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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】発電機の固定子コア用の仮歯組立体
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20220221BHJP
   H02K 1/06 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
H02K15/02 D
H02K1/06 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020566839
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2019032655
(87)【国際公開番号】W WO2019231704
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】15/994,114
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ベル,シェーン
(72)【発明者】
【氏名】ホワイトナー,ランディ エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ヤフィー,ドナルド
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1999/29026(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/198324(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0001986(US,A1)
【文献】西独国特許出願公開第19747968(DE,A1)
【文献】中国特許出願公開第107872130(CN,A)
【文献】特開2012-125054(JP,A)
【文献】特開2014-158316(JP,A)
【文献】特開2011-109773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
H02K 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機の固定子コア用の仮歯組立体であって、
前記固定子コアが、歯を含むラミネーションを備え、
前記ラミネーションが、損傷領域を含み、
前記損傷領域が、前記歯の先端から開始して、前記ラミネーション内に径方向に延在する切り欠きを含み、
前記仮歯組立体は、テーパ形状を有する第1の仮歯と、テーパ形状を有する第2の仮歯とを含む、複数のテーパ付き仮歯片を含み、
前記複数のテーパ付き仮歯片は、前記仮歯組立体を形成するために一体に組付けられるように構成され、
前記仮歯組立体は、テーパ形状を有し、
前記仮歯組立体が前記損傷領域を充填して、前記仮歯組立体を前記損傷領域内に係止することを可能にするように、前記仮歯組立体の前記テーパ形状を構成した、
仮歯組立体。
【請求項2】
発電機の固定子コアであって、
歯を含むラミネーションと、
前記ラミネーションの損傷領域内に装着されるように構成された、請求項1に記載の仮歯組立体と、を備え、
前記損傷領域は、前記歯の先端から開始して、前記ラミネーション内に径方向に延在する切り欠きを含み、
前記仮歯組立体はテーパ形状を有し、
前記仮歯組立体の前記テーパ形状は、前記仮歯組立体が前記損傷領域を充填して、前記仮歯組立体を前記損傷領域内に係止することを可能にするように構成され
前記複数の仮歯片は、前記損傷領域内で一体に組み付けられ、その際、前記テーパ形状を有する仮歯組立体の幅広の端部が前記損傷領域の幅広の開口部内に配置され、かつ前記テーパ形状を有する仮歯組立体の幅狭の端部が前記歯の先端側で前記損傷領域の幅狭の開口部と整合されるようにした、
固定子コア。
【請求項3】
前記テーパ形状を有する仮歯組立体は、蟻継ぎ状係止構成で前記損傷領域内に係止されることを特徴とする請求項に記載の固定子コア。
【請求項4】
前記ラミネーションに当接す第1の仮歯の側面には、接着剤が取り付けられることを特徴とする請求項2又は3に記載の固定子コア。
【請求項5】
第1の仮歯に当接す第2の仮歯の側面には、接着剤が取り付けられることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の固定子コア。
【請求項6】
前記仮歯組立体は、エポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の固定子コア。
【請求項7】
発電機の固定子コアを修復する方法であって、前記固定子コアは、歯を含むラミネーションを備え、前記ラミネーションは損傷領域を含み、前記損傷領域は前記歯の先端から開始して、前記ラミネーション内に径方向に延在する切り欠きを備え、前記方法は、
請求項1に記載の仮歯組立体を提供するステップと、
前記仮歯組立体を前記損傷領域内に装着するステップと、を含み、
前記装着するステップでは、
第1の仮歯の幅広の端部を前記損傷領域内に装着し、
前記複数のテーパ付き仮歯片の残りを前記損傷領域内に装着し、
前記仮歯組立体の有するテーパ形状によって、前記仮歯組立体を前記損傷領域内に係止し、
前記損傷領域内で、前記複数のテーパ付き仮歯片を一体に組付けて、前記テーパ付き仮歯組立体の幅広の端部を前記損傷領域の幅広の開口部内に配置するとともに、前記テーパ付き仮歯組立体の幅狭の端部を前記歯の先端側で前記損傷領域の幅狭の開口部と整合されるようにした、
方法。
【請求項8】
前記仮歯組立体はテーパ形状を有する第2の仮歯を含み、前記装着ステップでは、前記第2の仮歯の幅狭の端部を前記損傷領域内に配置するように、前記第1の仮歯の装着後に前記損傷領域内に前記第2の仮歯を装着することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の仮歯は、前記損傷領域の径方向の長さよりも長く、前記方法は、さらに、前記損傷領域内への装着後に、前記歯の先端側で、前記第2の仮歯を切削することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項10】
装着前に、前記ラミネーションと当接する前記第1の仮歯の側面に接着剤を取り付けることを更に含むことを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
装着前に、前記ラミネーションと当接する前記第2の仮歯の側面に接着剤を取り付けることを更に含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記仮歯組立体を装着する前に、前記ラミネーション上の圧力を緩和することをさらに含む、請求項7から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記仮歯組立体を装着した後に、前記ラミネーション上の圧力を回復することをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、発電機の固定子コア用の仮歯組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
発電機は、機械的パワーを電気的パワーに変換する発電分野の装置である。発電機は、典型的に、固定子と回転子を含む。発電機の固定子に用いられる固定子コアには、複数の軸方向に延在するスロットが固定子コアの内周に沿って含まれ得る。そのスロット内には、固定子コアから絶縁されて、固定子巻線が配置されている。固定子コアの内側には、回転子を設けることができる。
【0003】
固定子コアは、複数群の積層された薄い金属製のラミネーション(積層体)から構成することができる。ラミネーションの内側部分には、複数の歯を有する歯形状が備えられることがある。発電機の動作中、ラミネーションは、様々な要因から損傷することが起こり得るが、例えば、局所的なホットスポットとして知られている局所的な高温や異物等によって損傷を被る。損傷は、歯の領域内で起こり得る。ラミネーションの歯が部分的または完全に損傷した領域内に、仮歯(差し歯)が装着されることがある。仮歯は、発電機の動作中に外れることなく、その領域内に留まる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮歯を所定位置に係止する方法は複数存在する。固定子コア用スロットくさび(ウェッジ)を使用して、仮歯を所定位置に機械的に係止することがある。また、特に、ステップアイロン領域等の固定子コア用スロットくさびが利用できない固定子コアの領域内では、エポキシ接着剤を使用して、仮歯を所定位置に係止することがある。発電機の固定子コア内に仮歯を適用することの懸念として、どれくらい長い期間、仮歯が所定位置に留まり続けて、発電機の動作中に意図した機能を可能にするのかということがある。固定子コアの任意の領域内の所定位置に仮歯を係止するために、容易でかつ簡単な方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
簡単に説明すると、本発明の態様は、発電機の固定子コアと、発電機の固定子コアを修復する方法と、発電機の固定子コア用の仮歯組立体と、に関する。
【0006】
本発明の一態様では、発電機の固定子コアを提供する。固定子コアは、歯を含むラミネーション(積層体)を備える。また、固定子コアは、ラミネーションの損傷領域内に装着されるように構成された仮歯組立体を備える。損傷領域は、歯の先端から開始して、ラミネーション内に径方向に延在する切り欠きを含む。仮歯組立体は、テーパ形状(先細り形状)を有する。仮歯組立体のテーパ形状は、仮歯組立体が損傷領域を充填して、仮歯組立体を損傷領域内に係止することを可能にするように構成される。
【0007】
本発明の一態様では、発電機の固定子コアを修復する方法を提供する。固定子コアは、歯を含むラミネーションを備える。ラミネーションは損傷領域を含む。損傷領域は、歯の先端から開始して、ラミネーション内に径方向に延在する切り欠きを含む。この方法は、仮歯組立体を提供するステップを含む。また、この方法は、仮歯組立体を損傷領域内に装着するステップを含む。仮歯組立体は、テーパ形状を有する。仮歯組立体のテーパ形状は、仮歯組立体が損傷領域を充填して、仮歯組立体を損傷領域内に係止することを可能にするように構成される。
【0008】
本発明の一態様では、発電機の固定子コア用の仮歯組立体を提供する。固定子コアは、歯を含むラミネーションを備える。ラミネーションは損傷領域を含む。損傷領域は、歯の先端から開始して、ラミネーション内に径方向に延在する切り欠きを含む。仮歯組立体は複数のテーパ付き仮歯片(仮歯部分)を備える。複数のテーパ付き仮歯片は、仮歯組立体を形成するために一体に組み付けられるように構成される。仮歯組立体は、テーパ形状を備える。仮歯組立体のテーパ形状は、仮歯組立体が損傷領域を充填して、仮歯組立体を損傷領域内に係止することを可能にするように構成される。
【0009】
上述し、以下で詳述される本発明に係る種々の態様および実施形態は、本明細書中で明示的に記載の組合せに限定されず、他の組合せによっても適用可能である。当業者であれば、本発明に係る説明を読解し、理解することで、様々な変更が可能であろう。
本発明に係る例示的な実施態様について、添付図面を参照して、以下において詳述する。
理解を容易にするために、各図面で共通する同一の構成要素については、可能であれば同一の参照番号を使用して示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態を実施可能な発電機の概略断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態を実施可能なラミネーションの概略平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態を実施可能な損傷領域を有するラミネーションの概略部分平面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に従って、ラミネーションの損傷領域内に装着される仮歯組立体の概略斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に従って、ラミネーションの損傷領域内に仮歯組立体を装着する仕方を、図5から図7で段階的に例示するための、ラミネーションの概略部分平面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に従って、ラミネーションの損傷領域内に仮歯組立体を装着する仕方を、図5から図7で段階的に例示するための、ラミネーションの概略部分平面図である。
図7図7は、本発明の実施形態に従って、ラミネーションの損傷領域内に仮歯組立体を装着する仕方を、図5から図7で段階的に例示するための、ラミネーションの概略部分平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の詳細な説明を、添付図面を参照して説明する。
図1を参照すると、発電機(ジェネレータ)100の概略断面図が示されている。発電機100は、回転子(ロータ)110と固定子(ステータ)200とを備えている。固定子200は、固定子コア(ステータコア)210を有する。回転子110は、固定子コア210の内側に設置されている。固定子巻線220は、固定子コア210の内側に配置することができる。固定子コア210は、複数の積層された薄い金属製のラミネーション(積層体)230から構成することができる。
【0012】
図2を参照すると、ラミネーション230の概略平面図が示されている。図2に示すように、ラミネーション230の内側領域は、複数の歯(凸状部)232からなる歯形状を有する。歯232は、歯232の先端(チップ)234に向って先細りにされたテーパ形状を有する。典型的には、ラミネーション230の損傷は、ラミネーション230の歯232の領域近傍で生じ、歯232の先端234側では損傷の可能性が比較的高い。損傷の発生にはさまざまな原因が考えられるが、例えば、局所的なホットスポットとも呼ばれる局所的な高温や異物が原因で発生する。
【0013】
図3を参照すると、歯232を有するラミネーション230の概略部分平面図が示されているが、歯232には損傷領域236が含まれている。図3に示すように、損傷領域236は、歯232の部分的な切り欠きであって、この切り欠きは、歯232の先端234から開始して、ラミネーション230の内部まで径方向(放射状)に延在している。例示のために図3に示した損傷領域236はテーパ(先細り)形状を有し、先端234側に幅狭の開口部を有するとともに、損傷領域236がラミネーション230の内部により深く径方向に延在するにつれて幅広の開口部を有している。なお、損傷領域236は、任意の形状を取り得ることを理解されたい。ラミネーション230の損傷領域236は、発電機100の正常な動作を確保するため、修復される必要がある。
【0014】
ラミネーション230の歯232の損傷領域236内に、仮歯(差し歯)を挿入することができる。仮歯は、発電機の動作中に外れることなく、損傷領域236内にとどまる必要がある。固定子コア用スロットくさびが利用可能な固定子コア210の領域では、固定子コア用スロットくさびを用いて仮歯を所定位置に機械的に係止する(ロックする)ことができる。ステップアイロン領域等のように、固定子コア用スロットくさびが利用できない固定子コア210の領域では、エポキシ接着剤を用いて、仮歯を所定位置に係止することができる。仮歯が、どれくらいの期間で損傷領域236内にとどまって、固定子コア210のラミネーション230の損傷領域236内に仮歯を適用した後に、発電機の動作中に意図した機能を行えるのかという点で、懸念がある。
【0015】
図4を参照すると、ラミネーション230の歯232の損傷領域236内に装着された、本発明の一実施形態に係る仮歯組立体(仮歯アセンブリ)300の概略斜視図が示されている。図4に示すように、仮歯組立体300は、第1の仮歯310と第2の仮歯320とを含むことができる。第1の仮歯310と第2の仮歯320は、ブロックレール形状を有する。第1の仮歯310は、幅狭の端部312と幅広の端部314とを有するテーパ形状を有する。第2の仮歯320は、幅狭の端部322と幅広の端部324とを有するテーパ形状を有する。テーパ形状の第1の仮歯310とテーパ形状の第2の仮歯320とは、互いに組付けられるとき、第1の仮歯310の幅狭の端部312が第2の仮歯320の幅広の端部324と位置合わせされるとともに、第1の仮歯310の幅広の端部314が第2の仮歯320の幅狭の端部322と位置合わせされるように、一体に組み付けられる。仮歯組立体300は、ラミネーション230の損傷領域236の形状に対応する形状を有することができる。例えば、仮歯組立体300は、テーパ形状の損傷領域236を充填するためのテーパ形状を有することができ、それによって、仮歯組立体300が損傷領域236全体を充填して、蟻継ぎ状(噛み合う)係止構成で仮歯組立体300を損傷領域236内に係止することを可能にする。例示のために図4に示した仮歯組立体300は、第1の仮歯310の幅狭の端部312と第2の仮歯320の幅広の端部324とからなる幅狭の端部を有する。また、仮歯組立体300は、第1の仮歯310の幅広の端部314と、第2の仮歯320の幅狭の端部322とからなる幅広の端部を有する。第1の仮歯310および第2の仮歯320は、エポキシ樹脂、マイカ、ファイバーグラス等の任意の適当な材料を含むことができる。例示した、図4の仮歯組立300は、2つの仮歯片310および320を含む。ただし、仮歯組立体300は、単一のテーパ付き仮歯であってもよく、または任意の数のテーパ付き仮歯片を含むことができることを理解されたい。
【0016】
図5乃至図7を参照すると、本発明の一実施形態に係る固定子コア210内のラミネーション230の損傷領域236内に、仮歯組立体300を装着する方法を段階的に示すため、ラミネーション230の概略部分平面図を順番に示している。まず、図5を参照すると、第1の仮歯310が、損傷領域236内に装着されている。第1の仮歯310の装着の仕方では、第1の仮歯310の幅広の端部314が、損傷領域236の幅広の開口部に向かうように、損傷領域236内に配置されている。第1の仮歯310の幅狭の端部312は、歯232の先端234側と整列されている。装着に先立って、第1の仮歯310は、ラミネーション230と当接する側面に接着剤が取り付けられて、装着後に第1の仮歯310がラミネーション230と固定されるようにしてもよい。第1の仮歯310のうち、第2の仮歯320と相互作用(当接)する側面についても、装着後に第2の仮歯320との緊密な組み付けを確保するため、装着前に接着剤が取り付けられてもよい。接着剤は、例えば、含浸樹脂、Dacron(登録商標)、Nomex(登録商標)、樹脂含浸型Dacron(登録商標)、樹脂含浸型Nomex(登録商標)等の任意の適切な接着剤を用いることができる。
【0017】
次に、図6を参照すると、第2の仮歯320が損傷領域236内に装着されている。第2の仮歯320は、その幅狭の端部322が損傷領域236の幅広の開口部に向かうように損傷領域236内に配置されている。第2の仮歯320の幅狭の端部322は、第1の仮歯310の幅広の端部314と位置合わせされる。第2の仮歯320は、緊密な組付用の工具を用いて、損傷領域236内に装着することができる。工具は、手工具または電動工具のいずれをも用いることができる。第2の仮歯320は、緊密な組立体を確保するために、歯232の損傷領域236の径方向の長さよりも長くすることができる。装着に先立って、第2の仮歯320は、ラミネーション230と当接する側面に接着剤を取り付けて、装着後に第2の仮歯320をラミネーション230に固定できるようにしてもよい。第2の仮歯320のうち、第1の仮歯310と相互作用する側面についても、装着後に第1の仮歯310と緊密な組立体を確保するために、装着前に接着剤を取り付けることができる。接着剤は、含浸樹脂、Dacron(登録商標)、Nomex(登録商標)、樹脂含浸型Dacron(登録商標)、樹脂含浸型Nomex(登録商標)等の任意の適切な接着剤を用いることができる。
【0018】
図7を参照すると、仮歯組立体300は、歯232の損傷領域236内に完全に組み付けられている。歯232の先端234から延出する第2の仮歯320の部分は、仮歯組立300が歯232の先端234で面一にされる(整合される)ように、先端234側で切削されている。仮歯組立体300は、テーパ形状を有する。第1の仮歯310および第2の仮歯320は、損傷領域236内で一体に組み付けられる際、テーパ付き仮歯組立体300の幅広の端部が、ラミネーション230内に延在する損傷領域236の幅広の開口部内に配置されるとともに、テーパ付き仮歯組立体300の幅狭の端部が、歯232の先端234側で損傷領域236の幅狭の開口部と面一にされている。テーパ付き仮歯組立体300は、仮歯組立体300がラミネーション230の損傷領域236全体を充填することを可能にする。そして、テーパ付き仮歯組立300は、蟻継ぎ状係止構成で、仮歯組立300を損傷領域236内に係止することを可能にする。装着前に、積層体230と当接する第1の仮歯310および第2の仮歯320の側面に接着剤を取り付けて、仮歯組立体300をラミネーション230と固定できるようにしてもよい。互いに相互作用する第1の仮歯310の側面と第2の仮歯320の側面についても接着剤を用いて、仮歯組立体300の緊密な組み付けを確実にしてもよい。
【0019】
仮歯組立体300を装着する前に、ラミネーション230に加えられる圧力を緩和して、仮歯組立体300の装着を容易にするためのスペースを確保してもよい。例えば、積層体230上の圧力をある程度緩和するように、ラミネーション230上の通気用スペーサを機械加工してもよい。ラミネーション230上の通気用スペーサは、例えば、3~5インチ(7.62~12.7cm)まで機械加工されてもよい。通気用スペーサの交換は、仮歯組立体300の装着後にラミネーション230上に設置されて、積層体230上の圧力を回復させてもよい。通気用スペーサの交換は、接着剤等を用いて、ラミネーション230上に緊密に取り付けられて、固定されてもよい。
【0020】
仮歯組立体300を装着する前に、固定子コア210に対して試験を実施して、固定子コア210の他の潜在的な損傷について識別してもよい。損傷領域236が適切に修復されることを確保するため、仮歯組立体300の装着後に固定子コア210に対して試験を行うこともできる。試験は、ループ試験等の、当該技術分野で公知の任意の適切な試験を行うことができる。
【0021】
一態様によれば、本発明に係る仮歯組立300は、固定子コア210内の損傷領域236を充填して、発電機100の動作中に外れることなく損傷領域236内にとどまる。本発明に係る仮歯組立体300は、テーパ形状を有することによって、仮歯組立体300が損傷領域236全体を充填して、蟻継ぎ状係止構成で仮歯組立体300を損傷領域236内に係止することを可能にする。仮歯組立体300は、単一のテーパ付き仮歯を有していてもよく、または複数のテーパ付き仮歯片を含むことができる。
【0022】
一態様では、本発明に係る仮歯組立体300は、固定子コア用スロットくさびが利用可能な固定子コア210の領域内では、発電機100の固定子コア210の損傷領域236を修復するために使用することができる。また、本発明に係る仮歯組立体300は、固定子コア用スロットくさびが利用できない固定子コア210の領域内、例えばステップアイロン(ステップ鉄)領域内では、発電機100の固定子コア210の損傷領域236を修復するために使用することができる。本発明に係る仮歯組立体300は、固定子コア210を分解および再組立することなく、固定子コア210の任意の領域内で発電機100の固定子コア210を修復するための容易かつ簡単な方法を提供する。本発明に係る仮歯組立体300は、発電機100の維持のために、大幅なコストの節約と大幅な効率の向上をもたらすことができる。
【0023】
本発明に係る教示内容を含む様々な実施形態について詳述し、図示したが、当業者であれば、これらの教示内容を含む多くの他の多様な実施形態を創到できるであろう。本発明は、例示した実施形態のうち、詳述し、図示した構成要素の構造又は配置の詳細に限定されない。本発明は、他の実施形態を用いて実施可能であり、他の様々な方法で実装または実施することができる。また、本明細書で使用される技術用語や専門用語は、説明上用いられており、本発明を限定するものではないことを理解されたい。「含む」、「有する」、または類似の使用は、それ以降に記載の構成要素、同等物、または追加物を包含することを意味する。特に指定または制限がない限り、「取り付け」、「接続」、「支持」、「結合」、または類似の用語は、広義に用いられており、直接的および間接的な取り付け、接続、支持、または結合を包含する。さらに、「接続」や「結合」は、物理的または機械的な接続または結合に制限されない。
【符号の説明】
【0024】
100:発電機
110:回転子(ロータ)
200:固定子(ステータ)
210:固定子コア(ステータコア)
220:固定子巻線
230:ラミネーション(積層体)
232:歯(凸状部)
234:歯の先端
236:損傷領域
300:仮歯組立体(仮歯アセンブリ)
310:第1の仮歯
312:第1の仮歯の幅狭の端部
314:第1の仮歯の幅広の端部
320:第2の仮歯
322:第2の仮歯の幅狭の端部
324:第2の仮歯の幅広の端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7