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特許7028398デジタルビデオをコード化およびデコードするための方法、ならびに関係するコード化およびデコードデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】デジタルビデオをコード化およびデコードするための方法、ならびに関係するコード化およびデコードデバイス
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/70 20140101AFI20220222BHJP
   H04N 19/503 20140101ALI20220222BHJP
   H04N 19/597 20140101ALI20220222BHJP
   H04N 19/96 20140101ALI20220222BHJP
【FI】
H04N19/70
H04N19/503
H04N19/597
H04N19/96
【請求項の数】 23
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017221897
(22)【出願日】2017-11-17
(62)【分割の表示】P 2015536276の分割
【原出願日】2013-10-14
(65)【公開番号】P2018050327
(43)【公開日】2018-03-29
【審査請求日】2017-11-20
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-12
(31)【優先権主張番号】TO2012A000901
(32)【優先日】2012-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515070240
【氏名又は名称】ライ ラディオテレヴィズィオーネ イタリアーナ エッセ.ピー.アー.
(73)【特許権者】
【識別番号】311017326
【氏名又は名称】エッセ.イ.エスヴィー.エアレ ソシアテ イタリアーナ ピエレ エレオ ヴィルプ デレレトロニカ エッセ.ピー.アー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】アリーナ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】バロッカ、ジョヴァーニ
(72)【発明者】
【氏名】スンナ、パオラ
【合議体】
【審判長】清水 正一
【審判官】川崎 優
【審判官】畑中 高行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-109397(JP,A)
【文献】特開平11-3463710(JP,A)
【文献】特開2004-7266(JP,A)
【文献】特開2005-124200(JP,A)
【文献】特表2010-527217(JP,A)
【文献】Xiaofeng Yang, et al.,2D compatible frame packing stereo 3D video,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG 16 WP 3 and ISO/IEC JTC 1/SC 29/WG 11 11th Meetig:Shanghai,CN,10-19 Oct.2012 Document:JCTVC-K0116,2012年 9月29日,URL,http://phenix.it-sudparis.eu/jct/doc_end_user/documents/11_Shanghai/wg11/JCTVC-K0116-v1.zip
【文献】International Telecommunication Union ITU-T TELECOMMUNICATION STANDARDIZATION SETCOR OF ITU H.264(01/2012) SERIES H:AUDIOVISUAL AND MULTIMEDIA SYSTEMS Infrastructure of audiovisual services - Coding of moving video advanced video coding for generic audiovisual services Recommendation ITU-T H.264,2012年1月,pp.365-374
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00-19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオストリーム受信機ユニットおよびビデオエンコーダを備えるビデオストリームジェネレータにおいてデジタルビデオストリームを生成するための方法であって、前記ビデオストリームジェネレータは、複数の独立したエンコードされた領域を含むコンテナビデオストリームを生成し、前記方法は、
前記ビデオストリーム受信機ユニットにより、3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームを複数のビデオソースから受信する段階と、
前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームを、前記コンテナビデオストリームの3またはそれより多い独立にデコード可能な領域にマッピングする段階と、
前記ビデオエンコーダにより、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームの各々と、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々との間の関連性を示すシグナリングを入力する段階であって、前記シグナリングは、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のそれぞれについて、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームのそれぞれに関する他の独立にデコード可能な領域との関連性が存在するか否かを示す一義的な記述を含み、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームのいずれかは、一義的な記述により前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のいずれかと関連付けられ得る、段階と、
前記シグナリングを有するデジタルビデオストリームを出力する段階と
を備える方法。
【請求項2】
記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームのコンテンツのタイプを示す記述子を、前記ビデオエンコーダにより前記デジタルビデオストリームに入力する段階を更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々は、前記ビデオエンコーダにより、タイルとしてコード化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ビデオエンコーダにより利用されるコード化技術は、H.264/AVCまたはHEVCである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームと前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域との間の前記関連性と、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームのコンテンツのタイプを示す前記記述子とを示す、前記ビデオエンコーダにより前記デジタルビデオストリームに入力された前記シグナリングは、補足エンハンスメント情報(SEI)メッセージである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームと前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域との間の前記関連性と、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームのコンテンツのタイプを示す前記記述子とを示す前記シグナリングは、前記ビデオエンコーダにより、シーケンスパラメータセット(SPS)シグナリングまたはピクチャパラメータセット(PPS)シグナリングに入力される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームと、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域との間の前記関連性を示す、前記ビデオエンコーダにより前記デジタルビデオストリームに入力された前記シグナリングは、ビットマスクを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームは、
1または複数の立体ビデオのペア、
複数のビデオストリームおよび複数の奥行きマップ、
フレームパッキング構成フォーマットの1または複数のビデオストリーム、
独立した複数のビデオのモザイク
のフォーマットのうちの1または複数とを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記記述子は、
フレームパッキング構成と、
コンテンツの変換タイプと、
ビューIDと
を記述する1または複数のメタデータを含む、請求項2、5および6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の方法を実行するビデオストリームジェネレータ。
【請求項11】
シグナリングデコーダ及びビデオデータデコーダを備えるビデオデコーダにより、コンテナビデオストリームに含まれる3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームを含むエンコードされたデジタルビデオストリームをデコードするための方法であって、
前記シグナリングデコーダが、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームの各々と、前記コンテナビデオストリームの3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々との間の関連性を示す、前記デジタルビデオストリームに含まれるシグナリングを読み取る段階であって、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームは複数のビデオソースに由来し、前記シグナリングは、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のそれぞれについて、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームのそれぞれに関する他の独立にデコード可能な領域との関連性が存在するか否かを示す一義的な記述を含み、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームのいずれかは、一義的な記述により前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のいずれかに関連付けられ得る、段階と、
前記シグナリングデコーダが、前記コンテナビデオストリームの前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々のコンテンツのタイプを示す、前記デジタルビデオストリームに含まれる記述子を読み取る段階と、
前記シグナリングまたは前記記述子により示された前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のセットをデコードすることを選択する段階と、
前記ビデオデコーダにより、前記選択された独立にデコード可能な領域のセットをデコードして、前記ビデオデータデコーダにより取得された前記デコードされたビデオストリームを表示するために出力する段階と
を備える、方法。
【請求項12】
シグナリングデコーダ及びビデオデータデコーダを備えるビデオデコーダにおいて、3またはそれより多い独立したコンポーネント領域を含むエンコードされたデジタルビデオストリームをデコードするための方法であって、
前記シグナリングデコーダが、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域の各々と、3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々との間の関連性を示す、前記デジタルビデオストリームに含まれるシグナリングを読み取る段階であって、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域は複数のビデオソースに由来し、前記シグナリングは、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のそれぞれについて、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域のそれぞれに関する他の独立にデコード可能な領域との関連性が存在するか否かを示す一義的な記述を含み、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域のいずれかは、一義的な記述により前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のいずれかに関連付けられ得る、段階と、
前記シグナリングデコーダが、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々のコンテンツのタイプを示す、前記デジタルビデオストリームに含まれる記述子を読み取る段階と、
前記シグナリングまたは前記記述子により示された前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のセットをデコードすることを選択する段階と、
前記ビデオデコーダにより前記選択された独立にデコード可能な領域のセットをデコードして、前記ビデオデータデコーダにより取得された前記デコードされたビデオストリームを表示するために出力する段階と
を備え、
前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域と前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域との間の関連性と、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域のコンテンツのタイプを示す前記記述子とを示す前記シグナリングは、補足エンハンスメント情報(SEI)メッセージから読み取られる、方法。
【請求項13】
シグナリングデコーダ及びビデオデータデコーダを備えるビデオデコーダにおいて、3またはそれより多い独立したコンポーネント領域を含むエンコードされたデジタルビデオストリームをデコードするための方法であって、
前記シグナリングデコーダが、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域の各々と、3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々との間の関連性を示す、前記デジタルビデオストリームに含まれるシグナリングを読み取る段階であって、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域は複数のビデオソースに由来し、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域は、エンコードされたデジタルビデオストリームを前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域に分割し、前記シグナリングは、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のそれぞれについて、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域のそれぞれに関する他の独立にデコード可能な領域との関連性が存在するか否かを示す一義的な記述を含む、段階と、
前記シグナリングデコーダが、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々のコンテンツのタイプを示す、前記デジタルビデオストリームに含まれる記述子を読み取る段階と、
前記シグナリングまたは前記記述子により示された前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のセットをデコードすることを選択する段階と、
前記ビデオデコーダにより前記選択された独立にデコード可能な領域のセットをデコードして、前記ビデオデータデコーダにより取得された前記デコードされたビデオストリームを表示するために出力する段階と
を備える、方法。
【請求項14】
前記ビデオデコーダは、独自の複数の計算リソースの評価に基づいて、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のうちの1または複数を選択する、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のうちの1または複数は、1つのディスプレイ上の表示のために利用可能にされる、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のうちの1または複数は、複数の異種デバイス上の表示のために利用可能にされる、請求項11から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
デコードされる前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のセットの選択は、前記ビデオデコーダに関連し、前記ビデオデコーダによりデコードされたビデオデータを表示するように構成されるディスプレイデバイスとの自動的なネゴシエーションに基づいて決定される、請求項11から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
デコードされる前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のセットの選択は、前記ビデオデコーダに関連するまたはディスプレイデバイスに関連するリモートコントロールデバイスを用いて実行されるユーザによる、前記ビデオデコーダに関連する前記ディスプレイデバイス上のディスプレイフォーマットの手動選択に基づいて決定される、請求項11から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
コンテナビデオストリームに含まれる3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームを含むデジタルビデオストリームをデコードするデコードデバイスであって、
前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームと、前記コンテナビデオストリームの3またはそれより多い独立にデコード可能な領域との間の関連性を示す、前記デジタルビデオストリームに含まれるシグナリングを読み取るように構成され、かつ、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々のコンテンツのタイプを示す、前記デジタルビデオストリームに含まれる記述子を読み取るように構成されるシグナリングデコーダであって、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームは複数のビデオソースに由来し、前記シグナリングは、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のそれぞれについて、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームのそれぞれに関する他の独立にデコード可能な領域との関連性が存在するか否かを示す一義的な記述を含み、前記3またはそれより多いコンポーネントビデオストリームのいずれかは、一義的な記述により前記コンテナビデオストリームの前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のうちのいずれかと関連付けられ得る、シグナリングデコーダと、
デコード方法に従って、前記デジタルビデオストリームに含まれるビデオデータをデコードするように構成されるビデオデータデコーダと、
前記シグナリングより、または、前記記述子により示される前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のセットを前記ビデオデータデコーダによりデコードすることを選択するように構成される選択ユニットと、
と備え、
前記ビデオデータデコーダは、前記選択ユニットにより選択された独立にデコード可能な領域の前記セットをデコードして、選択された独立にデコード可能な領域の前記セットを有するデコードされたデジタルビデオストリームを出力する、デコードデバイス。
【請求項20】
3またはそれより多い独立したコンポーネント領域を含むデジタルビデオストリームをデコードするデコードデバイスであって、
前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域と、3またはそれより多い独立にデコード可能な領域との間の関連性を示す、前記デジタルビデオストリームに含まれるシグナリングを読み取るように構成され、かつ、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々のコンテンツのタイプを示す、前記デジタルビデオストリームに含まれる記述子を読み取るように構成されるシグナリングデコーダであって、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域は複数のビデオソースに由来し、前記シグナリングは、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のそれぞれについて、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域のそれぞれに関する他の独立にデコード可能な領域との関連性が存在するか否かを示す一義的な記述を含み、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域のいずれかは、一義的な記述により前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のうちのいずれかと関連付けられ得る、シグナリングデコーダと、
デコード方法に従って、前記デジタルビデオストリームに含まれるビデオデータをデコードするように構成されるビデオデータデコーダと、
前記シグナリングより、または、前記記述子により示される前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のセットを前記ビデオデータデコーダによりデコードするために選択するように構成される選択ユニットと、
と備え、
前記ビデオデータデコーダは、前記選択ユニットにより選択された独立にデコード可能な領域の前記セットをデコードして、選択された独立にデコード可能な領域の前記セットを有するデコードされたデジタルビデオストリームを出力し、
前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域と前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域との間の関連性と、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域のコンテンツのタイプを示す前記記述子とを示す前記シグナリングは、補足エンハンスメント情報(SEI)メッセージから読み取られる、デコードデバイス。
【請求項21】
3またはそれより多い独立したコンポーネント領域を含むデジタルビデオストリームをデコードするデコードデバイスであって、
前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域と、3またはそれより多い独立にデコード可能な領域との間の関連性を示す、前記デジタルビデオストリームに含まれるシグナリングを読み取るように構成され、かつ、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域の各々のコンテンツのタイプを示す、前記デジタルビデオストリームに含まれる記述子を読み取るように構成されるシグナリングデコーダであって、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域は複数のビデオソースに由来し、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域は、エンコードされたデジタルビデオストリームを前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域に分割し、前記シグナリングは、前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のそれぞれについて、前記3またはそれより多い独立したコンポーネント領域のそれぞれに関する他の独立にデコード可能な領域との関連性が存在するか否かを示す一義的な記述を含む、シグナリングデコーダと、
デコード方法に従って、前記デジタルビデオストリームに含まれるビデオデータをデコードするように構成されるビデオデータデコーダと、
前記シグナリングより、または、前記記述子により示される前記3またはそれより多い独立にデコード可能な領域のセットを前記ビデオデータデコーダによりデコードするために選択するように構成される選択ユニットと、
と備え、
前記ビデオデータデコーダは、前記選択ユニットにより選択された独立にデコード可能な領域の前記セットをデコードして、選択された独立にデコード可能な領域の前記セットを有するデコードされたデジタルビデオストリームを出力する、デコードデバイス。
【請求項22】
前記選択ユニットは、前記デコードデバイスによりデコードされた前記独立にデコード可能な領域の前記セットを、前記デコードデバイスに関連するディスプレイデバイス上の表示のために自動的に又は手動で選択するように更に構成される、請求項19から21のいずれか一項に記載のデコードデバイス。
【請求項23】
前記選択ユニットは、前記デコードデバイスによりデコードされた前記独立にデコード可能な領域のセットを含むディスプレイフォーマットを、前記デコードデバイスに関連するディスプレイデバイスとのネゴシエーション処理を用いて選択するように更に構成される、請求項19から21のいずれか一項に記載のデコードデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルビデオをコード化およびデコードするための方法に関し、具体的には、ビデオストリームを複数の独立したパーティションにコード化する方法、およびビデオストリームを構成する1または複数のパーティションを独立にデコードするための対応する方法に関する。
【0002】
また、本発明は、ビデオストリームを複数の独立したパーティションにコード化するためのデバイス、および複数の当該パーティションのうち1または複数を独立にデコードするためのデバイスに関する。
【0003】
同一のイベント、または複数のマルチメディアサービス(マルチビュービデオ、自由視聴ビデオ)のモザイクの異なる複数のビューを表す複数の独立したビデオストリームをコード化し、配信することは、長らく知られている。通常、そのような複数のマルチビュービデオを複数のユーザに配信することは、生成された複数のビューの数に一致するいくつかの独立したビデオストリームをコード化することを必要とする。
【発明の概要】
【0004】
この種のコード化およびデコード方法は、例えば、文献「ISO/IEC13818―1:2000(E)―Information technology―Generic coding of moving pictures and associated audio information:Systems」、または文献「ISO/IEC14496―10 Information technology―Coding of audio―visual objects Part 10:Advanced Video Coding」、ならびに以下にH.264/AVC仕様と呼ばれる、対応する文献「ITU―T H.264―Advanced video coding for generic audiovisual services」に記載されている。
【0005】
現在、用いる複数のコード化するための方法は、配信されるビデオコンポーネントの数に等しいいくつかのビデオエンコーダを用いる必要性、配信される複数のビデオストリーム間、ならびに複数のビデオストリームと対応するオーディオストリームとの間の困難な相互同期化、独立した各ストリームをデコードするのに必要とされる類似の複数のシグナリング要素を複製する必要に起因して複数のビデオストリームを移送するのに必要とされる増大した帯域等、いくつかの欠点を有する。
【0006】
一方、対応する複数のデコード方法は、送信される2またはそれより多いビューをデコードおよび表示するための複数のデコーダを用いることを必要とし、ユーザ端末アーキテクチャのより高まる複雑性およびコストをもたらす。
【0007】
例えば、いわゆる「モザイク」サービスの場合のように、複数の独立したビューを配信するべく、1つのビデオストリームが用いられ得ることが知られている。1つのフレームは、複数の独立したビデオから抽出され、1つの画像に構成されたnのフレーム、または1つのフレームに構成された3Dの立体的ペアの2つのコンポーネントビデオにより構成される(いわゆる「フレームパッキング構成」または「フレーム互換性フォーマット」)。通常、そのような複数の複合ビデオは、例えば、MPEG‐2、H.264/AVC、HEVC等の利用可能な複数の圧縮技術のうちいずれか1つを用いることにより、圧縮される。そのような複数の圧縮技術は、仕様に準拠したデコーダが複数のコンポーネントビデオストリームのうち1または複数を独立にデコードすることを可能にするツールを提供しない。2Dデコーダがデコード済みビデオから立体的ペアの2つのコンポーネントビューのうち、1つのみを抽出することを可能にする複数の方法が開発されているが、これらの方法は、コンテナフレーム全体がデコードされると、デコーダが2つのビューのうち1つのみを含むフレーム区域を切断して表示することを可能にする、好適なシグナリングを用いることに依存する。
【0008】
現在、デコーダが(ユーザ選択により、または限られた計算もしくはストレージリソースに起因して)フレーム全体のうち選択されたサブセットのみをデコードすることを可能にするように、ビデオをコード化することは、不可能である。例えば、立体的ペアを構成する双方の画像に注意を払わない2Dデコーダが、2つのビューのうち1つ(例えば、左側)に対応する領域のみをデコードして表示し得るように、上記の複数のフレームパッキング構成のうち1つを含むビデオをコード化することは可能ではない。
【0009】
これは、計算およびエネルギーリソースを浪費することを暗示する。この問題は、複数の計算リソースの過度な利用がバッテリ寿命を劇的に短くし得るモバイル端末の分野において特に意識されていることに留意されたい。
【0010】
更に、デコーダは、必ずしも均一な特性を有しない1または複数のディスプレイが接続され得る、セットトップボックスまたはスマートゲートウェイ等のデバイスにおいて用いられることがある。例えば、コード化済みビデオストリームを配信ネットワーク(例えば、IPネットワークまたはブロードキャスティングネットワーク)から受信し、またはストレージデバイスからのストリームを読み取るスマートゲートウェイの場合を検討されたい。当該スマートゲートウェイには、異なる複数の特性を有し得る複数のディスプレイ(例えば、HDディスプレイまたはタブレット)が、複数のケーブルおよび/または無線接続を介して接続され得る。そのような場合、デコーダは、デコード済みビデオをサポートされるディスプレイの複数の特性に適合させることができるべきである。デコード済みビデオよりも低い解像度を有する1つのディスプレイのみがデコーダに接続される場合、後者は、関係する端末に最も妥当なビデオの当該部分のみをデコードすることができるべきである。
【0011】
更に、現在の複数の技術は、(上記の立体的ペアの例におけるように)複数のコンポーネントビデオストリームのうち1つを自動的に識別することを可能にするのみであり、従って、追加の1または複数のコンポーネントビデオストリームの存在をデコーダに明確に示すことは不可能である。 従って、より少ないリソースを有するデコーダに「既定の」選択肢が強制され、複数の代替的コンテンツの存在を示すことができない。
【0012】
更に、デコード処理中に複数の計算リソースの利用を調整することを可能にすることに加えて、1つのビデオストリームをコード化する可能性が、異なる複数のサービスモデルに応じて、ストレージおよび複数の計算リソースに関する異なる利用可能性を特徴とする複数の端末をサポートするべく、1つのビデオストリームをコード化することも可能にする。例えば、複数の4HDビデオの構成(1920X1080ピクセル)を1つの4k(3840X2160ピクセル)のビデオストリームとしてコード化することが考えられる。そのようなビデオについては、限られた計算リソースを有するデコーダは、複数のHDコンポーネントのうち1つのみを含むサブセットをデコードし得るであろう。あるいは、より強力なデコーダは、4Kビデオ全体をデコードし、例えば、複数のコンテンツのモザイク全体を表示し得るであろう。
【0013】
本発明の1つの目的は、1または複数の異なるコンポーネントビデオストリームのうち少なくとも1つが他のものとは独立にデコードされ得るように、1または複数の異なるコンポーネントビデオストリームを1つのコンテナビデオストリームにコード化することを可能するコード化するための方法を規定することである。
【0014】
本発明の別の目的は、1または複数のコンポーネントビデオストリームが1つのデコーダを用いることにより1つのコンテナビデオストリームから独立にデコードされることを可能にするデコード方法を特定することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、1または複数のコンポーネントビデオストリームが独立にデコードされることを可能にするように、複数のコンポーネントビデオストリームからなるコンテナビデオストリームをコード化するエンコーダを提供することである。
【0016】
本発明のなおも別の目的は、1つのコンテナビデオストリームとしてコード化された複数のコンポーネントビデオストリームのうち少なくとも1つを独立にデコードするデコーダを提供することである。
【0017】
本発明のこれらおよび更なる態様は、添付の図面を参照して、いくつかの実施形態を図示する以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】H.264/AVC仕様による、複数のマクロブロック(「スライス」)のグループに符号分割される画像を示す。
図2】HEVC仕様による、「タイル」に符号分割される画像を示す。
図3】4つの独立した2Dビデオストリームを1つのビデオストリームに構成する一例を示す。
図4】複数の2Dビデオペアの形態の2つの独立した立体ビデオストリームを1つのビデオストリームに構成することを示す。
図5】1つのビデオストリームとしてコード化された立体的ペアを構成する2つの画像のうち1つを選択的にデコードするための処理を示す。
図6】立体ビデオストリームおよび関連する複数の奥行きマップを1つのコンテナビデオストリームに構成することを示す。
図7】2Dビデオストリームおよび立体ビデオストリームを1つのコンテナビデオストリームに構成することを示す。
図8】nの独立したビデオストリームの構成により生成されたビデオストリームを構成およびコード化するための処理のブロック図である。
図9図8において説明されたコード化装置により生成されたビデオストリームをデコードするための方法の一例を示す。
図10図8によるコード化装置により生成されたビデオストリームをデコードするための更なる方法を示す。
図11A】立体ビデオストリームの2つのビューを1つのコンテナビデオストリームに構成することを示す。
図11B】立体ビデオストリームの2つのビューを1つのコンテナビデオストリームに構成することを示す。
図12】コード化済みビデオストリームに入力されるシグナリングの構造を説明する表である。
図13図12の構造のパラメータの複数の可能な値を含む表である。
図14A図12のシグナリングを入力するのに必要とされる、HEVC規格のPPSの構文に対する複数の変更を伴う表を示す。
図14B図12のシグナリングを入力するのに必要とされる、HEVC規格のPPSの構文に対する複数の変更を伴う表を示す。
図14C図12のシグナリングを入力するのに必要とされる、HEVC規格のPPSの構文に対する複数の変更を伴う表を示す。
図14D図12のシグナリングを入力するのに必要とされる、HEVC規格のPPSの構文に対する複数の変更を伴う表を示す。
図15A図12のシグナリングを入力するのに必要とされるHEVC規格のSPSの構文に対する変更を伴う表を示す。
図15B図12のシグナリングを入力するのに必要とされるHEVC規格のSPSの構文に対する変更を伴う表を示す。
図15C図12のシグナリングを入力するのに必要とされるHEVC規格のSPSの構文に対する変更を伴う表を示す。
図15D図12のシグナリングを入力するのに必要とされるHEVC規格のSPSの構文に対する変更を伴う表を示す。
図15E図12のシグナリングを入力するのに必要とされるHEVC規格のSPSの構文に対する変更を伴う表を示す。
図15F図12のシグナリングを入力するのに必要とされるHEVC規格のSPSの構文に対する変更を伴う表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
既存の複数のビデオコード化規格、ならびに現在規定されようとしているものは、コード化およびデコード処理を最適化する目的のために複数のデジタルビデオストリームを構成する、複数の画像を分割する可能性を提供する。図1に示されるように、H.264/AVC仕様は、複数のマクロブロックのグループを作成することを可能にし、コード化される複数の画像は、スライスと呼ばれる複数の異なるタイプのグループに細分化され、次にスライスは、互いに独立にコード化される。例えば、「タイプ2」と呼ばれる細分化に関して図1に示されるように、複数のマクロブロックは、コード化済みビデオの質が、任意の「対象の領域」の位置の関数として選択的に変化することを可能にするように、任意の形状を有する複数のスライスにグループ化され得る。
【0020】
これに代えて、図2は、「タイル」と呼ばれる新しいタイプの画像の細分化を示す。タイルは、新しいITU/ISO/IEC HEVC(高能率ビデオコード化)規格の仕様に導入されている。このタイプの細分化は、ビデオストリームコード化およびデコード処理の並列化を可能とするべく、H.264/AVC仕様において既に既存するスライス構造に基づいて導入された。現在では電話およびPCタブレット等のモバイル端末上においても利用可能な並列グラフィックプロセッサ(いわゆるGPU、グラフィック処理ユニット)の更なる普及およびより低コストにより、複数の画像フォーマットが通常は限られた計算リソースを有する端末上でも非常に高い解像度を得ることを可能にする並列化サポートツールの導入を促進した。
【0021】
HEVC仕様は、ビデオストリームを構成する複数の画像が複数の領域にセグメント化され、相互に独立にデコードすることを可能にするようにタイルを規定している。しかし、デコード処理は、たとえ並列化されても、いまだに専ら画像全体に対して実行され、複数のセグメントは、互いに独立に用いることができない。
【0022】
上記の段落で前述したように、異なる複数の端末が自動的に、またはユーザから受信した複数の命令により、ビデオのどの部分がデコードされ、視覚化用ディスプレイに送信されるべきかを決定し得るように、ビデオストリームを分割し得ることは、有用であろう。
【0023】
図3図4図6、および図7は、この種の分割が有用であることを示し得る異なる複数の利用シナリオを図示する。
【0024】
図3は、例えば、4K(3840X2160ピクセル)フォーマットであり、4つの独立したHD(1920X1080ピクセル)のビデオを含み得る、コンテナビデオストリームを示す。4Kデコーダで装備されるユーザは、ビデオ全体をデコードおよび表示し得るが、あまり強力でないデコーダで装備されるユーザは、一回の1つのHDストリームに対するデコードを制限することがある。
【0025】
図4は、2つの立体ビデオストリーム(2つの独立した左および右のビデオのペアの形態)のうち1つのコンテナビデオストリームが、例えば、同一のイベントの2つの異なる立体ビューを表す場合の移送を示す。同一のイベントの2つの異なる立体ビューから、ユーザは、フレーム全体を必ずしもデコードすることを要することなく(エネルギー消費に関する明らかな暗示)好ましいビューを選択し得る。
【0026】
図5は、立体ビデオおよび関連する複数の奥行きマップを1つのビデオストリームに構成することを示す。この場合、立体テレビ受像機のデコーダは、画像の上半分に位置する立体的ペアの2つの画像に関する部分のみをデコードし得る。従って下部分は、デコードされない。これに代えて、周知の2D+Z技術(1つの画像に関連する奥行きマップを加える、複数の合成ビューの構成)を用いる自動立体テレビ受像機のデコーダは、例えば、画像の左半分のみをデコードし得るが、より高性能の自動立体デコーダのデコーダは、双方のビューおよび双方の奥行きマップを用いて、複数の中間的ビューを合成し得る。
【0027】
図7は、画像の上半分に位置し、サイドバイサイドフォーマットの対応する立体ビューは、下部領域に位置するデュアル解像度の2Dビデオ(例えば、21:9のフォーマットの表示用)の構成を示す。
【0028】
HEVC仕様において記載されるタイル構造は、デコーダが、コンテナビデオにより移送されるコンテンツを適切に認識してデコードすることを可能にするには十分でない。この問題は、どのコンテンツが、独立にデコード可能な複数の領域の各々に移送され、それを適切にデコードおよび表示するべく、どのように続行するかを説明するシグナリングの好適なレベルを入力することにより解決され得る。
【0029】
少なくとも2つの異なるシナリオが、予見され得る。第1のシナリオにおいては、1つのコンテンツと、画像が分解された複数のタイルのうち少なくとも1つとの間の関連性、およびコヒーレントビデオストリームへの可能な再構築を示すことが必要である(例えば、図11Aに示されるように、立体ビデオストリームは、2つのタイルに細分化され得るが、2Dデコーダは、1つのタイルをデコードする可能性ついて通知されなければならず、他方で3Dデコーダは、いずれの特定の戦略も採用せず、ストリーム全体をデコードすることがある)。これに代えて、第2のシナリオにおいては、1つのコンテンツと、画像が分解された複数のタイルの各々との間の関連性、およびコヒーレントビデオストリームへの可能な再構築が示される(例えば、立体ビデオストリームは、2つのタイルに細分化され得るが、2Dデコーダは、1つのタイルをデコードする可能性ついて通知されなければならず、他方で3Dデコーダは、ストリーム全体をデコードする必要性ついて通知されなければならない)。
【0030】
提案される解決法は、複数のタイル、1または複数の特定の特性のうち少なくとも1つを示す記述子を入力することを提供する。例えば、コンテンツが2Dのものである場合、または立体コンテンツの場合には、そのフレームパッキング構成のタイプをシグナリングすることが可能でなければならない。更に、タイル間のあらゆる「関係」(統合デコードおよび/または表示)、ビュー識別子(例えば、マルチビューコンテンツの場合に用いられる)、および問題のビューが、立体的ペアの右側のビューもしくは左側のビューか、または奥行きマップかを記述するメッセージを示すことが所望である。
【0031】
例として、解決法は、図12の表に擬似コードとして図示されている。表は、H.264/AVC仕様およびHEVC仕様において既に利用されている複数のデータ構造体を用いることにより、コード化済みビデオストリームに入力されるシグナリングの構造を記述する。それにもかかわらず、デコーダが適切にデコードすることを可能にするように、1または複数のタイルのコンテンツが記述されることを可能にする、複数の類似シグナリング構造を採用することは、可能である。
【0032】
frame_packing_arrangement_typeは、例えば、MPEG2、H.264/AVC、またはSMPTE仕様において一般に用いられる複数の値に対応し得るインデックスであり、そのカタログは、現在、知られており、また複数の立体ビデオフォーマットにおいて用いられている。
【0033】
Tile_content_relationship_bitmaskは、各タイルについて、コード化済みビデオストリームが細分化された他の複数のタイルとの関連性を一義的に記述するビットマスクである。
【0034】
content_interpretation_typeは、各タイルのコンテンツを変換するのに必要な情報を提供する。一例が図13の表に特定されている。
【0035】
2Dデコーダにより1つのビューのみをデコードすることを確実にするべく、立体ビデオが2つのタイルとしてコード化される上記の場合を参照すると、以下の情報は、タイル0に関連するであろう。
frame_packing_arrangement_type[0] = 3
tile_content_relationship_bitmask[0] = 11
view_id[0] = 0
content_interpretation_type[0] = 2
【0036】
このタイプのシグナリングは、例えば、クロップ矩形等、他の複数のツールと一緒に、またはこれらに代えて用いられ得ることに留意されたい。好適なメタデータによりシグナリングされる矩形内のデコード済みフレームの一部をクロップすることが必須のクロップ矩形技術は、1つのフレームに入力される立体的ペアを必要とする複数のフレームパッキング構成のうちの1つの形態の立体ビデオストリームを「3D互換性のある」ものにするべく、既に一般に用いられている。図11Bは、例えば、左側のビュー(図の灰色のもの)のみがクロップ矩形に含まれる、いわゆる「サイドバイサイド」のフレームパッキング構成を含むフレームを図示する。タイル分割を用いずに、2Dデコーダは、フレーム全体をデコードし、次にクロップを適用し、右側のビュー(図11Bの白いもの)を破棄するはずである。本発明の方法を用いることにより、2つのビューをコード化し、別個のタイルとしてシグナリングすることが可能となり、それにより、2Dデコーダがクロップ矩形を含む区域のみをデコードすることを可能にする。
【0037】
図4に示されるように、例えば、ビデオストリームが4つのタイルに分割されると仮定して、複数のタイル間の関係は、以下の複数の値により記述される。
frame_packing_arrangement_type[0] = 3
frame_packing_arrangement_type[1] = 3
frame_packing_arrangement_type[2] = 3
frame_packing_arrangement_type[3] = 3
tile_content_relationship_bitmask[0] = 1100
tile_content_relationship_bitmask[1] = 1100
tile_content_relationship_bitmask[2] = 0011
tile_content_relationship_bitmask[3] = 0011
view_id[0] = 0
view_id[1] = 0
view_id[2] = 1
view_id[3] = 1
content_interpretation_type[0] = 2
content_interpretation_type[1] = 1
content_interpretation_type[2] = 2
content_interpretation_type[3] = 1
【0038】
このシグナリングは、タイル0および1が(frame_packing_arrangement_type = 3)とサイドバイサイドの同一の3Dビデオコンテンツ(tile_content_relationship_bitmask = 1100)に属することをデコーダに示す。tile_content_relationship_bitmaskの値は、デコーダが、2つのビュー(双方のタイルについてtile view_id = 0であるので、同一の立体的ペアに属する)が異なる複数のタイルに含まれる(よって、この場合に完全な解像度)ことを知ることを可能にする。content_interpretation_typeは、タイル0が左側のビューに対応するが、タイル1は、右側のビューに対応することを理解することを可能にする。 同一の考慮は、タイル1および2に適用される。
【0039】
これに代えて、図6の構成は、以下のシグナリングにより記述される。
frame_packing_arrangement_type[0] = 3
frame_packing_arrangement_type[1] = 3
frame_packing_arrangement_type[2] = 6
frame_packing_arrangement_type[3] = 6
tile_content_relationship_bitmask[0] = 1111
tile_content_relationship_bitmask[1] = 1111
tile_content_relationship_bitmask[2] = 1010
tile_content_relationship_bitmask[3] = 0101
view_id[0] = 1
view_id[1] = 1
content_interpretation_type[0] = 2
content_interpretation_type[1] = 1
content_interpretation_type[2] = 5
content_interpretation_type[3] = 5
【0040】
図4と異なり、タイル0および1に対するtile_content_relationship_bitmask isは、1111である。これは、全てのタイル間に関係が存在することを意味する。具体的には、タイル2および3は、タイル0(tile_content_relationship_bitmask = 1010)およびタイル1(tile_content_relationship_bitmask = 0101)にそれぞれ関連する奥行きマップ(content_interpretation_type = 5)を含む、2Dコンテンツ(frame_packing_arrangement_type = 6)である。
【0041】
HEVC仕様の構文において、このタイプのシグナリングは、SEI(補足エンハンスメント情報)メッセージ、すなわち、基本的なコード化およびデコードのメカニズムを変更することなく、デコードのみならず、次の視覚化処理にも関する、追加の複数の関数の構成を可能にするアプリケーション情報として容易にコード化され得る。代替形態として、同一のシグナリングは、フレームに対応するデータセットをデコードするのに必要な情報を含む構文要素である、ピクチャパラメータセット(PPS)に入力され得る。図14A図14Dの表は、上記のシグナリングを入力するべく、HEVC規格のPPSの構文にする必要がある擬似コードの形態の、太字で強調表示された複数の変更形態を含む。
【0042】
連続するシーケンスのフレームに対応するデータセットをデコードするのに必要な情報を含む構文要素である、シーケンスパラメータセット(SPS)にシグナリングを入力するべく、更なる一般化が提供され得る。
【0043】
図15A図15Fの表は、上記のシグナリングを入力するべく、HEVCのSPSの構文にする必要がある擬似コードの形態の、太字で強調表示された複数の変更形態を含み、multiservice_flagは、各タイル内の複数のサービスの存在ついて通知する変数であり、num_tileは、1つのフレーム内のタイルの数である。
【0044】
図5は、選択的なタイルデコード処理を図示する。ビデオストリームは、1ペアの立体ビューを含み、2つの別個のタイルにコード化される。
【0045】
後者は、図4のコンテンツを表すべく用いられる、同一のシグナリングにより記述される(しかし、この場合、タイルの総数は2である)。
【0046】
図8は、本発明のコード化技術を実装し得る、装置または装置のグループのブロック図である。NのビデオコンテンツS~Sは、「ソース構成器」に入力される。「ソース構成器」は、別個のコンポーネントであってもよく、または好適なエンコーダの入力ステージとして統合されてもよい。ソース構成器は、Nのコンポーネントビデオストリームを移送し、次にそれをエンコーダに対して出力するコンテナビデオストリームを構成する。ソース構成器は、複数のコンポーネントビデオストリームのフォーマットおよびコンテナビデオストリーム内でのその位置をエンコーダに記述するのに必要とされるシグナリングを任意選択で追加してもよい。
【0047】
エンコーダは、コンテナビデオストリームを受信し、1つのコンポーネントビデオストリームの構造上にマッピングするように複数のタイルを構築し、複数のタイル、複数のコンポーネントビデオストリームの構造、およびその関係を記述するシグナリングを生成し、コンテナビデオストリームを圧縮する。「ソース構成器」が複数のコンポーネントビデオストリームを記述するシグナリングを自動的に生成しない場合、エンコーダは、オペレータにより手動でプログラミングされ得る。次に、エンコーダにより出力される圧縮済みビデオストリームは、異なるやり方、すなわち、デコーダおよび/もしくはそれが接続されるディスプレイの複数の機能特性、および/または計算リソースに応じて、複数の独立した部分を選択することによりデコードされ得る。各コンポーネントビデオストリームのオーディオは、移送のために採用されたシステム層部分の仕様に従って移送され得る。
【0048】
2Dデコーダは、ビットストリームを解析し、2つのビューを含む2つのタイルのシグナリングを発見し、1つのタイルをデコードすることを決定し、2Dディスプレイと互換性のある1つの画像のみを表示する。これに代えて、3Dデコーダは、双方のタイルをデコードし、3Dディスプレイ上で立体視覚化を続行する。
【0049】
同様に、図9は、ディスプレイに接続されると、表示されるビデオの複数の特性(例えば、解像度)についてネゴシエートし、それに応じて、ビデオストリームのどの部分がデコードされるべきかを自主的に決定する、デコーダを示す。この決定は、ユーザが手動で介在することによっても指示され得る。例えば、送信されるビデオが2つのタイルにコード化された立体ビデオであり、たとえ3Dテレビ受像機で装備されていても、ユーザがやはり当該コンテンツを2Dフォーマットで見ることを希望すると仮定する場合(そのような決定は、特定のリモートコントロールキーを押すことにより明らかになり得る)、デコーダは、自動的に採用したものとは異なるデコード戦略を採用し、一方でテレビ受像機と最良のディスプレイフォーマットについてネゴシエートし得る。
【0050】
これに代えて、図10は、デコーダがコード化されたストリームを受信するゲートウェイ内に位置し、異種の複数の端末をサポートしなければならず、ビデオコンテンツの異なる複数のフォーマットをサポートする可能性を特徴とする場合を示す(例えば、いくつかのデバイスは、複数の立体コンテンツを表示する能力を有し得るが、同時に、他のデバイスは、2Dディスプレイのみを有することがある)。ゲートウェイは、各デバイスと自動的にネゴシエートし、または各デバイスから複数の構成命令を受信し、次に、要求している各デバイスの複数の特性に適合させるように、入力コンテンツの1または複数の部分をデコードする。
【0051】
従って、本発明は、2Dビデオフレームおよび/または3Dビデオフレームの複数のシーケンスから開始することによりビデオストリームを生成するための方法に関し、ビデオストリームジェネレータが、Nの異なるソースS、S、S、Sに由来する複数のビデオフレームを1つのコンテナビデオフレームに構成する。次に、エンコーダが、複数のコンテナビデオフレームの構造を示すように適合されたシグナリングに入力することにより、複数のコンテナビデオフレームの単一の出力ビデオストリームをコード化する。
【0052】
また、本発明は、各々が、Nの異なるソースS、S、S、Sに由来する複数の2Dビデオフレームおよび/または3Dビデオフレームを含む、複数のコンテナフレームのシーケンスを有するビデオストリームを再生するための方法に関する。デコーダは、複数のコンテナビデオフレームの構造を示すように適合されたシグナリングを読み取り、複数のビデオフレームのうち少なくとも1つまたは複数のビデオフレームのサブセットを抽出し、表示用に選択された複数のビデオストリームの2Dビデオフレームおよび/または3Dビデオフレームのうち当該複数のビデオフレームを含む複数のコンテナビデオフレームのうち当該複数の部分のみをデコードすることにより、複数のビデオストリームを再生する。
[項目1]
1または複数の独立したコンポーネント領域からなるデジタルビデオストリームをコード化するための方法であって、
1または複数の独立にデコード可能な領域の存在を示すシグナリングを入力する段階を備え、
上記1または複数の独立したコンポーネント領域と、上記1または複数の独立にデコード可能な領域との間の関連性を示すシグナリングを入力する段階を更に備える、コード化するための方法。
[項目2]
上記1または複数の独立したコンポーネント領域のコンテンツのタイプを示す記述子を入力する段階を更に備える、項目1に記載のコード化するための方法。
[項目3]
上記1または複数の独立にデコード可能な領域の各々は、タイルとしてコード化される、項目1または2に記載のコード化するための方法。
[項目4]
利用されるコード化技術は、H.264/AVCまたはHEVCである、項目1または2に記載のコード化するための方法。
[項目5]
上記1または複数の独立したコンポーネント領域と上記1または複数の独立にデコード可能な領域との間の上記関連性と、上記1または複数の独立したコンポーネント領域のコンテンツのタイプを示す記述子とを示す上記シグナリングは、SEIメッセージである、項目1から4のいずれか1項に記載のコード化するための方法。
[項目6]
上記1または複数の独立したコンポーネント領域と、上記1または複数の独立にデコード可能な領域との間の上記関連性を示す上記シグナリング、および上記1または複数の独立したコンポーネント領域のコンテンツのタイプを示す記述子は、SPSシグナリングまたはPPSシグナリングに入力される、項目1から3のいずれか1項に記載のコード化するための方法。
[項目7]
上記1または複数の独立したコンポーネント領域と、上記1または複数の独立にデコード可能な領域との間の上記関連性を示す上記シグナリングは、ビットマスクからなる、項目1から6のいずれか1項に記載のコード化するための方法。
[項目8]
上記デジタルビデオストリームの上記1または複数の独立したコンポーネント領域は、1または複数の独立したビデオストリームを表す、項目1から7のいずれか1項に記載のコード化するための方法。
[項目9]
上記1または複数の独立したビデオストリームは、
1または複数の立体ビデオのペア、
複数のビデオストリームおよび複数の奥行きマップ、
フレームパッキング構成フォーマットの1または複数のビデオストリームと、
独立した複数のビデオのモザイクのフォーマットのうち1または複数とを含む、項目8に記載のコード化するための方法。
[項目10]
上記記述子は、
フレームパッキング構成と、
コンテンツの変換タイプと、
ビューIDとを記述する1または複数のメタデータを含む、項目2に記載のコード化するための方法。
[項目11]
1または複数の独立したコンポーネント領域からなるデジタルビデオストリームをデコードするための方法であって、
1または複数の独立にデコード可能な領域の存在を示すシグナリングを読み取る段階を備え、
上記1または複数の独立したコンポーネント領域と、上記1または複数の独立にデコード可能な領域との間の関連性を示すシグナリングを読み取る段階と、
上記1または複数の独立にデコード可能な領域の各々のコンテンツのタイプを示す記述子を読み取る段階とのうち少なくとも1つの段階を更に備え、
上記シグナリングまたは上記記述子により示された上記1または複数の独立にデコード可能な領域をデコードすることを選択する段階を更に備える、方法。
[項目12]
デコーダは、独自の複数の計算リソースの評価に基づいて上記1または複数の独立にデコード可能な領域を選択する、項目11に記載のデコードするための方法。
[項目13]
デコードされる上記1または複数の独立にデコード可能な領域は、1つのディスプレイ上における表示のために利用可能にされる、項目11に記載のデコードするための方法。
[項目14]
デコードされる上記1または複数の独立にデコード可能な領域は、複数の異種デバイス上における表示のために利用可能にされる、項目11に記載のデコードするための方法。
[項目15]
デコードされる上記1または複数の独立にデコード可能な領域を選択する上記段階は、外部制御信号により決定される、項目11から14のいずれか1項に記載のデコードするための方法。
[項目16]
上記制御信号は、1または複数のディスプレイとディスプレイフォーマットについてネゴシエートする処理の結果として自動的に生成される、項目15に記載のデコードするための方法。
[項目17]
上記制御信号は、ユーザによりディスプレイフォーマットを手動で選択する処理の結果として生成される、項目15に記載のデコードするための方法。
[項目18]
1または複数の独立したコンポーネント領域からなるデジタルビデオストリームを生成するためのデバイスであって、
複数のコンポーネントビデオストリームを1つのビデオストリームに構成するためのソース構成器と、
項目1から10のいずれか1項に記載のコード化するための方法を実装するビデオエンコーダとを備える、デバイス。
[項目19]
上記ソース構成器および上記ビデオエンコーダのうち少なくとも1つは、複数のプログラミングコンポーネントとして実装される、項目18に記載の生成デバイス。
[項目20]
項目11から14のいずれか1項に記載のデコードするための方法を実行する読み取り手段および選択手段を備える、デコードデバイス。
[項目21]
項目20に記載のデコードデバイスを備え、
デコードされた上記1または複数の独立にデコード可能な領域を表示するべく、自動的に、または手動で選択する手段を更に備える、ビデオストリーム処理デバイス。
[項目22]
項目21に記載のビデオストリーム処理デバイスを備え、
好適なネゴシエーション処理により、デコードされた上記1または複数の独立にデコード可能な領域のディスプレイフォーマットを選択する手段を更に備える、スマートゲートウェイ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F