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  • 特許-車両下部構造 図1
  • 特許-車両下部構造 図2
  • 特許-車両下部構造 図3
  • 特許-車両下部構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】車両下部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
B62D25/20 G
B62D25/20 F
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017192667
(22)【出願日】2017-10-02
(65)【公開番号】P2019064477
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-09-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】川田 淳悟
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-018894(JP,A)
【文献】特開2010-264980(JP,A)
【文献】特開2017-024458(JP,A)
【文献】特開2013-256202(JP,A)
【文献】特開平11-227639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアパネルと、
前記フロアパネルの車幅方向中央にて車両上方に膨出しているセンタトンネルと、
前記フロアパネルの車幅方向の端に沿って車両前後方向に延びているサイドシルと、
前記フロアパネル上で前記サイドシルと前記センタトンネルとにかけ渡されている1または複数のフロアクロスメンバと、
前記フロアパネルの下側に配置され平面視において前記サイドシルと前記1または複数のフロアクロスメンバの少なくとも1つとの境界に重なっている車両前後方向に長手のフロアサイドメンバとを備え、
前記サイドシルは、平面視において前記1または複数のフロアクロスメンバの上方に重なるように車幅方向内側に膨出して所定のドアレールを収納している膨出部を有し、
前記膨出部と該膨出部の下方のフロアクロスメンバとの間に間隙が確保されていて、該膨出部と該フロアクロスメンバは接合されていないことを特徴とする車両下部構造。
【請求項2】
当該車両下部構造はさらに、前記サイドシルの膨出部の車幅方向内側に取り付けられる補強部材を備え、
前記補強部材は、前記1または複数のフロアクロスメンバの少なくとも1つを車両前後方向に跨ぐ範囲に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両下部構造。
【請求項3】
前記サイドシルは、車両前後方向にわたる所定の範囲において所定のピラーと接合されていて、
前記膨出部および前記補強部材は、前記所定の範囲内に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両下部構造。
【請求項4】
前記サイドシルは、車両前後方向にわたる所定の範囲において所定のピラーと接合されていて、
前記膨出部は、前記所定の範囲内に設けられていて、
当該車両下部構造はさらに、前記ピラーと前記膨出部とにかけ渡されるシートブラケットを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両下部構造。
【請求項5】
前記1または複数のフロアクロスメンバの高さは、少なくとも前記フロアサイドメンバと重なる範囲内にて前記サイドシルから前記センタトンネルに向かって次第に高くなっていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の車両下部構造。
【請求項6】
当該車両下部構造はさらに、前記フロアサイドメンバの上方にて前記サイドシルと前記フロアパネルとにかけ渡される1または複数のブレースを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車両下部構造。
【請求項7】
前記1または複数のフロアクロスメンバの少なくとも1つの車両前後両脇に前記ブレースが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の車両下部構造。
【請求項8】
前記サイドシルは、車両前後方向にわたる所定の範囲において所定のピラーと接合されていて、
前記ブレースは、前記所定の範囲内に設けられていることを特徴とする請求項6または7に記載の車両下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両下部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のサイドシルは、乗員が車両に乗り降りするときの敷居となる部材であり、車幅方向の端に設けられた車両前後方向に長尺な構造になっている。このようなサイドシルは、例えばスライドドアを有する車両ではドアレールの収納場所としても利用される(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-264980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のサイドシルは側面衝突時に衝撃荷重を受けやすい部材でもあり、サイドシル付近にはさらなる剛性の向上が望まれている。しかしながら、例えば特許文献1のサイドシル4とクロスメンバ11との接合範囲を単に拡大させてしまうと、それに合わせて溶接の作業スペースも広く確保する必要が生じる。このような手法は、部材の寸法の増大を招きかねないため、コンパクトな設計が求められる現在の車両には馴染まない。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、簡潔な構成で車両剛性の向上が可能な車両下部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両下部構造の代表的な構成は、車両のフロアパネルと、フロアパネルの車幅方向中央にて車両上方に膨出しているセンタトンネルと、フロアパネルの車幅方向の端に沿って車両前後方向に延びているサイドシルと、フロアパネル上でサイドシルとセンタトンネルとにかけ渡されている1または複数のフロアクロスメンバと、フロアパネルの下側に配置され平面視においてサイドシルとフロアクロスメンバとの境界に重なっている車両前後方向に長手のフロアサイドメンバとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡潔な構成で車両剛性の向上が可能な車両下部構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例にかかる車両下部構造の概要を示す図である。
図2図1(b)等の車両下部構造をさらに別方向から示した図である。
図3図2(b)の車両下部構造の部分拡大図である。
図4図1(a)の車両下部構造の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る車両下部構造は、車両のフロアパネルと、フロアパネルの車幅方向中央にて車両上方に膨出しているセンタトンネルと、フロアパネルの車幅方向の端に沿って車両前後方向に延びているサイドシルと、フロアパネル上でサイドシルとセンタトンネルとにかけ渡されている1または複数のフロアクロスメンバと、フロアパネルの下側に配置され平面視においてサイドシルとフロアクロスメンバとの境界に重なっている車両前後方向に長手のフロアサイドメンバとを備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、フロアパネルのうちフロアサイドメンバによって剛性が高められている範囲にサイドシルとフロアクロスメンバとの境界を配置することで、車両全体としての剛性も向上させることができる。したがって、例えば側突時の横方向からの衝撃荷重を好適に吸収し、車室内の変形を抑えることが可能になる。また、構成が簡潔であり、部材の寸法増大を抑えることもできる。
【0011】
上記のサイドシルは、平面視において1または複数のフロアクロスメンバの上方に重なるように車幅方向内側に膨出して所定のドアレールを収納している膨出部を有してもよい。
【0012】
上記構成では、ドアレールを収納する膨出部をフロアクロスメンバの上方に重ねることで、各部材のコンパクトな配置が実現可能である。この構成によれば、車両のレイアウトの自由度を向上させることができる。また、膨出部によって、サイドシルは車幅方向の断面に屈曲箇所が形成されて断面2次モーメントが大きくなるため、サイドシルの剛性をより向上させることができる。
【0013】
当該車両下部構造は、上記膨出部とフロアクロスメンバとの間に間隙が確保されているとよい。すなわち、膨出部とフロアクロスメンバとを接合しない構成であるとよい。この構成であれば、膨出部の内部にフロアクロスメンバとの溶接を施すための作業空間を確保する必要がなくなるため、膨出部の上下寸法を抑えることができる。したがって、例えばサイドシルとフロアパネルとの段差を低くし、乗り降りのしやすい車両を実現することが可能になる。
【0014】
当該車両下部構造はさらに、サイドシルの膨出部の車幅方向内側に取り付けられる補強部材を備え、補強部材は、フロアクロスメンバを車両前後方向に跨ぐ範囲に設けられていてもよい。この補強部材によって、膨出部およびフロアクロスメンバ周辺の剛性をさらに高め、車室内の変形を好適に抑えることが可能になる。
【0015】
上記のサイドシルは、車両前後方向にわたる所定の範囲において所定のピラーと接合されていて、膨出部および補強部材は、上記所定の範囲内に設けられているとよい。この構成によれば、ピラーの車幅方向内側への変形を好適に抑えることが可能になる。
【0016】
上記のサイドシルは、車両前後方向にわたる所定の範囲において所定のピラーと接合されていて、膨出部は、上記所定の範囲内に設けられていて、当該車両下部構造はさらに、ピラーと膨出部とにかけ渡されるシートブラケットを備えてもよい。この構成によっても、ピラーの車幅方向内側への変形を好適に抑えることが可能になる。
【0017】
上記1または複数のフロアクロスメンバの高さは、少なくともフロアサイドメンバと重なる範囲内にてサイドシルからセンタトンネルに向かって次第に高くなっているとよい。この構成のフロアクロスメンバによって、側突時等の衝撃荷重をより好適に吸収することが可能になる。
【0018】
当該車両下部構造はさらに、フロアサイドメンバの上方にてサイドシルとフロアパネルとにかけ渡される1または複数のブレースを備えてもよい。ブレースを備えることで、側突時等の荷重をさらに好適に吸収することが可能になる。
【0019】
上記の1または複数のフロアクロスメンバの少なくとも1つの車両前後両脇にブレースが設けられていてもよい。この構成によっても、側突時等の荷重をさらに好適に吸収することが可能になる。
【0020】
上記のサイドシルは、車両前後方向にわたる所定の範囲において所定のピラーと接合されていて、ブレースは、上記所定の範囲内に設けられていてもよい。この構成によっても、ピラーの車幅方向内側への変形を好適に抑えることが可能になる。
【実施例
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0022】
図1は、本発明の実施例にかかる車両下部構造100の概要を示す図である。図1(a)は、車両下部構造100を車両前方の車幅方向左側上方から見た斜視図である。以下、図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で例示する。
【0023】
車両下部構造100は、センタピラー102の根本付近にて実施され、サイドシル104やフロアクロスメンバ106a~106c等の複数の部材を組み合わせた構成になっている。サイドシル104は、車両の乗降時に敷居となる部材であり、床を構成しているフロアパネル108の車幅方向の端に沿って車両前後方向に延びている。フロアクロスメンバ106a~106cは、フロアパネル108上に車幅方向に延びるように設けられていて、サイドシル104と後述するセンタトンネル110(図2(b)参照)とにかけ渡されている。
【0024】
図1(b)は、図1(a)の車両下部構造を上方から見た平面図である。図1(b)に示すように、サイドシル104は、センタピラー102(図1(a)参照)の根本付近に膨出部112を有している。膨出部112は、サイドシル104のうち他の領域よりも車幅方向内側に湾曲して膨出している部位であり、内部に車両のスライドドア(図示省略)のドアレール114(図参照)を収納している。
【0025】
図2は、図1(b)等の車両下部構造100をさらに別方向から示した図である。図2(a)は、図1(b)の車両下部構造100の矢視A図である。図2(a)に示すように、フロアクロスメンバ106a~106cのうち、フロアクロスメンバ106aは、センタピラー102および膨出部112と車幅方向に重なる範囲に設けられている。
【0026】
図2(b)は、図2(a)の車両下部構造100のB-B断面図である。図2(b)に示すように、フロアパネル108の車幅方向の中央には、センタトンネル110が設けられている。センタトンネル110は、フロアパネル108から車両上方に膨出した部位であり、車両前後方向に連続して設けられている。フロアクロスメンバ106aは、サイドシル104とセンタトンネル110とに車幅方向にかけ渡されている。
【0027】
車両下部構造100は、フロアパネル108の下側に、車両前後方向に長手のフロアサイドメンバ116を備えている。本実施例では、フロアサイドメンバ116は、図1(b)に示した平面視において、サイドシル104とフロアクロスメンバ106aとの境界に重なるよう設けられている。言い換えれば、図2(b)に示す車幅方向におけるフロアサイドメンバ116の範囲内にて、サイドシル104の車幅方向内側の縦壁とフロアクロスメンバ106aの車幅方向外側の先端とが接合した構成となっている。
【0028】
フロアパネル108のうちフロアサイドメンバ116が設けられている範囲は、剛性が高い。当該車両下部構造100では、この範囲にサイドシル104とフロアクロスメンバ106aとの境界を配置することで、サイドシル104とフロアクロスメンバ106aとをより強固に接合させ、車両全体としての剛性を向上させている。そのため、本実施例では、例えば側突時に横方向からサイドシル104へとかかる衝撃荷重をフロアクロスメンバ106aによって好適に吸収し、車室内の変形を抑えることができる。本実施例であれば、部材の配置の仕方によって剛性を向上させているため、構成が簡潔であって、部材の寸法増大も抑えることができる。
【0029】
本実施例では、フロアクロスメンバ106aの高さは、少なくともフロアサイドメンバ116と重なる範囲内にて、サイドシル104からセンタトンネル110に向かって次第に高くなっている。特に、フロアクロスメンバ106aは、サイドシル104側では膨出部112の下面122(図3参照)よりも低く、センタトンネル110側ではセンタトンネル110の天面118と同程度になるまで高くなっている。したがって、フロアクロスメンバ106aは、サイドシル104側からセンタトンネル110側に向かって、車両前後方向の断面積が次第に大きくなっている。この構成であれば、側突時等にサイドシル104から受ける衝撃荷重をセンタトンネル110へと好適に受け流して吸収し、車両変形を効率よく抑えることができる。
【0030】
図3は、図2(b)の車両下部構造100の部分拡大図である。サイドシル104の膨出部112は、内部にドアレール114を収納していて、平面視(図1(b)参照)においてフロアクロスメンバ106aの上方に重なるように車幅方向内側に膨出している。フロアクロスメンバ106aの車幅方向外側の端は、この膨出部112の下側に潜り込んだ状態となっている。
【0031】
本実施例では、ドアレール114を収納する膨出部112をフロアクロスメンバ106aの上方に重ねることで、各部材のコンパクトな配置を実現している。この構成によれば、各部材の設置空間にゆとりが生まれ、車両レイアウトの自由度を向上させることができる。また、サイドシル104は、膨出部112を設けているため、車幅方向の断面に屈曲箇所120等の屈曲した部位が形成されている。屈曲箇所120のような部位は、サイドシル104の断面2次モーメントを大きくし、サイドシル104の剛性をより向上させる効果がある。したがって、サイドシル104は、衝撃荷重や走行時の振動をより吸収することが可能になる。
【0032】
本実施例では、膨出部112の下面122とフロアクロスメンバ106aの天面124との間に、間隙E1が確保されている。すなわち、膨出部112とフロアクロスメンバ106aとを接合しない構成となっている。この構成であれば、膨出部112の内部に、フロアクロスメンバ106aとの溶接を施す機器等を挿入するための作業空間を確保する必要がなくなる。そのため、膨出部112の上下寸法を抑えることができる。したがって、例えばサイドシル104とフロアパネル108との段差を低くするなど、乗り降りのしやすい車両が実現可能になる。
【0033】
図4は、図1(a)の車両下部構造100の拡大図である。当該車両下部構造100は、さらなる剛性の向上を目的としていて、補強部材126およびブレース128a、128bといった部材も備えている。
【0034】
補強部材126は、膨出部112の車幅方向内側の縦壁に取り付けられている。補強部材126は、膨出部112の形状に沿って、車両前後方向にやや湾曲した形状になっている。
【0035】
ブレース128a、128bは、補強部材126を介して、サイドシル104の膨出部112とフロアパネル108とにかけ渡されている。特に、ブレース128a、128bは、フロアクロスメンバ106aの車両前後両脇であって、フロアサイドメンバ116の上方の剛性の高い範囲にて、サイドシル104からフロアパネル108へとかけ渡されている。これら補強部材126およびブレース128a、128bによれば、フロアクロスメンバ106aの付近にて膨出部112とフロアパネル108との接続剛性を補強し、側突時の荷重をさらに好適に吸収することが可能になる。
【0036】
再び図2(a)を参照する。サイドシル104は、車両前後方向にわたる所定の範囲E2(センタピラー102の車両前後の縁がほぼ水平となる程度の範囲)において、センタピラー102と接合されている。前述した膨出部112、補強部材126、フロアクロスメンバ106aおよびブレース128a、128bは、いずれもこの範囲E2内に設けられている。特に、補強部材126はフロアクロスメンバ106aを車両前後方向に跨ぐ範囲に設けられていて、ブレース128a、128bはフロアクロスメンバ106aの車両前後両脇に設けられている。
【0037】
側突時において、センタピラー102には他の車両や構造物が直接接触することがある。しかし、本実施例であれば、範囲E2内にフロアクロスメンバ106aや補強部材126等の上記各部材が設けられていることで、センタピラー102の根本付近の剛性を高め、センタピラー102の車幅方向内側への変形を好適に抑えることができる。
【0038】
図4のシートブラケット130もまた、センタピラー102を支えるのに役立っている。シートブラケット130は、車両のシートを支える部材であり、センタピラー102と膨出部112とにかけ渡して設置されている。図2(b)に示すように、シートブラケット130は、センタピラー102の車幅方向内側の縦壁とサイドシル104の膨出部112の上面との角に閉断面E3を形成し、車幅方向内側の端部が膨出部112の先端に到達する程度にまで延びて接合されている。このシートブラケット130によっても、センタピラー102に外部から加わる衝撃荷重を吸収し、センタピラー102の車幅方向内側への変形を好適に抑えることができる。
【0039】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、車両下部構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
100…車両下部構造、102…センタピラー、104…サイドシル、106a~106c…フロアクロスメンバ、108…フロアパネル、110…センタトンネル、112…膨出部、114…ドアレール、116…フロアサイドメンバ、118…センタトンネルの天面、120…サイドシルの屈曲箇所、122…膨出部の下面、124…フロアクロスメンバの天面、126…補強部材、128a…車両前側のブレース、128b…車両後側のブレース、130…シートブラケット、E1…膨出部とフロアクロスメンバとの間隙、E2…センタピラーとサイドシルが接合している車両前後方向の範囲、E3…シートブラケットが形成する閉断面
図1
図2
図3
図4