(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置
(51)【国際特許分類】
B01D 33/15 20060101AFI20220222BHJP
B01D 33/58 20060101ALI20220222BHJP
B01D 33/80 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B01D33/22
B01D33/34
(21)【出願番号】P 2021001409
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】10-2020-0029357
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521037204
【氏名又は名称】グレネクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】クク,チュン チャン
(72)【発明者】
【氏名】クク,ヨン ロン
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0020500(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0048553(US,A1)
【文献】米国特許第06103132(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0178976(US,A1)
【文献】特表2002-537126(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158230(WO,A1)
【文献】米国特許第05779901(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0048474(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D24/00-41/04
B01D46/00-46/54
C02F11/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の形状に形成され、内部の内容物を外部に排出できるように排水孔(110)を備えた吸入胴体(100);および前記吸入胴体(100)に入口部分を閉塞するように装着し、逆洗浄できるように少なくとも一つのメインスリット(210’)と少なくとも一つのサブスリット(210’’)を備えた吸入板(200);を含むものの、
前記メインスリット(210’)は、
前記メインスリット(210’)の中に吸入した絨毛Fが抜け出る縁の内面が前記メインスリット(210’)の入口から中に行くほど次第に広くなるように斜面(211)を形成し、
前記斜面(211)には、
多数個の摩擦突起(211’)を突出形成して逆洗浄しながら繊維ディスクフィルタDが回転するにつれて絨毛Fが前記摩擦突起(211’)に密着と離脱を繰り返すようにしたことを特徴とする、繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置。
【請求項2】
容器の形状に形成され、内部の内容物を外部に排出できるように排水孔(110)を備えた吸入胴体(100);および前記吸入胴体(100)に入口部分を閉塞するように装着し、逆洗浄できるように少なくとも一つの吸入スリット(210)を備えた吸入板(200);を含むものの、
前記吸入スリット(210)は、
前記吸入スリット(210)の中に吸入した絨毛Fが抜け出る縁の内面が前記吸入スリット(210)の入口から中に行くほど次第に広くなるように斜面(211)を形成し、
前記斜面(211)には、
多数個の摩擦突起(211’)を突出形成して逆洗浄しながら繊維ディスクフィルタDが回転するにつれて絨毛Fが前記摩擦突起(211’)に密着と離脱を繰り返すようにしたことを特徴とする、繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置。
【請求項3】
前記斜面(211)は、
前記吸入板(200)の外側面となす角度(θ)が5~30°で形成されたことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置に関し、さらに詳細には、絨毛が抜け出る吸入スリットの縁面を傾斜するように斜面を形成することによって、逆洗浄のために繊維ディスクフィルタが回転する時に吸入スリットに吸い込まれた絨毛がこの斜面に接触するようにすることで、この絨毛の回転角度量を大きくして逆洗浄効果を高められるようにしたものである。また、斜面には多数個の摩擦突起を突出形成するため、絨毛が各摩擦突起を一つずつ乗り越えながら絨毛を洗濯板に摩って揉み洗いする効果を通じて異物除去効果をさらに高められるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に繊維状濾過器は、ディスク状のフィルタの表面に繊維(絨毛)を具備して汚染水などがこの繊維を通過する間、異物が濾過するようにした濾過器を指す。このような繊維状濾過器には、下記の(特許文献1)~(特許文献3)のように、繊維ディスクフィルタの表面に付着した異物を逆洗浄方式で吸入して除去する逆洗浄吸入装置を装着する。
【0003】
(特許文献1)韓国登録特許第10-1177369号
ディスク型フィルタ片と接触するように装着される逆洗浄吸入装置が繊維などに付着された異物を除去する作用をしない時には、このディスク型フィルタ片から分離されるようにすることによってディスク型フィルタ片に構成された繊維が長時間の間逆洗浄吸入装置によって押される現象を防止して、繊維の濾過効率の向上および寿命を延長させることができるようにした、逆洗浄吸入装置およびこれを利用した繊維状濾過器を提供することにその目的がある。特に、逆洗浄吸入装置が浮力を利用してディスク型フィルタ片から離隔するように構成することによって、構造が簡単でありながらも容易に動作させて逆洗浄吸入装置を密着または分離させることができるようにした、逆洗浄吸入装置およびこれを利用した繊維状濾過器を提供することに他の目的がある。
【0004】
(特許文献2)韓国登録特許第10-1398838号
逆洗浄吸入装置が逆洗浄時にのみディスク型フィルタの表面と向かい合いながら接触するようにして必要な逆洗浄作用がなされるようにすることによって、逆洗浄吸入装置がディスク型フィルタの表面に構成された繊維を押す時間を最小化して繊維の濾過効率の向上およびその寿命を延長させ、このように繊維の押されによって発生する回転負荷を減らして必要とされるエネルギーを減らすことによって、吸入装置に必要な動力伝達装置の大きさを減らしてコンパクトに製作できる逆洗浄吸入装置およびこれを利用した繊維状濾過器を提供することにその目的がある。特に、シリンダ、またはこのシリンダとともにコイルスプリングを利用して、逆洗浄吸入装置が逆洗浄時にのみディスク型フィルタと密着するように構成することによって、簡単な構造でありながらも製造が容易であり、容易な操作で逆洗浄吸入装置を密着または分離させることができるようにした逆洗浄吸入装置およびこれを利用した繊維状濾過器を提供することに他の目的がある。また、本発明は隣接した2個の逆洗浄吸入バーを一つのシリンダ(またはコイルスプリングと共に)で作動させることができるようにすることによって、その全体的な構成をさらに簡単にしながらも容易に操作できるようにした逆洗浄吸入装置およびこれを利用した繊維状濾過器を提供することに他の目的がある。
【0005】
(特許文献3)韓国公開特許第10-2018-0020500号
本体と吸入板が互いに接触する部分が凹凸の形態で結合するように構成して、密封部材がなくても流体が漏れないように構成できるだけでなく、フック方式でこの本体と吸入板が互いに結合できるように構成するため、部品の個数を減らして製造時間と費用を減らしながらも製造原価を節減できるようにした繊維濾過器の逆洗浄装置用吸入箱を提供することにその目的がある。特に、本発明は前記本体と吸入板をプラスチックで射出成形するため、複雑な形状も容易かつ迅速に大量で生産できるだけでなく、構成要素の製造時間と製造費用を節減できるようにした繊維濾過器の逆洗浄装置用吸入箱を提供することに他の目的がある。
【0006】
しかし、このような既存の逆洗浄吸入装置は次のような問題が発生する。
【0007】
(1)濾過作用によって繊維ディスクフィルタに異物が蓄積されるとフィルタの濾過作用に問題が発生するため、繊維ディスクフィルタを適切に逆洗浄しなければならない。
【0008】
逆洗浄の場合、すでに濾過した水を使って洗浄するため、濾過水の損失が発生し、このような濾過水の損失を減らすためには、既存の繊維ディスクフィルタは逆洗浄効率を向上させる必要がある。
【0009】
(2)すなわち、逆洗浄効率を向上させると、逆洗浄時間および逆洗浄に使う濾過水の量を減らすことができるようになる。
【0010】
(3)したがって、この技術分野で逆洗浄効率を向上させることは重要な課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】韓国登録特許第10-1177369号
【文献】韓国登録特許第10-1398838号
【文献】韓国公開特許第10-2018-0020500号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこのような点を考慮したものであって、吸入スリットの中に吸い込まれてきた絨毛が抜け出る時に接する吸入スリットの縁の内面を傾斜するように斜面を形成し、この絨毛がこの斜面に沿って動けるように構成することによって、絨毛の回転量を大きくして遠心力を増大させて絨毛に付着した異物を払い落すことで逆洗浄効果を高めることができるようにして、多様な形態の絨毛も容易に異物を除去できるようにした繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置を提供することにその目的がある。
【0013】
特に、本発明は絨毛が接触する斜面に多数個の摩擦突起を突出形成することによって、絨毛をあたかも洗濯板に摩って揉み洗いするような効果を共に得られるようにして、多様な形態の絨毛に対しても逆洗浄効果を高めながらも逆洗浄に使う逆洗浄水の使用量を低減できるようにした、繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置を提供することに他の目的がある。
【0014】
また、本発明はこのような摩擦突起を吸入スリットの長さ方向に沿って並ぶように長く突出形成することによって、絨毛が摩擦突起を一つずつ乗り越えながら摩擦と揉み洗いする効果を得られるようにして、絨毛に付着した異物の除去効果をさらに高められるようにした、繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置を提供することにさらに他の目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するための本発明に係る繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置は、容器の形状に形成され、内部の内容物を外部に排出できるように排水孔110を備えた吸入胴体100;および前記吸入胴体200に入口部分を閉塞するように装着し、逆洗浄できるように少なくとも一つのメインスリット210’と少なくとも一つのサブスリット210’’を備えた吸入板200;を含むものの;、前記メインスリット210’は、前記メインスリット210’の中に吸入した絨毛Fが抜け出る縁の内面が前記メインスリット210’の入口から中に行くほど次第に広くなるように斜面211を形成したことを特徴とする。
【0016】
特に、前記斜面211の全体には、多数個の摩擦突起211’を突出形成したことを特徴とする。
【0017】
この時、前記摩擦突起211’は、前記メインスリット210’の長さ方向に沿って長く突出形成したことを特徴とする。
【0018】
一方、本発明に係る繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置は、容器の形状に形成され、内部の内容物を外部に排出できるように排水孔110を備えた吸入胴体100;および前記吸入胴体200に入口部分を締め切れるように装着し、逆洗浄できるように少なくとも一つの吸入スリット210を備えた吸入板200;を含むものの;、前記吸入スリット210は、前記吸入スリット210の中に吸入した絨毛Fが抜け出る縁の内面が前記吸入スリット210の入口から中に行くほど次第に広くなるように斜面211を形成したことを特徴とする。
【0019】
特に、前記斜面211の全体には、多数個の摩擦突起211’を突出形成したことを特徴とする。この時、前記摩擦突起211’は、前記吸入スリット210の長さ方向に沿って長く突出形成したことを特徴とする。
【0020】
最後に、前記斜面211は、前記吸入板200の外側面となす角度θが5~30°で形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置によると、次のような効果がある。
【0022】
(1)メインスリットに吸い込まれてきた絨毛が抜け出ながら接する吸入スリット面に斜面を形成して、絨毛がこの吸入スリット面に接して乗り越えることによってこの絨毛の回転量を大きくし、これによってこの絨毛に作用する遠心力の増大により絨毛に付着している異物をよく払い落すことができるようにして逆洗浄効果を高めることができる。
【0023】
(2)特に、斜面の形状を利用して絨毛の異物を除去するため、多様な形態の絨毛も容易かつ迅速に異物を除去することができる。したがって、同じレベルで異物を除去した時に逆洗浄に使う逆洗浄水の使用量も10~30%程度減らすことができる。
【0024】
(3)一方、この斜面には多数個の摩擦突起を突出形成することによって、このような遠心力の増加を利用した払い落しとともに、洗濯板の効果のような絨毛をこすって異物を除去する効果を通じて逆洗浄効果をさらに高めることができる。
【0025】
(4)このとき、前記摩擦突起は吸入スリットの長さ方向に沿って長く多数を突出形成するため、絨毛が各摩擦突起を乗り越えながら揉み洗いする効果を得られるようにして逆洗浄効果をより一層高めることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施例1に係る逆洗浄吸入装置を適用した繊維状濾過器の例を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る逆洗浄吸入装置の構成を示すために分解した斜視図である。
【
図3】本発明の実施例1に係る逆洗浄吸入装置の結合状態を示すために、
図2で「A-A」線に沿って切った断面図である。
【
図4】本発明の実施例1に係る逆洗浄吸入装置の作用を説明するための断面図である。
【
図5】本発明の実施例1に係る逆洗浄吸入装置の作用を説明するための断面図である。
【
図6】本発明の実施例1に係る逆洗浄吸入装置の作用を説明するための断面図である。
【
図7】本発明の実施例2に係る逆洗浄吸入装置の結合状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の実施例2に係る逆洗浄吸入装置で絨毛を逆洗浄する状態を示す断面図である。
【
図9】本発明の実施例3に係る逆洗浄吸入装置の結合状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例をさらに詳細に説明する。これに先立ち、本明細書および特許請求の範囲に使われた用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最高の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に符合する意味と概念で解釈されなければならない。
【0028】
したがって、本明細書に記載された実施例と図面に図示された構成は本発明の最も好ましい一実施例に過ぎないものであって、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないため、本出願時点でこれらを代替できる多様な均等物と変形例が存在し得ることが理解されるべきである。
【実施例1】
【0029】
本発明の実施例1に係る繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置は、
図1~
図6のように、容器の形態で形成された吸入胴体100、そして軸Sに設置した繊維ディスクフィルタDと向き合うように、前記吸入胴体100に装着して逆洗浄できるように少なくとも一つのメインスリット210’と少なくとも一つのサブスリット210’’を備えた吸入板200を含む。
【0030】
特に、前記メインスリット210’はその中に吸い込まれてきた絨毛Fが抜け出る時に接する面に斜面211を形成して幅の断面がくさび状になるように構成することによって、この絨毛Fが斜面211に密着して方向転換がなされるように動く間、絨毛Fに付着された異物を払い落すようにして逆洗浄効果を高めることができるだけでなく、くさびの角部分によって絨毛Fをなで下ろすことによって多様な形態の絨毛Fに対しても逆洗浄効果を高めつつ、逆洗浄に使う逆洗浄水の使用を最小化できるようにしたものである。
【0031】
以下、これらの構成についてより詳細に説明すると次の通りである。ここで、図面番号「T」は濾過槽を、「S」は濾過槽の中でその場で回転するように設置して濾過した水を外部に排水する軸を、「D」は前記軸Sにあらかじめ定めた間隔で設置して実質的に濾過作用をする繊維ディスクフィルタを、「F」は前記繊維ディスクフィルタDの外面を形成し実質的に濾過作用をする絨毛をそれぞれ示す。また、図面で、矢印は逆洗浄する間繊維ディスクフィルタDが回る方向を表示する。
【0032】
イ.吸入胴体
吸入胴体100は、
図1~
図3のように、一方を開放した容器の形状に形成され、開放した入口部分には後述する吸入板200を装着して閉塞する。
【0033】
また、前記吸入胴体100には、
図2のように、排水孔110を形成し、ポンプのようなアクチュエータを連結して、吸入胴体100内部の内容物を濾過槽Tの外に排水できるように構成する。この時、前記排水孔110は、
図2で底に形成したものを例にして説明しているが、これに限定せず、内部の内容物を排水できる位置であれば、両側終端の部分や側面などのいずれにも形成できる。
【0034】
このような吸入胴体100は、
図1のように、繊維ディスクフィルタDの半径方向に沿って最小限の長さだけ対向できる長さに製作することによって、後述する吸入板200と繊維ディスクフィルタDとの摩擦抵抗を最小化できるように製作することが好ましい。
【0035】
そして、前記吸入胴体100は金属板をプレス加工して容器の形態に成形するか、合成樹脂を射出成形するなどの多様な方法で製作することができる。
【0036】
ロ.吸入板
吸入板200は、
図2および
図3のように、所定の厚さを有する板部材であって、上面には長さ方向に沿って少なくとも一つのメインスリット210’と、少なくとも一つのサブスリット210’’を形成する。
【0037】
1.メインスリット
メインスリット210’は、
図2および
図3のように、前述した吸入胴体100を繊維ディスクフィルタDの半径方向に並ぶように向き合った時、この繊維ディスクフィルタDの外部を構成する絨毛Fを吸い込むことができる長さで製作する。また、前記メインスリット210’の幅は、
図5および
図6のように、絨毛Fがこのメインスリット210’を通過する時、この絨毛Fをメインスリット210’の中に貫通して吸入胴体100の中に吸い込まれ得る幅に形成する。
【0038】
特に、本発明の好ましい実施例で、前記メインスリット210’は、
図3~
図6のように、メインスリット210’の中に吸い込まれてきた絨毛Fが抜け出る時に接する面が、メインスリット210’の入口から中に行くほど次第に広くなるように斜面211を形成して、幅の断面がくさび状となるように製作する。これは、吸入胴体100の中に吸い込まれてきた絨毛Fが、
図5および
図6のように、繊維ディスクフィルタDが回転するにつれてこの斜面211に密着するようにし、特に絨毛Fが強制的に引っ張られることによって、くさびの終端部分を通じて絨毛Fの表面に付着した異物をかき出して異物除去効果を高められるようにするためである。
【0039】
さらに、メインスリット210’に到達する前に横になっていた絨毛Fが、メインスリット210’に到達して吸入力を受けるとこの斜面211に沿ってまっすぐになるため、斜面が形成されない従来のスリットの場合より横になっていた絨毛Fがまっすぐになる絨毛Fの流動回転角を斜面211の傾斜角だけ大きく形成して、遠心力の増加による絨毛Fに付着した異物の離脱を促進させることができるようになる。
【0040】
また、本発明の好ましい実施例で、前記メインスリット210’は、
図3のように、前記斜面211と吸入板200の外側面間になす角度θが5~30°をなすようにすることによって、このようにこのくさび部分を通じて絨毛Fに付着した異物をかき出す効果をさらに高められるように構成することが好ましい。この時、くさび状の終端は過度に鋭くならないように形成することにより、絨毛Fがこのくさび部分を乗り越えながら損傷したり切れることなく、かつ異物除去効果を高められるように製作することが好ましい。
【0041】
2.サブスリット
サブスリット210’’は、
図2および
図3のように、前述したメインスリット210’と並ぶように形成する。この時、前記サブスリット210’’は、
図4および
図5のように、絨毛Fの終端がサブスリット210’’の縁にかかって完全に広がらないようにした状態で、絨毛Fの表面に付着した異物を除去できるように構成する。これは、繊維ディスクフィルタDが回り続けることによって絨毛Fが常にサブスリット210’’に幅方向にかかった状態でいるようになり、このようにサブスリット210’’にかかった部分で持続して逆洗浄がなされるようにして、その結果、絨毛Fの長さ全体に亘って引き続き逆洗浄が行われるようにするためである。
【0042】
本発明の好ましい実施例で、前記サブスリット210’’は一つのメインスリット210’と隣り合うように1~5個を並ぶように貫通形成することによって、このように絨毛Fが全体の長さに亘ってサブスリット210’’にかかりながら逆洗浄が繰り返し行われるようにして、逆洗浄効果をより一層高められるように構成することが好ましい。
【0043】
このように形成された吸入板200は、
図2のように、合成樹脂を射出成形して製作し、ボルトのような締結手段を通じて前述した吸入胴体100に容易に組み立てて製作することができる。また、合成樹脂で射出成形する時は、前述した吸入胴体100をインサートで一体に射出成形してもよく、合成樹脂を利用して吸入胴体100と吸入板200を一体に成形してもよい。
【0044】
以上のように、本発明はメインスリットに吸い込まれてきた絨毛が抜け出るメインスリット面に斜面を形成することによって、この絨毛がメインスリットから抜け出る時にくさび状の面を乗り越えるようにして、絨毛に付着した異物をこのくさび状を通じて掻き出すことができるようにすることで逆洗浄効果を高めることができ、また、逆洗浄時に、メインスリットに到達する前に横になっていた絨毛が斜面に沿ってまっすぐになりながら、絨毛の回転角度量を斜面が形成されていない場合より斜面の傾斜角だけ大きくすることができるため、絨毛が受ける遠心力の増大による異物の除去を促進できるようにしたものである。したがって、逆洗浄効果を高めることができるだけでなく、逆洗浄に必要な逆洗浄水の使用も従来技術対比10~30%程度減らすことができるようになる。
【実施例2】
【0045】
本発明の実施例2に係る繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置は、
図7および
図8のように、前述した実施例1と同じ構成であるが、斜面211に摩擦突起211’を追加した点で差がある。したがって、ここでは、実施例1と同じ構成については詳細な説明を省略し、追加した構成についてのみ説明する。
【0046】
実施例2は、
図7および
図8のように、斜面211に多数個の摩擦突起211’を突出形成したものである。これは、逆洗浄しながら繊維ディスクフィルタDが回転するにつれて、絨毛Fが斜面211に接して引っ張られながらくさび部分が絨毛Fを掻き出すような効果とともに、この絨毛Fが摩擦突起211’に密着と離脱を繰り返しながらあたかも洗濯板に摩って揉み洗いする効果を共に得られるように構成することによって、逆洗浄効果をより一層高められるようにしたものである。
【0047】
この時、前記摩擦突起211’はメインスリット210’の長さ方向に長く多数個を突出形成することによって、絨毛Fが隣り合った摩擦突起211’の間を乗り越えながらこのような逆洗浄効果をさらに高めることができるようになる。
【実施例3】
【0048】
本発明の実施例3に係る繊維状濾過器の逆洗浄吸入装置は、
図9のように、吸入胴体100と少なくとも一つの吸入スリット210を備え、前記吸入胴体100の入口部分を閉塞する吸入板200を含むものの、前記吸入スリット210には、前記吸入スリット210の中に吸入した絨毛Fが抜け出る縁の内面が前記吸入スリット210の入口から中に行くほど次第に広くなるように斜面211を形成したものである。
【0049】
このような吸入スリット210の構成は、
図9のように、前述した実施例1のメインスリット210’と同じ構成であって、実施例3の全体構成は実施例1の構成の中でサブスリット210’’を除いたものと同じ構成である。したがって、実施例2に該当する実施例3の構成は前述した実施例1ですでに説明したため、ここで実施例2に該当する構成の詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0050】
100:吸入胴体
110:排水孔
200:吸入板
210:吸入スリット
210’:メインスリット
210’’:サブスリット
211:斜面
211’:摩擦突起