(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】風力タービンブレード製造用外周プレート
(51)【国際特許分類】
F03D 80/00 20160101AFI20220221BHJP
F03D 13/10 20160101ALI20220221BHJP
B29C 43/12 20060101ALI20220221BHJP
B29C 70/06 20060101ALI20220221BHJP
B29C 70/44 20060101ALI20220221BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20220221BHJP
【FI】
F03D80/00
F03D13/10
B29C43/12
B29C70/06
B29C70/44
B29K105:08
(21)【出願番号】P 2020561789
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 US2018050667
(87)【国際公開番号】W WO2019212587
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-09-07
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520005303
【氏名又は名称】ティーピーアイ コンポジッツ,インコーポレーティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,カーク,エム.
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07204951(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0274563(US,A1)
【文献】特表2020-526414(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/00
F03D 13/10
B29C 43/12
B29C 70/06
B29C 70/44
B29K 105/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービンブレードを製造する方法であって、
複数の脱着可能なプレートを提供する工程であり、前記脱着可能なプレートは、前記風力タービンブレードの成形型の前縁及び後縁のうちの少なくとも1つに沿って配置され、前記複数の脱着可能なプレートの少なくとも1つの脱着可能なプレートは、その中に形成された複数のチャネルを有し、前記複数の脱着可能なプレートは、真空バッグ及び成形型と併せて空気流チャネルを設置するように構成された、前記複数の脱着可能なプレートを提供する工程と、
前記複数の脱着可能な
プレートのうち第1のプレートが前記風力タービンブレードの成形型の平坦な表面に配置される工程と、
前記複数の脱着可能な
プレートのうち第2のプレートが
前記第1のプレートに隣接して配置され、前記風力タービンブレードの成形型の平坦な表面から傾斜した表面まで伸長される工程と、
前記風力タービンブレードの成形型の外周の周りに真空のシールを提供する工程と、
前記複数の脱着可能なプレート内の前記チャネルを通して前記風力タービンブレードの成形型から空気を除去する工程と、を備え、
前記複数の脱着可能なプレートのうち
前記第1のプレートは、前記脱着可能なプレートの上面に形成された前記複数のチャネルのうち第1のチャネルと、前記脱着可能なプレートの下面に形成された前記複数のチャネルのうち第2のチャネルと、を含み、前記複数の脱着可能なプレートのうち、前記第1のプレートを通して空気が流れるように、前記第1のチャネルと前記第2のチャネルとの交差点に形成された貫通穴を有する方法。
【請求項2】
前記複数の脱着可能なプレートは、前記風力タービンブレードの成形型の高圧側に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の脱着可能なプレートは、前記後縁に沿って配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の脱着可能なプレートは、前記前縁上の約4メートルのスパン方向の位置に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の脱着可能なプレートのうち前記第1のプレートは、前記複数の脱着可能なプレートのうち前記第2のプレートより高い剛性を示ように、形成されてる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のプレートは、約5インチの幅と、約48インチの長さとを有し、前記第2のプレートは、約8インチの幅と、約60インチの長さとを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のプレートは、前記空気の除去時、全体的に平面のままである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のプレートは、前記空気の除去時、輪郭が描かれた形状と一致する、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記前縁のプレート及び後縁のプレートと係合する複数の先端プレートを提供する工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条に基づき、2018年5月4日付出願米国仮出願第62/667、059号に対する優先権の利益を主張し、その全体の内容が参照することによって本願に組み込まれている。
【0002】
本開示の主題は、繊維強化高分子複合材料製造業の製品、例えば、風力タービンブレードのためのシステム及び対応する方法に関する。具体的には、本開示の主題は、再利用可能なプレートを提供して、複合材料製品の製造時に用いられる真空バッグの外周の下に空気流路を提供する。
【背景技術】
【0003】
風力タービンブレードの製造に関して様々な方法及びシステムが知られている。通常、オートクレービングと比較して低コストであるため、風力タービンブレードの製造において真空補助樹脂トランスファ成形(VARTM)プロセスが広く利用されている。成形型に充填する工程中において真空出口を介して、低圧又は負圧の真空が成形型キャビティに生成され、それによって、その成形型キャビティを充填するために入り口チャネルを介して液体高分子がその成形型キャビティに引き込まれる。流頭が真空チャネルに向かって移動するので、負圧により高分子がその入り口チャネルから成形型キャビティ中であらゆる方向に分散する。真空注入技術では、通常、真空バッグの形態において剛性のある成形型部分と弾性のある成形型部分とが用いられる。
【0004】
樹脂トランスファ成形(RTM)は、VARTMに類似した製造方法である。RTMにおいて、成形型キャビティで生成される真空によって液体樹脂はその成形型キャビティに引き込まれない。代わりに、液体樹脂は、入り口側における超過圧力によって成形型キャビティの中に強制的に注入される。
【0005】
プレプレグ成形は、強化繊維が予め触媒された樹脂を用いて事前に含侵される方法である。その樹脂は、通常、常温で固体又はほぼ固体である。プレプレグは、成形型表面上に手動又は機械によって配置され、真空袋詰めされ、次に、その樹脂は、再流動が可能となる温度まで加熱され、最終的に硬化する。この方法の主な利点は、繊維材料中の樹脂含有量が前もって正確に設定されることである。プレプレグは、作業が簡便で汚れがなくきれいであり、自動化及び省力化を実現可能にする。プレプレグの不利な点は、事前に含侵されていない繊維よりも材料費が高いことである。さらに、コア材料が、樹脂を再流動させるために必要なプロセス温度に耐えることができる材料で作られる必要があることである。プレプレグ成形は、RIMプロセス及びVARTMプロセスの両方と関連して用いてもよい。
【0006】
いくつかの例示的な注入技術が米国特許第9、599、094号及び第8、123、883号に開示されており、それぞれの全体が本願に参照により組み込まれている。その従来技術では、上側又は吸引側(SS)ブレードの成形型と下側又は圧力側(PS)ブレードの成形型の両方の端部に沿って外周バッグを施し、また、通気布がその周囲に編まれたロープをその成形型の周囲全体に設置する必要がある。次に、上記のサブアッセンブリの上に通気布の層を追加し、その通気布の層をその成形型の周囲全体に伸張することが同様に必要とされる。また、非研磨テープが前縁に沿ってその成形型の半分に設置される。従来の手法においては、部品から成形までプラスチックの外周バッグを配置する際、空気を除去するのに役立つ空気チャネルを設けるために、これらの材料/層のすべてが必要とされる。しかしながら、これに伴う問題は、この材料すべてが各製造に際して廃棄されることであり、ブレード当たり数百ドルの費用となる場合が多い。
【0007】
従って、部品から成形までプラスチックの外周バッグを配置する際の空気の除去を促進するための空気チャネルを設置するための効率的で経済的な方法及びシステムが依然として必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示の主題の目的及び利点は、以下の記述で説明され、その記述で明らかとなるであろうし、また、本開示の主題の実施によって習得されるであろう。本開示の主題のさらなる利点は、その明細書と特許請求の範囲において、及び添付の図面から具体的に示された方法とシステムにより実現、達成されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これら及び他の利点及び本発明の目的を達成するため、開示された主題の目的によれば、具体化されかつ広範囲に説明したように、開示された主題は、風力タービンブレードを製造する方法を含んでいる。本方法は、複数の脱着可能なプレートを提供する工程であって、前記脱着可能なプレートは、前記風力タービンブレードの成形型の前縁及び後縁のうちの少なくとも1つに沿って配置され、少なくとも1つの脱着可能なプレートは、その中に形成された複数のチャネルを有し、前記脱着可能なプレートは、真空バッグ及び成形型と併せて空気流チャネルを設置するように構成される工程と、前記風力タービンブレードの成形型の外周の周りに真空のシールを提供する工程と、前記脱着可能なプレート内の前記チャネルを通して前記風力タービンブレードの成形型から空気を除去する工程とを備える。
【0010】
いくつかの実施形態において、前記脱着可能なプレートは、前記風力タービンブレードの成形型の高圧側に配置され、前記脱着可能なプレートは、前記後縁に沿って配置される、および/または前記脱着可能なプレートは、前記前縁上の約4メートルの位置に配置される。
【0011】
いくつかの実施形態において、第1のプレートが形成され、第2のプレートより高い剛性を示し、前記第1のプレートは、約5インチの幅と、約48インチの長さとを有し、第2のプレートは、約8インチの幅と、約60インチの長さとを有する。また、前記第1のプレートは、空気の除去時、全体的に平面のままであり、前記第2のプレートは、空気の除去時、輪郭が描かれた形状と一致する。
【0012】
いくつかの実施形態において、先端プレートを提供する工程であって、前記前縁のプレート及び後縁のプレートと係合する前記先端プレートを提供する工程をさらに備える。さらに、前記脱着可能なプレートは、上側の表面及び下側の表面の両方に形成されるチャネルを含むことができる。
【0013】
本発明の他の形態によれば、風力タービンブレードを形成するための装置は、複数の脱着可能なプレートであって、前記脱着可能なプレートが、前記風力タービンブレードの成形型の前縁と後縁のうちの少なくとも1つに沿って配置され、少なくとも1つの脱着可能なプレートは、その中に形成される複数のチャネルを有し、前記脱着可能なプレートは、真空バッグ及び成形型内の空気を除去するための空気流チャネルを設置するように構成される複数の脱着可能なプレートを備える。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記チャネルは、前記脱着可能なプレートの下端部に対して約45度の角度で形成され、および/または、前記チャネルは、前記脱着可能なプレートの表面全体に渡って約5インチの距離を隔てて等間隔に配置される。
【0015】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのチャネルは、別のチャネルとは異なる深さで形成され、たとえば、前記チャネルの深さは前記脱着可能なプレートの幅の半分である。いくつかの実施形態において、前記脱着可能なプレートは、上面と下面の両方に形成されたチャネルを含むことによって、前記脱着可能なプレートの前記上面のチャネルと前記脱着可能なプレートの前記下面のチャネルとの交差点に貫通穴が形成される。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記脱着可能なプレートの各面に複数のチャネルを形成可能であり、第1のチャネルは第1の配向を有し、第2のチャネルは異なる配向を有する。
【0017】
いくつかの実施形態において、全体的にV字状のプロファイルを有し、前記脱着可能なプレートと当接する構成で配置される脱着可能な先端プレートをさらに有する。いくつかの実施形態において、前記脱着可能なプレートは、高密度ポリエチレン(HDPE)、PPG系ポリエーテルエラストマーポリウレタン及び/又はそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから作製される。
【0018】
前述の全般的な説明及び以下の詳細な説明は、共に、例示であり、特許請求された本開示の主題のさらなる説明を提供することを意図するものであることを理解されたい。
【0019】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成している添付の図面は、本開示の主題の方法及びシステムを図で示し、さらなる理解を提供するために含まれている。説明と共に、図面は、本開示の主題の原理を説明するのに役立つ。
【0020】
本明細書中に記載された本主題の様々な態様、機構、及び実施形態の詳細な説明は、添付の図面を参照して提供されており、以下に簡潔に説明されている。図面は、例示的であり、必ずしも原寸に比例して描かれてなく、一部のコンポーネント及び機構は明確さのために誇張されている。図面は、本主題の様々な態様及び機構を例示しており、本主題の1つ以上の実施形態又は事例を全体的に又は部分的に説明する場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】風力タービンブレードの製造時に用いられる従来の真空バッグを示す。
【
図2】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図3】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図4】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図5】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図6】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図7】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図8】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図9】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図10】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図11】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図12A】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図12B】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図12C】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図13A】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図13B】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図14A】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【
図14B】風力タービンブレードの製造用の真空バッグと併せて使用するための脱着可能で再利用可能なプレートの例示の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、本開示の主題の例示の実施形態を詳細に参照し、その一例を添付の図面に示す。本開示の主題の方法及び対応する工程をシステムの詳細な説明と併せて説明する。
【0023】
複合成形型(例えば、風力タービンブレード)において、真空バッグと併せて空気チャネルを設置する方法が
図1に示されており、ブレードシェルが袋から出された後、ロープと通気布とが成形型の周りに配置される。次に、真空を与えて複合シェルを所定の位置に保持するために外周バッグが必要となる。その後、これらの消耗材の全ては、リサイクル又は再利用するのに十分な保全性を提供しないので、取り外して廃棄しなければならない。
【0024】
本開示の態様に従って、これらの消耗材は、真空バッグの内部及び全体を通して空気が流動するための空気チャネルを形成する表面構造を有するプレートに置き換えられ、通常、真空バッグの端部に設置されている出入口(例えば、バルブ)から空気を除去することを可能にする。これにより、廃棄物が低減され、設置と除去が速くなり、多くのブレードの製造に対して再利用が可能となる。この新規な装置と方法の付加的な利点は、再利用可能なプレートを全てのブレードの型に、そして無期限に使用することができることである。
【0025】
再利用可能なプレートの例示の実施形態を
図2乃至
図14Bに示す。各プレートの長さ及び幅は、i)成形型のフランジの幅により、およびii)プレートを取り出すとき障害物をもたらす成形型の機構を考慮にいれながら最大限に設置と除去を容易にするために決定される。
【0026】
風力タービンブレードの成形型によっては、クランプが、成形型の大部分の周りに2メートル置きに配置され、フランジ幅は200mmである。そのような用途においては、幅5インチで長さ48インチにすることができる第1の(例えば、プラスチック)プレートと、幅8インチで長さ60インチのシリコンの第2の(シリコン)プレートとを使用することができる。第1のプレートは、第2のプレートよりも高い剛性を示すように形成され、袋詰め材料で覆われた平坦な表面に配置される。第2のプレートは、平坦な表面から傾斜した表面(例えば、クランプ端部)まで伸長し、そのため(
図14A及び
図14Bに示されるような)下地表面の非線形輪郭に適合するために十分な柔軟性が必要とされる。
【0027】
材料費を節約し、製造のサイクルタイムを迅速化するために、供給源プレート(10)を提供することができ、本開示の技術に従って使用するための複数の脱着可能なプラスチックプレート(20)をそのプレートから形成することができる。
図2乃至
図4に示すように、供給源プレート(10)は、約96インチx48インチx0.25インチの寸法で提供される。この供給源プレート(10)から、本開示の技術に従って使用するために、複数(すなわち、図示の実施形態では18枚)の個別の脱着可能なプレート(20)を機械加工又は切断することができる(単一の脱着可能なプレート(20)を
図6に示す)。一連の分割ライン又は分割マーカー(100)が、供給源プレート(10)の下端部に対して約90度の角度に形成されている。図示のように、分割マーカー(100)は、プレートの供給源プレート(10)の表面全体に渡って、約5インチの距離を隔てて等間隔に配置されてもよい。図示の実施形態において、分割マーカー(100)は、約0.09(又は3/16)インチ幅の開口部又は厚み(t)で形成されている。
【0028】
本開示の態様に従って、各外周プレートの溝又はチャネルのパターンは柔軟性を有している。
図2乃至
図14に示す例示の実施形態において、溝又はチャネルは、使用された各プレートの両側(すなわち、上面及び下面)に形成された。このチャネルの構成は、プレートが成形型の外周に沿ってどの配向及びどの位置にも配置できるという点で利点を有している。例えば、一連のチャネル(200)は、プレートの下端部に対して約45度で形成されてもよい。図示のように、チャネル(200)は、プレートの表面全体に渡って、約5インチの距離隔てて等間隔に配置されてもよい。
【0029】
実施形態によっては、チャネル(200)は、すべて同等の深さで構成されている。しかしながら、実施形態によっては、ある組のチャネルは、別の組のチャネルとは異なる深さで形成されてもよい。実施形態によっては、チャネルの深さは、材料の両側から材料の幅の半分であり、これにより、空気が上部から底部まで部品を通って流れることを可能にする一方の側から他方の側までの貫通穴を交差点に形成できる。さらに、実施形態によっては、チャネルの深さは、ランダムに又は個別のパターン(例えば、勾配)等で、プレートに渡って変動してもよい。図示のように、
図6に示すように、チャネル(200)はプレートの表面全体に渡って、約2インチの距離隔てて等間隔に配置されてもよい。実施形態によっては、プレート(20)の各表面において、複数のチャネルが異なる配向を有して形成されてもよい。(例えば、交互になる方向又はプレートの各表面上に交差点を形成するように集中する方向を有するチャネル)図示の例示の実施形態に加えて、任意の配向において、部品から真空ポートまで空気が流動することを可能にするより多い/より少ないチャネルが本開示の範囲内で可能である。これに加えて/代わりに、チャネル(200)の代わりに又はチャネル(200)に追加して、一連の突出部(例えば、隆起したバンプ)を形成することによって空気流路を設置してもよい。
【0030】
本開示に従って、脱着可能で再利用可能な外周プレートの溝又はチャネルのパターンは調整可能である。
図13及び
図14に示すように、交互に方向を変化させて、プレートを通過して交差するチャネル(200)がプレートの両側に形成されている。その結果、プレートの厚さを貫通して伸長する複数の貫通穴(202)が交差点に形成される。これらの開口部(202)は、風力タービンブレードの製造中において空気を成形型及び真空バッグから引き出すことを可能にする。これらの開口部(202)及びチャネルは、真空を印加したとき、プラスチックバッグがその中のボイドの中に吸い込まれることを阻止する/防止するように大きさが調整されている。実施形態によっては、バッグがボイドの中に吸い込まれることをさらに阻止する/防止するために、開口部及び/又はチャネルの端部にOリング又はリップ部を組み込んで、プレートとバッグとの間の摩擦を増大させることができる。これにより、プレートを成形型の外周に沿って任意の場所で任意の配向で配置することが可能になる。
【0031】
さらに、
図6に示すように、プレートの末端は、面取りされるか丸みが付けられ、わずかな曲線を回って輪郭を描くことができる。プレート(20)の全てのチャネル(200)及び鋭利な端部は丸みが付けられて、チャネル(200)及び鋭利な端部の上に広がって外周バッグを形成するプラスチックバッグに穴が開くことを防止している。通常、各パネル(20)は、互換性があるように構成されている。ブレードの成形型の前縁及び後縁の周りでの使用が意図されているプレート(20)に加えて、全体的にV字状でタイトな半径に適合するように切断されている先端プレート(30)も形成可能である。
図8を参照のこと。これらの先端プレートは、上面と下面の両方に、上記のチャネル(200)に対応する一連のチャネルを有する。設置された際に、先端プレート/先端片は、前縁部分及び後縁部分に当接/係合する。換言すると、各パネルは、他の部分とは独立しており、隣接部分から分離して再配置/取り外すことができる。これに加えて、先端片は、プレートのように、例えば、0.25インチの均一な厚さで形成される。
【0032】
脱着可能で再利用可能なプレートは、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、及び/又はPPG系ポリエーテルエラストマーポリウレタンから作製してもよい。他の材料を用いることができることを当業者は理解するであろうが。適切な材料の範囲を定める要因としては、コスト、耐久性、化学薬品に対する耐性、熱変形温度、吸水、可撓性、硬度、及び硬化時間が挙げられる。
【0033】
稼働時、図示の例示のブレードに対して、脱着可能で再利用可能なプレート(20)は、ブレードの高圧側で使用され、後縁、先端に沿って、及び前縁上の4メートルの位置(例えば、根元から測定して)に配置される。図示の特定の実施形態のブレードの設計/輪郭では、ブレードの平坦な表面上にプラスチックプレートを使用するように構成されている。ブレードスパンに沿った4メートルの位置において、圧力側シェルの前縁上で、表面は、平坦な表面、角度が付いた表面、及びこの領域を覆うために、より可撓性を有する、例えば、シリコンプレートを必要とする平坦な表面の間で遷移する。付属のリターンフランジがない成形型の形状に対しては、平坦なプレートを使用することができ、付属のリターンフランジがあり、表面輪郭に遷移がある成形型形状に対しては、可撓性があるプレートが使用される。さらに、脱着可能で再利用可能なプレートは、ブレードの吸い込み側に使用され、前縁、後縁及び先端の両方に沿って配置されている。本開示の別の態様に従って、より柔らかい材料(例えば、シリコン)で形成されている脱着可能で再利用可能なプレートは、4メートルから先端までの圧力側、根元の全体、及び根元全体の吸い込み側で使用されてもよい。プラスチックプレートは、平坦で成形型の形状に対応する領域で使用される。シリコンプレートは、成形型のフランジ及びクランプ端部を覆う必要がある領域、また形状が円形の根元において使用される。しなやかで柔軟な性質を考慮すると、シリコンプレートは、プラスチックプレートよりも成形型の表面の輪郭に合わせ易い。例えば、
図14A及び
図14Bは、真空圧ドローダウン前(左側)と真空圧ドローダウン後(右側)の両方の、圧力側ブレードシェルの前縁に沿って配置された幅8インチで長さ5フィートのシリコンプレートを示す。図示のように、しなやかなシリコンプレートは、クランプ端部に適合して上に、ボンドキャップフランジボルト孔まで又はそれより上に曲がっている。
【0034】
本開示の態様に従って、脱着可能な外周プレートは、製造部品から容易に取り外され、製造時に使用される消耗品を削減し、真空バッグを切断する必要がないので、負傷のリスクを低減する。従って、開示のプロセスは、複合材料製品の製造時に使用された設備と消耗品の分解と取り外しを促進する。
【0035】
再利用可能な外周プレートの装着時、プレートを保持及び/又は供給する供給カートを成形型の外部に配置してもよい。プレート供給カートは、移動可能で、製造現場のブレードの成形型のそばに配置してもよい。代わりに、プレート供給カートは、プレートが、供給され、ディスペンサの一部のステアリング機構の案内に基づいて、又は手動による配置によって、所定の位置に降下できるように(上方から吊り下げるか、あるいは足場又は脚柱のような機構を設けて製造現場の床から引き上げるかして)上昇してもよい。実施形態によっては、脱着可能なプレートは、
図12A乃至12Cに示すように、並んで当接する構成で成形型に装着される。
【0036】
本開示の技術の好適な設定は、エポキシ樹脂部品とポリエステル樹脂部品の製造である。例示の実施形態では、風力タービンブレードの製造に焦点を合わせているが、このプロセスは他の複合材料部品、例えば、船舶、輸送機関、乗り物、彫像、航空機/軍用品、公共インフラ、建築、電化製品/事業製品、民生品、耐腐食設備、及び電気部品設備の製造に用いることができる。
【0037】
本開示の主題が、特定の好適な実施形態に関して本明細書中に説明されているが、当業者は、それの範囲から逸脱することなく本開示の主題に対して様々な修正及び改善を行うことができることを理解するであろう。さらに、本開示の主題の一実施形態の個別の機能は、その中で説明されるか、又は一実施形態の図面に示され、他の実施形態では示されない場合があるが、一実施形態の個別の機能を、別の実施形態の1つ以上の機能又は複数の実施形態からの機能と組み合わせることができることは明白である。
【0038】
下記で特許請求されている特定の実施形態に加えて、本開示の主題は、下記で特許請求されている従属的な機能と上記で開示された機能とのあらゆる他の可能性のある組み合わせを有する他の実施形態も対象とする。従って、従属請求項に提示されかつ上記で開示された特定の機能は、本開示の主題の範囲内で他の方法で互いに組み合わせることが可能であり、本開示の主題があらゆる他の可能性のある組み合わせを有する他の実施形態も特に対象としているとして認識されるべきである。従って、本開示の主題の特定の実施形態の上記の説明は、例示と説明のために提示されてきた。網羅的であること又は開示された実施形態に本開示の主題を限定することを意図するものではない。
【0039】
本開示の主題の主旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の主題の方法及びシステムにおいて、様々な修正及び変形を行うことが可能であることは当業者に明らかであろう。従って、本開示の主題が、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内である修正及び変形を含むことが意図されている。