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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】パネル装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 96/20 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
A47B96/20 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017154916
(22)【出願日】2017-08-10
(65)【公開番号】P2019030605
(43)【公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】390005452
【氏名又は名称】伊藤喜オールスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 祥悟
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昇
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0009218(US,A1)
【文献】特開2001-186933(JP,A)
【文献】特開2002-006751(JP,A)
【文献】国際公開第1999/058780(WO,A1)
【文献】特開2015-086644(JP,A)
【文献】米国特許第4900604(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 13/00、17/00
A47B 17/04、96/20
E04B 2/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンナップボードの外縁部を枠体で保持したパネル体を、表皮材で外覆した構造のパネル装置であって、
前記枠体は前記ピンナップボードの背面周縁部に沿う内枠部と、該内枠部の端部に一体的に設けられ、前記ピンナップボードの外周端面に当接し且つ該ピンナップボードのピンナップ面から突出しない鍔部とを備え、更に前記枠体の外周面の頂部に形成した係合溝を有し、
前記パネル体を表皮材で外覆すべく、前記パネル体の表裏にそれぞれ表側表皮材と裏側表皮材を配置し、該表側表皮材と該裏側表皮材で前記枠体の外周面を覆った状態で、該表側表皮材と該裏側表皮材の周縁部を前記係合溝内に一つの長尺の弾性シール材とともに押し込み係合状態で保持するとともに、前記ピンナップボードの表面に接する前記表皮材を該表面に接着した
ことを特徴とするパネル装置。
【請求項2】
ピンナップボードの外縁部を枠体で保持したパネル体を、表皮材で外覆した構造のパネル装置であって、
前記枠体は、左右一対の縦枠と上下一対の横枠と、前記縦枠と横枠の連結部に装着するコーナー枠とからなり、前記縦枠、横枠及びコーナー枠には、それぞれ前記ピンナップボードの背面周縁部に沿う内枠部と、該内枠部の端部に一体的に設けられ、前記ピンナップボードの外周端面に当接し且つ該ピンナップボードのピンナップ面から突出しない鍔部及び前記枠体の外周面の頂部に対応する位置に形成した係合溝を有し、前記縦枠の内枠部には、長手方向に沿ってネジを螺合する下穴となるネジ受溝とテーブルや机に取付けるための支持杆を挿入する挿入孔を有し、下側のコーナー枠には前記支持杆を挿通する貫通孔を有し、前記縦枠の内枠部の上下端に前記横枠の内枠部を当接状態で横枠の内枠部を貫通したネジを前記縦枠のネジ受溝に螺合した状態で連結するとともに、縦枠と横枠の端部間に前記コーナー枠を装着してなり、
前記パネル体を表皮材で外覆すべく、前記パネル体の表裏にそれぞれ表側表皮材と裏側表皮材を配置し、該表側表皮材と裏側表皮材の周縁部を前記係合溝内に長尺の弾性シール材とともに押し込み係合状態で保持するとともに、前記ピンナップボードの表面に接する前記表皮材を該表面に接着した、
ことを特徴とするパネル装置。
【請求項3】
前記枠体は、前記内枠部の端部に表裏両側に向けて前記鍔部を形成した断面略T字形であり、前記内枠部の表裏両側にそれぞれ前記ピンナップボードの背面周縁部を位置させるとともに、前記枠体内であって表裏のピンナップボード間に芯材を挟んで互いに接着してなる請求項1又は2記載のパネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル装置に係わり、更に詳しくはテーブルや机に天板上に設置し、フロントパネルやピンナップパネルとして使用するパネル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ピンナップ可能なインシュレーションボードを枠体で保持するとともに、該インシュレーションボードの表面をクロスなどの表皮材で覆った構造のパネル装置は各種提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、木質の芯材としてインシュレーションボードを用い、該芯材を前面開口の金属製の基枠の内部に嵌合し、その前面と周縁部を覆うように表皮材を張り、該表皮材の周縁部を、基枠の上下及び左右の端面と後面の周縁部のみに接着剤をもって接着し、前面の芯材とは非接着としたパネル構造が開示されている。インシュレーションボードに対して基枠勝ち状態で、表皮材とインシュレーションボードとの間に隙間を設けて非接着であるので、インシュレーションボードに繰り返し画鋲を刺したり、或いは、パネルの前面に強い衝撃力が加わる等して、インシュレーションボードの前面に陥没が生じても、表皮材の前面部が陥没することはなく、パネルの外観が変わることはないというものである。
【0004】
また、特許文献2には、ピンナップ可能な方形の板材の周囲に、枠体を構成する縦フレームと横フレームの凹溝部を嵌合し、縦フレームと横フレームを連結手段で連結するとともに、連結手段を覆うように枠体を構成するコーナー部材を嵌着し、全体を着脱可能なパネルカバーで覆った構造のパネル装置が開示されている。ここで、パネルカバーは、1枚の布を2つ折りにしてインシュレーションボードからなる板材の前後面をそれぞれ被覆する前面カバー及び後面カバーから構成され、それぞれの端縁部に設けられたファスナーをもって、前面カバーと後面カバーとの端縁部を自在に開放もしくは連結出来るようになっている。この場合も、インシュレーションボードに対して枠体勝ちとなっており、インシュレーションボードの表面とフレームとの間に段差が生じる。
【0005】
前述の特許文献1、2記載のパネル装置は、インシュレーションボードの周囲が枠体によって外被されているので、インシュレーションボードの前面あるいは前後面の周縁部には枠体が存在するのでピンナップできない。しかも、枠体は表皮材で覆われていて見えないので、間違って枠体に画鋲やピンを突き刺すといった事態も想定される。更に、インシュレーションボードと表皮材との間に隙間があるので、ピンナップした箇所と、それ以外の箇所で表皮材の撓み具合が異なり、外観的に違和感が生じるばかりでなく、画鋲やピンを抜き差しする際に、表皮材が画鋲やピンに引っかかって面外に変位するといった事態も生じる。
【0006】
また、前述の特許文献1、2記載のパネル装置は、仮に表皮材を全面に接着したとしても、インシュレーションボードの表面とフレームとの間に段差が出る。そこで、インシュレーションボードに対して枠体勝ちのまま、枠体とインシュレーションボードを段差がないように設計したとしても、枠体とインシュレーションボードの硬度の違いから、圧締の際に枠体とインシュレーションボードの境界部分に段差が出てしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3977537号公報
【文献】特許第4416869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、ピンナップボードの外縁部を枠体で保持したパネル体を、表皮材で外覆した構造のパネル装置において、パネルとしての剛性と強度を備えているとともに、パネル体の前後のパネル面に凹凸がなく、表皮材を綺麗に全面に接着することができ、しかもパネル面の全面でピンナップ可能であるパネル装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題解決のために、以下に構成するパネル装置を提供する。
【0010】
(1)
ピンナップボードの外縁部を枠体で保持したパネル体を、表皮材で外覆した構造のパネル装置であって、
前記枠体は前記ピンナップボードの背面周縁部に沿う内枠部と、該内枠部の端部に一体的に設けられ、前記ピンナップボードの外周端面に当接し且つ該ピンナップボードのピンナップ面から突出しない鍔部とを備え、更に前記枠体の外周面の頂部に形成した係合溝を有し、
前記パネル体を表皮材で外覆すべく、前記パネル体の表裏にそれぞれ表側表皮材と裏側表皮材を配置し、該表側表皮材と該裏側表皮材で前記枠体の外周面を覆った状態で、該表側表皮材と該裏側表皮材の周縁部を前記係合溝内に一つの長尺の弾性シール材とともに押し込み係合状態で保持するとともに、前記ピンナップボードの表面に接する前記表皮材を該表面に接着した
ことを特徴とするパネル装置。
【0011】
(2)
ピンナップボードの外縁部を枠体で保持したパネル体を、表皮材で外覆した構造のパネル装置であって、
前記枠体は、左右一対の縦枠と上下一対の横枠と、前記縦枠と横枠の連結部に装着するコーナー枠とからなり、前記縦枠、横枠及びコーナー枠には、それぞれ前記ピンナップボードの背面周縁部に沿う内枠部と、該内枠部の端部に一体的に設けられ、前記ピンナップボードの外周端面に当接し且つ該ピンナップボードのピンナップ面から突出しない鍔部及び前記枠体の外周面の頂部に対応する位置に形成した係合溝を有し、前記縦枠の内枠部には、長手方向に沿ってネジを螺合する下穴となるネジ受溝とテーブルや机に取付けるための支持杆を挿入する挿入孔を有し、下側のコーナー枠には前記支持杆を挿通する貫通孔を有し、前記縦枠の内枠部の上下端に前記横枠の内枠部を当接状態で横枠の内枠部を貫通したネジを前記縦枠のネジ受溝に螺合した状態で連結するとともに、縦枠と横枠の端部間に前記コーナー枠を装着してなり、
前記パネル体を表皮材で外覆すべく、前記パネル体の表裏にそれぞれ表側表皮材と裏側表皮材を配置し、該表側表皮材と裏側表皮材の周縁部を前記係合溝内に長尺の弾性シール材とともに押し込み係合状態で保持するとともに、前記ピンナップボードの表面に接する前記表皮材を該表面に接着した、
ことを特徴とするパネル装置。
【0012】
(3)
前記枠体は、前記内枠部の端部に表裏両側に向けて前記鍔部を形成した断面略T字形であり、前記内枠部の表裏両側にそれぞれ前記ピンナップボードの背面周縁部を位置させるとともに、前記枠体内であって表裏のピンナップボード間に芯材を挟んで互いに接着してなる(1)又は(2)記載のパネル装置。
【発明の効果】
【0013】
以上にしてなる本発明のパネル装置は、以下に示す効果を奏する。
【0014】
(1)の構成によれば、パネルとしての剛性と強度を備えているとともに、パネル体の前後のピンナップ面に凹凸がなく、表皮材を綺麗に全面に接着することができ、しかもパネル面の略全面でピンナップ可能である。また、枠体の薄い鍔部のみがパネル体の周囲面に存在する形態であるので、ピンナップボードの周縁と鍔部の境界は、ピンナップ面の周縁角部に位置し、それにより段差が生じ難く、また段差が生じても視認し難いものとなり、表皮材をパネル体の表面に圧締して綺麗に接着することができる。更に、パネル体に対して表皮材を張力を持たせて張る作業が容易になり、該表皮材をピンナップボードのピンナップ面にしわが無く綺麗に接着することができる。
【0015】
(2)の構成によれば、パネルとしての剛性と強度を備えているとともに、パネル体の前後のピンナップ面に凹凸がなく、表皮材を綺麗に全面に接着することができ、しかもパネル面の略全面でピンナップ可能である。また、枠体の薄い鍔部のみがパネル体の周囲面に存在する形態であるので、ピンナップボードの周縁と鍔部の境界は、ピンナップ面の周縁角部に位置し、それにより段差が生じ難く、また段差が生じても視認し難いものとなり、表皮材をパネル体の表面に圧締して綺麗に接着することができる。更に、パネル体に対して表皮材を張力を持たせて張る作業が容易になり、該表皮材をピンナップボードのピンナップ面にしわが無く綺麗に接着することができる。そして、特別な連結部材を用いることなく縦枠と横枠を連結することができ、また連結部における縦枠と横枠の端面間の空間をコーナー枠で埋めて枠体として段差無く連続させることができ、またテーブルや机に取付けるための支持杆の装着も容易になる。更に、縦枠と横枠を連結し、コーナー枠を装着して枠体を組み立てた後、一方のピンナップボードを水平台に置き、その上に枠体の内枠部の表裏一側を載せて周囲の鍔部を外嵌し、それから表裏両面に接着剤を塗布した芯材を枠体内で前記ピンナップボードの上に載置し、更にその上からもう一方のピンナップボードを枠体の鍔部内に嵌合して載置し、その上から接着剤が硬化するまで加圧板で押圧することにより、簡単且つ強固なパネル体となる。
【0016】
)の構成によれば、表裏のピンナップボードが芯材を挟んで接着されているので、更に強度が向上するとともに、表裏のピンナップボードの厚さが薄くても画鋲やピンの抜き差し時に撓むことがなく、またパネル装置の表裏両面がピンナップ可能であるので、対面使用のテーブルや机において前後の天板の中央部に設置してフロントパネルとして使用できる。また、表裏のピンナップボード間に芯材を挟んで互いに接着する場合に、ピンナップボードを圧締しても、枠体の鍔部がピンナップボードのピンナップ面から突出しないようにしているので、パネル面に目立った段差は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るパネル装置を対面使用のテーブルの前後中央部に立起状態で装着した使用例を示す斜視図である。
図2】本発明に係るパネル装置を示す斜視図である。
図3】パネル装置を構成するパネル体の分解斜視図である。
図4】パネル装置の分解斜視図である。
図5】枠体の構造を示す部分分解斜視図である。
図6】パネル装置の部分縦断正面図である。
図7】パネル装置の部分横断平面図である。
図8】パネル装置の部分縦断側面図である。
図9】テーブルにパネル装置を装着した状態の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係るパネル装置の使用状態を示し、図2はパネル装置の全体を示し、図3図4はその詳細を示し、図中符号1はパネル装置、2はパネル体、3は表皮材、4は枠体、5はピンナップボード、6は芯材、7は弾性シール材、8は縦枠、9は横枠、10はコーナー枠をそれぞれ示している。
【0019】
本発明のパネル装置1は、ピンナップボード5の外縁部を枠体4で保持したパネル体2を、表皮材3で外覆した構造であって、前記枠体4は前記ピンナップボード5の背面周縁部に沿う内枠部11と、該内枠部11の端部に一体的に設けられ、前記ピンナップボード5の外周端面に当接し且つ該ピンナップボード5のピンナップ面から突出しない鍔部12とを備え、前記パネル体2を表皮材3で外覆するとともに、該表皮材3を前記ピンナップボード5の表面に接着した構造である。ここで、前記枠体4の鍔部12は、強度を確保できれば厚さは薄い方が良い。また、前記鍔部12の外面は、先端になるにつれて前記ピンナップボード5に接近するような傾斜面あるいは曲面となっていることが好ましい。
【0020】
前記枠体4の鍔部12がピンナップボード5のピンナップ面から突出しないので、ピンナップボード5のピンナップ面、即ち前面には段差が生じない。そのため、前記パネル体2を表皮材3で外覆する際に、綺麗に接着することができる。また、前記パネル体2のパネル面の略全面がピンナップボード5で占めるので、周縁部も含めて略全面がピンナップ可能となる。ここで、前記パネル体2のパネル面とは、ピンナップボード5のピンナップ面と枠体4の鍔部12の端縁を合わせた面を意味する。また、前記枠体4の鍔部12がピンナップボード5のピンナップ面から突出しないとは、圧締後の完成状態での寸法関係を示す。
【0021】
本発明のパネル装置1は、図1に示すように、対面使用のテーブルAの前後の天板13,13間の中央部に立起状態に装着して使用する。前記ピンナップボード5としては、画鋲やピンを突き刺すことが可能な材質であれば特に限定されないが、強度や経済性の面でインシュレーションボードが好ましい。また、前記表皮材3は、画鋲やピンを容易に貫通させることができ、また繰り返し突き刺しても外観に変化がないシート素材を用い、例えばクロスを用いる。
【0022】
更に詳しくは、前記枠体4は、図3図8に示すように、前記内枠部11の端部に表裏両側に向けて前記鍔部12,12を形成した断面略T字形であり、前記内枠部11の表裏両側にそれぞれ前記ピンナップボード5,5の背面周縁部を位置させるとともに、前記枠体4内であって表裏のピンナップボード5,5間に芯材6を挟んで互いに接着している。ここで、前記芯材6としては、ペーパーハニカムを用いている。
【0023】
前記パネル体2の外面に前記表皮材3をしわが生じないように張力を持たせて綺麗に張るために、前記枠体4の外周面の頂部に係合溝14を形成し、前記パネル体2の表裏にそれぞれ表側表皮材3Aと裏側表皮材3Bを配置し、両表皮材3A,3Bの周縁部を前記係合溝14内に長尺の弾性シール材7とともに押し込み係合状態で保持する。
【0024】
具体的には、前記枠体4は、図3及び図5に示すように、左右一対の縦枠8,8と上下一対の横枠9,9と、前記縦枠8と横枠9の連結部に装着するコーナー枠10とからなり、前記縦枠8、横枠9及びコーナー枠10には前記内枠部11と鍔部12,12及び係合溝14を有し、前記縦枠8の内枠部11には、長手方向に沿ってネジを螺合する下穴となるネジ受溝15とテーブルAや机に取付けるための支持杆16を挿入する挿入孔17を有し、下側のコーナー枠10には前記支持杆16を挿通する貫通孔18を有し、前記縦枠8の内枠部11の上下端に前記横枠9の内枠部11を当接状態で横枠9の内枠部11を貫通したネジ19を前記縦枠のネジ受溝15に螺合した状態で連結するとともに、縦枠8と横枠9の端部間に前記コーナー枠10を装着している。本実施形態では、前記ネジ受溝15はC字溝で構成している。
【0025】
更に詳しくは、前記縦枠8と横枠9は、アルミニウム若しくは合成樹脂の押出し型材である。前記縦枠8は、横枠9よりも内枠部11の正面視幅が大きく、内部が中空となっており、前記挿入孔17が形成されている。そして、前記縦枠8の内枠部11の一端部に鍔部12,12が一体的に形成され、両鍔部12,12の中間に前記係合溝14が形成されている。前記係合溝14は、開口縁が内部よりも幅狭に形成され、前記弾性シール材7を表側表皮材3Aと裏側表皮材3Bの周縁部とともに圧入した状態で、係合溝14内から容易に抜け出さないようになっている。前記コーナー枠10は、合成樹脂の成形品であり、内枠部11の外側に円弧状に鍔部12,12が一体的に形成されている。ここで、前記コーナー枠10の両鍔部12,12の中間に形成した係合溝14は、成形品の型抜きを考慮して開口縁は内部より狭くなっていない。また、前記コーナー枠10の内枠部11の端部には一対の係合爪20,20を設けるとともに、他端部に突片21を形成している。
【0026】
前記縦枠8と横枠9との連結構造を図3及び図5に基づいて説明する。先ず、図5に示すように、前記横枠9の内枠部11の端部で鍔部12,12を含む半分を段状に切り欠き、該内枠部11の底面部を上下方向に露出させ、該底面部に取付孔22を穿孔する。前記横枠9の内枠部11の端部を前記縦枠8の内枠部11の端面に接合し、前記取付孔22に挿通したネジ19を前記縦枠8のネジ受溝15に螺入して連結し、前記コーナー枠10の突片21を前記縦枠8の内枠部11の内部で前記係合溝14を形成する部分に係止するとともに、両係合爪20,20を前記横枠9の内枠部11の切欠縁23,23に弾性的に係止する。尚、前記切欠縁23,23は、前記横枠9の内枠部11の両内面に突条部を形成しておき、この突条部を残して内枠部11の半分を切り欠いて形成する。前記コーナー枠10を前記縦枠8と横枠9の端部に装着した状態では、縦枠8、コーナー枠10及び横枠の各鍔部12,12は、外面が連続する。
【0027】
このように、両縦枠8,8と上下横枠9,9を連結し、コーナー部にそれぞれコーナー枠10,…を嵌着して枠体4を構成した後、該枠体4の内部空間に板状の前記芯材6を配置し、両側から前記ピンナップボード5,5を、それぞれ背面周縁部を前記枠体4の内枠部11の前後面に沿わせるとともに、外周端面を鍔部12,12に当接状態で嵌合する。この際に、ペーパーハニカムからなる前記芯材6の表裏両面に接着剤を塗布しておき、前記ピンナップボード5,5を両側から押圧して接着し、パネル体2を製造する。実際には、一方のピンナップボード5を水平台に置き、その上に枠体4の内枠部11の表裏一側を載せて周囲の鍔部12を外嵌し、それから表裏両面に接着剤を塗布した芯材6を枠体4内で前記ピンナップボード5の上に載置し、更にその上からもう一方のピンナップボード5を枠体4の鍔部12内に嵌合して載置し、その上から接着剤が硬化するまで加圧板で押圧(圧締)するのである。ここで、前記芯材6の厚さは前記枠体4の内枠部11の厚さよりも若干厚く設定しておき、両ピンナップボード5,5を内枠部11に接触するまで押圧することで前記芯材6を押し縮めて強固に接着する。
【0028】
次に、図4に示すように、前記パネル体2の表裏のピンナップボード5,5の表面に接着剤を塗布した後、該パネル体2の表裏にそれぞれ表側表皮材3Aと裏側表皮材3Bを配置し、両表皮材3A,3Bの周縁部を前記係合溝14内に長尺の弾性シール材7とともに押し込み係合状態で保持する。前記パネル体2のピンナップ面は全てピンナップボード5で構成されているので、表面に段差や凹凸がなく、また表皮材3A,3Bは張力も持たせて張るので、パネル体2の外覆するように綺麗に表皮材3を接着することができる。
【0029】
このように構成したパネル装置1を図1のようにテーブルAに立起状態で装着するには、前述のように、支持杆16を下方のコーナー枠10の貫通孔18から挿入し、前記縦枠8の挿入孔17内に嵌挿する。前記支持杆16の下端には取付金具24が固定されており、該取付金具24を図9に示すように、テーブルAの前後の天板13,13間に設けた配線ダクト25内に臨む固定部26に取付ける。尚、組立順は、先に前記取付金具24を固定部26に取付け、配線ダクト25から立起した両支持杆16に、前記パネル装置1の前記貫通孔18と挿入孔17を落とし込み挿入する。また、図1及び図9に示すように、前記パネル装置1の前後部のダクト開口部にはダクトカバー27,27を着脱可能且つ回転開閉可能に設けている。
【0030】
尚、前記パネル装置1の貫通孔18と挿入孔17を利用できない箇所に該パネル装置1を装着するには、前記上下の横枠9,9の適所に予め孔を穿設し、図4に示すように、長尺の支持杆28と下端に取付金具29を固定した部材を利用する。ここで、下側の横枠9には上下に貫通した孔を形成し、上側の横枠9には内枠部11の底面部のみに孔を形成し、下から両孔に前記支持杆28を挿入し、その上端を前記係合溝14を設けた部分に当止して取付ける。
【0031】
対面使用のテーブルAのそれぞれの側に着座した者が、前記パネル装置1をフロントパネルとして利用できるとともに、対面するパネル装置1の全面をピンナップボードとして使用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 パネル装置、 2 パネル体、
3 表皮材、 3A 表側表皮材、
3B 裏側表皮材、 4 枠体、
5 ピンナップボード、 6 芯材、
7 弾性シール材、 8 縦枠、
9 横枠、 10 コーナー枠、
11 内枠部、 12 鍔部、
13 天板、 14 係合溝、
15 ネジ受溝、 16 支持杆、
17 挿入孔、 18 貫通孔、
19 ネジ、 20 係合爪、
21 突片、 22 取付孔、
23 切欠縁、 24 取付金具、
25 配線ダクト、 26 固定部
27 ダクトカバー、
A テーブル。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9