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特許7028484改良したカーテンウォール方立アンカーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】改良したカーテンウォール方立アンカーシステム
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
E04B2/96
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020536492
(86)(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-19
(86)【国際出願番号】 US2018049659
(87)【国際公開番号】W WO2019051023
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】15/823,063
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/554,820
(32)【優先日】2017-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520177002
【氏名又は名称】永発環境科技管理有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ティン レイモンド エム エル
【審査官】新井 夕起子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0284950(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/88 - 2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカー装置及び方立連結部を有し、
前記アンカー装置は、水平脚および前記水平脚の上面から延びる垂直耐荷重リップを含み、前記垂直耐荷重リップは、内部側表面を有し、
前記アンカー装置は、埋め込み部材を使用せずに、コンクリート床スラブの上に、前記アンカー装置を介して、前記コンクリート床スラブの孔の中に下に向かって延びるファスナーを使用して固定され、
前記垂直耐荷重リップは前記コンクリート床スラブの端部から内側に位置し、
前記方立連結部は、ウエブ部と、前記ウエブ部に垂直し、前記内部側表面に接する外部側表面を有する第1フランジとを有し、前記ウエブ部の底端および前記第1フランジの底端は前記水平脚の上面に接し、
前記方立連結部は、方立に固定され、前記方立は前記コンクリート床スラブの端部の外側に位置し、前記第1フランジと前記方立との間に一定の長さを有し、および、
前記ファスナーと前記方立との間の距離は前記コンクリート床スラブの流し込み前に予め確定されている、
方立アンカーシステム。
【請求項2】
前記方立連結部は、第2フランジをさらに有し、
前記第2フランジは、前記ウエブ部に垂直し、前記アンカー装置の外部側表面に接する内部側表面を有することを特徴とする、請求項1項に記載の方立アンカーシステム。
【請求項3】
前記第1フランジが前記ウエブ部と一体化構造とすることを特徴とする、請求項1項に記載の方立アンカーシステム。
【請求項4】
前記方立連結部は単一の一体化部材であることを特徴とする、請求項1項に記載の方立アンカーシステム。
【請求項5】
アンカー装置、方立連結部、及びアダプタを有し、
前記アンカー装置は、水平脚および前記水平脚の上面から延びる垂直耐荷重リップを含み、前記垂直耐荷重リップは、内部側表面を有し、
前記アンカー装置は、埋め込み部材を使用せずに、コンクリート床スラブの上に、前記アンカー装置を介して、前記コンクリート床スラブの孔の中に下に向かって延びるファスナーを使用して固定され、
前記垂直耐荷重リップは前記コンクリート床スラブの端部から内側に位置し、
前記方立連結部は、ウエブ部と、前記ウエブ部に垂直し、前記内部側表面に接する外部側表面を有する第1脚部とを有し、前記ウエブ部の底端および前記第1脚部の底端は前記水平脚の上面に接し、
前記方立連結部は、方立に接合するための凹孔を有するアダプタに固定され、前記方立は前記コンクリート床スラブの端部の外側に位置し、
前記方立連結部は、前記第1脚部と前記アダプタの間に一定の長さを有し、および、
前記ファスナーと前記方立との間の距離は前記コンクリート床スラブの流し込み前に予め確定されている、
方立アンカーシステム。
【請求項6】
前記方立はスティック式方立であることを特徴とする、請求項5項に記載の方立アンカーシステム。
【請求項7】
前記方立はユニット式方立であることを特徴とする、請求項5項に記載の方立アンカーシステム。
【請求項8】
前記方立連結部は、第2脚部をさらに有し、
前記第2脚部は、前記ウエブ部に垂直し、前記アンカー装置の外部側表面に接する内部側表面を有することを特徴とする、請求項5項に記載の方立アンカーシステム。
【請求項9】
前記第1脚部が前記ウエブ部と一体化構造とすることを特徴とする、請求項5項に記載の方立アンカーシステム。
【請求項10】
前記方立連結部は単一の一体化部材であることを特徴とする、請求項5項に記載の方立アンカーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の外部カーテンウォール方立アンカーシステムの改良案に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許法典第35巻第119(e)の下で、2017年9月6日に出願された米国仮出願第62/554,820号の優先権を主張する。本発明は、アンカー装置を乾燥したコンクリート床スラブに固定する、建物の外部カーテンウォール方立アンカーシステムの改良案に関する。また、以下の特許文献に関与し、それらの全体が本明細書中で参考として援用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許米国特許公報特許第9,683,367号。
【文献】米国特許公開第2017/0241133号。
【0004】
業界でよく知られているように、コンクリート床スラブの辺縁位置の欠陥、及びコンクリートを注ぐ時に床スラブに嵌まり込む方立アンカーシステムを正確に設置できないため、カーテンウォール方立アンカーシステムは、3つの方向の公差調整機能を備えなければならない。第1方向は、方立の長さ方向に平行する方向であり、上下方向と称する。第2方向は、カーテンウォールの表面に垂直する方向であり、進出方向と称する。第3方向は、カーテンウォールの表面に平行し、且つ方立の長さ方向に垂直する方向であり、左右方向と称する。
【0005】
床スラブへのアンカーシステムは、コンクリート床スラブを乾燥してから、方立の設置を行う。方立の設置は、先ず、床スラブ上に参考線を描く。前記参考線は、カーテンウォールの表面に平行し、設置位置にある方立の裏面から固定の距離を有し、方立アンカーシステムの進出位置を指示するために用いられる。また、方立の横方向(左右方向)の位置も参考線にマークされている。そして、方立(スティック式又は気圧作動式システム)又は半方立(組み合わせユニットの構成部分)をマークした方立線のおおよその位置に設置する。その後、3つの方向の公差調整、及び方立とアンカーシステムとの接合を行う。
【0006】
米国特許公報特許第9,683,367号及び米国特許公開第2017/0241133号において、アンカー装置、方立ブリッジ及び方立締結部を有する方立アンカーシステムが開示されている。アンカー装置は建物構造体にロックされる(例えば、コンクリート床スラブに固定される)。方立ブリッジは、アンカー装置と方立締結部とを固定する。方立締結部は方立に固定される。
【0007】
このようなシステムは、方立締結部を利用して、1対となるオスジョイント、メスジョイントによって方立に可摺動に接合されるため、上下方向の公差を自動に調整できる。また、方立締結部は、方立に沿って上下方向に摺動できる。そのため、方立締結部と方立とを接合し、方立締結部を床スラブ上のアンカー装置までスライドすることで、方立締結部を適切な上下位置に設置できる。方立の裏面のフランジと階にマークする参考線との理論的な距離をタグすることによって制御され、方立締結部と方立ブリッジの間の相対的な進出位置を移動することで、進出方向の位置を調整できる。また、方立締結部と方立ブリッジとの間のボルトを締めることで、方立を最終的な進出位置に固定できる。床スラブにマークされる方立の中央に合わせるように方立を横方向に移動し、方立ブリッジとアンカー装置の間の相対的な左右位置を移動することで、左右方向の位置を調整できる。方立ブリッジをファスナーによってアンカー装置の耐荷重リップに固定することで、方立を最終的な左右位置に固定できる。上記第2及び第3方向の位置調整は、同時に行うことができるが、方立ごとに位置を調整しなければならない。そのため、非常に時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
乾燥したコンクリート床スラブの進出位置及び左右位置に設置でき、方立とアンカー装置とを接合する時に公差を調整する必要がなく、且つファスナーを使用する必要がない方立アンカーシステムが求められている。方立を設置するだけで3つの方向の公差を自動的に調整できるため、現場の労働コストを節約できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明において、アンカー装置を乾燥したコンクリート床スラブに設置し、一体化した方立連結部によってアンカー装置と方立を締結する。アンカー装置は、コンクリート床スラブが乾燥してから設置できる。そのため、建物の特徴(例えば、スパンドレル柱線)及び方立の固定距離に基づく参考線を利用することで、進出位置に正確に設けられる。参考線に上記方立の中央位置がマークされているため、アンカー装置を適切な左右位置に設ける。コンクリート床スラブが乾燥した後に、アンカー装置を進出位置に固定することで、進出方向の公差を調整できる。そのため、方立アンカーシステムの部品と方立との間の進出位置の調整可能性が必要な要件ではない。以下、米国米国特許公報特許第9,683,367号及び米国特許公開第2017/0241133号に開示される、方立締結部と方立ブリッジを組み合わせた一体化部材を方立連結部と称する。一体化した方立連結部の使用によって、製造の押出工程及び方立アンカーシステムの設置を簡単化にすることができる。また、方立アンカーシステムの部品と方立との間の左右位置の調整可能性が必要な要件ではない。方立連結部及びアンカー装置は、それぞれの接続部品によって左右方向の移動を制限できる。そのため、ファスナーを使用する必要がない。方立連結部は、方立に可摺動に接合されることで、適切な上下位置に自動に設けられる。そのため、方立の設置において、3つの方向の公差を自動的に調整でき、別途に調整する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】気圧作動式方立に設けられる方立アンカーシステムを示す平面図である。
図2図1の方立アンカーシステムの部品を分解して示す等軸測視図である。
図3】従来のスティック式方立に設けられるアダプタを有する方立アンカーシステムを示す平面図である。
図4】従来のスティック式方立に設けられるアダプタを有する方立アンカーシステムの方立設置工程を示す側面図である。
図5図4の静荷重ブロックを有するアダプタを示す等軸測視図である。
図6】従来のユニット式方立に設けられるアダプタを有する方立アンカーシステムを示す平面図である。
図7】従来のユニット式方立に設けられる本発明のアダプタを有する方立アンカーシステムの方立設置工程を示す側面図である。
図8図7の静荷重ブロックを有するアダプタを示す等軸測視図である。
図9】設置した方立アンカーシステムを示す平面図であり、前記方立アンカーシステムは、方立連結延長部を有し、床スラブの辺縁位置に対して公差が外れた状況に用いられる。
図10】延長部を有する方立アンカーシステムを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施例を理解するために、以下、いくつの実施例及び図面を開示しながら本発明の技術的な特徴を説明する。
【0012】
本発明の方立アンカーシステムは、アンカー装置及び方立を有する。アンカー装置は、コンクリート床スラブに締結され、方立連結部によって方立に接続される。アンカー装置は、床スラブに固定される水平の第1脚部及び直立耐荷重リップを有する。前記耐荷重リップは、負風圧及び正風圧に耐えるように設計されている。アンカー装置は、コンクリートアンカー部によって乾燥したコンクリート床スラブに設置できる。
【0013】
方立連結部は、1対となるオスジョイント、メスジョイントによって方立に可摺動に接合される。例えば、米国特許公開第2016/0186031号の内容を参考として本発明に援用する。方立連結部は、方立に接合され、且つ方立の長さ方向に沿って摺動できる。方立連結部は、方立の長さ方向に沿って摺動接合できるため、方立の頂部に接合して、さらに床スラブのアンカー装置まで摺動することで、上下方向の公差を自動的に調整できる。本発明によれば、上下位置の調整を行わなくても、アンカー装置及び床スラブに対して方立連結部を適切な上下位置に確保できる。
【0014】
方立連結部は、静荷重力を方立からアンカー装置の水平表面、例えばアンカー装置の水平の第1脚部の水平表面、又はアンカー装置の耐荷重リップの水平表面に伝送できる。静荷重力は、床スラブの辺縁内の1箇所で方立からアンカー装置に伝送する。例えば、米国米国特許公報特許第9,683,367号に開示されるように、アンカー装置の揚圧力を最小化又は除去することで、より小さいコンクリートアンカー部を利用してアンカー装置を乾燥したコンクリート床スラブに締結できる。アンカー装置を乾燥したコンクリート床スラブに固定できるため、アンカー装置を方立に締結する際に適切な進出位置及び左右位置に設けられる。そのため、アンカー装置を適切な位置に固定するだけで、進出方向及び左右方向の公差を調整できる。よって、アンカーシステムの部品が調整可能性を有しなくてもよい。
【0015】
直立連結部の外部側表面と、アンカー装置の耐荷重リップの内部側表面とを接することによって、方立連結部とアンカー装置を接合する。負風圧の状況では、表面同士の間に接触圧力を生じて負風圧に対抗する。アンカー装置を適切な位置に設けるだけで進出方向の公差を調整できるため、方立連結部は、進出方向の長さ調整機能を有しなくてもよい。そのため、方立連結部は、一定の長さを有する部材でもよく、複数の部品を組み立てたものでもよく、単一の一体化部材でもよい。
【0016】
図1は、気圧作動式方立に設けられる方立アンカーシステムを示す平面図である。図2は、図1の方立アンカーシステムの部品を分解して示す等軸測視図である。方立アンカーシステム10は、アンカー装置16及び方立連結部17を有する。
【0017】
アンカー装置16は、水平の第1脚部20、及び直立耐荷重リップ21を有する。アンカー装置16は、コンクリートアンカー部19を受け入れるためのファスナー孔22を有する。アンカー装置16は、コンクリートアンカー部19によって乾燥した床スラブにロックされる。前記コンクリートアンカー部19は、よく見られるコンクリートねじでもよい。耐荷重リップ21は、好ましくは、方立連結部17のウエブ部24を受け入れるための幅「B」を有するノッチ23を有する。ノッチ23は、好ましくは、耐荷重リップ21の中央に位置する。耐荷重リップ21の厚さは寸法「E」である。
【0018】
方立連結部17によって方立18とアンカー装置16を接合することで、方立18からの反力をアンカー装置16に介して建物構造に転移できる。方立連結部17はウエブ部24を有する。ウエブ部24は、設置する際にカーテンウォールの表面に垂直する方向(即ち、方立連結部17の長さが進出方向に排列する)に排列する長さを有する。ウエブ部24の厚さは、ノッチ23の幅「B」よりやや小さい「C」である。
【0019】
方立連結部17は、それぞれウエブ部24の近接端部(設置する時に前記端部が建物の内部に向う)に垂直して延伸する一体化した耐負風圧第1脚部25、及び一体化した耐正風圧第1脚部26を有する。耐負風圧第1脚部25と耐正風圧第1脚部26との間の隙間27は、耐荷重リップ21の厚さ「E」よりやや大きい間隔寸法「G」を有する。方立連結部17とアンカー装置16を接合する時に、方立連結部17のウエブ部24を耐荷重リップ21のノッチ23に接合することで左右位置を固定し、さらに耐荷重リップ21を方立連結部17の隙間27に接合することで進出位置を固定する。
【0020】
正風圧の状況では、耐正風圧第1脚部26の内部側表面と耐荷重リップ21の外部側表面との間の接触圧力が正風圧に対抗する。負風圧の状況下では、耐負風圧第1脚部25の外部側表面と耐荷重リップ21の内部側表面の間の接触圧力が負風圧に対抗する。
【0021】
代替案として、正風圧耐荷重リップを有しない代替実施例が挙げられる。正風圧に対抗する代替案、例えば耐荷重リップ及び方立の裏面にブロックを挿入する代替案は、当業者にとって自明である。
【0022】
方立連結部17のウエブ部24は、耐荷重リップ21のノッチ23に接合され、方立連結部17の横方向(左右方向)変位に対抗する。よって、ファスナーを設けなくても方立連結部17とアンカー装置16を接合できる。代替案として、耐荷重リップ21がノッチを有せず、方立連結部のウエブ部24が耐荷重リップ21に接合するためのノッチを有する例が挙げられる。このような実施例において、好ましくは、耐負風圧第1脚部25を耐荷重リップ21に固定するためのファスナーを有する。前記ファスナーは、方立連結部17の横方向移動に対抗する。
【0023】
ウエブ部24の遠位端部(設置する時に前記端部が建物の内部に向う)において、方立連結部17はウエブ部24に垂直する脚部を有する。それぞれの脚部の端部にメスジョイント28を有する。メスジョイント28は、それに対応する方立18のオスジョイント29に可摺動に接合するように配置される。方立連結部と方立を接合する他の接面配置、例えば、方立連結部がオスジョイントを有し、且つ方立がメスジョイントを有する配置、又は米国特許公開第2016/0186031号に記載のその他の配置(参考として本発明に援用する)が挙げられる、それらは当業者にとって自明である。
【0024】
静荷重に対抗するように締結位置を設計する場合、静荷重ブロック17Aを方立連結部の頂部に設け、さらに気圧作動式方立18に固定される。静荷重ブロック17Aは、方立連結部17と同じ接面配置を有し、方立18のメスジョイント29に接合するために用いられる。
【0025】
コンクリート床スラブが乾燥した後、アンカー装置16の適切な横方向(左右方向)及び進出位置を決定できる。そのため、アンカー装置16を床スラブの適切な位置に固定することで、左右方向及び進出方向の公差を調整できる。
【0026】
建築デザインによって規制する固定寸法を参考してアンカー装置16の進出位置を決定する。例えば、建物図面において、カーテンウォールパネルと特定建物の特徴の固定距離が規制されている。コンクリート床スラブの実際位置に関わらず、前記固定距離が同じである。固定距離、カーテンウォールパネル、方立、方立連結部及びアンカー装置の固定寸法に基づいて、スパンドレル柱線(spandrel column line)に対するアンカー装置の進出位置を推定できる。そのため、アンカー装置の固定寸法(例えば、アンカー装置の裏面の辺縁と耐荷重リップとの間の距離)、方立連結部の固定寸法(例えば、方立連結部の長さ)、及び建物の特徴と方立の固定距離(例えば、方立とスパンドレル柱線との間の距離)に基づいて、建物の特徴(例えば、スパンドレル柱線)に対するアンカー装置の進出位置を決定できる。
【0027】
推定した位置に基づいて、カーテンウォールの表面に平行する参考線11を床スラブにマークして、アンカー装置16の裏面の辺縁位置を指示する。よって、建物の同じ側の方立の全てのアンカー装置を参考線11に沿って排列できる。また、各方立18の中心線位置12を参考線11にマークして、アンカー装置16の左右位置を指示できる。そして、コンクリートアンカー部19によってアンカー装置16を床スラブの適切な位置に固定する。そのため、方立の設置において、別当に進出方向又は左右方向の公差を調整する必要がない。
【0028】
線13は、建物図面に描いてる理論的な床スラブの辺縁線である。方立18の裏面に合わせた線14は、最大許容範囲の外部側床スラブ線を示し、工事規定に規定される外側公差D1を有する。アンカー装置16の耐荷重リップ21の前表面に合わせた線15は、最大許容範囲の内部側床スラブ線を示し、工事規定に規定される内側公差D2を有する。通常、規定寸法D1及びD2の大きさが同じであり、D1が正号で、D2が負号である。距離Dは、距離Dの範囲内にあり、且つ許容される実際の床スラブの辺縁位置を示す。方立連結部17は、方立18及びアンカー装置16に接合した時に、線14と線15との間に距離「D」を有するように設計されている。実際の床スラブの辺縁位置は完璧な直線ではなく、「D」の空間内に曲がる可能性がある(言い換えると、線14と線15との間に位置する)。
【0029】
工業上の習慣としては、15階までの建物の進出公差が±1”(又は±25mm)、15階以上の建物の進出公差が±2”(又は±50mm)と規定されている。方立連結部17の深さが特定の「D」寸法に設計されているため、15階までの建物に対して2”(又は±50mm)の「D」を有するように方立連結部17を設計する。また、15階以上の建物に対して4”(又は±100mm)の「D」を有するように方立連結部17を設計する。しかしながら、参考線11を理論的な床スラブの辺縁線13の内側方向から離れることで、特定の「D」寸法を有する方立連結部は、「D」より小さい寸法を有する全ての状況に用いられる。
【0030】
アンカー装置16は、押出部材であることが好ましい。アンカー装置16の押出工程は、以下の工程を有する。
(1)アンカー装置の幅と同じ長さ(寸法「A」)に切断する。
(2)寸法「B」のノッチ幅を有する中央ノッチ23を耐荷重リップ21に設ける。
(3)図1に示すように、コンクリートアンカー部19に用いられるファスナー孔22を設ける。
【0031】
方立連結部17は、押出部材であることが好ましい。方立連結部17の押出工程において、望ましい方立連結部の高さ「H」に切断する。
【0032】
普通、方立設置工程は、以下の工程を有する。
(1)設置した方立の接続管によって、気圧作動式方立18の底部と仮の静荷重支持部品を接合する。
(2)方立18の頂部を予定位置の周辺に置く、方立連結部17のメスジョイント28と対応する方立18のオスジョイント29を接合する。
(3)方立連結部17を方立18の頂部からアンカー装置16まで摺動する。
(4)方立連結部17と設置したアンカー装置16を接合することで、ファスナーを使わずに3つ方向の公差を自動的に調整する。
(5)締結位置に静荷重支持部品が必要である場合、静荷重ブロック17Aと方立18を接合し、静荷重ブロック17Aを方立連結部17の頂部まで摺動して、且つ2つのねじによって方立18にロックする。
【0033】
図3は、従来のスティック式方立39に設けられる本発明のアダプタ30を有する方立アンカーシステムをしっかり締結する状態を示す平面図である。アダプタ30は、ティック式方立39の側辺に接合するための遠位端部凹孔、方立連結部に可摺動に締結するための複数のジョイントを有する近接端部凹孔を備える。アダプタ30は、複数ファスナー31によって構造的に方立39に固定する。静荷重ブロック17Aは、図5に示すように、2つのファスナーによってアダプタ30に固定する。図4に示すように、静荷重ブロック17Aの底部が方立連結部17の頂部に当接する。最大許容範囲の外部側床スラブの辺縁線14がスティック式方立39の裏面に沿っている以外、他の機能は図1の記載と同様である。
【0034】
図4は、従来のスティック式方立39に設けられるアダプタ30を有する方立アンカーシステムの方立設置工程を示す側面図である。図1の説明と同じように、乾燥したアンカー装置16を床スラブに固定した後、次の工程として、3つ方向の公差を自動的に調整しながら方立を設置する。
(1)方立連結部17を下に移動して設置したアンカー装置に締結する。
(2)アダプタ30、及び工場で予めにロックされる静荷重ブロック17Aを下に移動して方立連結部17に締結する。
(3)スティック式方立39を方向1に移動してアダプタ30内に締結する。
(4)方立39の静荷重が一時的に正確な上下位置に支持されることを確認した後、方立39を方向1に押してアダプタ30に緊密に接する。そして、図3に示すように、方立39をファスナー30によってアダプタ30に固定する。
【0035】
図5は、アダプタ30を示す等軸測視図であり、前記アダプタ30は、工場で予めに設置される静荷重ブロック17Aを有する。静荷重ブロック17Aは、2つのファスナー51によってアダプタ30の頂部に固定される。ファスナー51は、工場で予めに設置されてもよい。
【0036】
図6は、従来のユニット式方立63に設けられる本発明のアダプタ30を有する方立アンカーシステムを示す平面図である。アダプタは、ユニット式方立63の側辺に接合するための遠位端部凹孔、及び方立連結部17に締結するための複数のジョイントを有する近接端部凹孔64を備える。ユニット式方立は、現場で垂直密封ジョイントによって左半方立と右半方立を結合することによって形成できる。図6において、ユニット式方立63が有するオープンジョイントを概念的に示す。現場で形成したユニット式方立63の幅は、パネルの設置公差に応じて変更できる。普通、工業上において、許容できる設置公差は±1/8”(又は±32mm)である。そのため、図8に示すように、アダプタ60に接合する遠位端部凹孔の幅「W」は、ユニット式方立の理論的な幅より1/8”大きくなければならない。必要に応じ、図に示すシム62を利用してパネルの公差を減少してもよい。ファスナー61は、アダプタ60をユニット式方立63に固定するために用いられる。構造的な抜出強度を維持するために、方立連結部17に接合するための凹孔64の幅は、好ましくは、図に示す方立60に接合するための接合凹孔の幅より小さい。その他の機能は図3の記載と同様である。
【0037】
図7は、従来のユニット式方立63に設けられるアダプタ60を有する方立アンカーシステムの方立の設置工程を示す側面図である。図1の説明と同じように、アンカー装置16を床スラブに固定した後、方立63の両側に仮のパネル静荷重支持部品を利用して、現場でユニット式方立63を形成する。次の工程として、3つ方向の公差を自動的に調整しながら方立を設置する。
(1)方立連結部17を下に移動して設置したアンカー装置16に締結する。
(2)方立連結部17の上方に位置するアダプタ60、及び工場で予めにロックされる静荷重ブロック17Aを方向2に移動し、現場で形成したユニット式方立63に接合する。
(3)方立63と締結しているアダプタ60を下に移動して方立ジョイント17に接合する。
(4)方立63を方向3に押してアダプタ60に緊密に接する。必要に応じ、図6に示すシム62を設けてもよい。そして、図6に示すように、方立63をファスナー61によってアダプタ60に固定する。
【0038】
図8は、静荷重ブロック17Aを有するアダプタ60を示す等軸測視図である。静荷重ブロック17Aは、現場で2つのファスナー81によってアダプタ60の頂部に固定される。ユニット式方立63に接合するための凹孔の幅「W」は、ユニット式方立63の最大許容範囲の現場形成幅である。
【0039】
図9は、設置した方立アンカーシステムを示す平面図である。前記方立アンカーシステムは、床スラブの辺縁位置に対して公差が外れた状況に用いられる。一般的な状況では、大部分の方立の実際な際辺縁が距離Dの許容範囲内に位置する。そのため、図1に示す方立アンカーシステムを使用できる。しかしながら、公差外れの状況もある。
【0040】
1つの外側公差外れの状況として、公差距離「Do」が外れた実際な床スラブの線14Aで示す。下記2つの方法で解決できる。1つ目の方法は、図1に示すアンカーシステム全体及び方立を外側に距離「Do」を押すことで、方立18の裏面を実際な床スラブの辺縁線14Aに当接する方法である。前記方法は、方立と壁面との垂直性に影響を及ばす。
【0041】
2つ目の方法は、現場で前記位置の床スラブに対して公差が外れた部分を切断する。このような状況は、測量線11から実際な床スラブの辺縁までの距離を測定することによって確認できる。現場での測定は、アンカー装置を床スラブに固定する前に行わなければならない。
【0042】
1つの内側公差外れの状況として、公差距離「Di」が外れた実際な床スラブの線15Aで示す。このような状況は、アンカー装置を床スラブに締結する前に、実際な床スラブの辺縁線15Aの前表面線15に対する耐荷重リップ21の位置によって確認できる。線15が実際な床スラブの辺縁線15Aの外側に位置する場合、このような状況に属する。前記状況を解決する方法としては、方立連結部17の近接端部と類似する形状を有する構造性延長部17Bを使用して、それをアンカー装置16に接続する。方立連結部17の近接端部に接続できるように構造性延長部17Bの遠位端部の形状を設計する。図に示すように、延長部17Bを利用すると、耐荷重リップ15Bの前表面が実際な床スラブの辺縁線15Aの前の床スラブに位置する。それによって前記問題を解決できる。図に示すように、方立連結部17と延長部17Bとの間の構造的な接続は、好ましい解決方法の1つである。非常に大きな公差外れ距離「Di」を有する場合、複数の延長部17Bを使用することで、複数の延長部17Bの方立連結部17の設置高さを得て、方立18における内部偶力(internal force couples)を減少できる。例えば、米国特許公報特許第9,683,367号及び米国特許公開第2017/0241133号の内容を参考できる。アンカー装置16は、コンクリートアンカー部19(図1を参照)によって内側に構造上合理的な位置に移動できる。このような設計は、構造劣化した既存の床スラブの辺縁改修仕事に利用できる。
【0043】
図10は、延長部18Bを有する方立連結部17を示す平面図である。方立連結部17とアダプタ17Bを構造的に接続し、その間に存在する水平力に対抗できる。なお、少なくとも1つのファスナー91によってそれらを固定し、その間に存在する静荷重の反力に対抗できる。
【0044】
本発明の素子は、上記説明した特定の材料、形状又は接合方向に限定されない。上記工事構造及びその方法に基づいて、本発明の思想から逸脱しない範囲での全ての変更は、当業者にとって自明であり、本発明の範囲に含む。例えば、複数の図に示す実施例は、傾斜している方立に締結する場合に用いられる。本発明の範囲は、上記実施例に限定されていない。
【符号の説明】
【0045】
1、2、3 方向
10 方立アンカーシステム
11 参考線
12 方立の中心線
13、14、15 線
14A 床スラブの線
15A 実際の床スラブの辺縁線
15B 耐荷重リップ
16 アンカー装置
17 方立連結部
17A 静荷重ブロック
17B 延長部
18 方立
19 コンクリートアンカー部
20 水平の第1脚部
21 耐荷重リップ
22 ファスナー孔
23 ノッチ
24 ウエブ部
25 耐負風圧第1脚部
26 耐正風圧第1脚部
27 隙間
28 メスジョイント
29 オスジョイント
30、60 アダプタ
31、51、61、81、91 ファスナー
39 スティック式方立
62 シム
63 ユニット式方立
64 凹部
A 長さ
B 幅
C 厚さ
D 距離
D1 外部公差
D2 内部公差
Do、Di 公差外れ距離
E 厚さ
G 間隔
H 高さ
W 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10