(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】車体下面構造
(51)【国際特許分類】
B62D 35/02 20060101AFI20220222BHJP
B60R 19/48 20060101ALI20220222BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20220222BHJP
B62D 37/02 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B62D35/02
B60R19/48
B62D25/20 N
B62D37/02
(21)【出願番号】P 2018056450
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-02-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】西田 周平
(72)【発明者】
【氏名】久我 秀功
(72)【発明者】
【氏名】知北 勝
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-030381(JP,A)
【文献】特開2017-087868(JP,A)
【文献】特開2017-039354(JP,A)
【文献】特開2012-148647(JP,A)
【文献】国際公開第2012/111228(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0048652(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017007357(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 35/02
B62D 25/20
B60R 19/48
B62D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、
当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造であって、
後輪ホイールハウスの前部内側縁からそのホイールハウス内方に上記フロアアンダカバーの後端部を延出させるにあたり、サイドシル後部と、上記トレーリングアームのアームピボットの車幅方向内側にカバー支持ブラケットを架け渡し、
当該カバー支持ブラケットに上記フロアアンダカバーの後端近傍部を係止したことを特徴とする車体下面構造。
【請求項2】
上記カバー支持ブラケットは、その車幅方向外側端部がサイドシルインナ下面に固定され、その車幅方向内側端部が車体下面から下向きに延出する上記アームピボットを支持するピボット支持ブラケットに固定されたことを特徴とする
請求項1に記載の車体下面構造。
【請求項3】
上記フロアアンダカバーの後端近傍部は上記カバー支持ブラケットに取付け部材にて固定され、当該後端近傍部には上記取付け部材の頭部収容用の凹部が形成され、上記カバー支持ブラケットのカバー取付け部は、上記凹部が上記後輪ホイールハウスの前部内側縁に対して車幅方向内側に離間配置されるよう形成したことを特徴とする
請求項1または2に記載の車体下面構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リヤサスペンション前方において車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが設けられており、このフロアアンダカバーにより床下走行風を整流すべく構成している。
【0003】
後輪ホイールハウス内への床下走行風の流れ込みを制限して、後流の乱れを抑制するためには、上述のフロアアンダカバーの後側コーナ部を、後輪ホイールハウス空間に張り出させ、床下走行風が後輪ホイールハウス内へ流れ込むのを制限すると、当該後輪ホイールハウスから車体側面に流出する風により、後流が乱されるのを防止することができる。
【0004】
しかしながら、上述のフロアアンダカバーの後端近傍においては、フロアパネルが存在しなくなり、当該フロアアンダカバーの後端近傍を支持する部材がないため、後方へ延出させたフロアアンダカバーの後端部を如何に支持するかが課題となっている。
【0005】
ところで、特許文献1には、トーションビーム式リヤサスペンションのトレーリングアームと、当該トレーリングアームの下部を覆う整流用のアームカバーと、を備えた構造が開示されている。
また、特許文献2には、トーションビーム式リヤサスペンションと、後部車体下面に設けられた整流用のリヤアンダカバーとを備えた構造が開示されている。
【0006】
しかしながら、これらの各特許文献1,2においては、フロアアンダカバーの後端部を如何に支持するかという点については、全く開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5235220号公報
【文献】特開2017-39354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、この発明は、フロアアンダカバーの後端部を高剛性で支持し、かつ充分低い位置において後輪ホイールハウス内に延出させることができ、以て、床下走行風の後輪ホイールハウス内への流れ込みを制限して、後流の乱れを抑制することができる車体下面構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明による車体下面構造は、左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造であって、後輪ホイールハウスの前部内側縁からそのホイールハウス内方に上記フロアアンダカバーの後端部を延出させるにあたり、サイドシル後部と、上記トレーリングアームのアームピボットの車幅方向内側にカバー支持ブラケットを架け渡し、当該カバー支持ブラケットに上記フロアアンダカバーの後端近傍部を係止したものである。
【0010】
上記構成によれば、サイドシル後部と、トレーリングアームのアームピボットにおける車幅方向内側に上述のカバー支持ブラケットを架け渡して、このカバー支持ブラケットにフロアアンダカバーの後端近傍部を係止したので、フロアアンダカバー後端部を、後輪ホイールハウスの前部内側縁からそのホイールハウス内方に延出させることができる。
【0011】
これにより、フロアアンダカバーの後端部を、上記カバー支持ブラケットにて高剛性で支持し、かつ、充分低い位置において後輪ホイールハウス内に延出させることができる。
この結果、床下走行風が後輪ホイールハウス内へ流れ込むのを制限して、後流の乱れを抑制することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記カバー支持ブラケットは、その車幅方向外側端部がサイドシルインナ下面に固定され、その車幅方向内側端部が車体下面から下向きに延出する上記アームピボットを支持するピボット支持ブラケットに固定されたものである。
【0013】
上記構成によれば、カバー支持ブラケットがトレーリングアームのアームピボット位置の直下に配設され、本来、カバー支持ブラケットを支持すべき部材が存在しない部分に、当該カバー支持ブラケット(特に、そのカバー取付け部参照)を設けて、フロアアンダカバーの後端近傍部を確実に取付けることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記フロアアンダカバーの後端近傍部は上記カバー支持ブラケットに取付け部材にて固定され、当該後端近傍部には上記取付け部材の頭部収容用の凹部が形成され、上記カバー支持ブラケットのカバー取付け部は、上記凹部が上記後輪ホイールハウスの前部内側縁に対して車幅方向内側に離間配置されるよう形成したものである。
【0015】
上記構成によれば、次の如き効果がある。
すなわち、上記凹部により床下走行風が乱れる可能性があるが、この凹部を後輪ホイールハウスの前部内側縁よりも車幅方向内側に離間させたので、床下走行風の乱れが後輪ホイールハウスに及ぶのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、フロアアンダカバーの後端部を高剛性で支持し、かつ充分低い位置において後輪ホイールハウス内に延出させることができ、以て、床下走行風の後輪ホイールハウス内への流れ込みを制限して、後流の乱れを抑制することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】車体下面構造を車両下方から見た状態で示す斜視図
【
図4】
図2のA-A線に沿う車両右側要部の矢視断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
フロアアンダカバーの後端部を高剛性で支持し、かつ充分低い位置において後輪ホイールハウス内に延出させることができ、以て、床下走行風の後輪ホイールハウス内への流れ込みを制限して、後流の乱れを抑制するという目的を、左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造において、後輪ホイールハウスの前部内側縁からそのホイールハウス内方に上記フロアアンダカバーの後端部を延出させるにあたり、サイドシル後部と、上記トレーリングアームのアームピボットの車幅方向内側にカバー支持ブラケットを架け渡し、当該カバー支持ブラケットに上記フロアアンダカバーの後端近傍部を係止するという構成にて実現した。
【実施例】
【0019】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車体下面構造を示し、
図1は当該車体下面構造を備えた車両の側面図、
図2は
図1の要部の底面図、
図3は車体下面構造を車両下方から見た状態で示す斜視図、
図4は
図2のA-A線に沿う車両右側要部の矢視断面図、
図5はカバー支持ブラケットの拡大図である。
【0020】
図1に示すように、車体側部において、車両前部のフロントドア開口1を開閉可能に閉塞するサイドドアとしてのフロントドア2と、車両後部のリヤドア開口3を開閉可能に閉塞するサイドドアとしてのリヤドア4とを設けている。
上述のフロントドア2はドアアウタハンドル5を備えており、同様に、上述のリヤドア4もドアアウタハンドル6を備えている。
【0021】
図1に示すように、上述のフロントドア2の前部には、エンジンルームの側方を覆うフロントフェンダパネル7が設けられており、前輪8の位置と対応してフロントフェンダパネル7の下部には前輪ホイールハウス9が一体的に設けられている。
【0022】
図1に示すように、上述のリヤドア4の後部には、荷室側方を覆うリヤフェンダパネル10が設けられており、後輪11の位置と対応してリヤフェンダパネル10の下部には後輪ホイールハウス12が一体的に設けられている。
なお、
図1において、13はドアミラー、14は車両後部から左右の車両側部に回り込むように形成されたリヤバンパフェースである。
【0023】
図2に示すように、前輪ホイールハウス9の後縁下端部と後輪ホイールハウス12の前縁下端部との間において、車室下部を車両前後方向に延びるサイドシル15が設けられている。
このサイドシル15は、サイドシルアウタとサイドシルインナ15A(
図3参照)とを接合固定して、車両前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えた車体強度部材である。
【0024】
図2に示すように、左右一対のサイドシル15,15には、当該サイドシル15を前後のホイールハウス9,12間にわたって覆うように設けられたガーニッシュ16,16が取付けられている。
【0025】
後輪ホイールハウス12の前縁下端部と対向するように、上述のガーニッシュ16の後端部には、タイヤデフレクタ17を設け、車体側部を流れる側面流が後輪ホイールハウス12内に入り込まないよう、一旦、車外側に指向させた後に、タイヤホイール外面に再付着するように偏向すべく構成している。
【0026】
図4に示すように、車室および荷室の底面を形成するフロアパネル18は、フロントフロアパネルと、リヤシートパンと、リヤフロアパネルとを、車両前後方向に連続形成したものである。
【0027】
図2に示すように、上述のフロントフロアパネルからリヤシートパンの前後方向中間部まで車両前後方向に延びる上述のサイドシル15がフロアパネル18に接合固定されている。
【0028】
また、
図2~
図4に示すように、上述のリヤシートパンの前後方向中間部からリヤフロアパネル後端まで車両前後方向に延びるリヤサイドフレーム19を設け
ている。
図4に示すように、このリヤサイドフレーム19は、リヤサイドフレームアッパ20と、リヤサイドフレームロア21とを備えており、これらリヤサイドフレームアッパ20と、リヤサイドフレームロア21との間には、車両前後方向に延びるリヤサイドフレーム閉断面S1が形成されている。
【0029】
図2に示すように、後輪11,11の中心部よりも後方対応位置において、左右一対のリヤサイドフレーム19,19間には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ22を横架し、このリヤクロスメンバ22で左右一対のリヤサイドフレームロア21,21間を車幅方向に連結している。
【0030】
一方、
図2に示すように、フロア下部のトンネル部には、排気ガスを後方に導く排気管30を設けている。この排気管30には触媒コンバータ31を介設すると共に、リヤクロスメンバ22後部位置まで延びる排気管30の後端部には、サイレンサ32を連通連結しており、このサイレンサ32の左右両側には、一旦、車幅方向外側に延びた後に、車両後方に延びる底面視L字形状のテールパイプ33,33を取付けている。
【0031】
そして、上述のサイレンサ32の前部車幅方向外側と、テールパイプ33のコーナ部との間を、整流用のカバー34で、その下方から覆っている。また、サイレンサ32の後方には、平坦な整流面をもったリヤアンダカバー23が設けられている。
【0032】
図2に示すように、トンネル部を除いて車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバー35,36を設けている。これらの各フロアアンダカバー35,36はその底面に平坦な整流面を備えている。
【0033】
また、これらのフロアアンダカバー35,36は、前側のフロアアンダカバー35と後側のフロアアンダカバー36とを車両前後方向に連続するように形成したものである。
図3に示すように、後輪11を懸架するトーションビーム式リヤサスペンション40を設けている。
【0034】
図2、
図3に示すように、このリヤサスペンション40は、左右一対のトレーリングアーム41,41(
図3参照)と、これらの各トレーリングアーム41,41を車幅方向に延びて連結するトーションビーム42(ねじり棒ばね)と、を備えている。
【0035】
図3に示すように、上述のトレーリングアーム41は、外側アーム部材43と内側アーム部材44との2部材を接合固定して、車両の略前後方向に延びるアームである。
【0036】
図3、
図4に示すように、上述のトレーリングアーム41の前端部は、アームピボット45およびピボット支持ブラケットとしてのアームブラケット46を介して車体に枢支されている。
【0037】
ここで、
図4に示すように、上述の後輪ホイールハウス12は、ホイールハウスアウタ12Aとホイールハウスインナ12Bとを接合固定して形成したもので、当該後輪ホイールハウス12の後輪11と対向する側の面にはホイールハウスマッドガード12Cが取付けられている。
【0038】
また、上述のアームブラケット46は、
図4に示すように、略水平方向に延びる上片部46aと、この上片部46aの車幅方向内端から下方に延びる縦壁部46bと、を一体形成したものである。
【0039】
上述の上片部46aは、
図4に示すように、リヤサイドフレームロア21の下面に接合固定されている。
さらに、上述のアームブラケット46における縦壁部46bに隣接して別のブラケット47が設けられている。
【0040】
そして、上述のアームピボット45は、後輪ホイールハウス12におけるホイールハウスインナ12Bの下部と、アームブラケット46における縦壁部46bとの間に設けられており、トレーリングアーム41の前端側基端部を形成するものである。
【0041】
一方、
図2、
図3に示すように、トレーリングアーム41の下部には、整流用のアームカバー48が設けられている。また
図2、
図3、
図4に示すように、フロアパネル18におけるリヤシートパンの床下部には、燃料タンク49が設けられており、
図4に示すように、排気管30と燃料タンク49との間には、熱害防止用のインシュレータ50(insulator)が配置されている。
【0042】
図2、
図3、
図4に示すように、上述の整流用のフロアアンダカバー36は、リヤサスペンション40の前方において車体下面を覆うものである。
【0043】
床下走行風が後輪ホイールハウス内へ流れ込むのを制限する目的で、後輪ホイールハウス12の前部内側縁α(
図3参照)から当該ホイールハウス12内方にフロアアンダカバー36の後端部(特に、
図3に示す後端コーナ部β)を延出させるにあたり、
図3、
図4に示すように、サイドシル15の後部とトレーリングアーム41のアームピボット45の車幅方向内側にカバー支持ブラケット60を架け渡し、このカバー支持ブラケット60に上述のフロアアンダカバー36の後端近傍部(後述する凹部36aが形成された部位参照)を係止固定したものである。
【0044】
これにより、フロアアンダカバー36の後端部を、後輪ホイールハウス12の前部内側縁αからそのホイールハウス12内方に延出させ、フロアアンダカバー36の後端部を、カバー支持ブラケット60にて高剛性で支持し、かつ、充分低い位置において後輪ホイールハウス12内に延出し、床下走行風が後輪ホイールハウス12内へ流れ込むのを制限して、後流の乱れを抑制すべく構成したものである。
【0045】
上述のカバー支持ブラケット60は、
図5に拡大図で示すように、略車幅方向に延びるブラケット本体61と、この車幅方向外側に位置する車幅方向外側端部60Aと、ブラケット本体61の車幅方向内側から下方へ屈曲形成された屈曲部62と、この屈曲部62にて形成された車幅方向内側端部60Bと、ブラケット本体61から車両後方側へ突出する突出部63と、この突出部63にて形成されるカバー取付け部60Cと、を略T字状に組合せて一体形成したものである。
【0046】
そして、
図3に示すように、カバー支持ブラケット60は、その車幅方向外側端部60Aが、ボルト、ナット等の取付け部材64を用いて、サイドシルインナ15Aの下面に固定され、その車幅方向内側端部60Bが、ボルト、ナット等の取付け部材65を用いて、車体下面から下向きに延出するアームピボット45を支持するピボット支持ブラケットとしてのアームブラケット46に固定され、フロアアンダカバー36の後端近傍部はボルト、ナット等の取付け部材66を用いて、カバー取付け部60Cに取付け固定されている。
【0047】
上述のカバー支持ブラケット60は、トレーリングアーム41のアームピボット45位置の直下に配設されるもので、本来、カバー支持ブラケット60を支持すべき部材が存在しない部分に、当該カバー支持ブラケット60を設け、これにより、フロアアンダカバー36の後端近傍部を確実に取付けるよう構成したものである。
【0048】
図3、
図4、
図5に示すように、上述のフロアアンダカバー36の後端近傍部は、カバー支持ブラケット60のカバー取付け部60Cに、ボルト、ナット等の取付け部材66にて固定され、当該後端近傍部には上述の取付け部材66の頭部収容用の凹部36aが形成されている。
【0049】
上述のカバー支持ブラケット60のカバー取付け部60Cは、上述の凹部36aが後輪ホイールハウス12の前部内側縁α(
図3参照)に対して車幅方向の内側に離間配置されるよう形成している。
【0050】
つまり、上述の凹部36aをフロアアンダカバー36に形成すると、この凹部36aにより床下走行風が乱れる可能性があるが、当該凹部36aを後輪ホイールハウス12の前部内側縁αよりも車幅方向内側に離間させることで、床下走行風の乱れが後輪ホイールハウス12に及ぶのを抑制すべく構成したものである。
【0051】
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車幅方向の内方を示し、矢印OUTは車幅方向の外方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0052】
このように、上記実施例の車体下面構造は、左右一対のトレーリングアーム41と、これらを連結するトーションビーム42とからなるトーションビーム式リヤサスペンション40を備え、当該リヤサスペンション40の前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバー36が取付けられた車体下面構造であって、後輪ホイールハウス12の前部内側縁αからそのホイールハウス12内方に上記フロアアンダカバー36の後端部を延出させるにあたり、サイドシル15後部と、上記トレーリングアーム41のアームピボット45の車幅方向内側にカバー支持ブラケット60を架け渡し、当該カバー支持ブラケット60に上記フロアアンダカバー36の後端近傍部を係止したものである(
図2~
図5参照)。
【0053】
この構成によれば、サイドシル15後部と、トレーリングアーム41のアームピボット45における車幅方向内側に上述のカバー支持ブラケット60を架け渡して、このカバー支持ブラケット60にフロアアンダカバー36の後端近傍部を係止したので、フロアアンダカバー36後端部を、後輪ホイールハウス12の前部内側縁αからそのホイールハウス12内方に延出させることができる。
【0054】
これにより、フロアアンダカバー36の後端部を、上記カバー支持ブラケット60にて高剛性で支持し、かつ、充分低い位置において後輪ホイールハウス12内に延出させることができる。
この結果、床下走行風が後輪ホイールハウス12内へ流れ込むのを制限して、後流の乱れを抑制することができる。
【0055】
また、この発明の一実施形態においては、上記カバー支持ブラケット60は、その車幅方向外側端部60Aがサイドシルインナ15A下面に固定され、その車幅方向内側端部60Bが車体下面から下向きに延出する上記アームピボット45を支持するピボット支持ブラケット(アームブラケット46参照)に固定されたものである(
図3~
図5参照)。
【0056】
上記構成によれば、カバー支持ブラケット60がトレーリングアーム41のアームピボット45位置の直下に配設され、本来、カバー支持ブラケット60を支持すべき部材が存在しない部分に、当該カバー支持ブラケット60(特に、そのカバー取付け部60C参照)を設けて、フロアアンダカバー36の後端近傍部を確実に取付けることができる。
【0057】
さらに、この発明の一実施形態においては、上記フロアアンダカバー36の後端近傍部は上記カバー支持ブラケット60に取付け部材66にて固定され、当該後端近傍部には上記取付け部材66の頭部収容用の凹部36aが形成され、上記カバー支持ブラケット60のカバー取付け部60Cは、上記凹部36aが上記後輪ホイールハウス12の前部内側縁αに対して車幅方向内側に離間配置されるよう形成したものである(
図2~
図4参照)。
【0058】
この構成によれば、次の如き効果がある。
すなわち、上記凹部36aにより床下走行風が乱れる可能性があるが、この凹部36aを後輪ホイールハウス12の前部内側縁αよりも車幅方向内側に離間させたので、床下走行風の乱れが後輪ホイールハウス12に及ぶのを抑制することができる。
【0059】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のピボット支持ブラケットは、実施例のアームブラケット46に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明は、左右一対のトレーリングアームと、これらを連結するトーションビームとからなるトーションビーム式リヤサスペンションを備え、当該リヤサスペンションの前方に車体下面を覆う整流用のフロアアンダカバーが取付けられた車体下面構造について有用である。
【符号の説明】
【0061】
12…後輪ホイールハウス
15…サイドシル
15A…サイドシルインナ
36…フロアアンダカバー
36a…凹部(後端近傍部)
40…リヤサスペンション
41…トレーリングアーム
42…トーションバー
45…アームピボット
60…カバー支持ブラケット
60A…車幅方向外側端部
60B…車幅方向内側端部
60C…カバー取付け部
66…取付け部材