(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】パイプ状部材の洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B08B 9/023 20060101AFI20220222BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20220222BHJP
E04G 19/00 20060101ALI20220222BHJP
B05B 3/02 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B08B9/023
B08B3/02 F
E04G19/00 C
B05B3/02 G
(21)【出願番号】P 2021169675
(22)【出願日】2021-10-15
【審査請求日】2021-10-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506329155
【氏名又は名称】株式会社ワールドエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100163533
【氏名又は名称】金山 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100199842
【氏名又は名称】坂井 祥平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 和伸
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特許第5721089(JP,B1)
【文献】特許第6900085(JP,B1)
【文献】特開2001-009400(JP,A)
【文献】実開平04-087786(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 9/023
B08B 3/02
E04G 1/04~ 1/08
E04G 19/00
B05B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ状部材に加圧水噴出ガンから加圧水を吹き付け、洗浄するパイプ状部材の洗浄装置において、
搬送ラインとされ、投入された
パイプ状部材を洗浄部へ搬送する投入部コンベアと、
前記投入部コンベアから搬送された前記
パイプ状部材を回転手段で軸芯を回転軸芯として回転させつつ長手方向へ移動させながら搬送する前記洗浄部と、
前記洗浄部で前記
パイプ状部材の上方に設けられ、前記回転手段により回転する前記パイプ状部材に前記加圧水を噴射する前記加圧水噴出ガンと、
前記洗浄部で洗浄された前記
パイプ状部材を搬出する排出部コンベアと、
前記投入部コンベア、前記洗浄部での搬送及び前記加圧水噴出ガン、及び前記排出部コンベアの動作を制御する制御盤と、を備え、
前記回転手段は、
前記投入部コンベア、前記洗浄部、前記排出部コンベアに設けられ、前記
パイプ状部材を二つ一組で挟み込むように対向配置されたキャスタローラと、
長手方向の両端が軸支され前記キャスタローラの外周と接触する回転伝達シャフトと、
長手方向の両端が軸支され、一端に従動プーリが設けられた駆動シャフトと、
前記駆動シャフトの長手方向に複数設けられ、前記回転伝達シャフトと当接する駆動ローラと、
前記従動プーリからドライブチェーンを介して連結された駆動プーリを回転するワーク回転モータと、を有することを特徴とするパイプ状部材の洗浄装置。
【請求項2】
一組の前記キャスタローラの間隔は、前記
パイプ状部材の断面中心が前記キャスタローラの回転中心よりやや上方となるように配置された請求項1に記載のパイプ状部材の洗浄装置。
【請求項3】
前記駆動シャフト、前記回転伝達シャフトは、最も長い前記
パイプ状部材の長さに対して0.5~0.8倍とされた請求項1又は2に記載のパイプ状部材の洗浄装置。
【請求項4】
前記加圧水噴出ガンの下に断面が下すぼみの漏斗状とされたガン噴射受けカバーが設けられた請求項1から3のいずれか1項に記載のパイプ状部材の洗浄装置。
【請求項5】
前記加圧水噴出ガンは、2台が前記
パイプ状部材の長手方向に配置された請求項1から4のいずれか1項に記載のパイプ状部材の洗浄装置。
【請求項6】
前記洗浄部で前記
パイプ状部材を洗浄している間、前記投入部コンベアにおいて次に洗浄する前記
パイプ状部材が投入される請求項1から5のいずれか1項に記載のパイプ状部材の洗浄装置。
【請求項7】
前記制御盤は前記投入部コンベア、前記洗浄部の搬送ライン、前記排出部コンベアの移動速度、起動及び停止をリンクして前記
パイプ状部材の受け渡しを制御する請求項1から6のいずれか1項に記載のパイプ状部材の洗浄装置。
【請求項8】
前記
パイプ状部材は前記投入部コンベアから前記洗浄部の搬送ラインへ受け渡された時点で回転を開始する請求項1から7のいずれか1項に記載のパイプ状部材の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮設機材洗浄装置に係り、特に、加圧水噴出ガンから噴出させた加圧水をパイプ状の足場用支柱に吹き付けることにより、付着している付着物を除去洗浄するパイプ状部材の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建設物を建設する際には、パイプ製の建枠、板状の足場板、パイプ製の筋交、パイプ同士を連結して建枠を形成するためのL字ジョイント等の建設足場用の仮設機材を用いて足場を建設物の高さに応じて組み立てる。足場を構成するこれらの仮設機材には、コンクリート打設時のコンクリート、外壁塗装時の塗料等の付着物が付着する。したがって、工事完了後に足場を解体した後、次回の工事に備えて付着物を取り除く洗浄作業を行う必要が
ある。
【0003】
洗浄方法としては、加圧水噴出ガンから噴出させた加圧水を仮設機材に吹き付けて付着物を洗浄する方法が知られている。従来の加圧水方式の仮設機材洗浄装置は、仮設機材を搬送コンベア上に寝かせた平置状態で載置し、円周方向に複数のノズルが配設された加圧水噴出ガンを500~1500rpmで高速回転させながらノズルから30~200MPaの加圧水を噴出し、先ず仮設機材の一方面(例えば表面)を洗浄する。
【0004】
次に搬送コンベア上の仮設機材をひっくり返して他方面(例えば裏面)を加圧水で洗浄する。しかしながら、従来の仮設機材洗浄装置のように、仮設機材を搬送コンベア上に平置状態で載置し、仮設機材をひっくり返すことによって表面と裏面とを順番に洗浄する方法は洗浄効率が悪く、1枚の仮設機材を洗浄するための洗浄時間が長くなる。
【0005】
特許文献1は、コンパクトな装置構成にも関わらず洗浄効率を顕著に向上させることができる仮設機材洗浄装置を提供することを目的として、一対の搬送ラインのうち一方の搬送ラインの搬入・搬出ステージにおいて保持治具に保持させた仮設機材Aを洗浄ステージに搬送し、対向配置された一対の洗浄用ロボットで仮設機材Aの両面(表面と裏面)を同時に洗浄することを記載している。
【0006】
特許文献2は、パイプ状部材の洗浄装置において、クランプ手段でクランプしたパイプ状部材を回転させながら、パイプ状部材の長手方向に加圧水噴出ガンを移動させてパイプ状部材の外面に加圧水を吹き付けて洗浄することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5721089号公報
【文献】特許第6900085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来技術において、特許文献1に記載のものは、板状の建設足場用の仮設機材を加圧水噴出ガンで洗浄するには適している。しかしながら、パイプ状の足場用支柱の場合は、断面が円形状のため、単に表面と裏面を2台の加圧水噴出ガンで同時に洗浄するだけでは十分とは言い難かった。
【0009】
特許文献2に記載のものは、クランプ手段としてパイプ状部材の長手方向の両端開口をモータに連結された駆動側スピンドルの錐状先端部と従動側スピンドルの錐状先端部とで押圧状態で挟持してクランプする押圧手段を必須事項としている。押圧手段は、パイプ状部材を一つずつクランプし、洗浄が終了したパイプ状部材のクランプを解除するクランプ解除動作が必要となる。したがって、例えば、搬送ラインを用いてパイプ状部材を連続的に洗浄することは、困難であり、洗浄効率を上げるための障害となっていた。
【0010】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、パイプ状の足場用支柱に噴出する加圧水の噴出面積密度をパイプ状の足場用支柱の全円周に亘って一様にし、高密度化して洗浄効果を高くすると共に、より効率的に足場用支柱に付着した強固なコンクリート、樹脂塗料などを剥離・洗浄することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、パイプ状部材に加圧水噴出ガンから加圧水を吹き付け、洗浄するパイプ状部材の洗浄装置において、搬送ラインとされ、投入された支柱を洗浄部へ搬送する投入部コンベアと、前記投入部コンベアから搬送された前記支柱を回転手段で軸芯を回転軸芯として回転させつつ長手方向へ移動させながら搬送する前記洗浄部と、前記洗浄部で前記支柱の上方に設けられ、前記回転手段により回転する前記パイプ状部材に前記加圧水を噴射する前記加圧水噴出ガンと、前記洗浄部で洗浄された前記支柱を搬出する排出部コンベアと、前記投入部コンベア、前記洗浄部での搬送及び前記加圧水噴出ガン、及び前記排出部コンベアの動作を制御する制御盤と、を備え、前記回転手段は、前記投入部コンベア、前記洗浄部、前記排出部コンベア上に設けられ、前記支柱を二つ一組で挟み込むように対向配置されたキャスタローラと、長手方向の両端が軸支され前記キャスタローラの外周と接触する回転伝達シャフトと、長手方向の両端が軸支され、一端に従動プーリが設けられた駆動シャフトと、前記駆動シャフトの長手方向に複数設けられ、前記回転伝達シャフトと当接する駆動ローラと、前記従動プーリからドライブチェーンを介して連結された駆動プーリを回転するワーク回転モータと、を有するものである。
【0012】
また、上記のパイプ状部材の洗浄装置において、一組の前記キャスタローラの間隔は、前記支柱の断面中心が前記キャスタローラの回転中心よりやや上方となるように配置されたことが望ましい。
【0013】
さらに、上記のパイプ状部材の洗浄装置において、前記駆動シャフト、前記回転伝達シャフトは、最も長い前記支柱の長さに対して0.5~0.8倍とされたことが望ましい。
【0014】
さらに、上記のパイプ状部材の洗浄装置において、前記加圧水噴出ガンの下に断面が下すぼみの漏斗状とされたガン噴射受けカバーが設けられたことが望ましい。
【0015】
さらに、上記のパイプ状部材の洗浄装置において、前記加圧水噴出ガンは、2台が前記支柱の長手方向に配置されたことが望ましい。
【0016】
さらに、上記のパイプ状部材の洗浄装置において、前記洗浄部で前記支柱を洗浄している間、前記投入部コンベアにおいて次に洗浄する前記支柱が投入されることが望ましい。
【0017】
さらに、上記のパイプ状部材の洗浄装置において、前記制御盤は前記投入部コンベア、前記洗浄部の搬送ライン、前記排出部コンベアの移動速度、起動及び停止をリンクして前記支柱の受け渡しを制御することが望ましい。
【0018】
前記支柱は前記投入部コンベアから前記洗浄部の搬送ラインへ受け渡された時点で回転を開始することが望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、パイプ状部材の回転手段は、投入部コンベア、洗浄部、排出部コンベアに設けられ、支柱を二つ一組で挟み込んで対向配置されたキャスタローラと、長手方向の両端が軸支されキャスタローラの外周と接触する回転伝達シャフトと、長手方向の両端が軸支され、一端に従動プーリが設けられた駆動シャフトと、駆動シャフトの長手方向に複数設けられ、回転伝達シャフトと当接する駆動ローラと、従動プーリを回転するワーク回転モータと、を有するので、足場用支柱に付着した強固なコンクリート、樹脂塗料などを剥離・洗浄する効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るパイプ状部材の洗浄装置の全体を示す概略平面図
【
図2】パイプ状部材の一例である支柱を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1はパイプ状部材の洗浄装置の全体を示す概略平面図であり、
図2は洗浄の対象となる支柱Wを示した斜視図、
図3は支柱Wが長さの異なる種類があることを示す長さの異なる支柱Wの斜視図である。
図2、3で示したパイプ状部材は、手すり先行工法の組立工法によって仮設足場を組み立てる際に、建枠として使用される支柱Wを例として示している。
【0022】
図2に示すように、支柱Wは円管状のパイプ本体W1と、支柱Wの長手方向の複数個所に設けられた鍔状連結部W2とで構成される。
図2の丸で囲んだ拡大図に示すように、鍔状連結部W2は、4つの突起部が十字状に配置された鍔状をしており、各突起部に連結孔W3が形成される。そして、仮設足場の組み立てにおいて、建枠としての支柱同士の間に図示しない手すり枠(パイプ状の布材)を架け渡す際は、手すり枠の両端に設けられた係止具(図示せず)を支柱Wの連結孔W3に着脱自在に連結する。これにより、簡単に手すり枠を取り付けたり取り外したりすることができる。
【0023】
また、仮設足場の組み立てには、
図3に示すように異なる長さの支柱Wが使用されるため、支柱Wの洗浄では、異なる長さの支柱Wの洗浄に対応できることが要求される。例えば、
図3は3600mm、2700mm、1800mm、1350mmの4本の長さの異なる支柱Wを示している。また、鍔状連結部W2の間隔は3600mm、2700mm、1800mmの支柱Wは同じであるが、1350mmの支柱Wとは異なる。
【0024】
図1で示したパイプ状部材の洗浄装置は、フォークリフト40で運ばれた洗浄前の一束支柱WBから支柱Wを投入部コンベア2に手動あるいは多関節ロボットで投入する。投入部コンベア2は投入部コンベアチェーン(図示せず)による搬送ラインとされ、投入された支柱Wを洗浄部1へ搬送する。
【0025】
洗浄部1は、同様にコンベアチェーン20(
図6参照)による搬送ラインとされ、投入部コンベア2から搬送された支柱Wをワーク回転モータ10を有する回転手段で軸芯を回転軸芯として回転させながら支柱Wの長手方向へ移動しながら搬送する。そして、洗浄部1で支柱Wの上方に設けられた加圧水噴出ガン4は、加圧水ポンプ6(例えば超高圧プランジャポンプ)により給水タンク5から加圧水が供給され、噴射コントロール部7を介して支柱Wへ加圧水が噴射される。
【0026】
加圧水噴出ガン4は、大型回転ガン4-1、4-2の2台が支柱Wの長手方向に配置され、支柱Wに付着した強固なコンクリート、樹脂塗料などを剥離・洗浄する。加圧水は複数の噴出ノズル(図示せず)から30~300MPaで噴出される。なお、加圧水は、30MPa以上の圧力で噴出される水のことをいうが、圧力としては、30~300MPaが好ましく、100~300MPaがより好ましい。
【0027】
排出部コンベアチェーン(図示せず)による搬送ラインとされた排出部コンベア3は、洗浄部1で長手方向へ移動しながら洗浄された支柱Wを搬出する。搬出された洗浄後の支柱Wは、纏められ洗浄後の一束支柱WAとしてフォークリフト50で運搬可能とされる。また、次に洗浄する支柱Wは、洗浄部1で支柱Wを洗浄している間、投入部コンベア2において投入される。したがって、パイプ状部材の洗浄装置は、上記動作を繰り返すことによって、支柱Wを次々に連続洗浄できる。したがって、洗浄のための準備時間は短縮される。
なお、支柱Wの投入を手動で行う場合は、投入部コンベア2の手前に作業者が安全に支柱Wを投入できる投入作業台21、排出部コンベア3の先に排出作業台31を設けることが好ましい。これにより、作業者は、投入ストック台22に支柱W機材を置いてから投入部コンベア2に手動で送り込み動作をすることで、支柱Wが搬送され、洗浄部1内に入り洗浄後に排出部コンベア3上に排出される。したがって、排出部コンベア3上に排出された支柱Wが排出作業台31に流れてきて作業者が排出ストック台32へ安全に取出しができる状態になる。
【0028】
さらに、搬送ラインを用いたパイプ状部材の洗浄装置は、加圧水の噴射を支柱Wの全円周に亘って一様にし、高密度化して洗浄効果を高くすると共に、より効率的に洗浄することができるので、洗浄効率を顕著に向上できる。制御盤9は、投入部コンベア2、洗浄部1での搬送及び加圧水の噴射、排出部コンベア3の一連の動作を制御する。
【0029】
図4は洗浄部1の平面図、
図5は
図1の洗浄部1の主要部を示す側面図、
図6はパイプ状部材の回転部を示す斜視図である。支柱Wは、投入部コンベア2の複数個所に設けられたキャスタローラ17-1、17-2の間に把持されて載置される。
【0030】
キャスタローラ17-1、17-2は、投入部コンベア2の投入部コンベアチェーン(図示せず)、洗浄部1のコンベアチェーン20、排出部コンベア3の排出部コンベアチェーン(図示せず)に回転可能として、二つ一組で支柱Wを挟み込んで対向配置される。一組のキャスタローラ17-1、17-2は、長手方向に一定間隔で複数設けられる。一組のキャスタローラ17-1、17-2の間隔は、支柱Wの断面中心がキャスタローラ17-1、17-2の回転中心よりやや上方となるように配置される。
【0031】
これにより、支柱Wは回転ブレが発生しにくくスムーズな回転を行うことができるので、キャスタローラ17-1、17-2から脱落する危険を防止できる。また、支柱Wが回転ブレしないことにより、支柱Wを常に一定の条件下で洗浄することができるので、洗浄される支柱Wごとの洗浄のバラツキをなくすことができる。
また、一組のキャスタローラ17-1、17-2と、隣接する他の組のキャスタローラ17-1、17-2との間隔は、キャスタローラ17-1、17-2と鍔状連結部W2とが接触しない間隔にすることが必要である。この間隔が狭すぎると、複数の鍔状連結部W2のいずれかがキャスタローラ17-1、17-2と接触する場合が有り得るのでそのような間隔は避けることが重要である。
【0032】
なお、キャスタローラ17-1、17-2は投入部コンベア2、洗浄部1のコンベアチェーン20、排出部コンベア3に設けられるとした。しかしながら、キャスタローラ17-1、17-2は、基台(図示せず)を用いて、投入部コンベア2の投入部コンベアチェーン(図示せず)、洗浄部1のコンベアチェーン20、排出部コンベア3の排出部コンベアチェーン(図示せず)に設けても良い。
【0033】
なお、基台を設けない場合は、移動するチェーンの上に支柱Wを直接乗せるチェーンコンベアが適する。基台を設ける場合は、左右2個の車にチェーン、又はベルトを掛け、このベルトに多数の基台を取り付けたバケットコンベア、あるいはベルトやチェーン等を用いて、ローラを回転させるローラコンベアが適する。
【0034】
投入部コンベア2から搬送された支柱Wは洗浄部1へ搬送され、キャスタローラ17-1、17-2が回転すれば軸芯を回転軸芯として回転する。キャスタローラ17-2の外周は、回転伝達シャフト16が接触する。回転伝達シャフト16は長手方向の両端が軸支され、駆動シャフト14が回転して駆動ローラ15と当接して従動的に回転する。
【0035】
駆動シャフト14は長手方向の両端が軸支され、一端に従動プーリ13が固定して設けられる。駆動ローラ15は駆動シャフト14の長手方向に複数設けられる。従動プーリ13はドライブチェーン12を介してワーク回転モータ10に設けられた駆動プーリ11に連結される。
【0036】
洗浄部1のコンベアモータ30は、コンベアチェーン20を駆動する。投入部コンベア2から搬送された支柱Wの搬送及びその速度は、制御盤9によってコンベアモータ30を制御することによって行われる。なお、制御盤9は投入部コンベア2、洗浄部1の搬送ライン、排出部コンベア3の移動速度、起動及び停止をリンクして支柱Wの受け渡しを制御する。例えば、制御盤9は、投入部コンベア2から洗浄部1へ支柱Wを受け渡す場合、搬送の移動速度が同じとなる様に制御して支柱Wの乗り継ぎを制御する。
【0037】
また、制御盤9は支柱Wの長手方向の位置を検出して、投入部コンベア2の投入部コンベアチェーン(図示せず)、洗浄部1のコンベアチェーン20、排出部コンベア3の排出部コンベアチェーン(図示せず)を電磁クラッチ(図示せず)等により、搬送の移動速度、起動及び停止などのタイミングを制御する。
このタイミングの制御の方法は、様々な方法が考えられるが、例えば、支柱Wを送る送り手側のキャスタローラ17-1、17-2が最端に来たタイミングで受け手側のキャスタローラ17-1、17-2も対向する最端から動き出すように制御する方法がある。さらに説明すると、この制御方法によって、送り手側においてキャスタローラ17-1、17-2が接触していた支柱Wの位置と同じ位置(若しくは極めて近い位置)に受け手側のキャスタローラ17-1、17-2も接触するように制御することができるので、受け手側のキャスタローラ17-1、17-2が支柱Wの鍔状連結部W2と接触することを回避することができる。
これにより、鍔状連結部W2が有っても支柱Wの乗り継ぎが可能となる。したがって、パイプ状部材の洗浄装置は、長手方向の複数個所に鍔状連結部W2を有する支柱Wに付着した付着物を洗浄するのに適したものとなる。
【0038】
以上の構成により、支柱Wは、投入部コンベア2から洗浄部1の搬送ラインへ受け渡された時点(支柱Wの先端が洗浄部1へ到達した時点)で回転を開始し、支柱Wが回転した状態で加圧水噴出ガン4を通って進み、排出部コンベア3へ受け渡される。これにより、異なる長さのパイプ状部材(支柱W)を洗浄する際に、パイプ状部材の長さに係らず、洗浄が開始されるので、準備時間を短縮できる。
【0039】
駆動シャフト14、回転伝達シャフト16の水平方向の長さは、
図3で示した4本の支柱Wの最も長い支柱Wの長さに対して0.5~0.8倍とされている。これにより、各支柱Wは安定に回転することができる。さらに、キャスタローラ17-1、17-2は、駆動シャフト14から回転伝達シャフト16を介して回転されるので、駆動シャフト14の回転ブレ等は支柱Wへ伝達されない。
【0040】
そして、異なる長さの支柱Wであっても支柱Wの回転ブレは、支柱Wの先端が洗浄部1へ到達した時点から排出時点に至るまで防止される。支柱Wの回転ブレが防止されることは、支柱Wを常に一定の条件下で洗浄ができることになるので、洗浄される支柱Wごとの洗浄のバラツキをなくすことができる。
【0041】
制御盤9は洗浄装置の近傍に配設され、信号ケーブル又は有線によって洗浄装置を構成する各種手段の駆動部を制御する。なお、駆動部の制御は有線による方法が望ましい。制御盤9は洗浄装置を制御して支柱Wを洗浄するための各種動作、回転動作、洗浄動作、受け渡し、受取動作、排出動作を少なくとも行うプログラムが搭載されている。
【0042】
加圧水噴出ガン4を構成する大型回転ガン4-1、4-2は、加圧水を噴出する複数のノズル(図示せず)が水平面上で十字状に配置され水平回転するクロス型噴出ヘッド、又は複数のノズル(図示せず)が水平面上で円形状に配置され水平回転するサークル型噴出ヘッドが望ましい。
【0043】
大型回転ガン4-1、4-2は支柱Wの長手方向に配列され、両方をクロス型噴出ヘッドあるいはサークル型噴出ヘッドとするか、いずれか一方をクロス型噴出ヘッド、他方をサークル型噴出ヘッドとすることでも良い。
【0044】
長手方向の複数個所に鍔状連結部W2を有する支柱Wの場合は、クロス型噴出ヘッドが回転することで、複数のノズルから噴出された加圧水は略1点に収束されるようにして支柱Wや鍔状連結部W2に大きな衝突力で衝突するようになるので、洗浄効果を一層大きくできる。
【0045】
大型回転ガン4-1、4-2のいずれか一方をクロス型噴出ヘッド、他方をサークル型噴出ヘッドとした場合は、加圧水の異なる洗浄軌跡によって支柱Wを洗浄することができる。したがって、支柱Wを回転させることとの相乗効果によって洗浄効果を一層高めることができる。また、
図5で示すように、大型回転ガン4-1、4-2の下に設けられたガン噴射受けカバー18は、断面が下すぼみの漏斗状(円錐状)とされているので、加圧水をより支柱Wへ集中させることができる。
【0046】
洗浄部1で搬送速度は5~10m/分であると共に大型回転ガン4-1、4-2の回転数は1000~1500rpm、加圧水の噴出圧力は100~120MPa、噴出水量は20~40L/分であることが好ましい。これらの範囲とすることは、洗浄効果を一層大きくできる。
【0047】
なお、洗浄後の加圧水はガン噴射受け皿19で集められ、洗浄汚染水として排水される。洗浄汚染水は貯留タンク(図示せず)に溜められ、洗浄汚染水で満杯になったら、貯留施設等に移動させて洗浄汚染水を処理する。
【0048】
なお、本実施の形態のパイプ状部材の洗浄装置は、手すり先行工法による足場の組立て作業に使用される鍔状連結部W2を有する支柱Wの例で説明したが、全てのパイプ状部材の洗浄に適用できる。
【符号の説明】
【0049】
1…洗浄部、2…投入部コンベア、3…排出部コンベア、4…加圧水噴出ガン、4-1、4-2…大型回転ガン、5…給水タンク、6…加圧水ポンプ、7…噴射コントロール部、9…制御盤、10…ワーク回転モータ、11…駆動プーリ、12…ドライブチェーン、13…従動プーリ、14…駆動シャフト、15…駆動ローラ、16…回転伝達シャフト、17-1、17-2…キャスタローラ、18…ガン噴射受けカバー、19…ガン噴射受け皿、20…コンベアチェーン、21…投入作業台、22…投入ストック台、30…コンベアモータ、31…排出作業台、32…排出ストック台、40、50…フォークリフト、W…支柱、W1…パイプ本体、W2…鍔状連結部、W3…連結孔、WA、WB…一束支柱
【要約】
【課題】パイプ状の足場用支柱に噴出する加圧水の洗浄効果を高くすると共に、より効率的に足場用支柱に付着した強固なコンクリート、樹脂塗料などを剥離・洗浄する。
【解決手段】
パイプ状部材の洗浄装置において、支柱Wを回転手段で軸芯を回転軸芯として回転させながら長手方向へ移動しながら搬送する洗浄部1を備え、回転手段は、投入部コンベア2、洗浄部1、排出部コンベア3に設けられ支柱Wを二つ一組で挟み込んで対向配置されたキャスタローラ17-1、17-2と、長手方向の両端が軸支されキャスタローラ17-1、17-2の外周と接触する回転伝達シャフト16と、長手方向の両端が軸支され一端に従動プーリ13が設けられた駆動シャフト14と、駆動シャフト14の長手方向に複数設けられ回転伝達シャフト16と当接する駆動ローラ15と、従動プーリ13を回転するワーク回転モータ10と、を有する。
【選択図】
図6