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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】防護ネット
(51)【国際特許分類】
   E01F 7/04 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
E01F7/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020518044
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2018076388
(87)【国際公開番号】W WO2019072586
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】102017123816.6
(32)【優先日】2017-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510301231
【氏名又は名称】ジェオブルッグ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ゼンハウザー、マルセル
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-322616(JP,A)
【文献】特開2014-001584(JP,A)
【文献】特開平10-280332(JP,A)
【文献】特開2009-102855(JP,A)
【文献】国際公開第03/091502(WO,A1)
【文献】特開平06-173221(JP,A)
【文献】特開2013-217020(JP,A)
【文献】特開2007-146626(JP,A)
【文献】特開平10-088527(JP,A)
【文献】特開2005-113424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的衝撃物をキャッチするための防護ネット
列状のネット要素(10a~f)のうちの少なくとも3つおきのネット要素(10a~f)を通して案内される少なくとも1本のガイドロープ(64a~f、84a~f)と、
を備え、
前記少なくとも1本のガイドロープ(64a~f、84a~f)は、前記防護ネットの少なくとも1つの外縁(66a~f、110a~f)上に、前記防護ネットの主延在方向(14a~f)に平行に延びており、
前記防護ネットは、ネット要素(10a~f)を相互に係合することにより形成され、ネット要素(10a~f)は、防護ネットの分離可能なベース要素を形成し、それ自体閉じたワイヤ構造として実現されており
前記防護ネットの主延在方向(14a~f)に平行な前記防護ネットの最大全延在長さ(12a~f)が、ネット要素(10a~f)のうちの少なくとも1つの最外列(16a~f)を含む前記防護ネットの外部領域(18a~f)において、前記外部領域(18a~f)とは異なる前記防護ネットの内部領域(22a~f)における前記主延在方向(14a~f)に平行な前記防護ネットの最小全延在長さ(20a~f)よりも、少なくとも前記防護ネットの前記ネット要素(10a~f)の平均径の分だけ大きく、
前記防護ネットの前記主延在方向(14a~f)に平行な方向に、前記内部領域(22a~f)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34a~f、36a~f、42a~f、44a~f)が少なくとも複数のネット要素(10a~f)を備え、
少なくとも複数のネット要素(10a~f)は、防護ネットが吊り下がる防護ネットの少なくとも1つの外縁(66a、110a)に追加の緩衝路を生み出すため、防護ネットが荷重を受けたときに折れるように設けられている、ロープネット構造物
【請求項2】
前記防護ネットの前記主延在方向(14a~f)に平行な前記防護ネットの最大全延在長さ(70a~f)が、前記外部領域(18a~f)とは異なる前記防護ネットの別の外部領域(26a~f)において、前記外部領域(18a~f)とも前記別の外部領域(26a~f)とも異なる前記防護ネットの前記内部領域(22a~f)における前記主延在方向(14a~f)に平行な前記防護ネットの前記最小全延在長さ(20a~f)よりも大きい、請求項1に記載のロープネット構造物
【請求項3】
前記ネット要素(10a~f)が、前記防護ネットの主延長面(28a~f)に対して少なくとも垂直である鏡面(30a~f、32a~f)に対して鏡面対称状に配列される、請求項1又は2に記載のロープネット構造物
【請求項4】
前記防護ネットの主延在方向(14a~f)に平行な方向に、前記内部領域(22a~f)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34a~f、36a~f、42a~f、44a~f)が、前記防護ネットの前記主延在方向(14a~f)に列状に並んで配列されているある数のネット要素(10a~f)を備え、その数が、前記防護ネットの前記主延在方向(14a~f)に対して垂直に並んで配列されているネット要素(10a~f)の全列の最大数の少なくとも20分の1に対応している、請求項1~3のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項5】
前記防護ネットの主延在方向(14a~f)に平行な方向に、前記内部領域(22a~f)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34a~f、36a~f、42a~f、44a~f)が、前記防護ネットの前記主延在方向(14a~f)に対して垂直に列状に並んで配列されているある数のネット要素(10a~f)を備え、その数が、前記防護ネットの前記主延在方向(14a~f)に対して垂直に並んで配列されているネット要素(10a~f)の全列の最大数の少なくとも10分の1に対応している、請求項1~4のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項6】
前記防護ネットの主延在方向(14a~f)に平行な方向に、前記内部領域(22a~f)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34a~f、36a~f、42a~f、44a~f)が、少なくとも三角形配列(46a~f)のネット要素(10a~f)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項7】
前記防護ネットの主延在方向(14f)に平行な方向に、前記内部領域(22f)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34f、36f、42f、44f)の少なくとも1つのネット要素(10f)が、前記部分領域(34f、36f、42f、44f)の外側のネット要素(10f)の平均外周から少なくとも10%逸脱する外周(72f)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項8】
前記防護ネットの主延在方向(14a~f)に平行な方向に、前記内部領域(22a~f)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34a~f、36a~f、42a~f、44a~f)の少なくとも1つのネット要素(10a~f)が、試行試験において、前記部分領域(34a~f、36a~f、42a~f、44a~f)の外側のネット要素(10a~f)の平均引き裂き抵抗から少なくとも10%逸脱する引き裂き抵抗を有し、
前記試行試験では、試験用ネット要素に対して適切な試験装置によって人工荷重がかけられ、前記試験用ネット要素は、前記部分領域(34a~f、36a~f、42a~f、44a~f)に配列されるネット要素(10a~f)と同一である、請求項1~7のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項9】
少なくとも1つのネット要素(10a~f)が、所定の破断点(40a~f)を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項10】
前記防護ネットの主延在方向(14e)に平行な方向に、前記内部領域(22e)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34e、36e、42e、44e)の少なくとも1つのネット要素(10e)が、少なくとも、前記部分領域(34e、36e、42e、44e)の外側の前記ネット要素(10e)の材料組成(114’e)とは少なくとも0.1wt%異なる材料組成(114e)を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項11】
前記防護ネットの主延在方向(14d)に平行な方向に、前記内部領域(22d)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34d、36d、42d、44d)の少なくとも1つのネット要素(10d)が、少なくとも1つのワイヤ巻線(48d)を備え、そのワイヤ径(24d)は、前記部分領域(34d、36d、42d、44d)の外側のネット要素(10d)のワイヤ巻線(48d)の平均ワイヤ径よりも少なくとも10%大きい、請求項1~10のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項12】
前記防護ネットの主延在方向(14c)に平行な方向に、前記内部領域(22c)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34c、36c、42c、44c)の少なくとも1つのネット要素(10c)が、少なくとも、前記部分領域(34c、36c、42c、44c)の外側のネット要素(10c)のワイヤ巻線の平均数から少なくとも10%逸脱する、ある数のワイヤ巻線(48c)を備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項13】
前記防護ネットの主延在方向(14b)に平行な方向に、前記内部領域(22b)よりも張り出している、前記防護ネットの少なくとも1つの部分領域(34b、36b、42b、44b)の少なくとも1つのネット要素(10b)が、少なくとも1つのエネルギー吸収材(54b)を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項14】
前記エネルギー吸収材(54b)が、前記少なくとも1つのネット要素(10b)と一体的に実現される、請求項13に記載のロープネット構造物
【請求項15】
少なくとも1つのネット要素(10a~f)が、隣接ネット要素(10a~f)に対して確実に3つの連結領域(56a~f、58a~f、60a~f)を実現する、請求項1~14のいずれか一項に記載のロープネット構造物
【請求項16】
前記ガイドロープ(64a~f、84a~f)が、少なくとも1本のサポートロープ(68a~f)として実現される、請求項1~15に記載のロープネット構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部(プリアンブル)に記載の防護ネットに関する。
【背景技術】
【0002】
岩石をキャッチするための防護ネットは既に提案されており、該防護ネットは、少なくとも大部分は、ネット要素を相互に係合することにより形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、特に、安全性を高めた一般的な防護ネットを提供することにある。この目的は、請求項1の特徴部分によって本発明により達成されるが、本発明の有利な設計およびさらなる展開は、従属項に見出すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、特に重荷重、好ましくは動的衝撃物、特に岩石をキャッチするための防護ネットから生じ、該防護ネットは、少なくとも大部分は、ネット要素を相互に係合することにより形成される。
【0005】
防護ネットの主延在方向に平行な防護ネットの最大全延在長さが、特にネット要素のうちの少なくとも1つの最外列を含む防護ネットの外部領域において、外部領域とは異なる防護ネットの内部領域における主延在方向に平行な防護ネットの最小全延在長さよりも特に実質的に大きいことが提案される。その結果、有利なことに、特に防護ネットに動的衝撃物をキャッチすることに関して、安全性の向上を可能にすることができる。有利な態様において、動的衝撃物を確実に捕捉できるキャッチエリアは、特に動的衝撃物の衝撃の後で、キャッチエリアを有利に大きくしておけることによって、拡大できる。有利な態様において、特に衝撃前にキャッチエリアが覆っていた領域において、動的衝撃物の衝撃による開位置および穴または開位置もしくは穴の形成を避けることができ、その結果として、有利なことに、衝撃後に起きるさらなる衝撃がある場合に、防護ネットを抜けて落下するさらなる動的衝撃物を防止できる。有利なことに、防護ネットが吊り下がる少なくとも1つの外縁に、追加のネット要素(特に荷重を受けたときに折れる)によって追加の緩衝路を生み出すことができ、その結果として、有利なことに、よりよい形で衝撃を和らげることができる。加えて、有利なことに、防護ネットの縁付近で、特に追加の緩衝路によって動的衝撃物の衝撃を吸収でき、特にそれによって防護ネットの吊り下げに対して起きうる損傷を軽減する。さらに、取り付けた状態の本発明による防護ネットによって、防護ネットを支える支持要素のあたりにネット要素を簡単に案内できるようになる。加えて、特に防護ネットと協働する力を、有利なことに、多数のネット要素に分散させられることによって、加えて、特に有利な、特に均一な、力の分散を達成できることによって、有利なことに、安定性も改善でき、その結果として、特に、少なくとも1つの動的衝撃物をキャッチするための防護ネットの少なくとも1つの捕捉特性、例えば、変形性、伸展性、跳ね返り特性、突き抜け強度等を最適化できる。加えて、本発明による防護ネットは、特に、単純化された組み立てを可能にし、その結果として、有利なことに、材料および組み立てまたは材料もしくは組み立てのコストおよび支出を削減できる。
【0006】
「動的衝撃物」とは、特に、重力ポテンシャルの影響で動く質量として理解されるべきである。特に、動的衝撃物は、少なくとも1つの岩石、好ましくは礫(rubble)および凍結水の両方または一方を含む。この代わりとして、またはそれに追加して、動的衝撃物は、(例えば交通手段および建設機械の両方もしくは一方の)マシンもしくはマシン部品、ならびに/または有機体もしくは有機体の一部(例えば、木の幹および枝の両方もしくは一方)も含むことができる。特に、「重荷重」とは、1kgより重い、好ましくは10kgより重い、好適な態様では100kgより重い、特に好適な態様では1000kgより重い。「ネット要素」とは、特に、隣接ベース要素と相互に係合することによって、防護ネットを実現する防護ネットの、特に分離可能な、ベース要素として理解されるべきである。ネット要素は、好ましくは、それ自体閉じたフィラメント状構造、特にワイヤ構造として実現される。この代わりとして、ネット要素は、メッシュ網の少なくとも1つの螺旋体として実現できる。構造、特にワイヤ構造は、好ましくは非荷重状態で実質的に一平面上にある。フィラメント状構造、特にワイヤ構造、好ましくはワイヤ構造のワイヤは、好ましくは高強度鋼線である。例えば、高強度鋼は、ばね鋼および/またはワイヤスチールおよび/またはワイヤロープに適したスチールとすることができる。特に、ワイヤは、少なくとも800Nmm-2、有利なことには少なくとも1000Nmm-2、特に有利なことには少なくとも1200Nmm-2、好ましくは少なくとも1400Nmm-2、特に好適な態様では少なくとも1600Nmm-2の引張強さを備え、特に約1770Nmm-2の引張強さまたは約1960Nmm-2の引張強さを備える。ワイヤがさらに高い引張強さ、例えば、少なくとも2000Nmm-2または少なくとも2200Nmm-2またはさらに少なくとも2400Nmm-2の引張強さを備えることも考えられる。結果として、高い耐荷重性、特にメッシュに対する横方向の高引張強さおよび高度な剛性または高引張強さもしくは高度な剛性を達成できる。加えて、有利な曲げ特性も達成できる。ネット要素は、特に、少なくとも部分的に円形、菱形ならびに/または正多角形および/もしくは非正多角形の形を提供する非正則形または好ましくは正則形を備えることができる。特に、防護ネットのさまざまなネット要素は、さまざまな形を備えることができるが、好適な態様では、ネット要素は、実質的に同一の形を備える。好適な態様では、ネット要素は、リング、特にワイヤリングとして実現される。特に、ネット要素は、少なくとも部分的にリング網のネット部材を形成する。ネット部材は、特に、少なくとも1つのネット要素束を含むか、または好ましくは確実に1つの個別のネット要素を含む。ネット要素束は、特に、防護ネットにおいて実質的に同心状に重ねるために提供される複数のネット要素として理解されるべきである。ネット要素は、好ましくは3cm、好適な態様では少なくとも5cm、特に好適な態様では40cm未満の少なくとも1つの径を備える。「大部分は」という用語は、特にこれに関連して、特に少なくとも80%まで、好ましくは少なくとも90%まで、好適な態様では少なくとも95%まで、特に好適な態様では完全に、として理解されるべきである。「全延在長さ」とは、特に、防護ネットの対向に位置付けられる2つの最外縁間の延在長さとして理解されるべきである。物体の「主延在方向」とは、この場合、特に、物体をかろうじて完全に取り囲む最小の幾何学的直方体の最長の辺に平行に延びる方向として理解されるべきである。特に、任意のタイプの延在長さは、防護ネットを完全に平らな形で、特に、内部応力が全くなく広げた状態で測定されるように理解されるべきである。「ネット要素の最外列」とは、特に、少なくとも1つの共通辺に隣接ネット要素が全くないネット要素の、直線に沿って延びている列として理解されるべきである。外部領域は、特に、防護ネットの主延在方向に、少なくとも防護ネットの範囲全体にわたって、特に、特に最大全延在長さにわたって延びている。外部領域は、好ましくは、(好ましくは主延在方向に平行な)直線に沿って延びている少なくとも複数の、特に完全な、列のネット要素を含み、好適な態様では、(好ましくは主延在方向に平行な)直線に沿って延びている少なくとも2つの、特に完全な、列のネット要素を含み、特に好適な態様では、(好ましくは主延在方向に平行な)直線に沿って延びている少なくとも1つの、特に完全な、列のネット要素を含む。外部領域は、好ましくは、少なくとも1つの最外列のネット要素を含む。内部領域は、特に防護ネットの主延在方向に、少なくとも範囲全体にわたって、特に、防護ネットの特に最小全延在長さにわたって延びている。内部領域は、好ましくは、(好ましくは主延在方向に平行な)直線に沿って延びている少なくとも複数の、特に完全な、列のネット要素を含み、好適な態様では、(好ましくは主延在方向に平行な)直線に沿って延びている少なくとも2つの、特に完全な、列のネット要素を含み、特に好適な態様では、(好ましくは主延在方向に平行な)直線に沿って延びている少なくとも1つの、特に完全な、列のネット要素を含む。特に、内部領域及び外部領域は互いに重なり合わない。
【0007】
防護ネットの主延在方向に平行な防護ネットの最大全延在長さが、外部領域において、外部領域とは異なる内部領域における主延在方向に平行な防護ネットの最小全延在長さよりも、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、好適な態様では少なくとも3つのネット要素の平均径の分だけ大きいこと、および/または、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、好適な態様では少なくとも15%、特に好適な態様では少なくとも20%大きくすること、の両方または一方が追加で提案される。特に、特に防護ネットに動的衝撃物をキャッチすることに関し、防護ネットのこのような設計の結果として、安全性の向上を有利な態様で可能にすることができる。有利な態様において、動的衝撃物を確実に捕捉できるキャッチエリアは、特に動的物体の衝撃後にキャッチエリアを有利に大きくしておけるようにすることによって、サイズを大きくすることができる。有利なことに、ネット要素が吊り下がる少なくとも1つの外縁に、追加のネット要素(特に荷重を受けたときに折れる)によって追加の緩衝路を生み出すことができ、その結果として、有利なことに、よりよい形で衝撃を和らげることができる。「平均径」とは、特に、防護ネットの実質的に平面状に広がる方向から見たときのネット要素の平均的な直径として理解されるべきである。特に、防護ネットのうちの無作為に決定した複数の(好適な態様では全部の)ネット要素を使用して、平均径を計算する。個々のネット要素の径は、好ましくは、防護ネットの主延在方向に平行な径および防護ネットの主延在方向に垂直な径の平均、または、防護ネットの主延在方向に平行な径もしくは防護ネットの主延在方向に垂直な径の平均から計算する。ネット要素の「径」とは、好ましくは、ネット要素を完全に、特に防護ネットの主延在方向に含む最小の円の径として理解されるべきである。特に、広げられた防護ネットの形は、少なくとも1つの角の分だけ長方形の形から逸脱する。
【0008】
防護ネットの主延在方向に平行な防護ネットの最大全延在長さが、外部領域とは異なるとともに特にネット要素の最外列とは異なるネット要素の少なくとも1つの別の最外列を特に含む防護ネットの別の外部領域において、外部領域とも別の外部領域とも異なる防護ネットの内部領域における主延在方向に平行な防護ネットの最小全延在長さよりも大きいことが追加で提案される。特に、防護ネットのこのような設計の結果として、有利なことに、特に防護ネットに動的衝撃物をキャッチすることに関して、安全性の向上を可能にすることができる。有利な態様において、動的衝撃物を確実に捕捉できるキャッチエリアは、拡大できる。有利なことに、ネット要素が吊り下がる少なくとも1つの外縁に、追加のネット要素(特に荷重を受けたときに折れる)によって追加の緩衝路を生み出すことができ、その結果として、有利なことに、特に動的衝撃物の衝撃後にキャッチエリアを有利に大きくしておけることによって、よりよい形で衝撃を和らげることができる。別の外部領域は、特に、防護ネットの主延在方向に、少なくとも範囲全体にわたって、特に防護ネットの特に最大全延在長さにわたって延びている。別の外部領域は、好ましくは、(好ましくは主延在方向に平行な)直線に沿って延びている少なくとも複数の、特に完全な、列のネット要素を含み、好適な態様では、(好ましくは主延在方向に平行な)直線に沿って延びている少なくとも2つの、特に完全な、列のネット要素を含み、特に好適な態様では、(好ましくは主延在方向に平行な)直線に沿って延びている少なくとも1つの、特に完全な、列のネット要素を含む。別の外部領域は、好ましくは、少なくとも1つの最外列のネット要素を含む。外部領域、別の外部領域および/または内部領域は、好ましくは、互いに対する重なりがない。別の外部領域は、好ましくは、防護ネットの主延在方向に対して垂直な方向に外部領域に含まれる外縁に対向して配置される、防護ネットの別の外縁を含む。特に、広げられた防護ネットの形は、特に少なくとも2つの角では、長方形の形から逸脱している。外部領域の、別の外部領域の、および/または内部領域の主延在方向は、好ましくは、防護ネットに平行な平面に、防護ネットの主延在方向に対して垂直に、および/または好適な態様では、平行に延びている。外部領域、別の外部領域および/または内部領域は、好ましくは、特に主延在方向に対して少なくとも部分的に傾斜するとともに少なくとも部分的に垂直に延びているかまたは少なくとも部分的に傾斜するかもしくは少なくとも部分的に垂直に延びている、防護ネットの少なくとも1つの側縁、好適な態様では、少なくとも2つの側縁を含む。
【0009】
ネット要素が、防護ネットの主延長面に対して少なくとも実質的に垂直である鏡面と、防護ネットの主延在方向に少なくとも実質的に平行である鏡面と、の両方または一方に対して、鏡面対称状に配列されることも提案される。特に、防護ネットのこのような設計の結果として、有利なことに、特に防護ネットに動的衝撃物をキャッチすることに関して、安全性の向上を可能にすることができる。有利な態様において、動的衝撃物を確実に捕捉できるキャッチエリアは、特に、キャッチエリアを動的物体の衝撃後に有利に大きくしておけることによって、拡大できる。有利なことに、ネット要素が吊り下がる少なくとも1つの外縁に、追加のネット要素(特に荷重を受けたときに折れる)によって追加の緩衝路を生み出すことができ、その結果として、有利なことに、よりよい形で衝撃を和らげることができる。特に、広げられた防護ネットの形は、少なくとも4つの角の分だけ長方形の形から逸脱する。構造ユニットの「主延在方向」とは、特に、その構造ユニットをかろうじて完全に取り囲む最小の仮想直方体の最大の側面に平行であり、かつ特に、直方体の中心点を通る平面として理解されることとする。
【0010】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外部領域が、少なくとも4つ、好ましくは少なくとも6つ、好適な態様では少なくとも9つ、特に好適な態様では少なくとも12のネット要素を備えることが追加で提案される。特に、防護ネットのこのような設計の結果として、有利なことに、特に防護ネットに動的衝撃物をキャッチすることに関して、安全性の向上を可能にすることができる。有利な態様において、動的衝撃物を確実に捕捉できるキャッチエリアは、特にキャッチエリアを動的物体の衝撃後に有利に大きくしておけることによって、拡大できる。「防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域」という用語は、特に、外部領域として理解されるべきである。防護ネットの「外部領域」とは、特に、防護ネットによって完全に覆われる、防護ネットの、最大サイズの、長方形領域への重なり部分を形成する、防護ネットの少なくとも1つの部分領域として理解されるべきである。外部領域は、好ましくは、主延在方向に防護ネットの最小延在長さよりも張り出す、少なくとも1つのネット要素、好適な態様では複数のネット要素を含む。
【0011】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外部領域が、防護ネットの主延在方向に列状に並んで配列されているある数のネット要素を備え、これは、防護ネットの主延在方向に対して垂直に並んで配列されているネット要素の全列の最大数の、少なくとも20分の1、好ましくは少なくとも15分の1、好適な態様では少なくとも10分の1、特に好適な態様では少なくとも5分の1に対応することが追加で提案される。特に、防護ネットのこのような設計の結果として、有利なことに、特に防護ネットに動的衝撃物をキャッチすることに関して、安全性の向上を可能にすることができる。有利な態様において、動的衝撃物を確実に捕捉できるキャッチエリアは、特にキャッチエリアを動的衝撃物の衝撃後に有利に大きくしておけることによって、拡大できる。
【0012】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外部領域が、防護ネットの主延在方向に対して垂直に列状に並んで配列されているある数のネット要素を備え、これは、防護ネットの主延在方向に対して垂直に並んで配列されているネット要素の全列の最大数の少なくとも10分の1、好ましくは少なくとも8分の1、有利には少なくとも6分の1、好適な態様では少なくとも4分の1、特に好適な態様では少なくとも2分の1に対応することが追加で提案される。特に、防護ネットのこのような設計の結果として、有利なことに、特に防護ネットに動的衝撃物をキャッチすることに関して、安全性の向上を可能にすることができる。有利な態様において、動的衝撃物を確実に捕捉できるキャッチエリアは、特にキャッチエリアを動的衝撃物の衝撃後に有利に大きくしておけることによって、拡大できる。防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの部分領域において、防護ネットの主延在方向に対して垂直に列状に並んで配列されているネット要素の数は、好ましくは、部分領域で防護ネットの主延在方向に平行に列状に並んで配列されているネット要素の数の少なくとも半分、好ましくは少なくとも同数、好適な態様では少なくとも2倍に対応する。
【0013】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外部領域が、少なくとも実質的に三角形配列のネット要素を備えることも提案される。特に、防護ネットのこのような設計の結果として、有利なことに、特に防護ネットに動的衝撃物をキャッチすることに関して、安全性の向上を可能にすることができる。有利な態様において、動的衝撃物を確実に捕捉できるキャッチエリアは、特にキャッチエリアを動的衝撃物の衝撃後に有利に大きくしておけることによって、拡大できる。三角形配列は、好ましくは、防護ネットの主延在方向に45°未満の角度で先細になる、実質的に三角形の形を備える。この代わりとして、三角形の形は、実質的に二等辺三角形の形、および、防護ネットの主延在方向に45°よりも大きい角度で収束する三角形の形、の両方または一方にすることもできる。
【0014】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外部領域、のうちの少なくとも1つのネット要素が、部分領域の外側のネット要素の平均外周から実質的に逸脱する外周を備えることがさらに提案される。特に、結果として、荷重下にあるときに有利な防護ネットにおける力の分散を可能にすることができ、その結果として、特に、少なくとも1つの動的衝撃物をキャッチするための防護ネットの少なくとも1つの捕捉特性を最適化できる。加えて、有利なことに、安定性も高めることができる。ネット要素の「外周」とは、特に、ネット要素を構成するそれ自体閉じたフィラメントの、特に少なくとも1つの巻線の全長として理解されるべきである。リングの場合、外周は、円の円周に対応する。「平均外周」とは、特に、この状況において、防護ネットのネット要素の中から無作為に選択された複数の(好ましくは全部の)ネット要素を構成するそれ自体閉じたフィラメントの、特に巻線の、特に全長の、外周の平均値として理解されるべきである。「実質的に逸脱」とは、特に、この状況において、部分領域の外側のネット要素の平均外周から、少なくとも50%、好ましくは少なくとも30%、好適な態様では少なくとも20%、特に好適な態様では少なくとも10%、部分領域において逸脱している、少なくとも1つのネット要素の外周として理解されるべきである。特に、部分領域の全ネット要素は、実質的に同一な逸脱を備えることができる。この代わりとして、部分領域のネット要素は、少なくとも部分的に異なる逸脱を備える。部分領域のネット要素は、好ましくは、少なくとも部分的に、部分領域の外側のネット要素よりも少なくとも10%大きいか、好ましくは少なくとも20%大きいか、好適な態様では少なくとも30%大きいか、または特に好適な態様では少なくとも50%大きい。この代わりとして、またはそれに追加して、部分領域のネット要素は、少なくとも部分的に、部分領域の外側のネット要素よりも少なくとも50%小さく、好ましくは少なくとも30%小さく、好適な態様では少なくとも20%小さく、または特に好適な態様では少なくとも10%小さくすることができる。
【0015】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外部領域、のうちの少なくとも1つのネット要素が、試行試験において、部分領域の外側のネット要素の平均引き裂き抵抗から実質的に逸脱する引き裂き抵抗を有することが追加で提案される。結果として、特に荷重下にあるとき、防護ネットにおける有利な力の分散を可能にすることができる。有利なことに、衝撃に対する、特に予想される衝撃に対するネットの反応を最適化でき、その結果として安全性を改善できる。「引き裂き抵抗」とは、特に、ネット要素が破断する前のネット要素の最大可能荷重として理解されるべきである。破断前の最大荷重は、好ましくは、試行試験において、適切な試験装置によって測定できる。試行試験では、試験用ネット要素に対して試験装置によって人工荷重をかける。試験用ネット要素は、部分領域に配列されるネット要素と同一のネット要素を提供する。特に、試験用ネット要素は、特に材料の品質の変動を考慮するために、ネット要素と同じ生産バッチからのものとする。試験用ネット要素にかける荷重を漸進的に増加すると、一定の力で試験用ネット要素の変形および破断または変形もしくは破断が生じる。破断に必要な最小の力の値が、引き裂き抵抗を決定する。「平均引き裂き抵抗」とは、特に、同一の設計および同一の生産バッチまたは同一の設計もしくは同一の生産バッチの複数の試験用ネット要素の平均的な引き裂き抵抗を意味することとする。「実質的な逸脱」とは、特に、この状況において、部分領域の外側のネット要素の平均引き裂き抵抗から、少なくとも500%、好ましくは少なくとも300%、有利には少なくとも150%、好適な態様では少なくとも50%、特に好適な態様では少なくとも10%逸脱している、部分領域の少なくとも1つのネット要素の引き裂き抵抗を意味することとする。特に、部分領域の全ネット要素は、実質的に同一の逸脱を備えることができる。この代わりとして、部分領域のネット要素の引き裂き抵抗は、少なくとも部分的に異なる逸脱を備える。部分領域のネット要素は、好ましくは、部分領域の外側のネット要素の平均引き裂き抵抗から、少なくとも10%大きい、好ましくは少なくとも50%大きい、有利には少なくとも150%大きい、好適な態様では少なくとも300%大きい、または特に好適な態様では少なくとも500%大きい引き裂き抵抗を少なくとも部分的に有する。この代わりとして、またはそれに追加して、部分領域のネット要素の引き裂き抵抗は、少なくとも部分的に、部分領域の外側のネット要素の平均引き裂き抵抗よりも少なくとも500%、好ましくは少なくとも300%、有利には少なくとも150%、好適な態様では少なくとも50%、または特に好適な態様では少なくとも10%小さくすることができる。
【0016】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に内部領域よりも張り出している、特に防護ネットの少なくとも1つの部分領域の少なくとも1つのネット要素が、所定の破断点を備え、その結果として、有利なことに、衝撃があった場合に力を狙ったように誘導できることが追加で提案される。加えて、防護ネットの制御されていない引き裂きを、有利な態様で避けることができる。所定の破断点は、特に、ネット要素の残りと比較して材料を薄くした点として、例えば、手で前後に曲げた結果として、かつ、ネット要素の残りから逸脱する材料組成をもつ点として、またはそのいずれかとして、予荷重点として実現できる。
【0017】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外側領域、のうちの少なくとも1つのネット要素が、少なくとも、部分領域の外側のネット要素の材料組成、特に平均材料組成とは実質的に異なる材料組成を有することも提案される。特に、結果として、荷重下にあるときに有利な防護ネットにおける力の分散を可能にすることができ、その結果として、特に、少なくとも1つの動的衝撃物をキャッチするための防護ネットの少なくとも1つの捕捉特性を最適化できる。加えて、有利なことに、安定性も高めることができる。他の材料組成とは「実質的に異なる」材料組成とは、特に、部分領域のネット要素が、少なくとも、部分領域の外側のネット要素の材料組成、特に平均材料組成の同じ分子および原子または分子もしくは原子の質量分率から、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.5重量%、有利には少なくとも1重量%、好適な態様では少なくとも10重量%、または特に好適な態様では少なくとも99重量%、原子および/または分子主成分の質量分率が逸脱する材料組成を有することを意味することとする。「原子および/または分子主成分」とは、特に、製造の場合に、特に少なくとも1つの材料特性に影響を与えることを目的として、材料に狙ったように添加される元素および分子または元素もしくは分子として理解されるべきである。特に、ネット要素が、さまざまな材料を有する異なる構成要素からなることが考えられる。有利なことに、(特に部分領域の)ネット要素は、例えばプラスチック材料の、コーティングを備えることができるであろう。少なくとも1つのネット要素が複数のワイヤストランドを含むことが追加で考えられる。ワイヤストランドは、同じ材料の同一のワイヤから実現できる。この代わりとして、ワイヤストランドは、特にさまざまな材料組成をもつ異なるワイヤから少なくとも部分的に実現できる。
【0018】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外側領域、のうちの少なくとも1つのネット要素が、少なくとも1つのワイヤ巻線、特にワイヤストランド巻線を備え、その径が、部分領域の外側のネット要素のワイヤ巻線、特にワイヤストランド巻線の平均ワイヤ径よりも実質的に大きいことが追加で提案される。特に、結果として、荷重下にあるときに有利な防護ネットにおける力の分散を可能にすることができ、その結果として、特に、少なくとも1つの動的衝撃物をキャッチするための防護ネットの少なくとも1つの捕捉特性を最適化できる。加えて、有利なことに、安定性も高めることができる。「ワイヤ巻線」とは、特に、ネット要素の外周を確実に一度描くフィラメントの、特にワイヤの、少なくとも一部として理解されるべきである。「ワイヤストランド巻線」とは、特に、ネット要素の外周を確実に一度描くワイヤストランドの少なくとも一部として理解されるべきである。「平均ワイヤ径」とは、特に、特に部分領域の外側の、防護ネットのネット要素の中から無作為に選択された複数の(好ましくは全部の)ネット要素の、特にワイヤを通る垂直断面におけるワイヤ径の平均値として理解されるべきである。ワイヤ径は、好ましくは、フィラメント(特にワイヤ)の断面の周りに配置でき、かつ、この場合には、フィラメント(特にワイヤ)を完全に取り囲む、最小の円の径である。「平均ワイヤストランド径」とは、特に、特に部分領域の外側の、防護ネットのネット要素の中から無作為に選択された複数の(好ましくは全部の)ネット要素の、特にワイヤを通る垂直断面における、ワイヤストランド径の平均値として理解されるべきである。ワイヤストランド径は、好ましくは、ワイヤストランドの断面の周りに配置でき、かつ、この場合には、すべてのワイヤ巻線を完全に取り囲む最小の円の径である。「実質的に大きい」という用語は、この状況において、特に、径が少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、有利には少なくとも30%、好適な態様では少なくとも50%、特に好適な態様では少なくとも100%大きいこととして理解されるべきである。
【0019】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外側領域、のうちの少なくとも1つのネット要素が、少なくともある数のワイヤ巻線、特にワイヤストランド巻線を備えており、これは、部分領域の外側のネット要素のワイヤ巻線(特にワイヤストランド巻線)の平均数から実質的に逸脱していることが追加で提案される。特に、結果として、荷重下にあるときに有利な防護ネットにおける力の分散を可能にすることができ、その結果として、特に、少なくとも1つの動的衝撃物をキャッチするための防護ネットの少なくとも1つの捕捉特性を最適化できる。加えて、有利なことに、安定性も高めることができる。「ワイヤ巻線の平均数」とは、特に、特に部分領域の外側の、防護ネットのネット要素の中から無作為に選択された複数の(好ましくは全部の)ネット要素のワイヤ巻線の数の平均値として理解されるべきである。「ワイヤストランド巻線の平均数」とは、特に、特に部分領域の外側の、防護ネットのネット要素の中から無作為に選択された複数の(好ましくは全部の)ネット要素のワイヤストランド巻線の数の平均値として理解されるべきである。「実質的な逸脱」とは、この状況において、特に、部分領域の少なくとも1つのネット要素のある数のワイヤ巻線、特にワイヤストランド巻線が、部分領域の外側のワイヤ巻線(特にワイヤストランド巻線)の平均数から、少なくとも200%、好ましくは少なくとも100%、好適な態様では少なくとも50%、特に好適な態様では少なくとも10%逸脱していることとして理解されるべきである。特に、部分領域のすべてのネット要素は、実質的に同一の逸脱を備えることができる。この代わりとして、部分領域のネット要素は、少なくとも部分的に異なる逸脱を備える。部分領域のネット要素のワイヤ巻線、特にワイヤストランド巻線の数は、好ましくは、部分領域の外側のネット要素のワイヤ巻線、特にワイヤストランド巻線の数よりも、少なくとも部分的に、少なくとも10%大きく、好ましくは少なくとも50%大きく、好適な態様では少なくとも100%大きく、特に好適な態様では少なくとも200%大きい。この代わりとして、またはそれに追加して、部分領域のワイヤ巻線、特にワイヤストランド巻線の数は、少なくとも部分的に、部分領域の外側のネット要素のワイヤ巻線、特にワイヤストランド巻線の数よりも少なくとも200%小さく、好ましくは少なくとも100%小さく、好適な態様では少なくとも50%小さく、または特に好適な態様では少なくとも10%小さくすることができる。
【0020】
防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、特に防護ネットの外側領域、のうちの少なくとも1つのネット要素が、少なくとも1つのエネルギー吸収材を備えることが追加で提案される。特に、結果として、荷重下にあるときに有利な防護ネットにおける力の分散を可能にすることができ、その結果として、特に、少なくとも1つの動的衝撃物をキャッチするための防護ネットの少なくとも1つの捕捉特性を最適化できる。加えて、有利なことに、安定性も高めることができる。「エネルギー吸収材」とは、特に、特に動的衝撃物が防護ネットに衝突するときに、動的衝撃物の運動エネルギーの少なくとも一部を、運動エネルギーとは異なる少なくとも1つのエネルギー形態、例えば位置エネルギーおよび熱エネルギーの両方または一方、特に変形エネルギーおよび内部摩擦の両方または一方に変換するために提供される要素として理解されるべきである。特に、少なくとも1つのねじりばねを含むことのできるエネルギー吸収材は、特に、少なくとも2つのネット要素間、および少なくとも1つのネット要素と少なくとも1つのサスペンション(例えばケーブル)との間、の両方または一方に配列できる。
【0021】
エネルギー吸収材が、少なくとも1つのネット要素と一体的に実現されることが追加で提案される。結果として、有利なことに、特にエネルギー吸収材の、単純な設計を可能にすることができる。加えて、有利なことに、エネルギー吸収材の単純な組み立てと防護ネットへの統合との両方または一方を可能にすることができる。特に、エネルギー吸収材は、少なくとも部分的に、波形にして縮れを付けるかまたは波形にするかもしくは縮れを付け、特に荷重下で伸長するために設けられるネット要素として実現できる。この代わりとして、ネット要素の少なくとも一部が、ねじりばねとして曲げられてねじりばねに置き換えられること、またはねじりばねとして曲げられるかもしくはねじりばねに置き換えられることが考えられる。
【0022】
少なくとも1つのネット要素、特に、防護ネットの主延在方向に平行な方向に、内部領域よりも、特に内部領域の全延在長さよりも張り出している、防護ネットの少なくとも1つの部分領域、好ましくは防護ネットの外部領域のネット要素が、隣接ネット要素に対して確実に3つの連結領域を実現することも提案される。結果として、特に、防護ネットの有利な設計を可能にすることができ、その結果として、有利なことに、特に防護ネットに動的衝撃物をキャッチすることに関して、安全性を向上させることができる。有利な設計によって、動的衝撃物を確実に捕捉できるキャッチエリアは、有利なことに、特にキャッチエリアを動的衝撃物の衝撃後に有利に大きくしておけることによって、拡大できる。「連結領域」とは、特に、防護ネットにおいて同心状に重ねて配置されるネット要素およびネット部材の、またはネット要素もしくはネット部材の、特にネット要素の束の領域として理解されるべきであり、ネット要素およびネット部材またはネット要素もしくはネット部材、特にネット要素の束が、特に組み立て済みの防護ネットにおいて、少なくとも1つの隣接ネット要素および/または少なくとも1つの隣接ネット部材および/または少なくとも1つのネット要素の束と重なる。ネット要素および隣接ネット要素またはネット要素もしくは隣接ネット要素は、特に、単一のネット要素およびネット部材として、またはネット要素もしくはネット部材として、特にネット要素の束として実現できる。ネット要素およびネット部材またはネット要素もしくはネット部材、特にネット要素の束は、好ましくは、連結領域で確実に1つのネット要素および確実に1つのネット部材と、または確実に1つのネット要素もしくは確実に1つのネット部材と、特に確実に1つのネット要素の束と重なる。特に防護ネットが広げられた状態では、連結領域のうちの少なくとも2つは、好ましくは、ネット要素に対して互いに正反対に位置付けて配列される。特に、連結領域は、それぞれ重心を備える。連結領域の重心は、確実に3つの連結領域を備えるネット要素の中心点から見たときに、特に防護ネットが広げられた状態のときに、互いに対して30°よりも大きい、好ましくは45°よりも大きい、有利には60°よりも大きい、好適な態様では75°よりも大きい、特に好適な態様では85°よりも大きい角度で配列される。特に、ネット要素の各連結領域は、ネット要素の各別の連結領域への重なりなく実現される。確実に3つの連結領域でネット要素に隣接している防護ネットの少なくとも1つの別のネット要素は、好ましくは、特に防護ネットが完全に広げられた状態のときに、確実に3つの連結領域を備える。確実に3つの連結領域でネット要素に隣接している防護ネットの少なくとも2つの追加の別のネット要素は、好適な態様では、特に防護ネットが完全に広げられた状態のときに、確実に3つの連結領域を備える。
【0023】
本発明による少なくとも1つの防護ネットを有するロープネット構造物が、さらに提案される。結果として、有利なことに、衝撃があった場合に高度な安全性および有利な挙動の両方または一方を達成できる。ロープネット構造物は、好ましくは、ワイヤネットおよびワイヤロープの構造である。ロープネット構造物は、例えば、落石保護設備、モータースポーツ用防壁、捕捉柵、道路用防護ネットおよび/または鉄道用防護ネット、雪崩ネット、弾丸キャッチネット(bullet catch net)、車両用防護柵、特に航空機用防護柵、テストトラック用防護ネットまたは同様なものとすることができる。
【0024】
ロープネット構造物は、有利なことに、防護ネットの少なくとも1つの外縁に、防護ネットの主延在方向に平行に延びている列状のネット要素の少なくとも3つおきのネット要素、好ましくは1つおきのネット要素、好適な態様では各ネット要素を通して案内される、少なくとも1つのガイドロープを備える。ガイドロープは、有利なことに、ネット要素の動きの自由度を決定する。結果として、特に衝撃がある場合には、特に防護ネットのネット要素の少なくとも一部を誘導的に変位させる結果として、衝撃の有利な緩衝を可能にすることができる。ガイドロープは、特にワイヤロープとして実現される。ガイドロープは、特に、ケーブルネット構造の少なくとも1つの支柱、好ましくは少なくとも2つの支柱に連結される。特に、支柱は、防護ネットを保持して吊り下げるために、または防護ネットを保持するかもしくは吊り下げるために設けられる。支柱は、好ましくは、少なくとも片側を、基盤および壁の両方または一方、好ましくは岩壁に固着できる。特に好適な態様では、支柱の主延在長さは、特に固着点から、実質的に重力の方向に対して垂直に、基盤および壁の両方または一方、好ましくは岩壁に固着された状態で延びる。「少なくとも3つおき」という用語は、特に、隣接ネット要素の列において、特に防護ネットの外縁で、それを通過するガイドロープのない各ネット要素が、やはりそれを通過するガイドロープのないその列の隣接ネット要素を1つだけ備えることとして理解されるべきである。特に、ネット要素の列には、それを通過するガイドロープがない3連続の隣接ネット要素がない。「少なくとも1つおき」とは、特に、隣接ネット要素の列において、特に防護ネットの外縁で、それを通過するガイドロープのない各ネット要素が、ガイドロープが通過する列の隣接ネット要素のみを備えることと理解されるべきである。特に、ネット要素の列には、それを通過するガイドロープがない2連続の隣接要素がない。防護ネットの外縁は、特に、隣接ネット要素のないネット要素の最外列の側によって実現される。ロープネット構造物は、好ましくは、互いに異なる少なくとも2つの外縁に少なくとも1本のガイドロープを備える。
【0025】
ガイドロープが、特に、防護ネットを支えるために、ならびに/または、特に礫および少なくとも1つの別の動的衝撃物または礫もしくは少なくとも1つの別の動的衝撃物の結果として荷重を受ける場合に、荷重の少なくとも実質的な部分を吸収するために、かつそれを好ましくは少なくとも1つの支柱に伝達するために、または、荷重の少なくとも実質的な部分を吸収するために、もしくはそれを好ましくは少なくとも1つの支柱に伝達するために設けられる、少なくとも1本のサポートロープとして実現されることが追加で提案される。結果として、特にケーブルおよび別の追加のサスペンションの両方または一方を通す追加のガイドロープなしで済ませられるようになることによって、有利なことに、単純な設計を達成できる。結果として、有利なことに、特に組み立てコストおよび材料コストの両方または一方を節約できる。サポートロープは、好ましくは、ワイヤロープとして実現される。加えて、サポートロープを少なくとも2本のサポートロープからなるケーブル束として実現することも考えられ、その結果として、安全性および安定性の両方または一方をさらに改善できる。
【0026】
本発明による防護ネットは、有利なことに、キャッチネットとしてロープネット構造物で使用できる。ロープネット構造物は、好ましくは、特にケーブル(好ましくはサポートロープ)およびシャックルの両方または一方によってまとめて連結される、複数の防護ネットを含む。
【0027】
本発明による防護ネットは、これに関連して、上述した用途および実施形態に制限されるものではない。特に、本発明による防護ネットは、本明細書で述べる動作原理を満たすために、本明細書に指定される数から逸脱する、ある数の個々の要素、構成要素およびユニットを備えることができる。
【0028】
以下の図面の説明からさらなる利点が提示される。本発明の6つの例示的な実施形態を図面に示す。図面、説明および特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせで含む。また、専門家は、個別に都合のよいように特徴に注目し、目的に合ったさらなる組み合わせを作るためにそれらを組み合わせるであろう。加えて、前記開示で指定される値の範囲の場合、指定される限界内にある値も、開示される通りに、また任意に適用可能なように適用される。
【0029】
図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】防護ネットの模式上面図。
図2】別例の防護ネットの模式上面図。
図3】更なる別例の防護ネットの模式上面図。
図4】防護ネットの一部のネット要素を通る模式断面図。
図5】防護ネットを有するロープネット構造物の一部の模式上面図。
図6】所定の破断点を有するネット要素の一部の模式図。
図7】エネルギー吸収材を有する別例のネット要素の模式図。
図8】別例の防護ネットの一部のネット要素を通る模式断面図。
図9】更なる別例の防護ネットの一部のネット要素を通る模式断面図。
図10】更なる別例の防護ネットの一部のネット要素を通る模式断面図。
図11】第2の更に別例の防護ネットの模式上面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、防護ネットを示す。防護ネットは、主延長面28aに沿って広げられている。防護ネットは、重荷重をキャッチするために役立つ。防護ネットは、ネット要素10aから形成される。ネット要素10aは、リング102aとして実現される。ネット要素10aは、実質的に同一に実現される。ネット要素10aは、ネット要素径88aを備える。ネット要素10aは、隣接ネット要素10aに係合する。相互連結している2つのネット要素10aは、連結領域56a、58a、60aを実現する。防護ネットの少なくとも1つのネット要素10aは、隣接ネット要素10aと、確実に3つの連結領域56a、58a、60aを実現する。ネット要素10aは、防護ネットの主延在方向14aに対して垂直に、ネット要素10aの隣り合う列を実現する。列状のネット要素10aは、互いに対して重なりがない。ある列のネット要素10aは、隣接する列のネット要素10aと重なる。ある列のネット要素10aは、隣接する列のネット要素10aに係合する。少なくとも1つのネット要素10aが所定の破断点40a(図6を参照)を備えることが考えられる。
【0032】
防護ネットは、外部領域18aを備える。外部領域18aは、ネット要素10aの最外列16aを含む。外部領域18aは、2列のネット要素10aを含む。外部領域18aは、ネット要素10aの最外列16aのすべてのネット要素10aにわたって延びている。外部領域18aは、最外列16aとは異なるネット要素10aの別の列90aのすべてのネット要素10aにわたって延びている。防護ネットは、最大全延在長さ94aを備える。最大全延在長さ94aは、防護ネットの主延在方向14aに平行に延びている。防護ネットは、外部領域18aの内側にある、最大全延在長さ12aを備える。防護ネットの、外部領域18aの内側にある最大全延在長さ12aおよび最大全延在長さ94aは、互いに同一である。
【0033】
防護ネットは、別の外部領域26aを備える。別の外部領域26aは、外部領域18aとは別に実現される。別の外部領域26aおよび外部領域18aは、互いへの重なりがない。別の外部領域26aは、ネット要素10aの別の最外列96aのすべてのネット要素10aにわたって延びている。別の外部領域26aは、別の最外列96aとは異なるネット要素10aの追加列98aのすべてのネット要素10aにわたって延びている。防護ネットは、別の外部領域26aの内側にある、最大全延在長さ70aを備える。防護ネットの、別の外部領域26aの内側にある最大全延在長さ70aおよび最大全延在長さ94aは、互いに同一である。
【0034】
防護ネットは、内部領域22aを備える。内部領域22aは、外部領域18aおよび別の外部領域26aへの重なりはない。内部領域22aは、ネット要素10aの内側列92aを含む。内部領域22aは、内側列92aに隣接する、ネット要素10aの別の内側列118aを含む。内側列92aは、防護ネットの中央にある。内側列92aは、最外列16aと別の最外列96aとの間にある。防護ネットは、最小全延在長さ100aを備える。最小全延在長さ100aは、防護ネットの主延在方向14aに平行に延びる。防護ネットは、内部領域22aの内側にある、最小全延在長さ20aを備える。防護ネットの、内部領域22aの内側にある最小全延在長さ20aおよび最小全延在長さ100aは、互いに同一である。外部領域18a、26aの内側にある最大全延在長さ12aおよび最大全延在長さ94aの両方または一方は、防護ネットの、内部領域22aの内側にある最小全延在長さ20aおよび最小全延在長さ100aの両方または一方よりも大きい。防護ネットの、外部領域18a、26aの内側にある最大全延在長さ12aおよび最大全延在長さ94aの両方または一方は、防護ネットの、内部領域22aの内側にある最小全延在長さ20aおよび最小全延在長さ100aの両方または一方よりも、少なくとも防護ネットのネット要素10aの平均径の分だけ大きい。図1に図示する例示的な実施形態において、ネット要素10aの平均径は、ネット要素の径88aに一致する。最大全延在長さ12a、94aと最小全延在長さ20a、100aとのサイズの差は、ネット要素の径88aの4倍よりも大きい。少なくとも1つのネット要素10aが、外部領域18a、別の外部領域26aおよび/または内部領域22aに所定の破断点40aを備えることが考えられる。
【0035】
防護ネットは、2つの鏡面30a、32aを備える。鏡面30a、32aは、防護ネットの主延長面28aに対して垂直に配列される。ある鏡面30aは、主延在方向14aに対して垂直である。ある鏡面32aは、主延在方向14aに平行である。ネット要素10aは、鏡面30a、32aに対して鏡面対称状に配列される。防護ネットは、主延長面28aに存在する方向に、主延在方向14aに対して垂直な一定の全延在長さ104aを備える。
【0036】
防護ネットは、防護ネットの主延在方向14aに平行な方向に、内部領域22aの最小全延在長さ20aよりも張り出している、4つの部分領域34a、36a、42a、44aを備える。部分領域34a、36a、42a、44aは、6つのネット要素10aを備える。防護ネットの部分領域34a、36a、42a、44aは、防護ネットの主延在方向14aに列状に並んで配列されているある数のネット要素10aを備え、これは、防護ネットの主延在方向14aに対して垂直に並んで配列されているネット要素10aの全列の最大数の17分の2に対応する。防護ネットの部分領域34a、36a、42a、44aは、防護ネットの主延在方向14aに対して垂直に列状に並んで配列されているある数のネット要素10aを備え、これは、防護ネットの主延在方向14aに対して垂直に並んで配列されているネット要素10aの全列の最大数の17分の2に対応する。防護ネットの部分領域34a、36a、42a、44aは、ネット要素10aの三角形配列46aを備える。この代わりとして、部分領域34a、36a、42a、44aのうちの少なくとも1つは、三角形配列46aから逸脱した配列、例えば少なくとも長方形配列120a(図2を参照)、および少なくとも部分的に多角形配列、の両方または一方を備えることができる。試行試験において、防護ネットの部分領域34a、36a、42a、44aのネット要素10aは、部分領域34a、36a、42a、44aの外側のネット要素10aの平均引き裂き抵抗から逸脱した引き裂き抵抗を有する。この代わりとして、すべてのネット要素10aが、試行試験で、実質的に同一の引き裂き抵抗を有することができる。少なくとも1つのネット要素10aが、部分領域34a、36a、42a、44aのうちの少なくとも1つにおいて所定の破断点40aを備えることが考えられる。この代わりとして、防護ネットは、メッシュ網122a(図3を参照)として実現できる。メッシュ網122aは、相互に係合する螺旋体124aから実現される。端部において、螺旋体124aは、ループ126aを形成する少なくとも1つの結び目128aを備える。隣接する螺旋体124aのループ126aは、噛み合う。螺旋体124aから実現される防護ネットは、防護ネットの主延在方向14aに平行な方向に、内部領域22aの最小全延在長さ20aよりも張り出している、4つの部分領域34’a、36’a、42’a、44’aを備える。螺旋体122aから実現される防護ネットの部分領域34’a、36’a、42’a、44’aは、ネット要素10aの長方形配列120’aを備える。
【0037】
図4は、断面中心線A(図1を参照)に沿って防護ネットの一部を通る断面を示す。図4の左側に図示するネット要素10aは、部分領域36aの内側にある。図4の右側に図示するネット要素10aは、部分領域36aの外側にある。図4に図示するネット要素10aは、ワイヤロープ106aとして実現される。ネット要素10aは、ネット要素断面径86aを備える。ネット要素断面径86aは、ネット要素10aの外周72aにわたり一定である。ワイヤロープ106aは、複数のワイヤ巻線48aを備える。ワイヤ巻線48aは、ワイヤ径24aを備える。ワイヤ径24aは、ネット要素10aの外周72にわたり一定である。ネット要素断面径86aは、ワイヤ径24aの倍数に対応する。ネット要素10aは、ワイヤストランド108aを備える。ワイヤストランド108aは、19本のワイヤ巻線48aを備える。ワイヤストランド108aは、ワイヤストランド径52aを備える。ワイヤストランド径52aは、ネット要素10aの外周72aにわたり一定である。ネット要素断面径86aは、ワイヤストランド径52aの倍数に対応する。ネット要素10aは、7本のワイヤストランド巻線50aを備える。
【0038】
図5は、防護ネットを有するロープネット構造物62aの一部を示す。防護ネットは、ロープネット構造物62aにおいてキャッチネット74aとして使用される。キャッチネット74aは、キャッチネット74aのキャッチエリア38aに動的衝撃物をキャッチするために設けられる。キャッチネット74aは、動的衝撃物の主衝撃方向がキャッチエリア38aに対して垂直になるように位置付けられる。動的衝撃物の主衝撃方向は、図5の画像面に向かう方向、または画像面から出る方向に向く。部分領域34a、36a、42a、44aのネット要素10aは、組み立てられた非荷重状態でくっつけられる。主延在方向14aにおいて外側にある防護ネットのネット要素10aは、少なくとも部分的にシャックル82aを備える。防護ネットのネット要素10aは、別の隣接する防護ネットのネット要素10aとシャックル82aで繋がれる。ロープネット構造物62aは、支柱80aを備える。ロープネット構造物62aは、壁固着要素78aを備える。壁固着要素78aは、支柱80aを壁76aに固着するために設けられる。
【0039】
ロープネット構造物62aは、第1ガイドロープ64aを備える。第1ガイドロープ64aは、壁76aから、特に壁固着要素78aから離れた防護ネットの側に配列される。第1ガイドロープ64aは、壁76aから、特に壁固着要素78aから離れた支柱80aの側に配列される。第1ガイドロープ64aは、支柱80aに連結される。ロープネット構造物62aは、第2ガイドロープ84aを備える。第2ガイドロープ84aは、壁76aから、特に壁固着要素78aから離れた防護ネットの側に配列される。第2ガイドロープ84aは、壁76aから、特に壁固着要素78aから離れた支柱80aの側に配列される。第2ガイドロープ84aは、支柱80aに連結される。
【0040】
防護ネットは、防護ネットの主延在方向14aに対して垂直な方向に2つの外縁66a、110aを備える。外縁66a、110a上のネット要素が、2つの最外列16a、96aを形成する。第1ガイドロープ64aは、最外列16aのネット要素10aに通して案内される。第2ガイドロープ84aは、別の最外列96aのネット要素10aに通して案内される。第1ガイドロープ64aは、サポートロープ68aとして実現される。第2ガイドロープ84aは、サポートロープ68aとして実現される。
【0041】
図7図11は、本発明の5つのさらなる例示的な実施形態を示す。以下の説明および図面は、実質的にこれらの例示的実施形態間の相違点に限られているが、原則として、同一の呼称が付けられた構成要素に関して、特に同一の参照符号の付いた構成要素に関しては、特に図1図6の、他の例示的な実施形態の図面および説明または図面もしくは説明も参照できる。これらの例示的な実施形態を区別するために、図1図6の例示的な実施形態の参照符号の後に文字aを付けている。文字aは、図7図11の例示的な実施形態において、文字b~fに置き換えられる。
【0042】
図7は、ネット要素10bを示す。ネット要素10bは、エネルギー吸収材54bを備える。エネルギー吸収材54bは、ネット要素10bと一体的に実現される。エネルギー吸収材54bは、ネット要素10bの波形領域として実現される。この代わりとして、エネルギー吸収材54bは、特にネット要素10bのらせん形にねじられた領域として、かつ、ネット要素10bの残りから逸脱する材料(特に高弾力性の材料)を有する領域として、またはそのいずれかとして、実現できるであろう。ネット要素10bは、別のエネルギー吸収材112bを備える。別のエネルギー吸収材112bは、ネット要素10bとは別個に実現される。別のエネルギー吸収材112bは、2つの隣接する重なり合わないネット要素10b間に配列される。別のエネルギー吸収材112bは、高弾力性の湾曲要素として実現される。エネルギー吸収材54b、112bを有するネット要素10bは、防護ネットの部分領域34b、36b、42b、44bに配列される。この代わりとして、エネルギー吸収材54b、112bを有するネット要素10bを、部分領域34b、36b、42b、44bとは異なる防護ネットの領域、例えば、内部領域22b、および部分領域34b、36b、42b、44bとは異なる防護ネットの外部領域18b、26bの領域、の両方または一方に配列することが考えられる。
【0043】
図8に断面図で図示する防護ネットの詳細図は、2つのネット要素10cを示す。図8の左側に図示されるネット要素10cは、部分領域36cの内側にある。図8の右側に図示されるネット要素10cは、部分領域36cの外側にある。部分領域36cの内側のネット要素10cは、部分領域36cの外側のネット要素10cのワイヤ巻線48cの数から逸脱する、ある数のワイヤ巻線48cを備える。部分領域36cの内側のネット要素10cは、部分領域36cの外側のネット要素10cよりも多くの数のワイヤ巻線48cを備える。この代わりとして、部分領域36cの内側のネット要素10cが部分領域36cの外側のネット要素10cよりも少ない数のワイヤ巻線48cを備えることが考えられる。ネット要素10cは、ワイヤストランド108cを備える。ワイヤストランド108cは、複数のワイヤストランド巻線50cを備える。ワイヤストランド巻線50cは、ワイヤストランド径52cを備える。部分領域36c内のネット要素10cのワイヤストランド径52cは、部分領域36cの外側のネット要素10cのワイヤストランド径52’cよりも大きい。この代わりとして、部分領域36c内のネット要素10cのワイヤストランド径52cを、部分領域36cの外側のネット要素10cのワイヤストランド径52’cよりも大きくすることができるであろう。
【0044】
図9に断面図で図示する防護ネットの詳細図は、2つのネット要素10dを示す。図9の左側に図示されるネット要素10dは、防護ネットの部分領域36dの内側にある。図9の右側に図示されるネット要素10dは、部分領域36dの外側にある。ネット要素10dは、ワイヤ巻線48dを備える。ワイヤ巻線48dは、ワイヤ径24dを備える。部分領域36dの内側のワイヤ巻線48dのワイヤ径24dは、部分領域36dの外側のネット要素10dのワイヤ巻線48dの平均ワイヤ径24’dよりも大きい。この代わりとして、部分領域36dの内側のネット要素10dが、部分領域36dの外側のネット要素10dよりも小さいワイヤ巻線48dのワイヤ径24dを備えることが考えられる。ネット要素10dは、ネット要素断面径86dを備える。部分領域36dの内側のネット要素10dのネット要素断面径86dは、部分領域36dの外側のネット要素10dのネット要素断面径86’dよりも大きい。この代わりとして、部分領域36dの内側のネット要素10dのネット要素断面径86dを、部分領域36dの外側のネット要素10dのネット要素断面径86’dよりも小さくすることができるであろう。
【0045】
図10に断面図で図示される防護ネットの詳細図は、2つのネット要素10eを示す。図10の左側に図示されるネット要素10eは、防護ネットの部分領域36eの内側にある。図10の右側に図示されるネット要素10eは、部分領域36eの外側にある。部分領域36e内のネット要素10eは、材料組成114eを備える。部分領域36e内のネット要素10eの材料組成114eは、部分領域36eの外側のネット要素10eの材料組成114’eとは異なる。
【0046】
図11は、ネット要素10fを有する防護ネットを示す。ネット要素10fは、外周72fを備える。ネット要素10fは、外形116fを備える。防護ネットの部分領域34f、42fの内側のネット要素10fの外周72’f、72”fは、部分領域34f、42fの外側のネット要素10fの平均外周72fから実質的に逸脱している。部分領域34f内のネット要素10fの外周72’fは、部分領域34fの外側のネット要素10fの外周72f、72”fよりも小さい。部分領域42f内のネット要素10fの外周72”fは、部分領域42fの外側のネット要素10fの外周72f、72’fよりも大きい。部分領域34f、42f内のネット要素10fの外形116’f、116”fは、部分領域34f、42fの外側のネット要素10fの平均外形116fから実質的に逸脱している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11