(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
A63B 53/02 20150101AFI20220222BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20220222BHJP
【FI】
A63B53/02
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2017231503
(22)【出願日】2017-12-01
【審査請求日】2020-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【氏名又は名称】住友 教郎
(72)【発明者】
【氏名】大貫 正秀
(72)【発明者】
【氏名】元川 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】水谷 成宏
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-099795(JP,A)
【文献】特開平04-015066(JP,A)
【文献】特開2010-213859(JP,A)
【文献】特開平04-012778(JP,A)
【文献】特開2006-042950(JP,A)
【文献】米国特許第06270425(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00 - 53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホーゼル部を有するヘッドと、シャフトと、このシャフトの先端部に配置された逆テーパー形状の先端係合部とを備えており、
前記先端係合部が、前記シャフトの先端部に固定された逆テーパー形状のスリーブを含んでおり、
前記ホーゼル部が、ホーゼル孔を有しており、
前記ホーゼル孔が、前記先端係合部の外面の少なくとも一部に対応した逆テーパー孔を有しており、
前記先端係合部が前記逆テーパー孔にはめ込まれており、
前記ホーゼル孔の少なくとも上端エッジ及び下端エッジが樹脂で形成されて
おり、
前記ホーゼル部が、ホーゼル本体と前記ホーゼル本体に配置された樹脂部とを有しており、
前記ホーゼル本体が、金属製であり、且つ、金属で形成された本体孔を有しており、
前記上端エッジ及び前記下端エッジが前記樹脂部により形成されており、
前記ホーゼル孔が、前記樹脂部で形成された部分を除き、前記本体孔で形成されているゴルフクラブ。
【請求項2】
ホーゼル部を有するヘッドと、シャフトと、このシャフトの先端部に配置された逆テーパー形状の先端係合部とを備えており、
前記先端係合部が、前記シャフトの先端部に固定された逆テーパー形状のスリーブを含んでおり、
前記ホーゼル部が、ホーゼル孔を有しており、
前記ホーゼル孔が、前記先端係合部の外面の少なくとも一部に対応した逆テーパー孔を有しており、
前記先端係合部が前記逆テーパー孔にはめ込まれており、
前記ホーゼル孔の少なくとも上端エッジ及び下端エッジが樹脂で形成されており、
前記先端係合部が、逆テーパー係合面と、前記逆テーパー係合面とは異なる周方向位置に設けられた非係合面とを有しており、
前記ホーゼル孔が、前記逆テーパー係合面に対応した逆テーパー孔面と、前記逆テーパー孔面とは異なる周方向位置に設けられた干渉回避面とを有しており、
前記逆テーパー係合面が前記干渉回避面に対向する第1位相状態では、前記ホーゼル孔が前記先端係合部を通過させうるように構成されており、前記逆テーパー係合面が前記逆テーパー孔面に対向する第2位相状態では、前記逆テーパー係合面が前記逆テーパー孔面にはめ込まれるように構成されてい
るゴルフクラブ。
【請求項3】
ホーゼル部を有するヘッドと、シャフトと、このシャフトの先端部に配置された逆テーパー形状の先端係合部とを備えており、
前記先端係合部が、前記シャフトの先端部に固定された逆テーパー形状のスリーブを含んでおり、
前記ホーゼル部が、ホーゼル孔を有しており、
前記ホーゼル孔が、前記先端係合部の外面の少なくとも一部に対応した逆テーパー孔を有しており、
前記先端係合部が前記逆テーパー孔にはめ込まれており、
前記ホーゼル孔の少なくとも上端エッジ及び下端エッジが樹脂で形成されており、
前記先端係合部の外面及び前記逆テーパー孔の内面のうちの一方が、当接係合面を有しており、
前記先端係合部の外面及び前記逆テーパー孔の内面のうちの他方が、第1当接面と第2当接面とを有しており、
前記先端係合部が第1回転位置にあるときには前記当接係合面が前記第1当接面に当接した第1状態となるように構成され、且つ、前記先端係合部が第2回転位置にあるときには前記当接係合面が前記第2当接面に当接した第2状態となるように構成され、
前記第1状態と前記第2状態との間で、前記ホーゼル孔に対する前記先端係合部の軸方向位置が相違しており、この相違に起因してクラブ長さが調整され
るゴルフクラブ。
【請求項4】
前記逆テーパー孔の内面が樹脂で形成されている請求項
2又は3に記載のゴルフクラブ。
【請求項5】
前記スリーブが樹脂製である請求項1
から4のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
【請求項6】
前記ホーゼル部が、前記ホー
ゼル孔の側方に設けられ且つ前記シャフトを通過させうるホーゼルスリットを有している請求項1から
5のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
【請求項7】
前記先端係合部が、前記スリーブと、外側から前記スリーブに嵌められた逆テーパー形状のスペーサーとを含んでおり、
前記スペーサーが、分割構造を有しており、
前記ホーゼル孔は、前記スリーブを通過させうるように構成されており、
前記先端係合部が前記逆テーパー孔にはめ込まれ、前記スリーブが前記スペーサーの内側にはめ込まれている請求項1から
6のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
【請求項8】
前記スペーサーが樹脂製である請求項
7に記載のゴルフクラブ。
【請求項9】
前記先端係合部が、前記スリーブと、外側から前記スリーブに嵌められた逆テーパー形状のスペーサーとを含んでおり、
前記スペーサーの肉厚を変化させることで、クラブ長さが変化する請求項1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
シャフトをヘッドに対して取り外し可能に取り付けうる着脱機構を有するクラブが知られている。米国特許公開公報US2013/0017901及び米国特許公報US7980959では、前記着脱機構を有するゴルフクラブが開示されている。
【0003】
この着脱機構に関して、新たな構造が提案されている。特開2017-99795号公報に記載のゴルフクラブでは、シャフトの先端部に設けられた先端係合部を、逆テーパー孔を有するホーゼル孔に係合させることで、ヘッドに対してシャフトが固定されうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許公開公報US2013/0017901
【文献】米国特許公報US7980959
【文献】特開2017-99795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シャフトをヘッドに確実に固定することができ、操作が容易な着脱機構が好ましい。また、着脱操作時に発生しうる不都合が防止されるのが好ましい。本開示は、着脱操作時に発生しうる不都合を抑制しうるゴルフクラブを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、ゴルフクラブは、ホーゼル部を有するヘッドと、シャフトと、このシャフトの先端部に配置された逆テーパー形状の先端係合部とを備えている。前記先端係合部が、前記シャフトの先端部に固定された逆テーパー形状のスリーブを含んでいる。前記ホーゼル部が、ホーゼル孔を有している。前記ホーゼル孔が、前記先端係合部の外面の少なくとも一部に対応した逆テーパー孔を有している。前記先端係合部が前記逆テーパー孔にはめ込まれている。前記ホーゼル孔の少なくとも上端エッジ及び下端エッジが樹脂で形成されている。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面として、このゴルフクラブは、着脱操作時に発生しうる不都合を抑制しうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るゴルフクラブを示す。
【
図2】
図2は、
図1のゴルフクラブをソール側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1のゴルフクラブにおいてシャフトが装着される工程を示す工程図である。
【
図6】
図6は、
図1のゴルフクラブにおける先端係合部近傍の底面図である。
【
図7】
図7は、変形例のゴルフクラブにおける先端係合部近傍の底面図である。
【
図8】
図8は、分割構造のスペーサーの一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9(a)は、
図8のA-A線に沿った断面図であり、
図9(b)は、他の噛み合わせ構造を示す断面図であり、
図9(c)は、他の噛み合わせ構造を示す断面図である。
【
図10】
図10は、分割構造のスペーサーの他の例を示す斜視図である。
【
図11】
図11は、他の実施形態におけるホーゼル近傍の断面図である。
【
図13】
図13は、他の実施形態におけるホーゼル近傍の断面図である。
【
図15】
図15は、他の実施形態に係るスリーブの斜視図である。
【
図17】
図17(a)は
図15のスリーブが用いられるヘッドのホーゼル孔を上側から見た平面図であり、
図17(b)は
図15のB-B線の位置における当該ヘッドのホーゼル孔の断面図であり、
図17(c)は
図15のC-C線の位置における当該ヘッドのホーゼル孔の断面図であり、
図17(d)は当該ヘッドのホーゼル孔を下側から見た底面図である。
【
図18】
図18(a)は、
図15のスリーブが係合状態にあるときホーゼル孔を上側から見た平面図であり、
図18(b)は、
図15のスリーブが係合状態にあるときホーゼル孔を下側から見た底面図である。
【
図19】
図19は、
図15のスリーブが係合状態にあるときの、ホーゼル孔近傍の断面図である。
【
図20】
図20は、
図15のスリーブをホーゼル孔に通す通過工程における、当該スリーブ及びホーゼル孔を示す平面図である。この
図20は、当該通過工程の開始時点における状態を示している。
【
図21】
図21は、他の実施形態におけるホーゼル近傍の断面図である。
【
図22】
図22(a)は
図21の実施形態におけるホーゼル孔を上側から見た平面図であり、
図22(b)は、この実施形態におけるホーゼル孔を下側から見た底面図である。
図22(a)及び
図22(b)は、係合状態を示す。
【
図26】
図26は、
図23のゴルフクラブにおいてシャフトが装着される工程を示す工程図である。
【
図27】
図27は、
図23のゴルフクラブに用いられているヘッドをソール側から見た斜視図である。
【
図28】
図28は、クラブ長さの調整について説明するための図である。
【
図29】
図29は、クラブ長さの調整について説明するための径方向断面図である。
【
図30】
図30は、クラブ長さの調整について説明するための軸方向断面図である。
【
図34】
図34は、クラブ長さの調整について説明するための軸方向断面図である。
【
図35】
図35は、
図31のゴルフクラブに用いられているヘッドをソール側から見た斜視図である。
【
図36】
図36は、他の実施形態におけるクラブ長さの調整について説明するための軸方向断面図である。
【
図43】
図43は、
図40のゴルフクラブにおいてシャフトが装着される工程を示す工程図である。
【
図44】
図44は、ネジ部材が取り付けられる前の段階における、
図40のゴルフクラブの断面図である。
【
図50】
図50は、
図49のネジ部材と対応するスリーブとが連結状態とされたときの断面図である。
【
図51】
図51は、他のネジ部材及び対応するスリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面が参照されつつ、実施形態が詳細に説明される。
【0010】
なお、特に説明しない限り、本願における「周方向」とは、シャフトの周方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸方向」とは、シャフトの軸方向を意味する。特に説明しない限り、本願における「軸垂直方向」とは、シャフトの軸方向に対して直角に交わる方向を意味する。特に説明しない限り、本願における断面とは、シャフトの中心線に対して垂直な平面に沿った断面を意味する。特に説明しない限り、シャフトの軸方向におけるグリップ側が上側とされ、シャフトの軸方向におけるソール側が下側とされる。
【0011】
図1は、第1実施形態であるゴルフクラブ100を示す。
図1は、ゴルフクラブ100のヘッド近傍のみを示している。
図2は、ゴルフクラブ100をソール側から見た斜視図である。
図3は、ゴルフクラブ100の分解斜視図である。
【0012】
ゴルフクラブ100は、ヘッド200、シャフト300、スリーブ400、スペーサー500及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ400とスペーサー500とで、先端係合部RTが構成されている。先端係合部RTは、シャフト300の先端部に配置されている。先端係合部RTの外面は、スペーサー500によって形成されている。
【0013】
ヘッド200のタイプは限定されない。本実施形態のヘッド200は、ウッド型ヘッドである。ヘッド200は、ハイブリッド型ヘッド、アイアン型ヘッド、パターヘッド等であってもよい。ウッド型ヘッドは、ドライバーヘッドでもよいし、フェアウェイウッドのヘッドでもよい。
【0014】
シャフト300は限定されず、例えば、カーボンシャフト及びスチールシャフトが用いられうる。
【0015】
図示されていないが、シャフト300の直径は、軸方向位置によって変化している。グリップ側にいくにつれて、シャフト300の直径は大きくなっている。スリーブ400は、シャフト300の先端部に固定されている。シャフト300の先端部は、シャフト300において最も細い部分である。
【0016】
本実施形態では、スペーサー500の数は1個である。後述されるように、スペーサー500は無くてもよい。スペーサーの数は2個であってもよい。2つのスペーサーが重ねられていても良い。換言すれば、スペーサーは二重であってもよい。スペーサーの数は3個以上であってもよい。例えば、3つのスペーサーが重ねられていても良い。換言すれば、スペーサーは三重であってもよい。
【0017】
ヘッド200は、ホーゼル部202を有している。ホーゼル部202は、ホーゼル孔204を有する。このホーゼル孔204は、逆テーパー孔206を有している。この逆テーパー孔206の形状は、先端係合部RTの外面の形状に対応している。この逆テーパー孔206の形状は、スペーサー500の外面の形状に対応している。係合状態において、先端係合部RTの外面(スペーサー500の外面)は、逆テーパー孔206に面接触している。先端係合部RTの外面は複数(4つ)の平面を有するが、これらの平面の全てが、逆テーパー孔206に面接触している。
【0018】
図5が示すように、ホーゼル部202は、ホーゼル本体202hと、樹脂部203とを有する。ホーゼル本体202hは、金属製である。樹脂部203は、樹脂製である。ホーゼル本体202hは、本体孔206hを有する。本体孔206hは、逆テーパー孔である。本体孔206hの断面形状は、逆テーパー孔206と同じである。本体孔206hは、逆テーパー孔206を一回り大きくした孔である。本体孔206hと逆テーパー孔206とは相似である。本体孔206hは、金属によって形成されている。この本体孔206hの内側に、樹脂部203が固定されている。樹脂部203は、本体孔206hの内側に接着剤で接着されている。
【0019】
もちろん、本体孔206hの断面形状は、逆テーパー孔206の断面形状と同じでなくてもよい。例えば、本体孔206hの断面形状が円とされ、且つ、樹脂部203の外面の断面形状が円とされ、且つ、樹脂部203の内面の断面形状が先端係合部RTの外面の断面形状と同じであってもよい。
【0020】
ホーゼル部202(逆テーパー孔206)は、周方向の全体に亘って存在している。ホーゼル部202(逆テーパー孔206)は、周方向の全体に亘って隙間無く連続している。ホーゼル部202は、周方向において分断されていない。ホーゼル部202は、当該ホーゼル部を周方向の一部で欠落させることで形成されたスリットを有していない。
【0021】
通常のヘッドと同様に、ヘッド200は、クラウン208、ソール210及びフェース212を有している(
図1から3を参照)。
【0022】
図3が示すように、スリーブ400は、内面402と外面404とを有する。内面402は、シャフト孔を形成している。内面402の断面形状は、円形である。内面402の形状は、シャフト300の外面に対応している。内面402は、シャフト300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ400は、シャフト300の先端部に固定されている。この固定として、接着剤による接着が採用されている。
【0023】
外面404は、角錐面である。外面404は、四角錐面である。外面404の断面形状は、非円形である。外面404の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面404の断面形状は、四角形である。外面404の断面形状は、正方形である。外面404の断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。即ち、スリーブ400は逆テーパー形状である。
【0024】
図3が示すように、スペーサー500は、内面502と外面504とを有する。内面502は、スリーブ孔を形成している。内面502の断面形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面502に、スリーブ400の外面404がはめ込まれる。換言すれば、スペーサー500の内側にスリーブ400がはめ込まれる。スペーサー500は、スリーブ400に接着されていない。スペーサー500は、スリーブ400に接触しているだけである。
【0025】
内面502の形状は、スリーブ400の外面404に対応している。内面502は、角錐面である。内面502は、四角錐面である。内面502の断面形状は、非円形である。内面502の断面形状は、多角形(正多角形)である。内面502の断面形状は、四角形である。内面502の断面形状は、正方形である。内面502の断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。
【0026】
外面504(先端係合部RTの外面)の形状は、逆テーパー孔206の形状に対応している。外面504は、角錐面である。外面504は、四角錐面である。外面504の断面形状は、非円形である。外面504の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面504の断面形状は、四角形である。外面504の断面形状は、正方形である。外面504の断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。即ち、スペーサー500は、逆テーパー形状である。スリーブ400とスペーサー500とで、先端係合部RTが構成されている。
【0027】
図4は、シャフト300がヘッド200に装着される手順を示す。
【0028】
この装着では、先ず、スリーブ付きシャフト350が用意される(
図4のステップ(a))。シャフト300にスリーブ400が固定されることで、スリーブ付きシャフト350が得られる。すなわち、スリーブ付きシャフト350では、スリーブ400がシャフト300の先端部に固定(接着)されている。
【0029】
次に、スリーブ付きシャフト350のスリーブ400に、ホーゼル孔204を通過させる(
図4のステップ(b))。スリーブ400は、ホーゼル孔204を通過できる寸法及び形状を有する。スリーブ400は、上側からホーゼル孔204に入り、ホーゼル孔204の下側に抜け出る。スリーブ400の下端面の外径は、ホーゼル孔204の上端における内径よりも小さい。スリーブ400の位相に関わらず、スリーブ400はホーゼル孔204を通過しうる。この通過により、スリーブ400は、ソール210の下側に移動する(
図4のステップ(b))。なお、上記「位相」とは、周方向におけるスリーブ400の向き(軸回転位置)を意味する。
【0030】
次に、スリーブ400に、スペーサー500が取り付けられる(
図4のステップ(b))。スペーサー500は、スリーブ400の外側から、スリーブ400に取り付けられる。スペーサー500は、スリーブ400の外側から、スリーブ400に被せられる。スリーブ400にスペーサー500が取り付けられることで、先端係合部RTが完成する。後述の通り、スペーサー500は、分割構造を有している。この分割構造は、スペーサー500をスリーブ400に外側から取り付けることを可能とする。
【0031】
次に、スリーブ付きシャフト350をヘッド200に対して上方に移動させ、この先端係合部RT(スペーサー500)を逆テーパー孔206にはめ込む(
図4のステップ(c))。この結果、ヘッド200にシャフト300が取り付けられる。このはめ込みにより、ヘッド200に対するシャフト300の装着が達成される。換言すれば、このはめ込みにより、係合状態が達成される。係合状態とは、ゴルフクラブ100が使用可能な状態である。係合状態では、全ての逆テーパー嵌合が達成されている。全ての逆テーパー嵌合とは、外面404と内面502との嵌合、及び、外面504と逆テーパー孔206との嵌合である。
【0032】
このように、シャフト300をヘッド200に取り付けるのは容易である。加えて、上述とは逆の手順により、シャフト300をヘッド200から取り外すことができる。この取り外しも容易である。ゴルフクラブ100では、シャフト300がヘッド200に取り外し可能に取り付けられている。
【0033】
図5は、軸方向に沿ったゴルフクラブ100の断面図である。
図5は、先端係合部RTの近傍の拡大断面図である。
図6は、先端係合部RTを下方(ソール側)から見た平面図である。
【0034】
本実施形態では、スリーブ400の内面402の中心線Z1が、スリーブ400の外面404の中心線Z2に対して傾斜していない。中心線Z1と中心線Z2とは共通である。シャフト300の中心線Z3が、スリーブ400の外面404の中心線Z2に対して傾斜していない。中心線Z3と中心線Z2とは共通である。スペーサー500の内面502の中心線Z4は、スペーサー500の外面504の中心線Z5に対して傾斜していない。中心線Z4と中心線Z5とは共通である。スペーサー500の内面502の中心線Z4が、ヘッド200の逆テーパー孔206の中心線Z6に対して傾斜していない。中心線Z4と中心線Z6とは共通である。シャフト300の中心線Z3は、ヘッド200の逆テーパー孔206の中心線Z6に対して傾斜していない。中心線Z3と中心線Z6とは共通である。
【0035】
図5及び
図6において両矢印D1で示されるのは、ホーゼル孔204の最小幅である。本実施形態では、ホーゼル孔204の断面形状は正方形であり、最小幅D1は、ホーゼル孔204の上端面における当該正方形の一辺の長さである。
【0036】
図5において両矢印D2で示されるのは、スリーブ400の最大幅である。本実施形態では、スリーブ400の外面404の断面形状は正方形であり、最大幅D2は、スリーブ400の下端面における当該正方形の一辺の長さである。
【0037】
本実施形態では、最小幅D1が最大幅D2よりも大きい。ホーゼル孔204の断面積の最小値は、スリーブ400の断面積の最大値よりも大きい。スリーブ400の下端は、ホーゼル孔204の上端の開口を通過することができる。結果として、スリーブ400は、ホーゼル孔204を通過することができる。スリーブ400は、上側からホーゼル孔204に挿入され、ホーゼル孔204を通過して、ホーゼル孔204の下方に抜け出ることができる。最小幅D1が最大幅D2より大きくなるように、スペーサー500の厚み等が設定されている。
【0038】
前述の通り、ホーゼル部202は、樹脂部203を有している(
図5参照)。樹脂部203は、ホーゼル孔204の上端エッジE1を構成している。よって、上端エッジE1は、樹脂で形成されている。樹脂部203は、ホーゼル孔204の下端エッジE2を構成している。よって、下端エッジE2は、樹脂で形成されている。
【0039】
樹脂部203は、ホーゼル孔204の内面の少なくとも一部を構成している。
図5の実施形態では、樹脂部203は、ホーゼル孔204の内面の全体を構成している。樹脂部203は、逆テーパー孔206の内面の少なくとも一部を構成している。
図5の実施形態では、樹脂部203は、逆テーパー孔206の内面の全体を構成している。
【0040】
樹脂部203の上端面は、ホーゼル上端面205の一部を構成している(
図3参照)。樹脂部203の下端面は、ホーゼル下端面207の一部を構成している(
図2参照)。
【0041】
前述の通り、ホーゼル部202はホーゼル本体202hを有しており、ホーゼル本体202hは本体孔206hを有している(
図5参照)。本体孔206hは、逆テーパー孔である。
【0042】
本実施形態では、樹脂部203は、ヘッド200とは別に成形された樹脂部材である。この樹脂部203が、ホーゼル部202に固定されている。この樹脂部203が、本体孔206hの内側に固定されている。この樹脂部203は、本体孔206hの内側に、接着剤で接着されている。樹脂部203は、樹脂部材でなくてもよい。例えば、樹脂部203は塗膜であってもよい。
【0043】
図7は、変形例に係る先端係合部RTaをソール側から見た平面図である。先端係合部RTaは、スリーブ400a及びスペーサー500aを有する。スリーブ400aとスペーサー500aとで、先端係合部RTaが形成されている。
【0044】
スリーブ400aは、内面402aと外面404aとを有する。内面402aは、シャフト孔を形成している。内面402aの断面形状は、円形である。内面402aの形状は、シャフト300の外面に対応している。内面402aは、シャフト300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ400aは、シャフト300の先端部に固定されている。この固定には、接着剤が用いられている。
【0045】
外面404aは、角錐面である。外面404aは、八角錐面である。外面404aの断面形状は、非円形である。外面404aの断面形状は、多角形(正多角形)である。外面404aの断面形状は、八角形である。外面404aの断面形状は、正八角形である。外面404aの断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。即ち、スリーブ400aは逆テーパー形状である。
【0046】
スペーサー500aは、内面502aと外面504aとを有する。内面502aは、スリーブ孔を形成している。内面502aの断面形状は、スリーブ400aの外面404aに対応している。内面502aに、スリーブ400aの外面404aがはめ込まれている。換言すれば、スペーサー500aの内側にスリーブ400aがはめ込まれる。スペーサー500aは、スリーブ400aに接着されていない。スペーサー500aは、スリーブ400aに接触しているだけである。
【0047】
内面502aの形状は、スリーブ400aの外面404aに対応している。内面502aは、角錐面である。内面502aは、八角錐面である。内面502aの断面形状は、非円形である。内面502aの断面形状は、多角形(正多角形)である。内面502aの断面形状は、八角形である。内面502aの断面形状は、正八角形である。内面502aの断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。
【0048】
外面504a(先端係合部RTaの外面)の形状は、逆テーパー孔206aの形状に対応している。外面504aは、角錐面である。外面504aは、八角錐面である。外面504aの断面形状は、非円形である。外面504aの断面形状は、多角形(正多角形)である。外面504aの断面形状は、八角形である。外面504aの断面形状は、正八角形である。外面504aの断面線により形成される図形の面積は、シャフト300のチップ側に近づくほど大きい。
【0049】
この変形例でも、ヘッドのホーゼル部が樹脂部203aを有している。樹脂部203aは、ホーゼル孔204aの上端エッジ(図示されず)及び下端エッジE2を構成している。樹脂部203aは、ホーゼル孔204の内面の全体を構成している。
【0050】
図8は、スペーサー500の斜視図である。
図9(a)は、
図8のA-A線に沿った断面図である。前述の通り、スペーサー500は、内面502と外面504とを有する。
【0051】
スペーサー500は、分割構造を有している。スペーサー500は、第1分割体510と、第2分割体520とを有する。
図8では、分割ラインd1が示されている。この分割ラインd1は、第1分割体510と第2分割体520との境界である。
【0052】
スペーサー500は、連結部530を有する。本実施形態では、連結部530は、板バネである。この板バネは、弾性体である。本実施形態では、2つの連結部530が設けられている。連結部530の一方側が第1分割体510に固定されており、連結部530の他方側が第2分割体520に固定されている。
【0053】
連結部530は、外面504に設けられた凹部に収容されている。連結部530は、外面504よりも外側に突出していない。連結部530は、逆テーパー孔206と外面504との接触を阻害しない。
【0054】
図4のステップ(b)では、第1分割体510と第2分割体520とが分離して示されているが、実際には、このスペーサー500は、開閉式である。連結部530は、蝶番の役割を果たす。連結部530を中心として、スペーサー500は開く。外力を付加することで、スペーサー500は開く。この開状態が、
図9(a)において二点鎖線で示されている。連結部530(板バネ)が曲がることで、スペーサー500は開く。この開状態では、第1分割体510と第2分割体520との間に隙間gpが生じる。この隙間gpから、スリーブ400をスペーサー500の内側に入れることができる。スリーブ400を内側に配置した状態で、スペーサー500は閉じられる。板バネ530は、閉状態となるようにスペーサー500を付勢している。よって、外力が無くなると、スペーサー500は(自動的に)閉じる。
【0055】
連結部530は、第1分割体510と第2分割体520とが結合した結合状態を保持しうる。スペーサー500に外力が作用していない状態では、スペーサー500は、上記結合状態となる。この結合状態とは、クラブとして使用可能な状態のゴルフクラブ100におけるスペーサー500の状態である。
【0056】
なお、スペーサー500は、第1分割体510と第2分割体520との位置ズレを防止する位置合わせ構造を有する。この位置合わせ構造として、平板の継ぎ合わせ構造が適用されてもよい。
図9(a)の実施形態は、位置合わせ構造の一例を含む。この位置合わせ構造において、第1分割体510は、厚み方向の位置ズレを防止する当接面m1と、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2とを有する。同様に、第2分割体520は、厚み方向の位置ズレを防止する当接面m1と、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2とを有する。閉じられた状態のスペーサー500において、第1分割体510の当接面m1と第2分割体520の当接面m1とが当接しており、第1分割体510の当接面m2と第2分割体520の当接面m2とが当接している。よって、厚み方向及び軸方向の位置ズレが防止されている。
【0057】
なお、スペーサー500は、スリーブの外面やホーゼル孔の内面等にはめ込まれるので、上記位置合わせ構造を有さなくても、その機能を果たしうる。上記当接面m1と、上記当接面m2との比較では、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2のほうが効果的である。スペーサー500は、スリーブの外面やホーゼル孔の内面等にはめ込まれるので、厚み方向の位置ズレは生じにくいからである。この観点から、上記位置合わせ構造は、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2を有するのが好ましく、軸方向の位置ズレを防止する当接面m2と厚み方向の位置ズレを防止する当接面m1とを有するのがより好ましい。
【0058】
図9(a)が示すように、スペーサー500の分割ラインd1は、第1分割ラインd11と、第2分割ラインd12とを有する。第1分割ラインd11は、連結部530のない分割ラインである。第2分割ラインd12は、連結部530のある分割ラインである。
図9(a)では、第1分割ラインd11に設けられた前記位置合わせ構造が示されている。好ましくは、第2分割ラインd12にも、前記位置合わせ構造が設けられる。
【0059】
図9(b)は、他の位置合わせ構造を示す。この位置合わせ構造では、第1部材Pt1の凸と第2部材Pt2の凹とが付き合わされている。第1部材Pt1における厚み方向の中央側と、第2部材Pt2における厚み方向の内側及び外側とが重ねられている。前記第1部材Pt1とは、第1分割体510又は第2分割体520の一方である。前記第2部材Pt2とは、第1分割体510又は第2分割体520の他方である。
【0060】
図9(c)は、他の位置合わせ構造を示す。この位置合わせ構造では、第1部材Pt1の凸と第2部材Pt2の凹とが付き合わされている。第1部材Pt1の凸の断面は斜面により構成されている。第2部材Pt2の凹の断面は斜面により構成されている。第1部材Pt1における厚み方向の中央側と、第2部材Pt2における厚み方向の内側及び外側とが重ねられている。前記第1部材Pt1とは、第1分割体510又は第2分割体520の一方である。前記第2部材Pt2とは、第1分割体510又は第2分割体520の他方である。
【0061】
図9(b)及び
図9(c)に示されるような位置合わせ構造でも、厚み方向の位置ズレに加えて、軸方向の位置ズレを防止することができる。例えば、
図9(b)及び
図9(c)に示されるような位置合わせ構造が軸方向の一部のみに採用される場合、当該位置合わせ構造の終端位置において、軸方向の位置ズレを防止する当接面が形成されうる。よって、軸方向の位置ズレが防止されうる。
【0062】
図10は、他の変形例に係るスペーサー700の斜視図である。スペーサー700は、内面702と外面704とを有する。
【0063】
スペーサー700は、分割構造を有する。スペーサー700は、第1分割体710と、第2分割体720とを有する。
図10では、分割ラインd1が示されている。この分割ラインd1は、第1分割体710と第2分割体720との境界である。
【0064】
スペーサー700は、リング状の弾性体730、740を有する。更に、スペーサー700は、周溝750、760を有する。弾性体730、740は、周溝750、760に嵌められている。弾性体730、740は、外面704よりも外側に突出していない。弾性体730、740は、外面704がはめ込まれる逆テーパー面と外面704との接触を阻害しない。外面704がはめ込まれる逆テーパー面とは、ヘッドの逆テーパー孔か、又は、他のスペーサーの内面である。弾性体730、740は、第1分割体710と第2分割体720とが結合した結合状態を保持しうる連結部の一例である。
【0065】
外力を加えて伸ばすことにより、弾性体730、740は取り外されうる。弾性体730、740が取り外されると、第1分割体710と第2分割体720とは互いに分離されうる。逆に、第1分割体710と第2分割体720とを突き合わせた後、弾性体730、740を取り付けることができる。弾性体730、740の弾性的な収縮力が、2つの分割体710、720を突き合わせるように付勢している。例えば、このようなスペーサー700も、スペーサーの交換を可能とする。
【0066】
このように、スペーサー500及びスペーサー700は、分割構造を有している。スペーサー500及びスペーサー700は、第1分割体と、第2分割体とを有している。スペーサー500及びスペーサー700は、第1分割体と第2分割体とが結合した結合状態を保持しうる連結部を有している。スペーサー500及びスペーサー700では、前記第1分割体と前記第2分割体とが結合した結合状態と、前記第1分割体と前記第2分割体との間に隙間が形成された分離状態との相互移行が可能である。前記分離状態において、スリーブを前記隙間を通過させてスペーサーの内部に配置することができる。前記分離状態において、スリーブ400が固定されたシャフト300にスペーサーを着脱することができる。
【0067】
図11は、他の実施形態に係るゴルフクラブ100bの断面図である。
図10は、先端係合部RTbの近傍の拡大断面図である。
【0068】
本実施形態では、スリーブ400bの内面402bの中心線Z1が、スリーブ400bの外面404bの中心線Z2に対して傾斜している。この傾斜の角度は、θ度である。シャフト300の中心線Z3が、スリーブ400bの外面404bの中心線Z2に対して傾斜している。この傾斜の角度は、θ度である。スペーサー500bの内面502bの中心線Z4は、スペーサー500bの外面504bの中心線Z5に対して傾斜していない。中心線Z4と中心線Z5とは共通である。スペーサー500bの内面502bの中心線Z4が、ヘッド200bの逆テーパー孔206bの中心線Z6に対して傾斜していない。中心線Z4と中心線Z6とは共通である。シャフト300の中心線Z3は、逆テーパー孔206bの中心線Z6に対して傾斜している。この傾斜の角度は、θ度である。
【0069】
このように、
図11の実施形態では、スリーブ400bの内面402bの中心線Z1が、逆テーパー孔206bの中心線Z6に対して傾斜している。よって、スリーブ400bの回転位置に基づいてロフト角及びライ角が変化しうる。
図11の実施形態は、角度調整機能を有する。
【0070】
なお、スペーサー500bの内面502bの中心線Z4が、スペーサー500bの外面504bの中心線Z5に対して傾斜していてもよい。更に、前述した中心線Z1の傾斜が、この中心線Z4の傾斜と組み合わされも良い。この組み合わせは、角度調整の自由度を高める。
【0071】
ホーゼル部202bは、樹脂部203bを有している。ホーゼル部202bは、ホーゼル本体202hと、樹脂部203bとを有する。ホーゼル本体202hは、金属製である。樹脂部203bは、樹脂製である。ホーゼル本体202hは、本体孔206hを有する。本体孔206hは、逆テーパー孔である。本体孔206hの断面形状は、逆テーパー孔206bと同じである。本体孔206hは、逆テーパー孔206bを一回り大きくした孔である。本体孔206hと逆テーパー孔206bとは相似である。本体孔206hは、金属によって形成されている。この本体孔206hの内側に、樹脂部203bが固定されている。樹脂部203bは、本体孔206hの内側に接着剤で接着されている。
【0072】
樹脂部203bは、ホーゼル孔204bの上端エッジE1及び下端エッジE2を構成している。樹脂部203bは、ホーゼル孔204bの内面の全体を構成している。樹脂部203bは、逆テーパー孔206bの内面の全体を構成している。
【0073】
[スリーブの回転位置]
スリーブは、それ自身の中心線回りに回転されうる。この回転によって、スリーブの回転位置が変化する。係合状態において、スリーブは、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スリーブの外面の形状に基づいて定まる。
【0074】
[スペーサーの回転位置]
スペーサーは、それ自身の中心線回りに回転されうる。この回転によって、スペーサーの回転位置が変化する。係合状態において、スペーサーは、複数の回転位置を採ることができる。採りうる回転位置の数は、スペーサーの外面の形状に基づいて定まる。
【0075】
[シャフト中心線の位置及び方向の調節]
シャフト孔の中心線(シャフトの中心線)は、スリーブの外面の中心線に対してズラすことができる。これらの中心線は、互いに傾斜していてもよいし、互いに平行でズレていてもよいし(平行偏心)、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スリーブの回転位置によって、シャフトの中心線の方向及び/又は位置が変化しうる。
【0076】
また、スペーサーの内面の中心線は、スペーサーの外面の中心線に対してズラすことができる。これらの中心線は、互いに傾斜していてもよいし、互いに平行でズレていてもよいし(平行偏心)、傾斜と偏心とが組み合わされてもよい。この場合、スペーサーの回転位置によって、シャフトの中心線の方向及び/又は位置が変化しうる。
【0077】
スペーサーの回転位置は、スリーブの回転位置とは独立して選択されうる。また、複数のスペーサーが用いられている場合、各スペーサーの回転位置はそれぞれ独立して選択されうる。スペーサーにより、前記調節の自由度は高まる。複数のスペーサーにより、この調節の自由度は更に高まる。これらの観点より、互いに重ねて用いられるスペーサーの数は、1又は2以上が好ましい。調節の複雑性及びホーゼル部の小型化を考慮すると、互いに重ねて用いられるスペーサーの数は、1又は2がより好ましい。
【0078】
図12は、ヘッド200に設けられた脱落防止機構1000の近傍の断面図である。なお、
図12は、
図2に対して、上下が逆になっている。
【0079】
脱落防止機構1000は、突出及び退行が可能な状態で突出方向に付勢された弾性突出部1004を有する。本実施形態では、弾性突出部1004は、板バネ1006である。
図12は、外力が作用していない自然状態における脱落防止機構1000の断面図である。この自然状態において、板バネ1006は、逆テーパー孔206に近づくほど設置面224からの突出高さHtが大きくなるように構成されている。前記自然状態において、脱落防止機構1000は、逆テーパー孔206にはめ込まれた先端係合部の端面(下端面)に当接する当接面1008を有する。
【0080】
脱落防止機構1000の当接面1008は、スペーサー500の下端面と、スリーブ400の下端面とに当接する。先端係合部RTの下端面RT1は、スペーサー500の下端面と、スリーブ400の下端面とを含む。この下端面RT1に、当接面1008が当接する。
【0081】
このように、脱落防止機構1000は、スリーブ(延長スリーブを含む)及びスペーサーに当接する。このため、先端係合部RTの係合解除方向への移動が規制される。この結果、先端係合部RTの脱落が防止される。即ち、シャフト300の脱落が防止される。
【0082】
板バネ1006を押圧すると、板バネ1006は、突出高さHtが少なくなるように退行する。この退行により、当接面1008は、ヘッド200の内部に収容される。この結果、当接面1008は先端係合部RTの下端面と当接できない状態となる。この状態では、先端係合部RTを係合解除方向に移動することが可能である。よって、シャフト300をヘッド200から取り外すことができる。
【0083】
なお、係合解除方向とは、軸方向に沿った方向であり、先端係合部RTがホーゼル孔に対してソール側に移動する方向を意味する。先端係合部RTが係合解除方向に移動すると、先端係合部RTはホーゼル孔から抜ける。一方、係合方向とは、軸方向に沿った方向であり、先端係合部RTがホーゼル孔に対してグリップ側に移動する方向を意味する。
【0084】
前述したステップ(d)(
図4参照)において、先端係合部RTは、板バネ1006を押圧しながら、逆テーパー孔206に向かって移動する。押圧された板バネ1006は退行し、先端係合部RTの前記移動を許容する。先端係合部RTが逆テーパー孔206と当接(係合)する位置にまで達したとき、先端係合部による板バネ1006の押圧は無くなり、板バネ1006が突出する。この結果、当接面1008が先端係合部RTの下端面RT1に当接し、脱落防止機構1000がその機能を発揮する。
【0085】
脱落防止機構1000の機能を解除するときは、外力によって板バネ1006を押圧し、当接面1008と下端面RT1との当接を解除する。外力は、例えば,人間の指によって付与される。
【0086】
図13は、他の実施形態のゴルフクラブ1100の断面図である。
図13は、ホーゼル部近傍の断面図である。
図14は、ゴルフクラブ1100の先端係合部RTを下方(ソール側)から見た平面図である。
【0087】
ゴルフクラブ1100は、ヘッド1200、シャフト300、スリーブ400、スペーサー500及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ400とスペーサー500とで、先端係合部RTが構成されている。先端係合部RTは、シャフト300の先端部に配置されている。先端係合部RTの外面は、スペーサー500によって形成されている。シャフト300、スリーブ400及びスペーサー500は、前述した第1実施形態のクラブ100に用いられているものと同じである。
【0088】
ヘッド1200は、ホーゼル部1202を有している。ホーゼル部1202は、ホーゼル孔1204を有する。このホーゼル孔1204は、逆テーパー孔1206を有している。この逆テーパー孔1206の形状は、先端係合部RTの外面の形状に対応している。この逆テーパー孔1206の形状は、スペーサー500の外面の形状に対応している。係合状態において、先端係合部RTの外面(スペーサー500の外面)は、逆テーパー孔1206に面接触している。先端係合部RTの外面は複数(4つ)の平面を有するが、これらの平面の全てが、逆テーパー孔1206に面接触している。
【0089】
スリーブ400は、シャフト300の先端部に固定されている。スペーサー500の内側にスリーブ400がはめ込まれている。前述の通り、スペーサー500は、第1分割体510と、第2分割体520とを有する。
【0090】
前述したゴルフクラブ100と同じく、このゴルフクラブ1100でも、最小幅D1が最大幅D2よりも大きい(
図13参照)。スリーブ400は、ホーゼル孔1204を通過することができる。ホーゼル部1202は、当該ホーゼル部を周方向の一部で欠落させることで形成されたスリットを有していない。
【0091】
図13が示すように、ホーゼル部1202は、ホーゼル本体1202hと、樹脂部1203とを有する。ホーゼル本体1202hは、金属製である。樹脂部1203は、樹脂製である。ホーゼル本体1202hは、本体孔1206hを有する。本体孔1206hは、逆テーパー孔である。本体孔1206hは、金属で形成されている。後述の上端凹部R1及び下端凹部R2を除き、本体孔1206hは、ホーゼル孔1204と共通である。
【0092】
樹脂部1203は、上側樹脂部1203aと下側樹脂部1203bとを有する。
【0093】
本体孔1206hは、上端凹部R1と、下端凹部R2とを有する。上端凹部R1は、ホーゼル孔1204の上端に形成されている。下端凹部R2は、ホーゼル孔1204の下端に形成されている。上端凹部R1の形状は、上側樹脂部1203aの形状に対応している。下端凹部R2の形状は、下側樹脂部1203bの形状に対応している。
【0094】
上側樹脂部1203aは、上端凹部R1に固定されている。この固定は、接着剤による接着によって達成されている。上端凹部R1に固定された上側樹脂部1203aの上面は、ホーゼル上端面1205の一部を構成している。上端凹部R1に固定された上側樹脂部1203aの内面は、逆テーパー孔1206の一部(上端部)を構成している。
【0095】
下側樹脂部1203bは、下端凹部R2に固定されている。この固定は、接着剤による接着によって達成されている。下端凹部R2に固定された下側樹脂部1203bの下面は、ホーゼル下端面1207の一部を構成している。下端凹部R2に固定された下側樹脂部1203bの内面は、逆テーパー孔1206の一部(下端部)を構成している。
【0096】
なお、樹脂部1203の固定は、接着剤による接着以外の方法で達成されてもよく、例えば、凹凸係合によって達成されてもよい。この凹凸係合の一例として、本体孔1206hに溝を設け、この溝に樹脂部1203の突起を嵌め込む構成が挙げられる。樹脂部1203の弾性変形を利用することで、この嵌め込みが達成されうる。
【0097】
上側樹脂部1203aは、ホーゼル孔1204の上端エッジE1を構成している。上端エッジE1は、樹脂で形成されている。下側樹脂部1203bは、ホーゼル孔1204の下端エッジE2を構成している。下端エッジE2は、樹脂で形成されている。
【0098】
図14が示すように、下側樹脂部1203bは、環状部材である。ホーゼル孔1204の下端での開口形状に対応して、この下側樹脂部1203bは四角形(正方形)である。同様に、上側樹脂部1203aは、四角形(正方形)の環状部材である
【0099】
図15は、他の実施形態に係るスリーブ2000の斜視図である。
図16(a)は、スリーブ2000の平面図である。
図16(b)は、
図15のB-B線に沿った断面図である。
図16(c)は、
図15のC-C線に沿った断面図である。
図16(d)は、スリーブ2000の底面図である。
【0100】
スリーブ2000は、内面2002と、外面2004と、上端面2006と、下端面2008とを有している。
【0101】
内面2002は、円周面である。内面2002に、シャフトが接着される。
【0102】
外面2004は、逆テーパー係合面K1を有する。複数の逆テーパー係合面K1が設けられている。複数の逆テーパー係合面K1は、周方向の複数箇所に配置されている。逆テーパー係合面K1は、周方向の所定間隔ごとに配置されている。複数の逆テーパー係合面K1は、周方向において等間隔で配置されている。逆テーパー係合面K1は、周方向の所定角度(90度)ごとに配置されている。
【0103】
外面2004は、非係合面K2を有する。複数の非係合面K2が設けられている。複数の非係合面K2は、周方向の複数箇所に配置されている。非係合面K2は、周方向の所定間隔ごとに配置されている。複数の非係合面K2は、周方向において等間隔で配置されている。非係合面K2は、周方向の所定角度(90度)ごとに配置されている。
【0104】
逆テーパー係合面K1と非係合面K2とは、周方向において交互に配置されている。
【0105】
図16(a)から(d)から理解されるように、外面2004の断面積は、上端面2006から下端面2008に近づくにつれて大きくなっている。逆テーパー係合面K1は、下端面2008に近づくにつれて径方向外側にいくように傾斜している。逆テーパー係合面K1は逆テーパー面である(
図15参照)。
【0106】
非係合面K2の断面形状は、軸方向位置に関わらず同一である。非係合面K2の断面形状は、多角形(正多角形)に沿っている。非係合面K2の断面形状は、八角形(正八角形)に沿っている。非係合面K2の断面形状は、正多角形における一つおきの辺である。あらゆる軸方向位置において、非係合面K2の径方向位置は一定である。あらゆる軸方向位置において、逆テーパー係合面K1は、非係合面K2よりも径方向外側に位置する。
【0107】
あらゆる軸方向位置において、外面2004の断面形状は、回転対称性を有している。あらゆる軸方向位置において、外面2004の断面形状は、4回対称である。外面2004の断面形状がn回対称(nは2以上の整数)であるとき、nは、3以上12以下が好ましく、4以上8以下がより好ましい。なお、本願において、このnは、採りうる値の最大値を意味する。例えば正方形は、4回対称でもあり2回対称でもあるが、この正方形におけるnは、採りうる値の最大値、すなわち、4である。
【0108】
図17(a)から(d)は、ホーゼル孔2010を示す。
図17(a)は、ホーゼル孔2010の平面図であり、上端面におけるホーゼル孔2010を示す。
図17(d)は、ホーゼル孔2010の底面図であり、下端面におけるホーゼル孔2010を示す。
図17(b)及び
図17(c)は、ホーゼル孔2010の断面図である。
図17(b)は、
図15のB-B線に対応した位置における、ホーゼル孔2010の断面図である。
図17(c)は、
図15のC-C線に対応した位置における、ホーゼル孔2010の断面図である。
【0109】
このホーゼル孔2010は、スリーブ2000に対応している。スリーブ2000は、シャフト(図示されず)の先端部に固定される。スリーブ2000が固定されたシャフトは、ヘッドのホーゼル孔2010に固定される。ホーゼル孔2010は、ヘッドのホーゼル部2012に設けられている。
【0110】
ホーゼル孔2010は、逆テーパー孔面J1を有する。逆テーパー孔面J1は、逆テーパー係合面K1に対応した面である。複数の逆テーパー孔面J1が設けられている。逆テーパー孔面J1は、周方向の複数箇所に配置されている。逆テーパー孔面J1は、周方向の所定間隔ごとに配置されている。複数の逆テーパー孔面J1は、周方向において等間隔で配置されている。逆テーパー孔面J1は、周方向の所定角度(90度)ごとに配置されている。逆テーパー孔面J1は、逆テーパー孔の一例である。
【0111】
ホーゼル孔2010は、干渉回避面J2を有する。複数の干渉回避面J2が設けられている。干渉回避面J2は、周方向の複数箇所に配置されている。干渉回避面J2は、周方向の所定間隔ごとに配置されている。干渉回避面J2は、周方向の所定角度(90度)ごとに配置されている。
【0112】
逆テーパー孔面J1と干渉回避面J2とは、周方向において交互に配置されている。
【0113】
図17(a)から(d)から理解されるように、ホーゼル孔2010の断面積は、上端面から下端面に近づくにつれて大きくなっている。逆テーパー孔面J1は、下方にいくほど径方向外側にいくように、傾斜している。逆テーパー孔面J1は逆テーパー面である。
【0114】
干渉回避面J2の径方向位置及び配向は、軸方向位置に関わらず同一である。干渉回避面J2の断面形状は、多角形(正多角形)に沿っている。干渉回避面J2の断面形状は、八角形(正八角形)に沿っている。干渉回避面J2の断面形状は、正多角形の一つおきの辺である。あらゆる軸方向位置において、干渉回避面J2の径方向位置は一定である。下端面を除くあらゆる軸方向位置において、干渉回避面J2は、逆テーパー孔面J1よりも径方向外側に位置する。
【0115】
あらゆる軸方向位置において、ホーゼル孔2010の断面形状は、回転対称性を有している。あらゆる軸方向位置において、ホーゼル孔2010の断面形状は、4回対称である。ホーゼル孔2010の断面形状がn回対称(nは2以上の整数)であるとき、nは、3以上12以下が好ましく、4以上8以下がより好ましい。
【0116】
図18(a)及び
図18(b)は、係合状態におけるスリーブ2000及びホーゼル孔2010を示している。
図19は、
図18(a)及び
図18(b)のA-A線に沿った断面図である。この係合状態により、本実施形態に係るゴルフクラブが使用可能となる。
【0117】
この係合状態では、逆テーパー係合面K1が逆テーパー孔面J1に当接している。全ての逆テーパー係合面K1が、逆テーパー孔面J1のそれぞれに当接している。逆テーパー係合面K1は、逆テーパー孔面J1にはめ込まれている。
【0118】
この係合状態では、非係合面K2は、干渉回避面J2に対向している。全ての非係合面K2が、干渉回避面J2のそれぞれに対向している。非係合面K2と干渉回避面J2との間には、隙間(空間)が存在する。
【0119】
図20は、スリーブ2000に、ホーゼル孔2010を通過させる通過工程におけるスリーブ2000及びホーゼル孔2010を示す平面図である。この
図20は、当該通過工程の開始時点における状態を示している。この
図20では、上端面におけるホーゼル孔2010(
図17(a))と、下端面2008におけるスリーブ2000とが示されている。
【0120】
本実施形態では、スペーサーが用いられていない。本実施形態では、スリーブ2000のみが、先端係合部RTを構成している。
【0121】
先端係合部RTは、ホーゼル孔2010を通過しうる。本実施形態でも、先端係合部RTは、ホーゼル孔2010を通過しうる。
図20は、この通過が可能であることを示している。スリーブ2000の下端面2008は、スリーブ2000において断面積が最大である。一方、ホーゼル孔2010の上端は、ホーゼル孔2010において断面積が最小である。
図20は、断面積が最大である下端面2008が、断面積が最小であるホーゼル孔2010の上端を通過できることを示している。スリーブ2000は、ホーゼル孔2010を通過することができる。スリーブ2000は、上側からホーゼル孔2010に挿入され、ホーゼル孔2010の下側に抜けることができる。
【0122】
本開示では、第1位相状態PH1及び第2位相状態PH2が定義される。第1位相状態PH1及び第2位相状態PH2とは、ホーゼル孔2010とスリーブ2000との間の相対的な位相関係を示している。ホーゼル孔2010に対してスリーブ2000を回転することで、第1位相状態PH1と第2位相状態PH2との間で相互移行が可能である。
【0123】
第1位相状態PH1では、逆テーパー係合面K1が干渉回避面J2に対向している。
図20が、この第1位相状態PH1を示している。上述の通り、この第1位相状態PH1(
図20)では、ホーゼル孔2010が先端係合部RT(スリーブ2000)を通過させうるように構成されている。
図20では明確に示されていないが、逆テーパー係合面K1と干渉回避面J2との間には(若干の)クリアランスが存在する。
【0124】
図20が示すように、第1位相状態PH1では、非係合面K2は逆テーパー孔面J1に対向している。第1位相状態PH1において、非係合面K2と逆テーパー孔面J1との間には隙間が存在する。
【0125】
第2位相状態PH2では、逆テーパー係合面K1は、逆テーパー孔面J1に対向している。
図18(a)及び
図18(b)が、この第2位相状態PH2を示している。この第2位相状態PH2において、係合状態が達成される。上述の通り、この係合状態では、逆テーパー係合面K1が逆テーパー孔面J1に面接触している。第2位相状態PH2では、逆テーパー係合面K1が逆テーパー孔面J1にはめ込まれるように構成されている。
【0126】
このように、本実施形態に係るゴルフクラブの組立では、先ず、シャフトの先端部にスリーブ2000が固定(接着)される。次に、このスリーブ2000を、上側からホーゼル孔2010に挿入し、ホーゼル孔2010を完全に通過させる。この通過により、スリーブ2000はソールの下側に到達し、且つシャフトはホーゼル孔2010に挿通されている。この通過工程では、第1位相状態PH1が採用される(
図20参照)。次に、第2位相状態PH2となるように、シャフトに固定されたスリーブ2000を回転させる。なお、スリーブ2000は、外部に抜け出しているので、自由に回転できる。この回転の角度は、本実施形態では、45度でよい。最後に、スリーブ2000が固定されたシャフトを引き上げて、逆テーパー係合面K1を逆テーパー孔面J1にはめ込む。この最終状態が、
図18(a)、
図18(b)及び
図19で示されている。
【0127】
このように、第1位相状態PH1により、スリーブ2000はホーゼル孔2010を通過することができる。そして、第2位相状態PH2により、スリーブ2000をホーゼル孔2010にはめ込むことができる。
【0128】
このスリーブ2000では、スリーブ内面2002の中心線は、スリーブ外面の中心線に対して傾斜していない。もちろん、スリーブ内面2002の中心線は、スリーブ外面の中心線に対して傾斜していてもよい。また、スリーブ内面2002の中心線は、スリーブ外面の中心線に対して平行偏心していてもよい。
【0129】
本実施形態では、スペーサーは用いられていない。しかし、スペーサーを設けることも可能である。例えば、上述したスリーブ2000の形状を、スペーサーとスリーブとで構成することができる。この場合、スリーブは、その外形を逆テーパー形状の正八角錐とすることができる。このスリーブに適合するスペーサーは、その内形が前記スリーブの外形に対応した正八角錐とすることができ、その外形は上記スリーブ2000と同じにすることができる。スペーサーが用いられる場合、スリーブの内形の中心線と外形の中心線との間に傾斜角度を設け、且つ、スペーサーの内形の中心線と外形の中心線との間に傾斜角度を設けることができる。
【0130】
図19がよく示すように、ホーゼル部2012は、ホーゼル本体2012hと、樹脂部2013とを有する。ホーゼル本体2012hは、金属製である。樹脂部2013は、樹脂製である。ホーゼル本体2012hは、本体孔2016hを有する。本体孔2016hは、逆テーパー孔である。本体孔2016hの形状は、全体として八角錐である。
図17(a)から
図17(d)が示すように、あらゆる軸方向位置において、本体孔2016hの断面形状は、八角形(正八角形)である。本体孔2016hは、金属によって形成されている。この本体孔2016hの内側に、樹脂部2013が固定されている。樹脂部2013は、本体孔2016hの内側に接着剤で接着されている。
【0131】
樹脂部2013の外面の形状は、本体孔2016hの形状に対応している。すなわち、樹脂部2013の外面は、角錐面(正八角錐の一部)である。樹脂部2013の内面は、ホーゼル孔2010を構成している。換言すれば、ホーゼル孔2010の全体が樹脂部2013で構成されている。樹脂部2013の内面が、全ての逆テーパー孔面J1及び全ての干渉回避面J2を有する。各逆テーパー孔面J1において、逆テーパー孔面J1の全体が樹脂部2013で構成されている。各干渉回避面J2において、干渉回避面J2の全体が樹脂部2013で構成されている。
【0132】
図19が示すように、ホーゼル孔2010の上端エッジE1は、樹脂部2013で構成されている。すなわち、上端エッジE1は、樹脂で形成されている。また、ホーゼル孔2010の下端エッジE2は、樹脂部2013で形成されている。すなわち、下端エッジE2は、樹脂で形成されている。
【0133】
図21は、他の実施形態に係るホーゼル部2112の断面図である。
図21には、このホーゼル部2112に係合するスリーブ2000も描かれている。スリーブ2000の構造は前述の通りである(
図15参照)。
図22(a)は、
図21のホーゼル部2112を上方から見た平面図である。
図22(b)は、
図21のホーゼル部2112を下方から見た平面図である。
【0134】
このホーゼル部2112は、ホーゼル本体2112hと、樹脂部2113を有する。ホーゼル本体2112hは、金属製である。樹脂部2113は、樹脂製である。樹脂部2113aと下側樹脂部2113bとを有する。
【0135】
ホーゼル本体2112hは、本体孔2116hを有する。本体孔2116hは、上端凹部R1と、下端凹部R2とを有する。上端凹部R1は、ホーゼル孔2010の上端に形成されている。下端凹部R2は、ホーゼル孔2010の下端に形成されている。上端凹部R1の形状は、上側樹脂部2113aの形状に対応している。下端凹部R2の形状は、下側樹脂部2113bの形状に対応している。
【0136】
上側樹脂部2113aは、上端凹部R1に固定されている。この固定は、接着剤による接着によって達成されている。上端凹部R1に固定された上側樹脂部2113aの上面は、ホーゼル上端面の一部を構成している。上端凹部R1に固定された上側樹脂部2113aの内面は、ホーゼル孔2010の一部(上端部)を構成している。
【0137】
下側樹脂部2113bは、下端凹部R2に固定されている。この固定は、接着剤による接着によって達成されている。下端凹部R2に固定された下側樹脂部2113bの下面は、ホーゼル下端面の一部を構成している。下端凹部R2に固定された下側樹脂部2113bの内面は、ホーゼル孔2010の一部(下端部)を構成している。
【0138】
上側樹脂部2113aは、ホーゼル孔2010の上端エッジE1を構成している。下側樹脂部2113bは、ホーゼル孔2010の下端エッジE2を構成している。
図22(a)が示すように、上側樹脂部2113aは、環状部材である。
図22(b)が示すように、下側樹脂部2113bは、環状部材である。
【0139】
上端エッジE1及び下端エッジE2は樹脂で形成されている。本実施形態では、上端エッジE1を含むホーゼル孔の上端部と、下端エッジE2を含むホーゼル孔の下端部とが樹脂で形成されている。
【0140】
図23は、他の実施形態のゴルフクラブ3100を示す。
図23は、ゴルフクラブ3100のヘッド近傍のみを示している。
図24は、ゴルフクラブ3100をソール側から見た斜視図である。
図25は、ゴルフクラブ3100の分解斜視図である。
【0141】
ゴルフクラブ3100は、ヘッド3200、シャフト3300、スリーブ3400及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ3400により、先端係合部RTが構成されている。先端係合部RTは、シャフト3300の先端部に配置されている。先端係合部RTの外面は、スリーブ3400によって形成されている。
【0142】
この実施形態に係るゴルフクラブ3100は、スペーサー(後述)を有さない。したがって、先端係合部RTは、スリーブ3400のみによって構成される。なお、スリーブとヘッドとの間にスペーサーが設けられてもよい。
【0143】
ヘッド3200は、ホーゼル部3202を有している。ホーゼル部3202は、ホーゼル孔3204を有する(
図25参照)。このホーゼル孔3204は、逆テーパー孔の内面を構成している。この内面3204の形状は、先端係合部RTの外面の形状に対応している。換言すれば、この内面3204の形状は、スリーブ3400の外面の形状に対応している。係合状態において、先端係合部RTの外面(スリーブ3400の外面)は、ホーゼル孔3204に面接触している。先端係合部RTの外面は複数(8つ)の平面を有するが、これらの平面のうちの半数(4つ)が、ホーゼル孔3204に面接触している。この点の詳細については、後述される。
【0144】
ホーゼル部3202は、ホーゼルスリット3206を有する。ホーゼルスリット3206は、ホーゼル部3202の側方に設けられている。ホーゼルスリット3206は、ホーゼル孔3204の内部とヘッドの外部との間を連通する開口である。ホーゼルスリット3206は、軸方向上側に開放されており、且つ、軸方向下側にも開放されている。ホーゼルスリット3206は、ホーゼル部3202のヒール側に設けられている。ホーゼルスリット3206により、内面3204の一部が欠落しているが、先端係合部RTの保持には支障がない。
【0145】
図25には、ホーゼルスリット3206の幅Wsが示されている。幅Wsは、シャフト3300の直径よりも大きい。幅Wsは、少なくとも、シャフト3300の最も細い部分の直径よりも大きい。このため、ホーゼルスリット3206は、シャフト3300を通過させうる。ホーゼルスリット3206は、軸直角方向に移動するシャフト3300を通過させうる。軸直角方向とは、シャフト3300の軸線に対して直角の方向である。
【0146】
ホーゼルスリット3206により、ホーゼル孔3204の周方向における一部が欠落している。先端係合部RTの保持性を高める観点から、幅Wsは小さいほうが好ましい。例えば、幅Wsは、シャフト3300の露出部の最も細い部分(例えば、先端係合部RTに隣接した部分)よりも大きければよい。シャフト3300の露出部とは、スリーブ及びグリップが取り付けられておらず、外部に露出している部分を意味する。言うまでも無いが、幅Wsは、先端係合部RTが通過できないように設定される。先端係合部RTは、ホーゼルスリット3206を通過できない。
【0147】
通常のヘッドと同様に、ヘッド3200は、クラウン3208、ソール3210及びフェース3212を有している(
図23から25を参照)。
【0148】
図25が示すように、スリーブ3400は、内面3402と外面3404とを有する。内面3402は、シャフト孔を形成している。内面3402の断面形状は、円形である。内面3402の形状は、シャフト3300の外面に対応している。内面3402は、シャフト3300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ3400は、シャフト3300の先端部に固定されている。この固定には、接着剤が用いられている。
【0149】
外面3404は、角錐外面である。外面3404は、八角錐面である。外面3404の断面形状は、非円形である。外面3404の断面形状は、多角形である。後述するように、外面3404の断面形状は、略多角形(略正多角形)である。この「略」とは、後述される長さ調整機構が付加されていることを意味する。なお、本実施形態において「角錐面」とは、長さ調整機構(後述)が付加された角錐面(略角錐面)を含む概念である。
【0150】
外面3404の断面線を外縁とする図形(略正多角形)の面積は、下方(ソール側)に近づくほど大きい。即ち、スリーブ3400は逆テーパー形状である。外面3404の断面線を外縁とする図形の形状は、軸方向位置に関わらず同じである。
【0151】
図26は、ゴルフクラブ3100のシャフト3300がヘッド3200に装着される工程を示す。
【0152】
この装着工程では、先ず、スリーブ付きシャフト3500が用意される(
図26の符号(a);第1ステップ)。スリーブ付きシャフト3500は、シャフト3300と、スリーブ3400とを有する。スリーブ3400がシャフト3300の先端部に固定されて、スリーブ付きシャフト3500が得られる。
【0153】
次に、シャフト3300にホーゼルスリット3206を通過させ、シャフト3300を内面3204の内側に移動させる(
図26の符号(b);第2ステップ)。このシャフト3300の移動の結果、先端係合部RTは、ヘッド3200のソール3210側に移動する。
【0154】
最後に、シャフト3300(スリーブ付きシャフト3500)を軸方向に沿ってグリップ側に移動させ、先端係合部RTを内面3204にはめ込む(
図26の符号(c);第3ステップ)。このはめ込みにより、ヘッド3200に対するシャフト3300の装着が達成される。換言すれば、このはめ込みにより、係合状態が達成される。係合状態とは、ゴルフクラブ3100が使用可能なように、先端係合部RTと内面3204とが係合した状態を意味する。係合状態では、逆テーパー嵌合が達成されている。
【0155】
このように、ゴルフクラブ3100では、シャフト3300がヘッド3200に取り外し可能に取り付けられている。シャフト3300(スリーブ付きシャフト3500)をヘッド3200に取り付けるのは容易である。加えて、シャフト3300(スリーブ付きシャフト3500)をヘッド3200から取り外すのも容易である。
【0156】
図27は、ヘッド3200をソール側から見た斜視図である。ヘッド3200は、脱落防止部3220を有する。脱落防止部3220は、設置面3222に設けられている。設置面3222は、軸方向に沿った面である。脱落防止部3220は、複数(2つ)の位置、でスリーブ付きシャフト3500の底面B1を支持しうる。脱落防止部3220は、先端係合部RTの係合解除方向への移動を規制する。
【0157】
本実施形態の脱落防止部3220は、複数の位置において底面B1を支持することができる。設置面3222には、第1のネジ穴h1と、第2のネジ穴h2とが設けられている。これらのネジ穴h1,h2の何れかに、脱落防止ネジ(
図24及び
図27では図示されず)がネジ止めされる。この脱落防止ネジ(後述の
図30におけるネジsc1)がスリーブ付きシャフト3500の底面B1(
図24)に当接することで、スリーブ付きシャフト3500の脱落が防止されている。
【0158】
係合状態のゴルフクラブ3100では、先端係合部RTと内面3204との間で逆テーパー嵌合が形成されている。係合方向の力は、この逆テーパー嵌合を解除することはできず、逆にこの逆テーパー嵌合の接触圧力を高める。係合方向の力は、先端係合部RTと内面3204との係合をより一層確実とする。
【0159】
ゴルフクラブ3100のヘッド3200に作用する大きな力は、スイング中の遠心力、及び、インパクトでの衝撃力である。これらのうち、遠心力は、上述した係合方向の力である。また、ヘッド3200のロフト角に起因して、上記衝撃力の軸方向における分力も、係合方向の力である。よって、遠心力及び衝撃力は、先端係合部RTと内面3204との係合を解除することはできず、逆にこの係合をより一層確実とする。また、先端係合部RT及び内面3204は、断面形状が非円形であることから、両者の間で相対回転が生じることはない。結果として、先端係合部RTと内面3204の間が接着剤等で固定されていないにも関わらず、ゴルフクラブとして必要な抜け止め及び回り止めが達成される。この逆テーパー嵌合の構造は、結合性と着脱容易性とを両立しうる。
【0160】
したがって、ショット(スイング)の局面においては、脱落防止部3220は必ずしも必要ではない。
【0161】
一方、スイング以外の場面では、ゴルフクラブ3100に係合解除方向の力が作用する場合がある。例えば、ゴルフクラブ3100がゴルフバックに差し込まれている状態である。この状態では、ゴルフクラブ3100は、ヘッド3200を上側にして立てられている。この場合、ヘッド3200に作用する重力は、上記係合解除方向の力として作用する。脱落防止部3220により、この係合解除方向の力が作用しても、ヘッド3200は脱落しない。
【0162】
遠心力、衝撃力等に起因する係合方向の力に比べて、この係合解除方向の力は小さい。よって、脱落防止部3220には、大きな力は作用しない。脱落防止部3220は、簡易的な機構であってもよい。
【0163】
図28は、ゴルフクラブ3100の2つの状態を示す。
図28の符号(a)は、第1状態のゴルフクラブ3100を示す。
図28の符号(b)は、第2状態のゴルフクラブ3100を示す。第1状態でのクラブ長さは、第2状態に比べて短い。ゴルフクラブ3100では、2種類の長さが選択されうる。
【0164】
図29は、ゴルフクラブ3100のホーゼル部3202での断面図であり、長さ調整機構を説明するための断面図である。
【0165】
図29の符号(a)は、第1状態(短い状態)における断面図である。
図29の符号(a)が示すように、ホーゼル孔3204は、第1当接面S1と、第2当接面S2とを有する。
【0166】
複数(4つ)の第1当接面S1が設けられている。複数(4つ)の第2当接面S2が設けられている。第1当接面S1と第2当接面S2とは交互に配置されている。本実施形態では、第1当接面S1の数は4であり、第2当接面S2の数は4である。第1当接面S1の数と第2当接面S2の数との和が8である。
【0167】
図29の符号(a)の断面図において、第1当接面S1のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれである。この第1当接面S1と重なる正多角形(正八角形)が第1の仮想正多角形(図示されず)と定義される。
図29の符号(a)の断面図において、第2当接面S2のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれである。この第2当接面S2と重なる正多角形(正八角形)が第2の仮想正多角形(図示されず)と定義される。
【0168】
第2当接面S2の半径方向位置は、第1当接面S1の半径方向位置よりも外側である。第1の仮想正多角形(仮想正八角形)は、第2の仮想正多角形(仮想正八角形)よりも小さい。第1の仮想正多角形(仮想正八角形)と第2の仮想正多角形(仮想正八角形)とは、中心点が共通であり、且つ、同じ位相である。
【0169】
このように、第1当接面S1及び第2当接面S2は、正多角形(正八角形)の各辺に沿って交互に配置されており、且つ、第1当接面S1の半径方向位置が第2当接面S2の半径方向位置よりも(若干)内側である。第1当接面S1と第2当接面S2との境界には、段差面S3が形成されている。段差面S3は、無くてもよい。
【0170】
図29の符号(a)が示すように、スリーブ3400の外面3404は、当接係合面T1と非当接係合面T2とを有する。
【0171】
複数(4つ)の当接係合面T1が設けられている。複数(4つ)の非当接係合面T2が設けられている。当接係合面T1と非当接係合面T2とは交互に配置されている。本実施形態では、当接係合面T1の数は4であり、非当接係合面T2の数は4である。当接係合面T1の数と非当接係合面T2の数との和が8である。
【0172】
図29の符号(a)の断面図において、当接係合面T1のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれである。この当接係合面T1と重なる正多角形(正八角形)が第3の仮想正多角形(図示されず)と定義される。
図29の符号(a)の断面図において、非当接係合面T2のそれぞれは、正多角形(正八角形)における1つおきの辺のそれぞれである。この非当接係合面T2と重なる正多角形(正八角形)が第4の仮想正多角形(図示されず)と定義される。
【0173】
当接係合面T1の半径方向位置は、非当接係合面T2の半径方向位置よりも外側である。したがって、第3の仮想正多角形(仮想正八角形)は、第4の仮想正多角形(仮想正八角形)よりも大きい。第3の仮想正多角形(仮想正八角形)と第4の仮想正多角形(仮想正八角形)とは、中心点が共通であり、且つ、同じ位相である。
【0174】
このように、当接係合面T1及び非当接係合面T2は、正多角形(正八角形)の各辺に沿って交互に配置されており、且つ、当接係合面T1の半径方向位置が非当接係合面T2の半径方向位置よりも(若干)外側である。当接係合面T1と非当接係合面T2との境界には、段差面T3が形成されている。段差面T3は、無くてもよい。
【0175】
図29の符号(a)は、第1状態(クラブ長さが短い状態)における断面図である。この第1状態(a)では、スリーブ3400(先端係合部RTの外面3404)は、第1回転位置にある。
【0176】
この第1状態(a)では、当接係合面T1が第1当接面S1に当接している。第1状態(a)では、当接係合面T1が第1当接面S1に対向しており、非当接係合面T2が第2当接面S2に対向している。当接係合面T1は第1当接面S1に当接しているのに対して、非当接係合面T2は第2当接面S2に当接していない。非当接係合面T2と第2当接面S2との間に隙間が形成されている。
【0177】
図29の符号(b1)は、第2状態に移行するための移行状態を示す断面図である。
図29の符号(b1)では、スリーブ3400(外面3404)は、第2回転位置にある。
【0178】
移行状態(b1)とは、ホーゼル部3202に対するスリーブ3400の軸方向位置を変化させずに、スリーブ3400(スリーブ付きシャフト3500)が所定角度θ(45°)回転された状態を意味する。このような移行状態(b1)を記載するのは、この長さ調整機構の理解を容易とするためである。なお、実際に上記所定角度θの回転を行うには、先端係合部RTを係合解除方向に一旦移動させた上で当該回転を行うことになる。スリーブ3400(外面3404)を上記所定角度θだけ回転することで、スリーブ3400(外面3404)の回転位置が、第1回転位置から第2回転位置に移行する。
【0179】
この移行状態(b1)では、当接係合面T1が第2当接面S2に対向しており、非当接係合面T2が第1当接面S1に対向している。この状態では、当接係合面T1は第2当接面S2に当接していない。もちろん、非当接係合面T2も第1当接面S1に当接していない。当接係合面T1と第2当接面S2との間の隙間gpの幅は、非当接係合面T2と第1当接面S1との間の隙間の幅よりも小さい。
【0180】
この
図29の移行状態(b1)において、当接係合面T1と第2当接面S2とが当接していないことが、2つのクラブ長さの実現性を示している。すなわち、隙間gpにより、第2のクラブ長さ(より大きなクラブ長さ)が実現する。この点について、次の
図30を用いて説明する。
【0181】
図30の符号(a)は、
図29の符号(a)のA-A線に沿った断面図である。
図30の符号(b1)は、
図29の符号(b1)のB-B線に沿った断面図である。この
図30の符号(b1)にも示されるように、移行状態では、当接係合面T1と第2当接面S2との間に隙間gpが存在する。この隙間gpを解消して、当接係合面T1と第2当接面S2とを当接させるには、スリーブ付きシャフト3500(先端係合部RT)を軸方向上側に移動させればよい。すなわち、移行状態から、スリーブ付きシャフト3500をホーゼル部3202に対して軸方向上方に移動することで、当接係合面T1と第2当接面S2とが当接する。この結果、第2状態が実現する。
図30の符号(b2)が、この第2状態を示している。
【0182】
以上の通り、ゴルフクラブ3100では、第1状態と第2状態との間で、内面3204に対する外面3404の軸方向位置が相違している。この相違に起因して、クラブ長さが短い第1状態(a)と、クラブ長さが長い第2状態(b2)とが実現されている。ゴルフクラブ3100では、先端係合部RTを内面3204に対して回転させることで、上記第1状態と上記第2状態との相互移行が可能とされている。
【0183】
図30が示すように、脱落防止部3220は、複数のネジ穴h1、h2と、これらのネジ穴h1,h2にネジ止めされうるネジsc1とを有する。
図30では、ネジsc1の頭部の平面図が2点鎖線で示されている。ネジsc1の頭部が、スリーブ付きシャフト3500の下端面B1に当接している。
図30の符号(a)が示すように、クラブが短い第1状態では、ネジsc1は第1のネジ穴h1にネジ止めされ、第1状態における下端面B1に当接する。
図30の符号(b2)が示すように、クラブが長い第2状態では、ネジsc1は、第2のネジ穴h2にネジ止めされ、第2状態における下端面B1に当接する。このように、脱落防止部3220は、複数の軸方向位置においてスリーブ付きシャフト3500の底面(下端面)B1を支持しうる。
【0184】
図29及び
図30がよく示すように、ホーゼル部3202は、ホーゼル本体3202hと、樹脂部3203とを有する。ホーゼル本体3202hは、金属製である。樹脂部3203は、樹脂製である。ホーゼル本体3202hは、本体孔3216hを有する。本体孔3216hは、逆テーパー孔である。本体孔3216hの形状は、全体として、周方向の一部が欠落した八角錐である。本体孔3216hは、金属によって形成されている。この本体孔3216hの内側に、樹脂部3203が固定されている。樹脂部3203は、本体孔3216hの内側に接着剤で接着されている。
【0185】
樹脂部3203の外面の形状は、本体孔3216hの形状に対応している。すなわち、樹脂部3203の外面は、角錐面(正八角錐の一部)である。樹脂部3203の内面は、ホーゼル孔3204を構成している。換言すれば、ホーゼル孔3204の全体が樹脂部3203で構成されている。
【0186】
図30が示すように、ホーゼル孔3204の上端エッジE1は、樹脂部3203で構成されている。すなわち、上端エッジE1は、樹脂で形成されている。また、ホーゼル孔3204の下端エッジE2は、樹脂部3203で形成されている。すなわち、下端エッジE2は、樹脂で形成されている。
【0187】
図29が示すように、ホーゼルスリット3206は、互いに対向するスリット面3206a、3206bを有する。スリット面3206a、3206bは、樹脂部3203で覆われている。スリット面3206a、3206bは、樹脂で形成されている。
【0188】
ホーゼルスリット3206の外側エッジE3は、樹脂で形成されている。ホーゼルスリット3206の内側エッジE4は、樹脂で形成されている。
【0189】
図31は、他の実施形態であるゴルフクラブ4100を示す。
図32は、ゴルフクラブ4100をソール側から見た斜視図である。
図33は、ゴルフクラブ4100の分解斜視図である。ゴルフクラブ4100は、ヘッド4200、シャフト4300、スリーブ4400、スペーサー4500及びグリップ(図示されず)を有する。
【0190】
ゴルフクラブ4100において、使用されているスペーサー4500の数は、1個である。ただし、交換用スペーサー4530,4560が用意されている。
【0191】
図31が示すように、ゴルフクラブ4100に係るゴルフクラブキット4100kは、スペーサー4500に加えて、交換用のスペーサー4530、4560を有する。少なくとも1つの交換用のスペーサーとゴルフクラブ4100とで、ゴルフクラブキット4100kが構成されている。ゴルフクラブキット4100kは、複数(3つ)のスペーサー4500,4530,4560を有する。2つの交換用スペーサーを含む3つのスペーサーが、それぞれ、第1のスペーサー4500、第2のスペーサー4530及び第3のスペーサー4560とも称される。交換用スペーサーの数は、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。交換用スペーサーの数は、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下がより好ましい。
【0192】
ゴルフクラブ4100では、クラブ長さの調整が可能である。ゴルフクラブ4100では、クラブ長さが3段階に調整されうる。
【0193】
ヘッド4200は、クラウン4208、ソール4210及びフェース4212を有している。更に、ヘッド4200は、ホーゼル部4202を有している。
図33が示すように、ホーゼル部4202は、ホーゼル孔4204を有する。このホーゼル孔4204は、逆テーパー孔4205を有している。この逆テーパー孔4205の形状は、先端係合部RTの外面の形状に対応している。換言すれば、この逆テーパー孔4205の形状は、スペーサー4500の外面の形状に対応している。
【0194】
図32及び
図33が示すように、ホーゼル部4202は、ホーゼルスリット4206を有する。ホーゼルスリット4206は、ホーゼル部4202の側方に設けられている。ホーゼルスリット4206は、ホーゼル孔4204の内部とヘッドの外部とを連通する開口である。ホーゼルスリット4206は、シャフト300を通過させうる。
【0195】
図33が示すように、スリーブ4400は、内面4402と外面4404と上端面4406とを有する。内面4402は、シャフト孔を形成している。内面4402の断面形状は、円形である。内面4402の形状は、シャフト4300の外面に対応している。内面4402は、シャフト4300の先端部に固定されている。
【0196】
外面4404は、角錐面である。外面4404は、四角錐面である。外面4404の断面形状は、非円形である。外面4404の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面4404の断面形状は、四角形である。外面4404の断面形状は、正方形である。
【0197】
スペーサー4500(第1のスペーサー4500)は、内面4502と外面4504とを有する。内面4502は、スリーブ孔を形成している。内面4502の断面形状は、スリーブ4400の外面4404に対応している。内面4502に、スリーブ4400の外面4404がはめ込まれる。
【0198】
内面4502の形状は、スリーブ4400の外面4404に対応している。内面4502は、角錐面である。内面4502は、四角錐面である。内面4502の断面形状は、非円形である。内面4502の断面形状は、多角形(正多角形)である。内面4502の断面形状は、四角形である。内面4502の断面形状は、正方形である。
【0199】
外面4504の形状は、逆テーパー孔4206の形状に対応している。外面4504は、角錐面である。外面4504は、四角錐面である。スリーブ4400とスペーサー4500とで、先端係合部RTが構成されている。
【0200】
第2のスペーサー4530は、第1のスペーサー4500と交換されて用いられうる。長さL及び肉厚Tを除き、第2のスペーサー4530は、第1のスペーサー4500と同じである。第2のスペーサー4530は、内面4532と外面4534とを有する。内面4532は、スリーブ孔を形成している。内面4532の断面形状は、スリーブ4400の外面4404に対応している。内面4532に、スリーブ4400の外面4404がはめ込まれる。
【0201】
内面4532の形状は、スリーブ4400の外面4404に対応している。内面4532は、角錐面である。内面4532は、四角錐面である。内面4532の断面形状は、多角形(正多角形)である。
【0202】
外面4534の形状は、逆テーパー孔4206の形状に対応している。外面4534は、角錐面である。外面4534は、四角錐面である。外面4534の断面形状は、非円形である。外面4534の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面4534の断面形状は、正方形である。スリーブ4400とスペーサー4530とで、先端係合部RTが構成される。
【0203】
第3のスペーサー4560は、第1のスペーサー4500と交換されて用いられうる。長さL及び肉厚Tを除き、第3のスペーサー4560は、第1のスペーサー4500と同じである。長さL及び肉厚Tを除き、第3のスペーサー4560は、第2のスペーサー4530と同じである。第3のスペーサー4560は、内面4562と外面4564とを有する。内面4562は、スリーブ孔を形成している。内面4562の断面形状は、スリーブ4400の外面4404に対応している。内面4562に、スリーブ4400の外面4404がはめ込まれる。
【0204】
内面4562の形状は、スリーブ4400の外面4404に対応している。内面4562は、角錐面である。内面4562は、四角錐面である。内面4562の断面形状は、非円形である。内面4562の断面形状は、多角形(正多角形)である。内面4562の断面形状は、四角形である。内面4562の断面形状は、正方形である。
【0205】
外面4564の形状は、逆テーパー孔4206の形状に対応している。外面4564は、角錐面である。外面4564は、四角錐面である。外面4564の断面形状は、正方形である。スリーブ4400とスペーサー4560とで、先端係合部RTが構成される。
【0206】
ゴルフクラブ4100のシャフト4300をヘッド4200に装着する工程については、前述の通りである(
図4参照)。
【0207】
図34(a)から(c)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ4100の断面図である。以下では、複数のスペーサー4500、4530,4560のうちのスペーサー4500が用いられた場合が、ゴルフクラブ4100aとされる。ゴルフクラブ4100aは、クラブ長さが最小の状態である。ゴルフクラブ4100aでは、先端係合部RTは、スリーブ4400とスペーサー4500とにより構成されている。複数のスペーサー4500、4530,4560のうちのスペーサー4530が用いられた場合が、ゴルフクラブ4100bとされる。ゴルフクラブ4100bは、クラブ長さが中間の状態である。ゴルフクラブ4100bでは、先端係合部RTは、スリーブ4400とスペーサー4530とにより構成されている。複数のスペーサー4500、4530,4560のうちのスペーサー4560が用いられた場合が、ゴルフクラブ4100cとされる。ゴルフクラブ4100cは、クラブ長さが最大の状態である。ゴルフクラブ4100cでは、先端係合部RTは、スリーブ4400とスペーサー4560とにより構成されている。
【0208】
図34(a)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ4100aの断面図である。
図31及び
図32で示されているゴルフクラブ4100は、ゴルフクラブ4100aである。
図34(b)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ4100bの断面図である。
図34(c)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ4100cの断面図である。
【0209】
図34(a)から(c)が示すように、複数のスペーサー4500,4530,4560の間で、肉厚Tが変化している。第2のスペーサー4530の肉厚t2は、第1のスペーサー4500の肉厚t1よりも薄い。第3のスペーサー4560の肉厚t3は、第2のスペーサー4530の肉厚t2よりも薄い。
【0210】
図34(a)から(c)が示すように、複数のスペーサー4500,4530,4560の間で、長さLが変化している。第2のスペーサー4530の長さL2は、第1のスペーサー4500の長さL1よりも大きい。第3のスペーサー4560の長さL3は、第2のスペーサー4530の長さL2よりも大きい。スペーサーが薄いほど、スペーサーが長い。即ち、スペーサーの肉厚Tが小さいほど、スペーサーの長さLは大きい。
【0211】
スペーサーの肉厚Tの変化に起因して、スペーサー内面の断面積は変化している。同一の軸方向位置で比較すると、スペーサーの肉厚Tが薄いほど、スペーサー内面の断面積は大きい。具体的には、同一の軸方向位置で比較すると、第2のスペーサー4530の内面4532の断面積は、第1のスペーサー4500の内面4502の断面積よりも大きい。同一の軸方向位置で比較すると、第3のスペーサー4560の内面4562の断面積は、第2のスペーサー4530の内面4532の断面積よりも大きい。
【0212】
従って、係合状態において、各スペーサーに対するスリーブ4400の軸方向位置は変化する。第1のスペーサー4500に係合するスリーブ4400の軸方向位置がP1とされ、第2のスペーサー4530に係合するスリーブ4400の軸方向位置がP2とされ、第3のスペーサー4560に係合するスリーブ4400の軸方向位置がP3とされる。
図34(a)から(c)が示すように、軸方向位置P2は軸方向位置P1よりも上側である。軸方向位置P3は軸方向位置P2よりも上側である。
【0213】
このような軸方向位置の変化に起因して、クラブ長さが変化する。ゴルフクラブ4100bは、ゴルフクラブ4100aよりも長い。ゴルフクラブ4100cは、ゴルフクラブ4100bよりも長い。
【0214】
このように、ゴルフクラブ4100では、スペーサー4500,4530,4560の肉厚Tを変化させることで、クラブ長さが変化している。
【0215】
ゴルフクラブ4100では、スペーサー4500,4530,4560の長さLが、その肉厚Tと共に変化している。即ち、肉厚Tが小さいほど長さLが大きい。このため、スリーブ4400の軸方向位置が移動しているにも関わらず、スリーブ4400と各スペーサーとの係合面積が確保されている。また、各スペーサーと逆テーパー孔4206との係合面積も確保されている。したがって、ゴルフクラブ4100a、ゴルフクラブ4100b及びゴルフクラブ4100cのいずれにおいても、実打に耐えうる程度に、ヘッド4200に対するシャフト4300の固定が達成されている。
【0216】
図35は、ヘッド4200の斜視図である。ヘッド4200は、逆テーパー孔4206の下端に位置する下方開口4220と、この下方開口4220から軸垂直方向に延在する開口底面4222と、この開口底面からソール側に延在する延在面4224とを有する。
【0217】
スペーサー4500,4530,4560のそれぞれは、分割構造を有するのが好ましい。この分割構造により、スペーサーの交換が容易とされうる。分割構造のスペーサーとして、前述したスペーサー500(
図8)及びスペーサー700(
図10)が例示される。
【0218】
図36(a)から(c)は、他の実施形態に係るゴルフクラブ4110の断面図である。
図37は、このゴルフクラブ4110に用いられているスリーブ4410の斜視図である。
図38は、このゴルフクラブ4110に用いられている延長スリーブ4420の斜視図である。
図39(a)は延長スリーブ4420の平面図であり、
図39(b)は延長スリーブ4420の側面図であり、
図39(c)は延長スリーブ4420の底面図である。
【0219】
係合状態におけるゴルフクラブ4110は、1つのスペーサーと、1つのスリーブとを有している。このゴルフクラブ4110に係るゴルフクラブキットは、複数(3つ)のスペーサーを有する。3つのうちのいずれか1つのスペーサーが用いられる。他の2つのスペーサーは交換用である。
【0220】
以下では、複数のスペーサー4510、4540,4570のうちのスペーサー4510が用いられた場合が、ゴルフクラブ4110aとされる。ゴルフクラブ4110aは、クラブ長さが最小の状態である。複数のスペーサー4510、4540,4570のうちのスペーサー4540が用いられた場合が、ゴルフクラブ4110bとされる。ゴルフクラブ4110bは、クラブ長さが中間の状態である。複数のスペーサー4510、4540,4570のうちのスペーサー4570が用いられた場合が、ゴルフクラブ4110cとされる。ゴルフクラブ4110cは、クラブ長さが最大の状態である。
【0221】
図36(a)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ4110aの断面図である。
図36(b)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ4110bの断面図である。
図36(c)は、軸方向に沿ったゴルフクラブ4110cの断面図である。
【0222】
図36(a)から(c)が示すように、複数のスペーサー4510,4540,4570の間で、肉厚Tが変化している。第2のスペーサー4540の肉厚t2は、第1のスペーサー4510の肉厚t1よりも薄い。第3のスペーサー4570の肉厚t3は、第2のスペーサー4540の肉厚t2よりも薄い。
【0223】
図36(a)から(c)が示すように、複数のスペーサー4510,4540,4570の間で、長さLは変化していない。この点は、前述したゴルフクラブ4100と相違する。第2のスペーサー4540の長さL2は、第1のスペーサー4510の長さL1と同じである。第3のスペーサー4570の長さL3は、第2のスペーサー4540の長さL2と同じである。スペーサーの厚みに関わらず、スペーサーの長さは一定である。また、スペーサーの厚みに関わらず、スペーサーの外形は同一である。
【0224】
係合状態において、各スペーサーに対するスリーブ4410の軸方向位置は変化する。第1のスペーサー4510に係合するスリーブ4410の軸方向位置がP1とされ、第2のスペーサー4540に係合するスリーブ4410の軸方向位置がP2とされ、第3のスペーサー4570に係合するスリーブ4410の軸方向位置がP3とされる。
図36(a)から(c)が示すように、軸方向位置P2は軸方向位置P1よりも上側である。軸方向位置P3は軸方向位置P2よりも上側である。
【0225】
このような軸方向位置の変化に起因して、クラブ長さが変化する。ゴルフクラブ4110bは、ゴルフクラブ4110aよりも長い。ゴルフクラブ4110cは、ゴルフクラブ4110bよりも長い。
【0226】
このように、ゴルフクラブ4110では、スペーサー4510,4540,4570の肉厚Tを変化させることで、クラブ長さが変化している。
【0227】
ゴルフクラブ4110に係るゴルフクラブキットは、2つの延長スリーブ4420,4430を有する。すなわち、ゴルフクラブ4110に係るゴルフクラブキットは、3つのスリーブ4510,4540,4570に加えて、2つの延長スリーブ4420,4430を有する。必要に応じて、いずれか1つの延長スリーブが用いられる。
【0228】
図36(b)が示すように、第1の延長スリーブ4420は、クラブ長さが中間のゴルフクラブ4110bに用いられている。延長スリーブ4420は、第2のスペーサー4540と共に用いられる。延長スリーブ4420は、スリーブ4410とともに、スペーサー4540の内側に嵌め込まれている。この結果、ゴルフクラブ4110bでは、先端係合部は、スリーブ4410と延長スリーブ4420とスペーサー4540とによって構成される。クラブ長さが最小であるゴルフクラブ4110aでは、延長スリーブは用いられていない。
【0229】
図36(c)が示すように、第2の延長スリーブ4430は、クラブ長さが最大のゴルフクラブ4110cに用いられている。延長スリーブ4430は、延長スリーブ4420よりも長い。延長スリーブ4430は、第3のスペーサー4570と共に用いられる。延長スリーブ4430は、スリーブ4410とともに、スペーサー4570の内側に嵌め込まれている。この結果、ゴルフクラブ4110cでは、先端係合部は、スリーブ4410と延長スリーブ4430とスペーサー4570とによって構成される。
【0230】
結局、ゴルフクラブ4110では、3種のスペーサーと、2種の延長スリーブとが用いられている。ゴルフクラブ4110に係るゴルフクラブキットは、複数(3種)のスペーサーと、複数(2種)の延長スリーブとを有する。
【0231】
図37が示すように、スリーブ4410は、底部4412を有する。底部4412は、係合凹部4414と、ネジ穴4416とを有する。係合凹部4414は、底部4412の中央に設けられている。係合凹部4414の断面形状は、非円形(四角形、正方形)である。ネジ穴4416は、係合凹部4414の中央に設けられている。更に、スリーブ4410は、側面4418を有する。側面4418は、角錐面(四角錐面)である。
【0232】
図38及び
図39(a)から(c)が示すように、延長スリーブ4420は、係合凸部4422と側面4424とを有する。係合凸部4422は、延長スリーブ4420の上面に設けられている。係合凸部4422は上方に突出している。係合凸部4422の断面形状は、非円形(四角形、正方形)である。係合凸部4422の中央に、貫通孔4426が設けられている。
【0233】
図39(b)が示すように、延長スリーブ4420の内部は空洞である。この空洞は下方に開放されている。延長スリーブ4420の内面の上部には、ネジ収容孔4428が設けられている。ネジ収容孔4428は、貫通孔4426に連続して配置されている。貫通孔4426とネジ収容孔4428とは同軸で配置されている。
図39(c)が示すように、ネジ収容孔4428の内径は、貫通孔4426の内径よりも大きい。このネジ収容孔4428には、ネジ(図示されない)の頭部が収容される。
【0234】
図36(b)が示すように、延長スリーブ4420は、スリーブ4410の下側に連結される。この連結状態において、係合凸部4422が係合凹部4414に係合している。係合凸部4422は、係合凹部4414に嵌め込まれている。
【0235】
図示されないが、延長スリーブ4420は、結合機構によってスリーブ4410に固定されている。本実施形態では、この結合機構は、ネジ機構である。図示されないネジは、延長スリーブ4420の下方から挿入され、ネジ収容孔4428及び貫通孔4426を貫通して、ネジ穴4416にネジ止めされる。このネジ止めによって、延長スリーブ4420はスリーブ4410に固定され、連結状態が完成する。
【0236】
上述の通り、連結状態では、係合凸部4422が係合凹部4414に嵌められている。係合凸部4422の外形は、係合凹部4414に対応している。係合凸部4422が係合凹部4414に嵌められた連結状態では、延長スリーブ4420はスリーブ4410に対して位置決めされる。係合凸部4422と係合凹部4414との係合に起因して、この連結状態では、延長スリーブ4420はスリーブ4410に対して回転できない。
【0237】
上記連結状態では、スリーブ4410の側面4418と延長スリーブ4420の側面4424とが面一となる。すなわち、側面4418の各面のそれぞれが、側面4424の各面のそれぞれと面一となる。この結果、スリーブ4410と延長スリーブ4420とが連結した連結状態により、逆テーパー面(角錐面)の外面を有する連結スリーブが構成される。この連結スリーブが、スペーサー4540の内側に嵌め込まれている(
図36(b))。この場合、スペーサー4540の外面が、先端係合部RTの外面である。
【0238】
上述の通り、最も長い状態であるゴルフクラブ4110cでは、延長スリーブ4430が用いられる。長さの相違を除き、この延長スリーブ4430の形状は、延長スリーブ4420と同じである。スリーブ4410の位置P3が位置P2よりも上方となることに対応して、延長スリーブ4430は延長スリーブ4420よりも長くされている。延長スリーブ4430におけるスリーブ4410との結合機構は、延長スリーブ4420のそれと同一である(
図36(c)参照)。
【0239】
係合状態のゴルフクラブ4110aにおいて、スリーブ4410の下端面b1は外部に露出している(
図36(a)参照)。係合状態のゴルフクラブ4110bにおいて、延長スリーブ4420の下端面b2は外部に露出している(
図36(b)参照)。係合状態のゴルフクラブ4110cにおいて、延長スリーブ4430の下端面b3は外部に露出している(
図36(c)参照)。係合状態において、下端面b1の軸方向位置は、下端面b2と同じである。係合状態において、下端面b2の軸方向位置は、下端面b3と同じである。
【0240】
ゴルフクラブ4110bでは、ゴルフクラブ4110aに比較して、スリーブ4410が上方に移動している。この移動により、ゴルフクラブ4110bでは、スリーブ4410とスペーサー4540との接触面積が小さくなる。しかし、ゴルフクラブ4110bでは、スリーブ4410に延長スリーブ4420が連結された連結スリーブが構成されている。この連結スリーブ全体で考えると、スペーサー4540との接触面積が確保されている。結果として、ゴルフクラブ4110bにおいても、スリーブ4410は確実に保持される。
【0241】
ゴルフクラブ4110cでは、ゴルフクラブ4110bに比較して、スリーブ4410が上方に移動している。この移動により、ゴルフクラブ4110cでは、スリーブ4410とスペーサー4570との接触面積が更に小さくなる。しかし、ゴルフクラブ4110cでは、スリーブ4410に延長スリーブ4430が連結された連結スリーブが構成されている。この連結スリーブ全体で考えると、スペーサー4570との接触面積が確保されている。結果として、ゴルフクラブ4110cにおいても、スリーブ4410は確実に保持される。
【0242】
図36(a)から(c)が示すように、第1のスペーサー4510は、上端面4516と下端面4518とを有する。第2のスペーサー4540は、上端面4546と下端面4548とを有する。第3のスペーサー4570は、上端面4576と下端面4578とを有する。
【0243】
図36(a)から(c)が示すように、ゴルフクラブ4110a,4110b及び4110cでは、各スペーサーの下端面4518,4548,4578の軸方向位置が同一である。また、ゴルフクラブ4110a,4110b及び4110cでは、上述した下端面b1,b2,b3の軸方向位置が同一である。そして、各スペーサーの下端面4518,4548,4578の軸方向位置が、下端面b1,b2,b3の軸方向位置に一致している。ゴルフクラブ4110では、クラブ長さに関わらず、先端係合部RTの下端面RT1の軸方向位置が同一である。
【0244】
図34及び
図36がよく示すように、ホーゼル部4202は、ホーゼル本体4202hと、樹脂部4203とを有する。ホーゼル本体4202hは、金属製である。樹脂部4203は、樹脂製である。ホーゼル本体4202hは、本体孔4216hを有する。本体孔4216hは、逆テーパー孔である。本体孔4216hは、金属によって形成されている。この本体孔4216hの内側に、樹脂部4203が固定されている。樹脂部4203は、本体孔4216hの内側に接着剤で接着されている。
【0245】
樹脂部4203の外面の形状は、本体孔4216hの形状に対応している。樹脂部4203の内面は、ホーゼル孔4204を構成している。ホーゼル孔4204の全体が樹脂部4203で構成されている。ホーゼル孔4204の内面の全体が樹脂で形成されている。
【0246】
図34及び
図36が示すように、ホーゼル孔4204の上端エッジE1は、樹脂部4203で構成されている。上端エッジE1は、樹脂で形成されている。また、ホーゼル孔4204の下端エッジE2は、樹脂部4203で形成されている。下端エッジE2は、樹脂で形成されている。
【0247】
図40は、他の実施形態であるゴルフクラブ5100を示す。
図41は、ゴルフクラブ5100をソール側から見た斜視図である。
図42は、ゴルフクラブ5100の分解斜視図である。
【0248】
ゴルフクラブ5100は、ヘッド5200、シャフト5300、スリーブ5400、スペーサー5500及びグリップ(図示されず)を有する。スリーブ5400とスペーサー5500とで、先端係合部RTが構成されている。先端係合部RTは、シャフト5300の先端部に配置されている。先端係合部RTの外面は、スペーサー5500によって形成されている。
【0249】
ヘッド5200は、クラウン5208、ソール5210及びフェース5212を有している。更に、ヘッド5200は、ホーゼル部5202を有している。ホーゼル部5202は、ホーゼル孔5204を有する。このホーゼル孔5204は、逆テーパー孔5206を有している。この逆テーパー孔5206の形状は、先端係合部RTの外面の形状に対応している。この逆テーパー孔5206の形状は、スペーサー5500の外面の形状に対応している。
【0250】
ホーゼル部5202(逆テーパー孔5206)は、周方向の全体に亘って存在している。ホーゼル部5202(逆テーパー孔5206)は、周方向の全体に亘って隙間無く連続している。ホーゼル部5202は、周方向において分断されていない。ホーゼル部5202は、当該ホーゼル部を周方向の一部で欠落させることで形成されたホーゼルスリットを有していない。
【0251】
図42が示すように、スリーブ5400は、内面5402と外面5404とを有する。内面5402は、シャフト孔を形成している。内面5402の断面形状は、円形である。内面5402の形状は、シャフト5300の外面に対応している。内面5402は、シャフト5300の先端部に固定されている。すなわち、スリーブ5400は、シャフト5300の先端部に固定されている。
【0252】
外面5404は、角錐面である。外面5404は、四角錐面である。外面5404の断面形状は、非円形である。外面5404の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面5404の断面形状は、四角形である。外面5404の断面形状は、正方形である。
【0253】
スリーブ5400は、スリーブ側接続部5410を有している。スリーブ側接続部5410は、スリーブ5400の先端部(下端部)に設けられている。スリーブ側接続部5410は、全体として円筒形状である。後述の
図44が示すように、スリーブ側接続部5410は、係合凹部5412を有する。係合凹部5412は、スリーブ側接続部5410の外周面に設けられている。係合凹部5412は、周溝である。
【0254】
図42が示すように、スペーサー5500は、内面5502と外面5504とを有する。内面5502は、スリーブ孔を形成している。内面5502の断面形状は、スリーブ5400の外面5404に対応している。内面5502に、スリーブ5400の外面5404がはめ込まれる。
【0255】
内面5502の形状は、スリーブ5400の外面5404に対応している。内面5502は、角錐面である。内面5502は、四角錐面である。内面5502の断面形状は、非円形である。内面5502の断面形状は、多角形(正多角形)である。内面5502の断面形状は、四角形である。内面5502の断面形状は、正方形である。
【0256】
外面5504(先端係合部RTの外面)の形状は、逆テーパー孔5206の形状に対応している。外面5504は、角錐面である。外面5504は、四角錐面である。外面5504の断面形状は、非円形である。外面5504の断面形状は、多角形(正多角形)である。外面5504の断面形状は、四角形である。外面5504の断面形状は、正方形である。
【0257】
クラブ5100は、ネジ部材5600を有している。ネジ部材5600は、ネジ側接続部5602と、雄ネジ部5604とを有している。ネジ側接続部5602は、雄ネジ部5604のスリーブ側(上側)に位置する。雄ネジ部5604は、ネジ部材5600の後端部(下端部)を構成する。ネジ側接続部5602は、スリーブ側接続部5410に着脱可能に接続しうる。結果として、ネジ部材5600は、スリーブ5400に、着脱可能に連結しうる。スリーブ5400とネジ部材5600との連結は、容易である。ネジ部材5600をスリーブ5400に押しつけるだけで、この連結が達成されうる。換言すれば、ネジ部材5600は、ワンタッチで、スリーブ5400に連結しうる。スリーブ側接続部5410をネジ側接続部5602に挿入するだけで、自動的に、連結が完了する。加えて、この連結の解除も容易である。ネジ部材5600をスリーブ5400から取り外すのも容易である。スリーブ5400とネジ部材5600との連結機構の詳細は、後述される。
【0258】
図43は、シャフト5300がヘッド5200に装着される手順を示す。
【0259】
この装着では、先ず、スリーブ付きシャフト5350が用意される(
図43のステップ(a))。スリーブ付きシャフト5350は、シャフト5300とスリーブ5400とを有する。スリーブ付きシャフト5350では、スリーブ5400がシャフト5300の先端部に固定(接着)されている。
【0260】
次に、スリーブ付きシャフト5350のスリーブ5400に、ホーゼル孔5204を通過させる(
図43のステップ(b))。スリーブ5400は、ホーゼル孔5204を完全に通過する。スリーブ5400は、上側からホーゼル孔5204に侵入し、ホーゼル孔5204の下側に抜け出る。この通過により、スリーブ5400は、ソール5210の下側に移動する(
図43のステップ(b))。
【0261】
次に、スリーブ5400に、スペーサー5500が取り付けられる(
図43のステップ(b))。スリーブ5400がホーゼル孔5204を通過した状態で、スペーサー5500はスリーブ5400に取り付けられる。スペーサー5500は、スリーブ5400の外側から、スリーブ5400に取り付けられる。スペーサー5500は、スリーブ5400の外側から、スリーブ5400に被せられる。スリーブ5400にスペーサー5500が取り付けられることで、先端係合部RTが完成する。スペーサー5500は、分割構造を有している。この分割構造として、前述したスペーサー500(
図8)及びスペーサー700(
図10)の構造が例示される。
【0262】
次に、スリーブ付きシャフト5350をヘッド5200に対して上側に移動させ、この先端係合部RT(スペーサー5500)を逆テーパー孔5206にはめ込む(
図43のステップ(c))。この結果、ヘッド5200にシャフト5300が取り付けられる。このはめ込みにより、ヘッド5200に対するシャフト5300の装着が達成される。このはめ込みにより、係合状態が達成される。
【0263】
次に、ネジ部材5600がヘッド5200に取り付けられる(
図43のステップ(d))。ネジ部材5600は、下側からヘッド5200に取り付けられる。このネジ部材5600は、第1方向に回転され、ヘッド5200の雌ネジ部にねじ込まれる。この回転には、レンチ等の工具が用いられうる。この第1方向とは、ネジ部材5600を締結する方向である。このネジ結合の進行により、ネジ部材5600はホーゼル孔5204に近づく方向(上側)に移動する。この移動に伴い、ネジ部材5600は先端係合部RTを係合方向に(上側に)押す。この押圧により、上記係合状態が確実となる。この押圧により、ガタの解消が可能となる。
【0264】
なお、ネジ部材5600は、前記工具を係合させるための回動係合部5606を有する(
図41参照)。回動係合部5606は、非円形の孔である。
【0265】
上述の通り、ネジ部材5600は、先端係合部RTを押圧するが、この押圧と同時に、ネジ部材5600は、スリーブ5400に連結される。ネジ部材5600が先端係合部RT方向に移動すると、スリーブ側接続部5410が、ネジ部材5600のネジ側接続部5602に挿入される。この挿入により、スリーブ側接続部5410は、自動的に、ネジ側接続部5602に連結される。結果として、スリーブ5400がネジ部材5600に連結される。
【0266】
スリーブ5400とネジ部材5600との連結は、シャフト5300の取り外しを容易とする。シャフト5300をヘッド5200から取り外すには、上述とは逆の手順が実施される。この逆の手順では、先ず、ネジ部材5600を、第2方向に回転させる。この第2方向とは、前記第1方向とは逆の方向である。この第2方向とは、ネジ部材5600を緩める方向である。この回転により、ネジ部材5600は、下側に移動する。ネジ部材5600は、ホーゼル孔5204から離れる方向に移動する。このとき、スリーブ5400とネジ部材5600との連結は、維持されている。スリーブ5400とネジ部材5600との連結を維持しつつ、ネジ部材5600は第2方向に回転される。この移動により、ネジ部材5600は、先端係合部RTを係合解除方向に引く。ネジ部材5600により、先端係合部RTは、ホーゼル孔5204から引き抜かれる。
【0267】
図44は、軸方向に沿ったゴルフクラブ5100の断面図である。
図44は、先端係合部RTの近傍の拡大断面図である。
【0268】
図44が示すように、ヘッド5200は、雌ネジ部5220を有する。雌ネジ部5220は、逆テーパー孔5206と同軸である。ネジ部材5600の雄ネジ部5604は、この雌ネジ部5220にネジ結合する。このネジ結合の詳細は、後述される。
【0269】
前述の通り、ネジ部材5600によりスリーブ5400を係合方向に押すには、ネジ部材5600を第1方向DR1に回転させて、ネジ部材5600を雌ネジ部5220にねじ込む(
図44参照)。逆に、ネジ部材5600によりスリーブ5400を係合解除方向に引っ張るには、ネジ部材5600を第2方向DR2に回転させる。
【0270】
図44において両矢印D1で示されるのは、ホーゼル孔5204の最小幅である。本実施形態では、ホーゼル孔5204の断面形状は正方形であり、最小幅D1は、ホーゼル孔5204の上端面における当該正方形の一辺の長さである。
【0271】
図44において両矢印D2で示されるのは、スリーブ5400の最大幅である。本実施形態では、スリーブ5400の外面5404の断面形状は正方形であり、最大幅D2は、スリーブ5400の下端面における当該正方形の一辺の長さである。
【0272】
本実施形態では、最小幅D1が最大幅D2よりも大きい。換言すれば、ホーゼル孔5204の断面積の最小値は、スリーブ5400の断面積の最大値よりも大きい。スリーブ5400の下端は、ホーゼル孔5204の上端の開口を通過することができる。結果として、スリーブ5400は、ホーゼル孔5204を通過することができる。
【0273】
図44がよく示すように、ホーゼル部5202は、ホーゼル本体5202hと、樹脂部5203とを有する。ホーゼル本体5202hは、金属製である。樹脂部5203は、樹脂製である。ホーゼル本体5202hは、本体孔5216hを有する。本体孔5216hは、逆テーパー孔である。本体孔5216hは、金属によって形成されている。この本体孔5216hの内側に、樹脂部5203が固定されている。樹脂部5203は、本体孔5216hの内側に接着剤で接着されている。樹脂部5203により、ホーゼル孔5204の内面に樹脂層が形成されている。
【0274】
樹脂部5203の外面の形状は、本体孔5216hの形状に対応している。樹脂部5203の内面は、ホーゼル孔5204を構成している。ホーゼル孔5204の全体が樹脂部5203で構成されている。ホーゼル孔5204の内面の全体が樹脂で形成されている。樹脂部5203は、ホーゼル孔5204の上端から下端までを形成している。雌ネジ部5220は、樹脂部5203に形成されている。
【0275】
図44が示すように、ホーゼル孔5204の上端エッジE1は、樹脂部5203で構成されている。上端エッジE1は、樹脂で形成されている。また、ホーゼル孔5204の下端エッジE2は、樹脂部4203で形成されている。下端エッジE2は、樹脂で形成されている。
【0276】
本実施形態では、雄ネジ部5604を雌ネジ部5220に対して第1方向に回転させると、ネジ部材5600が先端係合部RTを係合方向に押すように構成されている。更に、スリーブ側接続部5410とネジ側接続部5602との連結を維持したまま、雄ネジ部5604を雌ネジ部5220に対して第2方向に回転させると、ネジ部材5600が先端係合部RTを係合解除方向に引くように構成されている。また、第1方向への回転により、ネジ部材5600が先端係合部RTを係合方向に押すとともに、スリーブ側接続部5410がネジ側接続部5602に挿入され、スリーブ側接続部5410がネジ側接続部5602に挿入されることで、前記連結が自動的に完了する。
【0277】
図45は、
図44の実施形態の変形例であるゴルフクラブ5102の断面図である。
【0278】
本実施形態では、樹脂部5203は、上側樹脂部5203aと、下側樹脂部5203bとを有している。上側樹脂部5203aは、ホーゼル孔5204における逆テーパー孔5206の全体を形成している。上側樹脂部5203aは、前記係合状態において先端係合部RTと接触する部分の全体を形成している。下側樹脂部5203bは、ホーゼル孔5204の下端に配置されている。下側樹脂部5203bは、ホーゼル孔5204の下端に形成された下端凹部R2に固定されている。下側樹脂部5203bは、雌ネジ部5220の一部を形成している。以上に説明した構成を除き、ゴルフクラブ5102は、前述のゴルフクラブ5100(
図44)と同じである。本実施形態のゴルフクラブ5102でも、上端エッジE1及び下端エッジE2が樹脂で形成されている。
【0279】
図46は、他の実施形態に係るゴルフクラブ5700の断面図である。このゴルフクラブ5700は、前述したスリーブ2000を用いたゴルフクラブ(
図15から
図20)の変形例である。本実施形態では、スリーブ2000にスリーブ側接続部が追加されたスリーブ6000が用いられている。更に、本実施形態では、ホーゼル部6012に下方延長部6014が追加されている。下方延長部6014はホーゼル孔2010の下方に位置する。この下方延長部6014に、雌ネジ部6220が形成されている。本実施形態は、この雌ネジ部6220にネジ結合したネジ部材5600がスリーブ接続部6002に接続しうるように構成されている。ネジ部材5600の機能は、
図44及び
図45の実施形態と同じである。これらの構成を除き、本実施形態は、
図15から
図20に示される実施形態と同じである。
【0280】
ホーゼル孔2010の上端エッジE1は、樹脂部2013で形成されている。ホーゼル孔2010の下端エッジE2は、樹脂部2013で形成されている。上端エッジE1及び下端エッジE2は、樹脂で形成されている。
【0281】
下方延長部6014の内径は、ネジ部材5600を収容できる寸法に設定されている。下方延長部6014は、その内側に、ネジ部材収容部6016を形成している。下方延長部6014の内径は、ホーゼル孔2010の下端寸法よりも大きい。下方延長部6014の内面6018は、下端エッジE2よりも径方向外側に位置する。ネジ部材収容部6016は、底面6020を有する。この底面6020は、ホーゼル孔2010と下方延長部6014との境界に位置する段差面である。下端エッジE2は、底面6020の内側エッジを構成している。底面6020の一部は、樹脂部2013の下端面である。
【0282】
本実施形態では、前述のスリーブ6000に取り付けられたシャフト6300が、下方延長部6014の下端エッジE5に当たらない。
図47が示すように、ホーゼル孔2010を貫通しているシャフト6300をホーゼル孔2010に対して最大限に傾斜させても、シャフト6300は下端エッジE5に接触することができない。よって、下端エッジE5が金属製であっても、シャフト6300は傷つきにくい。このように、下端エッジE5は、ホーゼル孔2010を貫通するシャフト6300が接触することができない位置にあるのが好ましい。
【0283】
図48は、スリーブ6000の斜視図である。前述の通り、このスリーブ6000は、スリーブ2000の下端面2008に、スリーブ側接続部6002が追加されたものである。
図46の実施形態で例示される通り、このスリーブ6000にも、前述のネジ部材5600が用いられうる。このネジ部材5600は、スリーブ側接続部6002に接続しうる。このように、スリーブの下端にスリーブ側接続部を設け、ヘッド本体側にはネジ部材用の雌ネジ部を設けることで、ネジ部材を用いた上記構成が他の実施形態にも適用されうる。
【0284】
図49は、ネジ部材5600の断面図である。
図50は、ネジ部材5600がスリーブ5400に連結した状態を示す断面図である。これらの断面図では、ネジ部材5600の中心線CLが一点鎖線で示されており、この中心線CLよりも下側の記載が省略されている。実際の断面図は、この中心線CLを対称軸として線対称である。
【0285】
前述の通り、ネジ部材5600は、ネジ側接続部5602と、雄ネジ部5604と、回動係合部5606とを有している。このネジ部材5600の詳細な構造を、以下に説明する。
【0286】
ネジ部材5600は、ネジ本体5610を有している。ネジ本体5610の外周面に、雄ネジ部5604が形成されている。ネジ本体5610の底面5612には、回動係合部5606が設けられている。回動係合部5606は、断面形状が非円形の凹部である。この回動係合部5606にレンチを差し込むことで、ネジ本体5610を中心線CL回りに回転することができる。なお、このレンチは、トルクリミッターを有しているのが好ましい。このトルクリミッターにより、ネジ部材5600が先端係合部RTを押す力を調整することができる。また、ゴルフルールの観点からは、このレンチは、ネジ部材5600に専用であるのが好ましい。
【0287】
ネジ側接続部5602は、第1部材5620と、第2部材5622と、第3部材5624とを有する。第1部材5620、第2部材5622及び第3部材5624は、いずれも、全体として円筒形状である。第1部材5620は、外部に露出している。第2部材5622は、第1部材5620の内側に位置する。第2部材5622は、ネジ本体5610に固定されている。第2部材5622は、ネジ本体5610と一体であってもよい。第2部材5622は、ネジ本体5610の回転に伴って回転する。第3部材5624は、第2部材5622の内側に位置する。第1部材5620は、第2部材5622に対してスライド移動しうる。第3部材5624は、第2部材5622に対してスライド移動しうる。
【0288】
ネジ側接続部5602は、第1弾性体5630と、第2弾性体5632とを有する。第1弾性体5630は、コイルスプリングである。第1弾性体5630は、圧縮バネである。第2弾性体5632は、コイルスプリングである。第2弾性体5632は、圧縮バネである。
【0289】
ネジ側接続部5602は、ボール5634を有する。ボール5634は、鋼球である。本願において、ボール5634は、係合ボールとも称される。
【0290】
第2部材5622は、ボール収容孔5636を有する。ボール収容孔5636は、貫通孔である。ボール収容孔5636に、係合ボール5634が配置されている。ボール収容孔5636の直径は、ボール5634の直径に略等しい。係合ボール5634は、ボール収容孔5636を通過しうる。
【0291】
ボール5634の直径は、ボール収容孔5636の深さよりも大きい。このため、ボール収容孔5636に収容されたボール5634は、第2部材5622の内側又は外側に突出した状態となる。
図49では、ボール5634は、第2部材5622の外側に突出している。
【0292】
図示されないが、ボール収容孔5636は、周方向における複数の位置に設けられている。これらのボール収容孔5636は、周方向において均等に配置されている。本実施形態では、4つのボール収容孔5636が90°おきに配置されている。これらのボール収容孔5636のそれぞれに、ボール5634が1つずつ配置されている。なお、ここで周方向とは、ネジ部材5600の周方向を意味する。
【0293】
第2部材5622は、ストッパー5638を有する。ストッパー5638は、第2部材5622の外周面に設けられた周溝に配置された円環部材である。この円環部材として、サークリップが用いられている。
【0294】
第1弾性体5630は、第1部材5620(の段差面)と第2部材5622(の段差面)との間に配置されている。第1弾性体5630は、第2部材5622に対して、第1部材5620を、スリーブ側(
図49における右側)に付勢している。
【0295】
第2弾性体5632は、ネジ本体5610(の段差面)と第3部材5624(の底面)との間に配置されている。第2弾性体5632は、ネジ本体5610に対して、第3部材5624を、スリーブ側(
図49における右側)に付勢している。
【0296】
なお、後述の通り、ネジ部材5600の少なくとも一部が、樹脂で形成されうる。例えば、弾性体5630,5632及びボール5634を除く部分(の少なくとも一部)が、樹脂で形成されうる。
【0297】
以下において、
図49に示されるネジ部材5600の状態が非連結状態とも称され、
図50に示されるネジ部材5600の状態が連結状態とも称される。また、スリーブ側が上側とも称され、ソール側が下側とも称される。
図49及び
図50における右側が上側であり、
図49及び
図50における左側が下側である。
【0298】
非連結状態(
図49)において、第3部材5624は、第2弾性体5632によって上側に押されて、比較的前側の位置P1にある。位置P1において、第3部材5624は、第2部材5622の段差面に当接している。
【0299】
位置P1にある第3部材5624は、ボール収容孔5636の内側に位置する部分を有する。位置P1にある第3部材5624は、ボール5634が内側に突出するのを阻止する。このため、非連結状態では、ボール5634は、第2部材5622の外側に突出している。
【0300】
非連結状態(
図49)において、第1部材5620は、第1弾性体5630により上側に押されているが、外側に突出したボール5634によって上側への移動が規制されている。この結果、非連結状態では、第1部材5620は、比較的下側の位置Pxにある。
【0301】
第1部材5620は、傾斜面5640を有する。傾斜面5640は、円錐凹面である。傾斜面5640は、上側ほど径方向外側にいくように傾斜している。この径方向とは、ネジ部材5600の径方向を意味する。非連結状態において、傾斜面5640はボール5634に当接している。
【0302】
ネジ部材5600(ネジ本体5610)を第1方向に回転させ、ネジ本体5610の雄ネジ部5604がヘッドの雌ネジ部にねじ込まれると、ネジ本体5610は上側に移動し、このネジ本体5610に押されて第2部材5622も上側に位置する。結果として、ネジ部材5600の全体が上側に移動する。
【0303】
ネジ部材5600の第1方向への回転を続行し、ネジ部材5600の上側への移動が進行すると、スリーブ5400のスリーブ側接続部5410がネジ部材5600の内側に挿入される。より詳細には、スリーブ側接続部5410は、第2部材5622の内側に挿入される。この挿入において、スリーブ側接続部5410(の下端面)は、第2弾性体5632の付勢力に抗して、第3部材5624を下側に押す。スリーブ側接続部5410の挿入により、第3部材5624は、比較的下側の位置P2に移動する。
【0304】
この移動により、第3部材5624とボール5634との当接が解除される。第3部材5624に代わって、スリーブ側接続部5410の係合凹部5412が、ボール5634と同じ軸方向位置に達する。
【0305】
上述の通り、ボール5634は第1弾性体5630の付勢力によって傾斜面5640から押圧力を受けているが、この押圧力は径方向内側への分力を含む。従って、ボール5634は、ボール5634の径方向内側に移動してきた係合凹部5412に落ち込む(
図50)。ボール5634は、その一部が係合凹部5412内にあり、他の部分はボール収容孔5636内にある。このため、ボール5634は、スリーブ側接続部5410をネジ側接続部5602に係止する。
【0306】
ボール5634が係合凹部5412に落ち込むと、ボール5634と第1部材5620との当接が解除される。この結果、第1部材5620は、第1弾性体5630の付勢力によって、比較的上側の第2位置Pyに移動する。第2位置Pyにおいて、第1部材5620は、ストッパー5638に当接している。この第1部材5620の移動により、連結状態が達成される。
【0307】
図50が示すように、第2位置Pyにある第1部材5620は、ボール5634が外側に突出するのを阻止する。このため、ボール5634が係合凹部5412に落ち込んだ状態が維持される。すなわち、連結状態が維持される。第1部材5620の第2位置Pyが維持される限り、スリーブ側接続部5410をネジ部材5600から引き抜くことはできない。
【0308】
このように、ネジ部材5600を雌ネジ部5220(
図44参照)に対して第1方向に回転させるだけで、スリーブ5400とネジ部材5600とが自動的に連結して、連結状態が達成される(
図50)。連結状態では、第3部材5624が前記位置P2にあり、第1部材5620が前記位置Pyにあり、ボール5634が係合凹部5412に係合している。
【0309】
連結状態では、ネジ部材5600が、スリーブ5400を上側に押している。具体的には、第2部材5622の上端面5642がスリーブ5400を押している。結果として、ネジ部材5600は、スリーブ5400を係合方向に押す。このため、スリーブ5400を含む先端係合部RTがホーゼル孔5204に確実にはめ込まれ、寸法誤差に伴うガタが解消しうる。
【0310】
ガタの解消は、先端係合部RT又はホーゼル孔5204の弾性変形を伴う。弾性変形を伴うはめ込みが一旦達成されてしまうと、このはめ込みの解除が困難となる。すなわち、先端係合部RTは、ホーゼル孔5204にはまり込み、ホーゼル孔5204から抜けにくい。ネジ部材5600とスリーブ5400との連結は、この問題を解決しうる。上記連結状態を維持したまま、ネジ部材5600を第2方向に回転させると、ネジ部材5600は下側に移動し、スリーブ5400はネジ部材5600により係合解除方向に引っ張られる。この結果、スリーブ5400を含む先端係合部RTがホーゼル孔5204から引き抜かれる。
【0311】
上述の通り、第2位置Pyにある第1部材5620を移動させない限り、連結は維持される。したがって、ネジ部材5600を第2方向に回転させるだけであれば、連結は維持される。ネジ部材5600を第2方向に回転させるだけで、先端係合部RTの引き抜きが達成される。
【0312】
連結を解除するには、第1部材5620を下側に移動させればよい。第1部材5620を位置Pxに移動させて、ボール5634が外側に突出できる状態にすれば、連結状態を解除することができる。第1部材5620の移動は、外力によって達成される。例えば、指で第1部材5620を下側に移動させるだけで、連結状態は解除されうる。第1弾性体
5630の付勢力を超える外力を与えることで、第1部材5620を移動させることができる。
【0313】
このように、連結の解除は容易である。スリーブ5400を含む先端係合部RTがホーゼル孔5204から抜けたことを確認した時点で、連結を解除すればよい。
【0314】
以上に説明した通り、この実施形態では、第1方向DR1への回転により、ネジ部材5600が先端係合部RTを係合方向に押すとともに、スリーブ側接続部5410がネジ側接続部5602に挿入される。スリーブ側接続部がネジ側接続部に挿入されることで、スリーブ側接続部5410とネジ側接続部5602との連結が自動的に完了する。したがって、ネジ部材5600をねじ込むだけで、先端係合部RTとヘッドとの間のガタが解消すると同時に、先端係合部RTを引き抜くのに有効な上記連結が完了する。
【0315】
この実施形態では、ネジ部材5600が、雄ネジ部5604を有するネジ本体5610と、ネジ側接続部5602の外周面を構成する第1部材5620と、第1部材5620の内側に位置する第2部材5622と、第2部材5622の内側に位置する第3部材5624とを有する。更に、ネジ部材5600が、第1部材5620と第2部材5622との間に配置され、第2部材5622に対して第1部材5620をスリーブ側(上側)に付勢する第1弾性体5630と、第3部材5624をスリーブ側(上側)に付勢する第2弾性体5632と、ボール収容孔5636に配置された係合ボール5634と、を有している。スリーブ側接続部5410が、係合凹部5412を有している。非連結状態では、第3部材5624がボール5634の内側に位置することでボール5634が第2部材5622の外側に突出し、この突出したボール5634により、第1部材5620はスリーブ側への移動が規制された第1位置Pxにある。前記連結が達成された連結状態では、第3部材5624がスリーブ側接続部5410によって係合ボール5634の内側から外れる位置に移動されるとともに、係合ボール5634が係合凹部5412に落ち込み、且つ、係合ボール5634による第1部材5620への移動規制が解除されて、第1部材5620が係合ボール5634の外側への突出を阻止する第2位置Pyに移動する。したがって、上記自動的な連結が確実に達成され、連結の解除も容易である。
【0316】
ネジ側接続部とスリーブ側接続部との連結構造として、流体継手あるいはワンタッチ継手で用いられている機構が採用されうる。この機構は、例えば、実開昭60-108888に開示されている。このような機構は、一方を他方に差し込むだけで連結が実現し、連結の解除も容易であるので、本開示のゴルフクラブに適用されうる。
【0317】
図51及び
図52は、他の実施形態に係るネジ部材5650と、このネジ部材5650に対応したスリーブ5450とを示す断面図である。
図51は非連結状態を示しており、
図52は連結状態を示している。
【0318】
図51及び
図52では、ネジ部材5650の中心線CLが一点鎖線で示されており、この中心線CLよりも下側の記載が省略されている。実際の断面図は、この中心線CLを対称軸として線対称である。
【0319】
ネジ部材5650は、全体として円筒形状である。ネジ部材5650は、ネジ側接続部5652と、雄ネジ部5654とを有する。更に、ネジ部材5650は、回動係合部5656を有する。回動係合部5656は、中心線CLと同軸の孔である。この孔の断面形状は、非円形である。回動係合部5656は、ネジ部材5650を貫通している。
【0320】
ネジ部材5650は、ネジ本体部5660と、弾性変形部5662とを有する。弾性変形部5662は、係合凸部5664を有する。ネジ本体部5660は、円筒形状である。ネジ本体部5660の外周面に、雄ネジ部5654が形成されている。弾性変形部5662は、ネジ本体部5660の上側に位置する。
【0321】
弾性変形部5662は、全体として、曲がった棒のような形状を呈している。弾性変形部5662は、ネジ本体部5660の上端面5666から上側に向かって延在している。弾性変形部5662の上端(
図51では右端)は自由端であり、この自由端に係合凸部5664が形成されている。
【0322】
図示されないが、弾性変形部5662は、ネジ本体部5660の周方向における複数箇所に設けられている。本実施形態では、弾性変形部5662は、ネジ本体部5660の周方向における4箇所に設けられている。すべての弾性変形部5662が、その自由端に近づくほどネジ部材5650の中心線に近づくように曲がっている。
【0323】
上述の通り、回動係合部5656は、ネジ部材5650を貫通している。より詳細には、回動係合部5656は、ネジ本体部5660を貫通している。つまり、ネジ本体部5660を貫通する貫通孔が、回動係合部5656の一部を構成している。更に、弾性変形部5662の内面5668も、回動係合部5656の一部を構成している。内面5668は、ネジ本体部5660を貫通する貫通孔に繋がっている。
【0324】
スリーブ5450は、シャフト孔5452を有している。このシャフト孔5452に、シャフトが挿入され且つ接着されている。
図51及び
図52では、シャフトの記載は省略されている。
【0325】
スリーブ5450は、スリーブ側接続部5460を有している。スリーブ側接続部5460は、円筒形状である。スリーブ側接続部5460は、空洞部5461と、内面5462を有している。空洞部5461は、ネジ部材5650の側に開放されている。内面5462の内側が空洞部5461である。内面5462は、空洞部5461を画定している。内面5462は、円周面である。内面5462は、係合凹部5464を有している。係合凹部5464は、周溝である。
【0326】
図51及び
図52には、ネジ部材5650を回転させるのに用いられるレンチ5680が示されている。レンチ5680の断面形状は、回動係合部5656の断面形状に対応している。レンチ5680の断面形状は、四角形(正方形)である。
図51及び
図52に示される通り、レンチ5680を回動係合部5656に差し込んで回転することで、雄ネジ部5654と雌ネジ部5220とのネジ結合が可能となる。
【0327】
図51が示す通り、外力が付与されていない状態では、弾性変形部5662は曲がっている。外力が付与されていない状態が、自然状態とも称される。
図51では、レンチ5680が浅く差し込まれている。レンチ5680は、ネジ本体部5660に留まっており、弾性変形部5662の内側に達していない。このため、レンチ5680は、弾性変形部5662に当接しておらず、弾性変形部5662を弾性変形させない。弾性変形部5662を弾性変形させないような差し込み位置が、第1差し込み位置Psとも称される。
【0328】
一方、
図52が示す通り、レンチ5680を深く差し込むと、弾性変形部5662がレンチ5680に当接する。この結果、弾性変形部5662は、レンチ5680に沿うように弾性変形する。この弾性変形により、弾性変形部5662は真っ直ぐとなる。この弾性変形により、弾性変形部5662の係合凸部5664は、スリーブ側接続部5460の係合凹部5464に係合する位置に達する。係合凸部5664が係合凹部5464に係合させるような差し込み位置が、第2差し込み位置Pdとも称される。
【0329】
なお、
図52では、弾性変形部5662とレンチ5680との間に隙間があるが、実際にはこの隙間は無い。弾性変形部5662はレンチ5680と当接して外側に変形され、真っ直ぐとされている。
【0330】
このようなネジ部材5650も、前述したネジ部材5600と同じ機能を発揮しうる。スリーブ5450を係合方向に押すためには、ネジ部材5650がヘッドの雌ネジ部にねじ込まれる。このとき、レンチ5680の挿入は浅くされる。すなわち、レンチ5680は第1差し込み位置Psとされる。この浅い差し込み(第1差し込み位置Ps)を維持したまま、ネジ部材5650を第1方向DR1に回転させる。そうすると、弾性変形部5662の自然状態が維持されたまま、ネジ部材5650のネジ結合が進行する。自然状態の弾性変形部5662では、係合凸部5664が内面5462よりも内側に位置している。よって弾性変形部5662は、スムースに、スリーブ側接続部5460の内側に挿入される。最終的に、ネジ部材5650の当接面5666にスリーブ側接続部5460の下端面5470が当接し、スリーブ5450が係合方向に押される。
【0331】
ネジ部材5650を外す際には、レンチ5680が深く差し込まれる。すなわち、レンチ5680が第2差し込み位置Pdとされる(
図52)。この差し込みにより、弾性変形部5662が弾性変形して、係合凸部5664が係合凹部5464に係合する(引っかかる)。つまり、ネジ部材5650がスリーブ5450に連結される。この深い差し込み(第2差し込み位置Pd)を維持したままネジ部材5650を第2方向DR2に回転させる。そうすると、ネジ部材5650とスリーブ5450との連結が位置されたまま、ネジ部材5650が下方に移動する。この結果、スリーブ5450を含む先端係合部RTがホーゼル孔5204から抜き出される。レンチ5680の差し込みを浅くすることで、ネジ部材5650とスリーブ5450との連結は容易に解除される。
【0332】
このように、連結の解除は容易である。スリーブ5450を含む先端係合部RTがホーゼル孔5204から抜けたことを確認した時点で、連結を解除すればよい。
【0333】
以上に説明した通り、ネジ部材5650は、雄ネジ部5654を有するネジ本体部5660と、ネジ本体部5660からスリーブ側(上側)に延びネジ側接続部5652を構成する弾性変形部5662と、ネジ部材5650を回転させるためのレンチ5680が挿入されうる回動係合部5656と、を有している。回動係合部5656は、ネジ本体部5660を貫通する貫通孔5658と、この貫通孔5658に繋がって延びる弾性変形部5662の内面5668と、を有している。弾性変形部5662が、そのスリーブ側の端部に係合凸部5664を有しており、且つ、このスリーブ側の端部が自由端とされている。スリーブ側接続部5460が、ネジ部材5650の側に開放された空洞部5461と、この空洞部5461を画定する内面5462と、この内面5462に設けられた係合凹部5464とを有している。自然状態において、係合凸部5664を含む弾性変形部5662は、ネジ部材5650の第1方向DR1の回転に伴い空洞部5461に挿入されうるような形状を呈している。レンチ5680を弾性変形部5662の内面5668に当接する位置まで挿入すると、弾性変形部5662の係合凸部5664が係合凹部5464に係合しうる位置となるように弾性変形部5662が弾性変形する。
【0334】
この構成によれば、ネジ部材5650を第1方向DR1に回転するときにはレンチ5680を浅く挿入することができ、これにより先端係合部RTの押し込みが可能となる。また、ネジ部材5650を第2方向DR2に回転するときには、レンチ5680を深く挿入することができ、これにより先端係合部RTの引き抜きが可能となる。
【0335】
上述のネジ部材のそれぞれは、先端係合部RTを係合方向に押す役割(役割A)と、先端係合部RTを係合解除方向に引く役割(役割B)とを果たす。これらのネジ部材は、役割Bのみを果たすものとして利用することもできる。例えば、役割Aは、スリーブとの連結機能の無い別のネジ部材に代替させることができる。先端係合部RTを逆テーパー孔から外すときだけ、上述した連結機能を有するネジ部材を用いることができる。この場合、使用中のクラブに装着されているネジ部材を、前記連結機能の無いネジ部材とすることができ、クラブ重量が軽量化されうる。
【0336】
以上に説明された各実施形態では、上端エッジE1及び下端エッジE2が樹脂で形成されている。よって、シャフトの傷つきを抑制することができる。シャフトの着脱の際に傷つきうる部位は、シャフトの先端部である。ショットの際、シャフトの先端部には、大きな衝撃力が作用する。よって、シャフト先端部における小さな傷が原因で、シャフト強度が低下しうる。更に、この傷は、シャフト塗装を剥がし、外観性を低下させる。上端エッジE1及び下端エッジE2を樹脂で形成することで、シャフトの傷つきが抑制され、シャフト強度の低下が防止されうる。また、塗装の剥がれが抑制され、外観性が向上する。これらの効果は、ホーゼル孔(逆テーパー孔)の内面を樹脂で形成することで、一層高まる。
【0337】
前記樹脂部は、射出成形、プレス成形などで成形することができる。よって、容易に高精度な成形が可能である。この樹脂部でホーゼル孔(逆テーパー孔)を形成することで、ヘッド成形の際にホーゼル部を高精度に成形する必要がなくなり、製造コストが抑制される。
【0338】
ガタが無い状態での逆テーパー嵌合を実現するためには、高い寸法精度が必要である。ホーゼル孔の内面が金属である場合、この内面を高精度で成形するのに、例えばNC加工が必要となる。この加工コストは高い。樹脂部でホーゼル孔を形成することで、高い寸法精度が低コストで実現されうる。
【0339】
樹脂は、金属に比べて、比重が小さい。ホーゼルの一部を樹脂とすることで、シャフト着脱機構の軽量化が実現する。この軽量化により削減される重量をヘッドの他の部位に配分することで、ヘッドの設計自由度が高まる。
【0340】
前述した米国特許公開公報US2013/0017901及び米国特許公報US7980959のような従来型の着脱機構では、ネジ部やスリーブに対する負荷(応力)が大きい。このため、機構の構成部分を樹脂製とすることは、強度及び耐久性の観点から困難である。これに対して、本開示の係合構造では、逆テーパー嵌合を用いているため、各部分に対する負荷が小さい。よって、上記実施形態のように、樹脂部を設けることが可能となる。
【0341】
上端エッジE1及び下端エッジE2(前記樹脂部)を構成する樹脂は、限定されない。傷つき防止性と寸法精度との観点から、適度な硬度を有するとともに、成形性及び耐久性に優れた樹脂が好ましい。上述の通り、逆テーパー係合では着脱機構に掛かる負荷が少ないため、剛性及び強度がそれほど高くない樹脂でも使用可能である。例えば、ASTMのD-638に基づく引張強度が1100(kgf/cm2)以下の樹脂が使用できる。また、ASTMのD-790に基づく曲げ強度が1600(kgf/cm2)以下の樹脂が使用できる。汎用樹脂であっても選択肢となりうる。選択肢が広いため、成形精度が高く且つ低コストな樹脂が選択されうる。具体的な樹脂として、6ナイロン、66ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレンが挙げられる。特に、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスチレンが好ましい。
【0342】
スリーブの材質は限定されない。好ましい材質として、チタン合金、ステンレス鋼、アルミニウム合金、マグネシウム合金及び樹脂が例示される。強度及び軽量性の観点から、金属としては、アルミニウム合金、チタン合金等が好ましい。
【0343】
シャフト着脱機構の軽量化の観点からは、スリーブが樹脂製とされるのが好ましい。この軽量化により削減される重量をヘッドの他の部位に配分することで、ヘッドの設計自由度が高まる。
【0344】
前述の通り、逆テーパー嵌合を用いた構造では、スリーブに対する負荷が小さい。よって、従来型の着脱機構とは異なり、スリーブを樹脂とすることができる。剛性及び強度がそれほど高くない樹脂でも、使用可能である。この樹脂として、6ナイロン、66ナイロン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレンが挙げられる。特に、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスチレンが好ましい。
【0345】
スペーサーの材質は限定されない。スペーサーの好ましい材質は、スリーブと同じである。シャフト着脱機構の軽量化の観点からは、スペーサーが樹脂製とされるのが好ましい。前記ネジ部材にも、負荷が小さい部分がある。ネジ部材の少なくとも一部が、樹脂で形成されうる。この場合、ネジ部材が軽量化されうる。これらの軽量化により削減される重量をヘッドの他の部位に配分することで、ヘッドの設計自由度が高まる。
【0346】
上述の通り、前記実施形態は、シャフト中心線の位置及び/又は角度を調節しうる調節機構を有しうる。また、前記実施形態は、脱落防止機構を有しうる。これらの機構は、R&A(Royal and Ancient Golf Club of Saint Andrews;全英ゴルフ協会)が定めるゴルフ規則を満たしているのが好ましい。即ち、これらの機構は、R&Aが定める、「付属規則II クラブのデザイン」の「1 クラブ」における「1b 調節性」で規定される要件を満たしているのが好ましい。この「1b 調節性」が規定する要件は、下記の(i)、(ii)及び(iii)である。
(i)容易に調節できるものでないこと。
(ii)調節可能部分はすべてしっかりと固定され、ラウンド中に緩むことの合理的な可能性がないこと。
(iii)調節後のすべての形状が規則に適合すること。
【0347】
上述した実施形態に関して、以下の付記を開示する。
[付記1]
ホーゼル部を有するヘッドと、シャフトと、このシャフトの先端部に配置された逆テーパー形状の先端係合部とを備えており、
前記先端係合部が、前記シャフトの先端部に固定された逆テーパー形状のスリーブを含んでおり、
前記ホーゼル部が、ホーゼル孔を有しており、
前記ホーゼル孔が、前記先端係合部の外面の少なくとも一部に対応した逆テーパー孔を有しており、
前記先端係合部が前記逆テーパー孔にはめ込まれており、
前記ホーゼル孔の上端エッジ及び下端エッジが樹脂で形成されているゴルフクラブ。
[付記2]
前記逆テーパー孔の内面が樹脂で形成されている付記1に記載のゴルフクラブ。
[付記3]
前記スリーブが樹脂製である付記1又は2に記載のゴルフクラブ。
[付記4]
前記ホーゼル部が、前記ホーゼル孔の側方に設けられ且つ前記シャフトを通過させうるホーゼルスリットを有している付記1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
[付記5]
前記先端係合部が、逆テーパー係合面と、前記逆テーパー係合面とは異なる周方向位置に設けられた非係合面とを有しており、
前記ホーゼル孔が、前記逆テーパー係合面に対応した逆テーパー孔面と、前記逆テーパー孔面とは異なる周方向位置に設けられた干渉回避面とを有しており、
前記逆テーパー係合面が前記干渉回避面に対向する第1位相状態では、前記ホーゼル孔が前記先端係合部を通過させうるように構成されており、前記逆テーパー係合面が前記逆テーパー孔面に対向する第2位相状態では、前記逆テーパー係合面が前記逆テーパー孔面にはめ込まれるように構成されている付記1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
[付記6]
前記先端係合部が、前記スリーブと、外側から前記スリーブに嵌められた逆テーパー形状のスペーサーとを含んでおり、
前記スペーサーが、分割構造を有しており、
前記ホーゼル孔は、前記スリーブを通過させうるように構成されており、
前記先端係合部が前記逆テーパー孔にはめ込まれ、前記スリーブが前記スペーサーの内側にはめ込まれている付記1から3のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
[付記7]
前記スペーサーが樹脂製である付記6に記載のゴルフクラブ。
[付記8]
前記先端係合部の外面及び前記逆テーパー孔の内面のうちの一方が、当接係合面を有しており、
前記先端係合部の外面及び前記逆テーパー孔の内面のうちの他方が、第1当接面と第2当接面とを有しており、
前記先端係合部が第1回転位置にあるときには前記当接係合面が前記第1当接面に当接した第1状態となるように構成され、且つ、前記先端係合部が第2回転位置にあるときには前記当接係合面が前記第2当接面に当接した第2状態となるように構成され、
前記第1状態と前記第2状態との間で、前記ホーゼル孔に対する前記先端係合部の軸方向位置が相違しており、この相違に起因してクラブ長さが調整される付記1から7のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
[付記9]
前記先端係合部が、前記スリーブと、外側から前記スリーブに嵌められた逆テーパー形状のスペーサーとを含んでおり、
前記スペーサーの肉厚を変化させることで、クラブ長さが変化する付記1から8のいずれか1項に記載のゴルフクラブ。
【符号の説明】
【0348】
100・・・ゴルフクラブ
200・・・ヘッド
203・・・樹脂部
204・・・ホーゼル孔
206・・・逆テーパー孔
300・・・シャフト
400・・・スリーブ
500・・・スペーサー
RT・・・先端係合部
E1・・・ホーゼル孔の上端エッジ
E2・・・ホーゼル孔の下端エッジ