(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像不具合軽減方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/00 20060101AFI20220222BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
G03G15/00 303
G03G21/00 318
(21)【出願番号】P 2018044270
(22)【出願日】2018-03-12
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086933
【氏名又は名称】久保 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125117
【氏名又は名称】坂田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】野村 佳孝
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-207526(JP,A)
【文献】特開2012-177866(JP,A)
【文献】特開2008-139804(JP,A)
【文献】特開2012-203337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0176845(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/00
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーによってトナー像が形成され、かつ、前記トナーを分離するための滑剤が供給される像担持体と、
印刷する対象であるページの、前記像担持体の長手方向に並ぶ複数の領域ごとに、当該領域の広さに対する当該ページのうちの当該領域の部分を印刷するために必要な前記トナーの量の割合を算出する、算出手段と、
前記複数の領域それぞれの前記割合のうちの最大値と最小値との差が閾値を超える場合に、当該差が当該閾値を超えない場合よりも強い交流電圧を用いて前記像担持体を帯電させる帯電手段と、
前記トナー像が前記像担持体から他の媒体に転写された後、当該像担持体に残存する前記トナーおよび前記滑剤を除去する除去手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナーによってトナー像が形成され、かつ、前記トナーを分離するための滑剤が供給される像担持体と、
印刷する対象であるページの、前記像担持体の長手方向に並ぶ複数の領域ごとに、当該領域の広さに対する当該ページのうちの当該領域の部分を印刷するために必要な前記トナーの量の割合を算出する、算出手段と、
前記複数の領域それぞれの前記割合のうちの最大値と最小値との差が閾値を超えた第一の回数が、当該差が当該閾値を超えなかった第二の回数よりも所定の回数以上多い状態になった後、通常よりも強い交流電圧を用いて前記像担持体を帯電させる帯電手段と、
前記トナー像が前記像担持体から他の媒体に転写された後、当該像担持体に残存する前記トナーおよび前記滑剤を除去する除去手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電手段は、前記状態になった後、印刷したページが所定の数に達するまで、前記交流電圧を用いて前記像担持体を帯電させる、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記所定の回数は、前記閾値が大きいほど少ない、
請求項2
または請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記所定の回数は、当該画像形成装置の周囲または定着手段の温度または湿度が高いほど少ない、
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記所定の回数は、印刷速度が速いほど少ない、
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記所定の回数は、前記トナーの帯電量が多いほど少ない、
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記所定の回数は、前記像担持体の表面が粗いほど少ない、
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記複数の領域は、前記滑剤の供給元に近いほど幅が狭い、
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
トナーによってトナー像が形成され、かつ、前記トナーを分離するための滑剤が供給される像担持体、を有する画像形成装置における、画像不具合軽減方法であって、
印刷する対象であるページの、前記像担持体の長手方向に並ぶ複数の領域ごとに、当該領域の広さに対する当該ページのうちの当該領域の部分を印刷するために必要な前記トナーの量の割合を算出し、
前記複数の領域それぞれの前記割合のうちの最大値と最小値との差が閾値を超える場合に、当該差が当該閾値を超えない場合よりも強い交流電圧を用いて前記像担持体を帯電させる、
ことを特徴とする画像不具合軽減方法。
【請求項11】
トナーによってトナー像が形成され、かつ、前記トナーを分離するための滑剤が供給される像担持体、を有する画像形成装置に用いられるコンピュータプログラムであって、
前記画像形成装置に、
印刷する対象であるページの、前記像担持体の長手方向に並ぶ複数の領域ごとに、当該領域の広さに対する当該ページのうちの当該領域の部分を印刷するために必要な前記トナーの量の割合を算出する算出処理を実行させ、
前記複数の領域それぞれの前記割合のうちの最大値と最小値との差が閾値を超える場合に、当該差が当該閾値を超えない場合よりも強い交流電圧を用いて前記像担持体を帯電させる帯電処理を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置におけるノイズ等の不具合を減らす技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置が普及している。このような画像形成装置には、像担持体が設けられている。印刷する対象の画像のトナー像を像担持体に形成する際に、像担持体を帯電させ、像担持体にトナーが供給される。そして、像担持体からシートまたは転写ベルトへトナー像が転写される。像担持体に残存したトナーは、クリーニングブレードによって除去される。
【0003】
トナーが像担持体から転写ベルトなどへ容易に転写されるように、トナーには、滑剤が混合されている。
【0004】
滑剤は、像担持体からトナーとともにクリーニングブレードによって削り取られて除去されるので、クリーニング後、滑剤の残留量が像担持体の長手方向で不均一になることがある。
【0005】
すると、新たにトナー像を形成するために像担持体を帯電させると、滑剤の残留量が多い部分と少ない部分とで電位の差が生じる。この差によって、トナー像にノイズなどの不具合が生じることがある。
【0006】
そこで、滑剤の残留による不具合を解消する技術として、次のような技術が提案されている。
【0007】
特許文献1に記載される技術によると、潤滑剤塗布装置を備え、感光体の長手方向で分割された複数の小片からなる固形の潤滑剤の潤滑剤塗布手段への当接が任意の小片毎に接離可能、または、当接圧が任意に変更可能にしている。そして、トナー入力量に応じて潤滑剤を接離または当接圧を変更することで、トナー入力量に応じて適正な潤滑剤塗布を行っている。
【0008】
特許文献2に記載される技術によると、作像ユニットの帯電ローラに交流電圧を印加する電源装置とこの電源装置が印加する交流ピーク間電圧(Vp-p)を変更する交流ピーク間電圧変更手段を配置する。交流ピーク間電圧変更手段は、感光体ドラムの画像面積率が小さくなるにつれて交流ピーク間電圧(Vpp)を大きくし、画像面積率が大きくなるにつれて交流ピーク間電圧(Vp-p)を小さくする。
【0009】
特許文献3に記載される技術によると、感光体ドラム等の像担持体に潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置を搭載し、感光体ドラムを帯電させる帯電手段に交流電圧を印加する電子写真式の画像形成装置において、潤滑剤の消費量変動に合わせて、帯電手段に印加する交流ピーク間電圧(Vp-p)を変化させる。潤滑剤塗布装置が、棒状の固形潤滑剤をブラシローラで削り取りって感光体ドラムへ塗布する機構であり、ブラシローラの使用初期に前記帯電手段に印加する交流ピーク間電圧(Vp-p)を大きくし、潤滑剤の使用初期には小さくし、また、ブラシローラの使用時間にあわせて小さくしていく。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2007-147917号公報
【文献】特開2012-177866号公報
【文献】特開2013-44871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に記載される技術によると、滑剤を塗布する手段を入力画像に応じて制御しなければならないので、仕組みが複雑かつ大掛かりになってしまう。
【0012】
特許文献2または特許文献3に記載される技術によると、感光体ドラム(像担持体)全体の滑剤の量を調節することはできるが、感光体ドラム上の長手方向における滑剤の量の差による不具合の発生を抑制することはできない。
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑み、滑剤の残存による画像の不具合の発生を従来よりも簡単な仕組みによって減らすことを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一形態に係る画像形成装置は、トナーによってトナー像が形成され、かつ、前記トナーを分離するための滑剤が供給される像担持体と、印刷する対象であるページの、前記像担持体の長手方向に並ぶ複数の領域ごとに、当該領域の広さに対する当該ページのうちの当該領域の部分を印刷するために必要な前記トナーの量の割合を算出する、算出手段と、前記複数の領域それぞれの前記割合のうちの最大値と最小値との差が閾値を超える場合に、当該差が当該閾値を超えない場合よりも強い交流電圧を用いて前記像担持体を帯電させる帯電手段と、前記トナー像が前記像担持体から他の媒体に転写された後、当該像担持体に残存する前記トナーおよび前記滑剤を除去する除去手段と、を有する。
【0015】
本発明の他の一形態に係る画像形成装置は、トナーによってトナー像が形成され、かつ、前記トナーを分離するための滑剤が供給される像担持体と、印刷する対象であるページの、前記像担持体の長手方向に並ぶ複数の領域ごとに、当該領域の広さに対する当該ページのうちの当該領域の部分を印刷するために必要な前記トナーの量の割合を算出する、算出手段と、前記複数の領域それぞれの前記割合のうちの最大値と最小値との差が閾値を超えた第一の回数が、当該差が当該閾値を超えなかった第二の回数よりも所定の回数以上多い状態になった後、通常よりも強い交流電圧を用いて前記像担持体を帯電させる帯電手段と、前記トナー像が前記像担持体から他の媒体に転写された後、当該像担持体に残存する前記トナーおよび前記滑剤を除去する除去手段と、を有する。
【0016】
好ましくは、前記帯電手段は、前記状態になった後、印刷したページが所定の数に達するまで、前記交流電圧を用いて前記像担持体を帯電させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、滑剤の残存による画像の不具合の発生を従来よりも簡単な仕組みによって減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】画像形成装置を有するネットワークシステムの例を示す図である。
【
図2】画像形成装置のハードウェア構成の例を示す図である。
【
図3】プリントユニットの構成の例を示す図である。
【
図5】滑剤による画像の不具合の例を説明するための図である。
【
図6】画像形成装置の機能的構成の例を示す図である。
【
図8】モード切換処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【
図9】画像形成装置における印刷に関する全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、画像形成装置1を有するネットワークシステムの例を示す図である。
図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。
図3は、プリントユニット10iの構成の例を示す図である。
図4は、トナー像形成部2の構成の例を示す図である。
図5は、滑剤による画像の不具合の例を説明するための図である。
【0020】
図1に示す画像形成装置1は、一般にMFP(Multi Function Peripherals)または複合機などと呼ばれる装置であって、コピー、PCプリント、ファクシミリ、およびスキャンなどの機能を集約した装置である。
【0021】
PCプリント機能は、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはサーバなどから画像データを受信し画像を用紙またはフィルムなどの記録媒体(以下、「シート」と記載する。)に印刷する機能である。「ネットワークプリンタ機能」または「ネットワークプリンティング機能」などと呼ばれることもある。
【0022】
画像形成装置1は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、補助記憶装置10d、操作パネル10e、NIC(Network Interface Card)10f、ファクシミリユニット10g、スキャンユニット10h、およびプリントユニット10iなどによって構成される。
【0023】
NIC10fは、通信回線を介してパーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはサーバなどを相手にTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで通信を行う。
【0024】
ファクシミリユニット10gは、公衆電話回線を介してファクシミリ端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りする。
【0025】
操作パネル10eは、キー入力部10e1およびタッチパネルディスプレイ10e2(
図3参照)などによって構成される。
【0026】
キー入力部10e1は、いわゆるハードウェアキーボードであって、テンキー、スタートキー、ストップキー、およびファンクションキーなどによって構成される。
【0027】
タッチパネルディスプレイ10e2は、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU10aなどで実行された処理の結果を示す画面などを表示する。
【0028】
ユーザは、これらの画面を見ながらキー入力部10e1またはタッチパネルディスプレイ10e2を操作することによって、画像形成装置1に対してデータおよびコマンドなどを入力することができる。
【0029】
スキャンユニット10hは、プラテンガラスの上にセットされたシートに記されている画像を読み取って画像データを生成する。
【0030】
プリントユニット10iは、スキャンユニット10hによって読み取られた画像のほか、他の装置から受信した画像データに示される画像を電子写真方式でシートに印刷する。以下、プリントユニット10iとして、タンデム方式のカラーの印刷エンジンが用いられる場合を例に説明する。
【0031】
プリントユニット10iは、
図3に示すように、主に作像部17および搬送部18によって構成される。
【0032】
作像部17は、トナーボトル17B、攪拌羽17C、トナー像形成部2、中間転写ベルト17E、中間転写ベルトクリーナ17F、および廃トナーボックス17Gなどによって構成される。作像部17の各部によって、シートに印刷する像が次のように形成される。
【0033】
トナーボトル17B、攪拌羽17C、およびトナー像形成部2は、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色ごとに1つずつ設けられている。以下、シアンのトナーボトル17B、攪拌羽17C、およびトナー像形成部2を例に説明する。
【0034】
トナーボトル17Bには、補充用のシアンのトナーが蓄えられている。攪拌羽17Cは、シアンのトナーをトナーボトル17Bからトナー像形成部2へ補給する。
【0035】
トナー像形成部2は、印刷する対象の画像のトナー像を以下のように形成し中間転写ベルト17Eへ転写する。
【0036】
トナー像形成部2は、
図4に示すように、像担持体2A、帯電装置2B、露光装置2C、現像器2D、中間転写装置2E、およびクリーニングユニット2Fなどによって構成される。
【0037】
像担持体2Aは、「感光ドラム」または「感光体ドラム」などと呼ばれることがある。像担持体2Aは、矢印M1の方向へ回転する。
【0038】
帯電装置2Bは、帯電ローラ2B1および印加回路2B2などによって構成される。そして、像担持体2Aの表面の、帯電ローラ2B1に対向する部分の全体を次のように帯電させる。
【0039】
印加回路2B2は、直流のマイナス電圧に交流の電圧を重畳した定電圧を帯電ローラ2B1に印加する。帯電ローラ2B1は、矢印M2の方向に回転しながら、像担持体2Aを帯電させる。
【0040】
帯電装置2Bには、交流電圧の強弱のモード(以下、「電圧モード」と記載する。)として、通常モードおよび調整モードの2つのモードが用意されている。印加回路2B2は、通常モードにおいては、所定の強さの交流電圧Voを直流電圧に重畳させる。しかし、調整モードにおいては、交流電圧の強さを通常モードよりも上げて重畳させる。したがって、像担持体2Aは、調整モードにおいては、通常モードよりも強く帯電する。デフォルトの電圧モードは、通常モードである。
【0041】
露光装置2Cは、印刷する対象の画像に応じて像担持体2Aの表面へ光を照射することによって、この画像に対応する静電潜像を像担持体2Aの表面に形成(作像)する。特に、この露光装置2Cは、この画像の中のシアンの成分(画素)に対応する静電潜像を形成する。
【0042】
現像器2Dは、現像ローラ2D1、印加回路2D2、スクリュー2D3、およびトナー槽2D4などによって構成され、シアンのトナーを像担持体2Aの表面に載せることによって像担持体2Aにシアンのトナー像を形成する。
【0043】
トナー槽2D4には、シアンのトナーおよびキャリアが一定の割合で混合されて蓄えられている。トナーは、トナーボトル17Bから適宜、補給される。さらに、トナー槽2D4には、像担持体2Aから中間転写ベルト17Eへトナーが移動しやすくし、かつ、像担持体2Aに残存したトナーが中間転写ベルト17Eから分離されやすくするために、滑剤が加えられている。滑剤は、「潤滑剤」と呼ばれることもある。
【0044】
印加回路2D2は、直流のマイナス電圧に交流の電圧を重畳した定電圧を現像ローラ2D1に印加する。
【0045】
スクリュー2D3は、トナーおよび現像剤を、キャリアを介在させて現像ローラ2D1に付着させる。現像ローラ2D1は、矢印M3の方向に回転する。すると、現像ローラ2D1の表面に付着したトナーが、像担持体2Aに形成された静電潜像の部分へ移動する。これにより、像担持体2Aにトナー像が形成される。滑剤も、トナーとともに像担持体2Aの表面へ移動する。
【0046】
中間転写ベルト17Eが、中間転写装置2Eと像担持体2Aとの間を通っており、像担持体2Aの回転によって像担持体2Aの表面が動く速さに合わせて、矢印M4の方向へ動く。
【0047】
中間転写装置2Eは、転写ローラ2E1および印加回路2E2などによって構成され、像担持体2Aに形成されたトナー像を中間転写ベルト17Eへ次のように転写する。
【0048】
印加回路2E2は、直流のプラス電圧を転写ローラ2E1に印加する。すると、転写ローラ2E1の表面がプラスに帯電する。
【0049】
転写ローラ2E1は、矢印M5の方向へ回転する。プラスに帯電しているので、トナー像が像担持体2Aの表面から分離し転写ローラ2E1の表面へ向かう。そして、中間転写ベルト17Eに付着する。これにより、トナー像が中間転写ベルト17Eに転写される。
【0050】
クリーニングユニット2Fは、クリーニングブレード2F1および廃トナートレイ2F2などによって構成される。
【0051】
クリーニングブレード2F1は、像担持体2Aの表面に残存しているトナーを表面から削り取ることによって分離(除去)する。分離されたトナー(いわゆる廃トナー)は、廃トナートレイ2F2に収納される。滑剤も削り取られて廃トナートレイ2F2に収納される。電圧モードが調整モードである場合は、通常モードである場合よりも像担持体2Aが強く帯電している。よって、調整モードである場合は、通常モードである場合よりも、滑剤が削り取られやすくなる。これにより、像担持体2Aの長手方向の、滑剤の量の不均一が従来よりも軽減されやすくなる。
【0052】
マゼンタ、イエロー、およびブラックそれぞれのトナーボトル17B、攪拌羽17C、およびトナー像形成部2も、シアンのそれらと同様の役割を有し、マゼンタ、イエロー、およびブラックそれぞれのトナー像を中間転写ベルト17Eに転写する。
【0053】
このようにして、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックそれぞれのトナー像が、中間転写ベルト17Eに重ね合わされる。
【0054】
ところで、トナーが分離される際に、像担持体2Aの表面がトナーとともに削り取られることがある。トナーが残存している部分ほど削り取られやすい。よって、像担持体2Aの表面が偏って摩耗する。像担持体2Aの表面が長手方向に偏って摩耗すると、滑剤の残留する量が、
図5(A)に示すように、像担持体2Aの長手方向で不均一になることがある。
【0055】
すると、その後、新たにトナー像を形成するために像担持体2Aを帯電させると、滑剤の残留量が多い部分と少ない部分とで電位の差が生じる。この差によって、
図5(B)のように、トナー像にノイズなどの不具合が生じてしまう。この不具合を抑える方法については、後に説明する。
【0056】
図3に戻って、搬送部18は、給紙トレイ18A、給紙ローラ18B、レジストローラ18C、二次転写ローラ18D、加熱ローラ18E、加圧ローラ18F、排紙ローラ18G、手差トレイ18H、手差給紙ローラ18J、および縦搬ローラ18K、18Lなどによって構成される。搬送部18の各部は、次のようにシートを搬送しトナー像をシートに定着させる。
【0057】
給紙トレイ18Aには、画像を印刷するためのシートが多数セットされる。通常は、定型のコピー用紙がセットされる。
【0058】
給紙ローラ18Bは、給紙トレイ18Aにセットされているシートを搬送経路3へ送り出す。
【0059】
縦搬ローラ18Kは、給紙トレイ18Aから送り出されたシートをレジストローラ18Cへ搬送する。
【0060】
手差トレイ18Hには、いわゆる手差し印刷のために1枚ないし十数枚程度のシートがセットされる。給紙トレイ18Aにセットされるシートと同じタイプのシートをセットすることもできるが、異なるタイプのシートが主にセットされる。
【0061】
手差給紙ローラ18Jは、手差トレイ18Hにセットされたシートを搬送経路3へ送り出す。
【0062】
縦搬ローラ18Lは、手差トレイ18Hから送り出されたシートをレジストローラ18Cへ搬送する。
【0063】
レジストローラ18Cは、給紙ローラ18Bまたは手差給紙ローラ18Jによって搬送されてきたシートを一旦停止させ、所定のタイミングで二次転写ローラ18Dへ送り出す。
【0064】
二次転写ローラ18Dは、中間転写ベルト17Eに重ね合わされたトナー像を、レジストローラ18Cから送られてきたシートに転写する。
【0065】
加熱ローラ18Eは、トナー像が転写されたシートを加熱する。加圧ローラ18Fは、トナー像が転写されたシートを加圧する。これにより、トナー像がシートに定着する。加熱ローラ18Eおよび加圧ローラ18Fは、一般に「定着ローラ」と呼ばれることがある。
【0066】
排紙ローラ18Gは、トナー像が定着したシートを所定の位置(排紙トレイまたはビン)へ送り出す。
【0067】
作像部17の中間転写ベルトクリーナ17Fは、シートへ転写されず中間転写ベルト17Eに残留したトナーを、中間転写ベルト17Eから分離する。分離されたトナー(いわゆる廃トナー)は、廃トナーボックス17Gに収納される。
【0068】
図2に戻って、ROM10cまたは補助記憶装置10dには、上述の各機能を実現するためのプログラムが記憶されている。特に、本実施形態では、印刷制御プログラム10P(
図6参照)が記憶されている。
【0069】
これらのプログラムは、RAM10bにロードされCPU10aによって実行される。補助記憶装置10dとして、ハードディスクまたはSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
【0070】
印刷制御プログラム10Pは、画像をシートに印刷するためのコンピュータプログラムである。また、印刷制御プログラム10Pによると、滑剤のムラによって印刷物に発生するノイズを従来よりも低減することができる。以下、この仕組みについて、説明する。
【0071】
図6は、画像形成装置1の機能的構成の例を示す図である。
図7は、分割領域4の例を示す図である。
図8は、モード切換処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0072】
印刷制御プログラム10Pによると、
図6に示すカウンタ記憶部101、フラグ記憶部102、ラスタライズ部103、カバレッジ算出部104、画像形成制御部105、カウンタ更新部106、およびモード切換部107などが実現される。
【0073】
カウンタ記憶部101には、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)それぞれの色ごとに、1組の第一のカウンタ5A、第二のカウンタ5B、および第三のカウンタ5Cが記憶されている。これらのカウンタの使い方は、後に説明する。これらのカウンタの初期値は、いずれも「0」である。
【0074】
フラグ記憶部102には、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックごとに新品フラグ5Fが1つずつ記憶されている。新品フラグ5Fは、それに対応する色の像担持体2Aが新品であるか否かを示す。「1」であれば新品であることを意味し、「0」であれば新品でないことを意味する。いずれの新品フラグ5Fのデフォルトの値も、「1」である。
【0075】
コピージョブ、ファックス受信ジョブ、またはPCプリントジョブなど、印刷を伴うジョブが与えられると、ラスタライズ部103ないしモード切換部107は、画像をシートに印刷しまたは滑剤の残存による不具合を軽減するための処理を次のように実行する。
【0076】
ラスタライズ部103は、NIC10fもしくはファクシミリユニット10gによって受信された画像データまたはスキャンユニット10hによって生成された画像データを、CMYKのビットマップデータに変換する。つまり、ラスタライズを行う。画像データが複数のページからなる原稿のものである場合は、ページごとのビットマップデータに変換する。
【0077】
カバレッジ算出部104は、ラスタライズ部103によって得られたビットマップデータに基づいて、各ページの分割領域4それぞれにおける各色のカバレッジ(網羅率)Rを算出する。
【0078】
「分割領域4」は、
図7に示すように、ページ全体をシートの進行方向に沿って複数に分割したものである。よって、分割領域4は、像担持体2Aの長手方向に沿って並んでいる。以下、各ページが3つに等分された場合を例に説明する。また、1つのページの各分割領域4を左から順に「分割領域4A」、「分割領域4B」、および「分割領域4C」と区別して記載する。
【0079】
あるページのある分割領域4のある色の「カバレッジR」は、その分割領域4の全体に対する、その分割領域4においてその色のドットが占める割合である。つまり、カバレッジRは、次の(1)式によって算出される。
R(cr,p,k)=(D(cr,p,k)/W(p,k))×100(%) … (1)
ただし、cr∈{シアン,マゼンタ,イエロー,ブラック}、である。
pは、ページ番号である。
D(cr,p,k)は、p番目のページの左からk番目の分割領域4におけるcr色のドットの総面積である。
W(p)は、p番目のページの左からk番目の分割領域4全体の面積である。
画像形成制御部105は、ラスタライズ部103によって得られたビットマップデータに基づいて、1つのページが1枚のシートに印刷されるように、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックそれぞれのトナー像形成部2の各部を制御する。
【0080】
以下、画像形成制御部105の処理を、Nページ(N≧2)からなる原稿のk番目のページを印刷するためにシアンのトナー像形成部2の各部を制御する場合を例に説明する。
【0081】
画像形成制御部105は、シアンのトナー像形成部2の像担持体2A、帯電ローラ2B1、現像ローラ2D1、スクリュー2D3、および転写ローラ2E1を、それぞれに設定されている所定の速さでかつ所定の方向へ回転させる。
【0082】
さらに、画像形成制御部105は、直流電圧および強さがVppの交流電圧を重畳させたものを帯電ローラ2B1に印加されるように、印加回路2B2を制御する。現在、電圧モードが通常モードである場合は、Vppは、Voである。一方、電圧モードが調整モードである場合は、VoをVaだけ強くする。つまり、Vpp=Vo+Va、である。Vaは、例えば、500ボルトである。電圧モードの切換えについては、後に順次説明する。
【0083】
さらに、画像形成制御部105は、現像ローラ2D1の表面の電位が所定の電位になるように定電圧が現像ローラ2D1に印加されるように印加回路2D2を制御する。直流のプラス電圧が転写ローラ2E1に印加されるように印加回路2E2を制御する。
【0084】
そして、画像形成制御部105は、印刷する画像に合わせて像担持体2Aの表面が照射されるように露光装置2Cを制御する。
【0085】
すると、その画像の静電潜像が像担持体2Aの表面に形成される。そして、像担持体2Aの表面の、静電潜像が形成されている部分に、トナー像が形成され、トナー像が像担持体2Aの表面から中間転写ベルト17Eへ転写される。
【0086】
その後、像担持体2Aの表面に残存しているトナーがクリーニングユニット2Fによって除去される。
【0087】
ところで、電圧モードは、シアンの第一のカウンタ5A、第二のカウンタ5B、または第三のカウンタ5Cの値に基づいてモード切換部107によって切り換えられる。また、第一のカウンタ5A、第二のカウンタ5B、および第三のカウンタ5Cは、カウンタ更新部106によって更新される。
【0088】
電圧モードの切換えおよびこれらのカウンタの更新は、K番目のページの画像形成のために像担持体2Aが帯電装置2Bによって帯電される前に、
図8に示す手順で行われる。なお、
図8のおいて「α」、「β」、「γ」は、それぞれ、第一のカウンタ5A、第二のカウンタ5B、および第三のカウンタ5Cの各値を意味する。
【0089】
カウンタ更新部106は、現在の電圧モードが通常モードである場合は(
図8の#701でYes)、カウンタ更新部106は、K番目のページの分割領域4A、4B、および4CそれぞれのシアンのカバレッジRのうちの最大値と最小値との差が閾値Th1以下であれば、第一のカウンタ5Aおよび第二のカウンタ5Bそれぞれから「1」を引く(#702、#703)。ただし、既に「0」である場合は、引かなくてもよい。以下、この差を「カバレッジ差D」と記載する。例えば、分割領域4A、4B、および4CそれぞれのカバレッジRが「12%」、「73%」、および「36%」であれば、カバレッジ差Dは、73%-12%=61%、である。
【0090】
閾値Th1は、ユーザまたは管理者が任意に設定することができる。後述する他の閾値も、同様である。
【0091】
カバレッジ差Dが閾値Th1を超えているが(#702でYes)、閾値Th2を超えていなければ(#705でNo)、カウンタ更新部106は、第二のカウンタ5Bに「1」を加える(#706)。カバレッジ差Dが閾値Th2を超えていれば(#705でYes)、第一のカウンタ5Aに「1」を加える(#708)。
【0092】
なお、閾値Th2>閾値Th1、である。閾値Th1は、例えば、「50%」である。閾値Th2は、例えば、「100%」である。
【0093】
そして、第二のカウンタ5Bが更新された結果、第二のカウンタ5Bの値が閾値Th4を超え(#707でYes)、または、第一のカウンタ5Aが更新された結果、第一のカウンタ5Aの値が閾値Th3を超えたら(#709でYes)、モード切換部107は、電圧モードを調整モードに切り換える(#710)。
【0094】
なお、閾値Th4>閾値Th3、である。また、閾値Th3および閾値Th4は、新品フラグ5Fの値に応じて変化する。新品フラグ5Fの値が「1」である場合は、例えば、閾値Th3として「200」が用いられ、閾値Th4として「300」が用いられる。新品フラグ5Fの値が「0」である場合は、例えば、閾値Th3として「100」が用いられ、閾値Th4として「200」が用いられる。つまり、閾値Th3も閾値Th4も、新品フラグ5Fが「1」のときよりも「0」のときのほうが小さい。
【0095】
電圧モードが調整モードに切り換わったら、カウンタ更新部106は、第三のカウンタ5Cに「1」を加える(#711)。
【0096】
または、カウンタ更新部106は、現在の電圧モードが調整モードである場合にも(#701でNo)、第三のカウンタ5Cに「1」を加える(#711)。
【0097】
本実施形態では、カウンタ更新部106は、K番目のページのトナー像を中間転写ベルト17Eに転写させる前に「1」を加えているが、転写させた後に加えてもよい。
【0098】
このように、第三のカウンタ5Cは、直近に調整モードに切り換わった後に中間転写ベルト17Eにトナー像が転写されたページの数をカウントする。
【0099】
第三のカウンタ5Cの値が閾値Th5を超えたら(#712でYes)、モード切換部107は、電圧モードを通常モードに切り換える(#713)。カウンタ更新部106は、第一のカウンタ5A、第二のカウンタ5B、第三のカウンタ5Cの値を「0」にリセットする(#714)。また、フラグ記憶部102に記憶されているシアンの新品フラグ5Fが「1」であれば(#715)、「0」に更新する(#716)。閾値Th5は、例えば「200」である。
【0100】
このように、第一のカウンタ5Aは、直近に調整モードに切り換わった後においてカバレッジ差Dが閾値Th3を超えた状態で印刷したページの総数とカバレッジ差Dが閾値Th1以下である状態で印刷したページの総数との差をカウントする。
【0101】
また、第二のカウンタ5Bは、直近に調整モードに切り換わった後においてカバレッジ差Dが閾値Th2よりも大きく閾値Th3以下である状態で印刷したページの総数とカバレッジ差Dが閾値Th1以下である状態で印刷したページの総数との差をカウントする。
【0102】
そして、画像形成制御部105は、K番目のページの画像形成の処理を、上述の通り電圧モードに応じて行う。
【0103】
ラスタライズ部103ないしモード切換部107は、シアン以外の色つまりマゼンタ、イエロー、およびブラックの各色についても同様に、上述の処理を実行する。
【0104】
図9は、画像形成装置1における印刷に関する全体的な処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【0105】
次に、画像形成装置1の全体的な処理の流れを、
図9のフローチャートを参照しながら説明する。画像形成装置1は、印刷制御プログラム10Pに基づいて、
図9に示す手順で処理を実行する。
【0106】
画像形成装置1は、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックそれぞれの像担持体2Aのうちの未使用つまり新品であるものの設定値をすべて初期値に戻す(#721でYes、#722)。既に使用されたことがあるものの設定値は、そのままにしておき(#721でNo)。
【0107】
画像形成装置1は、印刷を伴うジョブを受け付けると(#723でYes)、印刷のための処理を次のように実行する。
【0108】
画像形成装置1は、印刷の対象の原稿の各ページのラスタライズを行い(#724)、各ページの各分割領域4における各色のカバレッジRを算出する(#725)。そして、1ページごとに、次の処理を行う(#726~#730)。
【0109】
画像形成装置1は、電圧モードを適宜に切り換えるための処理を行う(#726)。この処理の手順は、前に
図8で説明した通りである。
【0110】
現在の電圧モードが通常モードである場合は(#727でYes)、通常の強さ(Vo)の交流電圧を用いて像担持体2Aを帯電させ、対象のページの印刷を行う(#728)。一方、調整モードである場合は(#727でNo)、通常よりも強い((Vo+Va)の強さの)交流電圧を用いて像担持体2Aを帯電させ、対象のページの印刷を行う(#729)。
【0111】
画像形成装置1は、印刷のサービスの提供を継続している間(#730でYes)、ステップ#721~#730の処理を適宜、実行する。
【0112】
本実施形態によると、滑剤の残存による画像の不具合の発生を従来よりも簡単に減らすことができる。
【0113】
図10は、滑剤の供給のされ方の例を示す図である。
図11は、分割領域4の変形例を示す図である。
【0114】
本実施形態では、第一のカウンタ5Aが閾値Th3を超えた場合および第二のカウンタ5Bが閾値Th4を超えた場合のどちらの場合においても、同じ強さだけ交流電圧を強くした。つまり、どちらの場合においても、Vaとして、同じ値を用いた。しかし、第一のカウンタ5Aが閾値Th3を超えた場合のほうが第二のカウンタ5Bが閾値Th4を超えた場合よりも、Vaとして高い値を用いてもよい。例えば、新品フラグ5Fが「1」であれば、第一のカウンタ5Aが閾値Th3を超えた場合はVaとして「800」を用い、第二のカウンタ5Bが閾値Th4を超えた場合は「700」を用いてもよい。新品フラグ5Fが「0」であれば、第一のカウンタ5Aが閾値Th3を超えた場合は「700」を用い、第二のカウンタ5Bが閾値Th4を超えた場合は「500」を用いてもよい。
【0115】
本実施形態では、画像形成装置1の周囲または加熱ローラ18E付近の温度および湿度に関わらず、同じ値をVaとして用いた。しかし、この温度または湿度が、通常の(所定の)温度または湿度よりも高い場合は、交流電圧が通常よりも低く設定されることがある。すると、通常よりも像担持体2Aに滑剤が残存しやすい。そこで、この場合は、調整モードに切り換えるタイミングを早くしてもよい。つまり、この場合は、通常よりも閾値Th3および閾値Th4を低くしてもよい。
【0116】
または、プロセス速度または印刷速度が速いほど、閾値Th3および閾値Th4を低くしてもよい。トナーの帯電量が高いほど、閾値Th3および閾値Th4を低くしてもよい。像担持体2Aの表面が粗いほど、閾値Th3および閾値Th4を低くしてもよい。一次転写の電流が大きいほど、閾値Th3および閾値Th4を低くしてもよい。
【0117】
本実施形態では、閾値Th3と閾値Th5との間に関連性がなかったが、両者に関連性を持たせてもよい。例えば、閾値Th3が大きいほど(つまり、調整モードに切り換える時期が遅いほど)、閾値Th5を大きくしてもよい。同様に、閾値Th4が大きいほど、閾値Th5を大きくしてもよい。
【0118】
本実施形態では、
図7に示したように、画像形成装置1は、3つの分割領域4を設けたが、2つだけ設けてもよいし、4つ以上設けてもよい。また、分割領域4ごとに幅が異なってもよい。一般に、滑剤は、
図10に示すように、上流側のほうが下流側よりも多く供給されやすい。そこで、
図11に示すように、下流側よりも上流側のほうが狭くなるようにページを分割領域4を設けてもよい。
【0119】
ページの幅の長さL1(像担持体2Aの長手方向の長さ)が、像担持体2Aにおけるトナー像が形成される領域の幅の長さL2よりも短い場合がある。このような場合は、画像形成装置1は、ページの幅が長さL2だけあるものとみなして、分割領域4に分割してもよい。
【0120】
本実施形態では、トナーおよび滑剤を同時に像担持体2Aへ供給する場合を例に説明したが、別々に供給する場合にも、本発明を適用することができる。
【0121】
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理の内容、処理の順序などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 画像形成装置
104 カバレッジ算出部(算出手段)
105 画像形成制御部(帯電手段)
2A 像担持体
2B 帯電装置(帯電手段)
2F クリーニングユニット(除去手段)