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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】ドレン回収システム
(51)【国際特許分類】
   F22D 11/00 20060101AFI20220222BHJP
   F22D 5/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
F22D11/00 L
F22D5/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018005481
(22)【出願日】2018-01-17
(65)【公開番号】P2019124407
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】畑中 宏之
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-002384(JP,A)
【文献】特開2013-205006(JP,A)
【文献】特開平09-026106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22D 5/00 - 11/06
F22B 35/00 - 35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気を生成して、蒸気ヘッダを介して負荷機器に供給する複数台のボイラを含むボイラ装置と、
前記負荷機器が蒸気を使用することによって凝縮して生じたドレンを大気に開放することなく回収する密閉型のドレンタンクと、
前記負荷機器と前記ドレンタンクとを接続するドレン回収ラインと、
前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記ボイラ装置に供給するドレン供給ラインと、
前記蒸気ヘッダから前記ドレンタンクへ加圧蒸気を供給する加圧蒸気ラインと、
前記ドレンタンクの内部の水位を検出する水位検出部と、
制御部と、
を備えるドレン回収システムであって、
前記制御部は、
予め設定された所定条件を満たす場合に前記加圧蒸気を前記ドレンタンクに供給させる加圧蒸気供給制御部と、
前記所定条件を満たし、前記水位検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の水位が予め設定される第1水位になるか又は第1水位を下回った場合に、1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を停止させるドレン供給制御部と、
を備える、ドレン回収システム。
【請求項2】
前記ドレン供給制御部は、
1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を停止させた後、前記水位検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の水位が予め設定される第2水位になるか又は第2水位を上回った場合に、1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を開始させる、請求項1に記載のドレン回収システム。
【請求項3】
補給水を収容する補給水タンクと、
前記補給水タンクに収容された補給水を前記ボイラ装置に供給する予備給水ラインと、を備え、
前記制御部は、さらに、
前記ドレン供給制御部により、前記1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を停止させた場合、前記ボイラへの補給水の供給を開始させ、
前記ドレン供給制御部により、前記1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を開始させた場合、前記ボイラへの補給水の供給を停止させる予備給水制御部を備える、請求項2に記載のドレン回収システム。
【請求項4】
補給水を収容する補給水タンクと、
前記補給水タンクに収容された補給水を前記ボイラ装置に供給する予備給水ラインと、を備え、
前記ドレン供給制御部は、
前記1台のボイラを選択して、前記ボイラに対して、クローズド給水オフ信号を送信することで、前記1台のボイラへのドレンの供給を停止させるとともに、前記1台のボイラへの補給水の供給を開始させ、
前記1台のボイラを選択して、前記ボイラに対して、クローズド給水オン信号を送信することで、前記1台のボイラへのドレンの供給を開始させるとともに、前記ボイラへの補給水の供給を停止させる、請求項1又は請求項2に記載のドレン回収システム。
【請求項5】
前記ドレンタンクの内部の圧力を検出する圧力検出部を備え、
前記所定条件は、
前記圧力検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の圧力が予め設定された第1圧力値であるか又は未満である、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のドレン回収システム。
【請求項6】
前記ドレン供給ラインに、ドレン供給ポンプと、前記ドレン供給ポンプにおけるポンプ吐出圧力を検出するポンプ吐出圧力検出部と、を備え、
前記所定条件は、
前記ポンプ吐出圧力検出部により検出されるポンプ吐出圧力が予め設定された第2圧力値であるか又は未満である、請求項1から請求項4の何れか1項に記載のドレン回収システム。
【請求項7】
蒸気を生成して、蒸気ヘッダを介して負荷機器に供給する複数台のボイラを含むボイラ装置と、
前記負荷機器が蒸気を使用することによって凝縮して生じたドレンを大気に開放することなく回収する密閉型のドレンタンクと、
前記負荷機器と前記ドレンタンクとを接続するドレン回収ラインと、
前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記ボイラ装置に供給するドレン供給ラインと、
前記ドレンタンクの内部の水位を検出する水位検出部と、
制御部と、
を備えるドレン回収システムであって、
前記制御部は、
前記水位検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の水位が予め設定される第1水位になるか又は第1水位を下回った場合に、1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を停止させ、
前記水位検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の水位が予め設定される第2水位になるか又は第2水位を上回った場合に、ドレンの供給を停止させていた1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を開始させるドレン供給制御部を備える、
ドレン回収システム。
【請求項8】
補給水を収容する補給水タンクと、
前記補給水タンクに収容された補給水を前記ボイラ装置に供給する予備給水ラインと、を備え、
前記制御部は、さらに、
前記ドレン供給制御部により、前記1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を停止させた場合、前記ボイラへの補給水の供給を開始させ、
前記ドレン供給制御部により、前記1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を開始させた場合、前記ボイラへの補給水の供給を停止させる予備給水制御部を備える、請求項7に記載のドレン回収システム。
【請求項9】
補給水を収容する補給水タンクと、
前記補給水タンクに収容された補給水を前記ボイラ装置に供給する予備給水ラインと、を備え、
前記ドレン供給制御部は、
前記1台のボイラを選択して、前記ボイラに対して、クローズド給水オフ信号を送信することで、前記ボイラへのドレンの供給を停止させるとともに、前記1台のボイラへの補給水の供給を開始させ、
前記1台のボイラを選択して、前記ボイラに対して、クローズド給水オン信号を送信することで、前記ボイラへのドレンの供給を開始させるとともに、前記ボイラへの補給水の供給を停止させる、請求項7に記載のドレン回収システム。
【請求項10】
前記制御部は、
予めドレンの供給対象とするボイラ台数の最大値を設定するクローズド給水ボイラ台数設定部と、
燃焼状態のボイラに対して、燃焼時間に基づいてドレンの供給を優先するクローズド給水優先順位を設定する給水優先順位設定部と、を備え、
前記ドレン供給制御部は、
前記1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を開始させる場合、前記給水優先順位設定部により設定されたクローズド給水優先順位の高いボイラを選択して、選択されたボイラに対してドレンの供給を開始させ、
前記1台のボイラを選択して、前記ボイラへのドレンの供給を停止させる場合、前記給水優先順位設定部により設定されたクローズド給水優先順位の低いボイラを選択して、選択されたボイラに対してドレンの供給を停止させる、請求項2から請求項9の何れか1項に記載のドレン回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドレン回収システムに関する。より詳細には、負荷機器から排出されるドレンを、大気に開放することなく回収してボイラに給水するクローズド方式のドレン回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイラによって生成された蒸気を負荷機器に供給し、負荷機器において熱源として使用された蒸気が凝縮して発生するドレンを、耐圧性を有する密閉型のドレンタンクに高温・高圧の状態で回収して、再度ボイラに給水するクローズド方式のボイラシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-205006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、クローズド方式のボイラシステムにおいては、全てのボイラに対してドレン給水を行うように制御されるが、ドレンタンクに回収されるドレン量は必ずしも同じ量ではなく、むしろ変化しており、例えば、回収されるドレン量が少ない時間帯においてはドレンタンクの水位が下がり、ドレンタンクへのオープンタンクからの補給水量が増えることとなる。この場合、ドレンタンク内の温度が下がることでドレンタンクの内部の圧力が低下し、ドレンタンクの内部の圧力を所定の値以上に保つために、加圧蒸気量を増やす必要が生じる。そうすると、結局、加圧蒸気がロスになり、熱効率が低下する。
【0005】
本発明は、ドレン量に応じてクローズド給水ボイラ台数を制御することにより、ドレンを無駄なく利用することが可能となり、熱効率をより高めることができるクローズドドレン回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、蒸気を生成して、蒸気ヘッダを介して負荷機器に供給する1台以上のボイラを含むボイラ装置と、前記負荷機器が蒸気を使用することによって凝縮して生じたドレンを大気に開放することなく回収する密閉型のドレンタンクと、前記負荷機器と前記ドレンタンクとを接続するドレン回収ラインと、前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記ボイラ装置に供給するドレン供給ラインと、前記蒸気ヘッダから前記ドレンタンクへ加圧蒸気を供給する加圧蒸気ラインと、前記ドレンタンクの内部の水位を検出する水位検出部と、制御部と、を備えるドレン回収システムであって、前記制御部は、予め設定された所定条件を満たす場合に前記加圧蒸気を前記ドレンタンクに供給させる加圧蒸気供給制御部と、前記所定条件を満たし、前記水位検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の水位が予め設定される第1水位になるか又は第1水位を下回った場合に、一部又は全部のボイラへのドレンの供給を停止させるドレン供給制御部と、を備える、ドレン回収システムに関する。
【0007】
前記ドレン供給制御部は、一部又は全部のボイラへのドレンの供給を停止させた後、前記水位検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の水位が予め設定される第2水位になるか又は第2水位を上回った場合に、一部又は全部のボイラへのドレンの供給を開始させることが好ましい。
【0008】
前記ドレン回収システムは、補給水を収容する補給水タンクと、前記補給水タンクに収容された補給水を前記ボイラ装置に供給する予備給水ラインと、を備え、前記制御部は、さらに、前記ドレン供給制御部により、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を停止させた場合、前記一部又は全部のボイラへの補給水の供給を開始させ、前記ドレン供給制御部により、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を開始させた場合、前記一部又は全部のボイラへの補給水の供給を停止させる予備給水制御部を備えることが好ましい。
【0009】
前記ドレン回収システムは、補給水を収容する補給水タンクと、前記補給水タンクに収容された補給水を前記ボイラ装置に供給する予備給水ラインと、を備え、前記ドレン供給制御部は、前記一部又は全部のボイラに対して、クローズド給水オフ信号を送信することで、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を停止させるとともに、前記一部又は全部のボイラへの補給水の供給を開始させ、前記一部又は全部のボイラに対して、クローズド給水オン信号を送信することで、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を開始させるとともに、前記一部又は全部のボイラへの補給水の供給を停止させるようにしてもよい。
【0010】
前記ドレン回収システムは、前記ドレンタンクの内部の圧力を検出する圧力検出部を備え、前記所定条件は、前記圧力検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の圧力が予め設定された第1圧力値であるか又は未満であることが好ましい。
【0011】
前記ドレン回収システムは、前記ドレン供給ラインに、ドレン供給ポンプと、前記ドレン供給ポンプにおけるポンプ吐出圧力を検出するポンプ吐出圧力検出部と、を備え、前記所定条件は、前記ポンプ吐出圧力検出部により検出されるポンプ吐出圧力が予め設定された第2圧力値であるか又は未満であることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、蒸気を生成して、蒸気ヘッダを介して負荷機器に供給する1台以上のボイラを含むボイラ装置と、前記負荷機器が蒸気を使用することによって凝縮して生じたドレンを大気に開放することなく回収する密閉型のドレンタンクと、前記負荷機器と前記ドレンタンクとを接続するドレン回収ラインと、前記ドレンタンクに収容されたドレンを前記ボイラ装置に供給するドレン供給ラインと、前記ドレンタンクの内部の水位を検出する水位検出部と、制御部と、を備えるドレン回収システムであって、前記制御部は、前記水位検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の水位が予め設定される第1水位になるか又は第1水位を下回った場合に、一部又は全部のボイラへのドレンの供給を停止させ、前記水位検出部により検出される前記ドレンタンクの内部の水位が予め設定される第2水位になるか又は第2水位を上回った場合に、ドレンの供給を停止させていた一部又は全部のボイラへのドレンの供給を開始させるドレン供給制御部を備える、ドレン回収システムに関する。
【0013】
前記ドレン回収システムは、補給水を収容する補給水タンクと、前記補給水タンクに収容された補給水を前記ボイラ装置に供給する予備給水ラインと、を備え、前記制御部は、さらに、前記ドレン供給制御部により、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を停止させた場合、前記一部又は全部のボイラへの補給水の供給を開始させ、前記ドレン供給制御部により、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を開始させた場合、前記一部又は全部のボイラへの補給水の供給を停止させる予備給水制御部を備えることが好ましい。
【0014】
前記ドレン回収システムは、補給水を収容する補給水タンクと、前記補給水タンクに収容された補給水を前記ボイラ装置に供給する予備給水ラインと、を備え、前記ドレン供給制御部は、前記一部又は全部のボイラに対して、クローズド給水オフ信号を送信することで、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を停止させるとともに、前記一部又は全部のボイラへの補給水の供給を開始させ、前記一部又は全部のボイラに対して、クローズド給水オン信号を送信することで、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を開始させるとともに、前記一部又は全部のボイラへの補給水の供給を停止させるようにしてもよい。
【0015】
前記ドレン回収システムにおいて、前記制御部は、予めドレンの供給対象とするボイラ台数の最大値を設定するクローズド給水ボイラ台数設定部と、燃焼状態のボイラに対して、燃焼時間に基づいてドレンの供給を優先するクローズド給水優先順位を設定する給水優先順位設定部と、を備え、前記ドレン供給制御部は、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を開始させる場合、前記給水優先順位設定部により設定されたクローズド給水優先順位の高いボイラを選択して、選択されたボイラに対してドレンの供給を開始させ、前記一部又は全部のボイラへのドレンの供給を停止させる場合、前記給水優先順位設定部により設定されたクローズド給水優先順位の低いボイラを選択して、選択されたボイラに対してドレンの供給を停止させることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ドレン量に応じてクローズド給水ボイラ台数を制御することにより、ドレンを無駄なく利用することが可能となり、熱効率をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るドレン回収システムの構成を示す図である。
図2】第1実施形態の制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図3A】第1実施形態に係るドレン回収システムのクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3B】第1実施形態に係るドレン回収システムのクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の変形例に係るドレン回収システムの構成を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態に係るドレン回収システムの構成を示す図である。
図6】第2実施形態の制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図7A】第2実施形態に係るドレン回収システムのクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7B】第2実施形態に係るドレン回収システムのクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
図8】本発明の第3実施形態に係るドレン回収システムの構成を示す図である。
図9】第3実施形態の制御部の構成を示す機能ブロック図である。
図10】本発明の第4実施形態に係るドレン回収システムの構成を示す図である。
図11】第4実施形態の制御部の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明のドレン回収システムの好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、第1実施形態のドレン回収システム1について、図1及び図2を参照しながら説明する。第1実施形態のドレン回収システム1は、負荷機器から排出されるドレンを、大気に開放することなく回収し、回収したドレンをボイラ装置に供給するクローズド方式のボイラシステムに係るドレン回収システムであって、ドレンタンク20の容量が例えば、100L~5000L程度の大容量の圧力容器により構成されるとともに、ドレンタンク20の内部の圧力値が所定の範囲内に収まるように、貫流ボイラ11で生成された蒸気(加圧蒸気)を例えば蒸気ヘッダ12を介してドレンタンク20に供給するように制御される構成を備える。
【0019】
ドレン回収システム1は、図1に示すように、ボイラ装置10と、密閉型のドレンタンク20と、オープンタンク30と、負荷機器40と、制御部50と、を備える。また、ドレン回収システム1は、これらの機器を接続し、蒸気又は水が流通する複数のラインを備える。具体的には、ドレン回収システム1は、ラインとして、蒸気供給ラインL1と、ドレン回収ラインL2と、ドレン供給ラインL3と、フラッシュ蒸気ラインL4と、予備給水ラインL5と、加圧蒸気ラインL6と、補給水ラインL7と、を備える。
【0020】
ボイラ装置10は、図1に示すように、複数の貫流ボイラ11と、これらの貫流ボイラ11で生成された蒸気が集合される蒸気ヘッダ12と、貫流ボイラ11と蒸気ヘッダ12とを連結する連結管13と、を備える。
【0021】
貫流ボイラ11は、内部に供給された給水を燃焼ガスにより加熱して蒸気を生成する。第1実施形態では、貫流ボイラ11(複数の水管)には、後述のドレンタンク20に回収されたドレンやオープンタンク30に貯留された補給水が給水として供給される。
第1実施形態では、ボイラ装置10は、4台の貫流ボイラ11を備える。なお、ボイラ装置10が備える貫流ボイラ11の台数は4台に限られない。1台以上任意の台数でもよい。
【0022】
図1に示すように、貫流ボイラ11で生成された蒸気は、連結管13を通って蒸気ヘッダ12に供給される。蒸気ヘッダ12は、貫流ボイラ11で生成された蒸気を貯留し、負荷機器40に供給する。
負荷機器40は、貫流ボイラ11で生成された蒸気を熱源として利用し、加熱対象物との間で熱交換を行う。
【0023】
ドレンタンク20は、耐圧性を有する圧力容器により構成される。ドレンタンク20は、貫流ボイラ11により生成された蒸気が負荷機器40で利用されることで凝縮して生じたドレンを高温高圧の状態で回収する。
第1実施形態のドレンタンク20は、前述したとおり、容量が例えば100L~5000L程度の大容量の圧力容器により構成される。
ドレンタンク20には、ドレンタンク20の内部の圧力を検出する圧力センサ201、及びドレンタンク20の内部の水位を検出する水位検出部としての水位センサ202が設けられる。
圧力センサ201は、ドレンタンク20の内部の圧力が、設定圧力範囲内であるか否かを検出する。圧力センサ201は、ドレンタンク20自体に設置するのに換えて、ドレンタンク20の内部の圧力と同等の圧力を検出できる箇所、例えば後述するフラッシュ蒸気ラインL4における圧力調整弁41の一次側等に設置してもよい。
水位センサ202は、複数のレベルスイッチを備え、低水位から高水位に亘って、例えば、最低水位(以下「LL」ともいう)、第1水位(以下「L」ともいう)、第2水位(以下「H」ともいう)、最高水位(以下「HH」ともいう)の各水位をそれぞれ検出する。
【0024】
オープンタンク30は、大気に開放されている。オープンタンク30には、予備給水ラインL5を介して直接貫流ボイラ11に供給される補給水、又は補給水ラインL7を介してドレンタンク20に供給される補給水を貯留する。オープンタンク30には、例えば新水供給ライン(図示せず)から新水が導入されるとともに、後述するフラッシュ蒸気ラインL4を通じて、ドレンタンク20においてドレンから発生したフラッシュ蒸気が導入される。
【0025】
蒸気供給ラインL1は、蒸気ヘッダ12と負荷機器40とを接続し、ボイラ装置10(貫流ボイラ11)で生成された蒸気を負荷機器40に供給する。
【0026】
ドレン回収ラインL2は、負荷機器40とドレンタンク20とを接続し、負荷機器40で発生したドレンがドレンタンク20に回収される。ドレン回収ラインL2には、スチームトラップ21、及び逆止弁22が配置される。
スチームトラップ21は、ドレン回収ラインL2における負荷機器40の下流側に配置され、負荷機器40において発生したドレンを排出し、かつ、蒸気の排出を防ぐ。逆止弁22は、スチームトラップ21の下流側に配置され、ドレン回収ラインL2においてドレンが負荷機器40側に逆流することを防ぐ。
【0027】
ドレン供給ラインL3は、ドレンタンク20に収容されたドレンを送出する。具体的には、ドレン供給ラインL3は、ドレンタンク20と貫流ボイラ11とを接続し、ドレンタンク20に回収されたドレンを複数の貫流ボイラ11に供給する。
以下、ドレンの供給される貫流ボイラ11を「クローズド給水ボイラ」ともいう。
ドレン供給ラインL3の上流側の端部は、ドレンタンク20の下部に接続される。また、ドレン供給ラインL3の下流側は、複数の貫流ボイラ11のそれぞれに接続されるように分岐している。ドレン供給ラインL3には、ドレン供給ポンプ31及びドレン供給弁32が配置される。
【0028】
ドレン供給ポンプ31は、ドレン供給ラインL3における分岐部分よりも上流側に配置され、ドレンタンク20から供給されたドレンを昇圧して貫流ボイラ11側に送り出す。ドレン供給ポンプ31の出力(運転周波数)は、ドレンタンク20に回収されるドレンの圧力及び貫流ボイラ11の運転圧力に基いて予め設定される。
ドレン供給弁32は、例えばモータバルブにより構成される。ドレン供給弁32は、ドレン供給ラインL3における分岐部分よりも下流側に、複数の貫流ボイラ11それぞれに対応して配置される。
【0029】
フラッシュ蒸気ラインL4は、ドレンタンク20とオープンタンク30とを接続し、ドレンタンク20で発生したフラッシュ蒸気をオープンタンク30に排出する。このフラッシュ蒸気ラインL4には、圧力調整弁41が配置されている。圧力調整弁41は、ドレンタンク20の内部の圧力が所定の圧力を超えた場合に、フラッシュ蒸気をオープンタンク30側に逃がして、ドレンタンク20の内部の圧力を低下させる。
【0030】
予備給水ラインL5は、オープンタンク30と複数の貫流ボイラ11とを接続する。予備給水ラインL5は、後述する制御部50によりクローズド給水ボイラの台数を減少させた場合(すなわち、いずれかの貫流ボイラ11へのドレン供給ラインL3を介したドレンの供給を停止した場合)、当該貫流ボイラ11に対して、ドレン供給に換えてオープンタンク30に貯留された補給水を直接供給するための給水ラインである。
以下、予備給水ラインL5を介してオープンタンク30から、直接補給水の供給される貫流ボイラ11を「オープン給水ボイラ」ともいう。
予備給水ラインL5の上流側の端部は、オープンタンク30の下部に接続される。また、予備給水ラインL5の下流側は、複数の貫流ボイラ11のそれぞれに接続されるように分岐している。
【0031】
予備給水ラインL5には、各貫流ボイラ11に対応して、補助ポンプ51、及び補助ポンプ方向の流れを阻止する逆止弁52が配置される。補助ポンプ51は、予備給水ラインL5における分岐部分よりも下流側に配置され、複数の貫流ボイラ11に対応して複数設けられる。
【0032】
加圧蒸気ラインL6は、蒸気ヘッダ12とドレンタンク20とを接続する。加圧蒸気ラインL6は、蒸気ヘッダ12から、貫流ボイラ11で生成された蒸気をドレンタンク20に供給し、ドレンタンク20の内部の圧力を調節する。より具体的には、ドレンタンク20の内部の圧力は、予め設定された設定圧力以下にならないように後述する制御部50により調節される。例えば、設定圧力は、ドレン供給ポンプ31にキャビテーションが生じない押し込み圧力以上の圧力とすることが好ましい。
加圧蒸気ラインL6には、圧力調整弁61及び加圧弁62が配置される。加圧弁62は、例えばモータバルブで構成される。圧力センサ201により検出されるドレンタンク20の内部の圧力値が例えば予め設定された第1圧力値になるか又は第1設定圧力値を下回るとき、後述するように、制御部50は、加圧弁62をオンにして、ドレンタンク20の内部の圧力値が第1圧力値になるか又は第1圧力値を超えるように、加圧蒸気の供給を行う。逆に圧力センサ201により検出されるドレンタンク20の内部の圧力値が例えば予め設定された第2圧力値になるか又は第2圧力値を超えたときに、制御部50は、加圧弁62をオフにして、ドレンタンク20の内部の圧力値が第2圧力値になるか又は第2圧力値未満になるように、加圧蒸気の供給を停止する。
【0033】
補給水ラインL7は、オープンタンク30とドレンタンク20とを接続する。補給水ラインL7は、オープンタンク30内に貯留された補給水をドレンタンク20に供給する。補給水ラインL7には、補給水ポンプ71、及び逆止弁72が配置される。
逆止弁72は、補給水ポンプ71の下流側に配置され、補給水ラインL7において補給水がオープンタンク30側に逆流することを防ぐ。
【0034】
制御部50は、圧力センサ201、及び水位センサ202等からの信号を入力して、ドレン供給ポンプ31、ドレン供給弁32、補助ポンプ51、加圧弁62、補給水ポンプ71等を制御可能に構成される。
具体的には、図2に示すように、制御部50は、加圧蒸気供給制御部501と、クローズド給水ボイラ台数制御部503と、補給水供給制御部504と、クローズド給水ボイラ台数設定部506と、給水優先順位設定部507と、備える。また、クローズド給水ボイラ台数制御部503は、さらにドレン供給制御部5031と、予備給水制御部5032と、を備える。
【0035】
加圧蒸気供給制御部501は、前述したように、圧力センサ201によって検出されるドレンタンク20内の圧力が予め設定された第1圧力値になるか又は第1圧力値を下回るとき、水位センサ202により検出されるドレンタンク20内の水位がLになるか又はLを下回る場合を除いて、加圧弁62をオンにして、ドレンタンク20の内部の圧力値が第1圧力値になるか又は設定圧力を上回るように、蒸気ヘッダ12から加圧蒸気の供給を行う。そうすることで、ドレンタンク20内の圧力が低下しないように制御される。
【0036】
クローズド給水ボイラ台数制御部503は、ドレン供給制御部5031と、予備給水制御部5032と、を備える。
圧力センサ201によって検出されるドレンタンク20内の圧力が予め設定された第1圧力値になるか又は第1圧力値を下回り、かつ水位センサ202により検出されるドレンタンク20内の水位がLになるか又はLを下回る場合、ドレン供給制御部5031は、後述するクローズド給水優先順位の低い貫流ボイラ11に対応して設置されたドレン供給弁32を閉状態とすることで、当該貫流ボイラ11へのドレンの供給を停止させる。
より具体的には、クローズド給水ボイラへのドレンの供給を停止させる場合、ドレン供給制御部5031は、後述する給水優先順位設定部により設定されたクローズド給水優先順位の低い貫流ボイラ11を選択して、選択された貫流ボイラ11に対応して設置されたドレン供給弁32を閉状態とすることで、当該貫流ボイラ11へのドレンの供給を停止させる。
また、予備給水制御部5032は、ドレン供給を停止した当該貫流ボイラ11に対応して設置された補助ポンプ51を起動することで、予備給水ラインL5を介してオープンタンク30に貯留された補給水を供給する。
これにより、クローズド給水ボイラ台数制御部503は、ドレンタンク20内の圧力が第1圧力値になるか又は第1圧力値を下回り、かつドレンタンク20内の水位がLになるか又はLを下回る場合、クローズド給水ボイラの台数を減少させるとともに、オープン給水ボイラの台数を増加させることができる。
こうすることで、ドレン量が減少した場合でもドレンタンクの水温低下及び圧力低下を抑制し、クローズドドレン回収装置の加圧状態を安定化し加圧蒸気量を節約することができる。
【0037】
逆に、例えばドレン供給対象となる貫流ボイラ11の台数を減少させた後ドレン量が増え、ドレンタンク20内の水位がH以上となった場合、予備給水制御部5032は、クローズド給水優先順位の高い貫流ボイラ11に対して、対応する補助ポンプ51を停止することで、オープンタンク30に貯留された補給水の供給を停止させる。また、ドレン供給制御部5031は、補給水の供給を停止した当該貫流ボイラ11に対して、対応するドレン供給弁32を開状態とすることで、ドレン供給ラインL3を介してドレンの供給を開始する。
より具体的には、貫流ボイラ11へのドレンの供給を開始させる場合、ドレン供給制御部5031は、後述する給水優先順位設定部により設定されたクローズド給水優先順位の高い貫流ボイラ11を選択して、選択された貫流ボイラ11に対応して設置されたドレン供給弁32を開状態とさせることで、当該貫流ボイラ11へのドレンの供給を開始させる。
これにより、例えば、クローズド給水ボイラ台数制御部503は、ドレンタンク20内の水位がH以上となった場合、クローズド給水ボイラの台数を増加させるとともに、オープン給水ボイラの台数を減少させる。
以上のように、ドレン量に応じてクローズド給水ボイラ台数を制御することにより、ドレンを無駄なく利用することが可能となり、熱効率をより高めることができる。
また、クローズド給水ボイラ台数制御部503の制御により、ドレン量が減少した場合でもドレンタンク20の水温低下及び圧力低下を抑制し、ドレンタンク20の加圧状態を安定化し加圧蒸気量を節約することで、熱効率の低下を防ぐことができるとともに、ドレン量を増やすことが可能となり、ドレンタンク20の内部水位を上げることができる。
【0038】
補給水供給制御部504は、圧力センサ201によって検出されるドレンタンク20内の圧力が予め設定された第1圧力値になるか又は第1圧力値を上回り、かつ水位センサ202により検出されるドレンタンク20内の水位がLLになるか又はLLを下回る場合、補給水ポンプ71をオンにして、ドレンタンク20の水位がLに到達するまで、オープンタンク30内に貯留された補給水を補給水ラインL7を介してドレンタンク20に供給する。こうすることで、クローズド給水ボイラの台数を減少させることなく、ドレンタンク20から、ドレン供給対象となる貫流ボイラ11に対して、引き続きドレンを供給することができる。この場合、ドレン供給対象となる貫流ボイラ11に対して、ドレンと補給水との混合水が供給される。
【0039】
クローズド給水ボイラ台数設定部506は、複数の貫流ボイラ11のうち、クローズド給水ボイラの最大台数を予め設定する。例えば、ドレン量が予め推定される場合、当該ドレン量に基づいて、クローズド給水ボイラの最大台数を設定することができる。そうすることで、クローズド給水ボイラ台数制御部503は、クローズド給水ボイラ台数設定部506により設定されたクローズド給水ボイラの最大台数の範囲内で、ドレンを供給するように制御する。
【0040】
給水優先順位設定部507は、ボイラ装置10に含まれる各貫流ボイラ11のクローズド給水優先順位の設定及び変更を行う。ここで、クローズド給水優先順位とは、クローズド給水ボイラ台数制御部503が、オープン給水ボイラの台数を減少させて、クローズド給水ボイラの台数を増加させる場合に、燃焼状態にある複数のオープン給水ボイラの中から、クローズド給水対象とするボイラを選択する場合の優先順位を示す。
給水優先順位設定部507は、燃焼状態のボイラに対して、燃焼時間に基づいてドレンの供給を優先するクローズド給水優先順位を設定する。
より具体的には、給水優先順位設定部507は、基本的には負荷が高く、より長時間燃焼状態にある貫流ボイラ11のクローズド給水優先順位を高くするように設定及び変更を行う。
そうすることで、ドレン供給制御部5031は、貫流ボイラ11へのドレンの供給を開始させる場合、給水優先順位設定部507により設定されたクローズド給水優先順位の高い貫流ボイラ11を選択して、選択された貫流ボイラ11に対応して設置されたドレン供給弁32を開状態とさせることで、当該貫流ボイラ11へのドレンの供給を開始させる。
逆に、ドレン供給制御部5031は、クローズド給水ボイラへのドレンの供給を停止させる場合、給水優先順位設定部507により設定されたクローズド給水優先順位の低い貫流ボイラ11を選択して、選択された貫流ボイラ11に対応して設置されたドレン供給弁32を閉状態とすることで、当該貫流ボイラ11へのドレンの供給を停止させる。
このようにすることで、熱効率をより高めることができる。
【0041】
前述したように、クローズド給水優先順位は、台数制御における公知の燃焼優先順位とは異なる。ただし、給水優先順位設定部507は、台数制御部によりボイラ装置を停止させて再起動する場合には、台数制御における燃焼優先順位に基づいて、クローズド給水優先順位を初期設定するようにしてもよい。
以上、ドレン回収システム1の構成について説明した。次に、ドレン回収システム1のクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理について説明する。図3A及び図3Bは、クローズド給水ボイラ台数制御に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、クローズド給水ボイラの最大台数dは予め設定されているものとする。図3A及び図3Bを参照する。
【0042】
図3Aを参照すると、ステップST101において、ドレン回収システム1が稼働している。
ステップST102において、制御部50(加圧蒸気供給制御部501)は、ドレンタンク20の内部の圧力が、第1圧力値以下(又は下回る)かどうか、を検出する。第1圧力値以下となる(又は下回る)場合(Yes)、ステップST103に移る。第1圧力値を上回る(又は以上となる)場合(No)、ステップST110に移る。
【0043】
ステップST103において、制御部50は、ドレンタンク20の内部の水位が、L以下(又はLを下回る)かどうか、を検出する。L以下となる(又はLを下回る)場合(Yes)、ステップST120に移る。Lを上回る(又はL以上となる)場合(No)、ステップST104に移る。
【0044】
ステップST104において、制御部50(加圧蒸気供給制御部501)は、ドレンタンク20内の圧力が第1圧力値以上となる(又は第1圧力値を上回る)まで、加圧蒸気の供給を行う。
その後、ステップST112に移る。
【0045】
ステップST110において、制御部50は、ドレンタンク20の内部の水位が、LL以下(又はLLを下回る)かどうか、を検出する。ドレンタンク20の内部の水位が、LL以下となる(又はLLを下回る)場合(Yes)、ステップST111に移る。ドレンタンク20の内部の水位が、LLを超える(又はLL以上となる)場合(No)、ステップST112に移る。
【0046】
ステップST111において、制御部50は、ドレンタンク20の水位がLに到達するまで、オープンタンク30に貯留された補給水を供給する。その後、ステップST101に移る。
【0047】
図3Bを参照すると、ステップST112において、制御部50は、ドレンタンク20の内部の水位が、H以下(又はHを下回る)かどうか、を検出する。H以下となる(又はHを下回る)場合(Yes)、ステップST101に移る。Hを上回る(又はH以上となる)場合(No)、ステップST113に移る。
【0048】
ステップST113において、制御部50は、クローズド給水ボイラ台数<Nかどうか、を判定する。クローズド給水ボイラ台数<Nの場合(Yes)、ステップST114に移る。クローズド給水ボイラ台数=Nの場合(No)、ステップST115に移る。
【0049】
ステップST114において、制御部50は、クローズド給水優先順位に基づいて、オープン給水ボイラから1台選択して、オープンタンク30からの給水に換えてドレンタンク20からの給水に変更する(すなわち、クローズド給水ボイラを増加させる)。
その後、ステップST101に移る。
【0050】
ステップST115において、制御部50は、(クローズド給水ボイラが最大数割り当てられた状態で、ドレンタンク20の水位がHを超えている旨の)警告メッセージを通知する。
その後、ステップST101に移る。
【0051】
ステップST120において、制御部50は、クローズド給水優先順位に基づいて、クローズド給水ボイラから1台選択して、ドレンタンク20からの給水に換えてオープンタンク30からの給水に変更する(すなわち、クローズド給水ボイラを減少させる)。
その後、ステップST101に移る。
なお、前述したフローチャートのステップST120において、クローズド給水ボイラ台数がゼロの状態で、クローズド給水ボイラを減少させることができない場合には、例えば(クローズド給水ボイラがゼロ台の状態で、ドレンタンク20の内部の圧力が、第1圧力値以下(又は下回る)であるとともに、ドレンタンク20の水位がL以下となる(又はLを下回る)旨の)警告メッセージを通知するとともに、例えばステップST104に移り、ドレンタンク20の内部の圧力が、第1圧力値以上になるまで、加圧蒸気を供給するようにしてもよい。
【0052】
[第1実施形態の効果]
以上のように、第1実施形態において、制御部50は、ドレンタンク20の内部圧力が閾値(例えば第1圧力値)以下となり(又は下回り)、かつドレンタンク20の内部水位が閾値(例えば第1水位L)以下になる(又は第1水位Lを下回る)と、クローズド給水台数を1台減らすように制御する。
これにより、ドレン量に応じてクローズド給水ボイラ台数を制御することにより、ドレンを無駄なく利用することが可能となり、熱効率をより高めることができる。
なお、ドレンタンク20の内部圧力が閾値(例えば第1圧力値)以下となる(又は下回る)場合、クローズド給水ボイラ台数を減少させるとともに、減少対象となったクローズド給水ボイラをオープン給水ボイラにすることで、従来(クローズド給水ボイラ台数をそのままとし、加圧蒸気量を増やすこと)に比較して、余分に加圧蒸気量をドレンタンク20に内部に供給する必要が無くなり、熱効率の低下を防ぐことができる。それにより、ドレン量を増やすことが可能となり、ドレンタンク20の内部水位を上げることができる。このように、ドレン量が減少した場合であっても、クローズドドレン回収装置の加圧状態を安定化し加圧蒸気量を節約することができる。
【0053】
なお、第1実施形態では、ドレンタンク20の内部の圧力を検出する圧力センサ201を設け、加圧蒸気供給制御部501は、圧力センサ201によって検出されるドレンタンク20内の圧力に応じて加圧蒸気をドレンタンク20に供給するように制御し、クローズド給水ボイラ台数制御部503は、圧力センサ201により検出されるドレンタンク20の内部の圧力値及び水位センサ202により検出されるドレンタンク20の内部の水位に基づいて、クローズド給水ボイラ台数を減少させるように構成されたが、これに限定されない。
【0054】
[変形例1]ポンプ吐出圧力
図4に示すように、例えば、ドレン供給ラインL3にポンプ吐出圧力検出部35を設置し、ドレン回収システム1は、ドレン供給ラインL3におけるドレン供給ポンプ31のポンプ吐出圧力を監視するポンプ吐出圧力検出部35を備えるように構成してもよい。
その場合、加圧蒸気供給制御部501は、ポンプ吐出圧力検出部35により検出されるポンプ吐出圧力が予め設定された圧力値(第2圧力値)以下となる(又は下回る)場合に、加圧蒸気をドレンタンク20に供給させるようにしてもよい。
ただし、クローズド給水ボイラ台数制御部503は、ポンプ吐出圧力検出部35により検出されるポンプ吐出圧力が予め設定された第2圧力値以下となり(又は下回り)、かつ水位センサ202により検出されるドレンタンク20内の水位がL以下となる(又は下回る)場合には、クローズド給水ボイラ台数制御部503は、クローズド給水優先順位の低い貫流ボイラ11を選択して、当該貫流ボイラ11へのドレン供給を停止する(すなわち、クローズド給水ボイラの台数を減少させる)ように構成してもよい。
第1実施形態の変形例1において、制御部50は、ドレン供給ポンプ31におけるポンプ吐出圧力が閾値(例えば第2圧力値)以下となり(又は下回り)、かつドレンタンク20の内部水位が閾値(例えば第1水位L)以下になる(又は第1水位Lを下回る)と、クローズド給水台数を1台減らすように制御する。
これにより、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0055】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るドレン回収システム1Aにつき、図5及び図6を参照しながら説明する。第2実施形態のドレン回収システム1Aは、(1)ドレンタンク20Aの容量が、例えば10L~40L程度の小容量の圧力容器により構成されること、(2)ドレンタンク20Aの内部の圧力値を監視しないこと、(3)貫流ボイラ11で生成された蒸気(加圧蒸気)をドレンタンク20Aに供給する構成を備えていないこと、(4)クローズド給水ボイラ台数制御部503Aは、水位センサ202によりドレンタンク20A内の水位が予め設定された水位の範囲に基づいて、クローズド給水ボイラの台数の増減を制御する点等で、第1実施形態と異なる。
【0056】
ドレン回収システム1Aは、図5に示すとおり、ボイラ装置10と、密閉型の小容量の圧力容器により構成されるドレンタンク20Aと、オープンタンク30と、負荷機器40と、制御部50Aと、を備える。また、ドレン回収システム1Aは、これらの機器を接続し、蒸気又は水が流通する複数のラインを備える。具体的には、ドレン回収システム1は、ラインとして、蒸気供給ラインL1と、ドレン回収ラインL2と、ドレン供給ラインL3と、フラッシュ蒸気ラインL4と、予備給水ラインL5と、オーバーフローラインL8と、を備える。
【0057】
なお、ドレン回収システム1Aは、第1実施形態と異なり、蒸気ヘッダ12から、貫流ボイラ11で生成された蒸気をドレンタンク20に供給する加圧蒸気ラインL6、及びオープンタンク30内に貯留された補給水をドレンタンク20Aに供給する補給水ラインL7を備えない。また、ドレン回収システム1Aは、加圧蒸気ラインL6に配置される圧力調整弁61及び加圧弁62、並びに補給水ラインL7に配置される補給水ポンプ71及び逆止弁72を備えない。また、ドレン回収システム1Aは、ドレンタンク20Aの内部の圧力を検出するための圧力センサ201を備えない。
【0058】
次に、ドレン回収システム1Aについて、特に第1実施形態と異なる機能を有する構成要素について説明する。なお、尚、第1実施形態と同一構成要件を備えるものについては同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0059】
ドレンタンク20Aは、前述したように、密閉型の例えば10L~40L程度の小容量の圧力容器により構成される。
ドレンタンク20Aには、ドレンタンク20Aの内部の水位を検出する水位センサ202Aが設けられる。
【0060】
オーバーフローラインL8は、ドレンタンク20Aとオープンタンク30とを接続する。オーバーフローラインL8には、オーバーフロー用モータバルブ81が配置される。水位センサ202Aにより検出されるドレンタンク20の内部の水位が例えばオーバーフロー水位になるか又は、オーバーフロー水位を上回ると、後述する制御部50Aはオーバーフロー用モータバルブ81をオンにし、ドレンタンク20Aの内部の水位がオーバーフロー水位以下の所定の水位となるまで、ドレンタンク20Aからドレンをオープンタンク30に導入する。以下、このようなドレンタンク20Aからオープンタンク30へのドレンの導入を「オーバーフロー」ともいう。
このように、オープンタンク30には、オーバーフローラインL8を通じて、ドレンタンク20Aの水位が所定の水位以上となる、又は所定の水位を超える場合、ドレンタンク20Aからドレンが導入される。
【0061】
[水位センサ202A]
水位センサ202Aは、複数のレベルスイッチを備え、ドレンタンク20Aにおけるドレンポンプ停止水位、第1水位(以下、「低水位」ともいう)、第2水位(以下、「高水位」ともいう)、及びオーバーフロー水位の各水位を、それぞれ検出する。これらの水位は、以下の関係を満たすように設定される。
ドレンポンプ停止水位<低水位<高水位<オーバーフロー水位。
【0062】
より具体的には、ドレンタンク20Aの内部の水位が低水位以下となる(又は下回る)場合、後述するように、クローズド給水ボイラ台数を減少させるとともに、オープン給水ボイラの台数を増加させるように制御される。こうすることで、ボイラ装置10に対してドレンの供給量を減らし、ドレンタンク20Aの内部の水位を上昇させることができる。
なお、ドレンタンク20Aの内部の水位がドレンポンプ停止水位以下となる(又は下回る)場合、後述するように、ドレン供給ポンプ31を停止させるとともに、予備給水ラインL5を介して、全ての燃焼ボイラに対してオープンタンク30に貯留された補給水を直接供給するように制御させる。その後、ドレンタンク20A内の水位が上昇して、その水位が所定の水位に到達すると、ドレン供給ポンプ31をオンするように制御される。
【0063】
また、ドレンタンク20Aの内部の水位が高水位になるか又は高水位を上回る場合、後述するように、クローズド給水ボイラ台数を増加させるとともに、オープン給水ボイラの台数を減少させるように制御される。こうすることで、ボイラ装置10に対してドレンの供給量を増やし、ドレンタンク20Aの内部の水位を低下させることができる。
なお、ドレンタンク20Aの内部の水位がオーバーフロー水位以上となる(又は上回る)場合、後述するように、オーバーフロー用モータバルブ81がオンされて、ドレンタンク20Aに貯留したドレンをオーバーフローさせるように制御される。その後、ドレンタンク20A内の水位が低下して、その水位が所定の水位に到達すると、オーバーフロー用モータバルブ81がオフするように制御される。
【0064】
このように、第2実施形態に係るドレン回収システム1Aにおいては、ドレンタンク20Aの内部の水位に基づいて、クローズド給水ボイラ台数が制御される。
このため、制御部50Aは、水位センサ202Aからの信号を入力して、ドレン供給ポンプ31、ドレン供給弁32、補助ポンプ51、オーバーフロー用モータバルブ81等を制御可能に構成される。
具体的には、図6に示すように、制御部50Aは、オーバーフロー制御部502と、クローズド給水ボイラ台数制御部503Aと、クローズド給水ボイラ台数設定部506と、給水優先順位設定部507と、備える。ここで、クローズド給水ボイラ台数制御部503Aは、ドレン供給制御部5031Aと予備給水制御部5032Aを備える。
【0065】
オーバーフロー制御部502は、水位センサ202Aにより検出されるドレンタンク20A内の水位がオーバーフロー水位になるか又は、オーバーフロー水位を上回ると、オーバーフロー用モータバルブ81をオンにし、ドレンをオープンタンク30にオーバーフローさせる。その後、水位センサ202Aにより検出されるドレンタンク20A内の水位がオーバーフロー水位以下の所定の水位(例えば、低水位と高水位との間の水位)となった場合、オーバーフロー用モータバルブ81をオフにし、オーバーフローを停止させる。
【0066】
クローズド給水ボイラ台数制御部503Aは、ドレン供給制御部5031Aと、予備給水制御部5032Aと、を備える。
【0067】
水位センサ202Aにより検出されるドレンタンク20Aの内部の水位が低水位になるか又は低水位を下回る場合、ドレン供給制御部5031Aは、クローズド給水優先順位の低い貫流ボイラ11に対してドレン供給弁32を閉状態とすることで、当該貫流ボイラ11へのドレンの供給を停止させる。
また、予備給水制御部5032Aは、ドレン供給を停止した当該貫流ボイラ11に対して設置された補助ポンプ51を起動することで、予備給水ラインL5を介してオープンタンク30に貯留された補給水を供給する。
このように、クローズド給水ボイラ台数制御部503Aは、ドレンタンク20Aの内部の水位が低水位になるか又は低水位を下回る場合、クローズド給水ボイラ台数を減少させるとともに、オープン給水ボイラの台数を増加させることができる。
これにより、例えばドレンの回収量が少なくなる、又はボイラ装置10でのドレン使用量が増大することで、ドレンタンク20Aの水位が低下した場合においても、クローズド供給ボイラに対するドレンの供給を安定させることができるとともに、ドレンタンク20Aの水位を上げることができる。
なお、クローズド給水ボイラ台数制御部503Aは、ドレンタンク20A内の水位がドレンポンプ停止水位になるか又はドレンポンプ停止水位を下回る場合、ドレン供給ポンプ31を停止させることで、クローズド給水ボイラの台数をゼロにするとともに、ドレン供給が停止された全ての貫流ボイラ11に対して、オープンタンク30に貯留された補給水を予備給水ラインL5を介して供給させることで、全ての燃焼ボイラをオープン給水ボイラとする。
その後、ドレンタンク20A内の水位が上昇して、その水位が所定の水位に到達すると、ドレン供給ポンプ31をオンするように制御される。
【0068】
また、ドレンタンク20A内の水位が上がり、高水位Hになるか又は高水位Hを上回る場合、予備給水制御部5032Aは、クローズド給水優先順位の高い貫流ボイラ11に対して補助ポンプ51を停止することで、オープンタンク30に貯留された補給水の供給を停止させる。また、ドレン供給制御部5031Aは、補給水の供給を停止した当該貫流ボイラ11に対して、ドレン供給弁32を開状態とすることで、ドレン供給ラインL3を介してドレンの供給を開始する。
このように、クローズド給水ボイラ台数制御部503は、ドレンタンク20内の水位が高水位Hになるか又は高水位Hを上回る場合、クローズド給水ボイラの台数を増加させるとともに、オープン給水ボイラの台数を減少させることができる。
これにより、例えばドレンの回収量が増える、又はボイラ装置10でのドレン使用量が減少することで、ドレンタンク20Aの水位が上昇した場合においても、クローズド供給ボイラに対するドレンの供給を安定させることができるとともに、ドレンタンク20Aの水位を上げることができる。
なお、ドレンタンク20A内の水位が予め設定されたオーバーフロー水位になるか又はオーバーフロー水位を上回る場合、前述したように、オーバーフロー制御部502は、オーバーフロー用モータバルブ81をオンにし、ドレンをオープンタンク30にオーバーフローさせる。この際、クローズド給水ボイラ台数制御部503Aは、全ての燃焼ボイラに対してドレン供給ラインL3を介してドレンを供給するとともに、予備給水ラインL5を介してオープンタンク30に貯留された補給水の供給を全て停止させることで、オープン給水ボイラの台数をゼロにすることが好ましい。
以上のように、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、ドレン量に応じてクローズド給水ボイラ台数を制御することにより、ドレンを無駄なく利用することが可能となり、熱効率をより高めることができる。
すなわち、ドレン量が減少した場合でも、クローズド給水ボイラ台数を減少させて、オープン給水ボイラ台数を増加させることで、ドレンをクローズド供給ボイラに対して安定的に供給することが可能となるとともに、その結果ドレン量を増やすことが可能となり、ドレンタンク20の内部水位を上げることができる。
逆に、ドレン量が増加した場合でも、クローズド給水ボイラ台数を増加させて、オープン給水ボイラ台数を減少させることで、ドレンをクローズド供給ボイラに対して安定的に供給することが可能となるとともに、その結果、ドレンタンク20の内部水位を下げることができる。
【0069】
以上、ドレン回収システム1Aの構成について説明した。次に、ドレン回収システム1Aのクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理について説明する。図7A及び図7Bは、クローズド給水ボイラ台数制御に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、クローズド給水ボイラの最大台数Nは予め設定されているものとする。
【0070】
図7Aを参照すると、ステップST201において、ドレン回収システム1Aが現状構成で稼働している。
ステップST202において、制御部50Aは、ドレンタンク20Aの内部の水位が、ドレンポンプ停止水位以下(又はドレンポンプ停止水位を下回る)かどうか、を検出する。ドレンポンプ停止水位以下となる(又はドレンポンプ停止水位を下回る)場合(Yes)、ステップST203に移る。ドレンポンプ停止水位を上回る(又はドレンポンプ停止水位以上となる)場合(No)、ステップST204に移る。
【0071】
ステップST203において、制御部50Aは、ドレン供給ポンプ31を停止させ、全ての燃焼ボイラをオープン給水ボイラとする。
その後、ステップST201に移る。
【0072】
ステップST204において、制御部50Aは、ドレンタンク20Aの内部の水位が、オーバーフロー水位以上(又はオーバーフロー水位を上回る)かどうか、を検出する。オーバーフロー水位以上となる(又はオーバーフロー水位を上回る)場合(Yes)、ステップST205に移る。オーバーフロー水位を下回る(又はオーバーフロー水位以下となる)場合(No)、ステップST210に移る。
【0073】
ステップST205において、制御部50Aは、ドレンタンク20Aの内部の水位が、所定の水位に到達するまでドレンタンク20Aのドレンをオーバーフローさせる。
その後、ステップST201に移る。
【0074】
図7Bを参照すると、ステップST210において、制御部50Aは、ドレンタンク20の内部の水位が、低水位以下(又は低水位を下回る)かどうか、を検出する。低水位以下となる(又は低水位を下回る)場合(Yes)、ステップST211に移る。低水位を上回る(又は低水位以上となる)場合(No)、ステップST212に移る。
【0075】
ステップST211において、制御部50Aは、クローズド給水優先順位に基づいて、クローズド給水ボイラから1台選択して、ドレンタンク20Aからの給水に換えてオープンタンク30からの給水に変更する(すなわち、クローズド給水ボイラ台数を減少させる)。
その後、ステップST201に移る。
【0076】
ステップST212において、制御部50Aは、ドレンタンク20の内部の水位が、高水位以上(又は高水位を上回る)かどうか、を検出する。ドレンタンク20の内部の水位が、高水位以上となる(又は高水位を上回る)場合(Yes)、ステップST213に移る。ドレンタンク20の内部の水位が、高水位以下となる(又は高水位を下回る)場合(No)、ステップST201に移る。
【0077】
ステップST213において、制御部50Aは、クローズド給水ボイラ台数<Nかどうか、を判定する。クローズド給水ボイラ台数<Nの場合(Yes)、ステップST214に移る。クローズド給水ボイラ台数=Nの場合(No)、ステップST215に移る。
【0078】
ステップST214において、制御部50Aは、クローズド給水優先順位に基づいて、オープン給水ボイラから1台選択して、オープンタンク30からの給水に換えてドレンタンク20Aからの給水に変更する(すなわち、クローズド給水ボイラを増加させる)。
その後、ステップST201に移る。
【0079】
ステップST215において、制御部50Aは、(クローズド給水ボイラが最大数割り当てられた状態で、ドレンタンク20Aの水位が高水位を超えている旨の)警告メッセージを通知する。
その後、ステップST201に移る。
なお、前述したフローチャートのステップST211において、クローズド給水ボイラ台数がゼロの状態で、クローズド給水ボイラを減少させることができない場合には、例えば(ドレンタンク20の水位が低水位以下となる(又は低水位を下回る)旨の)警告メッセージを通知するようにしてもよい。
【0080】
[第2実施形態の効果]
以上のように、第2実施形態において、制御部50Aは、ドレンタンク20Aの内部の水位が第1水位(例えば、低水位)以下、又は第1水位(例えば、低水位)を下まわると、クローズド給水台数を1台減らすように制御する。
これにより、ドレンタンク20Aが小容量の場合においても、第1実施形態の場合と同様の効果、すなわちクローズド給水ボイラ台数制御部503Aの制御により、ドレン量に応じてクローズド給水ボイラ台数を制御することにより、ドレンを無駄なく利用することが可能となり、熱効率をより高めることができる。
なお、ドレンタンク20Aの内部の水位が第1水位(例えば、低水位)以下、又は第1水位(例えば、低水位)を下まわると、クローズド給水ボイラ台数を減少させるとともに、減少対象となったクローズド給水ボイラをオープン給水ボイラにすることで、ドレン量を増やすことが可能となり、ドレンタンク20Aの内部水位を上げることができる。
逆に、ドレンタンク20Aの内部の水位が第2水位(例えば、高水位)になるか又は第2水位(例えば、高水位)を超える場合、クローズド給水ボイラ台数を増加させることで、ドレンタンク20Aの内部水位を下げることができる。
【0081】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るドレン回収システム1Bについて説明する。第1実施形態及び第2実施形態においては、制御部50及び制御部50Aがそれぞれ、ドレン供給弁32の開閉に係る制御、及び補助ポンプ51の起動停止に係る制御を行った。これに対して第3実施形態のドレン回収システム1Bは、(1)貫流ボイラ11Bがローカル制御部15Bを備え、ローカル制御部15Bが制御部50Bからの指示(例えばクローズド給水信号)を受信して、当該指示に基づいて、ローカル制御部15Bがドレン供給弁32の開閉に係る制御と補助ポンプ51の起動停止に係る制御を行う点で、第1実施形態及び第2実施形態と異なる。
【0082】
次に、ドレン回収システム1Bについて、特に第1実施形態と異なる機能を有する構成要素について説明する。なお、尚、第1実施形態と同一構成要件を備えるものについては同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0083】
制御部50Bは、図8に示すように貫流ボイラ11Bのローカル制御部15Bと通信可能に接続される。具体的には、図9に示すように制御部50Bは、加圧蒸気供給制御部501と、クローズド給水ボイラ台数制御部503Bと、補給水供給制御部504と、クローズド給水ボイラ台数設定部506と、給水優先順位設定部507と、備える。また、クローズド給水ボイラ台数制御部503Bは、ドレン供給制御部5031Bを備える。
【0084】
ドレン供給制御部5031Bは、貫流ボイラ11Bへのドレンの供給を開始させる場合、給水優先順位設定部507により設定されたクローズド給水優先順位の高い貫流ボイラ11Bを選択して、選択された貫流ボイラ11Bに対応するローカル制御部15Bに対して、クローズド給水オン信号を送信することで、ドレンの供給を開始させることができる。
より具体的には、ローカル制御部15Bは、ドレン供給制御部5031Bからクローズド給水オン信号を受信すると、対応するドレン供給弁32を開状態とすることで、当該貫流ボイラ11Bへのドレンの供給を開始させるとともに、対応する補助ポンプ51を停止することで、当該貫流ボイラ11Bへの、オープンタンク30に貯留された補給水の供給を停止させることができる。
【0085】
逆に、ドレン供給制御部5031Bは、貫流ボイラ11Bへのドレンの供給を停止させる場合、給水優先順位設定部507により設定されたクローズド給水優先順位の低い貫流ボイラ11Bを選択して、選択された貫流ボイラ11Bに対応するローカル制御部15Bに対して、クローズド給水オフ信号を送信することで、ドレンの供給を停止させることができる。
より具体的には、ローカル制御部15Bは、ドレン供給制御部5031Bからクローズド給水オフ信号を受信すると、対応するドレン供給弁32を閉状態とすることで、当該貫流ボイラ11Bへのドレンの供給を停止させるとともに、対応する補助ポンプ51を起動することで、当該貫流ボイラ11Bへの、オープンタンク30に貯留された補給水の供給を開始させることができる。
以上、ドレン回収システム1Bの構成について説明した。次に、ドレン回収システム1Bのクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理について説明する。
【0086】
ここでは、第1実施形態に係るドレン回収システム1のクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理手順を示す図3A及び図3Bに記載のフローチャートと、異なる手順(ステップ)について説明する。なお、第1実施形態における手順(ステップ)と同一のものについては同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
ドレン回収システム1Bのクローズド給水ボイラ台数制御に係る手順は、ドレン回収システム1のクローズド給水ボイラ台数制御に係る動作におけるステップST101からステップST113、及びステップST115において、制御部50を制御部50Bに読み換えた手順(ステップ)と、ステップST114及びステップST120をそれぞれ以下のステップST114及びステップ120に読み換えた手順(ステップ)と、により構成される。
【0087】
ステップST114において、制御部50Bは、クローズド給水優先順位に基づいて、オープン給水ボイラ11Bから1台選択して、当該ボイラのローカル制御部15Bに対して、クローズド給水オン信号を送信する。そうすることで、ローカル制御部15Bは、対応するドレン供給弁32を開状態とすることで、当該ボイラ11Bへのドレンの供給を開始させるとともに、対応する補助ポンプ51を停止する(すなわち、クローズド給水ボイラを増加させる)。
【0088】
ステップST120において、制御部50Bは、クローズド給水優先順位に基づいて、クローズド給水優先順位の低いクローズド給水ボイラ11Bを選択して、選択されたクローズド給水ボイラ11Bに対応するローカル制御部15Bに対して、クローズド給水オフ信号を送信する。そうすることで、ローカル制御部15Bは、対応するドレン供給弁32を閉状態とすることで、当該ボイラ11Bへのドレンの供給を停止させるとともに、対応する補助ポンプ51を起動する(すなわち、クローズド給水ボイラを減少させる)。
【0089】
[第3実施形態の効果]
以上のように、第3実施形態のドレン回収システム1Bにおいても、第1実施形態の場合と同様の効果、すなわちクローズド給水ボイラ台数制御部503B(ドレン供給制御部5031B)の制御により、ドレン量に応じてクローズド給水ボイラ台数を制御することにより、ドレンを無駄なく利用することが可能となり、熱効率をより高めることができる。
【0090】
[変形例]ポンプ吐出圧力
なお、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、ドレン供給ラインL3にポンプ吐出圧力検出部35を設置し、ドレン回収システム1は、ドレン供給ラインL3におけるドレン供給ポンプ31のポンプ吐出圧力を監視するポンプ吐出圧力検出部35を備えるように構成してもよい。
その場合、加圧蒸気供給制御部501は、ポンプ吐出圧力検出部35により検出されるポンプ吐出圧力が予め設定された圧力値(第2圧力値)以下となる(又は下回る)場合に、加圧蒸気をドレンタンク20に供給させるようにしてもよい。
この場合、クローズド給水ボイラ台数制御部503B(ドレン供給制御部5031B)は、ポンプ吐出圧力検出部35により検出されるポンプ吐出圧力が予め設定された第2圧力値となり(又は下回り)、かつ水位センサ202により検出されるドレンタンク20内の水位がLとなる(又は下回る)場合には、クローズド給水ボイラ台数制御部503B(ドレン供給制御部5031B)は、クローズド給水優先順位の低い貫流ボイラ11を選択して、当該貫流ボイラ11に対応するローカル制御部15Bに対して、クローズド給水オフ信号を送信するようにすることができる。
そうすることで、ローカル制御部15Bは、対応するドレン供給弁32を閉状態として、当該ボイラ11Bへのドレンの供給を停止させるとともに、対応する補助ポンプ51を起動することで、クローズド給水ボイラの台数を減少させることができる。
【0091】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係るドレン回収システム1Cについて説明する。第4実施形態のドレン回収システム1Cは、第3実施形態に係るドレン回収システム1Bと同様に(1)貫流ボイラ11Cがローカル制御部15Cを備え、ローカル制御部15Cが制御部50Cからの指示(例えばクローズド給水信号)に基づいて、ローカル制御部15Cがドレン供給弁32の開閉に係る制御と補助ポンプ51の起動停止に係る制御を行う。
【0092】
次に、ドレン回収システム1Cについて、特に第2実施形態と異なる機能を有する構成要素について説明する。なお、尚、第2実施形態と同一構成要件を備えるものについては同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0093】
制御部50Cは、図10に示すように貫流ボイラ11Cのローカル制御部15Cと通信可能に接続される。具体的には、図11に示すように、制御部50Cは、オーバーフロー制御部502と、クローズド給水ボイラ台数制御部503Cと、クローズド給水ボイラ台数設定部506と、給水優先順位設定部507と、備える。また、クローズド給水ボイラ台数制御部503Cは、ドレン供給制御部5031Cを備える。
【0094】
ドレン供給制御部5031Cは、貫流ボイラ11Cへのドレンの供給を開始させる場合、給水優先順位設定部507により設定されたクローズド給水優先順位の高い貫流ボイラ11Cを選択して、選択された貫流ボイラ11Cに対応するローカル制御部15Cに対して、クローズド給水オン信号を送信することで、ドレンの供給を開始させる。
より具体的には、ローカル制御部15Cは、ドレン供給制御部5031Cからクローズド給水オン信号を受信すると、対応するドレン供給弁32を開状態とすることで、当該貫流ボイラ11Cへのドレンの供給を開始させるとともに、対応する補助ポンプ51を停止することで、当該貫流ボイラ11Cへの、オープンタンク30に貯留された補給水の供給を停止させる。
【0095】
逆に、ドレン供給制御部5031Cは、貫流ボイラ11Cへのドレンの供給を停止させる場合、給水優先順位設定部507により設定されたクローズド給水優先順位の低い貫流ボイラ11Cを選択して、選択された貫流ボイラ11Cに対応するローカル制御部15Cに対して、クローズド給水オフ信号を送信することで、ドレンの供給を停止させる。
より具体的には、ローカル制御部15Cは、ドレン供給制御部5031Cからクローズド給水オフ信号を受信すると、対応するドレン供給弁32を閉状態とすることで、当該貫流ボイラ11Cへのドレンの供給を停止させるとともに、対応する補助ポンプ51を起動することで、当該貫流ボイラ11Cへの、オープンタンク30に貯留された補給水の供給を開始させる。
以上、ドレン回収システム1Cの構成について説明した。次に、ドレン回収システム1Cのクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理について説明する。
【0096】
ここでは、第2実施形態に係るドレン回収システム1Aのクローズド給水ボイラ台数制御に係る処理手順を示す図7A及び図7Bに記載のフローチャートと、異なる手順(ステップ)について説明する。なお、第2実施形態における手順(ステップ)と同一のものについては同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
ドレン回収システム1Cのクローズド給水ボイラ台数制御に係る手順は、ドレン回収システム1Aのクローズド給水ボイラ台数制御に係る動作におけるステップST201からステップST202、ステップST204からステップST210、ステップST212からステップ213、及びステップST215において、制御部50Aを制御部50Cに読み換えた手順(ステップ)と、ステップST203、ステップST211、及びステップST214をそれぞれ以下のST203、ステップST211、及びステップST214に読み換えた手順(ステップ)と、により構成される。
【0097】
ステップST203において、制御部50Cは、全てのクローズド給水ボイラ11Cに対応するローカル制御部15Cに対して、クローズド給水オフ信号を送信する。そうすることで、ローカル制御部15Cは、対応するドレン供給弁32を閉状態とすることで、当該ボイラ11Cへのドレンの供給を停止させるとともに、対応する補助ポンプ51を起動する(すなわち、クローズド給水ボイラを全て停止させる)。
【0098】
ステップST211において、制御部50Cは、クローズド給水優先順位に基づいて、クローズド給水優先順位の低いクローズド給水ボイラ11Cを選択して、選択されたクローズド給水ボイラ11Cに対応するローカル制御部15Cに対して、クローズド給水オフ信号を送信する。そうすることで、ローカル制御部15Cは、対応するドレン供給弁32を閉状態とすることで、当該ボイラ11Cへのドレンの供給を停止させるとともに、対応する補助ポンプ51を起動する(すなわち、クローズド給水ボイラを減少させる)。
【0099】
ステップST214において、制御部50Cは、クローズド給水優先順位に基づいて、オープン給水ボイラ11Cから1台選択して、当該ボイラのローカル制御部15Cに対して、クローズド給水オン信号を送信する。そうすることで、ローカル制御部15Cは、対応するドレン供給弁32を開状態とすることで、当該ボイラ11Cへのドレンの供給を開始させるとともに、対応する補助ポンプ51を停止する(すなわち、クローズド給水ボイラを増加させる)。
【0100】
[第4実施形態の効果]
以上のように、第4実施形態のドレン回収システム1Cにおいても、第2実施形態の場合と同様の効果、すなわちクローズド給水ボイラ台数制御部503C(ドレン供給制御部5031C)の制御により、ドレン量に応じてクローズド給水ボイラ台数を制御することにより、ドレンを無駄なく利用することが可能となり、熱効率をより高めることができる。
【0101】
以上、本発明のドレン回収システムの好ましい各実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態から第4実施形態では、4台の貫流ボイラ11を有するボイラ装置10を含んで構成したが、これに限らない。1台から3台の貫流ボイラを有するボイラ装置を含んで構成してもよく、5台以上の貫流ボイラを有するボイラ装置を含んで構成してもよい。
また、第1実施形態では、ドレンタンク20のオーバーフローに係る構成を含んでいないが、第2実施形態と同様に、第1実施形態においても、オーバーフローラインL8を設けて、ドレンタンク20とオープンタンク30とを接続してドレンタンク20の内部の水位が所定の水位になるか又は所定の水位を超える場合に、ドレンタンク20の水位を下げるために、ドレンタンク20からオープンタンク30へのドレンを導入する構成を設けてもよい。
【0102】
また、第1実施形態から第4実施形態では、台数制御装置とは別に制御部50、50A、50B、50Cを構成したが、台数制御装置に制御部50、50A、50B、50Cに係る制御を行わせてもよい。
【符号の説明】
【0103】
1,1A,1B,1C ドレン回収システム
10 ボイラ装置
11,11B、11C 貫流ボイラ
12 蒸気ヘッダ
13 連結管
15B,15C ローカル制御部
20,20A ドレンタンク
201 圧力センサ(圧力検出部)
202,202A 水位センサ(水位検出部)
30 オープンタンク
40 負荷機器
50,50A 制御部
501 加圧蒸気供給制御部
502 オーバーフロー制御部
503,503A,503B,503C クローズド給水ボイラ台数制御部
5031,5031A,5031B,5031C ドレン供給制御部
5032,5032A 予備給水制御部
504 補給水供給制御部
506 クローズド給水ボイラ台数設定部
507 給水優先順位設定部
L1 蒸気供給ライン
L2 ドレン回収ライン
21 スチームトラップ
22 逆止弁
L3 ドレン供給ライン
31 ドレン供給ポンプ
32 ドレン供給弁
35 ポンプ吐出圧力検出部
L4 フラッシュ蒸気ライン
41 圧力調整弁
L5 予備給水ライン
51 補助ポンプ
52 逆止弁
L6 加圧蒸気ライン
61 圧力調整弁
62 加圧弁
L7 補給水ライン
71 補給水ポンプ
72 逆止弁
L8 オーバーフローライン
81 オーバーフロー用モータバルブ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11