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特許7027603情報処理システム、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-18
(45)【発行日】2022-03-01
(54)【発明の名称】情報処理システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
B66B1/14 F
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021121811
(22)【出願日】2021-07-26
【審査請求日】2021-08-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大上 瑠里
(72)【発明者】
【氏名】滝 雅史
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-286653(JP,A)
【文献】特開2002-068611(JP,A)
【文献】特開2011-042444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-1/52
B66B 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行車から取得する、エレベータを前記自律走行車に関する運転のモードである専用運転モードに切り替えるための専用運転要求に基づいて、前記エレベータを制御するための複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記専用運転モードを制御するモード制御リレーを動作させるための信号を出力し、
前記自律走行車から取得する、前記自律走行車の位置に関する情報に基づいて、前記制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記自律走行車が所在する階への前記エレベータの移動を制御する移動要求リレーを動作させるための信号である移動要求信号を出力する信号出力部と、
前記モード制御リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記エレベータが前記専用運転モードに設定された状態を示す信号に基づいて、前記エレベータが前記専用運転モードに設定されたことを判定するモード判定部と、
前記制御盤から出力される、前記移動要求信号に応じて前記エレベータが前記所在する階に到着したことを示す信号である到着信号に基づいて、所定の時間内に前記到着信号を取得したか否かを判定する第1時間判定部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記信号出力部は、前記第1時間判定部において所定の時間内に到着信号を取得したと判定された場合、前記制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記エレベータのドアの開状態を継続させる開継続リレーを動作させるための信号である開信号を出力する、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記信号出力部は、前記第1時間判定部において所定の時間内に到着信号を取得しないと判定された場合、前記制御盤に対して、前記専用運転モードを解除するように、前記モード制御リレーを動作させるための信号の出力を解除する、
請求項または請求項に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記制御盤から出力される、前記エレベータのドアが開状態であることを示す信号であるドア開信号に基づいて、前記自律走行車に対して、前記エレベータに乗車が可能であることを示す乗車可能情報を送信する情報送信部と、
前記自律走行車から送信される、前記自律走行車が前記エレベータ内に移動したことを示す乗車完了情報を、所定の時間内に取得したか否かを判定する第2時間判定部と、
をさらに備える請求項1から請求項のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第2時間判定部において所定の時間内に前記乗車完了情報を取得しないと判定された場合、前記自律走行車から送信される、前記自律走行車の位置に関する位置情報に基づいて、前記自律走行車が前記エレベータのドアが閉まる際に当該ドアと接触するか否かを判定する位置判定部をさらに備える、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記信号出力部は、前記位置判定部において前記自律走行車が前記エレベータのドアと接触しないと判定された場合、前記制御盤に対して、前記専用運転モードを解除するように、前記モード制御リレーを動作させるための信号の出力を解除する、
請求項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記専用運転モードは、前記エレベータに対するユーザの操作入力を受け付けないモードである、
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
コンピュータが、
自律走行車から取得する、エレベータを前記自律走行車に関する運転のモードである専用運転モードに切り替えるための専用運転要求に基づいて、前記エレベータを制御するための複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記専用運転モードを制御するモード制御リレーを動作させるための信号を出力することと、
前記自律走行車から取得する、前記自律走行車の位置に関する情報に基づいて、前記制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記自律走行車が所在する階への前記エレベータの移動を制御する移動要求リレーを動作させるための信号である移動要求信号を出力することと、
前記モード制御リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記エレベータが前記専用運転モードに設定された状態を示す信号に基づいて、前記エレベータが前記専用運転モードに設定されたことを判定することと、
前記制御盤から出力される、前記移動要求信号に応じて前記エレベータが前記所在する階に到着したことを示す信号である到着信号に基づいて、所定の時間内に前記到着信号を取得したか否かを判定することと、
を実行する方法。
【請求項9】
コンピュータに、
自律走行車から取得する、エレベータを前記自律走行車に関する運転のモードである専用運転モードに切り替えるための専用運転要求に基づいて、前記エレベータを制御するための複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記専用運転モードを制御するモード制御リレーを動作させるための信号を出力することと、
前記自律走行車から取得する、前記自律走行車の位置に関する情報に基づいて、前記制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記自律走行車が所在する階への前記エレベータの移動を制御する移動要求リレーを動作させるための信号である移動要求信号を出力することと、
前記モード制御リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記エレベータが前記専用運転モードに設定された状態を示す信号に基づいて、前記エレベータが前記専用運転モードに設定されたことを判定することと、
前記制御盤から出力される、前記移動要求信号に応じて前記エレベータが前記所在する階に到着したことを示す信号である到着信号に基づいて、所定の時間内に前記到着信号を取得したか否かを判定することと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のかごを備えるエレベータを利用者とロボットとが利用する場合に、利用者がロボットよりもエレベータを優先的に利用できるようにエレベータを制御する制御装置が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6569819号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の制御装置では、鉛直投影面上において重なる第1かごと第2かごとを備えたエレベータに対して、利用者が呼び出したものか、ロボットが呼び出したものかを判定する。当該制御装置は、利用者によるかごの呼び出しに対する応答を、ロボットによるかごの呼び出しに対する応答よりも優先して、第1かごの走行と第2かごの走行とを制御する。これにより、当該制御装置は、利用者の利便性を損なうことなく、利用者とロボットとを区別して異なるかごに乗車させて、利用者の安全性を担保することができる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の制御装置では、エレベータをロボットに関する運転モードに設定する機能を備えていないため、利用者の安全を十分に担保することができない虞があった。また、当該制御装置は、エレベータの制御盤に汎用的に利用されるリレーによる制御を行う構成を有していないため、個々のエレベータに依存した制御装置となることから、汎用性が低い。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みて、自律走行車が利用するエレベータについて、利用者の安全性を担保しつつ汎用性のある制御を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、自律走行車から取得する、エレベータを前記自律走行車に関する運転のモードである専用運転モードに切り替えるための専用運転要求に基づいて、前記エレベータを制御するための複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記専用運転モードを制御するモード制御リレーを動作させるための信号を出力する信号出力部と、前記モード制御リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記エレベータが前記専用運転モードに設定された状態を示す信号に基づいて、前記エレベータが前記専用運転モードに設定されたことを判定するモード判定部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る方法は、コンピュータが、自律走行車から取得する、エレベータを前記自律走行車に関する運転のモードである専用運転モードに切り替えるための専用運転要求に基づいて、前記エレベータを制御するための複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記専用運転モードを制御するモード制御リレーを動作させるための信号を出力することと、前記モード制御リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記エレベータが前記専用運転モードに設定された状態を示す信号に基づいて、前記エレベータが前記専用運転モードに設定されたことを判定することと、を実行する。
【0009】
自律走行車から取得する、エレベータを前記自律走行車に関する運転のモードである専用運転モードに切り替えるための専用運転要求に基づいて、前記エレベータを制御するための複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記専用運転モードを制御するモード制御リレーを動作させるための信号を出力することと、前記モード制御リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記エレベータが前記専用運転モードに設定された状態を示す信号に基づいて、前記エレベータが前記専用運転モードに設定されたことを判定することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自律走行車が利用するエレベータについて、利用者の安全性を担保しつつ汎用性のある制御を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】統合管理システムの構成の一例を示す図である。
図2】信号情報の構成の一例を示す図である。
図3A】エレベータ本体を自律走行車の所在する階に呼び出してエレベータ本体内に自律走行車を移動させる処理手順を示すフロー図である。
図3B】エレベータ本体を自律走行車の目的階に移動させてエレベータ本体外に自律走行車を移動させる処理手順を示すフロー図である。
図3C】リセット信号を出力する処理手順を示すフロー図である。
図4】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態における統合管理システム10について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形し、または各実施例を組み合わせる等して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。
【0013】
===統合管理システム10の概要===
図1を参照しつつ、統合管理システム10の構成について説明する。図1は、統合管理システム10の構成の一例を示す図である。統合管理システム10は、エレベータの制御に汎用的に用いられるリレーを動作させる信号によって、ロボット独自の動作に対応するエレベータの制御を実現するシステムである。すなわち、統合管理システム10は、汎用的なシステム構成によって、ロボットとエレベータとを連携させることができる。
【0014】
図1を参照して、統合管理システム10の構成の概要について説明する。図1は、統合管理システム10の構成の一例を示す図である。図1に示すように、統合管理システム10は、例えば、連携システム100と、自律走行車200と、エレベータシステム300とを含んでいてもよい。
【0015】
連携システム100は、自律走行車200およびエレベータシステム300を制御するシステムである。連携システム100は、自律走行車200との間で、例えばAPI(Application Programming Interface)連携によって各種情報を送受信する。なお、連携システム100と自律走行車200との間の通信方式についてはAPI連携に特に限定されず、種々の通信方式が適用されうるものとする。連携システム100は、エレベータシステム300との間で、インターフェース101を通じて、後述する制御盤の各種リレーの動作に関する信号(以下、「接点信号」という)を入出力する。なお、インターフェース101は、連携システム100に含まれないゲートウェイ装置であってもよい。ここで、接点信号とは、例えば、JSON(JavaScript Object Notation)形式のテキストデータであってもよいし、他のプロトコルであってもよく、特に限定されない。また、接点信号は、後述する制御盤の各種リレーを動作させるための電気信号であってもよい。以下、便宜上、接点信号というときには、制御盤の一つのリレーの動作に関する信号、又は、制御盤の複数のリレーの動作の組み合わせに関する信号をいう。連携システム100の各種機能については後述する。
【0016】
自律走行車200は、自立的に走行するロボットである。自律走行車200は、例えば、カメラ、各種センサ、及びGPSから取得する画像や位置情報に基づき、目的の地点まで移動する。自律走行車200は、例えば、室内清掃用のロボット、荷物を目的の地点まで搬送するロボット、建物内で不審者を発見するロボット、建物の設備を点検するロボットなどである。
【0017】
エレベータシステム300は、接点信号によりエレベータを制御するシステムである。エレベータシステム300は、例えば、制御盤310、エレベータ本体320、駆動装置330、及び変換器340を含んでいてもよい。制御盤310は、リレーを含み、当該リレーの動作に応じたエレベータ本体320のドアの開閉や駆動装置330の動きを制御する。すなわち、制御盤310は、連携システム100から出力される当該リレーを動作させるための各種接点信号に基づき、エレベータ本体320を制御する。エレベータ本体320は、人や自律走行車200が乗る空間を有するエレベータの本体である。駆動装置330は、エレベータ本体320を上下に移動させるための装置である。変換器340は、例えば、連携システム100から出力される接点信号(例えば、JSON形式のテキストデータなど)を、制御盤310の各種リレーを動作させるための電気信号に変換する装置である。
【0018】
===連携システム100===
図1を参照して、連携システム100の機能構成について説明する。図1に示すように、連携システム100は、例えば、記憶部110と、情報送受信部120と、信号入出力部130と、状態判定部140と、時間判定部150と、位置判定部160との機能部を含んでいてもよい。機能部とは、例えば、プロセッサ1001がメモリ1002に格納されているプログラムを読み出して実現される機能である。
【0019】
記憶部110は、例えば、信号情報D111を記憶する。図2を参照して、信号情報D111の一例について説明する。図2は、信号情報D111の構成の一例を示す図である。図2に示すように、信号情報D111は、例えば、[リレー番号]、[区分]、[名称]、[値]、[信号形式]の項目を含んでいてもよい。[リレー番号]は、制御盤310に含まれるリレーを一意に識別する識別符号である。[区分]は、連携システム100が制御盤310を制御する区分(連携システム100→制御盤310)であるか、制御盤310から連携システム100にエレベータシステム300の状態を通知する区分(制御盤310→連携システム100)であるかを示す項目である。[名称]は、リレーの名称を示す項目である。[値]は、リレーの接点が接続されている「1」の状態、リレーの接点が開放されている「0」の状態の役割を示す項目である。[信号形式]は、[リレー番号]に対応するリレーへの信号が1回の入力(1ショット)であるか、連続的な入力(連続)であるかを示す項目である。
【0020】
本実施形態では、一例として、連携システム100が制御盤310のリレー番号01~リレー番号06のリレーの接点の状態を所定の組み合わせで設定するための信号を、エレベータ本体320を呼び出す階を示す接点信号(以下、「移動要求信号」という)とする。
【0021】
また、一例として、制御盤310がリレー番号09~リレー番号14のリレーの接点の状態を所定の組み合わせで設定した信号を、移動したエレベータ本体320が所在する階を示す接点信号(以下、「到着信号」という)とする。
【0022】
また、一例として、連携システム100がインターフェース101を通じて制御盤310のリレー番号07のリレー(以下、「開継続リレー」という)に連続的な信号を入力させるための接点信号(以下、「開継続信号」という)を出力した場合、エレベータ本体320のドアの開状態が継続されることとする。
【0023】
また、一例として、連携システム100がインターフェース101を通じて制御盤310のリレー番号08のリレー(以下、「モード制御リレー」という)に連続的な信号を入力させるための接点信号(以下、「モード制御信号」という)を出力した場合、エレベータシステム300が後述する専用運転モードに設定されることとする。
【0024】
また、一例として、制御盤310においてリレー番号15のリレー(以下、「ドア開リレー」という)に連続的な信号が入力されている間、連携システム100にはドアが全開であることを示す接点信号(以下、「ドア開信号」という)が入力されることとする。
【0025】
また、一例として、制御盤310においてリレー番号16のリレー(以下、「モード状態リレー」という)に連続的な信号が入力されている間、連携システム100にはエレベータシステム300が後述する専用運転モードに設定されていることを示す接点信号(以下、「モード状態信号」という)が入力されることとする。
【0026】
情報送受信部120は、例えば、自律走行車200との間でAPI連携によって各種情報を送受信する。具体的には、情報送受信部120は、例えば、自律走行車200から、自律走行車200がエレベータを利用するための要求(以下、「利用要求」という)を取得する。情報送受信部120は、エレベータ本体320に乗ることが可能であることを示す情報(以下、「乗車可能情報」という)を、自律走行車200に送信してもよい。また、情報送受信部120は、例えば、エレベータ本体320の内部に自律走行車200の移動が完了したことを示す情報(以下、「乗車完了情報」という)を、自律走行車200から取得してもよい。
【0027】
信号入出力部130は、例えば、エレベータシステム300との間で、インターフェース101を通じて各種接点信号を入出力させる。なお、信号入出力部130は、インターフェース101の機能であってもよいし、そうでなくてもよい。具体的には、信号入出力部130は、例えば、エレベータシステム300に制御盤310に含まれるリレーのうち、自律走行車200に対応するエレベータの運転モード(以下、「専用運転モード」という)に切り替えるモード制御リレー(リレー番号08)を動作させるためのモード制御信号を出力させる。専用運転モードとは、例えば、エレベータの行き先階を示すボタンに対する人の操作入力を受け付けないモードである。すなわち、連携システム100は、専用運転モードに切り替えることで、エレベータシステム300を、自律走行車200のみが利用できるように設定する。換言すると、専用運転モードでは、人がエレベータ本体320を利用できない状態となる。これにより、連携システム100は、エレベータを自律走行車200のみが利用可能な状態とすることで、自律走行車200を安全に移動させることができる。また、信号入出力部130は、例えば、専用運転モードを解除する場合、モード制御信号の出力を解除する。これにより、連携システム100は、自律走行車200が移動の目的を達成した場合、迅速にエレベータシステム300を通常の運転モードに戻して、エレベータを人が利用可能な状態に戻すことができる。
【0028】
また、信号入出力部130は、例えば、エレベータ本体320を所定の階に移動させるための移動要求信号を出力させる。移動要求信号は、信号情報D112におけるリレー番号01~リレー番号06の接点の動作の組み合わせを示す信号である。具体的には、信号入出力部130は、「1階」にエレベータを移動させる場合、一例として、リレー番号01に「0」(OFF)、リレー番号02に「0」(OFF)、リレー番号03に「0」(OFF)、リレー番号04に「0」(OFF)、リレー番号05に「1」(ON)、リレー番号06に「1」(ON)を設定するための接点信号を出力してもよい。すなわち、移動要求信号は、例えば、目的の階に対応する、リレー番号01~リレー番号06の接点の動作を組み合わせを示す接点信号である。
【0029】
また、信号入出力部130は、例えば、所定の階に到着したエレベータ本体320のドアの開状態を継続するための開継続信号を出力させる。また、信号入出力部130は、ドアの開状態を解除する場合は、開継続信号の出力を解除させる。これにより、連携システム100は、自律走行車200がエレベータ本体320に入る又は出ることを安全に実行できる。開継続信号は、信号情報D112におけるリレー番号07の開継続リレーの接点を動作させるための信号である。
【0030】
また、信号入出力部130は、例えば、エレベータシステム300における運転モードや開状態を継続する状態などを含む、自律走行車200との関係において設定された状態をリセットするための接点信号(以下、「リセット信号」という)を出力させる。リセット信号は、例えば、制御盤310のリレーを開放状態(OFF)にするための接点信号である。これにより、連携システム100は、自律走行車200またはエレベータシステム300に何らかの不具合が生じた場合において迅速な対応が可能となる。換言すると、リセット信号は、信号情報D112における全てのリレーを「0」にするための信号である。
【0031】
状態判定部140は、エレベータシステム300から入力される、エレベータシステム300の運転のモード(例えば、専用運転モードまたは通常の運転モード)を示すモード状態信号に基づき、エレベータシステム300の運転のモードを判定する。具体的には、状態判定部140は、例えば、専用運転モードであることを示すモード状態信号を取得した場合、エレベータシステム300が専用運転モードに設定されたと判定する。モード状態信号は、信号情報D112におけるリレー番号16のモード状態リレーの接点が動作したことを示す信号である。これにより、連携システム100は、運転モードの設定が正常に行われた状態で自律走行車200を移動させることができるため、安全な自律走行車200の移動を実現できる。
【0032】
また、状態判定部140は、エレベータシステム300から取得される、自律走行車200が所在する階にエレベータ本体320が到着したことを示す到着信号に基づき、エレベータ本体320が当該所在する階に到着したか否かを判定する。具体的には、状態判定部140において、移動要求信号(例えば、リレー番号01~リレー番号06)と、到着信号(例えば、リレー番号09~リレー番号14)とを比較して、それぞれが予め定められた条件を充たす場合(例えば、リレーの「0」と「1」の配列が同じである場合)、エレベータ本体320が当該所在する階に到着か否かを判定する。これにより、連携システム100は、接点信号により簡易な方法でエレベータが目的の階に到着したことを確認できるため、汎用性の高いシステムを構築できる。
【0033】
また、状態判定部140は、エレベータシステム300から取得される、エレベータ本体320のドアが全開状態であることを示すドア開信号に基づき、エレベータ本体320のドアが全開したか否かを判定する。ドア開信号は、リレー番号15のドア開リレーが動作することによって、制御盤310から出力される信号である。これにより、これにより、連携システム100は、接点信号により簡易な方法でエレベータのドアが全開の状態であることを確認できるため、汎用性の高いシステムを構築できる。
【0034】
時間判定部150は、エレベータシステム300または自律走行車200から、所定の時間内に所定の信号または情報を取得したか否かを判定する。具体的には、時間判定部150(第1時間判定部)は、例えば、到着信号を、エレベータシステム300から所定の時間内に取得したか否かを判定する。また、時間判定部150(第2時間判定部)は、例えば、自律走行車200がエレベータ本体320の内部に移動したことを示す乗車完了情報を、自律走行車200から所定の時間内に取得したか否かを判定する。これにより、連携システム100は、自律走行車200が安全にエレベータ本体320に乗ることが可能な状態か否かを判定できるため、自律走行車200の事故などを防止できる。
【0035】
位置判定部160は、自律走行車200から送信される、自律走行車200の現在の位置を示す情報(以下、「位置情報」という)に基づき、自律走行車200が所在する位置が安全か否かを判定する。具体的には、位置判定部160は、自律走行車200の位置情報に基づき、自律走行車200がエレベータ本体320のドアが閉まる際に当該ドアと接触するか否かを判定する。さらに言うと、位置判定部160は、時間判定部150において所定の時間内に乗車完了情報が所得されない判定されたことを契機に、判定を開始してもよい。これにより、連携システム100は、自律走行車200による事故を防止できる。なお、位置判定部160は、例えば、ビーコンやGPSによって、自律走行車200の位置情報を取得することで、位置を特定してもよい。
【0036】
===自律走行車200===
図1を参照して、自律走行車200の機能構成について説明する。図1に示すように、自律走行車200は、例えば、記憶部210と、情報送受信部220と、認識部230と、位置特定部240との機能部を含んでいてもよい。機能部とは、例えば、プロセッサ1001がメモリ1002に格納されているプログラムを読み出して実現される機能である。記憶部210は、各種情報を記憶する。情報送受信部220は、連携システム100との間で各種情報(例えば、利用要求、位置情報など)の送受信を行う。認識部230は、各種センサーなどによって周囲の状況を認識する。位置特定部240は、例えば、記憶部210に格納されているマップの情報を参照して、各種センサーやLidar(Light Detection and Ranging)などによって自己の位置を特定する。
【0037】
===統合管理システム10の処理手順===
図3A図3Cを参照しつつ、統合管理システム10の処理手順について説明する。図3Aは、エレベータ本体320を自律走行車200の所在する階に呼び出してエレベータ本体320内に自律走行車200を移動させる処理手順を示すフロー図である。図3Bは、エレベータ本体320を自律走行車200の目的階に移動させてエレベータ本体320外に自律走行車200を移動させる処理手順を示すフロー図である。図3Cは、リセット信号を出力する処理手順を示すフロー図である。以下、一例として、自律走行車200が建物内において現在の階である「1階」から「5階」に移動するまでの統合管理システム10の処理手順について説明する。
【0038】
まず、図3Aを参照しつつ、ステップS100~ステップS116において、自律走行車200がエレベータ本体320を「1階」に要求して、自律走行車200がエレベータ本体320に乗り込むまでの処理の手順について説明する。
【0039】
ステップS100において、自律走行車200は、エレベータ本体320のドアの前で停止する。自律走行車200は、エレベータを利用するための利用要求を連携システム100に送信する。ステップS101において、連携システム100は、利用要求を取得した場合、エレベータシステム300を専用運転モードに切り替えるべく、信号情報D111を参照して、エレベータシステム300(制御盤310)にモード制御信号を出力する。なお、ステップS100,101において、連携システム100が、自律走行車200の位置情報を取得することによって、エレベータシステム300にモード制御信号を出力してもよい。ステップS102において、エレベータシステム300は、運転モードを専用運転モードに切り替える。その後、エレベータシステム300は、制御盤310を通じて、専用運転モードに切り替わったことを示すモード状態信号を連携システム100に出力する。ステップS103において、連携システム100(状態判定部140)は、信号情報D111を参照して、モード状態信号を取得したか否かを判定する。モード状態信号を取得していないと判定された場合(ステップS103:NO)、連携システム100は、自律走行車200がエレベータシステム300を利用できる状態でないと判定する。この場合、ステップS104において、連携システム100は、判定情報D112を参照して、所定の時間(例えば「2分」)が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していないと判定された場合(ステップS104:NO)、処理をステップS103から処理を繰り返す。一方、所定の時間が経過したと判定された場合(ステップS104:YES)、エレベータシステム300に何らかの不具合が生じたと判断して、処理をステップS300に移行させる。モード状態信号を取得したと判定された場合(ステップS103:YES)、連携システム100は、自律走行車200がエレベータシステム300を利用できる状態であると判定する。この場合、連携システム100は、エレベータシステム300が専用運転モードに切り替わったと判断して、信号情報D111を参照して、エレベータシステム300(制御盤310)に移動要求信号を出力する。これにより、統合管理システム10は、自律走行車200のみがエレベータを利用できる状態で、自律走行車200を移動させることができるため、自律走行車200の移動に伴う人への危害を抑制できる。
【0040】
ステップS105において、エレベータシステム300は、エレベータ本体320が「1階」に到着した場合、到着信号を連携システム100に出力する。また、ステップS106において、エレベータシステム300は、エレベータ本体320のドアが全開になった場合、ドア開信号を連携システム100に出力する。
【0041】
ステップS107において、連携システム100は、信号情報D111を参照して、到着信号およびドア開信号を取得したか否かを判定する。到着信号およびドア開信号を取得ていない場合(ステップS107:NO)、連携システム100は、自律走行車200がエレベータ本体320に入れる状態ではないと判断する。この場合、ステップS108において、連携システム100は、判定情報D112を参照して、移動要求信号(ステップS103:YESを参照)を出力してから所定の時間(例えば、予め登録された「3分」など)が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していないと判定された場合(ステップS108:NO)、処理をステップS107から処理を繰り返す。一方、所定の時間が経過したと判定された場合(ステップS108:YES)、エレベータシステム300に何らかの不具合が生じたと判断して、処理をステップS300に移行させる。モード状態信号を取得したと判定された場合(ステップS107:YES)、連携システム100は、自律走行車200がエレベータ本体320に入ることが可能な状態であると判定する。この場合、ステップS109において、連携システム100は、信号情報D111を参照して、エレベータ本体320のドアの開状態を継続させるための開継続信号をエレベータシステム300に出力する。これにより、統合管理システム10は、エレベータ本体320が自律走行車200の所在階に到着して自律走行車200がエレベータ本体320に入ることが可能で、自律走行車200を移動させることができるため、自律走行車200の移動に伴うエレベータへの危害を抑制できる。
【0042】
ステップS110において、エレベータシステム300は、エレベータ本体320のドアの開状態を維持する。ステップS111において、エレベータシステム300は、エレベータ本体320のドアが全開状態であることを示すドア開信号を連携システム100に出力する。
【0043】
ステップS111において、連携システム100は、ドア開信号に応じて、自律走行車200にエレベータ本体320に乗ることが可能であることを示す乗車可能情報を自律走行車200に送信する。ステップS112において、自律走行車200は、エレベータ本体320内に移動するとともに、移動が完了したことを示す乗車完了情報を連携システム100に送信する。
【0044】
ステップS113において、連携システム100は、自律走行車200から、乗車完了情報を取得したか否かを判定する。乗車完了情報を取得していない場合(S113:NO)、連携システム100は、自律走行車200がエレベータ本体320に入ることができていない状態であると判断する。この場合、ステップS114において、連携システム100は、判定情報D112を参照して、乗車可能情報(ステップS111を参照)を送信してから所定の時間(例えば「2分」)が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していないと判定された場合(ステップS114:NO)、処理をステップS113から処理を繰り返す。一方、所定の時間が経過したと判定された場合(ステップS114:YES)、連携システム100は、自律走行車200に何らかの不具合が生じたと判断して、処理をステップS401に移行させる。乗車完了情報を取得したと判定された場合(ステップS113:YES)、連携システム100は、自律走行車200がエレベータ本体320に入ることができた状態であると判定する。この場合、ステップS115において、連携システム100は、信号情報D111を参照して、エレベータ本体320のドアの開状態の継続を解除するために開継続信号の出力を解除する。ステップS116において、エレベータシステム300は、エレベータ本体320のドアを閉じて、エレベータ本体320を「5階」に移動させる。これにより、統合管理システム10は、自律走行車200がエレベータ本体320に入った状態を検知することで、自律走行車200を目的の階に移動させることができるため、自律走行車200の移動に伴うエレベータ本体320への危害を抑制できる。
【0045】
次に、図3Bを参照しつつ、ステップS200~ステップS217において、エレベータ本体320が「5階」に到着してから、自律走行車200がエレベータ本体320から降りるまでの処理の手順について説明する。なお、ステップS200~ステップS205は、ステップS105~ステップS110と同様であるためその説明を省略する。
【0046】
ステップS206において、連携システム100は、ドア開信号に応じて、自律走行車200にエレベータ本体320から降りることが可能であることを示す降車可能情報を自律走行車200に送信する。ステップS207において、自律走行車200は、エレベータ本体320外に移動するとともに、移動が完了したことを示す降車完了情報を連携システム100に送信する。
【0047】
ステップS208において、連携システム100は、自律走行車200から、降車完了情報を取得したか否かを判定する。降車完了情報を取得していない場合(S208:NO)、連携システム100は、自律走行車200がエレベータ本体320から降りることができていない状態であると判断する。この場合、ステップS209において、連携システム100は、判定情報D112を参照して、降車可能情報(ステップS206を参照)を送信してから所定の時間(例えば、予め登録された「2分」など)が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していないと判定された場合(ステップS209:NO)、ステップS208から処理を繰り返す。一方、所定の時間が経過したと判定された場合(ステップS209:YES)、連携システム100は、自律走行車200に何らかの不具合が生じたと判断して、処理をステップS401に移行させる。乗車完了情報を取得したと判定された場合(ステップS208:YES)、連携システム100は、自律走行車200がエレベータ本体320から降りることができた状態であると判定する。この場合、ステップS210において、連携システム100は、信号情報D111を参照して、エレベータ本体320のドアの開状態の継続を解除するために、エレベータシステム300に対する開継続信号の出力を解除する。また、連携システム100は、自律走行車200が目的の階に到着したため、専用運転モードを解除するために、エレベータシステム300に対するモード制御信号の出力を解除する。をエレベータシステム300に出力する。
【0048】
ステップS212において、エレベータシステム300は、運転モードを専用運転モードから通常の運転モードに切り替えて、通常の運転モードであることを示すモード状態信号(ここでは、リレー番号08が「0」の状態)を、連携システム100に出力する。ステップS213において、連携システム100は、専用運転モードが解除されたか否かを判定する。連携システム100は、例えば、通常の運転モードであることを示すモード状態信号を取得したか否かによって、専用運転モードが解除されたか否かを判定してもよい。専用運転モードが解除されていないと判定された場合(ステップS213:NO)、ステップS214において、連携システム100は、判定情報D112を参照して、モード解除信号(ステップS211を参照)を出力してから所定の時間(例えば「1分」)が経過したか否かを判定する。所定の時間が経過していないと判定された場合(ステップS214:NO)、ステップS213から処理を繰り返す。一方、所定の時間が経過していると判定された場合(ステップS214:YES)、ステップS215において、連携システム100は、エレベータシステム300に不具合が生じていると判断して、管理者に通知する。これにより、連携システム100は、専用運転モードが解除されないというエレベータシステム300の不具合に対して迅速に対応することができる。ステップS216において、エレベータシステム300は、エレベータ本体320のドアを閉じる。ステップS216では、エレベータシステム300は、通常の運転モードであることを示すモード状態信号を出力した場合、エレベータ本体320のドアを閉じてもよいし、連携システム100から専用運転モードが解除されたことが判定されたことを示す信号を取得した場合、エレベータ本体320のドアを閉じてもよい。
【0049】
次に、図3Cを参照しつつ、ステップS300~ステップS302において、エレベータシステム300に不具合が生じていると判定された場合(例えば、ステップS104:YES、ステップS108:YES、ステップS203:YESなど)の処理の手順について説明する。ステップS300において、連携システム100は、信号情報D111を参照して、自律走行車200との関係においてエレベータシステム300に設定された状態(例えば、専用運転モードが設定されている状態、開状態を継続する状態など)をリセットするためのリセット信号を、エレベータシステム300に出力する。ステップS301において、エレベータシステム300は、設定をリセットする。これにより、連携システム100は、エレベータシステム300に不具合が生じている可能性のある状態において、自律走行車200がエレベータシステム300を利用できないように設定することで、安全性を高めることができる。ステップS302において、連携システム100は、エレベータシステム300に不具合が生じていると判断して、管理者に通知する。これにより、連携システム100は、エレベータシステム300の不具合に対して迅速に対応することができる。
【0050】
次に、ステップS400~ステップS404において、自律走行車200が、エレベータ本体320内に移動できない、又はエレベータ本体320外に移動できない場合(例えば、ステップS114:YES、ステップS209など)の処理の手順について説明する。ステップS400において、自律走行車200は、例えば、常時、位置情報を連携システム100に送信している。ステップS401において、連携システム100は、自律走行車200が上述の状態の場合に、位置情報に基づき自律走行車200の位置を特定する。ステップS402において、連携システム100は、位置情報に基づき自律走行車200がエレベータ本体320のドアと接触しないか否かを判定する。エレベータ本体320のドアと接触すると判定された場合(ステップS402:NO)、連携システム100は、エレベータ本体320の設定をリセットできない状態であると判断して、管理者に通知する。これにより、連携システム100は、エレベータシステム300の不具合に対して迅速に対応することができる。エレベータ本体320のドアと接触しないと判定された場合(ステップS402:YES)、連携システム100は、信号情報D111を参照して、自律走行車200との関係においてエレベータシステム300に設定された状態(例えば、専用運転モードが設定されている状態、開状態を継続する状態など)をリセットするためのリセット信号を、エレベータシステム300に出力する。ステップS404において、エレベータシステム300は、設定をリセットする。これにより、連携システム100は、エレベータシステム300に不具合が生じている可能性のある状態において、自律走行車200がエレベータシステム300を利用できないように設定することで、安全性を高めることができる。
【0051】
===変形例===
連携システム100は、気象庁の緊急地震速報または建物の火災情報を受信した場合(以下、「緊急時」という)、エレベータシステム300に、自律走行車200を乗せたままエレベータ本体320を最地下階に移動させてもよい。具体的には、連携システム100は、例えば、緊急地震速報を発報する所定の通信機器(不図示)から、緊急地震速報に関する情報(例えば、接点信号など)を取得する。また、連携システム100は、防災盤(不図示)から火災に関する火災情報(例えば、接点信号)を取得する。連携システム100は、エレベータシステム300が専用運転モードであるか否かにかかわらず、緊急時において、エレベータシステム300がエレベータ本体320を予め指定した階に移動させたとき、エレベータ本体320から降車して安全な位置に移動さるための情報を自律走行車200に送信してもよい。なお、緊急時において、連携システム100は、例えば、エレベータシステム300にエレベータ本体320を最地下階に移動させるための接点信号を出力してもよい。エレベータシステム300は、当該接点信号に基づき、エレベータ本体320を最地下階に移動させてもよい。この場合、エレベータシステム300は、エレベータ本体320のドアを開放して、自律走行車200を降車させてもよい。また、この場合、エレベータシステム300は、専用運転モードが設定されていたとしても、人の操作を受け付けるようにしてもよい。これにより、地震などの災害時に、運転モードにかかわらず、エレベータ本体320を安全な位置に移動させることができるとともに、人が利用できるように運転モードが切り替わるため、安全なシステムを実現できる。
【0052】
また、連携システム100は、複数台の自律走行車200から利用要求を取得してもよい。この場合、連携システム100は、第1の自律走行車200から利用要求を受け付けた後、第2の自律走行車200から利用要求を受け付けた場合、第1の自律走行車200に乗車可能情報を送信する。すなわち、連携システム100は、利用要求を受け付けた順に自律走行車200がエレベータシステム300を利用できるように制御する。これにより、複数の自律走行車200を安全に移動させることができる。また、連携システム100は、複数台の自律走行車200から利用要求を取得した場合、予め設定した優先順位にしたがって、自律走行車200に乗車可能情報を送信してもよい。これにより、簡易なシステム設計によって複数の自律走行車200を安全に移動させることができる。
【0053】
また、連携システム100は、複数台の自律走行車200との間で情報の送受信を行ってもよい。この場合、連携システム100は、第1の自律走行車200から利用要求を受け付けた後、エレベータ本体320内に第1の自律走行車200が乗車している状態で、第2の自律走行車200から利用要求を受け付けた場合、エレベータ本体320が利用中であることを示す情報を第2の自律走行車200に送信する。第2の自律走行車200は、当該情報を取得すると待機状態となり、所定の時間が経過した場合、再度利用要求を送信する。これにより、連携システム100は、複数の自律走行車200を同一のエレベータに同乗させないよう制御できるため、安全な自律走行車200の移動を実現できる。
【0054】
また、連携システム100は、複数の自律走行車200から利用要求を取得した場合、複数の自律走行車200が同時に乗車できるエレベータ本体320を要求する接点信号をエレベータシステム300に出力してもよい。この場合、エレベータシステム300は、利用要求を送信した複数の自律走行車200を同時に乗車させることができるエレベータ本体320を特定して、特定されたエレベータ本体320を専用運転モードに設定する。エレベータシステム300は、当該エレベータ本体320をそれぞれの自律走行車200が所在する階に順次移動させる。これにより、連携システム100は、複数の自律走行車200を許容可能なエレベータ本体320によって複数の自律走行車200を同時に移動させることができるため、作業効率を向上できる。
【0055】
また、連携システム100は、上記のステップS114およびステップS209において、所定の時間が経過したか否かを判定しているが、当該所定の時間につき、エレベータシステム300において異常状態を示す設定時間を考慮した時間に設定されていてもよい。具体的には、エレベータシステム300は、エレベータ本体320のドアが例えば「3分」開状態が継続している場合、監視盤(不図示)にエレベータ本体320のドアが異常であることを示す信号を出力する。この場合、連携システム100は、エレベータシステム300から監視盤(不図示)に当該信号が出力される「3分」を超える前の例えば「2分」に設定されてもよい。なお、連携システム100は、エレベータシステム300から監視盤(不図示)に対して信号を出力する設定時間に関する信号を取得して、当該信号に基づき所定の時間を設定してもよい。これにより、エレベータシステム300の既存の設定を変更することなく、自律走行車200を移動させることができるため、汎用的なシステムを構築できる。
【0056】
また、統合管理システム10は、リレーによりエレベータ本体320などを制御する制御盤310を含んでいなくてもよい。エレベータシステム300は、例えば、ソフトウェアでエレベータ本体320を制御する制御盤310を含んでいてもよい。この場合、統合管理システム10は、自律走行車200から取得する、エレベータシステム300を専用運転モードに切り替えるための専用運転要求に基づいて、エレベータ本体320を制御するための制御盤310に対して、専用運転モードを設定するための信号を出力する連携システム100の信号入出力部130を有する。また、統合管理システム10は、制御盤310から出力される、エレベータシステム300が専用運転モードに設定された状態を示す信号に基づいて、エレベータシステム300が専用運転モードに設定されたことを判定する連携システム100の状態判定部140を備える。これにより、統合管理システム10は、エレベータシステム300を自律走行車200のみが利用可能な専用運転モードに設定できるため、人の安全を担保して自律走行車200の移動を可能とする。
【0057】
===ハードウェア構成===
連携システム100は、上記で記載する機能を実現できる情報処理装置であればどのような装置であってもよい。連携システム100は、限定でなく例として、クラウドコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(限定でなく例として、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、あるいは他種のコンピュータなどで構成されていてもよい。なお、連携システム100における処理の少なくとも一部は、1以上のコンピュータ(限定ではなく例として、1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティング)により実現されていてもよいし、そうでなくてもよい。ここで、図4を参照して、連携システム100をコンピュータで実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0058】
図4に示すように、コンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、入力I/F部1004と、データI/F部1005と、通信I/F部1006、及び表示装置1007を含む。
【0059】
プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ1000における各種の処理を制御する制御部である。
【0060】
メモリ1002は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ1002は、プロセッサ1001によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0061】
記憶装置1003は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置1003は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0062】
入力I/F部1004は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部1004の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部1004は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続されても良い。
【0063】
データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部1005の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部1005は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000へと接続される。
【0064】
通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部1006は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続される。
【0065】
表示装置1007は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置1007の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置1007は、コンピュータ1000の外部に設けられても良い。その場合、表示装置1007は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ1000に接続される。また、入力I/F部1004としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置1007は、入力I/F部1004と一体化して構成することが可能である。
【0066】
===まとめ===
本実施形態に係る統合管理システム10は、自律走行車200から取得する、エレベータシステム300を自律走行車200に関する運転のモードである専用運転モードに切り替えるための専用運転要求に基づいて、エレベータシステム300を制御するための複数のリレーを含む制御盤310に対して、複数のリレーのうち専用運転モードを制御するモード制御リレーを動作させるための信号(JSON形式のテキストデータや電気信号など)を出力する信号入出力部130(信号出力部)と、モード制御リレーの動作に応じて制御盤310から出力される、エレベータシステム300が専用運転モードに設定された状態を示すモード状態信号(信号)に基づいて、エレベータシステム300が専用運転モードに設定されたことを判定する状態判定部140(モード判定部)とを備える。これにより、統合管理システム10は、自律走行車200が利用するエレベータシステム300について、利用者の安全性を担保しつつ汎用性のある制御を実現することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る統合管理システム10の信号入出力部130(信号出力部)は、自律走行車200から取得する、自律走行車200の位置に関する情報に基づいて、制御盤310に対して、複数のリレーのうち自律走行車200が所在する階へのエレベータ本体320の移動を制御するリレー番号01~リレー番号06(移動要求リレー)を動作させるための信号である移動要求信号を出力し、制御盤310から出力される、移動要求信号に応じてエレベータ本体320が所在する階に到着したことを示す信号である到着信号に基づいて、所定の時間内に到着信号を取得したか否かを判定する時間判定部150(第1時間判定部)をさらに備える。これにより、統合管理システム10は、自律走行車200が安全にエレベータ本体320に乗ることが可能な状態か否かを判定できるため、自律走行車200の事故などを防止できる。
【0068】
また、本実施形態に係る統合管理システム10の信号入出力部130(信号出力部)は、時間判定部150(第1時間判定部)において所定の時間内に到着信号を取得したと判定された場合、制御盤310に対して、複数のリレーのうちエレベータ本体320のドアの開状態を継続させる開継続リレーを動作させるための信号である開信号を出力する。これにより、統合管理システム10は、自律走行車200がエレベータ本体320に入る又は出ることを安全に実行できる。
【0069】
また、本実施形態に係る統合管理システム10の信号入出力部130(信号出力部)は、時間判定部150(第1時間判定部)において所定の時間内に到着信号を取得しないと判定された場合、制御盤310に、専用運転モードを解除するように、モード制御リレーを動作させるためのモード制御信号(信号)の出力を解除する。これにより、統合管理システム10は、自律走行車200またはエレベータシステム300に何らかの不具合が生じた場合において迅速な対応が可能となる。
【0070】
また、本実施形態に係る統合管理システム10は、制御盤310から出力される、エレベータ本体320のドアが開状態であることを示す信号であるドア開信号に基づいて、自律走行車200に対して、エレベータ本体320に乗車が可能であることを示す乗車可能情報を送信する情報送受信部120(情報送信部)と、自律走行車200から送信される、自律走行車200がエレベータ本体320内に移動したことを示す乗車完了情報を、所定の時間内に取得したか否かを判定する時間判定部150(第2時間判定部)と、をさらに備える。これにより、統合管理システム10は、自律走行車200が安全にエレベータ本体320に乗ることが可能な状態か否かを判定できるため、自律走行車200の事故などを防止できる。
【0071】
また、本実施形態に係る統合管理システム10は、時間判定部150(第2時間判定部)において所定の時間内に乗車完了情報を取得しないと判定された場合、自律走行車200から送信される、自律走行車200の位置に関する位置情報に基づいて、自律走行車200がエレベータ本体320のドアが閉まる際に当該ドアと接触するか否かを判定する位置判定部160をさらに備える。これにより、統合管理システム10は、自律走行車200による事故を防止できる。
【0072】
また、本実施形態に係る統合管理システム10の信号入出力部130(信号出力部)は、位置判定部160において自律走行車200がエレベータ本体320のドアと接触しないと判定された場合、制御盤310に対して、専用運転モードを解除するように、モード制御リレーを動作させるための信号の出力を解除する。これにより、統合管理システム10は、エレベータシステム300の不具合に対して迅速に対応することができる。
【0073】
また、本実施形態に係る統合管理システム10において、専用運転モードは、エレベータシステム300に対するユーザの操作入力を受け付けないモードである。これにより、統合管理システム10は、エレベータを自律走行車200のみが利用可能な状態とすることで、自律走行車200を安全に移動させることができる。
【符号の説明】
【0074】
10…統合管理システム、100…連携システム、110…記憶部、120…情報送受信部、130…信号入出力部、140…状態判定部、150…時間判定部、160…位置判定部、200…自律走行車、300…エレベータシステム。
【要約】
【課題】自律走行車が利用するエレベータについて、利用者の安全性を担保しつつ汎用性のある制御を実現することを目的とする。
【解決手段】自律走行車から取得する、エレベータを前記自律走行車に関する運転のモードである専用運転モードに切り替えるための専用運転要求に基づいて、前記エレベータを制御するための複数のリレーを含む制御盤に対して、前記複数のリレーのうち前記専用運転モードを制御するモード制御リレーを動作させるための信号を出力する信号出力部と、前記モード制御リレーの動作に応じて前記制御盤から出力される、前記エレベータが前記専用運転モードに設定された状態を示す信号に基づいて、前記エレベータが前記専用運転モードに設定されたことを判定するモード判定部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4