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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】公式な文書用のプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/02 20060101AFI20220222BHJP
   B41J 3/28 20060101ALI20220222BHJP
   B41J 3/44 20060101ALI20220222BHJP
   B41J 3/46 20060101ALI20220222BHJP
   B42D 25/40 20140101ALI20220222BHJP
   B41J 13/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B41J11/02
B41J3/28
B41J3/44
B41J3/46
B42D25/40
B41J13/00
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2018565052
(86)(22)【出願日】2017-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2017071299
(87)【国際公開番号】W WO2018037066
(87)【国際公開日】2018-03-01
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】16185710.7
(32)【優先日】2016-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】タルベルディ, メディ
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー, ウィンフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ソフラビ, バハドール
(72)【発明者】
【氏名】トマ, イオン
(72)【発明者】
【氏名】ナン, ビンセント
【審査官】沖 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/180840(WO,A1)
【文献】特開平05-238021(JP,A)
【文献】特開2011-088407(JP,A)
【文献】特開平10-187943(JP,A)
【文献】特開2001-270098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0143016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
B41J 13/00-13/32
B41J 3/28
B41J 3/44
B41J 3/46
B41J 29/38
B42D 25/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
公式な文書にスタンプを施すためのプリンタ(10)であって、
前記文書を当該プリンタ(10)に挿入するため、かつ当該プリンタ(10)から前記文書を取り出すための入口(12)を有するアクセスレベル(1)と、
プリントヘッド(128)を備える処理レベル(2)と、
前記アクセスレベル(1)に対応する下方位置と前記処理レベル(2)に対応する上方位置との間で文書受けプラテン(68)を移動させるためのレベル間文書移送システム(8)であって、前記文書受けプラテン(68)が前記下方位置にあるときに、前記文書受けプラテン(68)の上面が前記入口(12)の底部と実質的に整列されるか、またはそれより低なるように、かつ、前記文書受けプラテン(68)が前記上方位置にあるときに、前記文書受けプラテン(68)の上面が前記入口(12)の上部と整列されるようになっており、前記アクセスレベル(1)と前記処理レベル(2)とが、少なくとも部分的に上下に重なり合って配置されている、レベル間文書移送システム(8)と
を備える、プリンタ(10)において、
前記レベル間文書移送システム(8)が、モータ(84)に接続された少なくとも1つのプーリ(82)を備えるプーリ機構であり、前記レベル間文書移送システム(8)が、前記処理レベル(2)に向かって前記文書受けプラテン(68)を付勢する少なくとも1つのばね(90)を備えることを特徴とする、プリンタ(10)。
【請求項2】
前記モータ(84)がステッピングモータである、請求項1に記載のプリンタ(10)。
【請求項3】
前記レベル間文書移送システム(8)が、複数のばね(90)を備え、前記プーリ機構が、好ましくは前記文書受けプラテン(68)における1つの取り付け点(88)に取り付けられ、前記取り付け点が、より好ましくは前記ばね(90)間に配置されている、請求項1またはに記載のプリンタ(10)。
【請求項4】
ータ(94)と、直線移動機構とを含むレベル内文書移送システム(60)をさらに備え、
前記直線移動機構が、前記文書受けプラテン(68)に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のプリンタ(10)。
【請求項5】
前記文書受けプラテン(68)が、挿入方向において前記公式な文書の前縁に当接するための前記入口(12)に面する縁部と、好ましくは、前記公式な文書の前記前縁を検知するためのセンサ(78)とを有する、請求項に記載のプリンタ(10)。
【請求項6】
前記アクセスレベル(1)が、前記処理レベル(2)の下に配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載のプリンタ(10)。
【請求項7】
前記文書受けプラテン(68)が、前記公式な文書を前記処理レベル(2)で処理するために、前記文書受けプラテン(68)上に前記公式な文書をクランプするように構成されたクランプ手段を備える、請求項1~のいずれか一項に記載のプリンタ(10)。
【請求項8】
前記処理レベル(2)で前記公式な文書の画像を登録するために配置されたカメラ(114)を含む撮像システムをさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載のプリンタ(10)。
【請求項9】
前記撮像システムが、前記カメラ(114)と前記プラテン(68)との間の光路上に配置されたミラー(116)を備える、請求項に記載のプリンタ(10)。
【請求項10】
前記公式な文書を照らすため、および/または前記文書に施されたスタンプを処理するために配置された照明ユニット(118)をさらに備える、請求項1~のいずれか一項に記載のプリンタ(10)。
【請求項11】
前記照明ユニット(118)が、少なくとも2つの異なる光源(120、122、124)を備える、請求項10に記載のプリンタ(10)。
【請求項12】
少なくとも部分的に前記入口(12)の周囲に配置された入口光源および/または入口センサ(64)をさらに備える、請求項1~11のいずれか一項に記載のプリンタ(10)。
【請求項13】
前記レベル内文書移送システム(60)の前記モータ(94)が、ステッピングモータまたはDCモータである、請求項4に記載のプリンタ(10)。
【請求項14】
前記直線移動機構が、ギアラック、リードスクリュー、またはエンドレスベルト(96)である、請求項4または13に記載のプリンタ(10)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のプリンタ(10)を用いて公式な文書を処理するための方法であって、
前記プリンタ(10)の前記アクセスレベル(1)にある前記入口(12)に公式な文書を挿入し、前記公式な文書を前記文書受けプラテン(68)の上に配置するステップと、
前記レベル間文書移送システム(8)を使用して、前記文書受けプラテン(68)上の前記公式な文書を前記アクセスレベル(1)に対応する前記下方位置から前記処理レベル(2)に対応する前記上方位置に移動させるステップと、
前記公式な文書にスタンプを印刷するステップと、
前記プリンタ(10)の前記入口から前記公式な文書を取り出すために、前記公式な文書を前記処理レベル(2)に対応する前記上方位置から前記アクセスレベル(1)に対応する前記下方位置に移動させるステップと
を含む、方法。
【請求項16】
カメラ(114)と、好ましくは前記カメラ(114)と前記公式な文書との間の光路上に配置されたミラー(116)とを使用して、前記公式な文書の画像を登録するステップと、
スタンプのための位置を判定する、および/またはスタンプを検証するために、前記登録された画像を処理するステップと
をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記文書を前記入口に挿入した後で、好ましくはレベル間文書移送システム(8)を用いて前記文書受けプラテン(68)を移動させる前に、レベル内文書移送システム(60)によって、前記プラテン(68)上の前記公式な文書を移動させるステップをさらに含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記文書を処理する間、前記レベル内文書移送システム(60)を使用して、前記処理レベル(2)で前記プラテン(68)を移動させるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
スタンプを印刷する前記ステップは、動的に生成されたデータに基づいて動的なスタンプを印刷するステップを含む、請求項1518のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、公式な文書用のプリンタに関し、詳細には、パスポートなどの渡航文書用のプリンタに関する。さらに、本発明は、公式な文書の少なくとも一部分の画像を登録するためのプリンタ用の撮像ユニットに関する。本発明はまた、そのような文書に査証印などのスタンプを施す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス、特に官公庁は、既存の公式な文書の情報を追加および/または変更しなければならないことが多い。多くの場合、これは依然として手作業で行われている。例えば、入国証印または出国証印ならびに査証などのスタンプは、物理的なゴム製スタンプを使用してパスポートに押される。しかしながら、手作業で押されたゴムスタンプは、品質のばらつきが大きく、セキュリティ機能が欠如しているために違法な改ざんの余地がある。
【0003】
査証はまた、多くの場合事前に用意されている別紙の形態で、パスポートに施される場合がある。査証を申請するには、旅行のずっと前に領事館や大使館にパスポートを送る必要がある場合さえある。個別申請を必要としない査証の場合は、査証紙を製造し、発行場所に確実に転送しなければならず、したがって、この場合も改ざんに対して脆弱である。さらに、スタンプや査証を施す担当者や係官は、書痙などの健康問題について報告している。
【0004】
その結果として、また手作業で押されるスタンプの代わりとして、公式な文書にこれらのスタンプを印刷するためのプリンタが市販されてきた。例えば、欧州特許第1520715号明細書は、渡航文書に印刷するためのプリンタを説明している。同様に、国際公開第2014/180840号パンフレットは、文書、特にパスポートなどの渡航文書を読み取り、その上にマークまたはスタンプを印刷するための装置および方法を開示している。
【0005】
さらに、既存のプリンタは、大型であり、一般に、公式な文書に印刷するのに、ゴム製のスタンプを使用してスタンプを手作業で押すよりも多くの時間を要する。渡航文書に印刷することに関して、出入国を管理する係官のためのブースがいくぶん小さいことが多いために、これらのプリンタのサイズが大きいことは都合が悪い。また、故障した場合、これらのプリンタは簡単には交換できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、査証印などのスタンプまたはマーキングを迅速かつ簡便に施すことができる、公式な文書用のプリンタ、特にパスポートなどの渡航文書用のプリンタを提供することである。
【0007】
別の目的は、小型で机に容易に収まる設置面積を有するプリンタを提供することである。
【0008】
さらに別の目的は、プリンタの外部からの操作を防ぐことである。さらに、印刷の前および/または後に、公式な文書またはその上のスタンプをチェックすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的に鑑みて、本発明は、公式な文書にスタンプを施すためのプリンタを提供し、本プリンタは、文書をプリンタに挿入し、プリンタから文書を取り出すための入口を有するアクセスレベルと、プリントヘッドを備える処理レベルと、アクセスレベルと処理レベルとの間で文書受けプラテンを移動させるためのレベル間文書移送システムと、を備える。アクセスレベルと処理レベルとは、少なくとも部分的に上下に重なり合って配置される。
【0010】
プリンタをアクセスレベルと処理レベルとに分けることは、プリンタの外部から操作されることなく文書の処理を確実に行うことができるという利点を有する。例えば、処理が行われている間に文書を保持しているプリンタのオペレータによって操作が行われることがある。これは、公式な文書を対象とした従来技術の装置の共通の特徴であり、処理中に文書が十分に静止状態に保たれておらず、その結果、処理結果は不十分な品質となるという危険性がある。セキュリティ機能に関して当業者が理解するように、印刷の品質が高ければ高いほど、セキュリティ機能がより高度になり得る。
【0011】
本発明に関連するスタンプは、公式な文書上に印刷される永続的な痕跡(imprint)であり、印影(seal)に限定されない。よって、本発明に関連するスタンプは、印影、英数字、英数字コード、絵、バーコード、暗号化画像など、またはこれらの任意の組み合わせを含むことができる、公式な文書に施される画像として理解されたい。
【0012】
本発明によるプリンタでは、レベル間文書移送システムを使用して、文書受けプラテン上に配置された公式な文書を、さらにプリンタ内に、すなわちアクセスレベルから処理レベルに移動させることによって、公式な文書を入口に挿入した後の操作が防止される。
【0013】
文書は、文書の縁部を先にしてプリンタの入口に挿入されることが好ましい。挿入後、レベル間文書移送システムは、移動の方向を文書の平坦面が向く方向に変え、この方向は、平坦面に対して実質的に垂直であることが好ましい。この移動の結果として、文書の処理は、アクセスレベルの上または下で、実質的にアクセス不可能に行われる。
【0014】
また、文書を移動させるために文書受けプラテンを使用することには、文書をプリンタへ挿入し、プラテンに文書を配置した後、プリンタを通る文書の移動は、プラテンの移動によって規定されるという利点がある。より具体的には、プラテンを駆動することによって文書を間接的に移動させることにより、例えばロールで文書を移送することによって文書を直接駆動することに比べて、移動の軌跡がより明確で予測可能になる。このことは特に、すり切れた文書や曲がっている文書に当てはまる。
【0015】
さらに、プリンタ内において、アクセスレベルを表す第1の空間と、第1の空間の上または下にある、処理レベルを表す第2の空間とに分けることにより、プリンタはより小さな設置面積を有することが可能になる。より小さい設置面積にもかかわらず、そしてこの配置のおかげで、本発明の好ましい実施形態に関して以下にさらに定義されるように、プリントヘッドまたは公式な文書を処理するためのさらに追加的な機構を設けるための十分な空間もある。換言すれば、各機構の配置は、プリンタのより小型で、したがって空間効率の良い設計をも容易にする。
【0016】
プリンタの一実施形態では、レベル間文書移送システムは、モータ、好ましくはステッピングモータに接続された少なくとも1つのプーリを備えるプーリ機構である。
【0017】
レベル間文書移送システムとしてプーリ機構を使用することは、文書プラテンを移動させるために簡素で信頼できる機構を提供する。特にステッピングモータと組み合わせて、本機構により、文書受けプラテンを所定のレベルにおいて正確に位置決めできる。プラテンと組み合わせたプーリ機構はまた、これらの構成要素間が直接機械的に係合するおかげで、文書の位置についてのフィードバックを提供することができる。好ましくは、クランプベルトの一方の端部が、プーリの上にかけられてプーリに固定され、ベルトの他方の端部が、好ましくは文書受けプラテンに固定される、プーリシステムが使用される。ベルトは、ロープまたはケーブルでもよく、ベルトの両端の間で少なくとも1つの追加的なプーリの上にかけられてもよい。
【0018】
好ましい実施形態では、レベル間文書移送システムは、好ましくは処理レベルに向かって文書受けプラテンを付勢する少なくとも1つのばねを備える。
【0019】
本実施形態では、プーリシステムは、ばねが文書受けプラテンを付勢することによってシステムのベルトに一定の張力がかかるおかげで、特に高精度で位置決めすることができる。
【0020】
さらに、2つの終端位置のうちの一方に向かって、すなわちアクセスレベルまたは処理レベルに向かってレベル間文書移送システムを付勢するばねは、プーリシステムの駆動が作動していない間に文書プラテンが配置される位置を予め定める。この点において、アクセスレベルに向かって文書受けプラテンを付勢することは、レベル間文書移送システムが故障した場合に、プリンタから取り出すために文書にアクセスできるという利点を有する。また一方、処理レベルに向かっての付勢は、プラテンを安定した位置に保つようにレベル間移送システムの駆動を絶えず制御する必要なしに、処理されるために文書受けプラテンを正しい位置に保持する。
【0021】
別の好ましい実施形態では、レベル間文書移送システムは、文書受けプラテンを付勢するための複数のばねを備え、プーリ機構は、好ましくは文書受けプラテンにある1つの取り付け点に取り付けられ、取り付け点は、さらに好ましくはばね間に配置される。
【0022】
この構成では、プラテンの異なる位置に作用する複数のばねにより文書受けプラテンの特定のバランスのとれた付勢が可能となる。ばね間に取り付け点を配置することによって、この効果をさらに高めることができる。
【0023】
さらに別の実施形態では、プリンタは、ステッピングモータまたはDCモータなどのモータと、ギアラック、リードスクリュー、またはエンドレスベルトなどの直線移動機構と、を備える、レベル内文書移送システムをさらに備え、直線移動機構は、文書受けプラテンに接続され、直線移動機構は、好ましくは、レベル間文書移送システムを介して文書受けプラテンに間接的に接続される。
【0024】
レベル内文書移送システムは、公式な文書の挿入中にオペレータを支援する。また、文書が文書受けプラテン上に配置されたことをプリンタが登録したときに、アクセスレベルで公式な文書の移送を自動的に開始することによって、オペレータにフィードバックを与えることもできる。これは、レベル内文書移送システムが文書をさらにプリンタ内に移動させることを可能にし、その結果、レベル間移送機構が動かなくなり得るプラテン上での文書の意図しない操作を回避することができるため、文書受けプラテン上の文書の誤配置を回避する。文書受けプラテンを動かすためのモータおよび直線移動機構の使用は、プラテンのレベル内位置の正確かつ反応の良い制御という利点を有する。
【0025】
直線移動機構は、モータの回転運動を、レベル内文書移送システムを移動させるための直線運動に変換する。文書移送機構は、好ましくは、この変換のためにギアラック、リードスクリュー、および/またはエンドレスベルトを使用する。別の実施形態では、モータおよび直線移動機構の代わりに、リニアモータなどの直線アクチュエータが、文書受けプラテンを移動させるために使用される。
【0026】
レベル間移送システムを介して文書受けプラテンに場合により接続されている直線移動機構は、レベル内移送システムがアクセスレベルと処理レベルとの両方に沿って文書を移動させることができるという利点を有する。例えば、処理レベルでは、レベル内移送システムを使用して、文書をプリンタのプリントヘッドに対して移動させることができる。
【0027】
別の実施形態では、文書受けプラテンは、挿入方向において公式な文書の前縁に当接するための入口に面する縁部と、好ましくは、公式な文書の前縁の接触を検知するための文書受けプラテンのこの縁部にあるセンサと、を有する。
【0028】
縁部は、硬質のバックストッパ(backstop)として機能することによって文書を挿入するオペレータにフィードバックを与えるための効率的な方法である。縁部は、プリンタの移送システムを作動させることができるように、文書がどれだけ奥まで挿入されるべきかを示すだけでなく、文書受けプラテン上の文書の正しい配置も示すことができる。
【0029】
公式な文書の前縁を検知するためのセンサが存在する場合、センサは、文書移送システムを作動させるのに必要な情報を確実にプリンタに提供することができる。これはまた、文書が正しく置かれたときに移送を作動させるなどの信号を与えることによって、公式な文書を文書受けプラテン上に置くオペレータへのフィードバックを強化することができる。
【0030】
さらに別の実施形態では、アクセスレベルは処理レベルの下に配置される。
【0031】
このことにより、プリンタの入口が、オペレータが作業する机上面の高さとほぼ同じ高さになるため、文書を挿入する高さが快適な高さになる。本実施形態では、入口の高さは、プリンタに実装された機構に必要な空間とは無関係であり、それは、これらの機構が、プリンタの設置面積を変えることなく十分な空間を設けることができるプリンタの処理レベルに配置されているためである。
【0032】
別の実施形態では、プラテンは、文書を処理レベルで処理するために、公式な文書を文書受けプラテン上にクランプするように構成されたクランプ手段を備える。
【0033】
クランプ手段は、公式な文書上に施された、または施されることになっている偽造防止対策の高品質な処理を確実にするために、処理中に文書を所定の位置に保持する。好ましくは、文書が完全に挿入された後にのみ、例えば文書の前縁を検知するために上方からセンサによって検知されると、クランプが行われる。
【0034】
また、文書が文書受けプラテンとクランププレートなどのクランプ手段との間にクランプされるように、レベル間移送システムを作動させ、文書を文書受けプラテン上で移動させることにより、クランプを実行することができる。それでもなお、以下でさらに詳細に説明されるように、他のクランプ手段が使用されてもよい。
【0035】
一実施形態では、プリンタは、処理レベルで公式な文書の画像を登録するように配置されたカメラを含む撮像システムをさらに備える。
【0036】
このカメラは、公式な文書を処理するためのプリンタの機能を強化し、以下の機能のうちの少なくとも1つを有することができる。公式な文書の画像を登録する1つの機能は、文書上のスタンプを施すための正しい位置を判定する能力、すなわち品質管理を行う能力である。カメラは、追加的または代替的に、スタンプまたはスタンプが施されていることを検証するために使用されてもよい。この点で、公式な文書の画像を撮影することは、この文書の有効性を判断するための他の検証目的にも役立ち得る。さらに、カメラは、データロギング、データマイニング、プロファイリング、自動較正などのために使用されてもよい。
【0037】
好ましい実施形態では、撮像システムは、カメラとプラテンとの間の光路上に配置されたミラーをさらに備える。
【0038】
ミラーを配置することにより、カメラと文書受けプラテンとの間の光路長を長くすることができる。より具体的には、ミラーはカメラとプラテンとの間の光路を変えることを可能にし、空間を最適に利用することを可能にし、その結果としてプリンタのサイズの増大を回避することを可能にする。さらに、光路を長くすることによって、撮像の品質が向上する。
【0039】
特定の好ましい実施形態では、プリンタは、公式な文書を照らすため、および/または文書に施されたスタンプを処理するように配置された照明ユニットをさらに備える。
【0040】
この照明ユニットは様々な機能を有することができる。照明ユニットは、画像を登録するための最適な照明条件を提供する、公式な文書のセキュリティ関連の特徴を視覚化するように適合された特定の波長および/もしくは偏光を有する光を提供する、ならびに/またはスタンプの処理を支援して、例えば印刷後にスタンプを乾燥させることができる。
【0041】
さらに別の実施形態では、照明ユニットは、少なくとも2つの異なる光源を備える。
【0042】
本実施形態では、異なる光源を異なる機能に指定することによって、前述の機能のいずれかを組み合わせてより容易に実現することができる。
【0043】
別の実施形態では、プリンタは、少なくとも部分的に入口の周囲に配置された入口光源および/または入口センサをさらに備える。
【0044】
入口光源は、公式な文書が文書受けプラテン上の公式な文書の所定の位置に到達したことなどの視覚的フィードバックをオペレータに与えるために使用することができる。代替的または追加的に、公式な文書を文書受けプラテンから取り出すことができるときに、入口光源はオペレータに信号で知らせることができる。同様に、入口光源はまた、プリンタが文書を受け取る準備ができていること、またはエラーが発生したことをオペレータに信号で知らせるために使用することができる。
【0045】
入口センサは、プリンタがプリンタの入口に公式な文書が存在することを検知することを可能にする。これは、移送機構を準備するために、および/または文書のための処理手段を作動させるために使用することができる。例えば、レベル間移送機構をプリンタのアクセスレベルに移動させることができる。入口センサはまた、入口に入る文書の幅を記録し、例えば、文書がプリンタに正しく挿入されたか否かをオペレータにフィードバックを与えること、文書を識別するのを助けること、またはスタンプを施すことができる領域を判定することを可能にするように構成され得る。
【0046】
本発明は、公式な文書の画像を登録するためのカメラと、カメラと文書受けプラテン上に配置された公式な文書との間の光路上に配置されたミラーとを備える、撮像システムをさらに提供する。
【0047】
そのような撮像システムは、画像を歪ませる傾向がある広角レンズを必要とせずに、文書全体の画像を一度に迅速に登録することができる。その理由は、ミラーがカメラと公式な文書との間の光路長を長くするためである。撮像ユニットのこの構成は、特に、上述の実施形態のうちの1つにおいて実施されるプリンタを対象としている。さらに、撮像システムは、文書の画像が一度に登録されるため、文書のスキャンと比較して処理時間を節約する。
【0048】
撮像システムの好ましい実施形態では、撮像システムは、公式な文書を照明するように配置され、好ましくは光路の周囲に配置される照明ユニットをさらに備える。
【0049】
照明ユニットは、プリンタの照明ユニットについて既に上述したように構成することができる。さらに、カメラと公式な文書が配置されるべき文書受けプラテンとの間の光路の周囲に照明ユニットを配置することは、文書の特定の均一な照明をもたらす。これは検証目的に特に有利である。
【0050】
本発明はまた、プリンタ、特に上記の実施形態のうちの1つに記載されているようなプリンタで公式な文書を処理するための方法を提供する。本方法は、プリンタのアクセスレベルの入口に公式な文書を挿入し、その文書を文書受けプラテンの上に配置するステップと、レベル間移送機構を使用して、文書受けプラテン上の公式な文書をアクセスレベルから処理レベルに移動させるステップと、公式な文書上にスタンプを印刷するステップと、文書をプリンタの入口から取り出すために、公式な文書を処理レベルからアクセスレベルに移動させるステップとを含む。
【0051】
公式な文書を処理する本方法は、高速で効率的である。本方法はまた、文書の挿入後に、文書の処理を、プリンタ内の別のレベル、すなわち処理レベルにすることが、処理中の文書にオペレータがアクセスすることを防止するため、安全である。一方での文書の出し入れと他方での文書の処理とのこの分離はまた、印刷による煙または公式な文書の特徴を登録するために使用され得るUV光などの処理手段からオペレータを保護する。既に上で述べたように、文書受けプラテン上の文書をレベル間で移送する方法はまた、装置の設置面積をより小さくする。
【0052】
一実施形態では、本方法は、カメラ、および好ましくはカメラと公式な文書との間の光路上に配置されたミラーを使用して、公式な文書の画像を登録するステップと、スタンプの位置を判定する、および/またはスタンプを検証するために、登録された画像を処理するステップとをさらに含む。
【0053】
カメラを使用して、スタンプの場所を判定するために、および/またはスタンプを検証するために画像を登録するステップは、文書の挿入前のオペレータによる手作業の判定または文書のスキャンなどの他の技法と比較して、特に高速な判定を可能にする。
【0054】
一実施形態では、本方法は、文書を入口に挿入した後、また好ましくは、レベル間文書移送システムを用いて文書受けプラテンを移動させる前に、レベル内文書移送システムによって、プラテン上の公式な文書を移動させるステップを含む。
【0055】
本実施形態は、レベル間移送システムを作動することを可能にする位置に移送することが、部分的に、レベル内移送システムによって自動的に行われるため、プリンタに文書を挿入することを容易にする。また、プリンタから文書を排出することがより容易である。
【0056】
別の実施形態では、本方法は、文書を処理する間、レベル内文書移送システムを使用して、処理レベルでプラテンを移動させるステップをさらに含む。
【0057】
プリントヘッドよりも大きい領域にわたってスタンプを施さなければならない場合に、これは特に有利である。このような場合、レベル内移送機構は、文書受けプラテン上に配置された公式な文書をプリントヘッドの下に移動させることができる。
【0058】
本方法の別の実施形態では、スタンプを印刷するステップは、動的に生成されたデータに基づいて動的なスタンプを印刷するステップを含む。
【0059】
これは、査証プリンタを使用することの特別な利点である。印刷されるものに関してプリンタは柔軟であるので、スタンプは、公式な文書の所有者に関する特定のデータに従って適合させることができる。これにより、スタンプのセキュリティが大幅に向上する。
【0060】
以下の各図は、本発明の好ましい実施形態を例示する。これらの実施形態は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に以下の説明と併せて本発明の理解を深めるためのものと解釈されるべきである。これらの図において、同じ参照符号は、図面全体を通して、同じまたは均等な機能および/または構造を有する特徴を指す。本出願に添付の図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】公式な文書にスタンプを施すための一実施形態によるプリンタの斜視図である。
図2図1に示すプリンタの背面図である。
図3】公式な文書を処理するための一実施形態によるプリンタの様々なモジュールを示すブロック図である。
図4】プリンタ内部の構成要素をより見やすくするために外側ケースが取り外されている、一実施形態によるプリンタの斜視図である。
図5図4に示すプリンタの側方からの斜視図である。
図6図4および図5に示すプリンタの斜め上方から見た斜視図である。
図7】レベル間文書移送機構をより詳細に示すために、外側ケーシングが取り外されている、一実施形態によるプリンタの底面図である。
図8】レベル間文書移送機構がレベル内文書移送機構によってプリンタの入口から離れた位置に移動されている、図7に示すプリンタの底面図である。
図9】下から見た文書受けプラテンの詳細図である。
図10】プリンタの正面から斜めの角度で見た、プリンタの一実施形態の斜視図である。
図11】プリンタの照明ユニットをより詳細に示す、斜め下方から見た、プリンタの一実施形態の斜視図である。
図12】公式な文書にスタンプを施すための一実施形態による方法の第1の部分を示す流れ図である。
図13図12に示す方法ステップに続く、本方法の第2の部分を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図1を参照すると、渡航文書、すなわちパスポートのような文書上に印刷するための小型プリンタが、10において、概略的に示されている。文書という用語は、以下の詳細な説明では文書をパスポートと一般に称するが、法律に関連してスタンプが施される公式な文書であると理解されたい。
【0063】
変形例では、プリンタ10は、例えば、1枚の紙、複数の綴じられていない紙の束、複数の綴じられた紙の束または帳、プラスチックカードおよび身分証明書カードを含むカード、他の文書状の物体(例えば木札)、ならびにこれらの任意の組み合わせを含む、他の種類の文書にも印刷するように動作可能であり得る。
【0064】
これらの文書はいずれも、情報を含む平らな面と、その平らな面を囲む縁部を有する。プリンタ10は、文書の平らな面に印刷する。
【0065】
プリンタ10の前面には、通常は外装体14で覆われているプリンタ10の内部に、パスポート(図1には示さず)などの文書を受け入れるための入口12が備わっている。挿入されるパスポートは、典型的には、スタンプ/査証などが印刷され得るページを開いている。
【0066】
プリンタ10は、好ましくは、図1に示す指紋スキャナ16などのバイオメトリックリーダを備える。指紋スキャナ16は、指先が指紋スキャナ16の窓に接して置かれたときに、指紋の画像または他の表現を取り込むように動作可能である。一部の実施形態では、指紋スキャナ16に電力が供給されており、作動しているときはいつでも、指が指紋スキャナ16に接して置かれるとすぐに指紋表現が取り込まれる。一部の実施形態では、指紋スキャナ16は、指紋スキャナ16に隣接して置かれた物体の存在を検知し、次いで、表現を取り込むために自動的に作動するように動作可能である。指紋スキャナは、典型的には、プリンタ10を印刷に使用する前のログイン手順中に、プリンタ10のオペレータ(例えば、政府係官)によって使用される。
【0067】
プリンタ10は、プリンタ10の内部のインクカートリッジにアクセスするためのアクセス部、すなわちドア18を備える。典型的には、ドア18は、プリンタ10の1つ以上のインクカートリッジを検査または交換するために開かれる。ドア18は、電子的に制御され、セキュリティ証明書(例えば、ログインパスワード)を提供した後にのみ電子的に開くことができる。
【0068】
プリンタ10は、好ましくはディスプレイ20も備え、ディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ(LCD)とすることができる。ディスプレイ20は、ディスプレイ20上に表示されたソフトボタンまたは他のアイコンに触れるオペレータによるユーザ入力を受けるように動作可能なタッチスクリーンディスプレイである。
【0069】
図1はまた、プリンタ10の待機状態中にディスプレイ20に表示されるソフトボタン22を示している。ソフトボタン22は、オペレータがプリンタ10を使用するためにログインした直後に現れる。例として、ソフトボタン22は、プリンタ10の内部から文書を排出するための排出ボタンと、ドア18を開くためのインク交換ボタンと、プリンタ10に関連する追加的な情報を表示するための情報ボタンと、他のあり得るボタン22と、を含むことができる。そのような追加的な情報としては、例えば、プリンタ10のモデルおよび製造元、シリアル番号、およびソフトウェアバージョン番号を挙げることができる。ソフトボタンの代わりに、任意の他の種類のボタンを使用してもよい。
【0070】
図1に示す実施形態では、プリンタ10は、指紋スキャナ16に関連する表示メニュー、印刷操作、一般設定、保守機能などの、複数の状況固有のメニューを表示するように動作可能である。ステータス表示およびエラーメッセージをディスプレイ20に表示することもできる。一部の実施形態では、表示されるメニューは、プリンタ10にログインしている特定のユーザ(またはユーザのグループ)の識別情報に依存する。例えば、管理者としてログインした場合、管理者権限なしでログインする場合とは異なるメニューのセットがディスプレイ20に表示される結果となり得る。プリンタ10は、複数の言語のうちの選択可能な1つの言語でディスプレイ20上にテキストを表示するように動作可能であるように多言語対応である。表示される言語は、ユーザ(またはユーザのグループ)の識別情報に依存し得る。
【0071】
一部の実施形態における入口12は、入口12の視認を容易にするため、また一部の実施形態ではステータス情報を提供するために、入口12の開口部の周囲に光源を備える。例えば、入口12での照明は、プリンタ10が文書を受ける準備ができていることを示すために緑色に、文書を入口12に挿入すべきでないことを示すために赤色に(例えば、プリンタ10は準備ができていない、または文書が既に挿入されており、取り出されていない)、または他の色にすることができる。追加的または代替的に、ディスプレイ20にエラーメッセージを表示すること、および/または音を発生させること(例えば、エラーを示すビープ音)のために、入口12の照明は、例えばエラーを示すために点滅させてもよい。入口の開口部の周囲に光源を配置することが好ましいが、少なくとも1つの光源を入口12の一方の側、好ましくは上側または下側に配置するなど、他の配置も考えられる。
【0072】
外装体14は、様々な形状および小型のサイズを有することができる。例えば、図2は、外装体14が図1に示す実施形態よりも丸みのある角を有するプリンタ10の一実施形態の背面を示している。
【0073】
図2からわかるように、本発明の好ましい実施形態によれば、プリンタ10は、プリンタ10の電源をオンおよびオフにするように動作可能な電源スイッチ24と、パーソナルコンピュータ(PC)の周辺機器としてプリンタ10を接続するためのUSBケーブルを受け入れるためのType Aのユニバーサルシリアルバス(USB)ポート26などのインターフェースと、プリンタ10とプリンタ10の周辺機器(図示せず)との間に接続されるように寸法決めされたUSBケーブルを受け入れるためのType BのUSBポート28などの別のインターフェースと、例えば交流(AC)電力または直流(DC)電力などの電力を受けるための電源入力差し込み口30と、を備える。
【0074】
USBポート26、28に加えてまたはその代わりに、プリンタ10は、一部の実施形態では、グローバルな電気通信網(例えば、インターネット)などの電気通信網または周辺機器に接続するための1つ以上のポートまたは他のコネクタを備え得る。
【0075】
プリンタ10はまた、プリンタ10を固定具に固定するためのKensington(商標)ロック(図示せず)を受け入れるためのKensington(商標)セキュリティスロット32を備えることができる。
【0076】
図2をさらに参照すると、プリンタ10は、好ましくは、ドア34を旋回して開くためにラッチ解除することができるラッチ36を有するファンドア34を備える。ドア34を開くと、交換または他の方法で修理することができるファンフィルタにアクセスすることができる。一部の実施形態では、ラッチ36はロック可能であり、電子的に制御可能なロックを備え得る。一部の実施形態では、電力がプリンタ10に供給されているときはいつでもプリンタ10のファンは常にオンである。しかしながら、他の実施形態では、プリンタ10のファン動作は、ユーザ入力に応じてソフトウェアによるなどして電子的に制御される、および/または所定のデューティサイクル、温度の指示、インクダストや他の形態のダストの量の指示、もしくは他の要因のうちの任意の1つ以上に応じてソフトウェアアルゴリズムによって自動的に決定される。
【0077】
図3は、例えばパスポート(図3に示さず)にスタンプを印刷するなど、文書に印刷するための印刷システム38の好ましい実施形態のブロック図を示している。印刷システム38は、メインプロセッサ40とメインメモリ42とを備えるプリンタ10を備える。プリンタ10は、メインプロセッサイベントおよびメモリイベントのアクティビティログを維持するように動作可能である。以下に説明する他のシステム構成要素には、いくつかの補助プロセッサおよび補助メモリユニットが含まれる。
【0078】
メインプロセッサ40は、典型的には中央処理装置(CPU)であり、例えば1つ以上の集積回路(IC)によって実装され得る。メモリ42は、本発明による方法のステップを実行するようにメインプロセッサ40の動作を指示するためのプログラムコードを格納することを含む、データおよび他の情報のデジタル表現を格納するように動作可能である。メモリ42は、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)などとして実装することができる。
【0079】
図3をさらに参照すると、プリンタ10は、示された好ましい実施形態によれば、指紋スキャナ16(図1および図2)などのバイオメトリックリーダを制御するために、バイオメトリックリーダモジュール44を備える。バイオメトリックリーダモジュール44は、指紋スキャナ16の動作を制御し、メインプロセッサ40と通信するために、プロセッサ(図示せず)とメモリ(図示せず)とを備える。
【0080】
プリンタ10は、ディスプレイ20(図1および図2)の動作を制御し、メインプロセッサ40と通信するためのプロセッサ(図示せず)とメモリ(図示せず)とを備える表示モジュール46を備える。
【0081】
通信モジュール48は、プリンタ10と、接続されたPC 50と、の間で通信を行うように動作可能である。特に、通信モジュール48は、Type AのUSBポート26(図2)を介してPC 50の対応するPC通信モジュール52と通信するように動作可能である。無線通信などの他の通信モードも可能である。PC 50は、当技術分野において既知の方式で、PC通信モジュール52と、PCプロセッサ54と、PCメモリ56と、PCディスプレイ58と、を備える。PCメモリ56は、本発明による方法のステップを実行するようにPCプロセッサ54の動作を指示するためのプログラムコードを格納する。
【0082】
図3に示す実施形態では、プリンタ10と、接続されたPC 50と、が印刷システム38を形成する。一部の実施形態における印刷システム38は、プリンタ10に、指紋スキャナ16によって検出されたバイオメトリックデータをメインプロセッサ40へ送信させるように動作可能であり、メインプロセッサ40は、そのようなバイオメトリックデータを、例えば、PCディスプレイ58に表示するために、通信モジュール48およびPC通信モジュール52を介して、PCプロセッサ54に送信するように動作可能である。
【0083】
通信モジュール48はまた、Type BのUSBポート28(図2)を介してメインプロセッサ40と、接続された周辺機器(図示せず)の対応するプロセッサと、の間で通信を行うように動作可能である。
【0084】
図3をさらに参照すると、プリンタ10は、入口12(図1および図2)を介してプリンタ10内に受け入れたパスポート(図3には示さず)などの文書を移送するための文書移送システム60を備える。
【0085】
本発明の概要で説明したように、文書移送システム60は、レベル間文書移送システム8と、好ましくはレベル内文書移送システム9と、を備える。好ましくは、レベル内文書移送システム9の移動経路、または手作業で挿入される場合、挿入の移動経路は、レベル間文書移送システム8の移動経路に対して実質的に垂直である。換言すれば、そのような好ましい実施形態では、レベル間文書移送システム8は、挿入後、公式な文書の実質的に垂直方向の移送と、好ましくは水平方向に沿った移送と、を可能にする。
【0086】
プリンタ10では、挿入から処理までの文書の移動経路は不連続である、すなわち、(手作業またはシステムによる)レベル内移送とレベル間移送との間の文書の幾何学的中心の方向の変化は、徐々にではなく突然に起こる。このことは、従来技術から知られている移送システムとは対照的である。これらの移送システムでは、例えば2つのエンドレスベルトを互いに隣接させ、かつ角度をつけて配置することによって方向の変更が行われ得るが、幾何学的中心の方向の変化は徐々に起こり、これは、第1のエンドレスベルトから第2のエンドレスベルトへ移送される間に、第1のベルト上に配置された文書の縁は依然として第1のベルトによって支持されているが、反対側の縁は既に第2のベルトの上に配置されているためである。結果として、文書の幾何学的中心は、第1のベルトから第2のベルトまでの連続的な湾曲経路上にある。このような移送は文書を曲げてしまい、その結果、文書をあるベルトから次のベルトへ移送するときに文書の誤配置を引き起こす可能性がある。この問題は、プリンタにおいて隣接する一列のロールを使用して文書を移送するときにさらに起こりやすくなる。
【0087】
レベル間移送機構8は、文書受けプラテン68を下方位置とクランプ位置との間で移動させる。下方位置は、アクセスレベル1に対応し、アクセスレベル1に位置し、クランプ位置は、処理レベル2に対応し、処理レベル2に位置する。処理レベル2に対応するさらなる位置は、例えば、以下でさらに詳細に説明される印刷位置および撮像位置である。
【0088】
図4は、外装体14(図1および図2)を取り外すことによって見えるようにすることができるフレーム62を含む、好ましい実施形態によるプリンタ10の内部構成要素を示している。
【0089】
図4からわかるように、プリンタ10の文書移送システム60は、入口12における文書などの物体の存在を検出するための入口センサ64を備え得る。図4に示す実施形態では、入口センサ64は、赤外線源、および入口12の対向する垂直端部に配置された、対応する赤外線検出器として実施される。赤外線源は、例えば、プリント回路基板(PCB)66の下に取り付けられた1つ以上の発光ダイオード(LED)として実装され得る。対応する赤外線検出器は、例えば、入口12の下に取り付けられた1つ以上のフォトダイオードとして実装され得る。
【0090】
図4に示す実施形態は、赤外線または光学センサとして実施された入口センサ64を示しているが、一般に、例えば機械的または他のセンサを含む任意の適切な入口センサ64を使用することができる。一部の実施形態では、入口センサ64は、入口12の開口部で照明と一体化されている。図4は入口12の対向する垂直端部に配置された入口センサ64を示しているが、追加的または代替的に、一部の実施形態における入口センサ64は、入口12の対向する水平側面に配置される。一部の実施形態では、入口センサ64は、入口12を通して挿入されている文書の幅を検知するように動作可能である。この場合、センサは、スタンプが文書上に施されるべきである場所を示す指示を少なくとも提供するように構成されてもよい。
【0091】
図5および図6を参照すると、文書移送システム60は、図6に示すパスポート70などの文書を支持するためのプラテン68を備える。図示の例示的な実施形態では、プラテン68は、標準化された小冊子型パスポートの半分のサイズに対応するように寸法決めされ、それによって、好適には、開かれた小冊子の左右ページの厚さの差に対応する。しかしながら、一般に、プラテン68は、任意の適切な寸法のものとすることができる。一部の実施形態(図示せず)では、プラテン68の幅および/または長さは、場合によりユーザ調整可能であることも含めて調整可能である。一部の実施形態では、プラテン68の幅は、入口センサ64によって生成され得る指示などの、入口12を通して挿入されている文書の幅の指示に応じて自動的に調整される。
【0092】
プラテン68は、上方位置と下方位置との間で垂直方向に移動するように動作可能である(レベル間移送機構)。好ましくは、上方位置(処理レベル2)では、文書がプリンタ10内に存在しないとき、プラテン68の上面72は入口12の上部と実質的に整列される。図示の例示的実施形態では、プラテン68がプラテン68の下方位置(アクセスレベル1)にあるとき、プラテン68の上面72は入口12の底部と実質的に整列されるかそれより低い。
【0093】
図5は、クランププレート74に接触する、プラテン68の上方位置(処理レベル)にあるプラテン68を示している。図6は、パスポート70を示しており、パスポート70は、プラテン68の上方位置にあるプラテン68(図6では見えない)によって支持され、パスポート70の前縁76でクランププレート74と接触している。プラテン68がプラテン68の下方位置(アクセスレベル)にあるとき、パスポート70などの文書がプラテン68とクランププレート74との間に容易に嵌まることができるように、プラテン68とクランププレート74との間に間隙が作られる。
【0094】
図6に示すように、文書移送システム60は、パスポート70の前縁76がプラテン68とクランププレート74との間のクランプ位置にあるときを検知するためのクランプセンサ78を備える。図6に示す実施形態では、クランプセンサ78は、クランププレート74の下でクランププレート74の対向する両端に配置された一対の接点スイッチを含む機械的センサである。しかしながら、一般に、例えば光学式、赤外線式、他の機械式、または他のセンサなどの任意の適切なクランプセンサ78を使用することができる。
【0095】
文書移送システム60のレベル間文書移送システムは、プラテン68とクランププレート74との間で、パスポート70などの文書を文書の前縁76の中央部分でクランプするように動作可能である。
【0096】
図5および図6に示す実施形態では、プラテン68によって支持される文書の把持を好適に改善するために、プラテン68とクランププレート74との間でクランプされる場所を含む、プラテン68の上部支持面72およびクランププレート74の下部クランプ面(図5および図6では見えない)の両方が、好ましくは、ローレット加工された表面、テクスチャ加工された表面、または他の滑り止め面である。一部の実施形態では、プラテン68の支持面および/またはクランププレート74のクランプ面に、ゴム層、サンドペーパー状のグリット層、柔軟(例えば、フォーム)層、または他の高摩擦材料が適用されている。
【0097】
クランププレート74は、プラテン68の支持面が十分に滑り止めされる場合など、一部の実施形態(図示せず)では省略することができる。文書移送システム60のクランプされない変形例(図示せず)は、好適には、すべての縁部に縁なし印刷を可能にする。一部の実施形態では、文書移送システム60は、プラテン68が、真空圧力によって支持された文書との接触を維持するように動作可能であるように、真空発生装置を備える。
【0098】
図7および図8は、プリンタ10の底面図により、クランプモータ84の出力軸に取り付けられたクランププーリ82に一端が接続されたクランプベルト80を示している。
【0099】
図9において最もよくわかるように、クランプベルト80の他端は、プラテン68の底面に位置するバランスポイント88でプラテン68に接続されている。ばね90は、好ましくは垂直方向のアライメントポスト92の周囲に配置されている。ばね90は、プラテン68の底面とフレーム62との間に延びて、プラテン68をプラテン68の上方のクランプ位置に付勢する。クランプモータ84が通電されると、クランププーリ82が回転して、プラテン68を好ましくはプラテン68の下方の非クランプ位置に向かって垂直に移動するように、クランプベルト80を巻き取る。
【0100】
文書移送システム60(図3)は、プラテン68がプラテン68の下方位置に到達したことを検知するためのプラテンセンサ86(図7および図8)を備え、それによって、好適には、クランプモータ84において、プラテン68をプラテン68の下方位置に保持するときの消費電力が、プラテン68をプラテン68の下方位置に最初に移動させるときの消費電力よりも少なくなるようにできる。クランプモータ84の通電が解除されると、プラテン68は、ばね90の力によってプラテン68の上方のクランプ位置に戻る。図7図9に示す実施形態では、クランプベルト80およびクランププーリ82を使用することにより、プラテン68の垂直方向の並進運動を回転運動に効率的に変換し、それによって、好適には、プリンタ10が小型になるように、プリンタ10の高さ全体を低減する。
【0101】
図7図9は、クランプモータ84に通電することにより、ばね90の圧力に抗してプラテン68を下方に移動する間に、ばね90がプラテン68を上方に付勢する実施形態を示しているが、他の構成も可能である。例えば、ばねを用いてプラテン68を下方に付勢し、モータによりプラテン68をばねの圧力に抗して上方に移動させることができる。さらなる例として、モータを用いて、例えばばねの圧力がない状態でまたは両方向のばねの圧力に抗して、プラテン68を上方および下方の両方に確実に移動させることができる。
【0102】
図9に示す実施形態では、クランププレート74の下に配置された4つのばね90(図5および図6)と、プラテン68の反対側の端部に配置された2つのばね90とがある。バランスポイント88は、プラテン68がクランプベルト80によって引き下げられているときのプラテン68の底面に沿った点として定義され、そこでは、プラテン68が下方移動する際のあらゆる回転を最小にするように、均一な下方圧力がプラテン68に加えられる。それぞれ実質的に同じばね定数を有する6つのばね90が図9に示す位置に配置されている場合、バランスポイント88は、プラテン68の4つのばねの端部から2つのばねの端部までの長手方向距離の3分の1に位置し、横断方向の中央に配置されている。バランスポイントでクランプベルト80をプラテン68に接続することは、好適には、ポスト92およびフレーム62上の磨耗の偏りを最小化し、好適には、プラテン68がフレーム62内で引っかかって動かなくなる可能性を最小化する。
【0103】
図4図6を再び参照すると、文書移送システム60は、プラテン68およびクランププレート74を水平方向および長手方向に(すなわち、レベル内移送システムを用いて入口12からより近くまたはより遠くに)移動させるように動作可能である。パスポート70がプラテン68とクランププレート74との間にクランプされているとき、プラテン68およびクランププレート74を長手方向に動かすと、パスポート70も長手方向に動く。ステッピングモータ94などのモータは、直線移動機構としてレベル内移送システムのエンドレスベルト96と係合するモータ出力歯車(図では見えない)を回転させるように動作可能である。上述のように、他の手段を使用して、モータの回転運動をレベル内移送機構のための直線運動に変換することもできる。
【0104】
エンドレスベルト96は、移送プーリ98と係合し、プラテン68は、ベルト取り付け部100によってエンドレスベルト96に一点で取り付けられている。ステッピングモータ94が自身の出力歯車を回転すると、エンドレスベルト96が出力歯車および移送プーリ98の周りを移動し、それによってベルト取り付け部100がステッピングモータ94と移送プーリ98との間の移動範囲内で長手方向に移動し、これにより、プラテン68およびクランププレート74が長手方向に移動する。
【0105】
図示の実施形態では、プリンタ10は、好適には、レベル間移送機構を使用してプラテン68を水平方向に移動させることとは無関係に、プラテン68を垂直方向に移動させるように動作可能である。
【0106】
図4図9は、水平移動および垂直移動のための文書移送システム60のプーリおよびベルトの実装を示しているが、一般に、任意の適切な実装(複数可)が可能である。例えば、文書移送システム60に関連する水平方向および/または垂直方向の移動は、ラックアンドピニオン機構(図示せず)、リニアモータ(図示せず)、直線アクチュエータ(図示せず)、ソレノイド(図示せず)、トランスデューサ(図示せず)、またはプラテン68の可逆直線運動を生じさせることができる他の機構によって実施できる。垂直運動の場合、プラテン68自体が、例えば、リニアモータまたはソレノイドの一体的な構成要素を形成してもよい。
【0107】
図4図6、および図8を参照すると、上部挿入ガイド102は、入口12の頂部から内側に間をあけて配置されたヒンジ104でフレーム62に回転可能に接続されている。上部挿入ガイド102は自由に回転可能であり、好ましくは重力のみによって接パスポート70などの文書に接触する。上部挿入ガイド102は、好適には、プリンタ10に挿入される文書を平坦にすることを容易にする。図8から最もよくわかるように、上部挿入ガイド102は、上部挿入ガイド102とプリンタ10に挿入されている任意の文書との間の摩擦を低減するためのローラ106を備える。図8に示す実施形態では、各ローラ106は、4つの同一直線上にあるローラセグメント108から構成されている。しかしながら、一般に、各ローラ106は、例えば1つの単一のローラセグメント108から作られる所与のローラ106を含む、任意の数のローラセグメント108から作られ得る。異なるローラ106は、異なる数のローラセグメント108から作られてもよく、異なるローラセグメント108は異なるサイズを有してもよい。一般に、任意の数のローラ106を使用することができる。
【0108】
図3図9に示す実施形態では、文書移送システム60は、プリンタ10への電力が遮断された場合、またはプリンタ10によって特定の動作エラーが検出された場合、プリンタ10内のあらゆる文書を、その文書を損傷することなく手作業でプリンタ10から取り出すことができるように、文書移送システム60がプラテン68を非クランプ位置に戻すような、フェイルセーフ機構を備える。クランプ位置(処理レベル)に向かって付勢するばねの場合、そのようなフェイルセーフ機構は、文書受けプラテン68を入口12のレベル(アクセスレベル)まで移動させることができるようにするために、バッテリなどのエネルギー貯蔵装置を使用することができる。フェイルセーフ機構はまた、文書受けプラテン68をアクセスレベルに維持するためのロック手段を備えることもできる。好ましくは、フェイルセーフ機構に関して、プリンタ10のクランプ機構により、オペレータは公式な文書を損傷することなく公式な文書を引き抜くことが依然としてできる。
【0109】
一部の実施形態では、プリンタ10は、プラテン68が動かないようにプラテン68の位置をロックするように動作可能である。例えば、プリンタ10は、プリンタ10がシャットダウンされているときにプラテン68の位置をロックするように動作可能であり、それにより、好適には、例えばプリンタ10の出荷および取り扱い中のプラテン68の移動を防止する。
【0110】
一部の実施形態(図示せず)では、文書移送システム60は、クランププレート74を含まないが、印刷および撮像のためにパスポート70などの文書を配置する他の手段を有する。例えば、図10は、クランピングがない状態で印刷および撮像中に文書の露出した上面を平らにするために、パスポート70上に空気(例えば、圧縮空気)を吹き付けるためのエアノズル110が以前の実施形態とは異なる代替的な実施形態を示している。異なる位置に配置された様々なエアノズル110を使用することができる。例えば、エアノズル110は、印刷位置の上方に中央または中央付近に配置され、プラテン68の1つ以上の縁部に向かって下方に向いていてもよい。エアノズル110の角度は、ユーザ調整可能であることおよび/または自動的に調整することを含め、調整可能であり得る。一部の実施形態(図示せず)では、クランププレート74と1つ以上のエアノズルとの両方を使用することができる。
【0111】
一部の実施形態(図示せず)では、文書移送システム60は、プラテン68を含まないが、印刷および撮像のためにパスポート70などの文書を配置する他の手段を有する。例えば、文書移送システム60は、プラテン68などによって提供される支えがない場合に文書を所定の位置に保持するために、文書の縁部および/または角部付近などで文書に取り付けられる1つ以上の真空生成カップを備え得る。
【0112】
図3を再び参照すると、プリンタ10は、プラテン68がプラテン68の撮像位置にあるときに、パスポート70(図6)などの文書の静止画像および/またはビデオ画像を取り込むための撮像システム112を備える。
【0113】
図4は、本発明の好ましい実施形態による、プラテン68がプラテン68の撮像位置にあるときに、パスポート70などのクランプされた文書からの光をカメラ114に向けて反射するための、角度をつけた平面ミラー116から間をあけてフレーム62の上に配置されるカメラ114を示している。ミラー116を使用すると、撮像されているパスポート70とカメラ114との間を光が進む距離が長くなる。そのように増加した距離は、好適には、画像の歪みを引き起こす可能性がある広角レンズを必要とせずに、そしてプリンタ10の全高を大きくする必要なしに、標準化されたパスポート70の開かれた小冊子の1ページを十分に囲むようにカメラ114の視野を増大させる。よって、図4に示すミラー116の配置は、好適には、プリンタ10を小型にするのを助ける。
【0114】
変形例では、ミラー116は、任意の適切な角度に向けられてもよく、任意の適切なサイズを有してもよい。例えば、カメラ114およびミラー116は、ミラー116がカメラ114よりも入口12に近くなるように、図4に示すものから180度回転させることができる。他の配置も可能である。例えば、複数の平面ミラー116を使用して、場合により、プラテン68の下もしくはなんらかの下方、プラテン68の側面、または他の場所および位置にカメラ114を設置することを含む、カメラ114の一連の配置を可能にすることができる。
【0115】
ミラー116の角度を含む位置は、一部の実施形態では調整可能である。ミラー116の位置および/または角度は、例えば工場での較正中に調整することができる。
【0116】
図11は、本発明の別の好ましい実施形態による、カメラ114およびミラー116を支持するために寸法決めされたフレーム62の部分の下に配置された照明バー118を示している。照明バー118は、プラテン68がプラテン68の結像位置にあるときに、パスポート70などのクランプされた文書を照明するように動作可能である。照明バーは複数の光源を備え、それは、様々な実施形態において、例えば、可視光源120、紫外線(UV)源122、および赤外線(IR)源124のうちの任意の1つ以上を含み得る。例えばレーザおよびX線源を含む、任意の適切な波長またはその範囲を放出する他の電磁放射源が可能である。レーザを使用する実施形態は、好適には、クランプされた文書の特定の小さいサイズの特徴および/またはクランプされた文書の基材内に埋め込まれた特徴の撮像を可能にする。
【0117】
人間にとって有害、またはその他の点で有害であり得る電磁放射を発生する光源を使用する照明バー118の実施形態では、外装体および/またはフレーム62は、有害な放射がプリンタ10から漏れ出すのを防ぐために、少なくとも部分的に重ね合わさって配置されているアクセスレベルおよび処理レベルの構成の上に、追加的な遮蔽体を組み込んでもよい。そのような追加的な遮蔽体は、文書が入口12を通して挿入されていないときに入口12(図1)を覆うための、ばね仕掛けのまたはなんらかのスイングタイプの入口ドアなどの入口ドア(図示せず)を備え得る。
【0118】
一部の実施形態では、1つ以上の照明バー118光源は、パスポート70などの文書に印刷されたSICPA(商標)セキュリティインクなどのインクの乾燥および/または硬化を補助するために電磁放射(例えば、UV)および/または加熱を生じる。
【0119】
一部の実施形態では、ミラー、レンズ、および/またはバッフルなどの光学部品(図示せず)を使用して、照明バー118によって提供される照明の均一性を改善する、および/またはカメラ114によって取り込まれた画像にカメラ114自体が写る可能性を減らすことができる。
【0120】
図3を再び参照すると、一部の実施形態における印刷システム38は、プリンタ10に、カメラ114によって取り込まれた画像データをメインプロセッサ40へ送信させるように動作可能であり、メインプロセッサ40は、そのような画像データを、例えば、PCディスプレイ58に表示するために、通信モジュール48およびPC通信モジュール52を介して、PCプロセッサ54に送信するように動作可能である。
【0121】
プリンタ10はまた、文書移送システム60によって文書の前縁76で文書がクランプされ、プラテン68が印刷位置にあるときに、パスポート70(図6)などの文書に印刷するためのプリントヘッドシステム126を備える。プリントヘッドシステム126は、プリントヘッド128(図5)を備え、プリントヘッド128(図5)は、図5に示す例示的な実施形態では、既知の方式で印刷するためのインクジェットプリントヘッド128である。
【0122】
図4図6を参照すると、プラテン68がプラテン68の撮像位置にあるとき、カメラ114は、標準化されたパスポート70の開かれた小冊子の前縁76に隣接するページの画像を取り込むように動作可能である。しかしながら、一部の実施形態では、プリンタ10は、カメラ114が、プラテン68を第1の撮像位置を超えて第2の撮像位置まで移動させることによって、開かれた小冊子の末尾ページの画像も取り込むことができるように寸法決めされている。一部の実施形態では、プリンタ10は、カメラ114が、開かれた小冊子全体の画像を取り込むことができるように寸法決めされている。プリンタ10は、例えば、開かれた小冊子の両方の露出ページを順次または同時に収容するように長くすることができる。
【0123】
プリントヘッド128には、通常はドア18(図1)を介してアクセスすることができる交換可能なインクカートリッジが取り付けられている。図5に示す実施形態では、プリントヘッド128は、セキュリティインクを収容する1つ以上のインクカートリッジを受け入れるように動作可能であり、セキュリティインクを使用して印刷するように動作可能である。そのようなセキュリティインクは、例えば、SICPA(商標)セキュリティインクであり得る。
【0124】
プリントヘッドシステム126は、印刷前などに、印刷初期化ルーチンを実行するように動作可能である。一部の実施形態では、プリンタ10は、パスポート70などの文書の存在が入口センサ64(図4)によって検出されるとすぐに印刷初期化ルーチンを開始するように動作可能であり、それによって、好適には、あらゆる後続の印刷動作を開始する際の遅延を最小化する。
【0125】
動作の方法
図3図12、および図13を参照すると、本発明の実施形態によるメモリ42およびPCメモリ56はそれぞれ、概して130で示される方法のステップを実行するように印刷システム38のメインプロセッサ40およびPCプロセッサ54にそれぞれ指示するためのコンピュータ実行可能命令を含むコードを含む。追加的または代替的に、コードのブロックは、例えば、記録可能なコンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品の一部を形成することができる。
【0126】
印刷システム38のメインプロセッサ40、メモリ42、PCプロセッサ54、およびPCメモリ56に電力が供給されているとき、メインプロセッサ40およびPCプロセッサ54は、コードのブロック132の各部分によって指示されて、印刷システム38を初期化する。例えば、ブロック132のそれぞれの部分は、メインプロセッサ40およびPCプロセッサ54に指示して、プリンタ10とPC 50との間の通信を確立させる。一部の実施形態におけるブロック132はまた、メインプロセッサ40に指示して、例えばプラテン68をプラテン68の可動範囲にわたって動かすことなどにより、文書移送システム60、すなわちレベル間文書移送システムおよびレベル内文書移送システムの初期化テストを実行させる。
【0127】
ブロック132が実行された場合、メインプロセッサ40はブロック134によって指示されて、バイオメトリックリーダモジュール44からバイオメトリックデータを受信する。バイオメトリックデータを受信することは、典型的には、バイオメトリックリーダモジュール44および/またはその指紋スキャナ16(図1)が指紋スキャナ16の窓に隣接するオペレータの指などの物体を検出するのを待つことを含む。物体が現れると、指紋スキャナ16は物体を読み取り、バイオメトリックリーダモジュール44はバイオメトリックデータをメインプロセッサ40に送信する。ブロック134は、メインプロセッサ40に指示して、バイオメトリックデータをメモリ42に格納させる、ディスプレイ20(図1および図2)にバイオメトリックデータを表示させる、および/またはバイオメトリックデータをPCプロセッサ54に送信させることができる。ブロック134は、PCプロセッサ54に指示して、バイオメトリックデータを受信させる、バイオメトリックデータをPCメモリ56に格納させる、および/またはバイオメトリックデータをPCディスプレイ58に表示させることができる。
【0128】
ブロック134はまた、メインプロセッサ40およびPCプロセッサ54のいずれかまたは両方に指示して、印刷システム38のオペレータ(例えば、政府係官)のためのログイン操作の一部として、ユーザ識別情報およびユーザパスコードなどのさらなるユーザ入力を受信させ得る。ブロック134は、印刷システム38のプロセッサに指示して、例えばログイン操作が正常に完了した場合にのみさらなる動作を可能にさせることができる。
【0129】
ブロック136は、メインプロセッサ40に指示して、プリントヘッド128を初期化させる。プリントヘッド128を初期化することは、典型的には、例えば当技術分野で知られているように、ある範囲の動きを通してプリントヘッド128を移動させること、および/または試験量のインクを噴射することを含む。方法130はブロック134の直後に実行されるブロック136を示しているが、一般にブロック136は、ブロック132を実行するときにブロック136の動作を実行することを含む、印刷前の任意の適切な時間に実行され得る。一部の実施形態では、ブロック136は、本明細書で以下に説明されるブロック138~160のいずれかなどの他のブロックと並列に実行される。
【0130】
ブロック138は、プリンタ10に指示して、入口センサ64(図4)によって文書の前縁76(図6)を検出させる。前縁76を検出することは、典型的には、そのようなイベントが発生するのを待つことと、文書移送システム60のプロセッサ(図示せず)に指示して、入口センサ64から入口12(図1)における文書の存在の指示を受信させることと、を含む。典型的なシナリオでは、文書はパスポート70(図6)などである。
【0131】
ブロック138を実行することによって前縁76が入口12(図1)で検出された場合、次いで、ブロック140は、プリンタ10に指示して、レベル間移送システム8を使用してプラテン68(図5)をプラテン68の下方位置に下げさせる。図示の実施形態では、ブロック140は文書移送システムのプロセッサ(図示せず)に指示して、レベル間移送システム8のクランプモータ84(図7および図8)に通電させて、クランププーリ82を回転させてクランプベルト80を引き下げて、文書移送システムプロセッサがプラテンセンサ86からプラテン68がプラテン68の下方位置に到達したという指示を受信するまで、プラテン68をプラテン68の下方位置、すなわちアクセスレベルに向かって引き下げさせる。
【0132】
ブロック142は、プリンタ10に指示して、クランプセンサ78(図6)によって文書の前縁76を検出させる。ブロック142を実行することは、典型的には、前縁76が入口センサ64(図4)を越えてクランプセンサ78(図6)に達するまで手で押し込まれるのを待つことを含む。クランプセンサ78が文書の前縁76を検出すると、ブロック142は、文書移送システム60のプロセッサに指示して、検出された前縁76の存在の指示をクランプセンサ78から受信させる。
【0133】
ブロック144は、プリンタ10に指示して、プラテン68(図5)をプラテン68の上方のクランプ位置、すなわち処理レベルに上げさせて、文書を文書の前縁76(図6)でクランプさせる。図示の実施形態では、ブロック144は、文書移送システムのプロセッサに指示して、クランプモータ84の通電を解除させ、それによってクランププーリ82が自由にほどけ、クランプベルト80にかかる張力を解放して、プラテン68がばね90(図1および図9)からの圧力下でのプラテン68の上方位置に向かって戻るようにさせる。文書の前縁76がクランププレート74(図6)の下側に接触するまで、プラテン68はプラテン68の上方位置に向かって移動し、それによって文書をクランプする。
【0134】
ブロック146は、プリンタ10に指示して、プラテン68(図5)をプラテン68の撮像位置に移動させる。図示の実施形態では、ブロック146は、文書移送システムのプロセッサに指示して、プラテン68をプラテン68の印刷位置(すなわち、文書がプリンタ10に受け入れられたときのプラテン68の元の位置)からプラテン68の撮像位置に移動させる。そうすることにより、パスポート70などの文書は、カメラ114(図4)によって撮像されるための位置に移動する。一部の実施形態では、プラテン68がプラテン68の撮像位置にあるときに文書が最初にプリンタ10に受け入れられて、ブロック146を省略することができるようにする。
【0135】
ブロック148は、プリンタ10に指示して、パスポート70(図6)などの文書の第1の画像を取り込ませる。図示の実施形態では、ブロック148は、撮像システム112のプロセッサに指示して、カメラ114(図4)に第1の画像を取り込ませる。一部の実施形態では、カメラ114に指示して、照明バー118(図11)による異なる照明(例えば、可視光、UV、IR、それらの組み合わせなど)の下での異なる画像などの複数の画像を取り込ませる。一部の実施形態では、カメラ114に指示して、一連のビデオ画像を取り込ませる。一部の実施形態では、第1の画像を取り込むことは、第1の画像(または一連のビデオ画像)を、例えばメモリ42または中央データベースのメモリなどのメモリに格納することを含む。中央データベースのメモリに第1の画像を格納することは、典型的には、ネットワークを介してそのような中央データベースに第1の画像を送信することを含む。
【0136】
カメラ114によって撮影された少なくとも1つの画像は、公式な文書の少なくとも一部を検証するため、印刷されたスタンプの品質管理を実行するため、および/または自動較正を実行するために使用され得る。さらに、少なくとも1つの画像は、データロギング目的、データマイニング目的、および/またはプロファイリング目的のために使用され得る。
【0137】
ブロック150は、印刷システム38に指示して、第1の画像を表示させる。変形例では、第1の画像は、プリンタ10のディスプレイ20、PCディスプレイ58、またはディスプレイ20とPCディスプレイ58との両方に表示され得る。ディスプレイ20上に第1の画像を表示することは、例えば、撮像システム112のプロセッサに指示して、場合によりメインプロセッサ40を介して、表示モジュール46のプロセッサへ第1の画像に関連する画像データを送信させることと、表示モジュール46のプロセッサに指示して、そのような画像データを受信させることと、表示モジュール46のプロセッサに指示して、ディスプレイ20に第1の画像として画像データを表示させることと、を含み得る。PCディスプレイ58上に第1の画像を表示することは、例えば、撮像システム112のプロセッサに指示して、場合により同様にメインプロセッサ40を介して、通信モジュール48、52を介してPCプロセッサ54へ第1の画像に関連する画像データを送信させることと、PCプロセッサ54に指示して、そのような画像データを受信させることと、PCプロセッサ54に指示して、PCディスプレイ58に第1の画像として画像データを表示させることと、を含み得る。
【0138】
一部の実施形態では、ディスプレイ20および/またはPCディスプレイ58上に第1の画像を表示することは、パスポート70などの文書に印刷するために利用可能なスタンプの点線画像または他の薄くした画像を第1の画像上に重ね合わせることを含む。一部の実施形態では、第1の画像を表示することは、照明バー118(図11)によって生成された異なる照明(例えば、可視光、UV、IR、それらの組み合わせなど)に応じて取り込まれた複数の画像、または複数の画像から得た単一の合成画像を表示することを含む。
【0139】
印刷システム38は、印刷システム38によって動的スタンプを印刷する直前に生成されたスタンプデータを含む、パスポート70およびその所持人の公式処理中に動的に生成されたスタンプデータを含む動的スタンプを印刷するように動作可能である。動的スタンプを印刷することは、好適には、パスポート70上に印刷されている査証印が、所与の国への入国日または出国日、入国または出国の時刻、入国または出国の場所(例えば、空港名およびゲート番号)、入国または出国に関連する航空会社のフライト番号、許可された査証の種類(例えば、観光査証または就労査証)、パスポート70の所持人が所与の国内で許可された滞在中に特定の政府給付金を受ける資格、許可された最長滞在日数、パスポート70に関連する、および/もしくはパスポート70の所持者に関連するバイオメトリクスおよび経歴を含む、パスポート70の所持者の身分証明、パスポート70の番号、パスポート70の有効期限、滞在の目的、パスポート70の所持者の渡航履歴のすべてまたは一部、政府係官による面談のノート、政府係官による追加コメント、または他の情報などの可変データを含むことを可能にする。一般に、スタンプデータはまた、所与の国の特定の査証印に関連するグラフィック画像などの静的テンプレートデータも含む。印刷されたスタンプデータは、例えばバーコードの形態などで符号化することができる。
【0140】
ブロック152は、印刷システム38に指示して、パスポート70(図6)などの文書に関連する印刷位置を判定させる。例示的な実施形態では、印刷位置を判定することは、スタンプ/査証を印刷することが望まれるパスポート70の領域を識別するユーザ入力を受信することを含む。典型的には、スタンプ/査証は、新しく印刷された査証印が、いかなる既存のスタンプとも重ならないように印刷される。
【0141】
一実施形態では、印刷システム38は、ディスプレイ20および/またはPCディスプレイ58上に、オペレータによる選択のために、1から6まで列挙される6つの領域などの複数の列挙領域を表示するように動作可能である。例えば、ブロック152は、表示モジュール46のプロセッサに指示して、タッチスクリーンディスプレイ20を介して、表示された領域のうちの1つの選択をユーザ入力として受信させることができる。変形例では、ブロック152は、PC 50に指示して、PCディスプレイ58に表示された領域の選択をユーザ入力として受信させることができる。
【0142】
一部の実施形態では、印刷システム38は、印刷位置の座標をユーザ入力として受信するように動作可能である。例えば、ブロック152は、PC 50に指示して、オペレータが薄くした査証印の画像を所望の位置に移動および/または回転できるようにし、次いで、オペレータが印刷用に選択した、場合により回転角度を含む位置をユーザ入力として受信させる。
【0143】
一部の実施形態では、印刷システム38は、印刷位置を判定することが、好適には、印刷位置に関連する倍率を判定することを含むように、印刷時に査証印のサイズ全体を変更するための倍率の指示をユーザ入力として受信するように動作可能である。
【0144】
一部の実施形態では、印刷位置を判定することは、印刷位置の選択をユーザ入力として受信せずに、場合により回転角度および倍率を含む印刷位置を判定するための自動処理を実行することを含む。そのような自動化された判定は、国内または国際的な法律および基準に従ってもよい。そのような自動処理を実行することは、第1の画像内に見えるパスポート70の空白領域を判定するためのコンピュータ化された画像処理を行うことと、およびそのような1つの空白領域内の、場合により回転角度および倍率を含む印刷位置を自動的に判定することと、を含み得る。
【0145】
ブロック154は、プリンタ10に指示して、プラテン68(図5)をプラテン68の印刷位置に移動させる。プリンタ10に指示して、プラテン68をプラテン68の印刷位置に移動させることは、文書移送システムのプロセッサに指示して、ステッピングモータ94の動作などによって、プラテン68を長手方向にプリントヘッド128の下のプラテン68の印刷位置に移動させることを含む。
【0146】
ブロック156は、印刷システム38に指示して、パスポート70(図6)などの文書に印刷させる。文書に印刷することは、PC 50からプリンタ10へスタンプデータを送信することと、PC 50からプリンタ10へ、場合により回転角度および倍率を含む印刷位置を送信することと、プリントヘッドシステム126に指示して、スタンプデータおよび印刷位置に従って、文書に印刷させることと、文書移送システム60に指示して、各新しい行が印刷されている状態でレベル内文書移送システム9を使用してプラテン68を長手方向に移動させることと、プリントヘッドシステム126に指示して、各印刷行の印刷中にプリントヘッド128(図5)を横断方向に移動させることと、のうちの任意の1つ以上を含み得る。
【0147】
ブロック158は、プリンタ10に指示して、プラテン68(図5)をプラテン68の撮像位置に移動させる。ブロック158は、例えば、本明細書で上述したブロック146の実装と同様の方法で実装することができる。
【0148】
一部の実施形態では、プラテン68は、印刷が完了したときにプラテン68がプラテン68の撮像位置に到達するように、各印刷行を長手方向(例えば、入口12から離れる方向)に印刷するためにレベル内移送システム9によって移動される。このような実施形態では、ブロック158を省略することができる。
【0149】
ブロック160は、プリンタ10に指示して、パスポート70(図6)などの文書の第2の画像を取り込ませる。ブロック160は、例えば、本明細書で上述したブロック148の実装と同様の方法で実装することができる。同じもしくは異なる照明の下で第2の画像、第2の画像の組を取り込むこと、またはビデオシーケンスを取り込むことは、好適には、査証印が印刷されたページの画像(複数可)を、例えば、将来の参照のために保存する、品質管理目的で解析する、アーカイブする、それ以外の方法で利用可能にされる、およびこれらの任意の組み合わせを可能にする。
【0150】
ブロック162は、印刷システム38に指示して、第2の画像を表示させる。ブロック162は、例えば、本明細書で上述したブロック150の実装と同様の方法で実装することができる。
【0151】
一部の実施形態では、ブロック158および160、および場合によってはブロック162は省略され、方法130はブロック156からブロック162または164に直接進む。
【0152】
ブロック164は、プリンタ10に指示して、プラテン68(図5)をプラテン68の排出位置に移動させる。図示の実施形態では、排出位置は、パスポート70(図6)などの文書がプリンタ10に挿入される前のアクセスレベル1上のプラテン68の初期位置と長手方向に一致する。
【0153】
ブロック160および162が省略され、印刷が完了したときにプラテン68がプラテン68の排出位置に到達するように、プリンタ10が入口12に向かって長手方向に各印刷行を印刷する実施形態(またはユーザ設定)ではブロック164を省略できる。
【0154】
照明バー118(図11)上の、もしくはプラテン68に関連する加熱要素(図示せず)などの加熱装置、ならびに/またはインクが文書に印刷された後にインクを加熱および/もしくは硬化させるための電磁放射(例えばUV)源を有する実施形態では、このような加熱装置および/または放射源は、例えば、ブロック158~164のうちの任意の1つ以上を実行することによって通電されてもよい。追加的または代替的に、エアノズル110(図10)は、印刷されたインクの乾燥および/または硬化を助けるために空気を吹き付けるために使用されてもよい。乾燥および/または硬化を補助するのに十分に高いが、湿ったインクを汚すまたは広げるほど高くはない流量で空気を吹き付けてもよい。プラテン68が移動される速度(例えばブロック164によってプラテン68の排出位置に向かって移動される速度)は、例えば、文書に印刷されたインクおよび文書(例えば、紙の種類)自体に関連する乾燥速度に応じてもよい。
【0155】
ブロック166は、プリンタ10に指示して、プラテン68(図5)を下げさせる。プラテン68を下げると、パスポート70などの文書のクランプが解除され、その結果、オペレータなどによって文書をプリンタ10から手作業で取り出すことができる。ブロック166は、例えば、本明細書で上述したブロック140の実装と同様の方法で実装することができる。
【0156】
ブロック168は、プリンタ10に指示して、パスポート70(図6)などの文書の取り出しを入口センサ64(図4)によって検出させる。ブロック168は、入口センサ64が文書移送システム60のプロセッサに入口12(図1)に物体が存在しないことの指示を送信することを除いて、本明細書で上述したブロック138の実施と類似の方法で実施することができる。
【0157】
ブロック170は、プリンタ10に指示して、プラテン68(図5)を上げさせる。ブロック170は、文書をクランプしていない場合に、プラテン68が処理レベル上のプラテン68の上方位置まで完全に移動することを除いて、本明細書で上述したブロック144の実施と類似の方法で実施することができる。クランプモータ84の通電を解除することによってプラテン68を上げることは、好適には、図5図9に示す実施形態の電力消費を削減する。
【0158】
ブロック132~170は図12および図13において例示的な順序で示されているが、方法130の様々なステップは、任意の適切な順序で実行され得る。例えば、PC 50からプリンタ10にスタンプデータを送信することは、文書に印刷する前の任意の時間に行われ、例えば、任意のブロック132~156によって実行され得る。同様に、印刷位置を送信することは、例えば、任意のブロック152~156によって実行され得る。
【0159】
図12および図13に示す実施形態では、印刷システム38は、プリンタ10に、動作タスクの完了などの様々なイベントをPC 50へ通知させるように動作可能である。例えば、ブロック132は、プリンタ10に指示して、プリンタ10がその初期化またはその一部を完了したことをPC 50へ通知させることができる。ブロック134は、プリンタ10に指示して、バイオメトリックデータが受信されたことをPC 50へ通知させることができる。ブロック136は、プリンタ10に指示して、プリントヘッド128(図4)が初期化されたことをPC 50へ通知させることができる。同様に、プリンタ10に指示して、ブロック138~170のうちの任意の1つ以上、またはその一部の完了をPC 50へ通知させることができる。
【0160】
本明細書ではプリンタ10は複数のプロセッサを備えるものとして説明されているが、一部の実施形態では、メインプロセッサ40は、本明細書で説明されるすべてのプリンタ10のプロセッサのすべての機能を実行する。一部の実施形態では、1つ以上のプリンタ10のプロセッサは、プリンタ10がスタンドアロンモードで実行するように動作可能であるように、本明細書で説明されるPC 50のすべての機能を実行するように動作可能である。1つ以上のプリンタ10のプロセッサがPC 50のすべての機能を実行する実施形態では、プリンタ10は、そのタスクの完了をPC 50に通常通知しない。変形例では、方法130のステップのうちの任意の1つ以上は、メインプロセッサ40またはPCプロセッサ54のいずれかの制御下にあり得る。
【0161】
一部の実施形態では、プリンタ10は、全地球測位システム(GPS)などによってプリンタ10の地理的位置を追跡し、プリンタ10が所定の(例えば、ユーザ指定の)地理的領域外に移動したか否かを判定するように動作可能である。追加的または代替的に、プリンタ10は、プリンタ10の不正操作(tampering)または他の無許可の(unauthorized)取り扱いを検出するように動作可能であり得る。プリンタ10が許可された地理的領域外に移動されたこと、または無許可の取り扱いが行われたことを判定すると、プリンタ10は、例えば、信号を発するもしくは警告音を鳴らす、ネットワーク(例えば、インターネット、電気通信ネットワークなど)を介して中央管理装置に警告を伝達する、プリンタ10の動作を無効にする、または他の動作のうちの任意の1つ以上を行うことができる。
【符号の説明】
【0162】
1…アクセスレベル、2…処理レベル、8…レベル間移送システム、9…レベル内移送システム、10…プリンタ、12…入口、14…外装体、16…指紋スキャナ、18…ドア、20…ディスプレイ、22…ソフトボタン、24…電源スイッチ、26…Type AのUSBポート、28…Type BのUSBポート、30…電源入力差し込み口、32…Kensington(商標)セキュリティスロット、34…ファンドア、36…ラッチ、38…印刷システム、40…メインプロセッサ、42…メインメモリ、44…バイオメトリックリーダモジュール、46…表示モジュール、48…通信モジュール、50…接続されたPC、52…PC通信モジュール、54…PCプロセッサ、56…PCメモリ、58…PCディスプレイ、60…文書移送システム、62…フレーム、64…入口センサ、66…プリント回路基板(PCB)、68…文書受けプラテン、70…パスポート、72…上面、74…クランププレート、76…前縁、78…クランプセンサ、80…クランプベルト、82…クランププーリ、84…クランプモータ、86…プラテンセンサ、88…バランスポイント、90…ばね、92…ポスト、94…ステッピングモータ、96…エンドレスベルト、98…移送プーリ、100…ベルト取り付け部、102…上部挿入ガイド、104…ヒンジ、106…ローラ、108…ローラセグメント、110…エアノズル、112…撮像システム、114…カメラ、116…ミラー、118…照明バー、120…可視光源、122…紫外線(UV)源、124…赤外線(IR)源、126…プリントヘッドシステム、128…プリントヘッド、130…方法、132~170…ブロック。
図1
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