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特許7027905熱硬化性樹脂組成物及びその硬化膜を備えるカラーフィルター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】熱硬化性樹脂組成物及びその硬化膜を備えるカラーフィルター
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20220222BHJP
   C08G 59/42 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
G02B5/20 101
C08G59/42
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018006214
(22)【出願日】2018-01-18
(65)【公開番号】P2019124853
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】特許業務法人雄渾
(74)【代理人】
【識別番号】100197022
【弁理士】
【氏名又は名称】谷水 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(72)【発明者】
【氏名】権田 淳二
(72)【発明者】
【氏名】田口 寛之
(72)【発明者】
【氏名】中島 喜和
【審査官】渡邊 吉喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111322(JP,A)
【文献】特開2001-350010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
C08G 59/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)で表されるカルボン酸誘導体化合物、
(B)下記式(2)で表される3官能エポキシ化合物および
(C)重量平均分子量が3,000以下の多官能エポキシ化合物(ただし、B成分を除く)
を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
前記の(A)~(C)成分の合計100質量部中に、前記の(A)成分を15~45質量部、(B)成分を45~80質量部、(C)成分を3~25質量部含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【化1】
(式中のRはそれぞれ独立して炭素数2~8のアルキル基である。)
【化2】
【請求項2】
請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる保護膜を有するカラーフィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、およびこれを硬化させてなる保護膜を有するカラーフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置の急速な普及に伴い、液晶表示装置に用いられる高品質なカラーフィルターの需要が高まっている。カラーフィルターは、透明基板上に、所定パターンに形成されたブラックマトリックス層、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)が所定順序に配列された着色層、保護膜を積層した構造が一般的である。この保護膜は、液晶表示装置の製造時や使用時において、カラーフィルターを物理的、化学的に保護する役割を担っている。このため、保護膜は耐薬品性、硬度といった性能に優れることが求められる。また、保護膜は、液晶の駆動に悪影響を及ぼさないように、イオンバリア性や平坦性と言った性能にも優れることが求められる。さらに、保護膜用塗工液に粘度変化(特に粘度上昇)が生じると、当該塗工膜を均一な膜厚で塗工することが困難となるため、保護膜用塗工液には、充分な保存安定性が求められる。そこで、この種の保護膜において、これらの性能を高めることが従来から行われてきた(特許文献1)。
【0003】
ところで、最近は、液晶ディスプレイで再現可能な色域の拡大を目的として、カラーフィルターに使用する色材を顔料系から染料系へ移行することが検討されている。しかし、染料は顔料に比べて耐熱性が低いため、染料の劣化・分解を抑制する観点から、前記の熱硬化性材料には低温硬化性が求められている。
【0004】
また、染料系色材を使用したカラーフィルターでは、配向膜形成工程で染料由来のイオン性成分が保護膜を通り抜けて液晶に溶出し、液晶表示装置の焼き付きや表示ムラを発生させる事例が報告されており(特許文献2)、前記の熱硬化性材料には優れたイオンバリア性も必要とされる。
【0005】
その他に、ディスプレイの軽量化やフレキシブル化を目的として、カラーフィルターへのプラスチック基板の適用も検討されている。このようなプラスチック基板としては、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネートなどが挙げられるが、これらは、従来のガラス基板と比較して耐熱性が低いため、この点からも前記の熱硬化性材料には低温硬化性が求められている。特にポリカーボネートの耐熱温度は120~130℃程度のため、120℃程度で硬化可能な低温硬化性組成物が望まれている。
【0006】
このように、カラーフィルターへの染料系色材やプラスチック基板の適用を考慮すると、保護膜用の熱硬化性材料には、120℃程度での低温硬化が可能で、且つ低温硬化によって得られた硬化膜がイオンバリア性に優れることが必要とされる。加えて、カラーフィルター保護膜・塗工液として一般的に必要とされる耐薬品、硬度、平坦性、保存安定性などにも優れることが求められる。
【0007】
前記のような低温硬化性組成物としては、エポキシ基含有重合体とカチオン重合開始剤の組み合わせ(特許文献3)、およびエポキシ基含有共重合体、非潜在性イミダゾール系エポキシ硬化剤、エチレン性不飽和基含有化合物、ラジカル重合開始剤の組み合わせ(特許文献4)などが報告されており、120℃での低温硬化で耐薬品性や平滑性などに優れる硬化膜が得られることが記載されている。しかしながら、本発明者らの検討によると、これらの組成物は低温硬化時のイオンバリア性が不十分であり、低温硬化性とイオンバリア性が両立されていなかった。さらに、保存安定性も充分とは言えなかった。
【0008】
一方、イオンバリア性に優れる組成物としては、特許文献2にエポキシ樹脂とカルボン酸無水物の組合せが記載されており、230℃での硬化によって得られた硬化膜がイオンバリア性に優れることが報告されている。しかしながら、本発明者らの検討によると、この組成物は、低温硬化性が不十分であり、120℃での低温硬化では充分なイオンバリア性、耐薬品性、硬度などの性能を有する硬化膜が得られなかった。さらに、保存安定性も充分とは言えなかった。
【0009】
そこで、本発明の目的とするところは、120℃での低温硬化であっても、得られた硬化膜がイオンバリア性に優れ、且つ、耐薬品性、硬度、平坦性、保存安定性も良好な熱硬化性樹脂組成物と、その硬化物からなる保護膜を用いたカラーフィルターを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2001-350010号公報
【文献】特開2015-106032号公報
【文献】特開平11-5816号公報
【文献】国際公開第2015/105163号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前記の従来技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、120℃での低温硬化であっても、得られた硬化膜がイオンバリア性に優れ、且つ、耐薬品性、硬度、平坦性、保存安定性も良好な熱硬化性樹脂組成物と、その硬化物からなる保護膜を用いたカラーフィルターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく種々の検討を行った結果、特定のカルボン酸誘導体化合物、特定のエポキシ化合物、重量平均分子量3,000以下のエポキシ化合物を特定の比率範囲で組み合わせることにより、前記の課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は次の〔1〕および〔2〕である。
【0013】
〔1〕
(A)下記式(1)で表されるカルボン酸誘導体化合物、
(B)下記式(2)で表される3官能エポキシ化合物および
(C)重量平均分子量が3,000以下の多官能エポキシ化合物(ただし、B成分を除く)
を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
前記の(A)~(C)成分の合計100質量部中に、前記の(A)成分を15~45質量部、(B)成分を45~80質量部、(C)成分を3~25質量部含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
【化1】
(式中のRはそれぞれ独立して炭素数2~8のアルキル基である。)
【化2】
【0014】
〔2〕
前記の〔1〕に記載の熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる保護膜を有するカラーフィルター。
【発明の効果】
【0015】
本発明の熱硬化性樹脂組成物によれば、120℃で低温硬化した場合でも、イオンバリア性をはじめ、耐薬品、硬度、平坦性などの性能に優れたカラーフィルター保護膜を形成できる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、カラーフィルター保護膜用塗工液に求められる保存安定性にも優れる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
≪熱硬化性樹脂組成物≫
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)カルボン酸誘導体化合物、(B)3官能エポキシ化合物および(C)重量平均分子量が3,000以下の多官能エポキシ化合物(ただし、B成分を除く)を含む。
【0017】
<(A)カルボン酸誘導体化合物>
(A)カルボン酸誘導体化合物は、下記式(1)で表される1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸のカルボキシル基がビニルエーテル化合物によりヘミアセタールエステルとして潜在化、すなわちブロック化されたビニルエーテルブロック多価カルボン酸である。
【化3】
(式中のRはそれぞれ独立して炭素数2~8のアルキル基である。)
【0018】
炭素数2~8のアルキル基としては、例えば、エチル基、i-プロピル基、n-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等のアルキル基が挙げられる。
【0019】
今回、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、ビニルエーテルブロック多価カルボン酸の多価カルボン酸として1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸を用いることで、低温硬化性と保存安定性を両立可能であることを見出した。
【0020】
ビニルエーテル化合物の具体例としては、例えばエチルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等の脂肪族ビニルエーテル化合物が挙げられ、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。この中で、脱ブロック温度の観点から、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、および2-エチルヘキシルビニルエーテルが好ましい。その中でも、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテルが特に好ましい。
【0021】
(A)カルボン酸誘導体化合物は、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸とビニルエーテル化合物とを室温ないし150℃の範囲の温度で反応させることによって得ることができる。ブロック化反応は平衡反応であるため、カルボン酸に対してビニルエーテル化合物を一定過剰量加えると反応が促進され、収率を向上させることができる。なお、カルボン酸とビニルエーテル化合物との反応には、目的に応じて触媒や溶媒を添加することもできる。
【0022】
触媒としては、3級アミン類、イミダゾール類、有機リン系化合物、4級ホスホニウム塩類、ジアザビシクロアルケン類、有機金属化合物類、4級アンモニウム塩類、ホウ素化合物、金属ハロゲン化物等が挙げられる。
【0023】
溶媒としては、芳香族炭化水素、エーテル類、エステルおよびエーテルエステル類、ケトン類、リン酸エステル類、ニトリル類、非プロトン性極性溶媒、プロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類等が挙げられる。
【0024】
(A)カルボン酸誘導体化合物は、(A)~(C)成分の合計100質量部中に、15~45質量部、好ましくは20~40質量部、より好ましくは22~35質量部、特に好ましくは25~30質量部含有する。(A)成分の含有量が低すぎると十分なイオンバリア性が得られず、含有量が高すぎると平坦性が悪化する。
【0025】
<(B)3官能エポキシ化合物>
(B)3官能エポキシ化合物は、下記式(2)で表されるエポキシ化合物である。
【化4】
【0026】
今回、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、(B)3官能エポキシ化合物をエポキシ化合物の主成分として使用することで、低温硬化時にも優れたイオンバリア性を有する硬化膜が得られることを見出した。
【0027】
(B)3官能エポキシ化合物は、(A)~(C)成分の合計100質量部中に、45~80質量部、好ましくは50~70質量部、より好ましくは55~65質量部、特に好ましくは58~60質量部含有する。(B)成分の含有量が低すぎると十分なイオンバリア性が得られず、含有量が高すぎると硬化膜の平滑性(表面荒さ)が悪化する。
【0028】
<(C)多官能エポキシ化合物>
(C)多官能エポキシ化合物は、重量平均分子量が3,000以下で一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物である。このような化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環式型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などが挙げられる。なお、(C)多官能エポキシ樹脂は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。それらの中でも、(A)成分や(B)成分等との相溶性の観点からビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAノボラック型、および脂環式型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0029】
(C)多官能エポキシ化合物は、重量平均分子量が3,000以下であることが好ましく、より好ましくは1,000以下であり、特に好ましくは500以下である。(C)成分の重量平均分子量が3,000以下であると、平坦性が低下することを抑制できる。
多官能エポキシ化合物の分子量は、化合物のエポキシ当量とエポキシ基の個数から求めることができる。
【0030】
(C)多官能エポキシ化合物は、(A)~(C)成分の合計100質量部中に、3~25質量部、好ましくは5~20質量部、より好ましくは8~15質量部、特に好ましくは10~13質量部含有する。(C)成分の含有量が低すぎると、硬化膜の平滑性(表面粗さ)が低下し、含有量が高すぎると十分なイオンバリア性が得られない。
【0031】
熱硬化性樹脂組成物の混合方法は特に限定されず、全成分を同時に混合しても良いし、各成分を順次溶解しても良いが、(A)成分のカルボン酸誘導体化合物は熱によりビニルエーテルの脱離が進行するため、カルボン酸誘導体化合物を含有する組成物を取り扱う際には、30℃以下とすることが好ましい。
【0032】
(その他の添加剤)
熱硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、シランカップリング剤、レベリング剤、酸化防止剤、触媒、安定剤、有機溶剤などの添加剤を加えることができる。
【0033】
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は、シランを利用して有機材料と無機材料とを結合する連結剤であり、有機材料と反応結合する官能基として一般にビニル基、エポキシ基、アミノ基などを有する。具体的には、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、スルフィドシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン等が挙げられる。これらシランカップリング剤は、単独でも2種以上を併用しても良い。
【0034】
<レベリング剤>
レベリング剤は得られる塗膜の外観を向上させる目的で配合されるものであって、この種のカラーフィルター用保護膜において従来から一般的に使用されている、シリコン系、フッ素系、アクリル系等を特に制限無く使用することができる。レベリング剤の市販品としては、例えばメガファックF-410(DIC(株))、同F-430(同)、同F-444(同)、同F-472SF(同)、同F-477(同)、同F-552(同)、同F-553(同)、同F-554(同)、同F-555(同)、同F-556(同)、同F-558(同)、同F-559(同)、同F-561(同)、同R-30(同)、同RS-72-K(同)、同RS-75(同)、ノベックFC-4430(住友スリーエム(株))、FC-4432(同)、サーフロンS-611(AGCセイミケミカル(株))、同S-651(同)、S-386(同)、フタージェント208G(ネオス(株))、同209F(同)、同212P(同)、同220P(同)、同222F(同)、同228P(同)、同240G(同)、同602A(同)、同650A(同)、同710FL(同)、同710FM(同)、FTX-218(同)、BYK―302(ビックケミー・ジャパン(株))、BYK-307(同)、BYK-315(同)、BYK-320(同)、BYK-322(同)、BYK-323(同)、BYK-325(同)、BYK-330(同)、BYK-331(同)、BYK-337(同)、BYK-347(同)、BYK-370(同)、BYK-UV3500(同)、BYK-UV3510(同)、BYK-350(同)、BYK-354(同)、BYK-392(同)、ポリフローKL-400HF(共栄社化学(株))、同KL-401(同)、同KL-402(同)、同KL-403(同)、同KL-404(同)、同KL-100(同)、同KL-600(同)、同KL-700(同)、同WS-30(同)、同No.75(同)、同No.77(同)、同No.90(同)、同No.95(同)、同LE-604(同)等を使用できる。
【0035】
<酸化防止剤>
酸化防止剤としては、IRGANOX1010(BASF)、IRGANOX1035(同)、IRGANOX1076(同)、IRGANOX1135(同)、IRGANOX1726(同)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤等を使用できる。
【0036】
<触媒>
触媒は、(A)成分のビニルエーテルの脱離を促進する目的で配合されるものであり、樹脂組成物の保存安定性が低下しない範囲の配合量とすることが好ましい。具体的には、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン、亜リン酸トリフェニル等の有機リン系化合物;テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩類;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類;オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、オクチル酸ジルコニウム、アルミニウムアセチルアセトネート錯体等の有機金属化合物類等を使用できる。
【0037】
<安定剤>
安定剤は、前記「(A)カルボン酸誘導体化合物」のブロック剤を指し、(A)成分の収率向上の目的で添加される。具体的には、前記「(A)カルボン酸誘導体化合物」の合成に用いられるビニルエーテルが挙げられる。
【0038】
<有機溶剤>
有機溶剤は、熱硬化性樹脂組成物の粘度等を調整する目的で添加される。具体的には、酢酸アミル、エチルエトキシプロピオネート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート等のエステルおよびエーテルエステル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等のグリコール誘導体が挙げられる。
【0039】
(カラーフィルター保護膜の形成)
本発明のカラーフィルターは、上記熱硬化性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物の層を、保護膜として備える。当該熱硬化性樹脂組成物は、基板上に配置された着色層やブラックマトリックスを覆うように塗布される。その塗布方法は特に限定されることは無く、インクジェット法、スピンコート法、ダイコート法等の従来公知の塗工方法を採用することができる。
【0040】
得られた塗膜を乾燥し、さらに必要に応じて予備加熱(以下、プリベーク)を行った後、本硬化加熱(以下、ポストベーク)を経て樹脂硬化物の層を形成する。プリベーク条件として40~110℃、0~1時間、ポストベーク条件として120~280℃、0.2~2時間が好ましい条件として挙げられる。本発明に記載の熱硬化性組成物は120℃での低温硬化が可能であるが、200℃以上での硬化によっても優れた性能を有する硬化膜が得られる。また、この際の加熱手法は特に限定されるものではなく、例えば、密閉式硬化炉や連続硬化が可能なトンネル炉等の硬化装置を採用することができる。加熱源は特に制約されることなく、熱風循環、赤外線加熱、高周波加熱等の方法で行うことができる。
【実施例
【0041】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。
<合成例1:(A)カルボン酸誘導体化合物(A-1)の合成>
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えた4つ口フラスコに、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを26.2質量部、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸を25.5質量部、ビニルエーテルとしてn-プロピルビニルエーテルを48.3質量部を仕込み、攪拌しながら加熱し80℃に昇温した。次いで、温度を保ちながら撹拌し続け、溶液の酸価が1.8mgKOH/g以下に到達したことを確認後、反応を終了し、溶液の酸価0.4mgKOH/gのカルボン酸誘導体化合物(A-1)の60%PGMEA溶液を得た。
【0042】
<酸価>
酸価はJIS K0070-1992「化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価および不けん化物の試験方法」に準拠した方法で測定した。
【0043】
<合成例2~4:(A)カルボン酸誘導体化合物(A-2~A-4)の合成>
表1に示す原料を表1に示す条件で混合し、合成例1と同様の方法でA-2~A-4の反応物を得た。各原料の仕込み量、反応温度、酸価を表1に示す。
【0044】
【表1】

<比較合成例1~2:カルボン酸誘導体化合物(A’-1~A’-2)の合成>
表2に示す原料を表2に示す条件で混合し、合成例1と同様の方法でA’-1~A’-2の反応物を得た。各原料の仕込み量、反応温度、酸価を表2に示す。
【0045】
【表2】
【0046】
表1、表2中の略号は次の通りである。
(多価カルボン酸)
PMA:1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン
TMA:1,2,4-ベンゼントリカルボン酸
CBTA:1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸
(ビニルエーテル)
NPVE:n-プロピルビニルエーテル
IPVE:i-プロピルビニルエーテル
NBVE:n-ブチルビニルエーテル
EHVE:2-エチルヘキシルビニルエーテル
(溶剤)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0047】
<重合例1:重合体(C’-1)の重合>
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた容量500mLの4つ口フラスコに、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを70.0質量部仕込み、攪拌しながら加熱して94℃に昇温した。次いで、94℃の温度で、メタクリル酸を35.0質量部、ベンジルメタクリレートを65.0質量部、日油(株)製の過酸化物系重合開始剤「パーヘキシルO(PHO)」を8.0質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを20.0質量部を予め均一混合したもの(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。その後、94℃の温度を5時間維持し、重量平均分子量(Mw)10,100の重合体(C’-1)の50%PGMEA溶液を得た。
得られた重合体(C’-1)は着色硬化性組成物(X-1)の調製に用いた。
【0048】
<重量平均分子量(Mw)>
重量平均分子量(Mw)は、東ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー装置HLC-8220GPCを用いて、カラムとして東ソー(株)製TSKgel HZM-Mを用い、THFを溶離液とし、RI検出器により測定してポリスチレン換算により求めた。
【0049】
<重合例2~5:重合体(C’-2~C’-5)の重合>
表3に示す原料を表3に示す条件で混合し、重合例1と同様の方法でC’-2~C’-5の重合体を得た。各原料の仕込み量、反応温度、重量平均分子量を表3に示す。
得られた重合体(C’-2~C’-5)は、その他の多官能性化合物として、比較例において用いた。
【0050】
【表3】
【0051】
表3中の略号は次の通りである。
(モノマー)
MAA:メタクリル酸
BzMA:ベンジルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
CHMI:シクロヘキシルマレイミド
DCPMA:ジシクロペンタニルメタクリレート
(重合開始剤)
PHO:t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油(株)製の過酸化物系重合開始剤「製品名:パーヘキシルO」)
(溶剤)
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0052】
<着色硬化性組成物(X-1)の調製>
下記の各成分を溶解混合し、着色硬化性組成物(X-1)を調製した。
・染料:アシッドレッド289(試薬) ・・・15部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、商品名:「KAYARAD DPHA」) ・・・45部
・アルカリ可溶性樹脂:C’-1(重合例1で得られた重合体) ・・・37部
・光重合開始剤:IRGACURE OXE-01(BASF(株)製、商品名:「IRGACURE OXE-01」) ・・・3部
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・100部
【0053】
<着色組成物塗布基板の作製>
上記で得られた着色硬化性組成物(X-1)をスピンコーター(型式1H-DX-2、ミカサ(株)製)により10cm角の無アルカリガラス基板上に回転塗布した。塗布後、基板を80℃のクリーンオーブン中で2分間乾燥処理し、その後、フォトマスクを介さずに超高圧水銀ランプを用いてi線(波長:365nm)を照射した。露光終了後、0.045質量%の水酸化カリウムを用いて現像処理を行った。次に、230℃のクリーンオーブン中で20分間加熱することにより、膜厚2.0μmの着色組成物塗布基板を得た。
【0054】
<実施例1~6、比較例1~15>
表4~表7に示す各成分を表4~表7に示す配合量で溶解混合し、実施例1~6および比較例1~15のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物の塗工液を調製した。なお、表4~表7において、各成分の含有量を示す数値は質量部である。また、表4~表7中の略号は次の通りである。
【0055】
<(A’)その他のカルボン酸誘導体化合物>
PMA:1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸
TMA-an:1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物
<(B)3官能エポキシ化合物>
VG3101L:グリシジルエーテル型エポキシ化合物((株)プリンテック製、商品名:「テクモアVG3101L」、エポキシ当量210g/eq)
<(C)分子量が3,000以下の多官能エポキシ化合物>
EP828:ビスフェノールA型エポキシ化合物(三菱化学(株)製、商品名:「jER 828」、エポキシ当量189g/eq)
CEL2021P:3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート((株)ダイセル製、商品名:「セロキサイド2021P」、エポキシ当量130g/eq)
YX8000:水添ビスフェノールA型エポキシ化合物(三菱化学(株)製、商品名:「jER YX8000」、エポキシ当量205g/eq)
EP157:ビスフェノールAノボラック型エポキシ化合物(三菱化学(株)製、商品名:「jER 157S70」、エポキシ当量210g/eq)
GT401:ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン((株)ダイセル製、商品名:「エポリードGT401」、エポキシ当量220g/eq)
EP807:ビスフェノールF型エポキシ化合物(三菱化学(株)製、商品名:「jER 807」、エポキシ当量168g/eq)
EOCN1020:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名:「EOCN1020」、エポキシ当量200g/eq)
EP1007:ビスフェノールA重合型エポキシ化合物(三菱化学(株)製、商品名:「jER 1007」、エポキシ当量2000g/eq)
EHPE3150:2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、脂環式型エポキシ化合物((株)ダイセル製、商品名:「EHPE3150」、エポキシ当量176g/eq)
YX8034:水添ビスフェノールA型エポキシ化合物(三菱化学(株)製、商品名:「jER YX8034」、エポキシ当量270g/eq)
<(C’)その他の他官能化合物>
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、商品名:「KAYARAD DPHA」)
<シランカップリング剤>
OFS-6040:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名:「OFS-6040」)
X-41-1059A:エポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤(信越化学(株)製、商品名:「X-41-1059A」)
KR-516: エポキシ基含有オリゴマー型シランカップリング剤(信越化学(株)製、商品名:「KR-516」)
X-12-967C:3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(信越化学(株)製、商品名:「X-12-967C」)
<レベリング剤>
F-477:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F-477」)
F-559:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F-559」)
FTX-218:フッ素系レベリング剤((株)ネオス製、商品名:「FTX-218」)
602A:フッ素系レベリング剤((株)ネオス製、商品名:「フタージェント 602A」)
BYK-307:シリコーン系レベリング剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:「BYK-307」)
F-554:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F-554」)
R-30:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック R-30」)
F-554:フッ素系レベリング剤(DIC(株)製、商品名:「メガファック F-554」)
BYK-330:シリコーン系レベリング剤(ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名:「BYK-330」)
<酸化防止剤>
IRGANOX-1010:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF(株)製、商品名:「IRGANOX-1010」)
<硬化助剤>
ZrOct:2-エチルヘキシル酸ジルコニウム(日本化学産業(株)製、商品名「ニッカオクチックスジルコニウム10%(K)」
DMCHA:ジメチルシクロヘキシルアミン(試薬)
SI-100:カチオン重合開始剤(三新化学工業(株)製、商品名「サンエイドSI-100L」
2E4MZ:2-エチル-4-メチルイミダゾール(四国化成工業(株)性、商品名:「キュアゾール 2E4MZ」)
Vam-110:アゾ系重合開始剤(試薬)
<安定剤>
NPVE:n-プロピルビニルエーテル
IPVE:i-プロピルビニルエーテル
NBVE:n-ブチルビニルエーテル
EHVE:2-エチルヘキシルビニルエーテル
<溶剤>
PGMEA: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EEP: エチルエトキシプロピオネート
MMBA: 3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート
EDM: ジエチレングリコールエチルメチルエーテル
PGDA:プロピレングリコールジアセテート
ELA:乳酸エチル
【0056】
実施例1~6および比較例1~15のカラーフィルター保護膜用樹脂組成物の塗工液は、それぞれメンブレンフィルター(材質:PE、孔径:0.2μm)で濾過した後、更に中空系フィルター(材質:PP、孔径:0.02μm)で濾過した。得られたカラーフィルター保護膜用樹脂組成物の塗工液を、スピンコーター(型式1H-DX-2、ミカサ(株)製)により無アルカリガラス基板、前記の着色組成物塗布基板、ダミーカラーフィルター基板上に回転塗布した。塗布後、基板を90℃のクリーンオーブン中で2分間乾燥処理し、その後、120℃のクリーンオーブン中で30分間加熱することにより、所定の膜厚の硬化膜を得た。得られた硬化膜或いはカラーフィルター保護膜用樹脂組成物について、イオンバリア性、耐薬品性、硬度、平坦性、平滑性、および保存安定性の評価を、次のように行った。評価の結果を表4~表7に示す。
【0057】
<イオンバリア性>
1.0μm厚の硬化膜を形成した着色組成物塗布基板をホットプレート上で60℃に加熱し、同温度で基板上にN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を4.0mL滴下して30分間保持する。試験終了後、基板上のNMPを回収し、NMPに含まれるNaイオン量を誘導結合プラズマ質量分析計(NexION 300D,(株)パーキンエルマージャパン製)にて分析した。本発明の目的に供するには、試験後のNMPに含まれるNaイオン量が1.0ppm以下の必要がある。
【0058】
<耐薬品性>
1.5μm厚の硬化膜を形成した無アルカリガラス基板を、25℃でNMPに30分間浸漬した際の試験前後の硬化膜の膜厚を測定し、膜厚変化率を算出した。本発明の目的に供するには、試験前後の膜厚変化率が1.0%以下の必要がある。
【0059】
<硬度>
1.5μm厚の硬化膜を形成した無アルカリガラス基板を用いて、JIS K 5600-5-4に準拠した方法で硬化膜の鉛筆硬度を評価した。本発明の目的に供するには、硬化膜の鉛筆硬度が3H以上の必要がある。
【0060】
<平坦性>
硬化膜形成前、および1.5μm厚の硬化膜形成後のダミーカラーフィルター基板の表面段差を、触針式表面粗度計(型式EK4000AK,小坂研究所(株)製)にて測定した。硬化膜形成前のダミーカラーフィルター基板の最大高低差(d1)と硬化膜形成後のダミーカラーフィルター基板の最大高低差(d2)から、下記の計算式(1)により、平坦化率Xを算出した。なお、硬化膜形成前のダミーカラーフィルター基板の最大高低差(d1)は、1.5μmである。
【数1】
平坦化率Xが、90%以上の場合を○、80~90%の場合を△、80%以下の場合を×と評価した。本発明の目的に供するには、平坦化率が90%以上の必要がある。
【0061】
<平滑性>
1.5μm厚の硬化膜を形成した無アルカリガラス基板の硬化膜表面を、走査型プローブ顕微鏡(AFM5100N、(株)日立ハイテクサイエンス製)にて測定し、硬化膜表面の算術平均粗さを測定した。本発明の目的に供するには、算術平均粗さ(Ra)が3.0nm以下の必要がある。
【0062】
<保存安定性>
熱硬化性樹脂組成物の塗工液を密閉容器中に5℃で放置し、測定温度25℃での粘度が塗工液調製直後の粘度の2倍になるまでの期間(日)を計測した。本発明の目的に供するには、180日以上の必要がある。
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
表4の結果から、実施例1~6では、120℃の低温硬化であってもイオンバリア性に優れ、且つ耐薬品性、硬度、平坦性、平滑性にも優れた硬化膜が得られた。また、塗工液の保存安定性も優れていた。
【0068】
一方、表5の結果から、比較例1~5では(A)成分、(B)成分、および(C)成分の何れかの配合量が過少或いは過剰、または、(C)成分の重量平均分子量が3,000を超えていたため、イオンバリア性、平坦性、平滑性などの一部の性能が不充分であった。また、表6の結果から、比較例6~9では、(B)成分を含有していないため、イオンバリア性が不充分であった。さらに、表7の結果から、比較例10~15では、(A)成分の代わりに、その他のカルボン酸系硬化剤やカチオン重合系硬化剤を使用したため、イオンバリア性や保存安定性が不充分であった。