(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】梱包材
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
B65D81/05 510Z
B65D81/05 520Z
(21)【出願番号】P 2018063805
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武志
(72)【発明者】
【氏名】水口 弘美
(72)【発明者】
【氏名】吉田 成隆
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】実公昭43-031111(JP,Y1)
【文献】実開昭48-030265(JP,U)
【文献】特開2003-312739(JP,A)
【文献】特表2016-532611(JP,A)
【文献】米国特許第05762198(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
B65D 77/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梱包対象の物品を収容する外箱と、
内側に気体を閉じ込めた状態で密封されている袋体と、前記袋体の内側を容積の等しい第1部屋と第2部屋とに分けている仕切部と、前記第1部屋と第2部屋とを連通させている通気路とを有し、前記物品の外面と前記外箱の内壁との隙間に配置される緩衝材と
を備え、
前記緩衝材は、前記物品の1辺に沿って置かれた前記仕切部で折れ曲がり、当該1辺を共有する前記物品の2枚の外面の一方には前記袋体の第1部屋の外面を接触させ、他方には前記袋体の第2部屋の外面を接触させ、
前記外箱は、前記物品と前記緩衝材とを収容した状態において、前記袋体の第1部屋と第2部屋との外面に圧力を加えて、前記第1部屋と第2部屋とを前記物品の2枚の外面のそれぞれへ押し付け、
前記袋体の第1部屋が前記外箱越しに外力を受けた場合、前記外箱が前記第2部屋に加える圧力に抗して気体が前記第1部屋から前記通気路を通って前記第2部屋へ移動し、前記外力が除去された場合、前記外箱が前記第2部屋に加える圧力により気体が前記第2部屋から前記通気路を通って前記第1部屋へ戻り、
前記通気路は、前記袋体が平坦な状態では、前記第1部屋と第2部屋との中心間を結ぶ直線と通気方向が交差する屈曲区間を含み、前記屈曲区間の位置、形状、または幅は、前記仕切部を横切ることなく、前記中心間を結ぶ直線に平行な直線を前記通気路の中に前記第1部屋から前記第2部屋まで引くことができず、かつ前記外力が除去された場合に前記第2部屋から前記第1部屋へ戻る気体の流量を
前記第1部屋における緩衝能力が復元可能な量確保するように設計されていることを特徴とする梱包材。
【請求項2】
前記袋体は軟質樹脂製のシートから成り、前記仕切部は、前記袋体の内側の空間を隔てて対向する前記袋体の2つの内面部分が互いに溶着され、または接着された領域であることを特徴とする請求項1に記載の梱包材。
【請求項3】
前記外箱は前記緩衝材よりも剛性が高く、前記外箱が前記袋体の第1部屋と第2部屋との外面に加える圧力は、前記第1部屋と第2部屋との気圧に起因する前記外箱の変形を防ぐ前記外箱の応力に基づくことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の梱包材。
【請求項4】
前記袋体における気体の充填率は55%以上であることを特徴とする、請求項1から請求項3までのいずれか
一項に記載の梱包材。
【請求項5】
前記袋体が平坦な状態において前記第1部屋と第2部屋とは外周形状が、前記仕切部の長手方向に伸びる直線、または前記仕切部の長手方向における中心点に対して対称であることを特徴とする、請求項1から請求項4までのいずれか
一項に記載の梱包材。
【請求項6】
前記袋体は、平坦な状態においては、前記仕切部の長手方向に対して垂直な方向に長尺な短冊形状であり、前記袋体の長手方向に対する片側または両側に、前記袋体と同構造の袋体が少なくとも1つ、平行に連結されている
ことを特徴とする、請求項1から請求項5までのいずれか
一項に記載の梱包材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包技術に関し、特に緩衝材に関する。
【背景技術】
【0002】
高精度の成形部品、精密機械、電子機器等、外部からの振動衝撃に弱い部品、製品を搬送する際には、それらの梱包に緩衝材が不可欠である。緩衝材は高弾性部材または可塑性部材であり、他の梱包材と共に搬送対象物すなわち荷物の周囲に配置される。具体的にはたとえば、段ボール、木材等で作られた外箱の中に荷物が収納される際、緩衝材は荷物を外箱の中に支持し、荷物の周囲を覆い、または荷物と外箱との隙間を埋める。荷物の搬送中、外箱が外部から振動衝撃を受けると、それに応じて緩衝材が変形してその振動衝撃を吸収する。これにより荷物まで実際に伝わる振動衝撃が緩和されるので、その振動衝撃に起因する荷物の損傷が防止される。
【0003】
梱包用緩衝材の種類は様々であるが、比較的多用されるものはブロック型とバラ型とに大別される。ブロック型は、荷物の形状に合わせて予め成形された塊(ブロック)状の緩衝材であり、外箱の中で荷物を支持して固定する役割を兼ねる場合も多い。ブロック型緩衝材はたとえば、スポンジ、フォーム等の発泡プラスチック、紙、木材から成る。バラ型は、シート状またはチップ状の緩衝材であり、梱包の際に荷物の周囲に巻かれ、もしくは丸められた状態で外箱と荷物との隙間に詰められ、またはその隙間全体に充填される。バラ型緩衝材はたとえば、紙、布、発泡プラスチック、バブルフイルム(気泡緩衝材とも呼ばれ、空気を閉じ込めた多数の小胞(セル)が間に挟まれた複合膜である。)から成る。
【0004】
地球温暖化等、環境問題への関心の高まりに伴い、梱包材の廃棄量の増加が問題視されている。廃棄された梱包材は相当量が焼却処理されるので、焼却に伴う有害ガスの発生量と二酸化炭素の排出量とを共に削減することが強く求められている。この要求に応える手段の1つとして、梱包材に利用される発泡プラスチックの削減が考えられている。発泡プラスチック、特にブロック型緩衝材へのその利用には、小型化が難しい(かさばる)、再生利用が難しい、燃焼時に放出する熱量が大きい、燃焼によって有害ガスを発生させる種類が多い等の問題がある。したがって、環境問題への対処には発泡プラスチックの削減が有効である。
【0005】
発泡プラスチックの削減には、それに代わる緩衝材が必要である。その候補の1つが空気緩衝材(エアークッション)である。空気緩衝材は、たとえば軟質樹脂製のシートから構成された袋を、通常は複数個つなぎ合わせたものである(たとえば特許文献l-3参照)。各袋には空気等の気体が詰められており、外力を受けたとき、袋内の気体が圧縮することによりその外力を吸収して緩和させる。
【0006】
しかし、空気緩衝材には外部からの衝撃で袋が破裂しやすいという欠点があるので、緩衝効果を更に高める工夫が必要である。この工夫としては、たとえば特許文献4、5に開示された構造が知られている。この構造は、2つ以上の袋を連通させ、それらの袋間で気体を双方向に移動可能にする。この場合、1つの袋が外力を受けて潰れると、その袋から気体が他の袋へ移動する。これにより、外力による袋の破裂の危険性が低減すると共に、気体が移動中に受ける摩擦等の抵抗が外力のエネルギーを熱等に変えて拡散させるので、緩衝効果が高まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平07-285581号公報
【文献】特開平07-291358号公報
【文献】特開2013-180812号公報
【文献】特開2003-341739号公報
【文献】特開2004-323048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
空気緩衝材のうち外力に応じて袋間で気体を移動させる種類では、十分に高い緩衝効果が得られるように、気体が袋間の連通路を通過する際に受ける抵抗が強化されるように構造が工夫されている。たとえば、特許文献4に開示された構造では、移動先の袋は元の袋よりも容積が小さい。特許文献5に開示された構造では、袋間に連通路が2本設けられ、それぞれに逆止弁等で互いに逆の一方向性が与えられている。しかし、これらの工夫は部品点数を増加させ、構造を複雑化させるので、製造コストの削減には不利である。また、外力に応じて他の袋へ移動した気体は、その外力の除去に伴い、袋間での気圧の差で元の袋へ戻る。しかし、この気圧差は、他の袋へ移動した気体をすべて元の袋へ確実に戻す力としては不足しがちであるので、外力を受けた袋に、その外力からの解放後、緩衝能力を確実に復元させることが難しい。不十分な復元に伴って袋内の気体量が不足した場合、その袋が外力を次に受けた際には、いわゆる底付き(外力に気圧が抗しきれない結果、外力を受けて窪んだ側の袋の膜が反対側の膜に衝突する現象)によって荷物が損傷する等、緩衝効果の低下に起因する不具合が生じかねない。
【0009】
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に緩衝材に、部品点数を増やすことも、構造を複雑化させることもなく、外力に応じて袋間を移動する気体が受ける抵抗を十分に高めさせると共に、その外力からの解放に伴って緩衝能力を確実に復元させることが可能な梱包材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの観点における梱包材は、梱包対象の物品を収容する外箱と、その物品の外面と外箱の内壁との隙間に配置される緩衝材とを備えている。緩衝材は、内側に気体を閉じ込めた状態で密封されている袋体と、この袋体の内側を容積の等しい第1部屋と第2部屋とに分けている仕切部と、第1部屋と第2部屋とを連通させている通気路とを有している。緩衝材は、物品の1辺に沿って置かれた仕切部で折れ曲がり、その1辺を共有する物品の2枚の外面の一方には袋体の第1部屋の外面を接触させ、他方には袋体の第2部屋の外面を接触させる。外箱は、物品と緩衝材とを収容した状態において、袋体の第1部屋と第2部屋との外面に圧力を加えて、第1部屋と第2部屋とを物品の2枚の外面のそれぞれへ押し付ける。袋体の第1部屋が外箱越しに外力を受けた場合、外箱が第2部屋に加える圧力に抗して気体が第1部屋から通気路を通って第2部屋へ移動し、外力が除去された場合、外箱が第2部屋に加える圧力により気体が第2部屋から通気路を通って第1部屋へ戻る。通気路は、袋体が平坦な状態では、第1部屋と第2部屋との中心間を結ぶ直線と通気方向が交差する屈曲区間を含む。屈曲区間の位置、形状、または幅は、仕切部を横切ることなく、中心間を結ぶ直線に平行な直線を通気路の中に第1部屋から第2部屋まで引くことができず、かつ外力が除去された場合に第2部屋から第1部屋へ戻る気体の流量を前記第1部屋における緩衝能力が復元可能な量確保するように設計されている。
【0011】
袋体は軟質樹脂製のシートから成り、仕切部は、袋体の内側の空間を隔てて対向する袋体の2つの内面部分が互いに溶着され、または接着された領域であってもよい。外箱は緩衝材よりも剛性が高く、外箱が袋体の第1部屋と第2部屋との外面に加える圧力は、第1部屋と第2部屋との気圧に起因する外箱の変形を防ぐ外箱の応力に基づいてもよい。袋体における気体の充填率は55%以上であってもよい。袋体が平坦な状態において第1部屋と第2部屋とは外周形状が、仕切部の長手方向に伸びる直線、または仕切部の長手方向における中心点に対して対称であってもよい。袋体は、平坦な状態においては、仕切部の長手方向に対して垂直な方向に長尺な短冊形状であり、袋体の長手方向に対する片側または両側に、袋体と同構造の袋体が少なくとも1つ、平行に連結されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明による梱包材では上記のとおり、緩衝材が仕切部で折れ曲がり、袋体の第1部屋と第2部屋との各外面を物品の異なる外面に接触させる。この状態で袋体の第1部屋が外箱越しに外力を受けると、外箱が第2部屋に加える圧力に抗して気体が第1部屋から通気路を通って第2部屋へ移動し、その外力が除去されると、外箱が第2部屋に加える圧力によって気体が第2部屋から通気路を通って第1部屋へ戻る。通気路は、袋体が平坦な状態では、第1部屋と第2部屋との中心間を結ぶ直線と通気方向が交差する屈曲区間を含む。この区間の位置、形状、または幅は、仕切部を横切ることなく、両部屋の中心間を結ぶ直線に平行な直線を通気路の中に第1部屋から第2部屋まで引くことができず、かつ外力が除去された場合に第2部屋から第1部屋へ戻る気体の流量を所定値以上確保するように設計されている。こうしてこの梱包材は緩衝材に、部品点数を増やすことも、構造を複雑化させることもなく、外力に応じて袋間を移動する気体が受ける抵抗を十分に高めさせると共に、その外力からの解放に伴って緩衝能力を確実に復元させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は、梱包対象の画像形成装置の外観を示す斜視図である。(b)、(c)はそれぞれ、(a)が示す装置に対して利用される梱包材のうち、その装置の上部、下部に配置される各要素の外観を示す斜視図である。
【
図2】(a)は、
図1の(b)、(c)が示す梱包材の要素を梱包対象の装置の周囲に配置した状態の外観を示す斜視図である。(b)は、この装置に対して利用される梱包材のうち、外箱の外観を示す斜視図であり、(c)は、(a)の示す梱包材と装置とに(b)の示す外箱を被せた状態の外観を示す斜視図である。
【
図3】(a)は、
図1の(b)が示す空気緩衝材の平面図であり、(b)はその斜視図である。
【
図4】(a)は、
図2の(a)が示す直線IV-IVに沿った外箱と第4空気緩衝材との断面図である。(b)は、(a)の示す衝撃力が除去された直後の外箱と第4空気緩衝材との断面図である。
【
図5】
図4の(a)の示す状態における第4空気緩衝材の緩衝能力を示すグラフである。
【
図6】(a)は、袋体の設計パラメーターを表す模式図であり、(b)は、これらのパラメーターに関して袋体の衝撃加速度に対する感度を表す要因効果図である。(c)は空気緩衝材の設計条件と衝撃加速度との間の関係の一例を示す表である。(d)は、通気路の幅と屈曲区間の幅とが等しい場合において、それらの値と緩衝能力の復元の成否との間の関係を示す表である。
【
図7】(a1)-(f2)は、第1種ブロックと第2種ブロックとのうち、同じ袋体に含まれる部分の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
[画像形成装置の外観]
図1の(a)は、梱包対象の画像形成装置の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100は胴内排紙型の複合機(multi-function peripheral:MFP)であり、スキャナー、カラーコピー機、およびカラープリンターの機能を併せ持つ。このMFP100の筐体の上面には自動原稿送り装置(auto document feeder:ADF)110が開閉可能に装着されている。ADF110の直下に位置する筐体の上部にはスキャナー120が内蔵され、下部にはプリンター130が内蔵され、更にその底部には複数段の給紙カセット133が引き出し可能に取り付けられている。スキャナー120とプリンター130との間には隙間DSPが開けられ、その中に排紙トレイ44が配置されている。この隙間DSPの奥には排紙口(図は示していない。)が設置され、そこから排紙トレイ44へシートが排紙される。隙間DSPの横に位置する筐体の前面部分には操作パネル51が取り付けられている。操作パネル51の前面にはタッチパネルが埋め込まれ、その周囲に各種の機械的な押しボタンが配置されている。タッチパネルは、操作画面、各種情報の入力画面等のグラフィックスユーザーインターフェース(GUI)画面を表示する。操作パネル51は、タッチパネルに表示された、アイコン、仮想ボタン、メニュー、ツールバー等のガジェット、およびタッチパネルの周囲の押しボタンを通してユーザーの入力操作を受け付ける。
【0016】
[画像形成装置の梱包]
図1の(b)、(c)はそれぞれ、
図1の(a)が示すMFP100に対して利用される梱包材のうち、MFP100の上部、下部に配置される各要素の外観を示す斜視図である。
図2の(a)は、これらの要素をMFP100の周囲に配置した状態の外観を示す斜視図である。梱包材は、MFP100の下側から順に、パレット200、パッド210、ブロック型緩衝材221-224、および空気緩衝材231-235を含む。パレット200は、物流業界において、荷物の積み下ろし、運搬、保管を行う際にその荷物を載せる台として共通に利用される部材である。パレットは、木材、硬質樹脂、または金属製の矩形板状であり、サイズが日本標準規格(JIS)により1100mm×1100mm×144mmに統一されている。パレット200の板面よりもMFP100の底面は小さいので、1枚のパレット200にMFP100は積載可能である。パッド210は、板面がパレット200の板面とほぼ同じ大きさの薄板形状の緩衝材であり、段ボール、木質合板、硬質樹脂、発泡プラスチック等、高弾性または可塑性を持つ素材から成る。パッド210の四隅211-214は切り欠かれており、これらの切り欠き211-214が、パレット200の上面の四隅から上方へ突き出た位置決めコマ201-204の側面に突き当たるように、パレット200の上面にパッド210は嵌め込まれる。ブロック型緩衝材221-224は発泡スチロール等の発泡プラスチックから成り、MFP100の表面に密着するように、その表面形状に合わせて予め成形されている。具体的には、
図2の(a)が示すように、第1-第4緩衝材221-224はMFP100の底面の各角の全体を1つずつ覆い隠す。第1-第4緩衝材221-224はまた、底面から下方へ突き出た突起22Tを含み、各突起22Tがパッド210の板面の穴21Hに挿入されることにより、パッド210に固定される。第1空気緩衝材231は、MFP100の排紙トレイ44の外端の角、そこから真下に伸びているMFP100の縦辺102、およびその縦辺102を共有するMFP100の前面と側面との縁を覆う。第2空気緩衝材232は、その縦辺102の上方に位置するADF110とスキャナー120との1つの角を覆う。第3、第4空気緩衝材233、234はMFP100の背面側に位置するADF110の2つの角に1つずつ配置される。第5空気緩衝材235は、ADF110の残りの角に操作パネル51が位置するので、その角に代えてその脇に位置するADF110の上面の縁を覆う。
【0017】
図2の(b)は、MFP100に対して利用される梱包材のうち、外箱240の外観を示す斜視図であり、(c)は、(a)の示す梱包材の他の要素200、210、221-224、231-235が周囲に配置されたMFP100に(b)の示す外箱240を被せた状態の外観を示す斜視図である。外箱240は、硬質段ボール、木材、硬質樹脂等、高強度の軽量素材から成る壁材を直方体形状に組み合わせ、または折り曲げた箱であり、底が開口しており、内部空間のサイズ、縦×横×高さがMFP100のサイズよりも一回り大きい。したがって、外箱240を、
図2の(c)が示すように、
図2の(a)が示すMFP100に上から被せて外箱240の開口部をパレット200で塞ぐと、MFP100の全体が外箱240の内側に隠されて外からは見えない。この状態で外箱240はパレット200に固定バンド250で縛り付けられる。固定バンド250は、帯鉄、ワイヤー等、金属製または軟質樹脂製の帯または紐である。こうして、MFP100の梱包が完成する。その後、MFP100の搬送は、パレット200の側面の穴205にフォークリフトまたは台車の爪を引っ掛ける等、パレット200に対して力を加えることで行われる。この場合、外箱240の上面には、更に別のMFPを収容した外箱(パレットを除く)が積載されてもよい。積載されたMFPの重みは外箱240を通してパレット200に加わる。この状態で外箱240が変形することなく2台のMFPが搬送可能な程度に、すなわちMFP数台の重量にも十分耐えうる程度に、外箱240は剛性が高い。
【0018】
第1-第4緩衝材221-224は、
図2の(a)が示すようにMFP100と共に外箱240に収容された状態においては、外箱240の内壁と外面が接触するようにサイズが設計されている。この状態では各緩衝材は、その外面が接触している外箱240の内壁部分から、MFP100の外面へ押し付ける方向の圧力を受ける。この圧力は、外箱240の高い剛性により、各緩衝材の外面との接触に起因する外箱240の変形を防ぐ外箱240の応力に基づく。第1-第4緩衝材221-224は、MFP100の重量に耐えてその底面を四隅で支えると共に、外箱240の内壁からの圧力で自身の水平位置が固定されるので、外箱240の中でMFP100を特に水平方向で安定化させる。第1-第4緩衝材221-224はまたパッド210と共に、パレット200が外部から、特に垂直方向において受ける振動衝撃を吸収して、MFP100にまで伝わる部分を緩和させる。このように第1-第4緩衝材221-224は、外箱240の中でMFP100の重みに耐えて安定化させる役割を担っている。したがって、これらの緩衝材221-224には、緩衝能力に加えて高強度が必要であるので、従来どおり発泡プラスチックで形成される。
【0019】
空気緩衝材231-235は、
図2の(a)が示すようにMFP100と共に外箱240に収容された状態においては、MFP100の表面と外箱240の内壁との両方に接触するように気体、たとえば空気が中に封入されている。この状態では各緩衝材231-235は、その外面が接触している外箱240の内壁部分から、MFP100の外面へ押し付ける方向の圧力を受ける。この圧力は、外箱240の高い剛性により、各部屋の気圧に起因する外箱240の変形を防ぐ外箱240の応力に基づく。この圧力により、各緩衝材231-235はMFP100と外箱240との隙間に挟まれたままその位置に留まる。空気緩衝材231-235は、外箱240の側面が外部から振動衝撃を受けると、その振動衝撃に伴う外箱240の内壁からの圧力上昇に応じて内部の気体が、その体積を縮小させるだけでなく、緩衝材の内部で流動する。この収縮と流動とに伴って振動衝撃のエネルギーの一部が熱に変わって周囲に散逸する。こうして、MFP100にまで伝わる振動衝撃が緩和される。
【0020】
[空気緩衝材の構造]
図3の(a)は第1空気緩衝材231の平面図であり、(b)はその斜視図である。他の空気緩衝材232-235も、後述の梁部を除き、同じ構造である。第1空気緩衝材231は、軟質樹脂製のシート、たとえばナイロンとポリエチレンとの複合(ラミネート)シート300を2枚含む。これらのシート300は、同じ長方形状、同じ大きさであり、全体が重ねられている。各シート300は、たとえば内側がナイロン層、外側がポリエチレン層の2重構造である。ナイロン層は気体遮断性と強度とが高く、ポリエチレン層は熱加工性に優れているので、シート300は熱溶着(ヒートシール)による加工が容易であると共に、強度と気密性とがいずれも高い。
【0021】
シート300は熱溶着部301により、たとえば6本の袋体(「セル」ともいう。)311-316に分割されている。袋体311-316はそれぞれ、全周が熱溶着部301で密封された領域であり、いずれも平面形状(シート300の全体が平坦な状態における形状)が同じ短冊形状であってサイズが等しい。袋体311-316は長手方向をシート300の長辺(図ではX軸方向)に平行にして、シート300の短辺(図ではY軸方向)に平行に並んでいる(以下、袋体311-316の配列方向(Y軸方向)を「幅方向」という)。第6袋体316はシート300の長辺の一方(図では上辺)に最も近い。第6袋体316から距離を置いて次の第1袋体311が並んでいる。第6袋体316と第1袋体311との間の距離よりも狭い間隔で第1-第5袋体311-315は並んでいる。第6袋体316と第1袋体311との隙間には切れ目319があり、両袋体316、311から等距離の場所を両袋体316、311の長手方向(X軸方向)に平行に伸びている。
【0022】
袋体311-316はいずれも内側に気体、たとえば空気を閉じ込めており、その充填率は50%よりも高く、好ましくは55%以上である。「充填率」とは、張力が作用していない状態における袋体の断面と周の長さが等しい真円の面積に対し、内側に気体を封じている状態における袋体の(内部空間を含む)断面積が示す比率をいう。袋体311-316の中の空気は、第1空気緩衝材311が製造される際、導気管317と逆止弁318とを通して外部から吹き込まれる。導気管317は、シート300の短辺の一方に沿ってシート300の長辺の一方から他方まで伸びている短冊形状の領域であり、シート300の長辺の一方に位置する1辺を除く3辺が熱溶着部310で密封されている。導気管317はシート300の短辺に対して反対側では第1-第6袋体311-316の各端に隣接している。導気管317と各袋体311-316との間には逆止弁318が1つずつ設置され、導気管317から各袋体311-316への方向にのみ、空気を通過させる。
【0023】
第6袋体316を除き、第1-第5袋体311-315のそれぞれは長手方向(X軸方向)の中央部に仕切部321、322を含む。仕切部321、322は、袋体311-315の内側の空間を隔てて対向するシート300の内面部分が互いに熱溶着された領域である。仕切部はたとえば2種類のブロック321、322を含む。いずれのブロック321、322も、平面形状が袋体の幅方向(Y軸方向)に細長い矩形状であり、袋体の長手方向(X軸方向)における幅が等しく、全周が熱溶着部301によって密封されている。第1種ブロック321は、袋体の幅方向(Y軸方向)に平行な第1直線BL1に沿って、第1袋体311の内部から第2袋体312の内部まで、第3袋体313の内部から第4袋体314の内部まで、および第5袋体315の内部からその縁までのそれぞれを伸びている。第2種ブロック322は、袋体の幅方向(Y軸方向)に平行な第2直線BL2に沿って、第1袋体311の縁から内部まで、第2袋体312の内部から第3袋体313の内部まで、および第4袋体314の内部から第5袋体315の内部までのそれぞれを伸びている。これにより、各袋体311-315の内側の空間は、第1種ブロック321を境とする第1部屋331と、第2種ブロック322を境とする第2部屋332とに分割されている。第1部屋331と第2部屋332とは、容積が互いに等しく、平面形状の外周が袋体の長手方向(X軸方向)における中心線CLLに対して対称である。
【0024】
いずれのブロック321、322も袋体の幅方向における端が各袋体311-315の内側に位置するので、各ブロック321、322と各袋体311-315の長辺との間が開いている。袋体の長手方向(X軸方向)では第1種ブロック321と第2種ブロック322との間も開いている。これらの隙間(
図3の(a)の斜線部)341は、第1部屋331と第2部屋332とを連通させて、両部屋間の通気路として機能する。各通気路341のうち、第1種ブロック321と第2種ブロック322との隙間が成す区間342は通気方向が、平面形状における第1部屋331の中心点CP1と第2部屋332の中心点CP2との間を結ぶ直線CLTと直交している。この区間342が存在するので、いずれのブロック321、322も横切ることなく、両部屋331、332の中心点CP1、CP2の間を結ぶ直線CLTに平行な直線を通気路341の中に、第1部屋331から第2部屋332まで引くことはできない。この意味で、以下、通気路341のうち、第1種ブロック321と第2種ブロック322との隙間が成す区間342を「屈曲区間」と呼ぶ。
【0025】
図3の(b)が示すように、袋体311-315の中に空気を入れた状態では、ブロック321、322は第1部屋331と第2部屋332とのいずれよりも薄い(
図3の(a)では紙面の法線方向のサイズが短い)。したがって、袋体311-315は仕切部321、322を折り目にして容易に折れ曲がる。一般に、第1部屋331の長手方向(
図3の(b)ではX1軸方向)と第2部屋331の長手方向(
図3の(b)ではX2軸方向)との成す角θは90度に設定される。これにより、
図2の(a)が示すように、第1-第5空気緩衝材231-235はそれぞれ、MFP100の筐体の1辺を共有する2枚の外面の両方に接触可能である。
【0026】
第1-第4空気緩衝材231-234では、切れ目319が開かれて、第6袋体316が他の袋体311-315とは反対方向に折り曲げられている。他の袋体311-315がL字形であるのに対し、第6袋体316はM字形である。すなわち、第6袋体316の長手方向における中央部は、いわゆる火打ち梁として、他の袋体311-315の第1部屋331と第2部屋332との間の屈曲角θを固定する役割を果たす。さらに、第1-第4空気緩衝材231-234のそれぞれがMFP100の筐体の1つの角を覆う際、その角を共有する3枚の外面のうち2枚の側面に第1部屋331と第2部屋332とが接触する一方、残りの上面に第6袋体316の中央部(梁部)が引っ掛かけられる。この梁部は第1-第3空気緩衝材231-233のそれぞれでは更に、外箱240によってADF110の上面に押さえつけられる。こうして梁部は、第1-第4空気緩衝材231-234をMFP100の筐体の角に安定化させる。
【0027】
[空気緩衝材の機能]
図4の(a)は、
図2の(a)が示す直線IV-IVに沿った外箱240と第4空気緩衝材234との断面図である。第4空気緩衝材234がMFP100の梱包材として使用される際は、
図2の(a)が示すように、仕切部321、322がMFP100の縦辺103に沿って置かれた姿勢において袋体311-316が仕切部321、322で折れ曲がり、その縦辺103を共有するMFP100の側面104と背面105とのそれぞれに第1部屋331と第2部屋332との各外面が接触する。各外面は更に外箱240の内壁からの圧力でMFP100の側面104、背面105へ押し付けられるので、各部屋331、332は、内部の気圧が外箱240の内壁からの圧力と釣り合うまで圧縮される。この状態において、たとえば外箱240の側壁241が外部から衝撃力FSHを受けると、それに伴ってその側壁241が凹み、その側壁241の内面からの圧力上昇に応じて第1部屋331が潰され、その中の気体がその体積を縮小させる。したがって、衝撃力FSHに伴って外部から加わるエネルギーは、外箱240の側壁241に弾性エネルギーとして吸収され、第1部屋331の気体から体積縮小に伴う熱として散逸する。
【0028】
衝撃力FSHが更に強い場合、第1部屋331から気体の一部PGSが通気路341を通って第2部屋332へ流入する。このとき、移動する気体PGSが通気路341で受ける抵抗は高い。実際、通気路341は屈曲区間342を含むので、第1部屋331の長手方向(X1軸方向)と第2部屋332の長手方向(X2軸方向)との両方を含む平面(
図4の(a)が示すX1-X2平面)に射影した長さよりも大幅に延長されている。したがって、通気路341の内面との摩擦によって気体PGSから奪われる熱量が大きい。その上、屈曲区間342を通過する際に気体PGSの流れの方向は、両部屋331、332の長手方向を含む平面(X1-X2平面)内だけで回転するのではなく、この平面に対して垂直な方向(
図3の(b)ではY軸方向)へも大きく変化する。これは「仕切部321、322を横切ることなく、第1部屋331の中心点CP1と第2部屋332の中心点CP2との間を結ぶ直線CLTに平行な直線を通気路341の中に、第1部屋331から第2部屋332まで引くことはできない」という屈曲区間342の特徴による。このように、屈曲区間342では気流方向の3次元的な変化が大きいので、通過する間に気体PGSが失う運動エネルギーも大きい。さらに、通気路341を通過し終えた気体PGSは第2部屋332の気圧PRSを上昇させるので、外箱240の後壁242は押し返されて弾性変形する。こうして、衝撃力FSHに伴って外部から第1部屋331へ加えられるエネルギーは、気体PGSが通気路341を通過する間には熱として散逸し、その気体PGSが第2部屋332へ流入する際には外箱240の後壁242に弾性エネルギーとして吸収される。第4空気緩衝材234と外箱240との協働によるこのような緩衝作用により、衝撃力FSHに伴って外部から第1部屋331へ加えられるエネルギーのうち、MFP100の側面104にまで伝わる部分が緩和される。
【0029】
図4の(b)は、
図4の(a)の示す衝撃力FSHが除去された直後の外箱240と第4空気緩衝材234との断面図である。衝撃力FSHが除去された場合、外箱240の側壁241と後壁242とがそれぞれ蓄えていた弾性エネルギーを解放し、変形状態から元の平らな状態へ戻る。このとき、後壁242の復元力RCFで第2部屋332が押し潰されるので、通気路341を通して第2部屋332から第1部屋331へ気体の一部PGSが戻る。このときに戻る気体PGSの量が、衝撃力FSHに伴って第1部屋331から第2部屋332へ移動した気体PGSの量と等しいように、通気路341の幅は設計可能である。これは次の理由に因る。
【0030】
一般に、衝撃力FSHよりも後壁242の復元力RCFは弱いので、第2部屋332から第1部屋331への気流は、
図4の(a)が示す第1部屋331から第2部屋332への気流よりも遅い。流速が低いほど気流が方向変化によって失う運動エネルギーは小さいので、気体PGSの流れが屈曲区間342を通過する際に受ける抵抗は低い。一方、流路の断面積が大きいほど、流れの運動エネルギーのうち、流路の内面との摩擦で失われる部分の割合は低い。したがって、通気路341の幅が十分に大きく設計されていれば、気体PGSの流れが通気路341を通過する間に摩擦熱として失うエネルギーの割合を十分に低く抑えることは可能である。その結果、衝撃力FSHの除去に応じて後壁242から解放される弾性エネルギーで、十分な量の気体PGSを第2部屋332から第1部屋331へ戻すことができる。
【0031】
こうして、いずれの部屋331、332も気圧が等しい状態へ戻り、体積が元の値に戻る。外箱240とのこのような協働により第4空気緩衝材234は、衝撃を一度受けた後でも緩衝能力を確実に復元可能である。
【0032】
[緩衝効果の実測結果]
図5は、
図4の(a)の示す状態における第4空気緩衝材234の緩衝能力を示すグラフである。このグラフの縦軸は、一定の衝撃力FSHに伴ってMFP100の側面104が受ける加速度(以下、「衝撃加速度」と呼ぶ。)を、この加速度が取り得る最大値に対する比で表す。このグラフの横軸は、一定の衝撃力FSHに応じて第1部屋331から第2部屋332へ移動した気体の割合、すなわち移動率を、第1部屋331における気体の充填率の変化で表す。このグラフにプロットされた点P0、P1、…、P7はそれぞれ、移動率と衝撃加速度との測定値の対を座標とする測定点である。これらの測定点P0-P7は、各袋体311-315の幅(Y軸方向の長さ)に対する通気路341の幅の比を0%から5%ずつ上げるごとに実験して得られた。グラフが示す曲線CVは、測定点P0-P7を滑らかに補間したものである。実験では、袋体311-315の中の気体として空気が使用され、各袋体311-315における空気の充填率が75%に設定されている。したがって、第1部屋331と第2部屋332とにおける空気の充填率の初期値はいずれも75%である。
【0033】
点P0-P3が示すように、通気路341の幅が15%以下と狭く、第1部屋331から第2部屋332へ移動する空気量が15%以下と少なくても、衝撃加速度は0.8強まで緩和される。これは、第1部屋331の中における空気の圧縮だけでも緩衝能力が比較的高いことを示す。点P4-P6が示すように、通気路341の幅が20%から30%まで広がるにつれて、第1部屋331から第2部屋332へ移動する空気量が20%から40%までと増えると共に衝撃加速度が急速に0.4近くまで降下する。これは、第1部屋331から第2部屋332への空気の移動により緩衝能力が大幅に向上することを示す。点P6から点P7までの範囲では、通気路341の幅が30%から35%まで広がることにより、第1部屋331から第2部屋332へ移動する空気量が40%を超えて、衝撃加速度が再び上昇する。これは、第1部屋331に残る空気量が元の半分(35%)を下回り、空気の圧縮による緩衝能力が損なわれることを示す。
【0034】
図5のグラフからは次のことがわかる。各袋体311-315の幅(Y軸方向の長さ)に対して通気路341の幅が適度に広く、第1部屋331から第2部屋332への空気の移動率が適度に高い値に確保できれば、第4空気緩衝材234と外箱240との協働による緩衝能力を十分に向上させることが可能である。具体的には、各袋体311-315の幅に対して通気路341の幅が15%-30%であり、部屋間での空気の移動率が15%-40%であれば、第3空気緩衝材233と外箱240との協働による緩衝能力は、発泡プラスチック製のブロック型緩衝材の緩衝能力と同等以上である。部屋間での空気の移動率を15%-40%の範囲に収めることは各袋体311-315における空気の充填率、すなわち各部屋331、332における空気の充填率の初期値を55%以上に設定すれば可能である。
【0035】
[通気路の形状と緩衝効果との間の関係]
上記のとおり、通気路341が屈曲区間342を含むことにより、通気路341を通過する間に気体PGSの流れの受ける抵抗は強い。その結果、空気緩衝材231-235は外力に対する緩衝効果が高い。実際、品質工学によれば、屈曲区間342の設計条件が空気緩衝材231-234の緩衝能力の制御因子であることは、以下のように、実験で確かめられた。
【0036】
図6の(a)は、各袋体311-315(梁部316は除く。)の設計パラメーターを表す模式図であり、(b)は、これらのパラメーターに関して袋体の衝撃加速度に対する感度を表す要因効果図である。この要因効果図は次の実験で得られた。まず、梱包対象であるMFP100を模した治具が、空気緩衝材231-234、外箱240等の梱包材で梱包される。次に、梱包された治具が傾斜衝撃試験機に載せられて速度1.75m/sで固定壁に衝突し、外箱240越しに内部の治具に衝撃が付与される。このとき、治具に予め装着された加速度センサーで、治具の受けた衝撃加速度が測定される。この実験は、袋体311-315の設計パラメーターの値を変えながら繰り返された。
【0037】
袋体の設計パラメーターには、空気緩衝材1個あたりの袋体(セル)の本数、袋体の空気充填率の他に、
図6の(a)が示す次の6種類が含まれる。袋体の長さ(X軸方向のサイズ)LCLと幅(Y軸方向のサイズ)WCL、通気路341の幅WCH、屈曲区間342の幅(ブロック321、322の間隔)GBL、ブロック321、322の幅(X軸方向のサイズ)WBL、および屈曲区間342の最小曲率半径(ブロック321、322の角の曲率半径)RCN。これら8種類のパラメーターのうち、袋体の幅WCLが40mmに固定され、他のパラメーターがそれぞれ2つの異なる値(第1水準、第2水準)の間で切り換えられた。袋体の本数は、第1水準では“4”、第2水準では“5”であり、空気充填率は、第1水準では70%、第2水準では85%であり、袋体の長さLCLは、第1水準では300mm、第2水準では400mmであり、ブロック321、322の幅WBL、通気路341の幅WCH、および屈曲区間342の幅GBLはいずれも、第1水準では10mm、第2水準では20mmであり、屈曲区間342の最小曲率半径RCNは、第1水準では3mm、第2水準では5mmであった。
【0038】
衝撃加速度の複数の測定値から、
図6の(b)の要因効果図が示すように、設計パラメーターごとに第1水準と第2水準との間での感度の違いが算定された。上記の実験において「感度」は、固定壁との衝突で外箱240が受けた衝撃力(加速度)に対し、治具の受けた衝撃加速度が示す割合に相当する。特に、感度が低いほど外部からの衝撃力に対する衝撃加速度の割合が低いので、空気緩衝材231-234の緩衝効果が高い。
図6の(b)では、設計パラメーターごとに第1水準と第2水準とのそれぞれに対応する感度のうち空気緩衝材231-234の緩衝効果の高い方を示す点が、矩形で囲まれている。ブロック321、322の幅WBL、袋体の本数、袋体の長さLCL、および空気充填率はいずれも第2水準、20mm、“5”、400mm、85%の方が緩衝効果が高い。これらの設計パラメーターはいずれも、値が大きいほど外部からの衝撃に応じて移動可能な空気量が多く、その移動に伴って吸収可能なエネルギーが大きい。したがって、第2水準の方が緩衝効果が高いことは明らかである。一方、通気路341の幅WCH、屈曲区間342の最小曲率半径RCN、および屈曲区間342の幅GBLはいずれも第1水準、10mm、3mm、10mmの方が緩衝効果が高い。これらの設計パラメーターWCH、RCN、GBLはいずれも、値が小さいほど通気路341を通過する気流の受ける抵抗が高い。さらに、第1水準と第2水準との間での感度差は、通気路341の設計パラメーターWCH、RCN、GBLのいずれにおいても、ブロック321、322の幅WBLを除く他の設計パラメーター(袋体の本数、袋体の長さLCL、および空気充填率)と同程度に大きい。これは、屈曲区間342の設計条件が空気緩衝材231-234の緩衝能力の制御因子として、袋体311-315の全体の設計条件(本数、長さLCL、空気充填率)と同程度に有効であることを意味する。
【0039】
図6の(c)は、空気緩衝材231-234の設計条件と衝撃加速度との間の関係の一例を示す表である。この表では、衝撃加速度が重力加速度(1G≒9.8m/s
2)との比で表されている。この表の上段と下段との間では、袋体311-315の設計パラメーター(本数、長さLCL、幅WCL、空気充填率)が揃えられている一方、屈曲区間342の設計パラメーターWCH、RCN、GBLが異なる。この場合、衝撃加速度は、上段の設計条件では14.5Gであり、下段の設計条件では22.0Gである。このように、屈曲区間342の設計条件だけでも、衝撃加速度は十分に広い範囲で制御可能である。
【0040】
[通気路の幅と緩衝能力の復元効果との間の関係]
図4の(b)の示す第4空気緩衝材234では、外部からの衝撃力FSHが除去された場合、変形状態から元の平らな状態へ戻る後壁242の復元力RCFで、第2部屋332から通気路341を通して第1部屋331へ気体PGSが戻る。この場合、通気路341の幅が十分に大きければ、衝撃力FSHに伴って第1部屋331から第2部屋332へ移動した気体と同量の気体が第1部屋331へ戻るので、第4空気緩衝材234は緩衝能力を確実に復元可能である。このことは、以下のように、実際に検証された。
【0041】
図6の(d)は、通気路341の幅WCHと屈曲区間342の幅GBLとが等しい場合において、それらの値と緩衝能力の復元の成否との間の関係を示す表である。この表は次の実験の結果である。まず、
図6の(c)が示す表の上段の設計条件のうち、充填率が95%に変更され、通気路341の幅WCHと屈曲区間342の幅GBLとが等しく、4mm、6mm、8mm、10mm、12mmのそれぞれに変更されて、第4空気緩衝材234が作成される。次に、
図3の(b)が示すように、仕切部321、322を折り目にして袋体311-315が折り曲げられて、第1部屋331の長手方向(X1軸方向)と第2部屋331の長手方向(X2軸方向)との成す角θが90度に固定される。この状態で第1部屋331が外力で半分の体積まで潰され、その中の空気の一部が第2部屋332へ移動させられる。その後、外力が除去された時点から十分に短時間で第1部屋331が元の体積に戻るか否かが検証された。この検証は、通気路341の幅WCH=4mm、6mm、8mm、10mm、12mmのそれぞれについて3回ずつ繰り返された。
図6の(d)では、丸印が元の体積に戻った場合を示し、バツ印が戻らなかった場合を示す。
図6の(d)が示すとおり、通気路341の幅WCHが8mm以上であれば、すべての検証で第4空気緩衝材234は緩衝能力を復元できた。袋体311-315の各幅WCLは40mmであったので、袋体の幅WCLに対して通気路341の幅WCHと屈曲区間342の幅GBLとが20%以上の広さであれば、第4空気緩衝材234は確実に緩衝能力を復元可能であることがわかる。
【0042】
[実施形態の利点]
本発明の実施形態による梱包材は上記のとおり、空気緩衝材231-235を含む。各緩衝材231-235は仕切部321、322で折れ曲がり、袋体311-315の第1部屋331の外面にはMFP100の表面の一方から圧力を受けさせ、第2部屋332の外面には他方から圧力を受けさせる。この状態で第1部屋331が外箱240越しに衝撃力FSHを受けると、外箱240が第2部屋332に加える圧力に抗して気体PGSが第1部屋331から通気路341を通って第2部屋332へ移動する。通気路341の含む屈曲区間342は、袋体311-315が平坦な状態では、第1部屋331の中心CP1と第2部屋332の中心CP2との間を結ぶ直線CLTと通気方向が交差する。屈曲区間342の位置、形状、または幅は、仕切部321、322を横切ることなく、両部屋の中心CP1、CP2の間を結ぶ直線CLTに平行な直線を、通気路341の中に第1部屋331から第2部屋332まで引くことができないように設計されている。これにより、通気路341は両部屋331、332の長手方向を含む平面(X1-X2平面)への射影よりも長いので、通気路341の内面との摩擦によって気体PGSから奪われる熱量が大きい。その上、屈曲区間342では気流方向の3次元的な変化が大きいので、通過する間に気体PGSの失う運動エネルギーが大きい。さらに、気体PGSの移動に伴う第2部屋332での気圧上昇により、外箱240の後壁242は押し返されて弾性変形する。こうして、衝撃力FSHが第1部屋331へ加えるエネルギーは、気体PGSが通気路341を通過する間には熱として散逸し、その気体PGSが第2部屋332へ流入する際には外箱240の後壁242に弾性エネルギーとして吸収される。各空気緩衝材231-235と外箱240との協働によるこのような緩衝作用により、衝撃力FSHに伴って外部から第1部屋331へ加えられるエネルギーのうち、MFP100の表面にまで伝わる部分が緩和される。
【0043】
衝撃力FSHが除去されると、外箱240の後壁242が変形状態から元の平らな状態へ戻る。これに伴い、第2部屋332から気体PGSが第1部屋331へ戻る。このときの気流は衝撃力FSHに起因する第1部屋331から第2部屋332への気流よりも遅いので、屈曲区間342を通過する際に受ける抵抗は低い。さらに、通気路341の幅WCH、GBLは各袋体311-315の幅WCLよりも十分に大きく設計されているので、気流が通気路341を通過する間に摩擦熱として失うエネルギーも十分に小さい。その結果、衝撃力FSHの除去に応じて後壁242から解放される弾性エネルギーで、十分な量の気体PGSを第2部屋332から第1部屋331へ戻すことができる。各空気緩衝材231-235と外箱240との協働によるこのような復元作用により、衝撃を一度受けた後でも、空気緩衝材231-234は緩衝能力を確実に復元可能である。
【0044】
こうして、本発明のこの実施形態による梱包材は緩衝材に、部品点数を増やすことも、構造を複雑化させることもなく、外力に応じて袋体間を移動する気体が受ける抵抗を十分に高めさせると共に、その外力からの解放に伴って緩衝能力を確実に復元させることができる。
【0045】
本発明のこの実施形態による梱包材には、上記の利点の他にも以下の利点がある。第1に、空気緩衝材231-235はそれぞれ、発泡プラスチック製のブロック型緩衝材と比べた場合、厚みが同じであれば緩衝能力を高く設定することができ、緩衝能力が同じであれば樹脂の使用量を少なく抑えることができる。この意味で、空気緩衝材231-235は環境に優しい。第2に、空気緩衝材231-235は、廃棄の際には袋体311-316から空気を抜けば体積が1%程度まで縮小可能である。したがって、梱包材の廃棄量の削減に有利である。第3に、空気緩衝材231-235は軟質樹脂製であり、
図3の(a)が示すようにシート状であるので、筒状に巻く等、コンパクトな形で保管可能である。したがって、梱包材の保管スペースの削減に有利である。第4に、通気路341には逆止弁等、空気抵抗を上げるための部品が不要であるので、空気緩衝材231-235の部品点数を少なく、かつ構造を簡単なままに維持できる。第5に、
図6の(c)が示すとおり屈曲区間342の設計条件だけでも空気緩衝材231-235の緩衝能力は十分に広い範囲で制御可能である。したがって、空気緩衝材231-235は設計の柔軟性が高い。
【0046】
[変形例]
(A)
図1の示す画像形成装置100はMFPである。梱包対象の画像形成装置はその他に、プリンター、コピー機、ファクシミリ機等の単機能機、または給紙ユニット、フィニッシャー等のオプション機であってもよい。梱包対象はまた、たとえば、パーソナルコンピューター、サーバー等の電子機器、洗濯機、冷蔵庫等の大型家電製品、旋盤等の工作機械、または産業用ロボットの完成品、またはそれらの部品であってもよい。
【0047】
(B)
図3の(a)が示す空気緩衝材234では袋体311-316の平面形状が短冊形状であり、第1部屋331と第2部屋332とは、容積が互いに等しく、平面形状の外周が袋体の長手方向(X軸方向)における中心線CLLに対して対称である。袋体の平面形状はその他に、三角形等の多角形状、または半円形等、周に曲線を含む形状であってもよい。この場合に、第1部屋と第2部屋とは、容積が互いに等しく、平面形状の外周が、袋体の長手方向(X軸方向)における中心線CLLと幅方向(Y軸方向)における中心線CLTとの交点に対して対称であればよい。
【0048】
(C)
図3の(a)が示す袋体311-316では、仕切部321、322が第1部屋331と第2部屋332との間に通気路341を1本形成している。通気路はその他に2本以上であってもよい。いずれの通気路も屈曲区間を含み、各区間の位置、形状、または幅が、仕切部321、322を横切ることなく、両部屋の中心CP1、CP2の間を結ぶ直線CLTに平行な直線を、通気路341の中に第1部屋331から第2部屋332まで引くことができないように設計されていればよい。この場合、空気緩衝材と外箱240との協働による緩衝能力は十分に高い。さらに、衝撃力FSHの除去に応じて十分な量の気体PGSを第2部屋332から第1部屋331へ戻すことができるように、通気路341の幅WCH、GBLが各袋体311-315の幅WCLよりも十分に大きく設計されていればよい。この場合、空気緩衝材と外箱240との協働による緩衝能力の復元効果は十分に高い。
【0049】
好ましくは、通気路は、
図3の(a)が示すもの341と同様に、袋体の長手方向(X軸方向)における中心線CLLと幅方向(Y軸方向)における中心線CLTとの交点に対して対称である。これにより、第1部屋と第2部屋とのいずれが外箱240越しに外力を受ける場合でも、空気緩衝材は緩衝効果と緩衝能力の復元効果とが十分に高い。
【0050】
(D)
図3の(a)が示す袋体311-316では、いずれのブロック321、322も平面形状が袋体の幅方向(Y軸方向)に細長い矩形状であり、袋体の長手方向(X軸方向)における幅が等しく、全周が熱溶着部301によって密封されている。これにより、通気路341は屈曲角が90度である。ブロックの平面形状は更に複雑でもよく、その辺が袋体の長手方向に対して傾斜していても、曲線であってもよい。
【0051】
図7の(a1)-(f2)は、第1種ブロックと第2種ブロックとのうち、同じ袋体に含まれる部分の変形例を示す平面図である。
図7は示していないが、2本の袋体が幅方向に隣接する場合、好ましくは、これらの袋体間ではブロックの形状が、
図3の(a)と同様、互いに鏡像関係に設計される。
【0052】
図7の(a1)-(a3)が示す第1変形例ではいずれのブロック421-426も、
図3の(a)が示すブロック321、322と同様な矩形状である。第1種ブロック421、423、425と第2種ブロック422、424、426とは、袋体の長手方向(X軸方向)における中心線CLLと幅方向(Y軸方向)における中心線CLTとの交点(以下、「中心点」という。)CTPに対し、位置も形状も対称である。
図7の(a1)-(a3)が示す3本の袋体間では、ブロックの熱溶着の仕方が異なる。
図7の(a1)が示すブロック421、422では、
図3の(a)が示すブロック321、322と同様、各周に沿って熱溶着部301が伸びている。
図7の(a2)が示すブロック423、424では、各領域の全体が熱溶着されている。
図7の(a3)が示すブロック425、426では、袋体の長辺から間隔をわずかに空けて残りの領域全体が熱溶着されている。
【0053】
図7の(b1)-(b3)が示す第2変形例ではいずれのブロック521-526も台形状である。第1種ブロック521、523、525と第2種ブロック522、524、526とは、袋体の中心点CTPに対して位置も形状も対称である。
図7の(b1)-(b3)が示す3本の袋体間では、ブロックの熱溶着の仕方が異なる。
図7の(b1)が示すブロック521、522では、各周に沿って熱溶着部301が伸びている。
図7の(b2)が示すブロック523、524では、各領域の全体が熱溶着されている。
図7の(b3)が示すブロック525、526では、袋体の長辺から間隔をわずかに空けて残りの領域全体が熱溶着されている。
【0054】
図7の(c1)-(c3)が示す第3変形例では、
図3の(a)とは異なり、第1種ブロック621、623、625と第2種ブロック622、624、626とが共に、袋体の幅方向に伸びる同じ直線上に位置する。第1部屋の中心点CP1と第2部屋の中心点CP2との間を結ぶ直線CLTに対し、第1種ブロック621、623、625は凸形状であり、第2種ブロック622、624、626は凹形状である。いずれのブロック621-626も袋体の長手方向(X軸方向)における中心線CLLに対して対称である。
図7の(c1)-(c3)が示す3本の袋体間では、ブロックの熱溶着の仕方が異なる。
図7の(c1)が示すブロック621、622では、各周に沿って熱溶着部301が伸びている。
図7の(c2)が示すブロック623、624では、各領域の全体が熱溶着されている。
図7の(c3)が示すブロック625、626では、袋体の長辺から間隔をわずかに空けて残りの領域全体が熱溶着されている。
【0055】
図7の(d1)、(d2)が示す第4変形例ではいずれのブロック721-724も鉤形状である。第1種ブロック721、723と第2種ブロック722、724とは、袋体の中心点CTPに対して位置も形状も対称である。特に、鉤形状の各辺が中心線CLL、CLTのいずれに対しても傾斜している。
図7の(d1)、(d2)が示す2本の袋体間では、ブロックの熱溶着の仕方が異なる。
図7の(d1)が示すブロック721、722では、各領域の全体が熱溶着されている。
図7の(d2)が示すブロック723、724では、袋体の長辺から間隔をわずかに空けて残りの領域全体が熱溶着されている。
【0056】
図7の(e1)、(e2)が示す第5変形例は、
図7の(d1)、(d2)が示す第4変形例と同様に、いずれのブロック821-824も鉤形状であり、第1種ブロック821、823と第2種ブロック822、824とは袋体の中心点CTPに対し、位置も形状も対称である。一方、
図7の(d1)、(d2)が示す第4変形例とは異なり、鉤形状の各辺が中心線CLL、CLTのいずれかと平行である。
図7の(e1)、(e2)が示す2本の袋体間では、ブロックの熱溶着の仕方が異なる。
図7の(e1)が示すブロック821、822では、各領域の全体が熱溶着されている。
図7の(e2)が示すブロック823、824では、袋体の長辺から間隔をわずかに空けて残りの領域全体が熱溶着されている。
【0057】
図7の(f1)、(f2)が示す第6変形例では、第1種ブロック921、923は弧状である一方、第2種ブロック922、924は鉤形状である。第1種ブロック921、923と第2種ブロック922、924とは位置だけが、袋体の中心点CTPに対して対称である。
図7の(f1)、(f2)が示す2本の袋体間では、ブロックの熱溶着の仕方が異なる。
図7の(f1)が示すブロック921、922では、各領域の全体が熱溶着されている。
図7の(f2)が示すブロック923、924では、袋体の長辺から間隔をわずかに空けて残りの領域全体が熱溶着されている。
【0058】
第1-第6変形例のいずれにおいても、第1種ブロックと第2種ブロックとの隙間が2つの部屋を連通させ、通気路341として機能する。さらに、いずれの通気路341も屈曲区間342を含む。屈曲区間342は、袋体が平坦な状態では、両部屋の中心CP1、CP2間を結ぶ直線CLTと通気方向が交差する。屈曲区間342の存在により、この直線CLTに平行な直線を通気路341の中に部屋の一方から他方まで引くことは、ブロック421-924を横切らない限り不可能である。さらに、通気路341の幅が十分に広ければ、外力が除去された場合に部屋の一方から他方へ戻る気体の流量を所定値以上確保することは可能である。したがって、第1-第6変形例のいずれでも、空気緩衝材は高い緩衝効果と緩衝能力の確実な復元効果との両方を実現可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は梱包材に関し、上記のとおり、空気緩衝材を外箱と組み合わせて利用する。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0060】
100 MFP
104 MFPの筐体の側面
105 MFPの筐体の背面
231-235 空気緩衝材
240 外箱
241 外箱の側壁
242 外箱の後壁
311-316 空気緩衝材の袋体
321 第1種ブロック
322 第2種ブロック
331 袋体の第1部屋
332 袋体の第2部屋
341 袋体の部屋間の通気路
342 通気路の屈曲区間