(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】表示制御装置及び表示制御システム
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20220222BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
H04N5/232 960
H04N5/225 800
H04N5/232 290
H04N5/232 030
H04N5/232 930
(21)【出願番号】P 2021036163
(22)【出願日】2021-03-08
(62)【分割の表示】P 2017221449の分割
【原出願日】2017-11-17
【審査請求日】2021-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】湯舟 秀太
【審査官】▲徳▼田 賢二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-130091(JP,A)
【文献】特開2000-41179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
H04N 5/225
H04N 17/00
H04N 17/56
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ズーム倍率を変更する機能を有する複数のカメラと、前記カメラで撮影された画像の表示を制御する表示制御装置と、を備えた表示制御システムにおいて、
前記カメラは、ズーム倍率を変更するズーム倍率変更部を有し、
前記表示制御装置は、
操作者による前記ズーム倍率の設定操作を受け付ける操作子を、前記カメラ毎に有し、
前記操作子の操作量に応じた制御量の第1の制御信号を出力する操作部と、
前記操作子の操作量に対する、前記カメラ毎のズーム倍率の変化量が一定になるように、前記操作部より出力される制御信号の制御量を変換し、変換後の制御量となる第2の制御信号を前記ズーム倍率変更部に出力する制御量変換部と、
前記カメラ毎にズーム倍率の初期値を取得し、前記初期値と前記第2の制御信号に基づいて前記カメラ毎にズーム倍率データを生成するズーム倍率算定回路と、
前記ズーム倍率データに基づいて前記各カメラで撮影された画像をシェーディング補正する画質補正回路と、
を備え、
前記ズーム倍率変更部は、前記第2の制御信号の制御量に応じてズーム倍率を変更すること
を特徴とする表示制御システム。
【請求項2】
前記画質補正回路は、前記シェーディング補正する際の補正値を、前記カメラの機種毎
に記憶する補正値記憶部を更に備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の表示制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズーム機能を有する複数のカメラで撮影した画像の表示を制御する表示制御
装置及び表示制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スタジオやライブ会場では、パン(カメラのレンズの向きを左右に動かす)、
チルト(カメラのレンズの向きを上下に動かす)、ズーム(望遠および広角にすること)
の機能を有するカメラ(以下、「PTZカメラ」という)を複数設置して、複数の画像を
撮影し表示することが行われている。このような表示操作は一人の操作者によって操作さ
れることが多い。
【0003】
一人の操作者が複数のPTZカメラを操作して表示倍率を設定し、画像を生成する際に
は、専用の操作子(例えば、回転式の操作子)を操作する。この場合、カメラのメーカや
機種の違いによって、操作子の操作量とカメラの倍率変化が異なることが有る。例えば、
2台のカメラの倍率をそれぞれの操作子を操作して設定する際には、双方の操作子をx目
盛だけ変化させた際に、一方のカメラの倍率はyだけ変化し、他方のカメラの倍率はzだ
け変化することが有る。
【0004】
このような場合には、2台のカメラの倍率を設定する際にそれぞれの操作子で、倍率変
化の感覚が異なるので、操作者の意思通りに倍率を変化させた画像生成(所謂、「画作り
」)が難しい。更に、カメラの台数が多くなるとより一層複雑になり、操作が難しくなる
。そこで、表示倍率変更の操作性を統一し、操作性を向上させることが望まれる。
【0005】
また、カメラ自体には光学系による周辺減光や撮像素子の感度不均一性によって生じる
輝度ムラ、すなわちシェーディングが存在し、これを取り除くためにシェーディング補正
を行う。カメラの機種毎にシェーディング補正の度合いが異なるので、得られた画質が同
一にならないという問題が発生する。特許文献1には、ステレオカメラとして用いる2台
のカメラで撮影される画像を補正することが記載されている。しかし、特許文献1は異な
る機種の画質を調整することについて記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来における表示制御装置では、複数台のカメラで撮影した画像の表
示を制御する際に、カメラの機種が異なる場合にはズーム倍率の操作が難しい。また、複
数のカメラの機種が異なる場合には、各カメラで撮影される画像の画質を均一にすること
が難しく、複数のカメラで撮影した画像を一つの画面に分割表示する場合等において、違
和感を感じるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とす
るところは、複数台のカメラがそれぞれ異なる機種であってもズーム倍率の操作を容易に
行うことができ、且つ、画質を均一にして表示することが可能な表示制御装置、及び表示
制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示制御装置は、ズーム倍率を変更する機能を
有する複数のカメラで撮影された画像の表示を制御する表示制御装置において、操作者に
よる前記ズーム倍率の設定操作を受け付ける操作子を、前記カメラ毎に有し、前記操作子
の操作量に応じた制御量の第1の制御信号を出力する操作部と、前記操作子の操作量に対
する、前記カメラ毎のズーム倍率の変化量が一定になるように、前記操作部より出力され
る前記第1の制御信号の制御量を変換し、変換後の制御量となる第2の制御信号を前記カ
メラに出力する制御量変換部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る表示制御システムは、ズーム倍率を変更する機能を有する複数のカメラと
、前記カメラで撮影された画像の表示を制御する表示制御装置と、を備えた表示制御シス
テムにおいて、前記カメラは、ズーム倍率を変更するズーム倍率変更部を有し、前記表示
制御装置は、操作者による前記ズーム倍率の設定操作を受け付ける操作子を、前記カメラ
毎に有し、前記操作子の操作量に応じた制御量の第1の制御信号を出力する操作部と、前
記操作子の操作量に対する、前記カメラ毎のズーム倍率の変化量が一定になるように、前
記操作部より出力される制御信号の制御量を変換し、変換後の制御量となる第2の制御信
号を前記ズーム倍率変更部に出力する制御量変換部と、を備え、前記ズーム倍率変更部は
、前記第2の制御信号の制御量に応じてズーム倍率を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る表示制御装置、及び表示制御システムでは、操作者による操作子の操作量
と、カメラのズーム倍率の変化量が一致するので、操作者は複数のカメラのズーム倍率を
違和感なく操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る表示制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る表示制御システムの、カメラ、表示制御装置、及び画質調整器の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す操作子の詳細な構成を示す説明図である。
【
図4】
図4は、シェーディング調整回路の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る表示制御装置の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の一実施形態に係るカメラでの処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の一実施形態に係る画質調整器での処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本実施形態の構成の説明]
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係
る表示制御システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係
る表示制御システムは、複数(図では3つ)の撮影装置11a、11b、11cと、各撮
影装置11a、11b、11cに接続されたアドレス制御部12、及び表示制御装置13
を備えている。なお、以下では各撮影装置を区別して示す場合には、「11a」「11b
」「11c」のようにサフィックスを付し、区別しない場合にはサフィックスを付さず「
11」と示すことにする。他の符号についても同様とする。
【0014】
撮影装置11aは、カメラ21aと、画質調整器22a、及びレンズ23aを備えてい
る。なお、撮影装置11b、11cについても同様の構成を有しており、それぞれ、カメ
ラ21b、21c、画質調整器22b、22c、及びレンズ23b、23cを備えている
。
【0015】
カメラ21は、レンズ23で集光される映像を取得して画像データに変換する。更に、
カメラ21には、パン、チルト用のモータ(図示省略)が設けられており、表示制御装置
13より送信される制御信号に基づいて、パン、チルトの角度を遠隔で操作することがで
きる。カメラ21のレンズ23はズーム機能を有しており、表示制御装置13より送信さ
れる制御信号に基づいて、レンズ23を前後方向に移動させることによりズーム倍率を変
更し、所望の拡大率、或いは縮小率の画像を撮影することができる。
【0016】
このような機能を有するカメラ21は、表示制御装置13による遠隔操作で、パン、チ
ルトの角度、及びズーム倍率を任意に設定できるので、例えば、スタジオやライブ会場に
おいて所望の向きで画像を撮影し、更にズームアップ、ズームバックで画像を撮影するこ
とができる。
【0017】
アドレス制御部12は、表示制御装置13より出力される制御信号のIPアドレスに基
づいて、送信先の各撮影装置11に出力する。アドレス制御部12の制御機能により、表
示制御装置13から各撮影装置11へ送信される制御信号を、それぞれ対応する撮影装置
11へ振り分けて送信することができる。
【0018】
図2は、撮影装置11、及び表示制御装置13の詳細な構成を示すブロック図である。
なお、
図2では、
図1に示した3つの撮影装置11a、11b、11cのうちの一つを撮
影装置11として示している。他の2つの撮影装置の記載を省略している。
図2に示すよ
うに、カメラ21は、レンズ23を作動させて撮影時のズーム倍率を変更するレンズ制御
回路211(ズーム倍率変更部)と、レンズ23で集光した映像を取得して画像データに
変換する撮像素子212と、撮像素子212より出力される画像データに対して高画質化
処理を行う画像処理回路214を備えている。画像処理回路214は、例えば、ISP(
image signal processor)で構成することができる。更に、カメラ21の初期テータを記
憶するイニシャライズ情報記憶部213、及びカメラ21の機種名を記憶する機種名記憶
部215を備えている。
【0019】
表示制御装置13は、操作者による入力操作を受け付ける操作部139と、W/Tパル
ス変換テーブル記憶部134と、W/Tパルス変換回路133と、機種名記憶部135、
及びズーム倍率算定回路136、を備えている。なお、「W/T」の「W」は「WIDE
(広角側)」、「T」は「TELE(望遠側)」を示している。操作部139は、操作子
131、及びW/Tパルス情報生成回路132を備えている。
【0020】
操作子131は、
図3に示すように、各カメラ21a、21b、21cに対してそれぞ
れズーム倍率を設定する倍率設定用ダイヤル51(51a、51b、51c)と、カメラ
21のパン、チルトの角度を操作するパン操作スイッチ52(52a、52b、52c)
、及びチルト操作スイッチ53(53a、53b、53c)を備えている。即ち、操作子
131は、操作者によるズーム倍率の設定操作、及びパン、チルトの操作を受け付ける。
【0021】
倍率設定用ダイヤル51は、例えば、リターン式のダイヤルで構成されており、基準位
置から右方向に回転させるとズーム倍率をWIDE方向に変化させることができ、左方向
に回転させるとズーム倍率をTELE方向に変化させることができる。また、基準位置か
らの回転角度が大きくなるほど、ズーム倍率の変化速度が大きくなる。従って、例えばズ
ーム倍率を大きくしたい場合には、ダイヤルを右方向に大きく回転させて迅速に拡大率を
変化させ、更に回転角度を小さくすることにより、微調整を行うことが可能である。操作
を終えてダイヤルから手を放すと、倍率設定用ダイヤル51はリターン機能により自動的
に基準位置に戻り、設定したズーム倍率が維持される。
【0022】
パン操作スイッチ52、及びチルト操作スイッチ53は、例えばジョイスティックで構
成され、ジョイスティックの操作方向、及び操作量に応じて、パン、チルトの角度を遠隔
操作することが可能である。
【0023】
図2に示すW/Tパルス情報生成回路132は、操作子131で入力された操作量に応
じた制御量の制御信号(第1の制御信号)を生成して出力する。具体的には、操作子13
1で入力された操作量に応じたパルス数となるパルス信号(これを「入力パルス信号」と
する)を生成して出力する。パルス信号は、周期的にオン、オフが繰り返される信号であ
る。ダイヤルの基準位置からの回転角度が大きいほど、パルス信号の周波数(単位時間当
たりのパルス数)が大きくなり、ズームの変化速度が大きくなる。操作量はダイヤルの基
準位置からの回転角度とその回転角度を維持した時間で決まる。
【0024】
機種名記憶部135は、各カメラ21a、21b、21cのそれぞれの機種名を、例え
ば各機種毎のIDとして記憶する。
【0025】
W/Tパルス変換回路133は、W/Tパルス情報生成回路132より出力されるパル
ス信号のパルス数を、カメラ21のズーム倍率を制御するためのパルス数となるパルス信
号(これを、「基準パルス信号」とする)に変換する。具体的には、
図3に示した各倍率
設定用ダイヤル51a、51b、51cのそれぞれの操作量に対して、各カメラ21a、
21b、21cのズーム倍率の変化量が一定となるように、パルス信号のパルス数を変換
する。変換後のパルス信号をレンズ制御回路211に出力する。
【0026】
例えば、カメラ21aの倍率設定用ダイヤル51aの操作量がN1のとき、W/Tパル
ス情報生成回路132より出力される入力パルス信号のパルス数がM1であるものとする
。一方、カメラ21bの倍率設定用ダイヤル51bの操作量が同様にN1のとき、W/T
パルス情報生成回路132より出力される入力パルス信号のパルス数も同様にM1となる
。この場合には、そのままのパルス数の入力パルス信号をカメラ21a、及びカメラ21
bに出力すると(W/Tパルス変換回路133による変換処理を行わないと)、カメラ2
1aではパルスM1に相当する変化量(これを、K1とする)だけズーム倍率が変化する
。
【0027】
ここで、カメラ21bがカメラ21aと同じ機種の場合、カメラ21bはパルス数M1
に対してズーム倍率の変化量はK1だけ変化する。一方、カメラ21bがカメラ21aと
異なる機種の場合、カメラ21bのパルス1回に対するズーム倍率の変化量がカメラ21
aと異なるため、カメラ21bはパルス数M1に相当する変化量(これを、K2とする)
だけズーム倍率が変化する。つまり、操作者は、2つの倍率設定用ダイヤル51a、51
bを同一の操作量N1だけ操作したにも拘わらず、カメラ21aのズーム倍率はK1だけ
変化し、カメラ21bのズーム倍率はK2だけ変化することになり、統一性がなく違和感
を感じてしまう。
【0028】
本実施形態では、W/Tパルス変換回路133にて、パルス数を変換して、入力パルス
信号を各カメラの機種に応じた基準パルス信号に変換することにより、各倍率設定用ダイ
ヤル51a、51b、51cの操作量と、各カメラ21a、21b、21cのズーム倍率
の変化量を一致させる処理を行う。
【0029】
W/Tパルス変換テーブル記憶部134は、各カメラ21の機種ごとに、パルス信号の
パルス数を変換するためのデータ(変換係数)を有する変換テーブルが記憶されている。
従って、W/Tパルス情報生成回路132より入力パルス信号が出力された場合には、W
/Tパルス変換回路133は、W/Tパルス変換テーブルを参照してパルス数を変換し、
基準パルス信号として各カメラ21に出力する。
【0030】
「基準パルス信号」は、W/Tパルス変換回路133(制御量変換部)により、操作子
131の操作量に対する、カメラ毎のズーム倍率の変化量が一定になるように、第1の制
御信号の制御量を変換した第2の制御信号である。
【0031】
ズーム倍率算定回路136は、W/Tパルス変換回路133で変換される基準パルス信
号のパルス数に基づいて、カメラ21のズーム倍率を算定し、算定したズーム倍率のデー
タを画質調整器22に送信する。
【0032】
なお、上記した表示制御装置13は、例えば、中央演算ユニット(CPU)や、RAM
、ROM、ハードディスク等の記憶手段からなる一体型のコンピュータとして構成するこ
とができる。
【0033】
一方、
図2に示す画質調整器22は、シェーディング調整回路221(画質補正回路)
と、機種名記憶部222、及びシェーディング変換テーブル記憶部223(補正値記憶部
)を備えている。
【0034】
機種名記憶部222は、表示制御装置13の機種名記憶部135より送信される各カメ
ラ21の機種名を記憶する。
【0035】
シェーディング変換テーブル記憶部223は、各カメラ21の機種に対応するシェーデ
ィング補正する際の各種の閾値及び各種の補正値を記憶している。
【0036】
シェーディング調整回路221は、各カメラ21の機種及びズーム倍率に基づいて、シ
ェーディング変換テーブル記憶部223からシェーディング補正に用いる各種のデータを
取得し、画像処理回路214より出力される画像データをシェーディング補正する。その
結果、カメラ21の機種、及びズーム倍率に応じた適切なシェーディング補正が可能にな
り、濃度ムラのない鮮明な画像に変換することができる。シェーディング調整回路221
は、画質補正部としての機能を備えている。
【0037】
図4は、シェーディング調整回路221の詳細な構成を示すブロック図であり、YUV
信号をRGB信号に変換する第1色空間変換器31と、画像データを8ビットから12ビ
ットに変換するビット伸長器32と、シェーディング補正を実施するシェーディング補正
器33、及びシェーディング補正されたRGBの画像データをYUVの画像データに変換
する第2色空間変換器34を備えている。
【0038】
図2に示した画像処理回路214より出力される画像データは、YUV信号である。Y
UV信号とは、周知のように、輝度信号(Y)、輝度信号と青色成分の差(U)、輝度信
号と赤色成分の差(V)の組み合わせで色情報を表している。人間の目が、変化を敏感に
感じ取れる輝度信号と、そうではない色差信号に分けてあるため、この人間の目の特性を
利用したデータ形式である。
【0039】
シェーディング調整回路221でシェーディング補正された画像は、
図2に示すモニタ
15、及び記録媒体16に出力される。モニタ15は、画像を画面表示する。記録媒体1
6は、USBメモリやSDカードであり、画像データを記録する。
[本実施形態の作用の説明]
次に、上述のように構成された本実施形態に係る表示制御システムの作用を、
図5~図
7に示すフローチャートを参照して説明する。
図5は、表示制御装置13の処理手順を示
すフローチャート、
図6は、カメラ21の処理手順を示すフローチャート、
図7は、画質
調整器22の処理手順を示すフローチャートである。
【0040】
初めに、
図5を参照して表示制御装置13の処理手順について説明する。
図5のステッ
プS11において、表示制御装置13は、各カメラ21のイニシャライズ情報(電源をオ
ンとしたときの情報)を取得する。この情報に基づき、カメラ21のレンズ23が基準位
置であり、ズーム倍率が初期値であることを認識する。
【0041】
ステップS12において、表示制御装置13は、各カメラ21との通信により各カメラ
21の機種名を入手する。機種名は、機種名記憶部135に記憶される。
【0042】
ステップS13において、操作者による倍率設定用ダイヤル51の操作入力を受け付け
、操作された場合にはその操作量を検出する。
【0043】
ステップS14において、W/Tパルス情報生成回路132は、倍率設定用ダイヤル5
1の操作量に応じたパルス数の入力パルス信号を生成して出力する。
【0044】
ステップS15において、W/Tパルス変換回路133は、機種名記憶部135に記憶
されているカメラの機種名、及びW/Tパルス変換テーブル記憶部134に記憶されてい
る変換テーブルを参照して、W/Tパルス情報生成回路132より出力される入力パルス
信号を基準パルス信号に変換する。
【0045】
ステップS16において、変換した基準パルス信号をカメラ21のレンズ制御回路21
1に出力する。
【0046】
ステップS17において、ズーム倍率算定回路136は、基準パルス信号に基づいてカ
メラ21のズーム倍率を算定する。そして、ステップS18において、算定したズーム倍
率のデータを画質調整器22に出力する。その後、ステップS13に処理を戻す。
【0047】
このように、表示制御装置13では、操作者により倍率設定用ダイヤル51が操作され
た場合には、その操作量に応じて出力される入力パルス信号を、基準パルス信号に変換し
て各カメラ21に出力する。
【0048】
次に、
図6に示すフローチャートを参照して、カメラ21の処理手順について説明する
。初めに、ステップS31において、イニシャライズ情報記憶部213に記憶されている
カメラ21のイニシャライズ情報を表示制御装置13に出力する。
【0049】
ステップS32において、機種名記憶部215に記憶されているカメラ21の機種名を
表示制御装置13に出力する。
【0050】
ステップS33において、レンズ制御回路211は、W/Tパルス変換回路133より
出力される基準パルス信号を受信する。
【0051】
ステップS34において、レンズ制御回路211は、レンズ23を駆動させてカメラ2
1のズーム倍率が所望の倍率になるように制御する。前述したように、倍率設定用ダイヤ
ル51(
図3参照)の操作量に応じて生成される入力パルス信号は、W/Tパルス変換回
路133にて基準パルス信号に変換されるので、レンズ制御回路211は、基準パルス信
号のパルス数に応じて、レンズ23を駆動する。上述したように、各倍率設定用ダイヤル
51(51a、51b、51c)の操作量に対する、各カメラ21(21a、21b、2
1c)のズーム倍率の変化量が一定になるように、W/Tパルス変換回路133では入力
パルス信号(操作部より出力される制御信号の制御量)を基準パルス信号に変換している
。
【0052】
その結果、
図3に示す各倍率設定用ダイヤル51(51a、51b、51c)の操作量
と各カメラ21(21a、21b、21c)のズーム倍率の変化量が一定となり、操作者
による倍率操作の統一性を維持でき、違和感なく各カメラのズーム倍率の操作が可能にな
る。
【0053】
ステップS35において、撮像素子212は、レンズ23で集光される映像を撮影し、
原画像データを出力する。更に、ステップS36において、画像処理回路214は、源画
像データを高解像度となるように画像処理し、画質調整器22に出力する。その後、ステ
ップS33に処理を戻す。
【0054】
このように、カメラ21は、表示制御装置13の倍率設定用ダイヤル51の操作量に応
じてズーム倍率を変化させ、周囲の映像を撮影する。撮影により取得した原画像データを
ISP等により高解像度の画像データとして、画質調整器22に出力する。
【0055】
次に、
図7に示すフローチャートを参照して、画質調整器22の処置手順について説明
する。初めに、ステップS51において、画質調整器22は、表示制御装置13よりカメ
ラ21の機種名情報を受信する。取得した機種名情報を機種名記憶部222に記憶する。
【0056】
ステップS52において、シェーディング調整回路221は、ズーム倍率算定回路13
6より送信されるズーム倍率情報を受信する。
【0057】
ステップS53において、シェーディング調整回路221は、画像処理回路214より
出力された画像データをシェーディング変換テーブル記憶部223に記憶されているシェ
ーディング変換テーブルを参照してシェーディング補正を行う。シェーディング補正に用
いる閾値及び各種の補正値は、カメラの機種名及びズーム倍率により変化する。従って、
機種名記憶部222に記憶されているカメラ21の機種名、及びズーム倍率算定回路13
6より送信されるズーム倍率に基づいて、シェーディング補正を実施する際の閾値及び各
種の補正値を設定し、シェーディング補正を行う。この閾値及び各種の補正値を用いてシ
ェーディング補正を実施することにより、カメラの機種に関わらない画像データを生成す
ることができる。その後、ステップS52に処理を戻す。
[本実施形態の効果の説明]
このようにして、本実施形態に係る表示制御システムでは、以下に示す効果を達成でき
る。
(1)各カメラ毎に倍率設定用ダイヤル51(操作子)を備えてり、操作者による操作入
力が発生した場合には、W/Tパルス情報生成回路132により該倍率設定用ダイヤル5
1の操作量に応じたパルス数(制御量)の入力パルス信号(制御信号)を出力する。そし
て、W/Tパルス変換回路133(制御量変換部)は、倍率設定用ダイヤル51の操作量
に対する各カメラのズーム倍率の変化量が一定になるように、入力パルス信号を基準パル
ス信号に変換し、該基準パルス信号をカメラ21に出力する。従って、操作者による倍率
設定用ダイヤル51の操作量と、カメラ21のズーム倍率の変化量が一致するので、操作
者は複数のカメラ21のズーム倍率を違和感なく操作することができる。即ち、異なる機
種のカメラであっても、表示画像を切り替える場合等の画作りの際に、操作者が違和感を
感じることなく画作りを行うことができる。
(2)また、W/Tパルス変換テーブル記憶部134を有し、該W/Tパルス変換テーブ
ル記憶部134に記憶されている変換テーブルを参照して、入力パルス信号を基準パルス
信号に変換する。従って、複雑な演算処理を実行すること無く、パルス信号の変換処理を
行うことができ、演算負荷を軽減することが可能となる。
(3)操作部139は、制御信号として周期的にオン、オフが繰り返されるパルス信号を
用いており、W/Tパルス変換回路133は、入力パルス信号のパルス数を変換して基準
パルス信号を生成するので、制御信号の変換を容易に行うことが可能となる。
(4)各カメラ21毎にそれぞれ画質調整器22が設けられており、画質調整器22のシ
ェーディング調整回路221は、カメラ21の機種名及びズーム倍率に基づいて、シェー
ディング補正の閾値及び各種補正値を設定する。従って、各カメラ毎にシェーディング補
正後の画像の画質が異なるという問題を回避することができ、安定した画質の画像を生成
することが可能になる。
(5)画質調整器22は、シェーディング変換テーブル記憶部223に記憶されているシ
ェーディング変換テーブルに記憶されている閾値及び各種補正値を用いてシェーディング
補正を実施するので、各画像を安定的にシェーディング補正することが可能となる。
【0058】
なお、本実施形態では、画質調整器としてシェーディング補正を例に挙げて説明したが
、本発明はこれに限定されるものではなく、他の画質調整機能を用いることも可能である
。また、本実施形態では、YUV画像をRGB画像に変換してシェーディング補正を行う
例について示したが、YUV画像のままシェーディング補正を行うことも可能である。
【0059】
以上、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明
を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の
形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。例えば、上記した実施形態ではカメラ毎に
操作子を設けたが、操作子は一つとし、切替スイッチを設け、該切替スイッチにより操作
するカメラを指定するようにしてもよい。また、上記実施形態では、W/Tパルス情報生
成回路132は実際にパルス信号を発生させていたが、パルス信号の情報、例えばパルス
信号の周波数、所定時間内のパルス数などの情報をW/Tパルス変換回路133へ送り、
その情報をもとにW/Tパルス変換回路133が各カメラの機種毎に応じたパルス信号に
変換するような構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
11a、11b、11c 撮影装置
12 アドレス制御部
13 表示制御装置
15 モニタ
16 記録媒体
21a、21b、21c カメラ
22a、22b、22c 画質調整器
23 レンズ
31 第1色空間変換器
32 ビット伸長器
33 シェーディング補正器
34 第2色空間変換器
51 倍率設定用ダイヤル
52 パン操作スイッチ
53 チルト操作スイッチ
131 操作子
132 W/Tパルス情報生成回路
133 W/Tパルス変換回路(制御量変換部)
134 W/Tパルス変換テーブル記憶部
135 機種名記憶部
136 ズーム倍率算定回路
139 操作部
211 レンズ制御回路(ズーム倍率変更部)
212 撮像素子
213 イニシャライズ情報記憶部
214 画像処理回路
215 機種名記憶部
221 シェーディング調整回路(画質補正回路)
222 機種名記憶部
223 シェーディング変換テーブル記憶部(補正値記憶部)