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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】複合リン酸塩コーティング
(51)【国際特許分類】
   C23C 22/78 20060101AFI20220222BHJP
   C23C 22/08 20060101ALI20220222BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20220222BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
C23C22/78
C23C22/08
B05D7/24 303B
B05D1/36 Z
B05D7/24 303A
B05D7/24 301A
B05D7/24 301B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018519863
(86)(22)【出願日】2016-11-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2016056682
(87)【国際公開番号】W WO2017077514
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-11-07
(31)【優先権主張番号】62/251,147
(32)【優先日】2015-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518129031
【氏名又は名称】フォスファン エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】シェインクマン,アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール,イツァク
【審査官】瀧口 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-140371(JP,A)
【文献】特開昭61-269929(JP,A)
【文献】特開昭62-182286(JP,A)
【文献】特開平10-245685(JP,A)
【文献】特開2007-297709(JP,A)
【文献】米国特許第05389453(US,A)
【文献】特開平08-302477(JP,A)
【文献】特開2010-106334(JP,A)
【文献】国際公開第2009/057054(WO,A2)
【文献】国際公開第2015/098653(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C22/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合リン酸塩化成クリスタルコーティングを提供するための方法であって、該方法は、
金属酸化物の粉末を少なくとも1つのさらなる粉末材料と混合するステップであって、前記少なくとも1つのさらなる粉末材料は、リン酸塩化成クリスタルコーティングにさらなる特性を提供する、ステップと;
エアロゾル生成技術を用いて基材上に粉末を堆積させることにより前記基材を前処理するステップであって、前記粉末は、前記基材上に前記金属酸化物の粉末と前記少なくとも1つのさらなる粉末材料との混合物の粒子を含む、ステップと;
リン酸塩コーティング溶液を用いて前記基材を処理するステップであって、複合リン酸塩化成クリスタルコーティングが前記少なくとも1つのさらなる粉末材料の固定された粒子を含む前記基材上に形成されるという結果をもたらす、ステップと;
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記金属酸化物の粉末は、CaO、ZnO、MnO、NiO、FeOおよびそれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属酸化物と、前記少なくとも1つのさらなる粉末材料との前記混合物は、0.5から100g/mの量で基材に堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属酸化物の粉末の粒子の最大の寸法は2μm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのさらなる粉末材料の粒子の最大の寸法は10μm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リン酸塩コーティング溶液は、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カルシウム、およびそれらの混合物を含む群から選択されるリン酸塩を含み:ここで、前記リン酸塩コーティング溶液は、アルカリ、硝酸、硝酸塩を含む群から選択されるいかなる成分も含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記リン酸塩コーティング溶液は、湿潤性を増大させるための界面活性剤をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記界面活性剤は最大3質量%の値を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
リン酸亜鉛を含む前記リン酸塩コーティング溶液は、前記リン酸塩コーティング溶液が35℃以下の温度であるとき、前記金属酸化物の粉末と化学的に反応する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
リン酸マンガンを含む前記リン酸塩コーティング溶液は、前記リン酸塩コーティング溶液が70℃以下の温度であるとき、前記金属酸化物の粉末と化学的に反応する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記リン酸塩コーティング溶液は、2.2から2.7のpH範囲を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記リン酸塩コーティング溶液は、1.03から1.08kg/lの間のリン酸塩密度を有する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合リン酸塩コーティングを提供する方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
リン酸処理は、耐食性と、塗料およびコーティングの付着性とを増加させるべく、主に、塗料、有機コーティングおよび無機コーティングのためのベースとして、鉄、鋼、亜鉛メッキ鋼、アルミニウム、銅、およびマグネシウム、ならびにその合金のような基材を処理するために、金属工業において使用される。代替的にまたは付加的に、乾燥した潤滑剤でコーティングする場合において、リン酸処理は、耐摩耗性、焼付き防止性、低摩擦性等を付与するために使用される。鋼の冷間成形は、潤滑剤膜としてリン酸処理をすることなく経済的には実現可能ではなかった。他の用途は、未塗装の金属および電気抵抗に対して、一時的な耐食性を提供することは含む。
【発明の概要】
【0003】
革新的な複合コーティングは、通常のリン酸塩コーティングと比較して、上記特性を大幅に向上させるだけでなく、非常にユニークな特性を備えた様々な複合リン酸塩コーティングの設計も可能にする。通常のリン酸塩コーティングは、これらのユニークな特性を提供することができない。
【0004】
新世代のリン酸塩コーティング、すなわち複合リン酸塩コーティングが本明細書において開示される。複合リン酸塩コーティングとともに、リン酸塩化合物は、マトリックス内に固定される様々な粉末材料の添加された粒子を有するマトリックスとして提示される。そのようなコーティングは、公知な非複合コーティングの通常の特性に、さらなる機能特性を提供する。さらなる機能特性の性質は、添加された粉末材料のタイプおよび粒子材料の特性に依存する。
【0005】
結果として生じるコーティングのリン酸塩複合コーティングおよび改良された機能性を形成するための革新的な方法は、典型的な亜鉛-亜鉛リン酸塩複合コーティング(代替的に、複合亜鉛-亜鉛リン酸塩クリスタルコーティングと呼ぶ)の以下の議論において。典型的に例示される。
【0006】
本発明によれば、複合リン酸塩化成クリスタルコーティングを提供するための方法が提供され、その方法は:粉末材料を金属酸化物の微粒子と混合するステップであって、それによって少なくとも1つのさらなる粉末材料の粒子を含む複合金属酸化物の粉末を提供し、その少なくとも1つのさらなる粉末材料は、リン酸塩化成クリスタルコーティングへさらなる機能を提供する、ステップと;基材上に複合金属酸化物の粉末の粒子を堆積させることにより、基材を前処理するステップと;リン酸塩コーティング溶液を用いて基材を処理するステップであって、少なくとも1つのさらなる粉末材料の固定された粒子を含む基材上に形成する複合リン酸塩化成クリスタルコーティングを結果としてもたらす、ステップと;を含む。
【0007】
以下に記載された本発明の好ましい実施形態におけるさらなる特徴によれば、金属酸化物の微粒子は、CaO、ZnO、MnO、NiO、FeOおよびそれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0008】
記載される好ましい実施形態におけるまたさらなる特徴によれば、金属酸化物と、少なくとも1つのさらなる粉末材料との混合物は、0.5から100g/mの量で基材に堆積される。
【0009】
さらなる特徴によれば、金属酸化物の微粒子の最大の寸法は2μm未満である。
【0010】
さらなる特徴によれば、少なくとも1つのさらなる粉末材料の粒子の最大の寸法は10μm未満である。
【0011】
さらなる特徴によれば、リン酸塩コーティング溶液は、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カルシウム、およびそれらの混合物を含む群から選択されるリン酸塩を含み、ここで、そのリン酸塩コーティング溶液は、従来のリン酸塩コーティングプロセスにおいて使用されるいかなる付加的で一般的な成分も含まず、その一般的な成分は、アルカリ、硝酸、硝酸塩、リン酸塩のコーティングクリスタル精製材料を含む群から選択される。
【0012】
添加された粉末材料粒子がリン酸塩コーティング溶液によって湿らせられない(no wetted)場合、適切な界面活性剤を最大3重量%の値で添加する。適切なタイプの界面活性剤、およびリン酸塩コーティング溶液でのその濃縮は、さらなる粉末材料の各種類のために試験的に求めなければならない。さらなる特徴によれば、リン酸塩コーティング溶液は、湿潤性を増大させるための界面活性剤をさらに含む。さらなる特徴によれば、界面活性剤は最大3質量%の値を有する。
【0013】
さらなる特徴によれば、リン酸亜鉛を含むリン酸塩コーティング溶液は、最大35℃の温度で金属酸化物の微粒子と反応する。
【0014】
さらなる特徴によれば、リン酸マンガンを含むリン酸塩コーティング溶液は、最大70℃の温度で金属酸化物の微粒子と反応する。さらなる特徴によれば、リン酸塩コーティング溶液は、2.2から2.7のpH範囲を有する。さらなる特徴によれば、リン酸塩コーティング溶液は、1.03から1.08kg/lのリン酸塩密度を有する。
【0015】
<定義と命名>
本明細書で使用される用語は、典型的な実施形態のみを記載する目的のためであって、何らかの様式で、かつ特に均等論に関して制限するようには意図されない。
【0016】
特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての用語(専門用語および科学用語を含む)は、この発明の概念に属する通常の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる辞書に定義されるような用語は、関連する技術分野の文脈における意味に一致する意味を有するとして解釈されるべきであり、本明細書に明確に定義されない限り、理想化された観念、または過度に形式にとらわれた観念では解釈されないであろうことが、さらに理解されるだろう。
【0017】
以下の用語、フレーズおよび名称は明確さのために定義される。別途定義されていない限り、本明細書に使用される全ての技術的な用語は、本主題に属する当業者により一般に理解されるような同じ意味を持つ。
【0018】
明細書において使用されるように、用語「リン酸処理」およびその変化形体は、耐食性と付着性の両方を増強する非常に薄い結晶質フィルムを提供する鉄部分またはアルミニウム部分上で使用される表面前処理を指す。
【0019】
明細書において使用されるように、用語「リン酸塩コーティング溶液」は、リン酸とリン酸塩の溶液を指す。
【0020】
明細書において使用されるように、用語「リン酸塩コーティング」はリン酸塩コーティング溶液から形成されたコーティングを指す。リン酸塩コーティングの名称はリン酸塩コーティング溶液において使用される金属による。例えば、リン酸亜鉛コーティングはリン酸亜鉛コーティング溶液から形成される。
【0021】
明細書において使用されるように、用語「複合材料(composite material)」(「複合材料(composition material)」とも呼ばれ、また一般的に使用される名称「複合物(composite)」へと短縮されることもある)は、結合したとき、個々の成分とは異なる特性を有する材料を生成する、顕著に異なる物理的または化学的性質を有する2以上の構成材料から作られた材料を指す。
【0022】
明細書において使用されるように、用語「複合コーティング」は、複合材料から作られたコーティングを指す。
【0023】
明細書において使用されるように、用語「リン酸塩複合コーティング」は、リン酸塩から形成されたコーティング材料を指し、それらはマトリックスとして使用され、1つ以上の他の材料の粒子が添加される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
様々な実施形態が添付の図面を参照してほんの一例として本明細書に記載されている。
図1】複合リン酸亜鉛クリスタルコーティングを形成し、適用するための典型的なプロセスのフロー図である。
図2】革新的なプロセスの第2の典型的な実施形態のフロー図である。
図3】炭素鋼板の表面上の複合リン酸塩クリスタルコーティングのSEM画像である。
図4】NSSチャンバーにおける、8時間後の、亜鉛-リン酸亜鉛複合コーティングを有する、2つのサンプル板の画像である。
図5】革新的な複合リン酸塩コーティングを用いてコーティングされた炭素鋼板から、付着部材を剥がした後の試験サンプルの画像である。
図6】複合MoS-亜鉛-リン酸亜鉛コーティングのSEM画像である。
図7】複合コーティングの表面のSEM画像である。
図8】着色されたリン酸亜鉛コーティングを用いてコーティングされた、低合金鋼の打ち抜かれた部品の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の記述は、主としてリン酸亜鉛および複合亜鉛-リン酸亜鉛クリスタルコーティングに関する。前述の化合物とコーティング、および本明細書において詳述される他の化合物およびコーティングは、単に典型であって、いかなる方法で制限されるようには意図されないことが明確となる。そのため、本発明の原理は、以下の記述の観点から当業者によって利用されてもよいように、全ての関連する化合物および組成物を含む。
【0026】
亜鉛および他の公知の結晶質のリン酸塩化成コーティングは、多数の異なるリン酸塩化合物を含むこともある。リン酸塩コーティングの組成物は、例えば、適用(例えばスプレーまたはディップ)の方法、槽の撹拌の程度、槽化学、槽温度、加速器のタイプおよび量、および槽溶液内の他の金属イオンの存在などの多数の要因により影響を与えられる。リン酸塩コーティングの結晶は、リン酸塩コーティング溶液において使用されるリン酸塩の主な金属を含むが、場合によっては、1つ以上の追加の要素をさらに含んでもよい。
【0027】
一般的に、亜鉛コーティングは犠牲コーティングとして鉄と鉄合金を防食するために使用される。ここで、亜鉛およびリン酸亜鉛のマトリックスを含む典型的な複合コーティングが示される。リン酸亜鉛マトリックスと、溶液内に含まれている亜鉛粒子の犠牲防食性との組み合わせによって、規則的なリン酸亜鉛化成クリスタルコーティングよりも良い防食性がもたらされる。同じ原理は、リン酸マンガン、鉄リン酸塩、リン酸カルシウム、および全ての他のタイプのリン酸塩コーティングで利用することができる。
【0028】
複合コーティングはさらに、追加のコーティング、上塗、および塗料のためのベースとして使用されてもよい。
【0029】
革新的なコーティングを形成するための基本手順は以下の通りである:
1.金属部分を、金属基材の表面に付着する、および付着させられる亜鉛の粉末粒子で前処理する。
2.亜鉛粉末を有する部分を前処理した後に、その部分をリン酸亜鉛コーティング溶液で処理する。
3.金属部分の表面に堆積した亜鉛粉末粒子中の金属元素を溶液と反応させ、リン酸亜鉛コーティングを、同様に基材および亜鉛粒子上で形成し、完全なリン酸亜鉛のクリスタル化成コーティングの生成を結果として生じさせる。
【0030】
その表面で形成するリン酸塩層はさらに、基材表面上に亜鉛粉末粒子を保持し、それにより恒久的なリン酸亜鉛コーティング層内に金属亜鉛粒子を含む複合コーティングを形成する(すなわち、そのコーティングは、リン酸亜鉛コーティングと基材との間の亜鉛粉末粒子のさらなるバッファーを含む)。
【0031】
リン酸処理操作を始める前に、議論に対する主な問題は、処理された部分の表面上の亜鉛粉末粒子の堆積である。好ましい実施形態では、亜鉛粉末の粒子径は0.5μmから20μmまでである。より好ましい実施形態では、粉末粒子は防食のための最適な粒子径であり、それは4から7pmの範囲内である。粒子は20μm以上か、一般的に、基材表面に適切に付着するためには非常に大きいおよび/または重く、したがって、堆積した粉末粒子は基材には十分に付着しない。0.5μm未満の粒子は、ほとんど完全にリン酸塩溶液と反応し、その結果として、十分な亜鉛が上記した望ましい防食のための基材に残されていないため、犠牲防食の効果は小さい。
【0032】
(好ましいサイズの)亜鉛粉末粒子の付着性を向上させるための典型的な1つの技術は、超微細な異なる粉末材料を用いる亜鉛粉末粒子をコーティングすることによる。亜鉛粉末粒子の表面上に好ましい超微細な粉末材料を予め堆積させることによって、亜鉛の粉末粒子(好ましくは4から7μmのサイズ)の大部分はここで、その上に堆積した超微細粒子を有し、これらの超微細粒子が、亜鉛の粉末粒子の金属基材に対する付着性を増加させる。
【0033】
1つの好ましい実施形態では、超微細な材料は酸化亜鉛(ZnO)である。特に酸化亜鉛(ZnO)粉末粒子が1μm未満の大きさを有するとき、酸化亜鉛(ZnO)は前述の目的のための最適な材料であると分かった。より好ましい実施形態では、ZnOの粒子径はおよそ0.20から0.25μmの範囲内である。この大きさは、技術的な観点および経済的な観点の両方から最適であることが分かった。他の実施形態において、超微細粒子の大きさは、およそ0.10μmまたは0.05μmであり、両方とも実現可能な大きさである。さらに別の実施形態において、粒子の大きさはさらに小さい。
【0034】
超微細な酸化亜鉛粒子の状態の亜鉛粒子をコーティングする1つの典型的な利点は、ZnOが、同じリン酸亜鉛クリスタルを作成するためにリン酸塩コーティング溶液とも反応する材料であるということである。他の典型的な利点は、リン酸塩溶液と反応するZnO材料を使用することによって、金属亜鉛の粉末粒子の望まれない反応が最小化され、それによって、最終的で革新的な複合コーティング内に残存する金属亜鉛の量が増加することである。さらに、ZnOは、リン酸亜鉛溶液に「異質な」材料のイオンを加えない。異なる材料が亜鉛粒子をコーティングするために使用されるその他の場合において、異質な材料(すなわちZnO以外の材料)のイオンは溶液内に蓄積し、リン酸塩溶液の効果に影響を与える。経時的に、その溶液は使用できなくなり、捨てなければならず、新しいバッチの溶液が準備される。上記のように、ZnOはリン酸亜鉛コーティング溶液中に不安定性をもたらすことはない。
【0035】
本発明によるリン酸塩コーティングの方法およびシステムの原理および操作は、図面および付随する記載に関連してより一層理解され得る。
【0036】
図1は、複合リン酸亜鉛クリスタルコーティングを形成し、適用する典型的なプロセスのフロー図を例示する。フロー図はブロック100から始まる。
【0037】
ブロック110-金属部分上にZn粉末を堆積させる前に、Zn金属粉体を、超微細なZnO粉末と、1:2から1:10の範囲のZnO:Znの質量比で完全に混合する。
【0038】
次のステップ、すなわちブロック120において、前処理されたZn粉末を、金属部分の表面上に堆積させる。好ましい実施形態において、エアロゾル生成技術は金属部分上の粉末を分散させるために利用される。好ましいが典型的な実施形態において、利用されるエアロゾル生成技術は流動層である。
【0039】
もちろん、金属部分は、Zn粉末を堆積させる前に、さび、油、および他の不純物を落とさなければならない。このステップはブロック115内に示され、破線により随意なステップとして示される。金属部分を予めきれいにする必要がない場合、そのステップは随意である。例えば、新しく製造された部分は、油、さび、および大部分の他の不純物はおそらく除去されている。
【0040】
ブロック130内に示されるように、Zn粉末の堆積後に、その部分は革新的な複合亜鉛-リン酸亜鉛クリスタルコーティングを形成するために、リン酸亜鉛溶液を用いて(例えば浸漬またはスプレーによって)処理される。
【0041】
本発明の革新的な方法および製品のいくつかの典型的な利点としては、リン酸亜鉛コーティング溶液の化学組成のための特別な要件は存在しないという事実がある。さらに、リン酸亜鉛コーティングのプロセスのための特別な要件はない。
【0042】
亜鉛-リン酸亜鉛コーティングのための上記される方法は、同様に単純な亜鉛およびマンガンリン酸塩のコーティングに適用することができるが、限定されないが、Zn-Ca、Zn-Ni、Zn-Mn等、およびより複雑な化合物などの、より複雑な組成物を形成するためにも適用されうる。
【0043】
上記の典型的なリン酸塩コーティング溶液、および類似のリン酸塩コーティング溶液から形成されたリン酸塩は、様々な複合コーティングを形成するためのマトリックスとして使用されることもある。そのため、処理された部分の表面は、その表面の上に堆積する亜鉛、マンガン、カルシウム、鉄、ニッケル等などの金属の様々な酸化物の粉末と、金属、合金、無機物、有機物、有機シリケート等などの様々な粉末材料とを含まなければならない。
【0044】
そのような複合コーティングのいくつかの例は、防食性を向上させるための亜鉛添加剤と、低摩擦性のための二硫化モリブデンと、コーティングを着色するための様々な顔料とを含むこともあるコーティングを含む。亜鉛の他に、ケイ素(Si)マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)等などの金属粉体を添加することによって、コーティングの防食性が高まる。
【0045】
同様に、添加剤は向上する防食性だけでな、くコーティング基材に対する粉体塗料および液体塗料の付着性も向上させるように含まれうる。添加剤は、金属インサートのコーティングに対する、成型されたゴムまたはプラスチックの付着性を向上させることができる。
【0046】
調整された添加剤を使用して最適化するための他の選択肢は、限定されないが、電磁気コーティングパラメーター、熱伝導率、表面張力、表面の赤外線放射を最適化すること、伝導率を増加または減少させること、ナノ粒子、サブナノ粒子(sub-nano-particles)を導入すること、等を含む。
【0047】
コーティングの有効性は、そのコーティングが、場合によっては、100g/m以上もの厚みを増加させるような有効性である。問題は、この種の多成分のコーティングが、操作を成功させるためには十分な強さが必要であるということである。
【0048】
本発明の組成物を用いるコーティングプロセスが、全ての種類の添加剤材料で成功させることはできないが、コーティング液によって酸洗いされる(pickled)金属、およびそれらの化合物を用いてのみ成功する場合がある。例えば、非金属および有機材料のほとんどはリン酸塩溶液によっては酸洗いされず、その結果、リン酸塩コーティングはこれら(非金属、および有機物)の表面上には形成されない。
【0049】
一方、酸洗いされない添加剤粒子は、酸洗される添加剤粒子と融合(amalgamate)/融着(fuse)する、もしくはそれらに付着するか、または第1の堆積された材料、亜鉛、マンガン、カルシウム、鉄などの金属の異なる酸化物と融合/融着することもあり、これらはリン酸塩コーティングを形成するために使用される。酸洗いされない添加剤粒子が、酸洗いされる粒子材料から形成されたリン酸塩と共に混合する場合において、結果として生じる複合リン酸塩コーティングは、頑丈な構造を有する。したがって、好ましい実施形態において、酸洗いされない添加剤粒子は、頑丈な構造を有する複合リン酸塩コーティングを形成するために、酸洗いされる添加剤粒子および/または第1の堆積された材料と混合する/結合する/縮合する。
【0050】
均等で連続的なコーティング構造を形成するための他の要件は、堆積された材料の表面とのリン酸塩コーティング液の高度な湿潤性である。その湿潤が理想的なとき、リン酸塩コーティングクリスタルが、堆積した添加剤粒子の全表面上、および基材上に形成されるように、液体溶液と堆積された材料の表面との間に、高度な相互作用が存在する。
【0051】
通常、金属および酸化物の(すなわち堆積された材料の)表面は、リン酸塩コーティング液を用いて湿らせられる。大部分の有機材料、またはシリカ有機材料は、そのような溶液に対して低い湿潤性を有する。
【0052】
リン酸塩コーティング溶液に対して低い湿潤性を有する複合コーティング添加剤材料を使用するとき、他の種類の添加剤および/または適切な界面活性剤(表面活性剤)を用いて溶液を適応させることが必要である。界面活性剤を用いて添加剤粒子を処理することも可能である。場合によっては、両方の方法を使用することが必要である。そのため、好ましい実施形態において、リン酸塩コーティング溶液と添加剤材料粒子の表面との間の面接触を増加させるために、リン酸塩コーティング溶液が添加剤および/または界面活性剤を用いて改良されるか、その基材が処理されるか、またはその両方である。他の好ましい実施形態において、添加剤材料の粒子は界面活性剤を用いて処理される。さらに他の実施形態において、溶液および粒子の両方は、コーティング溶液の液体に接触する添加剤粒子および/または基材上の表面積を増大させる界面活性剤および/または添加剤を用いて処理される。適切な界面活性剤は固体、液体、または気体であることもあり、その界面活性剤の選択は、好ましくは以下の法則に基づく:
1.その界面活性剤は、リン酸塩の液体特性に対する顕著な影響を持たない、すなわち、例えば、リン酸塩の液体の活性を低減させたり、最適なプロセス温度を増加させたりしない。
2.その界面活性剤は、均一性、多孔性、付着性等などの形成されたコーティング特性に対する顕著な影響を持たない。
【0053】
上記の議論によると、界面活性剤は、リン酸塩コーティング溶液または液体中に可溶な、固体または液体の材料である必要がある。界面活性剤の適切なタイプ、およびリン酸塩コーティング溶液中のその界面活性剤の濃度は、標的部分を前処理する各種類の粉末材料に対して実験的に見つけ出す必要がある。
【0054】
図2は、革新的なプロセスの第2の典型的な実施形態のフロー図である。そのプロセスはブロック200から始まる。
【0055】
ブロック210において、適切な粉末成分は、処理された部分を堆積コーティングするために、コーティングの望ましい特性に基づいて選択される。成分のリストには、わずか0.5μmの粒径の、微細で「機能的な」金属酸化物の粉末が含まれなければならない。少なくとも1つのさらなる材料は、前処理粉末を増強する。結果として生じる混合物または複合混合物は、標的部分のための前処理のために使用される。
【0056】
ブロック220において、粉末の「機能的な」成分の分散は、実験を通じて、各タイプの「機能的な」材料に対して個々に最適化されなければならない。標的基材上に混合物が堆積する前に、様々な粉末成分を完全に均質に混合しなければならない。
【0057】
随意なブロック230(破線により随意であると示された)において、リン酸塩コーティング液によって堆積する成分の湿潤性を向上させる必要がある場合、その後より適切な成分を代わりに用いなければならず、および/または界面活性剤の量は最適化するために実験を通じて変更しなければならない。
【0058】
ブロック240において、表面改質成分の調製された混合物は、リン酸塩コーティングの操作を始める前に、標的部分の表面上に堆積させられる。
【0059】
ブロック250において、本発明のリン酸塩コーティングの操作は、通常のリン酸塩コーティングの操作と同様である。
【0060】
コーティングにさらなる機能特性を提供するように、機能的な添加剤材料が選択される。潜在的な増強、または追加された機能特性の典型的、かつ非網羅的なリストは、以下のものを含む:通常のおよび/または蛍光の顔料(有機、および無機)でコーティングを着色すること;添加剤金属粒子および/または阻害剤を用いて向上した防食性;乾燥した潤滑剤の有機粒子もしくは無機粒子、またはそれらの組み合わせを添加することによる、(耐摩耗性のための)低摩擦性、および/または(例えば高強度ボルト等のための)制御された摩擦係数;導電性材料または絶縁材料を加えることにより、電気伝導率を増大または減少させること;熱伝導性材料または断熱材料を加えることにより、熱伝導率を増大または減少させること;電子放出の変化量;表面の電化:赤外線、高周波数などの様々な電磁波の吸収、放射、または反射。
【0061】
<装置および制御方法>
実験において、以下の装置を使用した:
1.流動層エアロゾル発生装置を使用した。発生装置の値は~0.3mであり、操作値は~0.25mである。エアロゾル濃度を変動させるために、改質材料の量を0.1から3kgまで変動させた。処理されたサンプルの表面を改質させるための最適な期間は3分であることが分かった。
2.堆積したエアロゾル粒子の濃度を、処理されるサンプルの重量を堆積前後で量ることにより測定した。0.001gの精度を有するRagway Company,Polandによる準分析的なスケールを、サンプルの重量を測定するために使用した。
3.溶液の密度を、0.01kg/lの精度を有する適切な比重計で測定した。
4.溶液の酸性度を、0.01の精度を有する、ガラス電極を用いるMilwaukee Instruments,Inc.,Rocky Mount,NC,USAのMilwaukee pH-meter P-600で測定した。
5.処理されたサンプル上のリン酸塩コーティングの厚さを、コーティングした後、およびコーティングをMIL-DTI-16232G仕様書に従って取り除いた後に、コーティングされたサンプルの重量を量ることにより測定した。
6.中性塩水噴霧キャビネットにおけるコーティングの耐食性試験を、ASTM B117-02の仕様書に従って実行した。
7.粉末コーティングの引張強さ試験を、タイプVポータブル付着力試験装置を使用して、ASTM D4541仕様書に従って実行した。標準的なドリー(dollies)20mm(0.78インチ)と、DFD(登録商標)INSTRUMENTSの20kN手動水圧引張付着性試験装置GM04/20kN(20kN manual hydraulic tensile adhesion tester GM04/20kN)とを使用した。
8.静摩擦係数を、Labthink International,Inc.のCOFP0I Inclined Surface Coefficient of Friction Testerで測定した。
【0062】
<使用した材料>
1.Rotem Ampert Negev Ltd.によって製造された食品等級のリン酸85%
2.Numinor Chemical Industries Ltd.により提供されたGold Sealの酸化亜鉛
3.Numinor Chemical Industries Ltd.により提供された亜鉛粉末、UltraPure(登録商標)、製品コード:NZD UP#6(登録商標)
4.Myko Engineering Ltd.により提供された有機および無機の顔料
5.Petrus Chemicals & Materials Ltd.により提供された二硫化モリブデン(MoS)粉末タイプT/F
界面活性剤として、Petrotech lndistries Ltd.により提供された、脱脂アルカリ液UNICLEAN PT-1000
【0063】
<典型的な適用>
実施例1-耐食性の向上
実験を60×60×3mmの炭素鋼板上で実行した。5枚のプレートの表面を酸化亜鉛粉末のみを用いて前処理し、5枚の他のプレートの表面を、以下の粉末の混合物で処理した:30%(質量)の酸化亜鉛、および70%の金属亜鉛粉末。両方の種類のサンプルを、10分間30℃で、同じリン酸亜鉛コーティング液中でコーティングした。
【0064】
サンプルの第1のバッチ上に形成されたリン酸亜鉛化成コーティング(酸化亜鉛の前処理)は、重量が14±2g/mであり、厚いリン酸亜鉛コーティングのためのM1L-DTL-16232G仕様書の要求事項を満たした。
【0065】
サンプルの第2のバッチ上に形成された複合亜鉛-リン酸亜鉛コーティングは、重量が13±2g/mであった。この複合コーティングの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で評価した。図3は、炭素鋼板の表面上の複合リン酸塩クリスタルコーティングのSEM画像である。その画像で、金属亜鉛粉末粒子が複合リン酸塩コーティングに固定されたことが理解できる。
【0066】
両方のタイプのサンプルを、中性塩水噴霧試験(NSST)キャビネット内で試験した。基材の腐食生成物を、チャンバー内で4時間後に(MIL-DTL-16232G仕様書では、最低2時間求められる)、通常のリン酸亜鉛コーティングを有するサンプル上で認識した。
【0067】
図4は、NSSチャンバー内の、8時間後の、亜鉛-リン酸亜鉛複合コーティングを有する2つのサンプル板の画像である。通常のリン酸亜鉛コーティングを有するサンプルがチャンバー内に置かれた時間の2倍の間NSSチャンバー内に置かれた後でさえ、腐食生成物はサンプル上で事実上目視可能ではない。
【0068】
したがって、亜鉛-リン酸亜鉛複合コーティングが、追加の金属亜鉛粒子を持たないリン酸亜鉛コーティングよりも、NSSTキャビネットにおけるより良い耐食性を提供することは明らかである。
【0069】
実施例2-引張強さ
リン酸亜鉛および亜鉛-リン酸亜鉛の複合コーティングを備える5つのサンプルそれぞれの2つの類似の群を、2層の粉末コーティングによりコーティングし:ここで、第1の層はエポキシであり、上部の層はポリエステルである。そのサンプルを、引張強さに関して試験した。図5は、革新的な複合リン酸塩コーティングを用いてコーティングされた炭素鋼板である試験サンプルから、付着部材を剥がした後の試験サンプルの画像である。付着力は、19.13MPaとして記録される。両方の群中の全てのサンプルに対する付着の値は、19から23MPaまで変動した。すべての試験において、塗料コーティング界面(paint coating interface)における不良は1つもなかった。試験の結論は、亜鉛-リン酸亜鉛複合コーティングは、リン酸亜鉛コーティングのように、同じような粉末塗料付着率を有するということである。
【0070】
実施例3-摩擦係数の減少
50mmの直径および6mmの厚さを有する炭素鋼ディスク上で、実験を実行した。5枚のディスクの表面を酸化亜鉛粉末のみを用いて前処理した一方、別の5枚のディスクの表面を、以下の粉末の混合物で処理した:45%(質量)の酸化亜鉛、35%の金属亜鉛粉末、および乾燥した潤滑剤としての、20%の二硫化モリブデン(MoS2)粉末。両方のサンプル群を、10分間30℃で、同じリン酸亜鉛コーティング液中でコーティングした。1%(質量)の界面活性剤を、リン酸塩コーティング液に添加した。サンプルの第1セット(酸化亜鉛のみ)上に形成されたリン酸亜鉛化成コーティングは、15±2g/mlの重量を有していた。サンプルの第2セット上に形成された複合MoS-亜鉛-リン酸亜鉛コーティングは、15±3g/mの重量を有していた。この複合コーティングの表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で評価した。図6は、複合MoS-亜鉛-リン酸亜鉛コーティングのSEM画像である。リン酸亜鉛コーティング上に固定されたMoS粉末粒子を見ることができる。
【0071】
両方の種類のコーティングされたサンプルを、静摩擦係数に関して試験した。リン酸亜鉛コーティングの静摩擦係数は0.42±0.05であり、複合コーティングの静摩擦係数は0.18±0.03であった。したがって、MoS乾燥潤滑剤粉末を添加することによって、リン酸亜鉛コーティングの静摩擦係数が顕著に低減したことが明白である。
【0072】
図7は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、再度調査されるような上述の試験後の、複合コーティングの表面のSEM画像である。リン酸亜鉛コーティング上に固定されたMoS粉末粒子が、サンプル表面上でスマッジング(smudged)したことを見ることができる。画像に示されるようなスマッジングは、層状結晶構造を処理するとき、このタイプの乾燥した潤滑剤での通常の現象である。
【0073】
実施例4-リン酸亜鉛着色コーティング
有機、無機のいずれか、またはその両方の着色顔料を、酸化亜鉛粉末と混合することもある。好ましい実施形態において、約3%から15%(質量)の範囲の顔料を、顔料のタイプに応じて添加する。その顔料は、前処理したものに、および/またはリン酸塩コーティング液へと添加されうる。
【0074】
図8は、着色されたリン酸亜鉛コーティングを用いてコーティングされた、低合金鋼の打ち抜かれた部品の画像である。図中、3セットの同一の鋼の部品があり、上から下の各セットは、舌片、湾曲片、およびバックル片を含む。オリジナルの画像において、左手のセットは青色であり、中央は赤い鉄の色(red-iron color)であり、右手のセットは緑色である。着色された部品は、リン酸亜鉛で着色されたコーティングを用いて処理した結果である。処理で使用された無機顔料は以下の通りである:
a)黒色酸化鉄Fe
b)赤色酸化鉄Fe
c)少量のポリスルフィドを含む青色ウルトラマリン複合鉱物;
d)緑色酸化クロム(III)Cr
【0075】
処理で使用された有機顔料(水に溶けない)は以下の通りである:
a)赤色のキナクリドン(Quinacrodone)、C2012
b)緑色フタロシアニン(塩素化フタロシアニンを含む銅の複合体):
c)青色フタロシアニン(フタロシアニンを含む銅の複合体)。
いずれの場合も、画像に最初に示されたように、着色されたリン酸亜鉛コーティングが形成された。
【0076】
本発明は限られた数の実施形態に関して記載されているが、多くの改良、修正、および本発明の他の適用がなされてもよいことが企図されよう。したがって、以下の特許請求の範囲に詳述されているような請求項に係る発明は、本明細書に記載の実施形態に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8