(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】フェーダ装置
(51)【国際特許分類】
H01C 10/40 20060101AFI20220222BHJP
H01C 10/38 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
H01C10/40
H01C10/38 B
(21)【出願番号】P 2021193068
(22)【出願日】2021-11-29
(62)【分割の表示】P 2021558594の分割
【原出願日】2021-09-17
【審査請求日】2021-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2021009488
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【氏名又は名称】柏野 由布子
(72)【発明者】
【氏名】上田 拓
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 久伸
(72)【発明者】
【氏名】永井 尚
(72)【発明者】
【氏名】西澤 和彦
【審査官】北原 昂
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-087402(JP,A)
【文献】特開2016-100371(JP,A)
【文献】特開2008-227065(JP,A)
【文献】特開2020-031143(JP,A)
【文献】実開平06-079105(JP,U)
【文献】特公昭40-18534(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 8/00-10/50
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線方向に延びると共に外周に雄ねじを有し、前記直線方向に延びる軸線を中心に回転可能とされたスクリューシャフトと、
前記スクリューシャフトに取り付けられ、前記雄ねじに噛み合うことで前記スクリューシャフトの回転に伴って前記直線方向に移動する移動体と、
前記スクリューシャフトが配置される第一領域と前記第一領域とは別の第二領域とに区画すると共に、前記移動体を前記第一領域側から前記第二領域側に挿通させ、前記直線方向に延びる挿通孔を有する区画部材と、
前記第一領域において前記スクリューシャフトと前記区画部材の挿通孔との間に位置し、前記直線方向に延びるカバー部材と、を備え
、
前記移動体は、前記スクリューシャフトを挿通させる貫通孔と、前記貫通孔の内周に設けられ、前記スクリューシャフトの雄ねじに噛み合う係合部と、を有するフェーダ装置。
【請求項2】
前記移動体は、前記挿通孔に挿通される挿通部と、前記雄ねじに噛み合う装着部と、前記挿通部と前記装着部とを連結する連結部と、を備え、
前記カバー部材は、前記挿通部と装着部との間に介在し、
前記連結部は、前記直線方向から見て前記カバー部材を迂回するように形成されている請求項1に記載のフェーダ装置。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記直線方向に延び、前記連結部が通ることで前記挿通部と前記装着部とを連結する連結孔を有し、
前記連結孔は、前記直線方向から見て前記スクリューシャフトと前記挿通孔との間の領域の外側に位置している請求項2に記載のフェーダ装置。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記スクリューシャフト及び前記装着部を囲う筒状に形成され、
前記カバー部材は、前記直線方向に延びて当該カバー部材の内側と外側とをつなぐ長孔を有し、
前記連結部は、前記長孔に挿通され、
前記長孔は、前記区画部材と反対側に向いている請求項2に記載のフェーダ装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記直線方向から見て前記装着部の外側を囲う環状部を有し、
前記スクリューシャフト及び前記カバー部材は、前記環状部の内側に挿通され、
前記環状部は、前記スクリューシャフトの回転方向において前記カバー部材に対して係止されている請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のフェーダ装置。
【請求項6】
前記挿通部と前記装着部とが、前記連結部を介して電気的に接続されている請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のフェーダ装置。
【請求項7】
前記直線方向における前記移動体の位置を検出する位置検出部を備え、
前記位置検出部は、導体からなり、前記カバー部材に設けられて前記直線方向に延びる抵抗体と、導体からなり、前記移動体に設けられて前記抵抗体に接触する抵抗素子と、を有し、
前記抵抗体は、前記カバー部材のうち前記スクリューシャフトに対向する面に設けられている請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のフェーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、直線方向に移動可能である移動体を有するフェーダ装置が開示されている。フェーダ装置は、移動体を動かすことで、各種のパラメータ値(例えばマイクで集音された音の音量、照明の照度など)を調整するものである。特許文献1のフェーダ装置では、移動体が、複数のプーリに巻き回された無端ベルトの周方向に一部に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のフェーダ装置では、外部から入力された制御信号に応じて移動体をモータの駆動力によって動かすことが考えられる。例えば特許文献1のフェーダ装置では、一つのプーリをモータの駆動力で回転駆動することが考えられる。これにより、モータの駆動力をプーリ及び無端ベルトを介して移動体に伝えることで、移動体を動かすことができる。
【0005】
モータの駆動力を移動体に伝えるためには、無端ベルトに付与されるテンション(張力)は大きい方がよい。しかしながら、無端ベルトに作用するテンションが大きいと、移動体を手動で動かす際の抵抗が大きくなるため、移動体をきめ細かく動かすことが難しくなる等して移動体の操作感が低下する、という問題がある。一方、移動体を手動で動かしやすくするために、無端ベルトに付与されるテンションを小さくすると、モータによって回転駆動されるプーリが無端ベルトに対して滑りやすくなったり、歯飛びしやすくなったりする。このため、モータによって移動体を精度よく動かすことが難しくなる。
なお、移動体の操作感が低下しないように、かつ、プーリが無端ベルトに対して滑ったり、歯飛びしたりしないように、無端ベルトに付与するテンションを厳密に調整することは難しい。また、無端ベルトの特性(例えば硬さや長さ)は、温度や湿度の影響を受けやすいため、無端ベルトに作用するテンションが変化しやすい。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、移動体の操作感の向上を図りつつ、モータによって移動体を精度よく動かすことが可能なフェーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、直線方向に延びると共に外周に雄ねじを有し、前記直線方向に延びる軸線を中心に回転可能とされたスクリューシャフトと、前記スクリューシャフトに取り付けられ、前記雄ねじに噛み合うことで前記スクリューシャフトの回転に伴って前記直線方向に移動する移動体と、前記スクリューシャフトが配置される第一領域と前記第一領域とは別の第二領域とに区画すると共に、前記移動体を前記第一領域側から前記第二領域側に挿通させ、前記直線方向に延びる挿通孔を有する区画部材と、前記第一領域において前記スクリューシャフトと前記区画部材の挿通孔との間に位置し、前記直線方向に延びるカバー部材と、を備え、前記移動体は、前記スクリューシャフトを挿通させる貫通孔の内周に設けられ、前記スクリューシャフトの雄ねじに噛み合う係合部を有するフェーダ装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動体の操作感の向上を図りつつ、モータ等によって移動体を精度よく動かすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係るフェーダ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1のフェーダ装置において、スクリューシャフトと案内軸と移動体との関係を示す断面図である。
【
図3】
図1のフェーダ装置において、スクリューシャフトの雄ねじと移動体の雌ねじとの関係を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の第二実施形態に係るフェーダ装置を示す斜視図である。
【
図5】
図4のフェーダ装置において、スクリューシャフトと案内軸と移動体との関係を示す断面図である。
【
図6】
図4,5のフェーダ装置の変形例を示す断面図である。
【
図7】本発明の第三実施形態に係るフェーダ装置を示す斜視図である。
【
図8】
図7のフェーダ装置において、区画部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図9】
図8のフェーダ装置からカバー部材を取り除いた状態を示す斜視図である。
【
図10】
図8のフェーダ装置を異なる角度から見た斜視図である。
【
図12】
図7~11のフェーダ装置における移動体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔第一実施形態〕
以下、
図1~3を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1に示すように、第一実施形態に係るフェーダ装置1は、複数の軸2と、移動体3と、を備える。また、フェーダ装置1は、基台4をさらに備える。
【0011】
複数の軸2は、それぞれ直線方向に延びる棒状に形成されている。複数の軸2は、互いに平行するように配置されている。また、複数の軸2は、軸2の長手方向から見て互いに間隔をあけて配置されている(
図2参照)。本実施形態では、複数の軸2が、軸2の長手方向に直交する方向に一列に間隔をあけて並んでいる。
【0012】
これら複数の軸2の長手方向の両端部は、基台4によって支持されている。基台4は、軸2の長手方向に間隔をあけて配置された一対の支持部41を有する。一対の支持部41には、長手方向における軸2の両端部が挿入又は挿通される。これにより、複数の軸2が基台4によって支持される。一対の支持部41を含む基台4は、例えば、複数の軸2や後述する移動体3の本体部31を収容する筐体(ケース)などによって構成されてもよい。
【0013】
本実施形態における軸2の数は二つである。
二つの軸2のうち一つは、スクリューシャフト21である。スクリューシャフト21は、外周に雄ねじ211を有している。雄ねじ211は、一条ネジであってもよいし、多条ネジであってもよい。スクリューシャフト21は、軸2の長手方向に延びる軸線A1を中心に回転可能となっている。本実施形態では、スクリューシャフト21の長手方向の両端部を支持する一対の支持部41が、スクリューシャフト21を回転可能に支持する軸受として機能する。
【0014】
二つの軸2のうち別の一つは、案内軸22(案内部材)である。案内軸22は、後述する移動体3を軸2の長手方向に案内するように構成されている。また、案内軸22は、移動体3がスクリューシャフト21や基台4に対して軸2の長手方向に直交する方向にがたつくことを抑制する役割も有する。案内軸22は、外周面に雄ねじ211のような凹凸がない棒状に形成されている。案内軸22は、例えば多角柱状に形成されてもよいが、本実施形態では円柱状に形成されている。
図2に示すように、案内軸22の径寸法D2は、スクリューシャフト21の径寸法D1よりも大きい。なお、案内軸22の径寸法D2は、例えばスクリューシャフト21の径寸法D1と同等であってもよい。
【0015】
図1に示すように、移動体3は、複数の軸2に対して軸2の長手方向に移動可能に取り付けられている。本実施形態の移動体3は、本体部31と、本体部31から延びる操作部32と、を有する。本体部31には、複数の軸2を個別に挿通させる複数の貫通孔33,34が形成されている。貫通孔33,34の数は、軸2の数に対応している。複数の貫通孔33,34は、互いに平行している。これにより、移動体3が複数の軸2に対してその長手方向に移動可能となっている。複数の貫通孔33,34には、スクリューシャフト21が挿通される第一貫通孔33と、案内軸22が挿通される第二貫通孔34と、がある。
【0016】
移動体3は、スクリューシャフト21の雄ねじ211に噛み合うことで、スクリューシャフト21の回転に伴って軸2の長手方向に移動するように構成されている。
図3に示すように、移動体3はスクリューシャフト21の雄ねじ211に係合する係合部35を有する。係合部35は、スクリューシャフト21が挿通される移動体3の第一貫通孔33の内周に設けられている。本実施形態の係合部35は、移動体3の第一貫通孔33の内周に形成された雌ねじ351である。雌ねじ351は、雄ねじ211に対応する一条ネジあるいは多条ネジであってよい。
【0017】
移動体3は、本体部31の雌ねじ351がスクリューシャフト21の雄ねじ211に噛み合うことで、スクリューシャフト21の回転に伴って軸2の長手方向(
図3において左右方向)に移動することができる。
図1,2に示すように、移動体3はスクリューシャフト21とは別の案内軸22にも支持されているため、スクリューシャフト21が回転しても、移動体3がスクリューシャフト21と共に軸線A1を中心に回転することを防止できる。
【0018】
移動体3の操作部32は、移動体3を手動で移動させるために、操作者が手指で触れる部分である。操作部32は、本体部31に対して軸2の長手方向に直交する方向に延びている。本実施形態では、操作部32とスクリューシャフト21と案内軸22とが、軸2の長手方向に直交する方向(
図2における上下方向)に一列に並んでいる。
【0019】
図1に示すように、本実施形態のフェーダ装置1は、軸2の長手方向における移動体3の位置を測定する位置測定部5をさらに備える。本実施形態の位置測定部5は、エンコーダ51を含む。エンコーダ51の軸体(不図示)は、スクリューシャフト21に連結されている。エンコーダ51は、スクリューシャフト21の回転角度を測定する。
位置測定部5は、位置演算部52をさらに備える。位置演算部52は、エンコーダ51において測定されたスクリューシャフト21の回転角度に基づいて、軸2の長手方向における移動体3の位置を演算する。これにより、軸2の長手方向における移動体3の位置を測定することができる。
【0020】
本実施形態のフェーダ装置1は、スクリューシャフト21を回転駆動するモータ6をさらに備える。モータ6の駆動軸(不図示)は、スクリューシャフト21に連結されている。モータ6は、例えば、移動体3を高い精度で位置決めすることが可能なステッピングモータであってよい。
図1においては、モータ6がスクリューシャフト21とエンコーダ51との間に配置されている。このため、エンコーダ51の軸体は、モータ6の駆動軸を介してスクリューシャフト21に連結されている。
【0021】
以上説明したように、本実施形態のフェーダ装置1では、スクリューシャフト21をモータ6の駆動力によって回転駆動することで、移動体3を軸2の長手方向に移動させることができる。一方、操作者が操作部32を摘まんで手動により移動体3を軸2の長手方向に移動させると、スクリューシャフト21が回転する。
このように移動体3の移動に伴ってスクリューシャフト21が回転する構造は、移動体3の移動に伴って複数のプーリに巻き回された無端ベルトが動く従来の構造と比較して、操作者が手動によって移動体3を動かす際の抵抗(移動体3の移動に対する抵抗)を小さく抑えることができる。これにより、移動体3の操作感の向上を図ることができる。
【0022】
また、本実施形態のフェーダ装置1では、移動体3がスクリューシャフト21の雄ねじ211に噛み合う。このため、移動体3がスクリューシャフト21に対して滑ったり、歯飛びしたりすることがない。すなわち、移動体3をモータ6によって精度よく動かすことが可能となる。
【0023】
また、本実施形態のフェーダ装置1では、無端ベルトを利用した従来の構造におけるテンションの厳密な調整が不要となる。このため、フェーダ装置1の製造工数を少なく抑えて、製造コストを低く抑えることが可能となる。
【0024】
また、本実施形態のフェーダ装置1では、スクリューシャフト21の径寸法D1が、案内軸22の径寸法D2よりも小さい。スクリューシャフト21が細いことで、スクリューシャフト21と移動体3との間に発生する摩擦を小さく抑えることができる。これにより、操作者が手動によって移動体3を動かす際の抵抗をさらに小さくすることができ、移動体3の操作感の向上をさらに図ることができる。
【0025】
また、本実施形態のフェーダ装置1は、移動体3に取り付けられる軸2を二つだけ有している。移動体3は、これら二つの軸2に取り付けられることで、移動体3が軸2を中心に回転しないように、移動体3の姿勢を保つことができる。そして、これら二つの軸2の一方が動体を軸2の長手方向に移動させるためのスクリューシャフト21となっている。このため、無端ベルトを利用した従来の構造と比較して、移動体3をモータ6によって動かすための部品を別途設ける必要がなく、フェーダ装置1の構成部品点数を少なく抑えることができる。
【0026】
また、本実施形態のフェーダ装置1では、軸2の長手方向における移動体3の位置を測定する位置測定部5が、スクリューシャフト21の回転角度を測定するエンコーダ51を有する。これにより、エンコーダ51によって測定されたスクリューシャフト21の回転角度に基づいて、軸2の長手方向における移動体3の移動長さを演算することができる。したがって、移動体3の位置を測定することができる。
また、前述したように、移動体3がスクリューシャフト21に対して滑ったり、歯飛びしたりすることがないため、位置測定部5によって移動体3の位置を高い精度で測定することができる。
また、位置測定部5として用いられるエンコーダ51は、直線移動する移動体3の位置を直接測定する構造と比較して、位置測定部5を構成する部品点数の削減や位置測定部5の省スペース化を図ることができる。これにより、フェーダ装置1の小型化を容易に図ることができる。
【0027】
第一実施形態においては、操作部32とスクリューシャフト21と案内軸22とが、軸2の長手方向に直交する方向(
図2における上下方向)に一列に並んでいるが、これに限ることはない。例えば、スクリューシャフト21と案内軸22とが並ぶ方向は、操作部32と軸2(スクリューシャフト21あるいは案内軸22)とが並ぶ方向(
図2における上下方向)に対して直交する方向(
図2における左右方向)であってもよい。ただし、この場合には、左右方向におけるフェーダ装置1の寸法(幅寸法)が大きくなるため、
図2に例示したように、操作部32とスクリューシャフト21と案内軸22とが上下方向に一列に並ぶ方がより好ましい。
【0028】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について、
図4,5を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0029】
図4に示すように、第二実施形態に係るフェーダ装置1Eは、第一実施形態と同様に、複数の軸2と、移動体3と、基台4と、を備える。複数の軸2には、第一実施形態と同様のスクリューシャフト21と案内軸22とがある。
ただし、第二実施形態のフェーダ装置1Eは、案内軸22を複数有する。
図5に示すように、複数の案内軸22は、軸2の長手方向から見てスクリューシャフト21を囲むように配置されている。複数の案内軸22は、例えば、軸2の長手方向から見てスクリューシャフト21を中心とする周方向に等間隔で並んでいてよい。
【0030】
第二実施形態における案内軸22の数は、二つである。二つの案内軸22は、軸2の長手方向から見てスクリューシャフト21を中心とする周方向に等間隔(180度の間隔)で並んでいる。このため、スクリューシャフト21は、軸2の長手方向から見て二つの案内軸22の間に位置している。すなわち、スクリューシャフト21と二つの案内軸22とが軸2の長手方向に直交する方向に一列に並んでいる。特に、本実施形態では、操作部32とスクリューシャフト21と二つの案内軸22とが軸2の長手方向に直交する方向(
図5における上下方向)に一列に並んでいる。これにより、
図5の左右方向におけるフェーダ装置1Eの幅寸法を小さく抑えることができる。
【0031】
第二実施形態のフェーダ装置1Eによれば、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、第二実施形態のフェーダ装置1Eでは、複数の案内軸22が、軸2の長手方向から見てスクリューシャフト21を囲むように配置されている。このため、操作者が手動によって移動体3を動かす際の荷重が複数の案内軸22に作用しやすくなる。その結果として、スクリューシャフト21に作用する荷重を低減することができる。このため、スクリューシャフト21をより細く形成することが可能となる。これにより、スクリューシャフト21と移動体3との間に発生する摩擦をさらに小さく抑えることができる。したがって、手動によって移動体3を動かす際の抵抗をさらに小さくすることができ、移動体3の操作感の向上をさらに図ることができる。
【0032】
第二実施形態のフェーダ装置1Eにおいて、案内軸22の数は、三つ以上であってもよい。この場合、三つ以上の案内軸22は、
図6に例示するように軸2の長手方向から見てスクリューシャフト21を中心とする周方向に等間隔で並んでいてもよい。ただし、この場合には、左右方向におけるフェーダ装置1の幅寸法が大きくなりやすい。このため、三つ以上の案内軸22は、例えばフェーダ装置1の幅寸法が小さくなるように、スクリューシャフト21を中心とする周方向に不等間隔で並んでもよい。
【0033】
第一、第二実施形態のフェーダ装置において、案内軸22は、移動体3の第二貫通孔34に挿通されることに限らず、例えば移動体3(本体部31)をその外側から支持するように設けられてもよい。
【0034】
第一、第二実施形態のフェーダ装置において、移動体3の位置を測定する位置測定部5は、スクリューシャフト21の回転位置に基づいて移動体3の位置を測定する構成に限らず、例えば移動体3の位置を直接測定する構成であってもよい。
【0035】
〔第三実施形態〕
次に、本発明の第三実施形態について、
図7~12を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
図7,8に示すように、第三実施形態に係るフェーダ装置1Fは、スクリューシャフト21と、移動体3Fと、区画部材7Fと、カバー部材8Fと、を備える。また、フェーダ装置1Fは、一対の支持部41Fと、モータ6と、をさらに備える。
【0037】
図8~10に示すスクリューシャフト21は、第一、第二実施形態と同様に、直線方向に延びる棒状に形成され、外周に雄ねじ211を有する。スクリューシャフト21の長手方向の両端部は、一対の支持部41Fによってスクリューシャフト21が軸線A1を中心に回転可能となるように支持されている。
モータ6は、第一、第二実施形態と同様に、スクリューシャフト21を回転駆動する。モータ6は、一方の支持部41Fに取り付けられている。
【0038】
移動体3Fは、第一、第二実施形態と同様に、スクリューシャフト21に取り付けられている。また、移動体3Fは、スクリューシャフト21の雄ねじ211に噛み合うことで、スクリューシャフト21の回転に伴ってスクリューシャフト21の長手方向(直線方向)に移動するように構成されている。図示しないが、スクリューシャフト21の雄ねじ211に係合する移動体3Fの態様は、第一実施形態(例えば
図3に例示した係合部35など)と同様であってよい。
移動体3Fの具体的な構成については、後述する。
【0039】
図7,8,11に示すように、区画部材7Fは、スクリューシャフト21が配置される第一領域R1と、第一領域R1とは別の第二領域R2とに区画する。区画部材7Fは、スクリューシャフト21に取り付けられた移動体3Fの一部を第一領域R1側から第二領域R2側に挿通させる挿通孔71Fを有する。挿通孔71Fは、スクリューシャフト21の長手方向(すなわち移動体3Fの移動方向)に延びている。本実施形態の区画部材7Fは、平板状に形成されたパネル部材であるが、これに限ることはない。
【0040】
以下の説明では、スクリューシャフト21の長手方向に直交し、区画部材7Fによって区画された第一領域R1と第二領域R2とが並ぶ方向を上下方向と呼ぶことがある。また、上下方向において第一領域R1側を下側あるいは下方と呼び、第二領域R2側を上側あるいは上方と呼ぶことがある。また、
図11に示すようにスクリューシャフト21の長手方向から見て、上下方向に直交する方向を左右方向と呼ぶことがある。
【0041】
図11に示すように、区画部材7Fの挿通孔71Fは、上下方向から見てスクリューシャフト21と重なるように位置している。すなわち、挿通孔71Fは、スクリューシャフト21に対して左右方向にずれないように位置している。なお、挿通孔71Fは、例えばスクリューシャフト21に対して左右方向にずれて位置してもよい。
【0042】
カバー部材8Fは、第一領域R1においてスクリューシャフト21と区画部材7Fの挿通孔71Fとの間に位置している。
図7,8に示すように、カバー部材8Fは、スクリューシャフト21と区画部材7Fの挿通孔71Fとの間において、スクリューシャフト21や挿通孔71Fの長手方向に延びている。カバー部材8Fが延びる方向は、スクリューシャフト21の長手方向に平行している。
【0043】
図8~11に示すように、カバー部材8Fは、スクリューシャフト21の長手方向に延びる筒状に形成されている。筒状のカバー部材8Fは、スクリューシャフト21を囲う。カバー部材8Fの長手方向の両端部は、一対の支持部41Fに固定されている。これにより、カバー部材8Fとスクリューシャフト21との相対的な位置が固定されている。
カバー部材8Fは、円筒状であってもよいが、本実施形態では多角形の筒状である。具体的に、カバー部材8Fは、上下方向に延びる縦辺及び左右方向に延びる横辺を有する矩形の筒状に形成されている。
【0044】
図10,11に示すように、カバー部材8Fは、その長手方向に延びる長孔81F(連結孔)を有する。カバー部材8Fの長孔81Fは、筒状とされたカバー部材8Fの内側と外側とをつなぐ。長孔81Fは、
図11に示すようにスクリューシャフト21の長手方向から見て、スクリューシャフト21と区画部材7Fの挿通孔71Fとの間に位置しない。すなわち、長孔81Fは、スクリューシャフト21と区画部材7Fの挿通孔71Fの間の領域の外側に位置している。このように長孔81Fが位置していることで、第二領域R2側から区画部材7Fの挿通孔71F及びカバー部材8Fの長孔81Fを通じて、スクリューシャフト21を見ることはできない。
具体的に、長孔81Fは、区画部材7Fと反対側(下方)に向いている。なお、カバー部材8Fの長孔81Fは、例えば左右方向に向いていてもよいし、例えば区画部材7F側(上側)に向いていてもよい。
【0045】
以下、移動体3Fの具体的な構成について説明する。
図9~12に示すように、移動体3Fは、挿通部31Fと、装着部32Fと、連結部33Fと、を備える。装着部32F及び連結部33Fは、区画部材7Fで区画された第一領域R1側に位置し、挿通部31Fは、区画部材7Fの挿通孔71Fに挿通される。これにより、挿通部31Fの一部は第二領域R2側に位置する。第二領域R2側に位置する挿通部31Fの部位は、移動体3Fを手動で移動させるために、フェーダ装置1Fの操作者が手指で触れる操作部として機能する。
【0046】
移動体3Fの装着部32Fは、スクリューシャフト21の雄ねじ211に噛み合う部位であり、第一実施形態の移動体3の本体部31と同様に、雄ねじ211に係合する係合部を有する。具体的に、移動体3Fの装着部32Fは、スクリューシャフト21を挿通させる貫通孔321Fを有している。図示しないが、装着部32Fの係合部は、装着部32Fの貫通孔321Fの内周に形成された雌ねじである。
【0047】
図11に示すように、装着部32Fと挿通部31Fとの間には、カバー部材8Fが介在している。本実施形態では、装着部32Fが挿通部31Fの下側に間隔をあけて位置し、上下方向に並ぶ挿通部31Fと装着部32Fとの間にカバー部材8Fが介在している。
また、装着部32Fは、スクリューシャフト21と共に筒状とされたカバー部材8Fの内側に配置されている。装着部32Fは、下方に開口するカバー部材8Fの長孔81Fを通してカバー部材8Fの外側に露出する。
【0048】
スクリューシャフト21の長手方向から見た装着部32Fの外形形状は、筒状のカバー部材8Fの内周の形状に対応している。すなわち、スクリューシャフト21の長手方向から見た装着部32Fの外形形状は、概ねカバー部材8Fの内周の形状に対応する矩形状(多角形状)に形成されている。また、スクリューシャフト21の長手方向から見た装着部32Fの大きさは、カバー部材8Fの内周の大きさに対して少しだけ小さい。これにより、装着部32Fは、スクリューシャフト21の回転方向においてカバー部材8Fに対して係止されている。すなわち、カバー部材8Fは、装着部32Fがスクリューシャフト21と共に回転することを防いでいる。
【0049】
図9~12に示すように、連結部33Fは、上記した挿通部31Fと装着部32Fとを連結する。前述したように、挿通部31Fと装着部32Fとの間にはカバー部材8Fが介在している。このため、連結部33Fは、
図11に示すようにスクリューシャフト21の長手方向から見てカバー部材8Fを迂回するように形成されている。すなわち、連結部33Fは、スクリューシャフト21の長手方向から見て区画部材7Fの挿通孔71Fとカバー部材8Fとの間に位置しないように、挿通部31Fや装着部32Fに対して左右方向に延びて形成されている。
連結部33Fは、カバー部材8Fの長孔81Fに挿通されることで、挿通部31Fと装着部32Fとを連結する。すなわち、カバー部材8Fの長孔81Fは、挿通部31Fと装着部32Fとを連結する連結孔として機能する。
【0050】
図11,12に示すように、連結部33Fは、スクリューシャフト21の長手方向から見て、装着部32Fの外側を囲う環状部331Fを有する。この環状部331Fの上端に挿通部31Fが接続される。また、環状部331Fの下端には、カバー部材8Fの長孔81Fを通って装着部32Fに接続される連結部33Fの挿通部分が接続されている。挿通部31Fは、環状部331Fの左右方向の中間において環状部331Fの上方に延びている。連結部33Fの挿通部分は、環状部331Fの左右方向の中間において上方に向く環状部331Fの内面から上方に延びている。
【0051】
図8~11に示すように、環状部331Fには、スクリューシャフト21及びカバー部材8Fが挿通される。環状部331Fは、スクリューシャフト21の回転方向においてカバー部材8Fに対して係止されている。以下、この点について説明する。
【0052】
図11に示すように、スクリューシャフト21の長手方向から見た環状部331Fの形状は、カバー部材8Fの外周の形状に対応している。すなわち、スクリューシャフト21の長手方向から見た環状部331Fの形状は、カバー部材8Fの外周の形状に対応する矩形状(多角形状)に形成されている。また、スクリューシャフト21の長手方向から見た環状部331Fの大きさは、カバー部材8Fの外周の大きさに対して少しだけ大きい。これにより、環状部331Fは、スクリューシャフト21の回転方向においてカバー部材8Fに対して係止されている。すなわち、カバー部材8Fは、環状部331Fがスクリューシャフト21と共に回転することを防いでいる。
【0053】
上記のように構成される移動体3Fは、スクリューシャフト21に及びカバー部材8Fの両方に対してスクリューシャフト21の長手方向に移動可能に取り付けられている。
【0054】
本実施形態の移動体3Fでは、挿通部31Fと装着部32Fとが連結部33Fを介して電気的に接続されている。以下、この点について説明する。
図11,12に示す本実施形態の移動体3Fでは、挿通部31F及び連結部33Fの環状部331Fが金属等のように導電性を有する部材によって一体に形成されている。また、装着部32Fの一部及びカバー部材8Fの長孔81Fを通る連結部33Fの挿通部分が、金属等のように導電性を有する導電性部材322Fによって形成されている。この導電性部材322Fは、導電性を有する環状部331Fに接続されている。これにより、挿通部31Fと装着部32Fとが電気的に接続されている。なお、装着部32Fは、導電性部材322Fに接続され、後述する基板82Fまで延びる接続端子323Fも有する。
【0055】
導電性部材322Fの具体的な態様は任意であってよい。本実施形態の導電性部材322Fは、板材に折り曲げ加工を施して形成されている。また、導電性部材322Fは、装着部32Fの外形をなす樹脂成形部324Fに封止されている。
【0056】
本実施形態のフェーダ装置1Fでは、挿通部31Fと装着部32Fとを電気的に接続した構造が、フェーダ装置1Fの操作者の移動体3F(挿通部31F)への接触の有無を検出するタッチセンサーに利用されている。以下、この点について説明する。
図9,11に示すように、装着部32Fに対向するカバー部材8Fの面には、スクリューシャフト21の長手方向に延びる基板82Fが設けられている。図示しないが、基板82Fには、スクリューシャフト21の長手方向に延びて装着部32Fの接続端子323Fと電気的に接続される接続配線が形成されている。この接続配線は、移動体3Fの挿通部31Fへの操作者の手指の接触を検出するための電気的な回路(接触検出回路;不図示)に接続される。接触検出回路は、挿通部31Fに対する接触の有無を、電気的な変化(例えば静電容量の変化)によって検出する。
【0057】
本実施形態のフェーダ装置1Fは、スクリューシャフト21の長手方向における移動体3Fの位置を検出する位置検出部9Fをさらに備える。位置検出部9Fは、導体からなる抵抗体(不図示)及び抵抗素子91Fを有する。抵抗体は、カバー部材8Fに設けられている。本実施形態において、抵抗体は前述した基板82Fに形成された不図示の電気配線である。抵抗素子91Fは、移動体3Fに設けられ、カバー部材8Fに設けた抵抗体に接触する。本実施形態において、抵抗素子91Fは、移動体3Fの装着部32Fに設けられている。抵抗素子91Fは、前述した導電性部材322Fや接続端子323Fに対して電気的に絶縁されている。抵抗素子91Fが移動体3Fと共にスクリューシャフト21の長手方向に移動することで、抵抗体がスクリューシャフト21の長手方向における抵抗素子91Fの位置を検出できる。
【0058】
図11に示すように、タッチセンサー用の接続配線や位置検出部9F用の抵抗体を含む基板82Fは、カバー部材8Fのうちスクリューシャフト21に対向する面に設けられている。本実施形態において、基板82Fは筒状とされたカバー部材8Fの内面に設けられている。また、基板82Fは、カバー部材8Fのうち区画部材7Fとは反対側(下方)に向く面に配置されている。
基板82Fは、カバー部材8Fに固定されている。基板82Fをカバー部材8Fに固定する方法は、カシメ固定やネジ止め、接着など任意であってよい。
【0059】
第三実施形態のフェーダ装置1Fでは、第一、第二実施形態と同様に、スクリューシャフト21をモータ6によって回転駆動することで、移動体3Fをスクリューシャフト21の長手方向に移動させることができる。一方、操作者が移動体3F(操作部)を摘まんで手動によりスクリューシャフト21の長手方向に移動させると、スクリューシャフト21が回転する。
【0060】
第三実施形態のフェーダ装置1Fによれば、第一、第二実施形態と同様の効果を奏する。
また、第三実施形態のフェーダ装置1Fでは、スクリューシャフト21が配置された第一領域R1において、カバー部材8Fがスクリューシャフト21と区画部材7Fの挿通孔71Fとの間に介在している。このため、塵埃が第二領域R2から区画部材7Fの挿通孔71Fを通して第一領域R1に進入しても、カバー部材8Fによって塵埃がスクリューシャフト21に到達すること抑制することができる。すなわち、スクリューシャフト21の雄ねじ211に塵埃が付着し難くなる。その結果として、スクリューシャフト21及び移動体3Fの動作(例えばスクリューシャフト21の回転に伴う移動体3Fの移動)が、塵埃によって阻害されることを効果的に抑制することができる。
【0061】
また、第三実施形態のフェーダ装置1Fでは、移動体3Fが、区画部材7Fの挿通孔71Fに挿通される挿通部31Fと、スクリューシャフト21の雄ねじ211に噛み合う装着部32Fと、これら挿通部31Fと装着部32Fとを連結する連結部33Fと、を備える。そして、連結部33Fは、挿通部31Fと装着部32Fとの間に介在するカバー部材8Fを迂回するように形成されている。これにより、カバー部材8Fがスクリューシャフト21と区画部材7Fの挿通孔71Fとの間に介在していても、第一領域R1側においてスクリューシャフト21に取り付けられた移動体3Fを、区画部材7Fの挿通孔71Fに通すことができる。
また、連結部33Fは、スクリューシャフト21の長手方向から見てカバー部材8Fを迂回するように形成されている。このため、連結部33Fは、移動体3Fのスクリューシャフト21の長手方向への移動を阻害しない。
【0062】
また、第三実施形態のフェーダ装置1Fでは、スクリューシャフト21の長手方向に延び、連結部33Fが挿通されるカバー部材8Fの長孔81F(連結孔)が、スクリューシャフト21の長手方向から見てスクリューシャフト21と区画部材7Fの挿通孔71Fとの間の領域の外側に位置している。すなわち、カバー部材8Fの長孔81Fは、スクリューシャフト21と区画部材7Fの挿通孔71Fとの間に位置しない。このため、塵埃が第二領域R2から区画部材7Fの挿通孔71Fを通して第一領域R1に進入しても、当該塵埃がカバー部材8Fの連結孔を通してスクリューシャフト21に到達することを効果的に抑制することができる。また、カバー部材8Fの長孔81Fが区画部材7Fと反対側に向いていることで、上記の塵埃がスクリューシャフト21に到達することをさらに抑制できる。これにより、塵埃がスクリューシャフト21の雄ねじ211に付着することをより効果的に抑制することができる。
【0063】
また、第三実施形態のフェーダ装置1Fでは、内側にカバー部材8Fを挿通させた連結部33Fの環状部331Fが、スクリューシャフト21の回転方向においてカバー部材8Fに対して係止されている。このため、移動体3Fがスクリューシャフト21の軸線A1を中心に回転することを抑制することができる。すなわち、スクリューシャフト21の回転方向における移動体3Fの位置を保持することができる。言い換えれば、カバー部材8Fは、移動体3Fの姿勢を保持した状態で移動体3Fをスクリューシャフト21の長手方向に案内する案内部材として機能する。
【0064】
なお、第三実施形態のフェーダ装置1Fでは、移動体3Fの装着部32Fも、環状部331Fと同様にスクリューシャフト21の回転方向においてカバー部材8Fに対して係止されている。すなわち、カバー部材8Fに係止する装着部32Fによっても、移動体3Fがスクリューシャフト21の軸線A1を中心に回転することを抑制することができる。
【0065】
また、第三実施形態のフェーダ装置1Fでは、移動体3Fの挿通部31Fと装着部32Fとが連結部33Fを介して電気的に接続されている。これにより、移動体3Fを、操作者の移動体3F(操作部)への接触の有無を検出するタッチセンサーに利用することができる。
【0066】
また、第三実施形態のフェーダ装置1Fでは、基板82Fに設けられたタッチセンサー用の接続配線や位置検出部9F用の抵抗体が、カバー部材8Fのうちスクリューシャフト21に対向する面に配置されている。このため、塵埃が第二領域R2から区画部材7Fの挿通孔71Fを通して第一領域R1に進入しても、カバー部材8Fによって塵埃が上記の接続配線や抵抗体(基板82F)に到達すること抑制することができる。すなわち、接続配線や抵抗体に塵埃が付着し難くなる。これにより、塵埃に起因して、タッチセンサーや位置検出部9Fに不具合が生じることを抑制することができる。
【0067】
第三実施形態において、カバー部材8Fを迂回するための連結部33Fの構造は、環状部331F(スクリューシャフト21の長手方向から見てO字状に形成された構造)に限らない。カバー部材8Fを迂回するための連結部33Fの構造は、例えばスクリューシャフト21の長手方向から見てC字状あるいはL字状に形成された構造であってもよい。
【0068】
カバー部材8Fを迂回する連結部33Fの構造がC字状やL字状の構造であっても、連結部33Fがカバー部材8Fを迂回した上で、区画部材7Fと反対側に向くカバー部材8Fの長孔81Fを通っていれば、連結部33Fを、スクリューシャフト21の回転方向においてカバー部材8Fの長孔81Fに対して係止することができる。すなわち、移動体3Fがスクリューシャフト21の軸線A1を中心に回転することを抑制することができる。
【0069】
第三実施形態において、カバー部材8Fは、筒状に限らず、例えば平板状に形成されてもよい。平板状のカバー部材8Fは、例えばカバー部材8Fの厚さ方向が区画部材7Fとスクリューシャフト21とが並ぶ方向(上下方向)に一致するように配置されてよい。また、平板状のカバー部材8Fには、上記した第三実施形態と同様に、移動体3Fの連結部33Fが通る長孔81F(連結孔)が形成されてもよい。平板状のカバー部材8Fに形成される長孔81Fは、スクリューシャフト21の長手方向から見てスクリューシャフト21と区画部材7Fの挿通孔71Fとの間の領域の外側に位置していればよい。例えば、カバー部材8Fの長孔81Fは、スクリューシャフト21に対して左右方向にずれて位置すればよい。これにより、塵埃が第二領域R2から区画部材7Fの挿通孔71Fを通して第一領域R1に進入しても、当該塵埃がカバー部材8Fの長孔81Fを通してスクリューシャフト21に到達することを抑制することができる。
【0070】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0071】
本発明のフェーダ装置において、移動体3,3Fの係合部35は、雌ねじ351に限らず、例えば雄ねじ211の溝に入り込んで係合する係合突起であってもよい。また、移動体3,3Fの係合部35は、例えばスクリューシャフト21と共にボールねじを構成する構成要素であってもよい。
【0072】
本発明のフェーダ装置において、スクリューシャフト21は、移動体3,3Fの貫通孔33,321Fに挿通されることに限らず、例えば移動体3,3F(第一、第二実施形態の本体部31、第三実施形態の装着部32F)の外面に噛み合うように設けられてもよい。この場合、移動体3,3Fの係合部35は、例えば本体部31、装着部32Fの外面から突出して雄ねじ211に係合する係合突起であってもよい。
【0073】
本発明のフェーダ装置は、例えば、スクリューシャフト21を複数備えてもよい。すなわち、複数のスクリューシャフト21が回転することで一つの移動体3,3Fが軸2やスクリューシャフト21の長手方向に移動してもよい。
【0074】
本発明のフェーダ装置において、移動体3,3Fに噛み合うスクリューシャフト21のねじは、雄ねじに限らず、例えば雌ねじであってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1,1E,1F…フェーダ装置、2…軸、3,3F…移動体、5…位置測定部、6…モータ、7F…区画部材、8F…カバー部材(案内部材)、9F…位置検出部、21…スクリューシャフト、22…案内軸、31F…挿通部、32F…装着部、33F…連結部、51…エンコーダ、71F…挿通孔、81F…長孔(連結孔)、82F…基板、91F…抵抗素子、211…雄ねじ、331F…環状部、A1…スクリューシャフト21の軸線、D1…スクリューシャフト21の径寸法、D2…案内軸22の径寸法、R1…第一領域、R2…第二領域
【要約】
【課題】フェーダ装置において、移動体の操作感の向上を図りつつ、モータによって移動体を精度よく動かすことができるようにする。
【解決手段】フェーダ装置1Fは、直線方向に延びると共に外周に雄ねじを有し、直線方向に延びる軸線を中心に回転可能とされたスクリューシャフト21と、スクリューシャフトに取り付けられ、雄ねじに噛み合うことでスクリューシャフトの回転に伴って直線方向に移動する移動体3Fと、スクリューシャフトが配置される第一領域R1と第一領域とは別の第二領域R2とに区画すると共に、移動体を第一領域側から第二領域側に挿通させ、直線方向に延びる挿通孔71Fを有する区画部材7Fと、第一領域においてスクリューシャフトと区画部材の挿通孔との間に位置し、直線方向に延びるカバー部材8Fと、を備える。
【選択図】
図11