(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20220221BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20220221BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1347
G02F1/1368
(21)【出願番号】P 2020206531
(22)【出願日】2020-12-14
(62)【分割の表示】P 2017010051の分割
【原出願日】2017-01-24
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520154173
【氏名又は名称】株式会社パソナナレッジパートナー
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 記久雄
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-310376(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103901647(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0198834(US,A1)
【文献】特開2013-205584(JP,A)
【文献】特開2010-066353(JP,A)
【文献】特開2010-015117(JP,A)
【文献】国際公開第2007/086166(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0120680(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/136-1/1368
G02F 1/1343-1/1345,1/135
G02F 1/133,1/1333,1/1334
G02F 1/1339-1/1341,1/1347
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示パネルが重ね合わされて配置され、それぞれの前記表示パネルに画像を表示する液晶表示装置であって、
カラー画像を表示する第1表示パネルと、
白黒画像を表示する第2表示パネルと、
を含み、
前記第1表示パネルは、第1方向に延在する複数の第1ソース線と、前記第1方向とは異なる第2方向に延在する複数の第1ゲート線と、前記第1ソース線及び前記第1ゲート線で区画された複数の第1画素と、前記複数の第1画素のそれぞれに配置された複数の第1画素電極と、を有し、
前記第1画素電極は、前記第1方向に延在する第1辺と、前記第1方向に延在し前記第1辺に対向する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺それぞれの一端を結ぶ第3辺と、前記第1辺及び前記第2辺それぞれの他端を結ぶ第4辺と、を含み、
前記第2表示パネルは、複数の第2ソース線と、複数の第2ゲート線と、前記第2ソース線及び前記第2ゲート線で区画された複数の第2画素と、前記複数の第2画素のそれぞれに配置された複数の第2画素電極と、を有し、
前記第2画素電極は、前記第1方向において対向する第5辺と第6辺と、前記第5辺及び前記第6辺それぞれの一端を結ぶ第7辺と、前記第5辺及び前記第6辺それぞれの他端を結ぶ第8辺と、を含み、
前記第3辺と前記第4辺は、前記第2方向に延在する前記第1ゲート線と平行であり、
前記第2表示パネルの第2画素電極の前記第5辺および前記第6辺は、前記第1表示パネルの第1画素電極の前記第3辺及び前記第4辺に対して傾斜している、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第5辺は、前記第6辺と平行である、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第2画素電極は、前記第2ソース線に沿うスリットを有する、
請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第2表示パネルは、液晶層と、前記液晶層に含まれた複数の液晶分子と、を含み、
前記第2表示パネルにおいて、前記第1方向に隣り合う2個の前記第2画素電極の間の領域である境界部に平面視で重畳する前記液晶分子の回転方向と、前記第2画素の開口部に平面視で重畳する前記液晶分子の回転方向とが、互いに同一である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第2表示パネルにおいて、前記複数の液晶分子それぞれの回転方向が、表示領域全体で互いに同一である、
請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1表示パネルは、前記複数の第1画素電極に共通する第1共通電極を更に有し、
前記第1画素電極は、前記第1ソース線に沿う複数の第1スリットを更に有し、
前記第2表示パネルは、前記複数の第2画素電極に共通する第2共通電極を更に有し、
前記第2画素電極は、前記第2ソース線に沿う複数の第2スリットを更に有し、
前記第1表示パネルにおける前記第1画素の開口部に平面視で重畳する前記液晶分子の回転方向と、前記第2表示パネルにおける前記第2画素の開口部に平面視で重畳する前記液晶分子の回転方向とが、互いに同一である、
請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第2表示パネルにおいて、隣り合う2個の前記第2画素電極の間の領域である境界部に平面視で重畳する配線は、光を透過する材料から成る透明配線を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第2画素電極は、前記第5辺と前記第6辺と前記第7辺と前記第8辺とから成る平行四辺形の外形を有する、
請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第2ソース線及び前記第2ゲート線の少なくとも何れか一方の配線は、光を透過する材料から成る、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第2ソース線及び前記第2ゲート線の一方の配線は、光を透過する材料から成り、
他方の配線は、光を透過しない材料から成る金属配線を含んでいる、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記金属配線の幅は、平面視で前記他方の配線に重畳する前記第1ソース線又は前記第1ゲート線の幅より狭い、
請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記第2ソース線及び前記第2ゲート線は、それぞれ、光を透過する材料から成る透明配線と、前記透明配線上に形成された光を透過しない材料から成る金属配線とで構成されている、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記第1表示パネルは、さらにブラックマトリクスを含み、
前記金属配線の幅は、平面視で前記金属配線に重畳する前記ブラックマトリクスの幅の1/3以下である、
請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記第2ソース線は、平面視で、隣り合う2本の前記第1ソース線の間に配置されている、
請求項12に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示装置のコントラストを向上させる技術として、2枚の表示パネルを重ね合わせて、入力映像信号に基づいて、それぞれの表示パネルに画像を表示させる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。具体的には例えば、前後に配置された2枚の表示パネルのうち前側(観察者側)の表示パネルにカラー画像を表示し、後側(バックライト側)の表示パネルに白黒画像を表示することによって、コントラストの向上を図るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記液晶表示装置では、例えば前側の表示パネルのブラックマトリクスと後側の表示パネルのブラックマトリクス又は配線(ソース線、ゲート線)との間の距離が大きくなるため、視差が大きくなる。この結果、特に液晶表示装置を斜めから見たときに、表示パネルの画素開口部を介して後側の表示パネルのブラックマトリクスや配線が見え易くなり、これが周期的な輝度の明暗(所謂モアレ)として視認され易くなる。尚、1枚の表示パネルで構成された液晶表示装置においても、ブラックマトリクスと配線(ソース線、ゲート線)との距離に応じた視差によりモアレが視認されるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、モアレを低減することができる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る液晶表示装置は、複数の表示パネルが重ね合わされて配置され、それぞれの前記表示パネルに画像を表示する液晶表示装置であって、カラー画像を表示する第1表示パネルと、白黒画像を表示する第2表示パネルと、を含み、前記第1表示パネルは、第1方向に延在する複数の第1ソース線と、前記第1方向とは異なる第2方向に延在する複数の第1ゲート線と、前記第1ソース線及び前記第1ゲート線で区画された複数の第1画素と、前記複数の第1画素のそれぞれに配置された複数の第1画素電極と、を有し、前記第1画素電極は、前記第1方向に延在する第1辺と、前記第1方向に延在し前記第1辺に対向する第2辺と、前記第1辺及び前記第2辺それぞれの一端を結ぶ第3辺と、前記第1辺及び前記第2辺それぞれの他端を結ぶ第4辺と、を含み、前記第2表示パネルは、複数の第2ソース線と、複数の第2ゲート線と、前記第2ソース線及び前記第2ゲート線で区画された複数の第2画素と、前記複数の第2画素のそれぞれに配置された複数の第2画素電極と、を有し、前記第2画素電極は、前記第1方向において対向する第5辺と第6辺と、前記第5辺及び前記第6辺それぞれの一端を結ぶ第7辺と、前記第5辺及び前記第6辺それぞれの他端を結ぶ第8辺と、を含み、前記第3辺と前記第4辺は、前記第2方向に延在する前記第1ゲート線と平行であり、前記第2表示パネルの第2画素電極の前記第5辺および前記第6辺は、前記第1表示パネルの第1画素電極の前記第3辺及び前記第4辺に対して傾斜している。
【0007】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第5辺は、前記第6辺と平行であってよい。
【0008】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2画素電極は、前記第2ソース線に沿うスリットを有してよい。
【0009】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2表示パネルは、液晶層と、前記液晶層に含まれた複数の液晶分子と、を含んでよく、前記第2表示パネルにおいて、前記第1方向に隣り合う2個の前記第2画素電極の間の領域である境界部に平面視で重畳する前記液晶分子の回転方向と、前記第2画素の開口部に平面視で重畳する前記液晶分子の回転方向とが、互いに同一であってよい。
【0010】
前記第2表示パネルにおいて、前記複数の液晶分子それぞれの回転方向が、表示領域全体で互いに同一であってよい。
【0011】
また、前記第1表示パネルにおける前記第1画素の開口部に平面視で重畳する前記液晶分子の回転方向と、前記第2表示パネルにおける前記第2画素の開口部に平面視で重畳する前記液晶分子の回転方向とが、互いに同一であってよい。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2表示パネルにおいて、隣り合う2個の前記第2画素電極の間の領域である境界部に平面視で重畳する配線は、光を透過する材料から成る透明配線を含んでよい。
【0013】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2画素電極は、前記第5辺と前記第6辺と前記第7辺と前記第8辺とから成る平行四辺形の外形を有してよい。
【0014】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2ソース線及び前記第2ゲート線の少なくとも何れか一方の配線は、光を透過する材料から成ってよい。
【0015】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2ソース線及び前記第2ゲート線の一方の配線は、光を透過する材料から成ってよく、他方の配線は、光を透過しない材料から成る金属配線を含んでよい。
【0016】
前記金属配線の幅は、平面視で前記他方の配線に重畳する前記第1ソース線又は前記第1ゲート線の幅より狭くてよい。
【0017】
本発明に係る液晶表示装置では、前記第2ソース線及び前記第2ゲート線は、それぞれ、光を透過する材料から成る透明配線と、前記透明配線上に形成された光を透過しない材料から成る金属配線とで構成されてよい。
【0018】
前記第1表示パネルは、さらにブラックマトリクスを含んでよく、前記金属配線の幅は、平面視で前記金属配線に重畳する前記ブラックマトリクスの幅の1/3以下であってよい。
【0019】
前記第2ソース線は、平面視で、隣り合う2本の前記第1ソース線の間に配置されてよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る液晶表示装置によれば、モアレを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】上記液晶表示装置の概略構成を模式的に示す図である。
【
図3】実施形態1に係る前側の表示パネルの概略構成を示す平面図である。
【
図4】実施形態1に係る後側の表示パネルの概略構成を示す平面図である。
【
図6】実施形態1に係る前側の表示パネルの画素と後側の表示パネルの画素との関係を示す平面図である。
【
図7】実施形態1に係る前側の表示パネルの画素の具体的な構成を示す平面図である。
【
図8】実施形態1に係る後側の表示パネルの画素の具体的な構成を示す平面図である。
【
図9】実施形態1に係る後側の表示パネルの画素電極の構成を示す平面図である。
【
図13】比較例に係る液晶表示装置における画素の構成を示す平面図である。
【
図14】実施形態1に係る液晶表示装置における前側の表示パネル及び後側の表示パネルのドライバの構成を示す図である。
【
図15】実施形態2に係る後側の表示パネルの画素の具体的な構成を示す平面図である。
【
図17】実施形態3に係る後側の表示パネルの画素の具体的な構成を示す平面図である。
【
図19】実施形態4に係る後側の表示パネルの画素の具体的な構成を示す平面図である。
【
図21】実施形態5に係る前側の表示パネルの概略構成を示す平面図である。
【
図22】実施形態5に係る後側の表示パネルの概略構成を示す平面図である。
【
図23】実施形態5に係る画素の開口部を行方向に切断した場合の断面図である。
【
図24】実施形態5に係る画素の開口部を列方向に切断した場合の断面図である。
【
図25】実施形態5に係る薄膜トランジスタを行方向に切断した場合の断面図である。
【
図26】実施形態5に係る液晶表示装置における前側の表示パネル及び後側の表示パネルのドライバの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態について、図面を用いて以下に説明する。本発明に係る液晶表示装置は、例えば、画像を表示する複数の表示パネルと、それぞれの表示パネルを駆動する複数の駆動回路(複数のソースドライバ、複数のゲートドライバ)と、それぞれの駆動回路を制御する複数のタイミングコントローラと、外部から入力される入力映像信号に対して画像処理を行い、それぞれのタイミングコントローラに画像データを出力する画像処理部と、複数の表示パネルに背面側から光を照射するバックライトと、を含んでいる。また複数の表示パネルは、観察者側から見て前後方向に互いに重ね合わされて配置されており、それぞれが画像を表示する。以下では、主に、2枚の表示パネルを備える液晶表示装置LCDを例に挙げて説明する。尚、表示パネルの数は複数に限定されず1枚であってもよい。
【0023】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置LCDの概略構成を示す斜視図である。
図1に示すように、液晶表示装置LCDは、観察者に近い位置(前側)に配置された表示パネルLCP1と、表示パネルLCP1より観察者から遠い位置(後側)に配置された表示パネルLCP2と、表示パネルLCP1及び表示パネルLCP2を貼り合わせる接着層SEFILと、表示パネルLCP2の背面側に配置されたバックライトBLと、表示面側から表示パネルLCP1及び表示パネルLCP2を覆うフロントシャーシFSとを含んでいる。
【0024】
図2は、本実施形態に係る液晶表示装置LCDの概略構成を模式的に示す図である。
図2に示すように、表示パネルLCP1は、第1ソースドライバSD1と第1ゲートドライバGD1とを含み、表示パネルLCP2は、第2ソースドライバSD2と第2ゲートドライバGD2とを含んでいる。また液晶表示装置LCDは、第1ソースドライバSD1及び第1ゲートドライバGD1を制御する第1タイミングコントローラTCON1と、第2ソースドライバSD2及び第2ゲートドライバGD2を制御する第2タイミングコントローラTCON2と、第1タイミングコントローラTCON1及び第2タイミングコントローラTCON2に画像データを出力する画像処理部IPUと、を含んでいる。例えば表示パネルLCP1は入力映像信号に応じたカラー画像を第1画像表示領域DISP1に表示し、表示パネルLCP2は入力映像信号に応じた白黒画像を第2画像表示領域DISP2に表示する。画像処理部IPUは、外部のシステム(図示せず)から送信された入力映像信号Dataを受信し、周知の画像処理を実行した後、第1タイミングコントローラTCON1に第1画像データDAT1を出力し、第2タイミングコントローラTCON2に第2画像データDAT2を出力する。また画像処理部IPUは、第1タイミングコントローラTCON1及び第2タイミングコントローラTCON2に同期信号等の制御信号(
図2では省略)を出力する。例えば第1画像データDAT1はカラー画像表示用の画像データであり、第2画像データDAT2は白黒画像表示用の画像データである。尚、表示パネルLCP1が白黒画像を表示し、表示パネルLCP2がカラー画像を表示する構成であってもよい。
【0025】
[実施形態1]
図3は実施形態1に係る表示パネルLCP1の概略構成を示す平面図であり、
図4は実施形態1に係る表示パネルLCP2の概略構成を示す平面図である。
図5は、
図3及び
図4の5-5´切断線における断面図である。
【0026】
図3及び
図5を用いて、表示パネルLCP1の概略構成について説明する。
図5に示すように、表示パネルLCP1は、バックライトBL側に配置された薄膜トランジスタ基板TFTB1と、観察者側に配置され、薄膜トランジスタ基板TFTB1に対向する対向基板CF1と、薄膜トランジスタ基板TFTB1及び対向基板CF1の間に配置された液晶層LC1と、を含んでいる。表示パネルLCP1の観察者側には偏光板POL1が配置されており、バックライトBL側には偏光板POL2が配置されている。
【0027】
薄膜トランジスタ基板TFTB1には、
図3に示すように、第1方向(例えば列方向)に延在する複数のソース線SL1と、第1方向とは異なる第2方向(例えば行方向)に延在する複数のゲート線GL1とが形成され、複数のソース線SL1と複数のゲート線GL1とのそれぞれの交差部近傍に薄膜トランジスタTFT1が形成されている。表示パネルLCP1を平面的に見て、隣り合う2本のソース線SL1と隣り合う2本のゲート線GL1とにより画素PIX1が規定され、該画素PIX1がマトリクス状(行方向及び列方向)に複数配置されている。複数のソース線SL1は、行方向に等間隔で配置されており、複数のゲート線GL1は、列方向に等間隔で配置されている。薄膜トランジスタ基板TFTB1には、画素PIX1ごとに画素電極PX1が形成されており、複数の画素PIX1に共通する1つの共通電極CT1(
図9等参照)が形成されている。薄膜トランジスタTFT1を構成するソース電極はソース線SL1に電気的に接続され、ドレイン電極DD1
(
図11参照)はコンタクトホールCONT1(
図11参照)を介して画素電極PX1に電気的に接続され、ゲート電極はゲート線GL1に電気的に接続されている。
【0028】
図5に示すように、対向基板CF1には、光を透過する光透過部と、光の透過を遮断するブラックマトリクスBM1(遮光部)とが形成されている。光透過部には、各画素PIX1に対応して複数のカラーフィルタFIL(着色層)が形成されている。光透過部は、ブラックマトリクスBM1で囲まれており、例えば矩形状に形成されている。複数のカラーフィルタFILは、赤色(R色)の材料で形成され、赤色の光を透過する赤色カラーフィルタFILR(赤色層)と、緑色(G色)の材料で形成され、緑色の光を透過する緑色カラーフィルタFILG(緑色層)と、青色(B色)の材料で形成され、青色の光を透過する青色カラーフィルタFILB(青色層)と、を含んでいる。赤色カラーフィルタFILR、緑色カラーフィルタFILG、及び青色カラーフィルタFILBは、行方向にこの順に繰り返し配列され、同一色のカラーフィルタFILが列方向に配列され、行方向及び列方向に隣り合うカラーフィルタFILの境界部分にブラックマトリクスBM1が形成されている。各カラーフィルタFILに対応して、複数の画素PIX1は、
図3に示すように、赤色カラーフィルタFILRに対応する赤色画素PIXRと、緑色カラーフィルタFILGに対応する緑色画素PIXGと、青色カラーフィルタFILBに対応する青色画素PIXBと、を含んでいる。表示パネルLCP1では、赤色画素PIXR、緑色画素PIXG、青色画素PIXBが行方向にこの順に繰り返し配列されており、列方向には同一色の画素PIX1が配列されている。
【0029】
第1タイミングコントローラTCON1は、周知の構成を備えている。例えば第1タイミングコントローラTCON1は、画像処理部IPUから出力される第1画像データDAT1と第1制御信号CS1(クロック信号、垂直同期信号、水平同期信号等)とに基づいて、第1画像データDA1と、第1ソースドライバSD1及び第1ゲートドライバGD1の駆動を制御するための各種タイミング信号(データスタートパルスDSP1、データクロックDCK1、ゲートスタートパルスGSP1、ゲートクロックGCK1)とを生成する(
図3参照)。第1タイミングコントローラTCON1は、第1画像データDA1と、データスタートパルスDSP1と、データクロックDCK1とを第1ソースドライバSD1に出力し、ゲートスタートパルスGSP1とゲートクロックGCK1とを第1ゲートドライバGD1に出力する。
【0030】
第1ソースドライバSD1は、データスタートパルスDSP1及びデータクロックDCK1に基づいて、第1画像データDA1に応じたデータ信号(データ電圧)をソース線SL1に出力する。第1ゲートドライバGD1は、ゲートスタートパルスGSP1及びゲートクロックGCK1に基づいて、ゲート信号(ゲート電圧)をゲート線GL1に出力する。
【0031】
各ソース線SL1には、第1ソースドライバSD1からデータ電圧が供給され、各ゲート線GL1には、第1ゲートドライバGD1からゲート電圧が供給される。共通電極CT1には、コモンドライバ(図示せず)から共通電圧Vcomが供給される。ゲート電圧(ゲートオン電圧)がゲート線GL1に供給されると、ゲート線GL1に接続された薄膜トランジスタTFT1がオンし、薄膜トランジスタTFT1に接続されたソース線SL1を介して、データ電圧が画素電極PX1に供給される。画素電極PX1に供給されたデータ電圧と、共通電極CT1に供給された共通電圧Vcomとの差により電界が生じる。この電界により液晶分子LCBP(
図9参照)を駆動してバックライトBLの光の透過率を制御することによって画像表示を行う。表示パネルLCP1では、赤色画素PIXR、緑色画素PIXG、青色画素PIXBそれぞれの画素電極PX1に接続されたソース線SL1に、所望のデータ電圧を供給することにより、カラー画像表示が行われる。
【0032】
次に、
図4及び
図5を用いて、表示パネルLCP2の構成について説明する。
図5に示すように、表示パネルLCP2は、バックライトBL側に配置された薄膜トランジスタ基板TFTB2と、観察者側に配置され、薄膜トランジスタ基板TFTB2に対向する対向基板CF2と、薄膜トランジスタ基板TFTB2及び対向基板CF2の間に配置された液晶層LC2と、を含んでいる。表示パネルLCP2の観察者側には偏光板POL3が配置されており、バックライトBL側には偏光板POL4が配置されている。表示パネルLCP1の偏光板POL2と、表示パネルLCP2の偏光板POL3との間には、接着層SEFILが配置されている。
【0033】
薄膜トランジスタ基板TFTB2には、
図4に示すように、列方向に延在する複数のソース線SL2と、行方向に延在する複数のゲート線GL2とが形成され、複数のソース線SL2と複数のゲート線GL2とのそれぞれの交差部近傍に薄膜トランジスタTFT2が形成されている。表示パネルLCP2を平面的に見て、隣り合う2本のソース線SL2と隣り合う2本のゲート線GL2とにより画素PIX2が規定され、該画素PIX2がマトリクス状(行方向及び列方向)に複数配置されている。複数のソース線SL2は、行方向に等間隔で配置されており、複数のゲート線GL2は、列方向に等間隔で配置されている。薄膜トランジスタ基板TFTB2には、画素PIX2ごとに画素電極PX2が形成されており、複数の画素PIX2に共通する1つの共通電極CT2(
図9等参照)が形成されている。薄膜トランジスタTFT2を構成するソース電極はソース線SL2に電気的に接続され、ドレイン電極DD2(
図11参照)はコンタクトホールCONT2(
図11参照)を介して画素電極PX2に電気的に接続され、ゲート電極はゲート線GL2に電気的に接続されている。
【0034】
また、第2ゲートドライバGD2は、第2画像表示領域DISP2の両側に配置されるように、薄膜トランジスタ基板TFTB2に内蔵されている。例えば、各ゲート線GL2の一端部(
図4の左端部)は第2画像表示領域DISP2の左側に配置された第2ゲートドライバGD2に接続されており、各ゲート線GL2の他端部(
図4の右端部)は第2画像表示領域DISP2の右側に配置された第2ゲートドライバGD2に接続されている。
【0035】
図5に示すように、対向基板CF2には、光を透過する光透過部と、ブラックマトリクスBM2(遮光部)が形成されている。ブラックマトリクスBM2は、平面視で薄膜トランジスタ基板TFTB2の形成領域に重なるように島状に形成されている。光透過部には、カラーフィルタ(着色部)は形成されておらず、例えばオーバーコート膜OCが形成されている。
【0036】
第2タイミングコントローラTCON2は、周知の構成を備えている。例えば第2タイミングコントローラTCON2は、画像処理部IPUから出力される第2画像データDAT2と第2制御信号CS2(クロック信号、垂直同期信号、水平同期信号等)とに基づいて、第2画像データDA2と、第2ソースドライバSD2及び第2ゲートドライバGD2の駆動を制御するための各種タイミング信号(データスタートパルスDSP2、データクロックDCK2、ゲートスタートパルスGSP2、ゲートクロックGCK2)とを生成する(
図4参照)。第2タイミングコントローラTCON2は、第2画像データDA2と、データスタートパルスDSP2と、データクロックDCK2とを第2ソースドライバSD2に出力し、ゲートスタートパルスGSP2とゲートクロックGCK2とを各第2ゲートドライバGD2に出力する。
【0037】
第2ソースドライバSD2は、データスタートパルスDSP2及びデータクロックDCK2に基づいて、第2画像データDA2に応じたデータ電圧をソース線SL2に出力する。各第2ゲートドライバGD2は、ゲートスタートパルスGSP2及びゲートクロックGCK2に基づいて、ゲート電圧をゲート線GL2に出力する。ゲート線GL2には両側からゲート電圧が供給される。
【0038】
各ソース線SL2には、第2ソースドライバSD2からデータ電圧が供給され、各ゲート線GL2には、第2ゲートドライバGD2からゲート電圧が供給される。共通電極CT2には、コモンドライバから共通電圧Vcomが供給される。ゲート電圧(ゲートオン電圧)がゲート線GL2に供給されると、ゲート線GL2に接続された薄膜トランジスタTFT2がオンし、薄膜トランジスタTFT2に接続されたソース線SL2を介して、データ電圧が画素電極PX2に供給される。画素電極PX2に供給されたデータ電圧と、共通電極CT2に供給された共通電圧Vcomとの差により電界が生じる。この電界により液晶分子LCBN(
図9参照)を駆動してバックライトBLの光の透過率を制御することによって画像表示を行う。表示パネルLCP2では、白黒画像表示が行われる。
【0039】
液晶表示装置LCDは、表示パネルLCP2の単位面積当たりの画素PIX2の数が、表示パネルLCP1の単位面積当たりの画素PIX1の数より少なくなるように構成されている。例えば、液晶表示装置LCDは、表示パネルLCP1の画素PIX1の数と表示パネルLCP2の画素PIX2の数とが3対1の割合で構成されている。具体的には、液晶表示装置LCDでは、表示パネルLCP1の3個の画素PIX1(赤色画素PIXR、緑色画素PIXG、青色画素PIXB)と、表示パネルLCP2の1個の画素PIX2とが、平面視で互いに重畳するように構成されている。
【0040】
図6は、互いに重なり合う、表示パネルLCP1の画素PIX1と、表示パネルLCP2の画素PIX2との関係を示す平面図である。
図7は、
図6(a)に示す画素PIX1の具体的な構成を示す平面図であり、
図8は、
図6(b)に示すに対応する画素PIX2の具体的な構成を示す平面図である。尚、
図7(b)には液晶分子LCBPの動作を模式的に示し、
図8(b)、(c)には液晶分子LCBNの動作を模式的に示している。
【0041】
図6に示す例では、表示パネルLCP1の1個の赤色画素PIXR、1個の緑色画素PIXG、及び1個の青色画素PIXBと、表示パネルLCP2の1個の画素PIX2とが平面視で互いに重なり合うように配置されている。表示パネルLCP1の各画素PIX1の面積(大きさ)が互いに等しい場合、表示パネルLCP2の1個の画素PIX2の面積は、表示パネルLCP1の1個の画素PIX1の面積の3倍となっている。尚、
図6(a)には、共通電極CT1に接続される共通配線CL1と、液晶容量CLC1とを示し、
図6(b)には、共通電極CT2に接続される共通配線CL2と、液晶容量CLC2とを示している。
【0042】
図7に示すように、画素電極PX1は、矩形の外形形状を有し、列方向に延在する複数のスリットSLT1が形成されている。
図7(b)には、
図7(a)に示す画素PIX1の開口部7bに配置される液晶分子LCBPの動作を示している。表示パネルLCP1の液晶層LC1に含まれる液晶分子LCBPは、ポジ型の液晶分子である。POLA1は偏光板POL1の偏光軸を示し、POLA2は偏光板POL2の偏光軸を示し、偏光軸POLA1及び偏光軸POLA2は互いに直交している。偏光軸POLA2は、列方向(Y方向)に対して所定の角度THINを有している。また液晶分子LCBPの初期配向方向(配向軸)は、偏光軸POLA2と同じ方向に設定されている。上記構成において、液晶層LC1に電界(
図7(b)の矢印方向の電界)が印加されると、液晶分子LCBPは電界方向に回転(ここでは右回転)する。
【0043】
図8に示すように、画素電極PX2は、略平行四辺形の外形形状を有し、列方向に延在する複数のスリットSLT2が形成されている。
図9は、画素電極PX2の構成を示す平面図である。
図9に示すように、画素電極PX2は、列方向に延在する第1辺L1と、列方向に延在し第1辺L1に対向する第2辺L2と、第1辺L1及び第2辺L2それぞれの一端を結ぶ第3辺L3と、第1辺L1及び第2辺L2それぞれの他端を結ぶ第4辺L4とを含み、第3辺L3及び第4辺L4がそれぞれ、行方向に対して所定の角度αを有して傾斜している。ここで、IPS方式の液晶表示装置LCDにおいて、液晶分子LCBNが回転する場合、電界に対して右回転又は左回転するように決めるため、理論上は、角度THINは0度以上となる。尚、ネガ型の液晶分子LCBNは、電界の方向に対して垂直方向に回転する。しかし、製造上のバラツキを考慮すると、実用上は、角度THINは4度以上10度以下に設定される。角度THINが大きいと透過率が低下することもあり、比較的小さい角度が用いられる。一方、ゲート線GL2上の境界部8cにおいても電界方向で液晶分子LCBNの回転方向が決まるため、理論上は、角度αは角度THINより大きい
(α>THIN)ことが必須となる。例えば、角度THINを4度に設定した場合、角度αは、4度より大きい角度に設定すればよいが、製造ばらつきを考慮すると8度以上に設定することが望ましい。
【0044】
図8(b)には、
図8(a)に示す画素PIX2の開口部8bに配置される液晶分子LCBNの動作を示している。表示パネルLCP2の液晶層LC2に含まれる液晶分子LCBNは、ネガ型の液晶分子である。POLA3は偏光板POL3の偏光軸を示し、POLA4は偏光板POL4の偏光軸を示し、偏光軸POLA3及び偏光軸POLA4は互いに直交している。偏光軸POLA4は、行方向(X方向)に対して所定の角度THINを有している。また液晶分子LCBNの初期配向方向(配向軸)は、偏光軸POLA4と同じ方向に設定されている。上記構成において、液晶層LC2に電界(
図8(b)の矢印方向の電界)が印加されると、液晶分子LCBNは電界方向に回転(ここでは右回転)する。行方向に隣り合う画素PIX2の境界部8bに配置される液晶分子LCBNも、開口部8bに配置される液晶分子LCBPと同じ方向に回転(右回転)する。
【0045】
図8(c)には、
図8(a)に示す列方向に隣り合う画素PIX2の境界部8cに配置される液晶分子LCBNの動作を示している。境界部8c(
図8(a)のWP)では、列方向に隣り合う画素電極PX2の第3辺L3及び第4辺L4が傾斜した形状を有するため、列方向(Y方向)に対して傾斜した方向の電界(
図8(c)の矢印方向の電界)が発生する。このため、液晶層LC2に電界が印加されると、液晶分子LCBNは電界方向に回転(右回転)する。
【0046】
【0047】
表示パネルLCP1の画素PIX1を構成する薄膜トランジスタ基板TFTB1(
図5参照)では、透明基板SUB2(ガラス基板)上にゲート線GL1が形成されており、ゲート線GL1を覆うようにゲート絶縁膜GSNが形成されている。ゲート絶縁膜GSN上には、アモルファスシリコン(a-Si)から成る半導体層SE1、ソース線SL1(ソース電極)及びドレイン電極DD1が形成されており、これらを覆うように保護膜PAS及び有機絶縁膜OPASが形成されている。有機絶縁膜OPAS上には共通電極CT1が形成されており、共通電極CT1を覆うように保護膜UPASが形成されている。保護膜UPAS上には画素電極PX1が形成されており、画素電極PX1を覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。また、保護膜PAS、有機絶縁膜OPAS及び保護膜UPASにはコンタクトホールCONT1が形成されており、画素電極PX1の一部が、コンタクトホールCONT1を介してドレイン電極DD1に電気的に接続されている。対向基板CF1(
図5参照)では、透明基板SUB1(ガラス基板)上に、ブラックマトリクスBM1及びカラーフィルタFIL(赤色カラーフィルタFILR、緑色カラーフィルタFILG、及び青色カラーフィルタFILB)が形成されている。カラーフィルタFILの表面にはオーバーコート膜OCが被覆されており、オーバーコート膜OC上に配向膜(図示せず)が形成されている。
【0048】
表示パネルLCP2の画素PIX2を構成する薄膜トランジスタ基板TFTB2(
図5参照)では、透明基板SUB4(ガラス基板)上に、光を透過する材料から成るゲート線GL2(以下、透明ゲート線GLTという。)が形成されている。光を透過する材料としては、透明電極材料である、インジウム・錫・酸化物(ITO)や、インジウム・亜鉛・酸化物(IZO)等が用いられる。薄膜トランジスタTFT2を構成する領域では、透明ゲート線GLT上に、金属材料から成るゲート電極GLMが形成されている。金属材料としては、アルミニウムAl、モリブデンMo、チタンTi又は銅Cuを主成分とする金属材料等が用いられる。透明ゲート線GLT及びゲート電極GLMを覆うようにゲート絶縁膜GSNが形成されている。ゲート絶縁膜GSN上には半導体層SE2が形成されており、半導体層SE2を覆うように保護膜PTLが形成されている。半導体層SE2は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)により構成される酸化物半導体である。保護膜PTL上には、光を透過する材料から成るソース線SL2(以下、透明ソース線SLTという。)(ソース電極)及びドレイン電極DD2が形成されており、ソース電極及びドレイン電極DD2の一部は半導体層SE2に電気的に接続されている。光を透過する材料としては、透明ゲート線GLTと同様に、透明電極材料である、インジウム・錫・酸化物(ITO)や、インジウム・亜鉛・酸化物(IZO)等が用いられる。透明ソース線SLT(ソース電極)及びドレイン電極DD2を覆うように、保護膜PAS及び有機絶縁膜OPASが形成されている。有機絶縁膜OPAS上には共通電極CT2が形成されており、共通電極CT2を覆うように保護膜UPASが形成されている。保護膜UPAS上には画素電極PX2が形成されており、画素電極PX2を覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。また、保護膜PAS、有機絶縁膜OPAS及び保護膜UPASにはコンタクトホールCONT2が形成されており、画素電極PX2の一部が、コンタクトホールCONT2を介してドレイン電極DD2に電気的に接続されている。対向基板CF2(
図5参照)では、透明基板SUB3(ガラス基板)上に、平面視で薄膜トランジスタTFT2の形成領域を覆うように島状にブラックマトリクスBM2が形成されている。ブラックマトリクスBM2を覆うようにオーバーコート膜OCが被覆されており、オーバーコート膜OC上に配向膜(図示せず)が形成されている。
【0049】
上記構成によれば、表示パネルLCP2において、ソース線SL2及びゲート線GL2が、光を透過する透明配線で構成されている。また、ブラックマトリクスBM2が島状に形成されている。これにより、表示パネルLCP2の光の透過率を高めることができるため、例えば液晶表示装置LCDを斜めから見たときに、表示パネルLCP2のソース線SL2及びゲート線GL2やブラックマトリクスBM1が視認され難くなる。
【0050】
また、上記構成では、
図8に示したように、表示パネルLCP2の第2画像表示領域DISP2全体において、液晶分子LCBNが同じ方向に回転(
図8では右回転)する。これに対して、比較例における液晶表示装置では、例えば
図13に示すように、後側の表示パネルにおいて、画素の開口部13bに配置される液晶分子LCBNの回転方向(右回転)と、列方向に隣り合う画素の境界部13c付近に配置される液晶分子LCBNの回転方向(左回転)とが互いに異なる。これにより、境界部13cでは、液晶分子LCBNが回転せず透過率が低下する。このため、液晶表示装置を斜めから見たときに、前側の表示パネルの画素開口部を介して後側の表示パネルの境界部13cが暗線となって見え易くなりモアレが視認され易くなる。この点、実施形態1に係る液晶表示装置LCDでは、画素PIX2の境界部8c(
図8(c)参照)付近に配置される液晶分子LCBNは、画素PIX2の開口部8b(
図8(c)参照)に配置される液晶分子LCBNの回転方向と同一方向に回転(右回転)するため、上記暗線が生じることなく、第2画像表示領域DISP2全体において光を透過させることができる。
【0051】
さらに、実施形態1に係る液晶表示装置LCDでは、
図7及び
図8に示すように表示パネルLCP1の液晶分子LCBPの長軸の方向と、表示パネルLCP2の液晶分子LCBNの長軸の方向とが、互いに90度異なるため、表示パネルLCP1及び表示パネルLCP2を重ね合わせることにより、斜め方向から見たときの色付き(黄色、青色)を相殺することができる。
【0052】
以上より、実施形態1に係る液晶表示装置LCDによれば、表示パネルLCP2のブラックマトリクス、配線(ソース線、ゲート線)、及び、画素境界部の暗線によるモアレを低減することができるとともに、色付きによるモアレ(色モアレ)を低減することができる。
【0053】
ところで、表示パネルLCP1及び表示パネルLCP2を接着層SEFILにより貼り合わせる構造では、表示パネルLCP1のブラックマトリクスBM1と表示パネルLCP2のブラックマトリクスBM2又は配線との距離(厚み)が0.4mmから1.5mmと大きくなり、視差によるモアレが発生し易い。このモアレを低減する他の方法としては、上記特許文献1に記載されているように、接着層SEFILと拡散シートとを複数枚重ねることにより、表示パネルLCP2を透過する光を一旦散乱させる方法が考えられる。しかし、拡散シートを複数枚使用した場合、表示パネルLCP2を透過した偏光光が一部散乱されるため透過率が低下したり、拡散シートの厚み(1枚当たり100μm)により表示装置が厚くなったり、拡散シートを追加することによりコストが増加したりする問題がある。これに対し、実施形態1に係る液晶表示装置LCDによれば、モアレを低減しつつ拡散シートを削減又は省略することができるため、モアレの低減により、透過率の向上と薄型化とコスト低減とを同時に実現することができる。
【0054】
図14は、表示パネルLCP1及び表示パネルLCP2のドライバの構成を示す図である。表示パネルLCP1には、ソースドライバIC(SIC)が6個実装されており、ゲートドライバIC(GIC)が2個実装されている。表示パネルLCP2には、ソースドライバIC(SIC)が2個実装されており、ゲートドライバIC(GIC)が第2画像表示領域DISP2の両側に2個実装されている。ここで、ゲート線GL2を透明電極材料で形成した場合、配線抵抗が高くなり、ゲート電圧の給電効率の低下や信号遅延が生じることが考えられる。この点、表示パネルLCP2では、第2ゲートドライバGD2をゲート線GL2の両側に配置し、ゲート線GL2の両側からゲート電圧を供給する構成であるため、ゲート電圧の給電効率の低下や信号遅延を抑えることができる。また、第2ゲートドライバGD2は薄膜トランジスタ基板TFTB2に内蔵されているため、第2ゲートドライバGD2を両側に設けることによるコストの上昇を抑えることができる。
【0055】
尚、透明ソース線SLT及び透明ゲート線GLTは、光を透過する配線であればよく、光の透過率は限定されない。例えば、透明ソース線SLT及び透明ゲート線GLTは、銀
(Ag)から成る単層配線であってもよいし、ITOとITO上に形成された銀(Ag)との積層配線であってもよい。
【0056】
また、透明ソース線SLT及び透明ゲート線GLTに用いられるITOは、低抵抗化を図るために、スパッタ法を用いて加熱成膜して形成される多結晶ITOであることが好ましい。
【0057】
[実施形態2]
本発明の実施形態2について、図面を用いて以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1において示した構成要素と構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、実施形態1において定義した用語については特に断らない限り本実施形態においてもその定義に則って用いるものとする。なお、後述の各実施形態についても同様である。
【0058】
図15は、実施形態2に係る液晶表示装置LCDの表示パネルLCP2の画素PIX2の具体的な構成を示す平面図である。実施形態2に係る表示パネルLCP2は、実施形態1に係る表示パネルLCP2と比較して、ゲート線GL2の構成が異なっており、それ以外の構成は同一である。実施形態2では、ゲート線GL2は、透明電極材料(例えばITO)から成る透明ゲート線GLTと、金属材料から成る金属ゲート線GLMとが積層して構成されている。
図16は、
図15の16-16´切断線における断面図である。
図16に示すように、透明ゲート線GLTは、透明基板SUB4上に形成されており、金属ゲート線GLMは、透明ゲート線GLT上に形成されている。金属ゲート線GLMの列方向の幅は、透明ゲート線GLTの列方向の幅より狭く、また、平面視で金属ゲート線GLMに重畳する、表示パネルLCP1のゲート線GL1及びブラックマトリクスBM1それぞれの列方向の幅より狭くなっている。例えば、金属ゲート線GLMの列方向の幅は、ブラックマトリクスBM1の列方向の幅の1/3となっている。他の構成は、実施形態1に係る液晶表示装置LCDの構成と同一である。
【0059】
実施形態2に係る構成によれば、ゲート線GL2に金属ゲート線GLMが含まれるため、ゲート電圧の給電効率の低下や信号遅延をより抑えることができる。また、金属ゲート線GLMの幅を、液晶表示装置LCDを斜めから見たときに金属ゲート線GLMが視認され難い程度の幅に設定することにより、モアレの出現を抑えることができる。
【0060】
[実施形態3]
図17は、実施形態3に係る液晶表示装置LCDの表示パネルLCP2の画素PIX2の具体的な構成を示す平面図である。実施形態2に係る表示パネルLCP2では、ゲート線GL2は、透明電極材料から成る透明ゲート線GLTと、金属材料から成る金属ゲート線GLMとが積層して構成されているが、実施形態3に係る表示パネルLCP2では、これに加えて、ソース線SL2についても、透明電極材料(例えばITO)から成る透明ソース線SLTと、金属材料から成る金属ソース線SLMとが積層して構成されている。
図18は、
図17の18-18´切断線における断面図である。
図18に示すように、透明ソース線SLTは、ゲート絶縁膜GSN上に形成されており、金属ソース線SLMは、透明ソース線SLT上に形成されている。金属ソース線SLMの行方向の幅は、透明ソース線SLTの行方向の幅より狭く、また、平面視で金属ソース線SLMに重畳する、表示パネルLCP1のソース線SL1及びブラックマトリクスBM1それぞれの行方向の幅より狭くなっている。例えば、金属ソース線SLMの行方向の幅は、ブラックマトリクスBM1の行方向の幅の1/3となっている。他の構成は、実施形態1に係る液晶表示装置LCDの構成と同一である。
【0061】
実施形態3に係る構成によれば、ソース線SL2に金属ソース線SLMが含まれるため、データ信号の遅延を抑えることができる。また、金属ソース線SLMの幅を、液晶表示装置LCDを斜めから見たときに金属ソース線SLMが視認され難い程度の幅に設定することにより、モアレの出現を抑えることができる。
【0062】
[実施形態4]
図19は、実施形態4に係る液晶表示装置LCDの表示パネルLCP2の画素PIX2の具体的な構成を示す平面図である。
図20は、
図19の20-20´切断線における断面図である。実施形態4に係る表示パネルLCP2では、ゲート線GL2及びソース線SL2が、実施形態3に係る構成と同様に、透明電極材料から成る透明配線と金属材料から成る金属配線とで構成されている。また、実施形態4に係る表示パネルLCP2では、ソース線SL2が、平面視で表示パネルLCP1の画素PIX1の行方向の中央付近に位置するように配置されている。
図20に示す例では、ソース線SL2が、平面視で赤色画素PIXRの中央付近に位置するように配置されている。尚、ソース線SL2は、視感度が低い赤色画素PIXR又は青色画素PIXBの中央付近に位置するように配置されることが好ましい。
【0063】
実施形態4に係る構成によれば、液晶表示装置LCDを正面から見たときも斜めから見たときもソース線SL2の金属ソース線SLMが視認されるため、見る角度によって画素の開口率が変化することがない。このため、周期的な輝度の明暗が生じ難くなるため、モアレの出現を抑えることができる。
【0064】
実施形態4に係る構成は、画素サイズが大きい液晶表示装置に好適である。尚、ゲート線GL2についても、ソース線SL2と同様に配置されてもよい。具体的には、ゲート線GL2が、平面視で表示パネルLCP1の画素PIX1の列方向の中央付近に位置するように配置されてもよい。これにより、左右方向及び上下方向のモアレを低減することができる。
【0065】
[実施形態5]
図21は実施形態5に係る表示パネルLCP1の概略構成を示す平面図であり、
図22は実施形態5に係る表示パネルLCP2の概略構成を示す平面図である。実施形態5に係る液晶表示装置LCDは、概略的には、表示パネルLCP1が、実施形態1に係る表示パネルLCP2の構成を備え、表示パネルLCP2が、実施形態1に係る表示パネルLCP1の構成を備えている。
【0066】
図23は、画素PIX1,PIX2の開口部を行方向に切断した場合の断面図であり、
図24は、上記開口部を列方向に切断した場合の断面図であり、
図25は、薄膜トランジスタTFT1,TFT2を行方向に切断した場合の断面図である。尚、
図23~
図25はそれぞれ、実施形態1の構成を示す
図10~
図12に対応する部分を示している。
【0067】
表示パネルLCP1の画素PIX1を構成する薄膜トランジスタ基板TFTB1では、透明基板SUB2上に、透明電極材料から成るゲート線GL1(透明ゲート線GLT)が形成されている。薄膜トランジスタTFT1を構成する領域では、透明ゲート線GLT上に、金属材料から成るゲート電極GLMが形成されている。透明ゲート線GLT及びゲート電極GLMを覆うようにゲート絶縁膜GSNが形成されている。ゲート絶縁膜GSN上には、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)により構成される酸化物半導体の半導体層SE1が形成されており、半導体層SE1を覆うように保護膜PTLが形成されている。保護膜PTL上には、透明電極材料から成るソース線SL2(透明ソース線SLT)(ソース電極)及びドレイン電極DD1が形成されており、ソース電極及びドレイン電極DD1の一部は半導体層SE1に接続されている。透明ソース線SLT(ソース電極)及びドレイン電極DD2を覆うように、保護膜PAS及び有機絶縁膜OPASが形成されている。有機絶縁膜OPAS上には共通電極CT1が形成されており、共通電極CT1を覆うように保護膜UPASが形成されている。保護膜UPAS上には画素電極PX1が形成されており、画素電極PX1を覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。また、保護膜PAS、有機絶縁膜OPAS及び保護膜UPASにはコンタクトホールCONT1が形成されており、画素電極PX1の一部が、コンタクトホールCONT1を介してドレイン電極DD1に電気的に接続されている。対向基板CF1では、透明基板SUB1上に、平面視で薄膜トランジスタTFT1の形成領域を覆うように島状にブラックマトリクスBM1が形成されている。ブラックマトリクスBM1を覆うようにオーバーコート膜OCが被覆されており、オーバーコート膜OC上に配向膜(図示せず)が形成されている。
【0068】
表示パネルLCP2の画素PIX2を構成する薄膜トランジスタ基板TFTB2では、透明基板SUB3上にゲート線GL2が形成されており、ゲート線GL2を覆うようにゲート絶縁膜GSNが形成されている。ゲート絶縁膜GSN上には、アモルファスシリコン
(a-Si)から成る半導体層SE2、ソース線SL2(ソース電極)及びドレイン電極DD2が形成されており、これらを覆うように保護膜PAS及び有機絶縁膜OPASが形成されている。有機絶縁膜OPAS上には共通電極CT2が形成されており、共通電極CT2を覆うように保護膜UPASが形成されている。保護膜UPAS上には画素電極PX2が形成されており、画素電極PX2を覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。また、保護膜PAS、有機絶縁膜OPAS及び保護膜UPASにはコンタクトホールCONT2が形成されており、画素電極PX2の一部が、コンタクトホールCONT2を介してドレイン電極DD2に電気的に接続されている。対向基板CF2では、透明基板SUB4上に、ブラックマトリクスBM2及びカラーフィルタFIL(赤色カラーフィルタFILR、緑色カラーフィルタFILG、及び青色カラーフィルタFILB)が形成されている。カラーフィルタFILの表面にはオーバーコート膜OCが被覆されており、オーバーコート膜OC上に配向膜(図示せず)が形成されている。
【0069】
このように、実施形態5に係る液晶表示装置LCDでは、表示パネルLCP1の薄膜トランジスタ基板TFTB1と、表示パネルLCP2の薄膜トランジスタ基板TFTB2とが対向するように配置されており、表示パネルLCP1の対向基板CF1と表示パネルLCP2の対向基板CF2とが、外側に配置されている。
図23~
図25に示す例では、対向基板CF1が観察者側に配置されており、対向基板CF2がバックライトBL側に配置されている。
【0070】
本発明の液晶表示装置は、上記構成に限定されず、以下に示す構成であってもよい。
【0071】
例えば、実施形態5に係る液晶表示装置LCDにおいて、表示パネルLCP1が、実施形態2~4の何れかの表示パネルLCP2の構成を備えていてもよい。
【0072】
また例えば、実施形態2~4に係る液晶表示装置LCDの表示パネルLCP1において、ゲート線GL1が透明ゲート線GLTで構成され、ソース線SL1が透明ソース線SLTで構成され、液晶層LC1がネガ型の液晶分子LCBNで構成され、画素電極PX1が傾斜した形状(
図9参照)を有していてもよい。すなわち、本発明の液晶表示装置では、表示パネルLCP1及び表示パネルLCP2の少なくとも何れか一方において、画素電極のスリットの延在方向に隣り合う2個の画素電極の境界部における、画素電極の形状が傾斜した形状を有している。また、上記境界部における液晶分子の回転方向と、画素の開口部における液晶分子の回転方向とが互いに同一であることが好ましい。さらに、表示パネルLCP1の液晶分子の回転方向と、表示パネルLCP2の液晶分子の回転方向とが、互いに同一であることが好ましい。
【0073】
また例えば、本発明の液晶表示装置は、表示パネルが複数枚の構成に限定されず、表示パネルが1枚の構成であってもよい。この場合、表示パネルLCPにおいて、ゲート線GLが透明ゲート線GLTで構成され、ソース線SLが透明ソース線SLTで構成され、液晶層LCがネガ型の液晶分子LCBNで構成され、画素電極PXが傾斜した形状(
図9参照)を有していればよい。
【0074】
また例えば、実施形態2~4に係る表示パネルLCP2において、平面視で金属配線に重畳する液晶分子LCBNは、画素PIX2の開口部に重畳する液晶分子LCBNと同一方向に回転してもよいし、回転しなくてもよい。
【0075】
上述した各形態に係る液晶表示装置LCDは、例えば拡散板を省略できるため、フレキシブル性を有する液晶表示装置を実現することもできる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で上記各実施形態から当業者が適宜変更した形態も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0077】
LCD 液晶表示装置、LCP1 表示パネル、SD1 第1ソースドライバ、GD1 第1ゲートドライバ、TCON1 第1タイミングコントローラ、LCP2 表示パネル、SD2 第2ソースドライバ、GD2 第2ゲートドライバ、TCON2 第2タイミングコントローラ、IPU 画像処理部、SL1,SL2 ソース線、SLT 透明ソース線、SLM 金属ソース線、GL1,GL2 ゲート線、GLT 透明ゲート線、GLM 金属ゲート線、POL1~POL4 偏光板、BM1,BM2 ブラックマトリクス、FIL カラーフィルタ、PIX1,PIX2 画素、PIXR 赤色画素、PIXG 緑色画素、PIXB 青色画素、CONT コンタクトホール、PX1,PX2 画素電極、CT1,CT2 共通電極、LCBP (ポジ型の)液晶分子、LCBN (ネガ型の)液晶分子、SLT1,SLT2 スリット。