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特許7028427道路用ブロックユニットおよび道路用ブロックカバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】道路用ブロックユニットおよび道路用ブロックカバー
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/553 20160101AFI20220222BHJP
   E01F 9/535 20160101ALI20220222BHJP
   E01F 9/512 20160101ALI20220222BHJP
   E01C 5/06 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
E01F9/553
E01F9/535
E01F9/512
E01C5/06
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017115353
(22)【出願日】2017-06-12
(65)【公開番号】P2019002147
(43)【公開日】2019-01-10
【審査請求日】2020-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000227593
【氏名又は名称】日之出水道機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】特許業務法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 隆允
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-081742(JP,A)
【文献】登録実用新案第3053479(JP,U)
【文献】実開昭51-083126(JP,U)
【文献】実開昭52-069834(JP,U)
【文献】特開2003-336204(JP,A)
【文献】実公昭40-010658(JP,Y1)
【文献】実開昭52-159907(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0250495(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/553
E01F 9/535
E01F 9/512
E01C 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視が正方形または長方形状の箱状の形状を有する樹脂製のカバーと、このカバー内に接合されるコンクリート製のブロックとを備える道路用ブロックユニットであって、
前記カバーの4つの側壁部に形成された4つの外面と、
前記4つの外面のうち2つの外面のそれぞれに水平方向に延びる複数の突条と、
前記4つの外面のうち残りの2つの外面のそれぞれに水平方向全長にわたって連続するように設けられた溝とを有し、
前記複数の突条の鉛直方向の高さ位置は前記溝の鉛直方向の高さ位置と略同一であり、
前記複数の突条の鉛直方向の厚みは前記溝の鉛直方向の幅より小さく、
前記複数の突条の外面からの突出長さは前記溝の深さより大きく、
隣接する道路用ブロックユニットを連結したときに、対向する前記突条と前記溝とが嵌合することにより、対向する外面同士の間に目地部が形成される、道路用ブロックユニット。
【請求項2】
前記4つの側壁部のうち隣り合う2つの側壁部の外面のそれぞれに前記複数の突条を有し、残りの2つの側壁部の外面のそれぞれに前記溝を有する、請求項1に記載の道路用ブロックユニット。
【請求項3】
前記複数の突条および前記溝の鉛直方向の高さ位置が、前記4つの側壁部の鉛直方向略中央である、請求項1または2に記載の、道路用ブロックユニット。
【請求項4】
前記複数の突条として、水平方向略中央部に第1の突条、水平方向一端部に第2の突条および水平方向他端部に第3の突条を有する、請求項1から3のいずれかに記載の道路用ブロックユニット。
【請求項5】
前記第1の突条と前記第2の突条との間の間隔および前記第1の突条と前記第3の突条との間の間隔が、前記第1の突条の水平方向の長さより大きい、請求項4に記載の道路用ブロックユニット。
【請求項6】
前記第2の突条および前記第3の突条の水平方向の長さが、前記第1の突条の水平方向の長さの略半分である、請求項4または5に記載の道路用ブロックユニット。
【請求項7】
前記4つの側壁部のうち前記溝が設けられている2つの側壁部の厚みは、残りの2つの側壁部の厚みより大きい、請求項1から6のいずれかに記載の道路用ブロックユニット。
【請求項8】
平面視が正方形または長方形状の箱状の形状を有する道路用ブロックカバーであって、
その4つの側壁部に形成された4つの外面と、
前記4つの外面のうち2つの外面のそれぞれに水平方向に延びる複数の突条と、
前記4つの外面のうち残りの2つの外面のそれぞれに水平方向全長にわたって連続するように設けられた溝とを有し、
前記複数の突条の鉛直方向の高さ位置は前記溝の鉛直方向の高さ位置と略同一であり、
前記複数の突条の鉛直方向の厚みは前記溝の鉛直方向の幅より小さく、
前記複数の突条の外面からの突出長さは前記溝の深さより大きく、
隣接する道路用ブロックカバーを連結したときに、対向する前記突条と前記溝とが嵌合することにより、対向する外面同士の間に目地部が形成される、道路用ブロックカバー。
【請求項9】
平面視が正方形または長方形状の箱状の形状を有する樹脂製のカバーと、このカバー内に接合されるコンクリート製のブロックとを備え、
前記カバーの4つの側壁部のうち2つの側壁部の外面のそれぞれに水平方向に延びる複数の突条を有し、
残りの2つの側壁部の外面のそれぞれに水平方向全長にわたって連続する溝を有し、
前記複数の突条の鉛直方向の高さ位置は前記溝の鉛直方向の高さ位置と略同一であり、
前記複数の突条の鉛直方向の厚みは前記溝の鉛直方向の幅より小さく、
前記複数の突条の側壁部からの突出長さは前記溝の深さより大きく、
前記複数の突条として、水平方向略中央部に第1の突条、水平方向一端部に第2の突条および水平方向他端部に第3の突条を有する、道路用ブロックユニット。
【請求項10】
前記4つの側壁部のうち隣り合う2つの側壁部の外面のそれぞれに前記複数の突条を有し、残りの2つの側壁部の外面のそれぞれに前記溝を有する、請求項9に記載の道路用ブロックユニット。
【請求項11】
前記複数の突条および前記溝の鉛直方向の高さ位置が、前記4つの側壁部の鉛直方向略中央である、請求項9または10に記載の、道路用ブロックユニット。
【請求項12】
前記第1の突条と前記第2の突条との間の間隔および前記第1の突条と前記第3の突条との間の間隔が、前記第1の突条の水平方向の長さより大きい、請求項9から11のいずれかに記載の道路用ブロックユニット。
【請求項13】
前記第2の突条および前記第3の突条の水平方向の長さが、前記第1の突条の水平方向の長さの略半分である、請求項9から12のいずれかに記載の道路用ブロックユニット。
【請求項14】
平面視が正方形または長方形状の箱状の形状を有する樹脂製のカバーと、このカバー内に接合されるコンクリート製のブロックとを備え、
前記カバーの4つの側壁部のうち2つの側壁部の外面のそれぞれに水平方向に延びる複数の突条を有し、
残りの2つの側壁部の外面のそれぞれに水平方向全長にわたって連続する溝を有し、
前記複数の突条の鉛直方向の高さ位置は前記溝の鉛直方向の高さ位置と略同一であり、
前記複数の突条の鉛直方向の厚みは前記溝の鉛直方向の幅より小さく、
前記複数の突条の側壁部からの突出長さは前記溝の深さより大きく、
前記4つの側壁部のうち前記溝が設けられている2つの側壁部の厚みは、残りの2つの側壁部の厚みより大きい、道路用ブロックユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点字ブロックなどとして道路に設置される道路用ブロックユニットおよび道路用ブロックカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、道路用ブロックユニットの一例として、コンクリート製の基体と、基体に被せられた可撓性を有するプラスチック製のカバーとを備える点字誘導ブロックが開示されている。このような道路用ブロックユニットは、所定幅(一般的には3mm程度)の目地部を介して複数連結して設置される。しかし、従来の道路用ブロックユニットでは、所定幅の目地部を確保することが難しいなど、設置の施工性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-81742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、設置の施工性向上に有効な道路用ブロックユニットおよび道路用ブロックカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば次の道路用ブロックユニットが提供される。
「平面視が正方形または長方形状の箱状の形状を有する樹脂製のカバーと、このカバー内に接合されるコンクリート製のブロックとを備える道路用ブロックユニットであって、
前記カバーの4つの側壁部に形成された4つの外面と、
前記4つの外面のうち2つの外面のそれぞれに水平方向に延びる複数の突条と、
前記4つの外面のうち残りの2つの外面のそれぞれに水平方向全長にわたって連続するように設けられた溝とを有し、
前記複数の突条の鉛直方向の高さ位置は前記溝の鉛直方向の高さ位置と略同一であり、
前記複数の突条の鉛直方向の厚みは前記溝の鉛直方向の幅より小さく、
前記複数の突条の外面からの突出長さは前記溝の深さより大きく、
隣接する道路用ブロックユニットを連結したときに、対向する前記突条と前記溝とが嵌合することにより、対向する外面同士の間に目地部が形成される、道路用ブロックユニット。」
【0006】
この道路用ブロックユニットは、複数連結して設置する際に隣接する道路用ブロックユニットの突条と溝とを嵌合させることで、隣接する道路用ブロックユニットと容易に連結することができる。しかも、突条の側壁部からの突出長さは溝の深さより大きいので、隣接する道路用ブロックユニットを前述の要領で連結すると、その間に突条の突出長さと溝の深さとの差に相当する幅を有する隙間(目地部)が必然的に生じる。すなわち、突条の突出長さと溝の深さとの差を調整することで、所定幅(一定幅)の目地部を容易に確保することができる。
また、溝は水平方向全長にわたって連続しているので、この溝に沿って突条を水平方向に連続的にスライドさせることができる。これにより、隣接する道路用ブロックユニットを水平方向の任意の位置に容易に調整できる。
さらに、水平方向に延びる突条が溝と嵌合することで、隣接する道路用ブロックユニットとの連結状態を安定して維持することができる。これにより、熟練工でなくともきれいに道路用ブロックユニットを設置(敷設)することができる。
【0007】
本発明の道路用ブロックユニットにおいて、複数の突条は4つの側壁部のうち隣り合う2つの側壁部の外面のそれぞれに設け、溝は残りの2つの側壁部の外面のそれぞれに設けることが好ましい。これにより、道路用ブロックユニットが方向性を有していても、一種類の道路用ブロックユニットのみによって、その方向性に沿って一列に複数連結して設置することができるし、途中でその方向性を90度転換することもできる。
【0008】
本発明の道路用ブロックユニットにおいて、複数の突条および溝の鉛直方向の高さ位置は前記4つの側壁部の鉛直方向略中央であることが好ましい。これにより、突条と溝との嵌合状態(隣接する道路用ブロックユニットの連結状態)がより安定する。
【0009】
本発明の道路用ブロックユニットは、複数の突条として、水平方向略中央部に第1の突条、水平方向一端部に第2の突条および水平方向他端部に第3の突条を有するものとすることができる。これにより、突条と溝との嵌合状態(隣接する道路用ブロックユニットの連結状態)がさらに安定する。
【0010】
第1の突条と第2の突条との間の間隔および第1の突条と第3の突条との間の間隔は、第1の突条の水平方向の長さより大きいことが好ましい。これらの間隔部分は隣接する道路用ブロックユニット間の目地部に目地材を充填するときの充填口となり、これらの間隔部分の水平方向の長さが第1の突条の水平方向の長さより大きいことで目地材の充填作業が容易になるとともに、目地材が目地部全体に行きわたるので目地材を充填した後の目地部強度が向上する。
【0011】
第2の突条および第3の突条の水平方向の長さは第1の突条の水平方向の長さの略半分、言い換えれば第1の突条の水平方向の長さは第2の突条および第3の突条の水平方向の長さの略2倍とすることができる。複数の道路用ブロックユニットを千鳥状に連結して設置する際、第1の突条は隣接する2つの道路用ブロックユニットのそれぞれの溝にまたがるように嵌合するが、このとき第1の突条の水平方向の長さが第2の突条および第3の突条の水平方向の長さの略2倍であれば、各道路用ブロックユニットにおいて各突条と溝との嵌合のバランスが良くなり、隣接する道路用ブロックユニットの連結状態が安定する。
【0012】
本発明の道路用ブロックユニットにおいて、カバーの4つの側壁部のうち溝が設けられている2つの側壁部の厚みは残りの2つの側壁部の厚みより大きくすることが好ましい。溝を設けることによる側壁部の強度低下を補うことができる。
【0013】
また、本発明の一観点によれば次の道路用ブロックカバーが提供される。
「平面視が正方形または長方形状の箱状の形状を有する道路用ブロックカバーであって、
その4つの側壁部に形成された4つの外面と、
前記4つの外面のうち2つの外面のそれぞれに水平方向に延びる複数の突条と、
前記4つの外面のうち残りの2つの外面のそれぞれに水平方向全長にわたって連続するように設けられた溝とを有し、
前記複数の突条の鉛直方向の高さ位置は前記溝の鉛直方向の高さ位置と略同一であり、
前記複数の突条の鉛直方向の厚みは前記溝の鉛直方向の幅より小さく、
前記複数の突条の外面からの突出長さは前記溝の深さより大きく、
隣接する道路用ブロックカバーを連結したときに、対向する前記突条と前記溝とが嵌合することにより、対向する外面同士の間に目地部が形成される、道路用ブロックカバー。」
この道路用ブロックカバー内にコンクリート製のブロックを接合することで、前述した本発明の道路用ブロックユニットが得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、道路用ブロックユニットの設置の施工性が向上し、良好な設置状態を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態である道路用ブロックユニット(誘導ブロック)を示し、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は正面図、(e)は(a)のA-A線断面図である。
図2】本発明の他の実施形態である道路用ブロックユニット(警告ブロック)を示す平面図である。
図3図1の誘導ブロックの設置例を示す平面図である。
図4図2の警告ブロックの設置例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に、本発明の一実施形態である道路用ブロックユニットを示しており、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)は正面図、(e)は(a)のA-A線断面図である。
【0017】
図1に示している道路用ブロックユニットは、歩道や駅のホームなどに設置される視覚障碍者誘導用ブロック(点字ブロック)のうち、進行方向(歩行方向)を案内するための誘導ブロックである。この誘導ブロック10Aは、平面視が正方形状の樹脂製のカバー20と、このカバー20内に接合されるコンクリート製のブロック30とを備える。なお、以下の説明における「上下」は、誘導ブロック10Aを路面に設置した状態での上下を意味する。
【0018】
カバー20は、ブロック30の上面を覆う薄板状の本体部21と、ブロック30の側面を覆う4つの側壁部22a~dとを含み、全体として箱状の形状を有する。本体部21の上面には、視覚障碍者が杖や足裏などを介して進行方向を認識できるように、複数の線状突起23aが並列して設けられている。すなわち、誘導ブロック10Aは線状突起23aの伸びる方向に方向性を有する。一方、本体部21の下面には、複数の凸部(ピン)24が点在して設けられている。これら複数の凸部24のそれぞれは、カバー20内にコンクリートを充填することでブロック30に包まれる。これにより、ブロック30がカバー20内に強固に接合されている。なお、凸部24を設けずに、単にカバー20内にブロック30を接合することもできる。
【0019】
カバー20の4つの側壁部22a~dのうち隣接する2つの側壁部22a,22bの外面のそれぞれに、水平方向に延びる突条として第1~3の突条25a~cが設けられている。具体的には、側壁部22a,22bの水平方向略中央部に第1の突条25a、水平方向一端部に第2の突条25b、水平方向他端部に第3の突条25cが設けられている。これらの突条25a~cの鉛直方向(上下方向)の高さ位置(高さレベル)は略同一であり、本実施形態では側壁部22a,22bの鉛直方向略中央である。また、第2の突条25bおよび第3の突条25cの水平方向の長さは略同一であり、第1の突条25aの水平方向の長さの略半分である。さらに、第1の突条25aと第2の突条25bとの間の間隔L1および第1の突条25aと第3の突条25cとの間の間隔L1は略同一であり、これらの間隔L1,L1は第1の突条25aの水平方向の長さL2より大きい。
【0020】
カバー20の4つの側壁部22a~dのうち残りの側壁部22c,22dの外面のそれぞれに、水平方向全長にわたって連続する溝26が設けられている。この溝26は、誘導ブロック10Aを複数連結して設置する際に隣接する誘導ブロック10Aの突条25a~cと嵌合可能である。すなわち、溝26の鉛直方向の高さ位置は突条25a~cの鉛直方向の高さ位置と略同一であり、溝26の鉛直方向の幅は突条25a~cの鉛直方向の厚みより大きい。一例として、溝26の鉛直方向の幅は5mm、突条25a~cの鉛直方向の厚みは4mmである。また、本実施形態では、溝26の下面の鉛直方向の高さ位置が突条25a~cの下面の鉛直方向の高さ位置が同一となるように設計している。したがって、本実施形態では溝26の鉛直方向中央の高さ位置と突条25a~cの鉛直方向中央の高さ位置とは完全同一ではないが、溝26と突条25a~cとは誘導ブロック10Aを複数連結して設置する際に嵌合可能である。すなわち、突条の鉛直方向の高さ位置と溝の鉛直方向の高さ位置とが「略同一」とは、誘導ブロック(道路用ブロックユニット)を複数連結して設置する際に嵌合可能であれば実質的に同一であるという意味である。そのほかで使用している「略同一」、「略中央」、「略半分」といった用語も、意図する作用効果を奏することができれば実質的に同一、中央、半分であるという意味である。なお、「略」には当然、誤差レベルでのばらつきの範囲も含む。
【0021】
突条25a~cと溝26との形状の関係について説明を続けると、突条25a~cの側壁部22a~dからの突出長さは略同一であり、この突出長さは溝26の深さより大きい。したがって、隣接する誘導ブロック10A,10Aの突条25a~cと溝26とを嵌合させると、隣接する誘導ブロック10A,10A間には、突条25a~cの突出長さと溝26の深さとの差に相当する幅を有する隙間(目地部)が必然的に生じる。一例として、突条25a~cの突出長さを6mm、溝26の深さを3mmとした場合、隣接する誘導ブロック10A,10A間には幅3mmの目地部が生じる。このように突条25a~cの突出長さを溝26の深さより大きくすることで、隣接する誘導ブロック10A,10Aの突条25a~cと溝26とを嵌合させるだけで、隣接する誘導ブロック10A,10A間に一定幅(所定幅)の目地部を容易に確保することができる。
【0022】
溝26が設けられている2つの側壁部22c,22dの厚み(t2)は、突条25a~cが設けられている2つの側壁部22a,22bの厚み(t1)より大きい。これにより、溝26を設けることによる側壁部22c,22dの強度低下を補うことができる。一例として、側壁部22a,22bの厚み(t1)は3mm、側壁部22c,22dの厚み(t2)は4.5mmである。
【0023】
図2に、本発明の他の実施形態である道路用ブロックユニットを平面視により示している。同図に示している道路用ブロックユニットは、視覚障碍者誘導用ブロック(点字ブロック)のうち、危険箇所や誘導対象施設などの位置を示すための警告ブロックである。この警告ブロック10Bの構成は、本体部21の上面に、線状突起23a(図1参照)に替えて点状突起23bが設けられている点を除いて図1の誘導ブロック10Aの構成と同一である。なお、警告ブロック10Bにおいて点状突起23bの配置には方向性はないので、警告ブロック10B自体にも方向性はない。
【0024】
これらの誘導ブロック10Aおよび警告ブロック10Bのカバー20を構成する樹脂材料の具体例としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン共重合合成樹脂)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマーなどが挙げられる。また、ブロック30を構成するコンクリート材料の具体例としては、セメントコンクリート、レジンコンクリート、樹脂コンクリートなどが挙げられる。レジンコンクリートには、ゴム製骨材などの弾性骨材を使用してもよい。なお、カバー20の凸部24は、射出成形などにより一次成形後、コテなどにより凸部24の形状を調整(二次成形)することにより得ることができる。そして、このカバー20内(本体部21および4つの側壁部22a~dにより形成される空間)に未硬化のコンクリート材料を充填し、これを硬化させることにより誘導ブロック10Aや警告ブロック10Bを製造できる。
【0025】
図3に、誘導ブロック10Aの設置例を示している。誘導ブロック10Aは前述のとおり線状突起23aの伸びる方向に方向性を有するが、4つの側壁部22a~dのうち隣接する2つの側壁部22a,22bに突条25a~cを有し、残りの2つの側壁部22c,22dに溝26を有する構成としているため、図3に示すように、一種類の誘導ブロック10Aのみによって、その方向性に沿って一列に複数連結して設置することが可能であり、途中で警告ブロック10Bを介してその方向性を90度転換することもできる。また、隣接する誘導ブロック10A,10Aまたは警告ブロック10Bの連結においては、一方の突条25a~cと他方の溝26とを嵌合させるだけで容易に連結することができる。しかも、突条25a~cの突出長さは溝26の深さより大きいので、隣接する道路用ブロックユニット10A,10Aまたは警告ブロック10Bを連結すると、その間に突条25a~cの突出長さと溝26の深さとの差に相当する幅Wを有する隙間(目地部40)が必然的に生じる。すなわち、突条25a~cの突出長さと溝26の深さとの差を調整することで、所定幅(一定幅)の目地部を容易に確保することができる。
【0026】
また、水平方向に延びる突条25a~cが溝26と嵌合することで、隣接する誘導ブロック10A,10Aまたは警告ブロック10Bの連結状態を安定して維持することができる。さらに誘導ブロック10Aは、複数の突条として、水平方向略中央部に第1の突条25a、水平方向一端部に第2の突条25bおよび水平方向他端部に第3の突条25cを有しているから、これらの突条25a~cが溝26と嵌合することで、隣接する誘導ブロック10A,10Aまたは警告ブロック10Bの連結状態をさらに安定して維持することができる。すなわち、各突条25a~cがそれぞれ溝26に嵌合することで、隣接する誘導ブロック10A,10Aまたは警告ブロック10Bに上下方向や斜め方向の外力が作用したとしても、隣接する誘導ブロック10A,10Aまたは警告ブロック10Bの連結状態を安定して維持することができる。しかも、突条25a~cの鉛直方向の高さ位置は4つの側壁部22a~dの鉛直方向略中央であることから、突条25a~cと溝26との嵌合状態(隣接する誘導ブロック10A,10Aまたは警告ブロック10Bの連結状態)はさらに安定する。
【0027】
隣接する誘導ブロック10A,10Aまたは警告ブロック10Bを連結して生じた目地部40には、モルタルや目地砂などの目地材を注入して充填する。ここで、図1で説明したとおり第1の突条25aと第2の突条25bとの間の間隔L1および第1の突条25aと第3の突条25cとの間の間隔L1は、第1の突条25aの水平方向の長さL2より大きい。これらの間隔L1,L1部分は隣接する誘導ブロック10A,10Aまたは警告ブロック10B間の目地部40に目地材を充填するときの充填口となるが、突条25a~cの水平方向の長さが大きい、すなわち間隔L1,L1が小さい場合、目地材の量が少なく、また、突条25a~cの下方に目地材が充填されにくくなり、目地材を充填した後の目地部強度が低下し、隣接する誘導ブロック10A,10Aまたは警告ブロック10Bの連結状態が不安定となる恐れがある。しかしながら、間隔L1,L1部分の水平方向の長さが第1の突条25aの水平方向の長さ(L2)より大きいことで目地材の充填作業が容易になるとともに、目地材が目地部40全体に行きわたるので目地材を充填した後の目地部強度が向上する。
【0028】
図4には、警告ブロック10Bの設置例を示している。この設置例では、警告ブロック10Bを千鳥状に連結して設置している。このように警告ブロック10Bを千鳥状に連結すると、一の警告ブロック10Bの第1の突条25aは、隣接する2つの警告ブロック10B,10Bのそれぞれの溝26にまたがるように嵌合する。このとき第1の突条25aの水平方向の長さは第2の突条25bおよび第3の突条25cの水平方向の長さの略2倍であるから、各警告ブロック10Bにおいて各突条25a~cと溝26との嵌合のバランスが良くなり、隣接する警告ブロック10B,10Bの連結状態が安定する。
【0029】
また、溝26は水平方向全長にわたって連続しているので、この溝26に沿って突条25a~cを水平方向に連続的にスライドさせることができる。これにより、図4のように警告ブロック10Bを千鳥状に連結するときなどに、隣接する警告ブロック10B,10Bの水平方向の位置を容易に調整できる。
【0030】
以上、誘導ブロック10Aおよび警告ブロック10Bの設置例を図3および図4に示したが、当然、これらの設置例には限定されない。例えば、誘導ブロック10Aを図4のように千鳥状に連結して設置することもできるし、誘導ブロック10Aおよび警告ブロック10Bを組み合わせて設置することもできる。
【0031】
また、誘導ブロック10Aおよび警告ブロック10Bの平面視形状は正方形であるが、長方形状としても同様の作用効果を奏することができる。さらに、本発明の道路用ブロックユニットは、点字ブロック(誘導ブロックまたは警告ブロック)だけでなく、歩道に設置される化粧ブロックなどにも適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
10A 誘導ブロック(道路用ブロックユニット)
20 カバー(道路用ブロックカバー)
21 本体部
22a~d 側壁部
23a 線状突起
23b 点状突起
24 凸部
25a~c 第1~3の突条(突条)
26 溝
30 ブロック
40 目地部
図1
図2
図3
図4