脈追加点7のルアーコネクタにネジで取り付けるように、血液処理の終了に向かって促され得る。接続が正確に行われているかどうかを点検するために、接続テストが、血液処理装置によって自動的に、又は要求に応じて実施され得る。その際に、動脈ライン区分1の静脈ライン区分3との正確な接続が点検される。したがって、動脈ライン区分1を経て患者の血管系の中に血液を直接的に運搬することが、有利なことに防止され得る。
【0110】
特定の実施形態の中で、静脈ライン区分3が、逆止弁を備え、そのために血液ポンプ4000が、静脈ライン区分3から第1の運搬方向に液体を引き込むことができない。したがって、接続テストの実施中、動脈ライン区分1内の圧力が低下することが期待され得る。動脈圧力が期待通りに低下するならば、患者はもはや動脈で接続されず、少なくとも(手動の)動脈(チューブ)締め金具11が閉鎖されることが想定され得る。
【0111】
本発明の特定の実施形態の場合と同様に、運搬中の動脈圧力警告が、方法のこの段階で提供されるならば、有利なことに、エラーが接続テストの初期に検出され、たとえ接続テストがなくとも検出され得る。したがって、有利なことに、明らかに接続状態のテストを実施しないことが可能である。
【0112】
例えば動脈針接続部5によって、動脈ライン区分1が静脈ライン区分3、例えば静脈追加点7と接続されているかどうかを検出するための接続テストが、本明細書で以下に詳細に説明されるように行うことができる。最初に、圧力均衡が生成され、血液ポンプ4000及び第2の運搬装置5000が停止される。動脈締め金具11が、開く。
【0113】
圧力センサ9によって、拡張期患者血圧が検出される。本明細書では、例えば最小値が2.5秒を超えて保存される。その後、負圧が増強され、静脈締め金具17が開かれ、且つ血液ポンプ4000によって第1の運搬方向に運搬される。圧力は、逆止弁24により、以前に検出された拡張期患者血圧未満、例えば2.1秒以内に50mmHgで低下しなければならず、そうでない場合は、接続テストが、失敗であるとみなされる。
【0114】
代替液体を血液処理装置3000と血液ポンプ4000との間の血液ラインの中に導入するために設けられる、前希釈弁又は前希釈接続部が、本発明による血液除去のために開かれる。代替ラインが前希釈接続部に接続され、その結果、第2の運搬装置5000が、血液ポンプ4000と血液処理装置3000との間に配置される体外血液回路2000の区分の中に代替溶液を導入することができる。
【0115】
本明細書に図示される実施形態では、後方に、すなわち、第2の運搬方向に、第2の運搬装置5000よりも低い供給速度で運搬する、第2の運搬装置5000によって運搬が開始するのと同時に(一斉に)、血液ポンプ4000が始動する。その際に、代替流が、2つのポンプの異なる供給速度に起因して分流され、
図1の例では、代替溶液の一方の部分流が血液ポンプ4000に向かって移動し、代替溶液の別の部分流が血液処理装置3000に向かう方向に移動する。
【0116】
この工程中、発生する静脈圧力及び/又は動脈圧力が監視される。設定されたポンプ速度又は運搬装置(血液ポンプ4000及び第2の運搬装置5000)の供給速度が、血液の除去に相当な影響を及ぼす可能性がある。
【0117】
本発明の特定の実施形態では、血液ポンプ4000の供給速度が、高すぎることのないように選択されることが保証される。したがって、有利なことに、例えばより細いチューブ及び逆止弁を備える導入点を通って流れる場合、血液が損傷されないことが保証され得る。このために、最大供給速度の制限が、例えば、インビトロ検査又はインビボ検査からの経験に基づいて可能である又は提供される。
【0118】
本発明のいくつかの実施形態では、追加点及び/又は追加ライン及び逆止弁を横切る圧力低下の制限及び/又は監視が、再注入中に動脈圧力センサ9の助けによって可能である。
【0119】
静脈再注入速度、すなわち体外に存在する血液が体外血液回路2000の静脈ライン区分3を経て患者に向かって運搬される速度を設定する場合、本発明によるいくつかの実施形態では、前希釈点又は前希釈弁から静脈追加点まで延在する体外血液回路2000の部分が、体外血液回路2000の動脈ライン区分1もやはり空にされるよりも早く、或いは空にされる前に、空にされないことが保証される。
【0120】
これによって、本明細書の特定の実施形態では、血液(動脈)及び代替液体(静脈)を更に混合すること、並びに、これと共に、患者にとって好ましくないとされる結果を含む、再注入体積の不必要な増加が、有利なことに防止され得る。
【0121】
体外血液回路(チューブセットとしても示される)の個々のライン区分の体積が既知なので、本発明の特定の実施形態では、体外血液回路2000の静脈ライン区分の中の供給速度として最大の可能な、又は許容可能な静脈供給速度を計算することが提供される。計算は、上記に説明されるように実施され得る。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態では、静脈供給速度が、第2の運搬装置5000(代替ポンプ)の供給速度Q5000から血液ポンプ4000の供給速度Q4000を差し引くことによって設定される。この目的のために、上記の数式に参照が成される。
【0123】
血液処理装置3000のそのような固定された特定の体積のと同様に、体外血液回路2000の動脈ライン区分1は、静脈ライン区分3よりも早く、又は速く空にされることが可能であり、本発明の特定の実施形態では、代替液体が、静脈追加点7を横切って運搬される前に、血液ポンプ4000を停止することが提案される。
【0124】
血液ポンプ4000による運搬をそのように停止するステップは、特定の実施形態では、前述の体積が既知であれば、血液ポンプ4000の供給速度の相当する調節によって可能である。有利なことに、より正確に適用可能である場合、血液ポンプ4000が停止され得る瞬間を待つことは、もし存在するならば、動脈気泡検出器又は光学センサ11の信号を考慮することもまた可能である。
【0125】
本発明によるいくつかの実施形態では、第2の運搬装置5000の供給速度は、血液ポンプ4000を停止する時間から上昇され、時間を節約する利点がある。
【0126】
利用される血液処理装置3000が既知である場合、供給速度は、有利なことに、各再注入について最大限の可能な供給速度に個々に設定される。これは、体外血液回路2000からより迅速に血液を除去することによって、この測定の完了までに、患者及び操作人員が血液処理装置に費やさなければならない時間を短縮する。
【0127】
利用される血液処理装置3000の型は、操作人員によって設定され得る。別法として、利用される型は、血液処理装置3000を充填する場合に観察され得る特定のパラメータによって自動的に決定され得る。
【0128】
血液処理装置3000の体積が既知であるならば、本発明によるいくつかの実施形態では、静脈追加点7の導入点で(又は血液回路の中の比較可能な点で)、ライン区分1、3の両方からの同じ希釈度である代替物及び血液が同時に交わるように、第2の運搬装置5000の供給速度が設定される。血液ポンプ4000は、その後停止され得るが、別法として、それは作動し続ける。
【0129】
血液ポンプ4000が作動し続ける実施形態では、体外血液回路2000の動脈ライン区分1が、有利なことに、比較的より十分に洗い流され、血液ポンプ4000が停止される実施形態では、血液処理装置3000が、有利なことに、比較的より十分に洗い流される。
【0130】
特定の実施形態では、必要であれば、上記に挙げられる数式(II)及び(III)に従って、供給速度の個々の設定が行われる。
【0131】
図2は、本発明による方法の本発明による実施形態を実施する間、
図1に示される配置によって発生するか又は測定され得る、時間(x軸線、水平)に対する圧力及び体積の経過(y軸線、垂直)を示す図である。
【0132】
左側の目盛は、曲線Q4000及びQ5000について、ml/minでの体積を示し、右側の目盛は、mmHgで圧力を示し、動脈圧力経過についての曲線P_art、及び静脈圧力経過についての曲線P_ven、並びに曲線P_venの計算された平滑化経過についての曲線P_ven_smに適用する。
【0133】
図2は、時間t又は供給速度Q5000にわたって第2の運搬装置5000の運搬体積によって示される曲線Q5000を示す。曲線Q5000は、Q5000-1からQ5000-5までの複数の曲線区分から構成される。
【0134】
Q5000は、前希釈弁33の任意選択の、いわゆる自発的すすぎの間、第2の運搬装置5000の運搬ラインを示す。この目的のために、適用される第2の運搬装置5000の運搬ラインは、0ml/min、例えば100ml/minに基づく。この自発的すすぎの終了後、供給能力は、任意選択で0ml/minに低下することができる。したがって、運搬される体積は、例えば10mlであることができる。
【0135】
Q5000は、本発明による返血又は空にするステップ中の供給能力を示す。Q5000は、単なる例示的な階段の形態の上昇する経過を含むが、しかし階段の形態でなければならないことはなく、又はそれが勾配及び高さを含まねばならないということもない。Q5000-2は、前述の数式IIに従って制御装置によって、連続的に増加される第2の運搬装置5000の次第に上昇する運搬能力Q5000_aktuellを示す。
【0136】
Q5000の上昇、すなわち区分Q5000-2は、時間t=0で開始する。
【0137】
経過区分Q5000-2は、現在の例では時間t=1で、区分Q5000-3にわたって、まもなく更に上昇する。したがって、区分Q5000-2の持続時間は、T=(t=1)-(t=0)である。
【0138】
第2の運搬装置5000の供給能力Q5000は、時間t=1から、まもなく例えば300ml/minの特定される最大供給能力Q5000-4に、再び階段状形態で到達するまで上昇する。
【0139】
最大供給能力Q5000-4は、
図2に例示的に示されるように、ステップ又は階段の形態で再び到達され得る。しかし、それは垂直な上昇において(
図2参照)、又は何らかの他の方法において到達され得る。
【0140】
時間t=1から開始して、動脈圧力を考慮しないQ5000の上昇が、保証される。数式II及びIIIは、t=1から開始するより先は全く考慮されない。動脈圧力に関わらず、上昇はt=1から生じる。
【0141】
最大供給能力Q5000-4が到達され、且つ維持された後、曲線Q5000は、区分Q5000-5の中で、時間t=2で0ml/minまで低下する。本発明による方法は、t=2で終了される。
【0142】
図2は、時間又は供給速度Q4000によって、血液ポンプ4000の供給体積を示す曲線Q4000を更に示す。曲線Q4000は、Q4000-1からQ4000-4までの複数の曲線区分から形成される。
【0143】
Q4000は、設定された供給能力、及び任意選択の接続テスト中の持続時間を示す。適用される供給能力は、0ml/min、例えば25ml/minに基づく。この接続テストの終了後、供給能力は、任意選択で0ml/minまで低下することができる。
【0144】
Q4000-2は、本発明による返血又は空にするステップ中の供給能力を示す。Q4000-2は、階段の形態で例示的に上昇する経過を示すが、しかし階段の形態でなければならないことはなく、又はそれが段階の示される幅及び高さを含まねばならないということもない。Q4000-2は、第2の運搬装置5000の供給能力に固定された関係である血液ポンプ4000の次第に上昇する供給能力を示す。
【0145】
Q4000の上昇、すなわちその区分Q4000-2は、t=0で開始する。
【0146】
経過区分Q4000-2は、t=0とt=1との間である時間t=1を通過して、平坦域、区分Q4000-3に入る。この平坦域は、例として、100ml/minの特定される最大供給能力に相当することができる。
【0147】
血液ポンプ4000の供給能力が、時間t=1で0ml/minまで低下する。この低下は、Q4000-4で表示される。
図2は、圧力経過P_artを更に示し、その目盛が
図2の右側縁部に表示され、すなわち両方の隣接する目盛の左側に表示される。
【0148】
例えば、
図1の動脈圧力センサ9によって例えば測定される圧力P_artが、時間t=0から開始する血液ポンプ4000によって運搬の開始によって上昇する。局所的最大値P_art-1、P_art-2などが、ローラポンプとして具体化される血液ポンプ4000によって運搬されることによる特定の回転角度で測定される最高圧力をそれぞれ表示する。この最大圧力は、ポンプチューブ区分を含む、血液ポンプ4000が回転する再注入中に、発生する。最大値は、
図2が更に示すように調節可能である。最後に測定される最大値P_art-1、P_art-2などが、それぞれ制御下に入る。このようにして、本発明による方法開始後に即座に発生する第1の最大値P_art-1が、最初に測定され、且つP_art,scanとして計算用の基準として以下の例の中で使用される。
【0149】
血液ポンプ4000が、動脈圧力センサ9で測定される、設計制限された、回転毎の2つの圧力パルスを生成する(他の設計では3つ以上であることができる)。制御装置の中に存在するアルゴリズムが、ポンプロータの回転角度及び圧力センサで存在する実際の圧力によって、これらの最大圧力P_art-1、P_art-2などをそれぞれ決定し、前述のようにP_art,scanとして更に処理するためにこの圧力を提供する。
【0150】
第2の運搬装置5000が好適には血液ポンプ4000と同時に、任意選択で最低の可能な速度で(下方限界は本明細書で設計限界である)、この場合25ml/minで運搬を開始する時、t=0で、返血が開始する。
【0151】
時間t=1まで、第2の運搬装置5000並びに血液ポンプ4000の両方が、運搬する。
【0152】
したがって、血液ポンプ4000は、第2の運搬装置5000の供給速度のQ5000のほんの一部だけを運搬するように、常に調節される。この場合、例示的な選択された関係は、Q4000=Q5000*0.82である。それを用いると、血液の塊が血液処理装置、本明細書では透析器の入口から、動脈ライン区分1の中の血液側上を通過することが防止されるという事実に起因して、この値は特に有利であると証明された。
【0153】
したがって、例えば122ml/min以上の第2の運搬装置5000の運搬Q5000から開始して、血液ポンプ4000の供給速度Q4000が例えば100ml/minに制限されることが意図され得る。
【0154】
圧力センサ9の中で測定される血液ポンプ4000による、各生成される正の圧力パルスP_art,scanに従って、第2の運搬装置5000の供給速度Q5000が上昇される。特定の圧力限界P_art,sollが到達される、圧力センサの最大測定範囲制限によって、ユーザによって決定される上位点まで、供給速度Q5000が上昇される。
【0155】
したがって、圧力センサ9の中の圧力は、本例の中で本明細書では455mmHgである、P_art,maxの上位測定範囲を確実に超過することはないであろう。P_art,maxは、この例では、高圧に起因して、圧力センサが警告を発する始動圧力値である。したがって、圧力センサ9の中の圧力について調節目標であるP_art,sollが、測定範囲*0.9の90%、すなわち約410mmHgであるように特定される。
【0156】
図2の例では、圧力について第1の最大値、すなわちP_art-1は約260mmHgである。約410mmHg(455mmHg.*0.9に相当する)の目標値P_art,sollまで測定される場合、この例の中の制御差異が、今や約150mmHgである。
第2の運搬装置5000の供給速度Q5000が、以下のように区分Q5000-2の中で上昇される。
(数4)
Q5000_kuenftig=Q5000_aktuell+((P_art,soll)-(P_art,scan))+0.12*ml/min (IV)
【0157】
したがって、Q5000_kuenftigは決定されるべき新しい供給速度である。Q5000_aktuellは、最後に決定される。したがって、Q5000_kuenftigはQ5000(t=x+1)と表示されることもでき、且つQ5000_aktuellは、Q5000(t=x)と表示されることもできる。
【0158】
万一、圧力センサ9の中の圧力が、調節目標P_art,sollを超過するならば、以下の対応策が取られる。
(数5)
Q5000_kuenftig=Q5000_aktuell+((P_art,soll)-(P_art,scan))*0.24*ml/min (V)
【0159】
図2の時間t=1から開始して、血液ポンプ4000は、運搬を停止し、第2の運搬装置5000だけがそれでもやはり運搬する。
【0160】
図2の時間t=1から開始して、第2の運搬装置5000の供給速度Q5000は、本明細書では単なる例として、装置内でユーザによって決定される最大流が到達されるまで、0.5秒毎に10ml/min上昇される。他の値もまた、もちろん本発明によって含まれる。
【0161】
経過P_venが、静脈圧力センサによって測定され、経過P_ven_smが、第1に言及された平滑化に相当する。
以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1] 血液処理期間の終了後に、患者の血液処理の目的のために血液処理装置にそれぞれ接続可能であるか又は接続される体外血液回路及び/又は機能装置から血液の除去を行うための方法であって、
前記血液処理装置が、
ライン内部を含む少なくとも1つの体外血液回路であって、少なくとも1つの動脈ライン区分及び少なくとも1つの静脈ライン区分を備える、少なくとも1つの体外血液回路と、
前記ライン内部内の血液を運搬するための少なくとも1つの血液ポンプと、
特に代替液体である第2の流体を前記体外血液回路の前記ライン内部の中に導入するため、且つ/又は前記体外血液回路の前記ライン内部の中のライン内容物を運搬するための、特に代替ポンプである少なくとも1つの第2の運搬装置と
を備え、又は接続され、
前記方法が、
前記血液処理中の通例の前記血液ポンプの第1の運搬方向とは反対である第2の運搬方向に前記血液ポンプを作動するステップ
を含み、
前記動脈ライン区分の第1の区分が、前記体外血液回路の前記静脈ライン区分の第2の区分に流体接続されるか又は流体接続されるようになり、
前記血液ポンプの供給速度が、少なくともある時点、少なくとも期間(t=1~t=0)の間、或いは前記血液ポンプの前記供給速度が制限され又はユーザによって制限されると想定される特定の最大供給速度に到達するまで、前記第2の運搬装置の供給速度の75%~90%、好適には80%~84%、特に好適には82%であるように、決定されるか又は決定されるようになる、方法。
[C2] 前記血液ポンプの前記供給速度が、前記ユーザによって特に特定される値に、好適には90~110/ml/minの間の値に制限される、
C1に記載の方法。
[C3] 前記血液の除去中に、前記血液ポンプ及び前記第2の運搬装置の前記供給速度が、圧力制御手段及び/又は圧力測定手段及び/又は圧力制限手段によって、特に前記血液ポンプの実際の供給圧力(P_art,scan)の複数の測定手段によって、前記血液ポンプの前記測定された供給圧力と目標圧力(P_art,soll)との間の制御差を決定することによって、且つ前記制御差による前記血液ポンプの前記供給速度を上昇させることによって、監視、制御又は調整される、
C1又は2に記載の方法。
[C4] 前記血液ポンプのポンプロータが所定の回転角度又は回転角度範囲に到達したとき、前記実際の供給圧力(P_art,scan)が、テープに録音され、測定され、又は計算される、
C1から3のいずれか一項に記載の方法。
[C5] 目標圧力(P_art,soll)が次式で与えられ、前記実際の供給圧力(P_art,scan)が当該目標圧力(P_art,soll)に到達するか又は超過するとき、前記血液ポンプの前記供給速度及び/又は前記第2の運搬
装置の前記供給速度が更に上昇されない、
C1から4のいずれか一項に記載の方法。
(数C1)
P_art,soll=a*P_art,max
ここで、以下が当てはまる:
P_art,sollは動脈圧力測定によって測定される圧力の目標値であり、
aは定数であり、好適には0.85~0.95であり、特に好適には0.9であり、
P_art,maxは、前記動脈圧力測定によって測定される圧力について予め設定され又は特定された測定範囲制限又は許容的最大値であり、P_art,maxは好適には警告を発する制限である。
[C6] 以下の数式によって、前記第2の運搬装置の前記供給速度を上昇させるステップを含む、C1から5のいずれか一項に記載の方法。
(数C2)
Q5000_kuenftig=Q5000_aktuell+((P_art,soll)-(P_art,scan))*b
ここで、以下が当てはまる:
Q5000_kuenftigは、それぞれt_kuenftigの時点に以後設定される第2の運搬装置の供給速度であり、
Q5000_aktuellは、それぞれQ5000_kuenftigによって置換されかつ一時的にこれに先行するt_aktuellの時点での第2の運搬装置の実際の供給速度であり、t_aktuellがt_kuenftigの前に現れ、t_kuenftigがt(x+1)として表示され、且つt_aktuellがt(x)として表示されることが可能であり、
P_art,sollは、動脈圧力測定で適用され又は検出される予め設定された圧力の目標値であり、
P_art,scanは、実際の供給速度Q5000_aktuellの適合中に、前記動脈圧力測定で測定される圧力値であり、
bは定数であり、好適には0.10~0.15であり、特に好適には0.12である。
[C7] 供給圧力(P_art,scan)が目標圧力(P_art,soll)に到達するか又は前記目標圧力を超過するとき、以下の数式によって、前記第2の運搬装置の前記供給速度を減少させるステップを含む、C1~6のいずれか一項に記載の方法。
(数C3)
Q5000_kuenftig=Q5000_aktuell+((P_art,soll)-(P_art,scan))*c
ここで、以下が当てはまる:
Q5000_kuenftigは、それぞれt_kuenftigの時点に以後設定されるべき第2の運搬装置の供給速度であり、
Q5000_aktuellは、それぞれQ5000_kuenftigによって置換されかつ一時的にこれに先行するt_aktuellの時点での第2の運搬装置の実際の供給速度であり、t_aktuellがt_kuenftigの前に現れ、t_kuenftigがt(x+1)として表示され、且つt_aktuellがt(x)として表示されることが可能であり、
P_art,sollは、動脈圧力測定に適合するべき予め設定された圧力の目標値であり、
P_art,scanは、実際の供給速度Q5000_aktuellの適合中に、動脈圧力測定で測定される圧力値であり、
cは定数であり、好適には0.20~0.30の間であり、特に好適には0.24であ
る。
[C8] 代替液体が前記静脈追加点で前記体外血液回路の前記静脈ライン区分の中に導入される前に、又は代替液体が前記静脈ライン区分からの流体及び前記動脈ライン区分からの流体が合流又は交わる点又は場所に到達する前に、前記血液ポンプを停止するステップ、
或いは、
代替液体が前記静脈追加点で前記体外血液回路の前記静脈ライン区分の中に導入される前に、又は代替液体が前記静脈ライン区分からの流体及び前記動脈ライン区分からの流体が合流され、又は交わる点又は通路に到達する前に、前記第2の運搬装置を停止するステップ、
を含む、C1から7のいずれか一項に記載の方法。
[C9] 前記動脈ライン区分の前記第1の区分の前記接続、特に前記動脈針接続部の前記接続、前記静脈ライン区分の前記第2の区分との前記体外血液回路の前記接続、特に前記体外血液回路の前記静脈追加点の前記接続を点検するステップ
をさらに含む、C1から8のいずれか一項に記載の方法。
[C10] 前記点検するステップが、
圧力均衡又は補償を生成するステップと、
拡張期患者血圧を検出するステップと、
前記第1の運搬方向又は前方へ運搬している前記血液ポンプによって負圧を増加させるステップと
を更に含む、C9に記載の方法。
[C11] 前記体外血液回路の前記静脈ライン区分の前記静脈追加点が、血液チャンバより上流であり且つ血塊キャッチャより上流で、前記静脈ライン区分の中につながる、C1から10のいずれか一項に記載の方法。
[C12] C1から11のいずれか一項に記載の方法を実施するために、適切であり、且つ提供され、且つ/又は配置され、且つ/又は構成される、制御装置又は調節装置。
[C13] C1から11のいずれか一項に記載の方法を実施するために提供され、且つ具体化される、特に血液透析装置、血液ろ過装置又は血液透析ろ過装置として具体化される、血液処理装置。
[C14] C1から11のいずれか一項に記載の本発明による方法の機械的ステップが促進されるように、電気的に読取可能な制御信号を含み、プログラム可能なコンピュータシステムと共に相互作用するように構成される、特にディスク、CD又はDVD又はEPROMの形態である、デジタル記憶媒体。
[C15] 前記コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で作動するときに、C1から11のいずれか一項に記載の本発明による方法の機械的ステップを促進するための、機械的に読取可能な媒体上に保存されるプログラムコードを含むコンピュータプログラム製品。
[C16] コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で作動するときに、C1から11のいずれか一項に記載の本発明による方法の機械的ステップを促進するための、プログラムコードを含むコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0162】
1000 機能装置
2000 体外血液回路
3000 血液処理装置
4000 血液ポンプ
5000 第2の運搬装置
1 動脈ライン区分
3 静脈ライン区分
5 動脈針接続部
7 静脈追加点
9 (動脈)圧力センサ又は圧力測定
11 動脈締め金具
13 動脈隔膜
15 静脈気泡検出器/光学センサ
17 静脈締め金具
19 静脈針
21 静脈患者コネクタ
23 静脈隔膜
24 逆止弁
25 ヘパリンシリンジ
27 動脈気泡検出器/光学センサ
29 単一針チャンバ
29a 血液チャンバ又は気泡チャンバ
31 血塊キャッチャ
33 前希釈弁
P_art
P_art-1,-2,-3 最大値P_art,scan
P_ven 静脈圧力
P_ven_sm 曲線P_venの平滑化経過
Q4000 血液ポンプの供給速度
Q4000-1からQ4000-4まで 曲線Q4000の区分
Q5000 第2の運搬装置の供給速度
Q5000-1からQ5000-5まで 曲線Q5000の区分