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特許7027516ダブルデッキエレベータの群管理制御装置およびダブルデッキエレベータの群管理制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】ダブルデッキエレベータの群管理制御装置およびダブルデッキエレベータの群管理制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
B66B1/18 D
B66B1/18 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020209310
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】杉原 俊雄
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-63927(JP,A)
【文献】国際公開第2003/101873(WO,A1)
【文献】特開2011-57325(JP,A)
【文献】特許第6783905(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内に設置された、上かごと下かごとからなるダブルデッキエレベータを複数台群管理し、
利用者が登録した乗場呼びの情報を登録する乗場呼び登録部と、
将来発生することを予測して生成された仮想呼び情報を記憶する仮想呼び情報記憶部と、
前記乗場呼び登録部で登録された乗場呼びに対しては、前記複数台のダブルデッキエレベータの上かごおよび下かごを割り当て対象とし、前記仮想呼び情報記憶部に記憶された仮想呼びに対しては、前記複数台のダブルデッキエレベータの上かごまたは下かごのいずれかのみを割り当て対象として、前記乗場呼びおよび前記仮想呼びに対する前記複数台のダブルデッキエレベータ群の乗りかごの割当パターンを示すエレベータ群割当パターン情報を生成するエレベータ群割当パターン生成部と、
前記エレベータ群割当パターン生成部で生成されたエレベータ群割当パターンごとに、サービス性能に関する評価値を算出するエレベータ群割当パターン評価部と、
前記エレベータ群割当パターン評価部で算出された評価値に基づいて最適なエレベータ群割当パターンを選択し、選択したエレベータ群割当パターンに基づいて前記乗場呼びに割り当てる乗りかごを決定する割当かご決定部と
を備えることを特徴とするダブルデッキエレベータの群管理制御装置。
【請求項2】
前記乗場呼び登録部に登録された乗場呼びに対しては、上かごおよび下かごのいずれにも割り当てない場合、上かごを割り当てる場合、および下かごを割り当てる場合の3通りを適用対象とし、前記仮想呼び情報記憶部に記憶された仮想呼びに対しては、上かごおよび下かごのいずれも割り当てない場合、および上かごを割り当てる場合の2通りを適用対象とするかまたは、上かごおよび下かごのいずれも割り当てない場合、および下かごを割り当てる場合の2通りを適用対象として、ダブルデッキエレベータごとに、前記乗場呼びおよび前記仮想呼びに対する乗りかごの割当パターンを示す単体割当パターン情報を生成する単体割当パターン生成部と、
前記単体割当パターン生成部で生成された各ダブルデッキエレベータの単体割当パターンごとに、サービス性能に関する評価値を算出する単体割当パターン評価部とをさらに備え、
前記エレベータ群割当パターン評価部は、前記単体割当パターン評価部で算出された評価値に基づいて、前記エレベータ群割当パターンごとの評価値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のダブルデッキエレベータの群管理制御装置。
【請求項3】
前記単体割当パターン評価部は、
前記乗場呼びに応答不可能な乗りかごが割り当てられている単体割当パターンと、前記仮想呼びに上かごを割り当てる場合に、応答不可能な上かごが割り当てられ、且つ当該仮想呼びを1階床下方にずらしても該当するダブルデッキエレベータの下かごが応答不可能な仮想呼びを含む単体割当パターンと、前記仮想呼びに下かごを割り当てる場合に、応答不可能な下かごが割り当てられ、且つ当該仮想呼びを1階床上方にずらしても該当するダブルデッキエレベータの上かごが応答不可能な仮想呼びを含む単体割当パターンとについては評価値の算出対象外と判断し、
前記エレベータ群割当パターン評価部は、
前記単体割当パターン評価部で評価値の算出対象外とした単体割当パターンを含むエレベータ群割当パターンについては評価値の算出対象外と判断する
ことを特徴とする請求項2に記載のダブルデッキエレベータの群管理制御装置。
【請求項4】
前記建物は、下方基準階と、前記下方基準階よりも上階にある上方基準階とを有し、
前記仮想呼び情報記憶部は、前記エレベータ群割当パターン生成部が仮想呼びに対して前記複数台のダブルデッキエレベータの上かごを割り当て対象としているときには、前記上方基準階を出発階または行先階とする仮想呼びの情報を記憶し、前記エレベータ群割当パターン生成部が仮想呼びに対して前記複数台のダブルデッキエレベータの下かごを割り当て対象としているときには、前記下方基準階を出発階または行先階とする仮想呼びの情報を記憶する
ことを特徴とする請求項1~3いずれか1項に記載のダブルデッキエレベータの群管理制御装置。
【請求項5】
建物内に設置された、上かごと下かごとからなるダブルデッキエレベータを複数台群管理する群管理制御装置が、
利用者が登録した乗場呼びの情報を登録する乗場呼び登録ステップと、
将来発生することを予測して生成された仮想呼び情報を記憶する仮想呼び情報記憶ステップと、
前記乗場呼び登録ステップで登録された乗場呼びに対しては、前記複数台のダブルデッキエレベータの上かごおよび下かごを割り当て対象とし、前記仮想呼び情報記憶ステップに記憶された仮想呼びに対しては、前記複数台のダブルデッキエレベータの上かごまたは下かごのいずれかのみを割り当て対象として、前記乗場呼びおよび前記仮想呼びに対する前記複数台のダブルデッキエレベータ群の乗りかごの割当パターンを示すエレベータ群割当パターン情報を生成するエレベータ群割当パターン生成ステップと、
前記エレベータ群割当パターン生成ステップで生成されたエレベータ群割当パターンごとに、サービス性能に関する評価値を算出するエレベータ群割当パターン評価ステップと、
前記エレベータ群割当パターン評価ステップで算出された評価値に基づいて最適なエレベータ群割当パターンを選択し、選択したエレベータ群割当パターンに基づいて前記乗場呼びに割り当てる乗りかごを決定する割当かご決定ステップと
を有することを特徴とするダブルデッキエレベータの群管理制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ダブルデッキエレベータの群管理制御装置およびダブルデッキエレベータの群管理制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のエレベータを統括して制御するシステムを、エレベータの群管理制御システムという。特に、各エレベータが、上かごと下かごを連結したダブルデッキエレベータから構成される群管理制御システムを、ダブルデッキ群管理制御システムと呼ぶ。利用者の待ち時間などのサービス性能は群管理性能と呼ばれ、群管理性能が高い群管理制御システムを構築することが望ましい。
【0003】
エレベータの群管理制御システムでは、利用者が乗場で乗場呼びを登録すると、最も効率よく利用者を輸送できるように、当該呼びに対して応答するかご(割当かご)を決定する割当処理を行う。
【0004】
複数台のエレベータに関する乗場呼びへの割当処理を行う際には、まず発生した乗場呼びに対して様々なエレベータを仮割当した、複数のエレベータの割当パターンを想定する。そして、想定した割当パターンごとに乗場呼びの応答までに要する時間を見積もり、乗場呼びと登録済みの呼びとに対し、全体的になるべく早く応答できる、最もよい割当パターンを選ぶ。そして、選んだ割当パターンでの情報に基づいて、実際に割当を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-1860号公報
【文献】特許第5920674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年ではさらに、将来にわたり良好な群管理性能を維持するために、将来発生することを想定した呼び「仮想呼び」をあらかじめ数個程度用意し、これを用いて割当処理を行う場合がある。
【0007】
仮想呼びを用いた割当処理では、発生した乗場呼びと仮想呼びとに対して割当候補となるさまざまなかごを仮割当した、複数の割当パターンを想定する。そして、想定したパターンそれぞれに対して運行予測を行い、発生した乗場呼びおよび仮想呼びと、登録済みの呼びとを対象に、応答までに要する時間を評価し、全体として最良となるパターンを選択する。そして、最良となるパターンで乗場呼びに割り当てているかごを、割当処理の結果として選定するかご(割当かご)に決定する。
【0008】
この割当処理をダブルデッキエレベータの群管理制御システムで用いると、1台の乗りかごを有するシングルデッキエレベータの群管理制御システムで用いる場合と比べて、エレベータの台数に対する乗りかごの数が2倍となるため、生成される割当パターンの数が非常に多くなる。そのため、割当処理に要する処理が複雑となり、処理負荷が高くなってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、低い処理負荷で高いサービス性能を有する群管理制御を実行することが可能な、ダブルデッキエレベータの群管理制御装置およびダブルデッキエレベータの群管理制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための実施形態によればダブルデッキエレベータの群管理制御装置は、仮想呼び情報記憶部とエレベータ群割当パターン生成部とエレベータ群割当パターン評価部と割当かご決定部とを備える。仮想呼び情報記憶部は発生を予測して生成された仮想呼び情報を記憶する。エレベータ群割当パターン生成部は、乗場呼びに対してはダブルデッキエレベータの上かごおよび下かごを割り当て対象とし、仮想呼びに対しては上かごまたは下かごのいずれかのみを割り当て対象として、乗場呼びおよび仮想呼びに対する複数台のダブルデッキエレベータ群の乗りかごの割当パターンを示すエレベータ群割当パターンの情報を生成する。エレベータ群割当パターン評価部はエレベータ群割当パターンごとに評価値を算出する。割当かご決定部は評価値から最適なエレベータ群割当パターンを選択して乗場呼びに割り当てる乗りかごを決定する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態によるダブルデッキエレベータの群管理制御装置を利用したダブルデッキ群管理制御システムのブロック図である。
図2A】一実施形態によるダブルデッキエレベータの群管理制御装置で、乗場呼びが発生した際に実行される動作を示すフローチャートである。
図2B】一実施形態によるダブルデッキエレベータの群管理制御装置で、乗場呼びが発生した際に実行される動作を示すフローチャートである。
図3】一実施形態によるダブルデッキエレベータの群管理制御装置で生成された単体割当パターン情報の例を示す図である。
図4A】一実施形態によるダブルデッキエレベータの群管理制御装置で生成されたエレベータ群割当パターン情報の例を示す図である。
図4B】一実施形態によるダブルデッキエレベータの群管理制御装置で生成されたエレベータ群割当パターン情報の例を示す図である。
図5】従来のシングルデッキエレベータの群管理制御装置で生成されたエレベータ群割当パターン情報の例を示す図である。
図6】従来のシングルデッキエレベータの群管理制御装置で生成された単体割当パターン情報の例を示す図である。
図7】従来のダブルデッキエレベータの群管理制御装置で生成された単体割当パターン情報の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態を説明するにあたり、まず、複数台のダブルデッキエレベータを用いた群管理制御システムにおいて、乗場呼びが発生した際に実行される乗りかごの割当処理について説明する。
【0013】
エレベータの群管理制御システムでは、利用者が乗場で乗場呼びを登録すると、最も効率よく利用者を輸送できるように、当該呼びに対して応答するかご(割当かご)を決定する割当処理を行う。割当処理で、割当かごを決める対象となる乗場呼びを、割当要求と呼ぶ。
【0014】
割当処理ではまず、利用者の操作により発生した割当要求、および既に登録されエレベータに割当てられた呼びなどから生成された運行スケジュールに従い、各エレベータの運行予測処理を行う。運行予測処理では、割当要求にどの乗りかごを仮割当するかに応じて複数の割当パターンが想定され、それぞれの割当パターンごとに将来の運行を予測する。この処理では、割当要求に割当可能な乗りかごの台数分の割当パターンが存在する。
【0015】
次に、割当パターンごとに割当要求への応答までに要する時間を見積もってサービス性能に関する評価値を算出し、割当要求と登録済みの呼びとに対し、全体的になるべく早く応答できる、つまり評価が高い最適な割当パターンを選ぶ。そして、選んだ割当パターンでの情報に基づいて、実際に割当を行う。
【0016】
各割当パターンを評価して割当かごを決定する方法の例としては、割当要求および登録済みの乗場呼びに対し、各呼びが登録されてから各呼びの出発階でかごが応答するまでの時間(待ち時間)を運行予測の結果から予測し、各呼びの待ち時間の和、あるいは各呼びの待ち時間の2乗和をそのパターンの評価値とし、評価値が最小となるパターンを選択して、そのパターンで割当要求を割当てていたかごを最終的な割り当てかごとする方法がある。
【0017】
その際、将来発生することを想定した呼び「仮想呼び」をあらかじめ数個程度用意し、これを用いて割当処理を行うことで、将来にわたり良好な群管理性能を維持することができる。仮想呼びとは、例えば、割当要求が発生してから15秒後に3階で発生することが想定されるUP方向(行先階は7階)の呼び、30秒後に7階で発生することが想定されるDOWN方向(行先階は3階)の呼び等である。
【0018】
仮想呼びを用いた割当処理では、割当要求および仮想呼びに、割当候補となるさまざまなかごを仮割当した、複数の割当パターンを想定する。想定した割当パターンそれぞれに対して運行予測を行い、割当要求および仮想呼びと、登録済みの呼びとを対象に、応答までに要する時間を評価し、全体として最良となるパターンを選択する。そして、最良となるパターンで、割当要求に割り当てているかごを、割当処理の結果として選定するかご(割当かご)に決定する。
【0019】
割当要求が発生して割当処理を行う際に生成される仮割当の割当パターンの数は、乗りかごの数をc、仮想呼びの個数をnとすると、c(n+1)通り存在する。例えば、3台のシングルデッキエレベータ(A号機エレベータ、B号機エレベータ、およびC号機エレベータ)を管理する群管理システムで割り当て要求が発生した際に、予め設定した仮想呼び2個を用いて割当パターンの情報を生成する場合、想定される割当パターンは、図5に示すように27通りとなる。ここで、各割当パターンは、1つの割当要求と、2つの仮想呼びとの3つの呼びに対し、それぞれ異なるエレベータを割り当てている。例えばパターンNO.20は、割当要求にB号機エレベータを割り当て、仮想呼び(1)にA号機を割り当て、仮想呼び(2)にC号機エレベータを割り当てたパターンを示している。
【0020】
これに対し、上かごおよび下かごを有するダブルデッキエレベータによる群管理制御システムを考えると、エレベータの台数は同じでも、乗りかごの数が2倍となり、割当パターンの数が非常に大きくなる。例えばエレベータ3台、仮想呼び2個の場合、c=6であり、n=2であるから、216通りの割当パターンが発生する。この数はシングルデッキエレベータの場合と比べて非常に多く、割当処理に要する処理が複雑となり、処理負荷が高くなり、限られた時間内に処理を正常に終えられない可能性がある。
【0021】
また、群管理制御システムで割当処理を行うときに、割当要求が発生した際にまずエレベータごとに各単体割当パターンのサービス性能に関する評価値を算出し、これを用いてシステム全体についてエレベータ群割当パターンごとの評価値を算出する分散処理を実行する場合がある。この場合、1台のエレベータに関して生成される単体割当パターンは、例えば、シングルデッキエレベータ3台、仮想呼び2個の場合には、図6のように8通りになる。
【0022】
これに対しダブルデッキエレベータ3台、仮想呼び2個の場合に1台のエレベータに関して生成される単体割当パターンは、仮想呼びに各エレベータの上かごおよび下かごの両方を割当可能と考えると、図7に示すように27通りとなり、シングルデッキエレベータの場合と比べて顕著に多くなる。そのため、生成された各ダブルデッキエレベータの単体割当パターンごとの評価値を用いてシステム全体のエレベータ群割当パターンごとの評価値を算出する際に、やはり処理が煩雑となり、処理負荷が高くなってしまう。
【0023】
一般的なエレベータの群管理制御システムにおいて、上述したように乗場呼びに対する割当処理が実行されることを前提に、以下に本発明のダブルデッキ群管理制御システムの実施形態について説明する。
【0024】
〈一実施形態による群管理制御装置を利用したダブルデッキ群管理制御システムの構成〉
本発明の一実施形態による群管理制御装置を利用したダブルデッキ群管理制御システムの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態によるダブルデッキ群管理制御システム1は、m階建ての建物内に設置された複数台のダブルデッキエレベータ(A号機エレベータ10A、B号機エレベータ10B、およびC号機エレベータ10C)と、各階の乗場に設置された乗場呼び登録装置20-1~20-mと、群管理制御装置30とを備える。
【0025】
A号機エレベータ10Aは、上かご11Aと、下かご12Aと、A号機制御装置13Aとを有する。A号機制御装置13Aは、上かご11Aおよび下かご12Aの位置情報、走行状況情報、戸開閉状況情報、荷重状態情報等を、エレベータ情報として群管理制御装置30に出力する。またA号機制御装置13Aは、群管理制御装置30からの割り当て指令によりA号機エレベータ10Aを呼びの登録階へ応答させ、該当する乗りかごを戸開させる。
【0026】
B号機エレベータ10BおよびC号機エレベータ10Cは、A号機エレベータ10Aと同様の構成を有するため、詳細な説明は省略する。
【0027】
乗場呼び登録装置20-1~20-mはそれぞれ、乗場の利用者が、行先階の方向を指定して乗りかご11A~11C、12A~12Cのいずれかを呼ぶ乗場呼びを登録するための装置である。なお、乗場呼び登録装置20-1~20-mは、行先階を入力する乗場行先階登録装置であっても構わない。
【0028】
群管理制御装置30は、A号機エレベータ10A、B号機エレベータ10B、およびC号機エレベータ10Cを群管理する。群管理制御装置30は、乗場呼び登録部31と、仮想呼び情報記憶部32と、エレベータ情報取得部33と、単体割当パターン生成部34と、単体割当パターン評価部35と、エレベータ群割当パターン生成部36と、エレベータ群割当パターン評価部37と、割当かご決定部38と、割当情報出力部39とを有する。
【0029】
乗場呼び登録部31は、乗場呼び登録装置20-1~20-mから取得した乗場呼びの情報を受け付けて登録する。仮想呼び情報記憶部32は、将来発生することを予測して生成された仮想呼び情報を記憶する。エレベータ情報取得部33は、各制御装置13A~13Cから出力されるエレベータ情報を取得する。
【0030】
単体割当パターン生成部34は、エレベータ10A、10B、10Cごとに、乗場呼び登録部31に登録された乗場呼びおよび仮想呼び情報記憶部32に記憶された仮想呼びに対する乗りかごの割当パターンを示す単体割当パターン情報を生成する。その際、単体割当パターン生成部34は、乗場呼びに対しては、上かごおよび下かごのいずれも割り当てない場合、上かごを割り当てる場合、および下かごを割り当てる場合の3通りを適用対象とする。また、単体割当パターン生成部34は、仮想呼びに対しては、上かごおよび下かごのいずれも割り当てない場合、および上かごを割り当てる場合の2通りを適用対象とするかまたは、上かごおよび下かごのいずれも割り当てない場合および下かごを割り当てる場合の2通りを適用対象とする。
【0031】
単体割当パターン評価部35は、単体割当パターン生成部34で生成された各エレベータ10A、10B、10Cそれぞれの単体割当パターンごとに、サービス性能に関する評価値を算出する。ここで算出した評価値を、単体評価値と呼ぶ。
【0032】
エレベータ群割当パターン生成部36は、乗場呼び登録部31に登録された乗場呼びおよび仮想呼び情報記憶部32に記憶された仮想呼びに対する、ダブルデッキエレベータ群(A号機エレベータ10A~C号機エレベータ10C)の乗りかごの割当パターンを示すエレベータ群割当パターン情報を生成する。その際、乗場呼びに対しては、ダブルデッキエレベータ群の上かごおよび下かごを割り当て対象とし、仮想呼びに対しては、ダブルデッキエレベータ群の上かごまたは下かごのいずれかのみを割り当て対象とする。
【0033】
エレベータ群割当パターン評価部37は、単体割当パターン評価部35で算出された単体評価値に基づいて、エレベータ群割当パターン生成部36で生成されたエレベータ群割当パターンごとに、サービス性能に関する評価値を算出する。ここで算出した評価値を、エレベータ群評価値と呼ぶ。
【0034】
割当かご決定部38は、エレベータ群割当パターン評価部37で算出されたエレベータ群評価値に基づいて最適なエレベータ群割当パターンを選択し、選択したエレベータ群割当パターンに基づいて割当要求に割り当てる乗りかごを決定する。
【0035】
割当情報出力部39は、割当かご決定部38で決定した割当かごの情報に基づいて、該当するエレベータへ割り当て指令を出力する。
【0036】
〈一実施形態によるダブルデッキ群管理制御システムの動作〉
本実施形態において、単体割当パターン生成部34は、乗場呼びに対してはエレベータ10A、10B、および10Cの上かごおよび下かごを割り当て対象とし、仮想呼びに対しては、エレベータ10A、10B、および10Cの下かごのみを割り当て対象として、単体割当パターン情報を生成するように設定されている。またエレベータ群割当パターン生成部36は、乗場呼びに対してはエレベータ10A、10B、および10Cの上かごおよび下かごを割り当て対象とし、仮想呼びに対しては、エレベータ10A、10B、および10Cの下かごのみを割り当て対象として、エレベータ群割当パターン情報を生成するように設定されている。
【0037】
ここで、割当要求は実際に発生した呼びであり、上かご、下かごのどちらに割当てるかにより、利用者が実際に乗り込むかごの想定が変わるので、単体割当パターン生成部34およびエレベータ群割当パターン生成部36は、割当要求に対して上かごを割り当てる場合、下かごを割り当てる場合の両方を想定して該当する割当パターンを生成する必要がある。
【0038】
また、単体割当パターン生成部34が単体割当パターンを生成する際、およびエレベータ群割当パターン生成部36がエレベータ群割当パターンを生成する際に、仮想呼びに対して割当対象とする乗りかごが下かごのみでよい理由について、以下に説明する。
【0039】
仮想呼びは、後述するように、「割当要求の発生からX秒後に発生し、3F発7F行」のように、発生のタイミングと出発階および行先階を指定して、あらかじめ設定しておく。仮想呼びは、割当処理の対象となる乗場呼びが登録された時点以降も、呼びが発生し続ける状況を想定した予測と評価を行うことで、仮想呼びを発生させた階やその近傍において、将来にわたり早く応答できる状況を保つようにすることを目的として設定する。例えば、建物を出入する際に使われる出発基準階と、建物上端部付近のサービス性能を改善したい場合は、出発基準階と上端部の階に仮想呼びを設定してもよい。
【0040】
仮想呼びを用いずに割当処理を行うと、割当要求が発生した時点で存在している呼びに対しては、よいサービスができても、後から発生する呼びを考慮した運行ができないので、将来発生する乗場呼びに対し、待ち時間が長くなってしまう可能性がある。仮想呼びは、そのような状況を避けるために用意されるものである。
【0041】
一般的に、基準階以外の階を出発階とする仮想呼び、例えば最上階付近で7F発3F行の仮想呼びを考えるとき、この仮想呼びは、7階に限定して呼びの発生を見込んでいるというよりも、上の方の階で呼びが発生する、という程度の、幅を持った位置を意図している。この仮想呼びに下かごを割り当てた場合、つまり下かごが7Fに応答し上かごが8Fに応答した状態と、上かごを割り当てた場合、つまり下かごが6Fに応答し上かごが7Fに応答した状態では、位置は1階床ずれているだけであり、互いのケースでエレベータの運行全体に与える違いは小さい。従って、この仮想呼びに対しては下かごを割り当てた場合のみについて該当する割当パターンを生成するみで十分である。
【0042】
このように考えると、仮想呼びは、下端部付近で発生させる場合、上端部付近で発生させる場合ともに、上下のうち一方のかご(本実施形態では下かご)のみ仮割当すれば、実用上は十分であることが分かる。
【0043】
なお、仮想呼びに対する割当対象を下かごにする場合は、仮想呼びは、その出発階および行先階を、最上階を避けて設定する必要がある。また、仮想呼びに対する割当対象を上かごにする場合は、仮想呼びは、その出発階および行先階を、最下階を避けて設定する必要がある。以上で、仮想呼びに対して割当対象とする乗りかごを下かごのみとする理由の説明を終了する。
【0044】
また本実施形態において、仮想呼び情報記憶部32には、割当要求が発生してから15秒後に3階で発生することが想定されるUP方向(行先階は7階)の仮想呼び(1)と、30秒後に7階で発生することが想定されるDOWN方向(行先階は3階)の仮想呼び(2)が記憶されている。仮想呼びの設定方法について、以下に説明する。
【0045】
仮想呼び情報記憶部32に記憶される仮想呼びは、出発階と行先階とのペアで設定することを基本とする。ダブルデッキ群管理制御では、仮想呼びを常に下かごに割り当てる想定で単体割当パターンまたはエレベータ群割当パターンを生成する場合、仮想呼びの出発階に対する下かごの応答と、仮想呼びの出発階の1つ上の階に対する上かごの応答とで、要する時間は共通となる。例えば、「出発階3階、行先階7階」の仮想呼びに下かごを割り当てる割当パターンは、仮想呼びの1つ上の階の「出発階4階、行先階8階」の呼びに上かごを割り当てる割当パターンと同じ働きをする。
【0046】
仮想呼びに下かごを割り当てた割当パターンのみを生成し、上かごを割り当てた割当パターンを生成しないのは、下かごを割り当てた場合と、上かごを割り当てた場合で階床差が1しかなく、運行予測の結果に大きな差が見込めないからである。
【0047】
一方で、特定の階のみ大きな需要を持つ場合等は、考慮を必要とする場合もある。ダブルデッキエレベータの出発基準階(建物への出入りを行う際に使用する階)は、下かごが応答する下方基準階と上かごが応答する上方基準階との連続した2階床を設定する。エレベータが出発基準階から1階床ずれて停車すると、余計な停車が1回増え、運行効率が低下するため、このような応答ができないようにサービスを制限している場合も多い。
【0048】
仮想呼びを下かごに割り当てて単体割当パターンまたはエレベータ群割当パターンを生成する場合は仮想呼びの出発階を下方基準階に設定し、上かごに割り当てて割当パターンを生成する場合は仮想呼びの出発階を上方基準階に設定することで、仮想呼び応答時に、下かごが下方基準階、上かごが上方基準階に位置した状態で応答するように予測でき、実態にあった運行を予測することができる。
【0049】
仮想呼びに下かごを割り当てて単体割当パターンまたはエレベータ群割当パターンを生成する場合は、仮想呼びの出発階、行先階とも下かごがサービスできる階とすることが基本である。ただし、上かごのみサービスするモードで群管理制御が行われるなど、下かごの利用が制限されている場合は、利用が多い上かごサービス階の1階床下方の階に仮想呼びを設定し、運行予測としては下かごに仮割当を行いながらも、上かごが利用の多い階で停車するように予測評価を行うこともできる。
【0050】
例えば、下方基準階が利用できない状況でも、上方基準階がサービスを続けていれば、出発階を下方基準階に設定した仮想呼びに下かごを割り当てた場合を想定して運行予測評価を行うことで、上かごが上方基準階に応答するのと同様の運行予測評価を行うことができる。以上で、仮想呼びの設定方法の説明を終了する。
【0051】
これらの情報が予め設定されている状態でダブルデッキ群管理制御システム1で実行される動作について、図2Aおよび図2Bのフローチャートを参照して説明する。
【0052】
建物内のいずれかの階床の乗場の乗場呼び登録装置、例えば1階乗場の乗場呼び登録装置20-1で利用者が乗場呼び登録操作を行うと、群管理制御装置30の乗場呼び登録部31に当該乗場呼び(割当要求)の情報が登録される(S1の「YES」)。割当要求の情報が登録されると、単体割当パターン生成部34が、ダブルデッキエレベータごとに、乗場呼び登録部31に登録された割当要求および仮想呼び情報記憶部32に記憶された仮想呼びに対する乗りかごの割当パターンを示す単体割当パターン情報を生成する(S2)。
【0053】
その際、単体割当パターン生成部34は、乗場呼びに対しては、各エレベータの上かごおよび下かごのいずれにも割り当てない場合、上かごを割り当てる場合、および下かごを割り当てる場合の3通りを適用対象とする。また、単体割当パターン生成部34は、仮想呼びに対しては、各エレベータの上かごおよび下かごのいずれも割り当てない場合、および下かごを割り当てる場合の2通りを適用対象とする。
【0054】
つまり、単体割当パターン生成部34は、上述したように乗場呼びに対しては各エレベータの上かごおよび下かごを割り当て対象とし、仮想呼びに対しては各エレベータの下かごのみを割り当て対象として単体割当パターン情報を生成する。
【0055】
生成された単体割当パターン情報の例を、図3に示す。ここで生成される単体割当パターンは、仮想呼びがn個であれば3×2n個が生成されるため、図3の単体割当パターン情報では、仮想呼びが2個で12通りの単体割当パターンが生成されている。このように単体割当パターンを生成することで、2個の仮想呼びに各エレベータの上かごおよび下かごの両方を割当可能として生成した図7の単体割当パターン(27通り)よりもパターン数が顕著に少なくなる。
【0056】
次に、単体割当パターン評価部35が、単体割当パターン生成部34で生成された各ダブルデッキエレベータの単体割当パターンごとに、サービス性能に関する評価値を算出する。
【0057】
単体割当パターン評価部35はまず、評価値算出対象としてA号機エレベータ10Aに関して生成された単体割当パターン情報のパターンNo.1、つまり割当要求、仮想呼び(1)、および仮想呼び(2)のすべてにA号機エレベータ10Aを割当ないパターンについて、処理を開始する。
【0058】
単体割当パターン評価部35は、当該単体割当パターンにおいて、割当要求に応答不可能な乗りかご(割当不可能な乗りかご)が割り当てられているか否かを判断する(S3)。ここでは、割当要求に応答不可能な乗りかごが割当られていないと判断して(S3の「NO」)ステップS4に移行する。ステップS4ではさらに、単体割当パターン評価部35は、当該単体割当パターンにおいて、いずれかの仮想呼びに応答不可能な乗りかご(割当不可能な乗りかご)が割り当てられており、且つ当該仮想呼びを1階上方にずらしても上かごが応答不可能であるか、つまり該当するA号機エレベータ10Aの上かごが当該仮想呼びの階床の1階上方階で戸開できない状態であるか否かを判断する(S4)。
【0059】
ここでは、ステップS4の条件には該当しないと判断して(S4の「NO」)、単体割当パターン評価部35は、当該単体割当パターンに従ってA号機エレベータ10Aの運行予測を行い、その結果から各呼びの発生時刻から出発階応答時刻(待ち時間)などを算出し、サービス性能に関する単体評価値を算出して記憶する(S5)。
【0060】
ステップS3またはステップS4において、条件に該当すると判断した場合(S3の「YES」またはS4の「YES」)には、単体割当パターン評価部35は、当該単体割当パターンが単体評価値の算出対象外として記憶する(S6)。このとき、ステップS4において、仮想呼びのうち、1つでも条件に該当する仮想呼びを含む単体割当パターンは、単体評価値の算出対象外とする。
【0061】
単体割当パターン評価部35は、ステップS3~S6の処理を、エレベータごと(ループ(1))、およびその単体割当パターン情報の単体割当パターンごと(ループ(2))に、実行する。
【0062】
次に、エレベータ群割当パターン生成部36が、乗場呼び登録部31に登録された乗場呼びおよび仮想呼び情報記憶部32に記憶された仮想呼びに対する、ダブルデッキエレベータ群(A号機エレベータ10A~C号機エレベータ10C)の乗りかごの割当パターンを示すエレベータ群割当パターン情報を生成する(S7)。
【0063】
その際、エレベータ群割当パターン生成部36は、乗場呼びに対しては、ダブルデッキエレベータ群の上かごおよび下かごを割り当て対象とし、仮想呼びに対しては、ダブルデッキエレベータ群の下かごのいずれかのみを割り当て対象とする。
【0064】
生成されたエレベータ群割当パターン情報の例を、図4Aおよび図4Bに示す。図4Aおよび図4Bにおいて、「A号機単体Pt」は、A号機エレベータ10Aについて採用する単体割当パターンNO.を示し、「B号機単体Pt」は、B号機エレベータ10Bについて採用する単体割当パターンNO.を示し、「C号機単体Pt」は、C号機エレベータ10Cについて採用する単体割当パターンNO.を示す。
【0065】
ここで生成されるエレベータ群割当パターンは、ダブルデッキエレベータがe台(乗りかごが2×e台)で、仮想呼びがn個であれば、2×e(n+1)個が生成されるため、図4Aおよび図4Bのエレベータ群割パターン情報では、ダブルデッキエレベータが3台(乗りかご6台)、仮想呼びが2個で、54通りのエレベータ群割当パターンが生成されている。このようにエレベータ群割当パターンを生成することで、ダブルデッキエレベータが3台で仮想呼びが2個の場合に、各エレベータの上かごおよび下かごの両方を割り当て可能として生成した場合(216通り)よりもパターン数が顕著に少なくなる。
【0066】
次に、エレベータ群割当パターン評価部37が、エレベータ群割当パターン生成部36で生成されたエレベータ群割当パターンごとに、サービス性能に関する評価値を算出する。エレベータ群割当パターン評価部37はまず、評価値算出対象としてエレベータ群割パターン情報のパターンNo.1について、処理を開始する。
【0067】
エレベータ群割当パターン評価部37は、当該エレベータ群割当パターンNo.1に該当する単体割当パターンとして、A号機エレベータ10Aの単体割当パターンがNo.11であり、B号機エレベータ10Bの単体割当パターンがNo.1であり、C号機エレベータ10Cの単体割当パターンがNo.1であることを特定する。そしてエレベータ群割当パターン評価部37は、特定したそれぞれの単体割当パターンについて、ステップS5で記憶された評価値を取得する(S8)。
【0068】
ここでエレベータ群割当パターン評価部37は、当該エレベータ群割当パターンNO.1に該当する単体割当パターンの中に、ステップS6で単体評価値の算出対象外と判断された単体割当パターンが含まれているか否かを判断する(S9)。ここでは、該当する単体割当パターンが含まれていないと判断して(S9の「NO」)ステップS10に移行する。ステップS10では、エレベータ群割当パターン評価部37は、当該エレベータ群割当パターンNO.1のサービス性能に関するエレベータ群評価値を算出して記憶する(S10)。
【0069】
このとき、エレベータ群割当パターン評価部37は、該当する各単体割当パターンの単体評価値の和を求めることで、該当するエレベータ群評価値を算出する。このようにエレベータ群評価値を算出することで、エレベータ群割当パターンそれぞれに対して改めて運行予測を行うことなく、簡易な処理でエレベータ群評価値を算出することができる。
【0070】
ステップS9において、単体評価値の算出対象外と判断された単体割当パターンが含まれていると判断した場合(S9の「YES」)には、エレベータ群割当パターン評価部37は、当該エレベータ群割当パターンNo.1が実施不可能であり、エレベータ群評価値の算出対象外であると判断する(S11)。
【0071】
エレベータ群割当パターン評価部37は、ステップS9~S11の処理を、エレベータ群割当パターンごと(ループ(3))に、実行する。
【0072】
これにより例えば、図4Bに示すように、エレベータ群割当パターンNo.44に該当する単体割当パターンとして、A号機エレベータ10Aの単体割当パターンがNo.3であり、B号機エレベータ10Bの単体割当パターンがNo.4であり、C号機エレベータ10Cの単体割当パターンがNo.7であることを特定し、これらの単体評価値の和を求めることで、当該エレベータ群割当パターンNo.44のエレベータ群評価値を算出する。
【0073】
次に、割当かご決定部38が、エレベータ群割当パターン評価部37で算出されたエレベータ群評価値から最適なエレベータ群割当パターンを選択し、選択したエレベータ群割当パターンに基づいて該当する乗場呼びに割り当てる乗りかごを決定する(S12)。
【0074】
そして、割当情報出力部39が、割当かご決定部38で決定した割当要求への割当かごの情報に基づいて、該当するエレベータの制御装置へ割り当て指令を出力する(S13)。各制御装置13A~13Cは、取得した割当指令に基づいて該当する乗場呼びに応答するように、各エレベータ10A~10C内の機器を制御する。
【0075】
以上の実施形態によれば、ダブルデッキエレベータの群管理制御装置は、低い処理負荷で高いサービス性能を有する群管理制御を実行することができる。
【0076】
上述した実施形態では、単体割当パターン生成部34およびエレベータ群割当パターン生成部36において、仮想呼びに対してはエレベータ10A~10Cの下かごのみを割当対象とした場合について説明したが、上かごのみを割当対象としてそれぞれ該当する割当パターンの情報を生成するようにしてもよい。
【0077】
また、上述した実施形態において、仮想呼び情報記憶部32に記憶される仮想呼びとして、曜日や時間帯ごとに異なるものを設定してもよい。また、仮想呼びの設定がない曜日や時間帯があってもよい。また仮想呼びは、群管理制御装置30が予め設定されたプログラムを実行することにより、所定のルール、例えば下かごが応答する下方基準階から最上階の1つ下の階までの範囲で設定するルール等に基づいて自動生成して仮想呼び情報記憶部32に設定してもよい。
【0078】
また、上述した実施形態においては、単体割当パターンの生成、単体評価値の算出を群管理制御装置30が実行する場合について説明したが、これらの処理を各エレベータの制御装置で実行して、取得した情報を群管理制御装置に送信するようにしてもよい。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1…ダブルデッキ群管理制御システム、10A…A号機エレベータ、10B…B号機エレベータ、10C…C号機エレベータ、11A,11B,11C…上かご、12A,12B,12C…下かご、13A,13B,13C…制御装置、20-1~20-m…乗場呼び登録装置、30…群管理制御装置、31…乗場呼び登録部、32…仮想呼び情報記憶部、33…エレベータ情報取得部、34…単体割当パターン生成部、35…単体割当パターン評価部、36…エレベータ群割当パターン生成部、37…エレベータ群割当パターン評価部、38…割当かご決定部、39…割当情報出力部
【要約】
【課題】 低い処理負荷で高いサービス性能を有する群管理制御を実行することが可能な、ダブルデッキエレベータの群管理制御装置を提供する。
【解決手段】 実施形態によればダブルデッキエレベータの群管理制御装置は、発生を予測して生成された仮想呼び情報を記憶する仮想呼び情報記憶部と、乗場呼びに対してはダブルデッキエレベータの上かごおよび下かごを割り当て対象とし、仮想呼びに対しては上かごまたは下かごのいずれかのみを割り当て対象として、乗場呼びおよび仮想呼びに対する複数台のダブルデッキエレベータ群の乗りかごの割当パターンを示すエレベータ群割当パターンの情報を生成するエレベータ群割当パターン生成部と、エレベータ群割当パターンごとに評価値を算出するエレベータ群割当パターン評価部と、評価値から最適なエレベータ群割当パターンを選択して乗場呼びに割り当てる乗りかごを決定する割当かご決定部とを備える。
【選択図】図1
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7