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特許7027574センサー画像のスキャンポイントによって光電子センサーの位置合わせを決定するための方法、及び光電子センサー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】センサー画像のスキャンポイントによって光電子センサーの位置合わせを決定するための方法、及び光電子センサー
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/931 20200101AFI20220221BHJP
   G01S 17/89 20200101ALI20220221BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20220221BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
G01S17/931
G01S17/89
G01S7/497
G01C3/06 120Q
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020561692
(86)(22)【出願日】2019-04-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2019060992
(87)【国際公開番号】W WO2019211254
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-12-22
(31)【優先権主張番号】102018110775.7
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508108903
【氏名又は名称】ヴァレオ・シャルター・ウント・ゼンゾーレン・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ、サーゲーブ
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-206025(JP,A)
【文献】特開2016-120892(JP,A)
【文献】特開2010-287156(JP,A)
【文献】米国特許第09052721(US,B1)
【文献】独国特許出願公開第102016010985(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第103257342(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力車両(1)の光電子センサー(5)の、前記動力車両(1)に対する少なくとも1つの位置合わせを決定するための方法であって、前記光電子センサーは、トランスミッター装置(6)、第1レシーバー要素及び第2レシーバー要素を含む少なくとも2つのレシーバー要素(7a、7b)を有するレシーバーユニット(7)、及び評価ユニットを備え、前記方法は:
- 前記トランスミッター装置(6)によって、前記動力車両(1)の周囲(4)に光線(8)を放出し、
- 前記レシーバーユニット(7)によって、物体(3)で反射された光線(8)を受信し、受信された光線(8)は、前記評価ユニットにより、前記光電子センサー(5)によって生成された前記動力車両(1)の前記周囲のセンサー画像(14)においてスキャンポイント(17A、17B、17C)として表され、各スキャンポイント(17A、17B、17C)はレシーバー要素(7a、7b)に割り当てられる、
というステップを含み、
センサー座標系(S)が、前記第1レシーバー要素(7a)の少なくとも2つの受信されたスキャンポイント(17A)を使用して、生成されたセンサー画像(14)において決定され、参照座標系(R)が、前記第1レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイント(17A)を使用し且つ前記第2レシーバー要素(7b)の少なくとも1つのスキャンポイント(17B)を使用して、前記生成されたセンサー画像において決定され、
角度偏差が、前記光電子センサー(5)の少なくとも1つの位置合わせを決定する目的で、前記センサー座標系(S)と前記参照座標系(R)との比較によって決定される
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも2つのレシーバー要素(7a、7b、7c)は、前記光電子センサー(5)の垂直軸(A)に沿って配置され、前記光電子センサー(5)の前記センサー画像(14)は、少なくとも2つの平面を有し、前記第1平面は、前記第1レシーバー要素(7a)の前記スキャンポイント(17A)によって形成され、前記第2平面は、前記第2レシーバー要素(7b)の前記スキャンポイント(17B)によって形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光電子センサー(5)の前記センサー画像(14)のスキャンポイント直線(17G)は、前記第1レシーバー要素(7a)の少なくとも2つのスキャンポイント(17A)によって形成され、前記センサー座標系(S)は、前記スキャンポイント直線(17G)によって決定される
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記角度偏差は、前記参照座標系(R)の参照直線(18)と前記スキャンポイント直線(17G)との間の角度として決定される
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
参照直線(18)が、前記第1レシーバー要素(7a)のスキャンポイント(17A)と前記第2レシーバー要素(7b)のスキャンポイント(17B)とによって形成され、前記第2レシーバー要素(7b)の前記スキャンポイント(17B)は、前記第1レシーバー要素(7a)の前記スキャンポイント(17A)の選択によって指定され、前記参照座標系(R)は、前記参照直線(18)によって決定される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記光電子センサー(5)は、少なくとも1つの第3レシーバー要素(7c)を備え、当該少なくとも1つの第3レシーバー要素(7c)によって、物体で反射された光線(8)が受信され、前記光線は、前記評価ユニットによって、前記センサー画像(14)において前記第3レシーバー要素のスキャンポイント(17C)として表され、また前記第3レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイント(17C)は、前記センサー座標系(S)及び/又は前記参照座標系(R)を決定する場合に考慮される
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記光電子センサー(5)は、前記角度偏差に基づいて、較正される
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの位置合わせは、前記動力車両(1)の運転操作中に決定される
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記センサー画像において認識される、車両長手方向軸に関して少なくともセクションにおいて長手方向延長部を有する静的物体(16)が使用されて、前記少なくとも1つの位置合わせを決定する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記静的物体(16)は、道路標示(16)及び/又は道路安全バリア及び/又は壁、特にトンネルの壁、である
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光電子センサー(5)のピッチ角(β)が角度偏差として決定される
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記光電子センサー(5)のヨー角(α)が角度偏差として決定される
ことを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
動力車両(1)のための光電子センサー(5)であって、前記動力車両(1)の周囲(4)に光線(8)を放出するための少なくとも1つのトランスミッター装置(6)を備え、物体(3)で反射された光線(8)を受信するための第1レシーバー要素及び第2レシーバー要素を含む少なくとも2つのレシーバー要素(7a、7b)を有する少なくとも1つのレシーバーユニット(7)を備え、受信された光線(8)を、前記動力車両(1)の前記周囲のセンサー画像(14)におけるスキャンポイント(17A、17B、17C)として表すように且つ各スキャンポイント(17A、17B、17C)をスキャン要素(7a、7b、7c)に割り当てるように具現化される評価ユニット(10)を備え、
前記第1レシーバー要素(7a)の少なくとも2つの受信されたスキャンポイント(17A)を使用して生成されたセンサー画像(14)においてセンサー座標系(S)を決定するように、且つ、前記第1レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイント(17A)を使用し且つ前記第2レシーバー要素(7b)の少なくとも1つのスキャンポイント(17B)を使用して前記生成されたセンサー画像(14)において参照座標系(R)を決定するように、前記評価ユニット(10)はさらに具現化され、
前記評価ユニット(10)は、前記光電子センサー(5)の少なくとも1つの位置合わせを決定する目的で、前記センサー座標系(S)と前記参照座標系(R)との比較によって角度偏差(α、β)を決定する
ことを特徴とする光電子センサー(5)。
【請求項14】
請求項13に記載の光電子センサー(5)を備える動力車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、動力車両の光電子センサーの少なくとも1つの角度位置を決定するための方法に関する。光電子センサーは、トランスミッター装置、少なくとも2つのレシーバー要素を有する受信機ユニット、および評価ユニットを備える。トランスミッター装置は、動力車両の周囲に光線を放射するために使用される。物体で反射された光線は、レシーバーユニットによって受信され、評価ユニットによって光電子センサーにより生成されたセンサー画像におけるスキャンポイントとして表される。ここで、各スキャンポイントはレシーバー要素に割り当てられる。さらに、発明は、光電子センサーに関する。
【発明の概要】
【0002】
従来技術は、LIDARセンサーのずれを検出するための方法をすでに開示している。例として、米国特許第9,052,721B1号はそのような方法を開示している。この目的のために、LIDARセンサーは3Dポイントクラウドを供給し、当該3Dポイントクラウドは、地面において及び少なくとも1台の動力車両において反射されたスキャンポイントを含む。3Dポイントクラウドが3D参照ポイントクラウドと比較され、LIDARセンサーのずれが計算される。
【0003】
本発明の目的は、光電子センサーの少なくとも1つの角度位置を改善されたやり方で決定されることができる方法および光電子センサーを発展させることである。
【0004】
この目的は、独立請求項に従った方法および光電子センサーによって達成される。
【0005】
発明の一態様は、動力車両の光電子センサーの少なくとも1つの角度位置を決定するための方法に関する。光電子センサーは、少なくとも1つのトランスミッター装置、少なくとも1つのレシーバーユニット、および評価ユニットを備える。方法は、次のステップを含む:
-トランスミッター装置によって動力車両の周囲に光線を放射すること、
-レシーバーユニットによって物体で反射された光線を受信し、受信した光線は、光電子センサーによって生成された動力車両の周囲のセンサー画像におけるスキャンポイントとして評価ユニットによって表される。さらに、各スキャンポイントはレシーバー要素に割り当てられる。
【0006】
センサー画像において、センサー座標系は、レシーバーユニットの第1レシーバー要素の少なくとも2つのスキャンポイントを使用して決定される。さらに、参照座標系は、第1レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイント及び第2レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイントを使用して形成される。角度偏差は、光電子センサーの少なくとも1つの位置合わせを決定する目的で、センサー座標系と参照座標系との比較によって決定される。
【0007】
特に、これは、動力車両の光電子センサーの水平方向及び垂直方向への位置合わせの偏差が決定されることを可能にする。結果として、発明による方法によって、特に動力車両に対する、光電子センサーの少なくとも1つの角度位置を決定することが可能である。特に、これは、光電子センサーの角度偏差又はずれが認識されて、評価ユニットによって修正されることを可能にし、その結果、光電子センサーの改善された動作が容易になる。特に、光電子センサーは、LIDARセンサー又はレーザースキャナーとして具現化されることができる。
【0008】
一構成によれば、少なくとも2つのレシーバー要素は、光電子センサーの垂直軸に沿って配置される。結果として、少なくとも2つのレシーバー要素によって形成される光電子センサーのセンサー画像は、少なくとも2つの垂直面を持つことができる。ここで、第1レシーバー要素のスキャンポイントは第1の垂直面を形成することができ、第2レシーバー要素のスキャンポイントは第2の垂直面を形成することができる。特に、結果として、第1レシーバー要素のスキャンポイント及び第2レシーバー要素のスキャンポイントは、センサー画像の少なくとも2つの平面にあり、特に、互いの上方で垂直にある。結果として、参照座標系を特に容易に生成し、光電子センサーの角度偏差を決定することが可能であり、したがって、少なくとも1つの角度位置を決定することが可能である。
【0009】
更なる実施形態において、光電子センサーのセンサー画像のスキャンポイント直線は、第1レシーバー要素の少なくとも2つのスキャンポイントを介して配置され、センサー座標系は、スキャンポイント直線によって決定される。光電子センサーがずれを持たない場合、スキャンポイント直線は、特に、光電子センサーに垂直であると定義できる軸に平行である。スキャンポイント直線が、センサーに垂直であると定義された軸に対して角度を有する場合、特に、センサーの水平位置及び/又は垂直位置は傾斜している。特に、この角度は、評価ユニットによって決定されることができ、特に動力車両に対し、光電子センサーの少なくとも1つの角度偏差に対応する。特に、第1レシーバー要素のスキャンポイント直線及び第2レシーバー要素のスキャンポイント直線がそれぞれの場合に生成されることができるようになっている。このようにして、角度偏差を決定するために少なくとも2つの角度を捕捉することが可能であり、角度偏差は、2つの捕捉された角度の平均値によって決定されることが可能である。ここで利用できるものは、第1レシーバー要素のそれぞれのスキャンポイント直線が、第2レシーバー要素のそれぞれのスキャンポイント直線に平行に延びることである。
【0010】
同様に、角度偏差が、参照座標系の参照直線とスキャンポイント直線との間の角度として決定されることができるようになっている。例として、参照直線は、光電子センサーに対して垂直に整列された直線でありうる。したがって、スキャンポイント直線と参照直線との間の交点を容易に決定することができる。そして、スキャンポイント直線と参照直線との間の角度は、特に動力車両に対する、光電子センサーの角度偏差に対応する。
【0011】
さらに、参照直線が、第1レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイントを及び第2レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイントを通って配置され、参照座標系が参照直線によって決定されることができるようになっている。参照直線を決定するために、特に、同じ水平角を有する第1レシーバー要素及び第2レシーバー要素のスキャンポイントを使用することが可能である。スキャンポイントに割り当てられることができる水平角は、動力車両の周囲に光線を放射する際の放射角度に対応する。これは、立体角の一連のスキャニングの範囲内で、それぞれのスキャニング測定において光線が放出された立体角がセンサー画像におけるスキャンポイントに割り当てられることができることを意味する。ここで、スキャニング測定内で、光電子センサーは、光線が放出された立体角からの光線を受けることのみができると仮定することができる。同じ水平角で第1レシーバー要素及び第2レシーバー要素のスキャンポイントを通る参照直線を配置することは、この直線が常にスキャンされる面、例えば道路面、に対して垂直に整列されるという点で有利である。その結果、光電子センサーの実際の角度位置が目標角度位置から角度偏差を持っている場合でも、参照座標系を確実に生成することができる。参照直線が、第1レシーバー要素及び第2レシーバー要素の多数のスキャンポイントについて決定され、角度偏差が、参照直線と少なくとも1つのスキャン直線との間の角度の平均値として決定されることができるようになっている。
【0012】
その結果、第1レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイント及び第2レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイントによって参照直線を決定することが可能であり、参照座標系を非常に容易かつ確実に決定することができる。特に、第1受信要素のスキャンポイントと第2受信要素のスキャンポイントとが同じ水平角を有する場合、それぞれの参照直線は互いに平行に延びる。その結果、曲線の場合でも、参照直線をより簡単に決定できる。
【0013】
同様に、光電子センサーが、少なくとも1つの第3レシーバー要素を含み、当該少なくとも1つの第3レシーバー要素によって物体で反射された光線が受け取られ、光線が、第3レシーバー要素のスキャンポイントとして評価ユニットによって表されることができるようになっている。第3レシーバー要素のスキャンポイントはまた、センサー座標系及び/又は参照座標系を決定する際に、考慮に入れられることができる。特に、第3レシーバー要素のスキャンポイントを使用して、スキャンポイント直線及び参照直線を検証することができる。ここで、第3レシーバー要素のスキャンポイントを使用して、更なる角度を決定することができ、当該更なる角度によって、特に個々の角度の平均値を形成することにより、少なくとも1つの角度偏差を改善されたやり方で決定することができる。さらに、更なるレシーバー要素を提供することもできる。特に、これは、信頼性が高く且つより正確な角度位置の決定が実行されることを可能にする。
【0014】
更なる構成によれば、光電子センサーは、角度偏差に基づいて較正される。この目的のために、例えば、評価ユニットは、角度偏差を決定し、角度偏差に基づいて光電子センサーを較正するように設計されることができる。特に、光電子センサーが使用される場合に、更なる支援システムに関する評価のために補正されたセンサー画像を提供することができるように、光電子センサーのずれは、評価ユニットで角度位置を決定することによって補正されることができる。特に、結果として、動力車両の半自律的な、特に自律的な、運転操作の場合に改良された光電子センサーを提供することが可能であり、前記光電子センサーを道路交通において信頼性良く且つ安全に使用することが可能である。
【0015】
同様に、少なくとも1つの位置合わせが、動力車両の運転操作中に決定されるようになっている。特に、これは、光電子センサーの現在の位置合わせが運転中に決定されることを可能にし、光電子センサーは、任意の運転状況において適切に較正及び修正されることができる。特に、それぞれのずれは、例えば、動力車両の様々な負荷状態の場合に変化し得る。現在の位置合わせを決定することにより、異なる負荷状態の場合でも光電子センサーを較正することが可能である。その結果、光電子センサーは、複数の運転状況においてより良好に操作されることができ、そのため、道路交通における安全性は、様々な運転状況の多様性に関して改善されることができる。特に動力車両の少なくとも半自律的な動作中に、特にその自律的な動作中に、これは、動力車両の周囲における道路案内及び/又は物体の改善された認識を実現することを可能にし、その結果、道路交通における増大された安全性がもたらされうる。
【0016】
更なる実施形態では、センサー画像において認識される、車両の長手方向軸に関して少なくとも複数のセクションで長手方向延長部を有する静的物体が、少なくとも1つの位置合わせを決定するために使用されるようになっている。ここで、特に、センサー画像において線のような又は線形状の構造を有する静的物体を使用することができる。センサー画像を、互いに上方にある少なくとも2つの平面に分割することにより、車両長手方向軸に関して少なくとも複数のセクションで長手方向延長部を有する静的物体に属するスキャンポイントを、少なくとも2つの平面に分割することができる。その結果、物体の部分的な線が各平面において画像化可能である。角度偏差がない場合、線のような又は線形状の構造の複数の部分線は、参照軸と正確に平行になるように、互いにシームレスに統合できる。角度偏差がある場合、すなわち、センサーが傾いている場合、各部分線は、参照軸に対して角度を有することができ、各部分線は、参照軸に対して同じ角度を有することができる。有利には、そのような静的物体は、道路標示及び/又は道路安全バリア及び/又は壁、特にトンネル壁、であり得る。特に、道路標示は、少なくとも1つの位置合わせを決定するのに適しうる。第一に、これらはほとんどの交通シナリオにおいて存在しうるものであり、第二に、道路標示は多くの国で強い反射粒子を含みうる。これらの粒子の結果として、道路標示は高い反射率を持ちうるものであり、光電子センサーによって特によく捕捉されうる。特に、道路安全バリア及び/又は壁、特にトンネル壁、は、同様に互いに平行に整列されうるので、これらはまた、その方法のために信頼性良く使用され得る。特に、これはまた、方法においてカーブが考慮されることを可能にする。
【0017】
更なる実施形態において、光電子センサーのピッチ角は、角度偏差として決定される。特に、ピッチ角は、動力車両の横軸の周りの光電子センサーの回転であり得る。角度偏差をピッチ角として決定することにより、特に、横軸を中心とした光電子センサーの回転を決定することが可能である。続いて、光電子センサーのこの角度偏差は、このピッチ角によって修正された光電子センサーのセンサー画像を提供することが可能であるように、較正又は修正されうる。
【0018】
追加の実施形態において、光電子センサーのヨー角は、角度偏差として決定される。特に、ヨー角は、動力車両の垂直軸の周りの光電子センサーの回転でありうる。角度偏差をヨー角として決定することにより、特に、垂直軸を中心とした光電子センサーの回転を決定することが可能である。続いて、このヨー角によって修正された光電子センサーのセンサー画像を提供することが可能なように、光電子センサーのこの角度偏差は較正又は修正されうる。
【0019】
さらに、ヨー角及びピッチ角がそれぞれの角度位置として決定されることができるようになっている。そのプロセスにおいて、例えば、ヨー角は、光電子センサーの第1プロセッサーコアで決定されることができ、ピッチ角は、光電子センサーの第2プロセッサーコアで決定されることができる。その結果、ヨー角とピッチ角は、異なるプロセッサーコアで並行して決定されることができる。特に、評価ユニットは、それぞれプロセッサーコアを介して決定されたヨー角/ピッチ角に基づいて、光電子センサーの修正又は較正を実行することができる。その結果、現在のヨー角と現在のピッチ角を、信頼性が高く迅速なやり方で、特に動力車両の駆動操作中に、同時に決定することができる。その結果、光学センサーのキャリブレーションを信頼性良く且つ安全に行うことができ、道路交通における安全性を高めることができる。
【0020】
発明の更なる態様は、動力車両の周囲に光線を放出するための少なくとも1つのトランスミッター装置を含み、物体で反射された光線を受信するための少なくとも2つのレシーバー要素を有する少なくとも1つのレシーバーユニットを含み、評価ユニットを含む動力車両用の光電子センサーに関する。評価ユニットは、受信した光線を、動力車両の周囲のセンサー画像におけるスキャンポイントとして表すように且つ各スキャンポイントをスキャン要素に割り当てるように、具現化される。評価ユニットは、第1レシーバー要素の少なくとも2つの受信スキャンポイントを使用して生成されたセンサー画像においてセンサー座標系を決定するように、且つ、第1レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイントを使用して及び第2レシーバー要素の少なくとも1つのスキャンポイントを使用して前記生成されたセンサー画像における参照座標系を決定するように、さらに具現化される。評価ユニットは、光電子センサーの少なくとも1つの位置合わせを決定する目的で、センサー座標系と参照座標系との比較を介し、角度偏差を決定する。
【0021】
発明の更なる態様は、そのような光電子センサーを含む動力車両に関する。
【0022】
発明の更なる特徴は、特許請求の範囲、図面、及び図面の説明から明らかになる。上記の説明において引用されている特徴及び特徴の組み合わせ、ならびに、下記の図面の説明において引用されている及び/又は図面にのみに示されている特徴及び特徴の組み合わせは、発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ示されている組み合わせにおいてのみだけではなく、他の組み合わせやそれら自身においても、使用されることができる。したがって、図面において明示的には示されて説明されていないが、特徴の自己完結型の組み合わせによって説明された実施形態から発せられて生産可能である発明の実施形態も、含まれるものとして且つ開示されるものとしてみなされることが意図されている。特徴の実施形態及び組み合わせも開示されているとみなされ、したがって、それらは、当初に説明されている独立請求項のすべての特徴を有するわけではない。さらに、特許請求の範囲のバック・リファレンス(back-references)において記載された特徴の組み合わせを超える又は当該組み合わせとは異なる特徴の実施形態及び組み合わせは、特に上記の実施形態によって、開示されているとみなされるべきである。
【0023】
次に、発明は、好ましい例示的な実施形態に基づいて、添付の図面を参照して、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図面において:
図1図1は、光電子センサーの実施形態を含む動力車両の概略平面図を示す。
図2図2は、光電子センサーの実施形態の概略図を示す。
図3図3は、光電子センサーの実施形態のセンサー画像の概略図を示す。
図4図4は、光電子センサーの実施形態のセンサー画像の更なる概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
同一で同じ機能を持つ要素を識別するために、図面において同じ参照記号が与えられる。
【0026】
図1は、運転支援システム2を備える動力車両1を示している。例えば、動力車両1の周囲4に位置する物体3は、運転支援システム2によって捕捉されることができる。特に、動力車両1と物体3との間の距離は、運転支援システム2によって決定されることができる。
【0027】
運転支援システム2は、少なくとも1つの光電子センサー5を備える。光電子センサー5は、LIDARセンサー又はレーザースキャナーとして具現化されることができる。光電子センサー5はトランスミッター装置6を備え、当該トランスミッター装置6によって光線8が放出又は送り出されることができる。本ケースにおいて、光電子センサー5は、動力車両1の前部領域に配置されている。光電子センサー5はまた、動力車両1の他の領域に、例えば後部領域に又は側部領域に、配置されることができる。
【0028】
光線8は、所定の捕捉範囲E又は所定の角度範囲内でトランスミッター装置6によって放出されうる。一例として、光線8は、所定の水平角度範囲で放出されることができる。さらに、光電子センサー5は、図1に示されていない偏向装置13(図2参照)を含み、当該偏向装置13によって、光線8を周囲4に偏向させることができ、したがって捕捉領域Eがスキャンされる。
【0029】
さらに、光電子センサー5はレシーバーユニット7を含み、当該レシーバーユニット7は、例えば、フォトダイオードを含み得る。レシーバーユニット7を使用して、物体3によって反射された光線9が受信信号として受信されることができる。さらに、光電子センサー5は制御装置を含むことができ、当該制御装置は、例えば、マイクロコントローラ又はデジタル信号プロセッサによって形成され得る。光電子センサー5は、評価ユニット10を備えることができ、当該評価ユニット10によって、反射された光線9は、スキャンポイント17A、17B、17Cとして評価されることができる(図3参照)。運転支援システム2は制御装置11をさらに備え、当該制御装置11は、例えば、動力車両1の電子制御ユニット(ECU)によって形成されることができる。制御装置11は、データ転送のために光電子センサー5に接続されている。データ転送は、例えば、動力車両1のデータバスを介して実施されることができる。
【0030】
図2は、光電子センサー5の概略図を示す。レシーバーユニット7はレンズ12を含み、当該レンズ12によって、反射光線9を集束させることができる。物体3で反射された光線9は、偏向ユニット13を介してレンズ12に反射される。本ケースにおいて、レシーバーユニット7は、第1レシーバー要素7a、第2レシーバー要素7b、及び第3レシーバー要素7cを備える。光線9が第1レシーバー要素7a、第2レシーバー要素7b、及び第3レシーバー要素7cにおいて両方受信されることができるように、光線9はレシーバーユニット7上に反射される。結果として、特に、物体3がレシーバー要素7a、7b、7cの各々内に捕捉されることが可能である。特に、これは、ずれを、特に角度偏差を、決定するために、それぞれの場合において、第1レシーバー要素7a、第2レシーバー要素7b、及び第3レシーバー要素7cにおいて物体3を比較することを可能にする。
【0031】
レシーバー要素7a、7b、7cは、光電子センサー5の垂直軸Aに沿って配置されている。光電子センサー5のセンサー画像14(図3参照)は、3つの平面を有し、当該3つの平面は、少なくとも3つのレシーバー要素7a、7b、7cによって形成される。その結果、第1レシーバー要素7aのスキャンポイント17Aは第1平面に配置され、第2レシーバー要素7bのスキャンポイント17Bは第2平面に配置され、第3レシーバー要素7cのスキャンポイント17Cは第3平面に配置される。
【0032】
図3は、光電子センサー5のセンサー画像14の概略図を示している。図3は、動力車両1が位置する道路15のセンサー画像14を画像化したものである。センサー画像14は、道路標示16を含む。特にそれらの反射性のために、道路標示16は、光線8を非常に有利に反射するのに適しており、その結果、これらはレシーバーユニット7によって受信され得る。道路標示16で反射された光線は、異なるレシーバー要素7a、7b、7cによってセンサー画像14内で受信される。評価ユニット10は、受信した光線をセンサー画像14におけるスキャンポイント17A、17B、17Cとして表し、スキャンポイント17A、17B、17Cをそれぞれ対応するレシーバー要素7a、7b、7cに割り当てる。本例において、第1レシーバー要素7aに割り当てられたスキャンポイント17Aはプラス記号で表され、第2レシーバー要素7bに割り当てられたスキャンポイント17Bは本ケースでは円で表され、第3レシーバー要素7cに割り当てられたスキャンポイント17Cは本ケースでは正方形で表されている。
【0033】
センサー座標系Sが、レシーバーユニット7の第1レシーバー要素7aのスキャンポイント17Aのうちの少なくとも2つによって決定されるようになっている。代替として又はそれに加えて、センサー座標系Sはまた、第2レシーバー要素7bの少なくとも2つのスキャンポイント17Bによって及び/又は第3レシーバー要素7cの少なくとも2つのスキャンポイント17Cによって、決定され得る。特に、光電子センサー5のセンサー画像14のスキャンポイント直線17Gが、それぞれのスキャンポイント17A、17B、17Cを通って配置され、センサー座標系Sが、スキャンポイント直線17Gによって決定されることができるようになっている。図3から分かるように、異なるレシーバー要素7a、7b、7cについて決定された複数のスキャンポイント直線17Gは、平行に整列され、その結果、同じ水平角を有する。
【0034】
参照座標系Rは、第1レシーバー要素7aのスキャンポイント17Aの1つを使用して且つ第2レシーバー要素7bのスキャンポイント17Bの1つを使用して、あるいは代替的に又は追加的に1つのスキャンポイント17Cを使用して、決定される。第1レシーバー要素7aのスキャンポイント17Aの選択に応じて、第2レシーバー要素7bのスキャンポイント17B及び/又は第3レシーバー要素7cのスキャンポイント17Cが指定される。ここで、特に、スキャンポイント17A、17B、17Cが、同じ立体角を有するようになっており、又は、時間に関してセンサー画像に割り当てられた第1レシーバー要素7aの第1スキャンポイント17Aが選択される場合に、時間に関してセンサー画像に割り当てられた第2及び/又は第3レシーバー要素7b、7cの第1スキャンポイント17B、17Cが、また選択されるようになっている。センサー座標系Sは参照座標系Rと比較され、その比較に応じて、光電子センサー5の少なくとも1つの角度偏差が決定される。
【0035】
さらに、第1レシーバーユニット7aのスキャンポイント17Aのうちの1つ及び第2レシーバーユニット7bの対応するスキャンポイント17Bを通って参照直線18が配置されるようになっており、参照座標系Rが参照直線18によって決定されるようになっている。特に、角度偏差は、参照座標系Rの参照直線18とスキャンポイント直線17Gとの間の角度として、決定されるようになっている。特に、角度偏差は、上記のように、異なるレシーバー要素7a、7b、7cの異なるスキャンポイント17A、17B、17Cによって決定された角度偏差の多重度の平均値として、形成されるようになっている。本例は、特に、ヨー角αが角度偏差としてどのように決定され得るかを強調し、ヨー角αは、特に、垂直軸Zの周りの光電子センサー5の回転である。
【0036】
図4は、センサー画像14の更なる概略斜視図を示している。本例では、特に、光電子センサー5のピッチ角βを決定することが可能である。ピッチ角βは、特に、横軸Yを中心とした光電子センサー5の回転である。さらに、動力車両1は、縦軸X及び垂直軸Zを有することができる。図4に見られるように、センサー座標系Sは、スキャンポイント17A、17B、17Cのスキャンポイント直線17Gによって決定されることができる。特に、参照直線18は、それぞれ対応するスキャンポイント17A、17B、17Cによって生成されることができる。特に、スキャンポイント直線17Gと参照直線18との間の角度偏差は、本ケースでは、ピッチ角βとして決定されることができる。例として、複数のピッチ角β及び/又はヨー角αが決定される場合、角度偏差は、特に、個々のピッチ角β及び/又はヨー角αの平均値によって、決定されることができる。
【0037】
特に、光電子センサー5が、決定された角度偏差に基づいて較正又は修正されるようになっている。特に、光電子センサー5の評価ユニット10は、この目的のために角度偏差を決定して、適切に修正された後者を制御装置11に送信することができる。特に、これは、光電子センサー5の情報の改善された評価が、制御装置11に利用可能になり、したがって、道路交通における安全性を高めることができることを可能にする。
【0038】
特に、角度位置α、βが、動力車両1の運転操作中に決定されるようになっている。
【0039】
特に、スキャンポイント17A、17B、17Cは、動力車両1が配置されている道路15の道路標示16から生じさせることができる。しかしながら、動力車両1が位置する道路15の壁、特にトンネル壁、からの及び/又は道路安全バリアからのスキャンポイント17A、17B、17Cも可能である。
【0040】
さらに、ヨー角α及びピッチ角βは、それぞれ角度偏差として決定されることが可能であり、ヨー角αは、光電子センサー5の第1プロセッサーコア上で決定されることができ、ピッチ角βは、光電子センサー5の第2プロセッサーコア上で決定されることができる。
図1
図2
図3
図4