(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱するための装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20220222BHJP
【FI】
A24F40/40
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021026445
(22)【出願日】2021-02-22
(62)【分割の表示】P 2018555932の分割
【原出願日】2017-05-12
【審査請求日】2021-02-26
(32)【優先日】2016-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】トーセン, ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】メナート, ジョン クレイ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-184627(JP,A)
【文献】特表平11-503912(JP,A)
【文献】国際公開第94/06314(WO,A1)
【文献】特表2000-509284(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるために前記喫煙材を加熱するよう構成された装置であって、
喫煙材を含む消耗品を使用時に当該装置内に取出し可能に挿入することができる、カラー内に形成された挿入点を一端に有するハウジングと、
使用時に前記消耗品内で前記喫煙材を加熱するために前記ハウジング内に配置された少なくとも一つのヒータ
装置と
、
第1の開口端及び第2の開口端を有する管状本体を備えるチャンバであり、該チャンバが前記カラーと前記少なくとも一つのヒータ装置との間の前記ハウジング内に配置されている、チャンバと、
を備え、
当該装置に前記消耗品が挿入されたときに、前記ハウジングが、前記喫煙材からの少なくとも一つの加熱された揮発成分を当該装置に対して出し入れすることができるよう、前記挿入点において前記消耗品の外側の周りに通気手段を備え、
前記カラーが、前記挿入点の周りに周方向に配置され前記挿入点内に突出
する複数の隆起部を備え、
前記通気手段が、前記消耗品と前記複数の隆起部の隣り合う一対とによって画成されており、
前記複数の隆起部のうちの第1の隣り合う対間に第1の通気路が形成されており、前記通気手段が前記第1の通気路により提供されおり、
前記複数の隆起部のうちの第2の隣り合う対間に第2の通気路が形成されており、前記通気手段が前記第2の通気路により追加的に提供されており、
前記複数の隆起部の位置における前記挿入点のスパンを減じるよう前記複数の隆起部が前記挿入点内に突出しており、
前記カラーが前記ハウジングとは別体であり、前記チャンバの一端が前記カラーに結合されるとともに前記カラーによって支持されており、
前記チャンバが、前記チャンバの内面に沿って周方向に配置された複数の突出部又は隆起部を含み、
当該装置が、前記チャンバ及び前記カラーと同軸に配置されたヒータチャンバを更に備えることにより、前記消耗品が当該装置内に挿入された場合に、前記消耗品が前記カラー及び前記チャンバを通って前記ヒータチャンバ内に延びる、装置。
【請求項2】
前記消耗品を囲むチャンバに入った前記少なくとも一つの加熱された揮発成分が装置から流出することができるように、前記通気手段が構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記カラーが四つの隆起部を備える、請求項1
又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の隆起部が、使用時に当該装置内に収容された前記消耗品と係合するよう構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ヒータ装置が、誘導加熱装置である、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ヒータ装置が、その長さの少なくとも一部に沿って熱絶縁体によって囲まれている、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙材を加熱するよう構成された装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコ等の物品は、使用の間、タバコを燃焼してタバコ煙を発生させる。燃焼せずに化合物を放出する製品を創出することによって、タバコを燃焼させるこれらの物品に代わるものを提供する試みがなされている。そのような製品の例としては、タバコ加熱製品又はタバコ加熱装置としても知られているいわゆる非燃焼・加熱式(heat-not-burn)製品がある。これらは、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する。その材料は、例えば、タバコでもよいし、他の非タバコ製品でもよいし、ブレンドされた混合物等の組み合わせたものでもよく、それらは、ニコチンを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるために喫煙材を加熱するよう構成された装置が提供され、この装置は、喫煙材を包含する消耗品を使用時に当該装置内に取出し可能に挿入することができる挿入点を一端に有するハウジングと、消耗品内で喫煙材を加熱するためにハウジング内に配置された少なくとも一つのヒータとを備え、ハウジングが、喫煙材からの少なくとも一つの加熱された揮発成分を当該装置に対して出し入れすることができるよう、挿入点において消耗品の外側の周りに通気手段を備えている。
【0004】
例示的な一実施形態において、挿入点はカラー内に形成され、カラーは、挿入点の周りに周方向に配置され挿入点内に突出する複数の隆起部を備える。
【0005】
装置に通気手段を設けることによって、空気を装置に入れて、喫煙材からの加熱された揮発成分を冷却することができ、また、加熱された揮発成分の一部を、使用者による吸引がされることなく、装置から逃すことができる。
【0006】
以下、添付図面を参照してなされる、例としてのみ与えられる本発明の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】喫煙材を加熱するための装置の例を示す斜視図である。
【
図2】消耗品が挿入された状態の
図1の装置の横断面図である。
【
図3】消耗品が挿入されていない状態の
図1の装置の横断面図である。
【
図4】
図1の装置の内部構成要素を示すために外側パネルが取り除かれた状態の
図1の装置を示す斜視図である。
【
図5a】
図1の装置の内部構成要素を示す側面図である。
【
図5b】
図1の装置の内部構成要素を示す第1の斜視図である。
【
図5c】
図1の装置の内部構成要素を示す第2の斜視図である。
【
図5d】
図1の装置の内部構成要素を示す背面図である。
【
図6】
図1の装置の別の内部構成要素を示す背面図である。
【
図7】喫煙材を加熱するための装置における上部パネルを示す図である。
【
図8】
図7の装置の上部パネルを示す側面図である。
【
図9】
図7の装置の上部パネルを示す斜視図である。
【
図10】消耗品が挿入された状態の
図7の装置の上部パネルを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本書では、用語「喫煙材」は、加熱されると揮発成分を、典型的にはエアロゾルの形態で供する材料を含む。「喫煙材」は任意のタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの一つ以上を含んでもよい。「喫煙材」はまた、他の非タバコ製品を含んでいてもよい。この非タバコ製品は、製品によってニコチンを含んでもよいし、含まなくてもよい。「喫煙材」は、例えば、固体、液体、ゲル、又は蝋等の形態をとることができる。「喫煙材」はまた、例えば、材料を組み合わせたもの、又はブレンドしたものであってもよい。
【0009】
典型的には、喫煙材を燃やさずに、又は燃焼させずに吸引することができるエアロゾルを形成するために喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させる装置が知られている。このような装置は、「非燃焼加熱式」装置、又は「タバコ加熱製品」、又は「タバコ加熱装置」、又はこれらと類似するものとしても説明される。同様に、いわゆるeシガレット装置(電子タバコ装置)もあり、これは、典型的には、液体の形態の喫煙材(ニコチンを含むものも含まないものあり得る)を気化する。喫煙材は、装置内に挿入され得るロッド、カートリッジ又はカセット等の形態をとる場合や、これらの一部として提供される場合もある。喫煙材を加熱し揮発させるためのヒータは装置の「永久」部品として提供されてもよく、或いは喫煙品の一部、又は使用後破棄され交換される消耗品として提供されてもよい。これに関連して「喫煙品」は、使用時に喫煙材を含み又は収容しており、使用時に加熱され、喫煙材及び任意選択的に他の成分を揮発させる装置、物品又は他の構成部品である。
【0010】
図1~
図4を参照すると、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるために、典型的には吸引することができるエアロゾルを形成するために、喫煙材を加熱するよう構成された装置の一例が示されている。装置1は、喫煙材を燃焼させることなく加熱することによって化合物を放散する加熱装置1である。
【0011】
第1の端部3は、本書では、装置1の口側の端部(口側端部)又は近位端3とも称され、第2の端部5は、本書では、装置1の遠位端5とも称される。装置1には、装置1全体が使用者の所望に応じてオン・オフを切り換えられるようにするオン・オフボタン7が設けられている。
【0012】
装置1は、装置1の様々な内部構成要素を配置し保護するためのハウジング9を含む。図示の例では、ハウジング9は、装置1の周りを囲む一体型スリーブ11を備え、このスリーブ11は、装置1の「上部」を概ね規定する上部パネル17と、装置1の「底部」を概ね規定する底部パネル19とで閉じられている。他の例では、ハウジングは、上部パネル17と底部パネル19に加えて、前部パネル、後部パネル及び一対の互いに対向する側部パネルを備える。
【0013】
上部パネル17及び/又は底部パネル19は、装置1の内部への容易なアクセスを可能にするために、一体型スリーブ11に取外し可能に固定されてもよく、又は、例えば装置1の内部に使用者がアクセスすることができないように、一体型スリーブ11に「恒久的に」固定されてもよい。一例では、パネル17,19は、プラスチック材料(例えば、射出成形によって形成されるガラス充填ナイロン等)から作られ、一体型スリーブ11はアルミニウムから作られるが、他の材料や他の製造プロセスが使用されてもよい。
【0014】
装置1の上部パネル17は、装置1の口側端部3に開口20を有し、この開口20を通して、使用時に、喫煙材を含む消耗品21を使用者が装置1に挿入し、また装置1から取り出すことができる。
【0015】
ハウジング9内には、ヒータ装置23と、制御回路25と、電源27とが配置され又は固定されている。この例では、ヒータ装置23、制御回路25及び電源27は、制御回路25が概ねヒータ装置23と電源27との間に配置された状態で、横方向に隣り合っているが(すなわち、一端から見て隣り合っているが)、他の配置としても可能である。
【0016】
制御回路252は、以下でさらに説明するように、消耗品21内の喫煙材の加熱を制御するように構成され配置されたマイクロプロセッサ装置のようなコントローラを含むことができる。
【0017】
電源274は、例えば、再充電可能なバッテリー又は再充電できないバッテリーのようなバッテリーであってもよい。適切なバッテリーの例には、例えば、リチウムイオン電池、(ニッケル-カドミウム電池のような)ニッケル電池、アルカリ電池等が含まれる。バッテリー27は、必要時に電力を供給するために、また制御回路25の制御下において消耗品内の喫煙材を加熱するために(上述したように、喫煙材を燃焼させることなく、喫煙材を揮発させるために)、ヒータ装置23に電気的に接続されている。
【0018】
電源27をヒータ装置23の側方に隣接して配置する利点は、装置1全体を過度に長くさせることなく、物理的に大きな電源25を使用できることである。理解されるように、一般に、物理的に大きな電源25は、より高い容量(すなわち、供給可能な総電気エネルギー、多くの場合はアンペア時等で測定されるもの)を有し、したがって、装置1のバッテリー寿命をより長くすることができる。
【0019】
一例では、ヒータ装置23は、概ね、中空の内部加熱チャンバ29を有する円筒形の中空管の形態をとり、加熱チャンバ29内に、喫煙材を含む消耗品21が使用時に加熱のために挿入される。ヒータ装置23は別の異なる構成とすることもできる。例えば、ヒータ装置23は、単一の加熱要素からなるものとしてもよいし、ヒータ装置23の長手方向軸線に沿って整列された複数の加熱要素から形成されてもよい。加熱要素は、環状であってもよいし、管状であってもよく、又はその周りにおいて少なくとも部分的に環状であっても、部分的に管状であってもよい。一例では、加熱要素は薄膜ヒータとすることができる。他の例では、加熱要素はセラミックス材料から作られたものでもよい。適切なセラミックス材料の例には、アルミナ、窒化アルミニウム及び窒化ケイ素セラミックスがあり、これらは積層され焼結されてもよい。他の加熱装置も可能であり、例えば、誘導加熱、赤外線を放射することによって加熱する赤外線加熱素子、又は例えば抵抗電気巻線によって形成された抵抗加熱素子等がある。
【0020】
一つの特定の例では、ヒータ装置23は、ステンレス鋼製の支持管によって支持され、ポリイミド加熱要素を備える。ヒータ装置23は、装置1内に消耗品21が挿入された場合に、喫煙材の全体が実質的に使用時に加熱されるように、寸法が定められている。
【0021】
加熱要素は、喫煙材の選択された部分が、例えば、必要に応じて順番に(徐々に)又は一緒に(同時に)個別的に加熱されるように配置構成され得る。
【0022】
この例のヒータ装置23は、熱絶縁体31によってその長さの少なくとも一部に沿って囲まれている。熱絶縁体31は、ヒータ装置23から装置1の外部に伝わる熱を減少させるのに役立つ。これは、一般に熱損失を低減するので、ヒータ装置23の電力条件を低く抑えるのに役立つ。熱絶縁体31はまた、ヒータ装置23の動作中に装置1の外部を低温に維持するのに役立つ。一例では、熱絶縁体31は二重壁型のスリーブであり、これはスリーブの二つの壁の間に低圧領域を有するとよい。すなわち、熱絶縁体31は、例えば、「真空」管、すなわち熱伝導及び/又は対流による伝熱を最小限にするために少なくとも部分的に排気された管であるとよい。二重壁型のスリーブに加えて又はその代わりに、例えば適当な発泡型の材料を含む断熱材料を使用すること等、熱絶縁体31のための他の配置構成も可能である。
【0023】
ハウジング9は、ヒータ装置23だけでなく、すべての内部構成要素を支持するための様々な内部支持構造37(
図4に明示されている)をさらに備えることができる。
【0024】
装置1は、開口部20の周りに延び開口部20からハウジング9の内部に突出するカラー33と、カラー33と真空スリーブ31の一端との間に配置された略管状のチャンバ35とをさらに備える。
【0025】
チャンバ35の一端はカラー33に結合され、このカラー33により支持され、チャンバ35の他端は真空スリーブ31の一端に結合されて真空スリーブ31を支持している。したがって、
図3に明示されるように、カラー33、チャンバ35及び真空管31/ヒータ装置23は同軸に配置されているので、
図2に明示されるように、消耗品21が装置1内に挿入された場合、消耗品21は、カラー33及びチャンバ35を通ってヒータチャンバ29内に延びる。
【0026】
上述したように、この例では、ヒーター装置23は、一般に、円筒形の中空管の形態であり、この中空管は、チャンバ35及びカラー33を通って装置1の口側端部3における開口部20と流体連通している。
【0027】
ここで
図5a~
図5dを参照すると、この例では、チャンバ35は、第1の開口端35b及び第2の開口端35cを有する管状本体35aを備える。管状本体35aは、第1の開口端35bから管状本体35aに沿ってほぼ半分のところまで延びる第1の部分35dと、管状本体35aに沿っておよそ半分離れたところから第2の開口端35cへと延びる第2の部分35eとを備える。第1の部分35dは実質的に一定の内径を有し、第2の部分35eは第2の開口端35cに向かって先細になる内径を有する。
【0028】
チャンバ35は冷却構造35fをさらに備え、冷却構造35fは、この例では、管状本体35aに沿って互いに離間した複数の冷却フィン35fを含み、各冷却フィン35fは、管状本体35aの周りに周方向に配置されている。
【0029】
チャンバ35はまた、第2の開口端35cの周囲に設けられたフランジ部35gと、第2の開口端35cの周囲に配置された複数の突起又はクリップ35hとを備える。各クリップ35hは、略「L」字形であり、フランジ部分35gに接合された第1の部分35h1と、第1の部分35h1に対してほぼ垂直であり且つ管状本体35の長手方向軸線に概ね平行な方向に延びる第2の部分35h2とを備える。各第2の部分35h2は、管状本体35aの長手方向軸線に沿って延びる軸線に面する段差面35iを備え、段差面35iはわずかに湾曲している。
【0030】
図3に明示されるように、この例では、チャンバ35は、カラー33と真空管31/ヒータ23との間のハウジング9内に配置されている。より詳細には、(i)第2の端部35cにおいて、フランジ35gはヒータ装置23のポリイミド管の一端部に接し、クリップ35hは段差面35iを介してポリイミド管と弾性的に係合すると共に、クリップの外面は真空スリーブ31の内面と噛み合う。(ii)第1の端部35bにおいて、チャンバ35は、カラー33の一部をなしチャンバ35内に突出する隆起部60によってカラー33に結合する。隆起部60は、カラー33の第1の端部62から、カラー33の第2の端部63まで、カラー33及びチャンバ35の長手方向軸線に沿って延びる軸線に向かって角度が付けられている。隆起部は、チャンバ35の内面と同一面上にあり、ぴったりとした嵌合をなすようになっている。
【0031】
図2から最も良く分かるように、中空チャンバ35の第1の部分35dの内径は消耗品2の外径よりも大きい。したがって、消耗品2が中空チャンバ35の長さの少なくとも一部にわたって装置内に挿入されたとき、中空チャンバ35と消耗品2との間には空隙36空隙36が形成される。空隙36は、その領域において消耗品21の全周の周りにある。
【0032】
図5c及び
図5dに明示されるように、第2の開口端35cにおいて、チャンバ35は、第2の開口端35cの周縁にてチャンバ35の内面に沿って周方向に配置された複数の(この例では三つの)小さな突出部又は隆起部35jを含む。突出部35jの各々は、チャンバ35の長手方向軸線に平行な方向にわずかな距離で延びており、また、第2の開口端35cにて半径方向にわずかな量で延びている。複数の突出部35jは協働して、消耗品21が装置1内にあるときに、チャンバ35内にある消耗品21の部分を正確に配置し保持するために、消耗品21を把持する把持部分を提供する。突出部35jは、それらの間で、突出部35jによって接触される消耗品の領域内にて消耗品21を緩やかに圧し又は挟み込む。突出部35jは、消耗品21が装置1内に挿入されたときに消耗品を良好に把持するよう、また、消耗品21が装置1から取り出されたときには元の形状に戻るよう、わずかに変形する(例えば圧縮する)ように弾性材料からなる(又は弾性である)とよい。突出部35jは、チャンバ35と一体的に形成されていてもよいし、チャンバ35内に取り付けられた別個の構成要素であってもよい。突出部周りの内径は、例えば5.377mmとすることができる。
【0033】
図6に示す別の例では、中空チャンバ35内の弾性把持部分35kは、略楕円形の開口部35lを画定し、この開口部35lは、中空チャンバ35の長手方向軸線に沿って延び、消耗品21が装置1内に挿入されたとき、楕円形開口部35l内にある消耗品21の部分が、円形断面から楕円形断面に変形するように、その部分を穏やかに圧縮又は挟み込む。一例では、把持部分35kは、第1の開口端35bに向かって配置されている。一例では、挿入/保持力を増減させるために楕円形部分の幅を増減することができる。さらなる例では、楕円形開口部351の全表面領域ではなく、消耗品21と接する楕円形開口部351の表面には、小さな溝(図示せず)を追加することができる。これは、把持部分35kを通過する様々な消耗品構成要素(タバコ、チップペーパー、紙管)の移動に対して挿入/取出しの感度を最小にする。
【0034】
さらなる例では、突出部35jと楕円形把持部分35kとの組み合わせを使用して消耗品21を中空チャンバ35内に保持することができる。例えば、楕円形把持部分35kと複数の突出部35jとは、中空チャンバ35内で長手方向に互いに離間して配置され、挿入された消耗品21を適所に保持するために別個に作用させてもよいし、突出部35jは楕円形把持部分35kの表面の周りに配置されてもよい。
【0035】
チャンバ35は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等を含むプラスチック材料で形成することができる。
【0036】
再び
図2~
図4を参照すると、一例では、加熱チャンバ29は、遠位端5に向かって内径が縮小する領域38を有する。この領域37は、口側端部3の開口部を通過した消耗品21のエンドストッパを提供する。内径が縮小するこの領域38は、例えば、2015年6月26日付けで出願された本願出願人による同時係属中の米国仮特許出願第60/185227号に詳細に記載されたタイプの中空管によって提供されるものである。なお、この仮特許出願の記載内容は参照により本書に援用される。
【0037】
装置1は、加熱チャンバ29を清掃することができるよう、加熱チャンバ29に対してアクセスすることを可能とするために後部パネルの開口部を開閉する蓋39が遠位端5に設けられている。好適な蓋の例は、同時係属中の米国仮特許出願第62/185227号により詳細に説明されている。
【0038】
次にも特に
図7~
図10を参照すると、装置1の上部パネル17の一例が示されている。上部パネル17は、一般に、装置のハウジング9の前端部3を形成する。上部パネル17は、使用時に消耗品21が装置1内に取出し可能に挿入される開口部20の形態にて挿入点を画定するカラー33を支持する。
【0039】
カラー33は、開口部20の周りで延び、開口部20からハウジング9の内部に突出している。一例では、カラー33は、カラー33と上部パネル17とが単一部材となるように、ハウジングの上部パネル17と一体化されている。代替的な例では、カラー33は、上部パネル17とは別個の要素であり、ロック機構、接着剤、ねじ等の取付手段を介して上部パネル17に取り付けられ得る。カラー33を上部パネル17に取り付けるのに適した他の取付け具を使用することもできる。
【0040】
この例では、カラー33は、開口部20の周りに周方向に配置され且つ開口部20内に突出する複数の隆起部60を備える。隆起部60は、隆起部60の位置における開口部20の開放スパンが、隆起部60のない位置における開口部20の開放スパンよりも小さくなるように、開口部20内の空間を占める。隆起部60は、装置1内に消耗品21を固定するのを助けるために、装置1に挿入された消耗品21と係合するように構成されている。
【0041】
一例では、隆起部60は、開口部20の周りに周方向に等間隔で配置されている。一例では、四つの隆起部60があり、他の例では、五つ以上又は三つ以下の隆起部60がある場合もある。
【0042】
図9は、消耗品21が開口部20に挿入された状態の装置の上部パネル17の平面図を示す。隆起部60は、消耗品21と係合するように開口部20内に突出している。隣り合う一対の隆起部60と消耗品21とによって画定される開放空間61は、消耗品21の外面の周りに通気路61を形成する。これらの通気路61は、以下により詳細に説明するように、消耗品21から放散された高温の蒸気が装置1を出て、消耗品21の周囲の装置1内に冷却空気を流入させる。
図10の例は、消耗品21の周囲に配置された四つの通気路61を示しており、このような通気路61が多くても又は少なくても、装置1の通気を可能とする。
【0043】
上述したように、隆起部60は、開口部20内に半径方向に突出しているが、
図8から最も良く分かるように、上部パネル17からもハウジング9内に延びている。隆起部60の突出部は、隆起部60がハウジング内に延びるにつれて、隆起部60間の距離が減少するように、互いに向かって角度が付けられている。
図3に明示されるように、ハウジング内への隆起部60の突出部によって、カラー35を、チャンバ35の第1の開口端35bを通って延びる隆起部60によって、チャンバ35に結合させることができ、チャンバ35の内壁面と係合する。
【0044】
再び
図2を詳細に参照すると、一例では、消耗品21は、円筒状ロッドの形態をしており、消耗品21が装置1に挿入された場合にヒータ装置23内にある消耗品21の部分において、後端部に喫煙材21を有し又は含有する。消耗品21の前端部は、装置1から突出し、エアロゾルを濾過するためのフィルタ及び/又はエアロゾルを冷却するための冷却要素21cのうちの一つ以上を含むマウスピースアセンブリ21bとして機能する。フィルタ/冷却要素21cは、空間21dによって喫煙材21aから離間されており、また、別の空間21eによってマウスピースアセンブリ21bの先端から離間されている。消耗品21は、外側被覆層(図示せず)内に周方向に被包されている。一例では、消耗品21の外側被覆層は、喫煙材からの加熱された揮発成分の一部を消耗品21から放散させることができるよう透過性となっている。
【0045】
作動中、ヒータ装置23は、消耗品21を加熱して、喫煙材21aの少なくとも一つの成分を揮発させる。
【0046】
喫煙材21aからの加熱された揮発成分の主流路は、消耗品21を軸線方向に通って、空間21d、フィルタ/冷却要素21c及び別の空間21eを通り、最終的には、マウスピースアセンブリ21bの開放端を通って使用者の口内に入る。しかし、揮発成分の一部は、消耗品21の透過性の外側被覆層を通って消耗品21から放散され、チャンバ35内の消耗品21を囲む空間36内に入ることがある。
【0047】
消耗品21からチャンバ35内に流入する揮発成分が、フィルタ/冷却要素21cを通過せず、したがって濾過されず冷却もされないので、使用者が吸引することは望ましくない。
【0048】
有利には、チャンバ35内の消耗品21とチャンバ35のフィン冷却式の内壁面とを取り囲む空気によって、消耗品21の外側被覆層を通って消耗品21から放散される揮発成分の少なくとも一部を冷却し、チャンバ35の内壁面上に凝縮させ、これらの揮発成分が使用者によって吸引されることを防止する。
【0049】
この冷却効果は、装置1の外部から、流体を装置に対して出し入れする通気路61を経てチャンバ35内の消耗品21を囲む空間36に入り込むことのできる低温の空気によって助長される。通気路61は、挿入点で消耗品21の外側の周りで通気を行うために、複数の隣り合う隆起部60の対の間に形成される。
【0050】
一例では、少なくとも一つの加熱された揮発成分が第2の位置にて消耗品21から流れるために、第2の隣り合う隆起部の対の間に第2の通気路61が設けられる。したがって、第1及び第2の通気路61によって、挿入点において消耗品21の外側の周りで通気が行われる。
【0051】
さらに、消耗品21の外側被覆層を通って消耗品21から放散する加熱された揮発成分は、チャンバ35の内壁面に凝縮せず、使用者が吸引することなく、通気路61を経て装置1から安全に流出することができる。
【0052】
チャンバ35及び通気手段は、喫煙材からの加熱された揮発成分中に放出される水蒸気組成物の温度及び含有量を低減するのを助ける。
【0053】
本書で説明した様々な実施形態は、特許請求される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。これらの実施形態は単に実施形態のうちの代表的な例として提供されており、包括的及び/又は排他的なものではない。本書で説明した利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を限定するものと考えるべきではなく、特許請求される発明の範囲から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。本発明の様々な実施形態は、本書で特に説明されたもの以外の開示された要素、構成部品、特徴、部品、ステップ、手段等の適切な組合せを好適に備え、それらから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。さらに、本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。
[発明の項目]
[項目1]
喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるために前記喫煙材を加熱するよう構成された装置であって、
喫煙材を含む消耗品を使用時に当該装置内に取出し可能に挿入することができる挿入点を一端に有するハウジングと、
前記消耗品内で前記喫煙材を加熱するために前記ハウジング内に配置された少なくとも一つのヒータと
を備え、
前記ハウジングが、前記喫煙材からの少なくとも一つの加熱された揮発成分を当該装置に対して出し入れすることができるよう、前記挿入点において前記消耗品の外側の周りに通気手段を備える、装置。
[項目2]
前記挿入点がカラー内に形成され、前記カラーが、前記挿入点の周りに周方向に配置され前記挿入点内に突出する複数の隆起部を備える、項目1に記載の装置。
[項目3]
前記複数の隆起部のうちの第1の隣り合う対間に第1の通気路が形成されており、前記通気手段が前記第1の通気路により提供されている、項目2に記載の装置。
[項目4]
前記複数の隆起部のうちの第2の隣り合う対間に第2の通気路が形成されており、前記通気手段が前記第2の通気路により追加的に提供されている、項目3に記載の装置。
[項目5]
前記消耗品を囲むチャンバに入った前記少なくとも一つの加熱された揮発成分が装置から流出することができるように、前記通気手段が構成されている、項目2に記載の装置。
[項目6]
前記複数の隆起部の位置における前記挿入点のスパンを減じるよう前記複数の隆起部が前記挿入点内に突出している、項目2に記載の装置。
[項目7]
前記カラーと前記チャンバが一体である、項目5に記載の装置。
[項目8]
前記カラーが前記チャンバに結合可能である、項目5に記載の装置。
[項目9]
前記カラーが前記ハウジングと一体である、項目2に記載の装置。
[項目10]
前記カラーが前記ハウジングとは別体である、項目2に記載の装置。
[項目11]
前記カラーが四つの隆起部を備える、項目2に記載の装置。
[項目12]
前記複数の隆起部が前記ハウジング内に延び、互いに向かって角度が付けられている、項目2に記載の装置。
[項目13]
前記複数の隆起部が、使用時に当該装置内に収容された前記消耗品と係合するよう構成されている、項目2に記載の装置。