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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】冷却装置及び冷却装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20220222BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20220222BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H01L23/36 Z
H05K7/20 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017004412
(22)【出願日】2017-01-13
(65)【公開番号】P2018113409
(43)【公開日】2018-07-19
【審査請求日】2019-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】大栗 健男
【審査官】平林 雅行
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-114174(JP,A)
【文献】特開2008-170060(JP,A)
【文献】特開2006-313054(JP,A)
【文献】特開2012-013249(JP,A)
【文献】特開2008-282969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00-7/02
F28F 99/00
H01L 23/29
H01L 23/34-23/36
H01L 23/373-23/427
H01L 23/44
H01L 23/467-23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒を供給するための供給口と、内部の冷媒を外部に排出するための排出口と、を備えたケースと、
前記ケース内に配置され、前記冷媒の流れ方向に三角波状に延び、波の振幅方向に間隔をあけて設けられる複数の線状部と、前記線状部の延在方向に間隔をあけて設けられ、前記振幅方向に隣接する前記線状部同士を連結する連結部と、を有する同形状の複数の打ち抜き板を表裏逆向きに互いの前記線状部同士を重ねて形成され、互いに重ねられた前記打ち抜き板の前記連結部同士が前記延在方向に間隔をあけて配置された積層コアと、
を備え、
前記線状部は、複数の振幅の頂部と、前記振幅方向に対して斜めに延び、前記振幅の頂部と交互に配置されて隣接する前記振幅の頂部間をつなぐ複数の直線部とを、有しており、
一方の前記線状部の振幅の頂部と、一方の前記線状部に対して前記振幅方向に隣接する他方の前記線状部の直線部とが前記連結部によって連結されている、冷却装置。
【請求項2】
前記連結部は、一方の前記線状部における振幅の頂部から直線部の延長線上に延びて、前記振幅方向に隣接する他方の前記線状部の直線部に連結されている、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記ケースの内壁面は、前記線状部と同じ形状の波形状部を有し、
前記打ち抜き板には、前記線状部と前記波形状部を連結するための外側連結部が前記線状部の延在方向に間隔をあけて設けられている、請求項1又は請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の冷却装置の製造方法であって、
前記打ち抜き板となる板材に打ち抜き成形によって、第1方向に三角波状に延び、波の振幅方向に間隔をあけて設けられる複数の線状部と、前記線状部の延在方向に間隔をあけて設けられ、前記振幅方向に隣接する前記線状部同士を連結する連結部と、を形成する第1工程と、
同形状の複数の前記板材を表裏逆向きに互いの前記線状部同士を重ねつつ、互いの前記連結部同士が前記延在方向に間隔をあけて配置されるように積層して前記積層コアを形成する第2工程と、
を備える冷却装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置及び冷却装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷媒が流れるケース内に積層コアを配置したヒートシンクが開示されている。この積層コアは、第1方向に沿って直線状に延び、第1方向と直交する方向に間隔をあけて設けられる複数の直線部と、第1方向に間隔をあけて設けられ、上記直交する方向に隣接する直線部同士を連結する連結部と、を有する複数の打ち抜き板を、互いの直線部同士を重ねつつ、互いの連結部同士が第1方向に間隔をあけて配置されるように積層して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6026808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、重ねられた打ち抜き板の第1方向と直交する方向に隣接する直線部間に形成される直線状の流路を冷却水が流れる。この流路には、打ち抜き板に形成された連結部が打ち抜き板の1層おきに積層方向で同じ位置に配置されると共に、打ち抜き板の隣接する層では第1方向に間隔をあけて配置されている。このため、冷却水の流れが打ち抜き板の積層方向で乱されて、流路内における冷却水の打ち抜き板の積層方向(ケース上下方向)の温度分布が均一に近づく。しかし、市場では、更なる冷却性能の向上が望まれている。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、装置内部に形成される流路を流れる冷媒の撹拌性能を向上させた冷却装置及び冷却装置の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の冷却装置は、内部に冷媒を供給するための供給口と、内部の冷媒を外部に排出するための排出口と、を備えたケースと、前記ケース内に配置され、前記冷媒の流れ方向に三角波状に延び、波の振幅方向に間隔をあけて設けられる複数の線状部と、前記線状部の延在方向に間隔をあけて設けられ、前記振幅方向に隣接する前記線状部同士を連結する連結部と、を有する同形状の複数の打ち抜き板を表裏逆向きに互いの前記線状部同士を重ねて形成され、互いに重ねられた前記打ち抜き板の前記連結部同士が前記延在方向に間隔をあけて配置された積層コアと、を備え、前記線状部は、複数の振幅の頂部と、前記振幅方向に対して斜めに延び、前記振幅の頂部と交互に配置されて隣接する前記振幅の頂部間をつなぐ複数の直線部とを、有しており、一方の前記線状部の振幅の頂部と、一方の前記線状部に対して前記振幅方向に隣接する他方の前記線状部直線部とが前記連結部によって連結されている。
【0007】
第1態様の冷却装置では、ケースに接するように冷却対象物を配置することで、冷却対象物からの熱がケースと積層コアに伝達される。ケースと積層コアは、ケース内に供給される冷媒によって冷却される。これにより、冷却対象物の熱が冷媒に奪われ(伝熱され)、冷却対象物が冷却される。
【0008】
ここで、上記冷却装置では、重ねられた打ち抜き板において波の振幅方向に隣接する線状部間に流路が形成される。この流路は、線状部と同様に三角波状に形成されるため、例えば、一直線状に形成される構成と比べて、内部を流れる冷媒の流れを波の振幅方向に乱すことができる。すなわち、上記流路を流れる冷媒を波の振幅方向に撹拌することができる。
また、打ち抜き板に形成された連結部は、打ち抜き板の隣接する層において線状部の延在方向に間隔をあけて配置されている。このため、上記連結部によって、上記流路を流れる冷媒の流れを打ち抜き板の積層方向に乱すことができる。すなわち、流路を流れる冷媒を打ち抜き板の積層方向に撹拌することができる。
このように上記冷却装置では、流路を流れる冷媒を波の振幅方向に撹拌すると共に打ち抜き板の積層方向に撹拌することができる。
以上のことから、第1態様の冷却装置によれば、流路を流れる冷媒の撹拌性能を向上させることができる。その結果、冷却装置の冷却性能が向上する。
また、第1態様の冷却装置では、連結部によって一方の線状部の振幅の頂部と、一方の線状部に対して振幅方向に隣接する他方の線状部の直線部とを連結している。このため、上記冷却装置では、例えば、連結部によって一方の線状部の振幅の頂部と、他方の線状部の振幅の底部(頂部の反対側、すなわち谷部)とを連結する構成と比べて、流路を流れる冷媒の勢いが低下しにくくなる。また、上記冷却装置では、例えば、連結部によって一方の線状部の直線部と、他方の線状部の直線部とを連結する構成と比べて、打ち抜き成形後の板材(打ち抜き板)に反りが生じにくくなる。
【0009】
本発明の第2態様の冷却装置は、第1態様の冷却装置において、前記連結部は、一方の前記線状部における振幅の頂部から直線部の延長線上に延びて、前記振幅方向に隣接する他方の前記線状部の直線部に連結されている
【0011】
本発明の第3態様の冷却装置は、第1態様又は第2態様の冷却装置において、前記ケースの内壁面は、前記線状部と同じ形状の波形状部を有し、前記打ち抜き板には、前記線状部と前記波形状部を連結するための外側連結部が前記線状部の延在方向に間隔をあけて設けられている。
【0012】
第3態様の冷却装置では、重ねられた打ち抜き板の線状部とケース内壁面の波形状部との間に形成される流路も、重ねられた打ち抜き板において波の振幅方向に隣接する線状部間に形成される流路と同様の作用を得られる。このため、冷却装置の冷却性能がさらに向上する。
【0013】
本発明の第4態様の冷却装置の製造方法は、第1態様~第3態様のいずれか一態様の冷却装置の製造方法であって、前記打ち抜き板となる板材に打ち抜き成形によって、第1方向に三角波状に延び、波の振幅方向に間隔をあけて設けられる複数の線状部と、前記線状部の延在方向に間隔をあけて設けられ、前記振幅方向に隣接する前記線状部同士を連結する連結部と、を形成する第1工程と、同形状の複数の前記板材を表裏逆向きに互いの前記線状部同士を重ねつつ、互いの前記連結部同士が前記延在方向に間隔をあけて配置されるように積層して前記積層コアを形成する第2工程と、を備えている。
【0014】
第4態様の冷却装置の製造方法では、第1工程と第2工程を経て第1態様~第3態様のいずれか一態様の冷却装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、装置内部に形成される流路を流れる冷媒の撹拌性能を向上させた冷却装置及び冷却装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態の冷却装置の平面図である。
図2図1の2-2線断面図である。
図3図2の3-3線断面図である。
図4図2の積層コアを形成する打ち抜き板の表面を示す平面図である。
図5図4の打ち抜き板の裏面を示す平面図である。
図6図2の積層コアの一部を拡大した拡大平面図であり、さらに拡大平面図の一部を斜視図で示している。
図7図3の7-7線断面図である。
図8】本発明のその他の実施形態の冷却装置の積層コアを形成する打ち抜き板の表面を示す平面図である。
図9図8の打ち抜き板の裏面を示す平面図である。
図10図8の冷却装置の分解斜視図である。
図11】その他の実施形態の冷却装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明に係る一実施形態の冷却装置及び冷却装置の製造方法について説明する。なお、各図において適宜図示される矢印X、矢印Y、矢印Zは、冷却装置の装置幅方向、装置奥行き方向、装置厚さ方向をそれぞれ示している。また、本実施形態では、矢印Z方向を装置上下方向として説明する。
【0018】
図1には、本実施形態の冷却装置20が示されている。この冷却装置20は、例えば、CPUや電力用半導体素子などの発熱体(冷却対象物)Hを冷却するために用いられる。具体的には、冷却装置20に発熱体Hを接触させて、この発熱体Hの熱を冷却装置20の内部を流れる冷媒に伝達することにより、発熱体Hを冷却するものである。
【0019】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の冷却装置20は、ケース22と、ケース22内に設置される積層コア30と、を有している。
【0020】
(ケース22)
図2に示されるように、ケース22は、ケース本体24と、このケース本体24の装置厚さ方向の開口24Aを閉じる蓋体26と、を有している。
【0021】
ケース本体24は、板状の底部24Bと、底部24Bの外周縁部に立設された側壁部24Cとで構成されている。このケース本体24は、金属材料(例えば、アルミニウム、銅)を用いて形成されている。
【0022】
図1及び図2に示されるように、蓋体26は、板状とされ、ケース本体24の側壁部24Cの底部24B側と反対側の端面に接合されている。なお、本実施形態では、蓋体26は、ケース本体24の端面にろう付けによって接合されている。また、蓋体26は、金属材料(例えば、アルミニウム、銅)を用いて形成されている。
【0023】
また、ケース本体24の側壁部24Cには、ケース22の内部に冷媒(例えば、冷却水、オイル)を供給するための供給口27Aが、装置幅方向の一端側に形成されている。この供給口27Aには、冷媒供給源に連結された供給パイプ28(図1参照)が接続されている。
【0024】
また、ケース本体24の側壁部24Cには、ケース22の内部の冷媒を外部に排出するための排出口27Bが装置幅方向の他端側に形成されている。この排出口27Bには、排出パイプ29(図1参照)が接続されている。
【0025】
(積層コア30)
図3図6に示されるように、積層コア30は、同形状の複数の打ち抜き板32を表裏逆向きに重ねて形成されている。具体的には、一方の打ち抜き板32の表面32A(図4で示される面)に他方の打ち抜き板32の裏面32B(図5で示される面)を重ねて形成されている。また、本実施形態の積層コア30は、打ち抜き板32を6枚重ねて形成されている。すなわち、積層コア30には、打ち抜き板32の層が6層形成されている。
【0026】
打ち抜き板32は、金属製の板材に打ち抜き成形によって複数の線状部34と複数の連結部36とを形成したものである。打ち抜き板32となる板材の材質としては、例えば、アルミニウム、銅を用いることが好ましい。なお、本実施形態では、ろう付けの観点から、両面がろう材層とされたクラッド鋼板(アルミニウム製)を用いている。
【0027】
線状部34は、冷媒Lの流れ方向(本実施形態では、装置幅方向と同じ方向)に波状に延びており、波の振幅方向(本実施形態では、装置奥行き方向と同じ方向)に間隔をあけて複数設けられている。なお、本実施形態の線状部34は、冷媒Lの流れ方向に三角波状(換言すると、ジグザグ状)に延びている。また、振幅方向に隣接する線状部34は、互いに平行に配置されている。
【0028】
連結部36は、線状部34の延在方向に間隔をあけて設けられており、振幅方向に隣接する線状部34同士を連結している。なお、ここでいう線状部34の延在方向とは、線状部34の幅中心を通る中心線に沿った方向である。
【0029】
また、連結部36は、振幅方向に隣接する線状部34同士において、一方の線状部34の振幅の頂部34Aと、他方の線状部34の一般部34Bとを連結している。なお、ここでいう一般部34Bとは、線状部34の頂部34A以外の部分を指す。また、本実施形態では、線状部34を三角波状としているため、頂部34Aが三角波の角部であり、一般部34Bが頂部34A間をつなぐ直線部である。なお、連結部36は、一方の線状部34の振幅の頂部34A(谷部と反対側)から一般部34Bの延長線上に延びて、他方の線状部34の一般部34Bに連結されている。
【0030】
前述の積層コア30は、複数(本実施形態では6枚)の打ち抜き板32を表裏逆向きに互いの線状部34同士を重ねつつ、互いの連結部36同士が線状部34の延在方向に間隔をあけて配置されるように積層して形成されている。また、重ねられた打ち抜き板32は、ろう付けによって互いに接合されている。
【0031】
積層コア30の上面(装置上側に位置する打ち抜き板32の面)は、蓋体26の下面にろう付けされている。一方、積層コア30の下面(装置下側に位置する打ち抜き板32の面)は、ケース本体24の底面にろう付けされている。
【0032】
また、積層コア30には、重ねられた打ち抜き板32における上記振幅方向に隣接する線状部34間に流路38が形成されている。この流路38は、打ち抜き板32の積層方向(装置上下方向と同じ方向)から見て線状部34と同様に三角波状に形成されている。
【0033】
図3に示されるように、ケース本体24の内壁面(側壁部24Cの内壁面)には、線状部34と同じ形状の波形状部24Dが形成されている。また、前述の打ち抜き板32には、線状部34と波形状部24Dを連結するための外側連結部40が線状部34の延在方向に間隔をあけて設けられている。この波形状部24Dと積層コア30との間には、流路42が形成されている。この流路42は、打ち抜き板32の積層方向から見て線状部34と同様に三角波状に形成されている。
【0034】
次に、本実施形態の冷却装置20の製造方法について説明する。
(第1工程)
まず、打ち抜き板32となる板材に打ち抜き成形によって複数の長孔44を設けて、第1方向に波状に延び、波の振幅方向に間隔をあけて設けられる複数の線状部34と、線状部34の延在方向に間隔をあけて設けられ、上記振幅方向に隣接する線状部34同士を連結する連結部36と、を形成する。
【0035】
(第2工程)
次に、同形状の複数(本実施形態では6枚)の打ち抜き板32を表裏逆向きに互いの線状部34同士を重ねつつ、互いの連結部36同士が第1方向に間隔をあけて配置されるように積層して積層コア30を形成する。その後、積層コア30を加熱して、重ねられた打ち抜き板32同士をろう付けにより接合する。
【0036】
(第3工程)
次に、積層コア30を、ケース本体24の底部24B上に設置する(図2図示状態)。その後、ケース本体24の開口24Aを蓋体26で閉じる。このとき、積層コア30の下面がケース22の底面に接触し、積層コア30の上面が蓋体26の下面に接触している。
【0037】
そして、ケース22を加熱して、ケース22と積層コア30をろう付けによって接合する。このようにして冷却装置20の製造が完了する。
【0038】
次に、本実施形態の冷却装置20の作用効果について説明する。
冷却装置20では、図1及び図2に示されるように、ケース22に接するように発熱体Hを配置することで、発熱体Hからの熱がケース22と、このケース22を介して積層コア30に伝達される。ケース22と積層コア30は、ケース22内に供給される冷媒Lとの熱交換によって冷却される。これにより、発熱体Hの熱が冷媒に奪われ(伝熱され)、発熱体Hが冷却される。
【0039】
ここで、上記冷却装置20では、重ねられた打ち抜き板32において波の振幅方向に隣接する線状部34間に流路38が形成される。この流路38は、線状部34と同様に波状に形成されるため、例えば、一直線状に形成される構成と比べて、内部を流れる冷媒Lの流れを波の振幅方向(装置奥行き方向)に乱すことができる(図6参照)。すなわち、上記流路38を流れる冷媒Lを波の振幅方向に撹拌することができる。
【0040】
また、打ち抜き板32に形成された連結部36は、打ち抜き板32の隣接する層において線状部34の延在方向に間隔をあけて配置されている。具体的には、連結部36は、打ち抜き板32の1層おきに積層方向で同じ位置に配置されると共に、打ち抜き板32の隣接する層では線状部34の延在方向に間隔をあけて配置されている。このため、上記連結部36によって、流路38を流れる冷媒の流れを打ち抜き板32の積層方向に乱すことができる(図7参照)。すなわち、流路38を流れる冷媒を打ち抜き板32の積層方向に撹拌することができる。
【0041】
このように冷却装置20では、流路38を流れる冷媒を流路38の振幅方向(装置奥行き方向)に撹拌すると共に打ち抜き板32の積層方向(装置上下方向)に撹拌することができる。
以上のことから、冷却装置20によれば、流路38を流れる冷媒の撹拌性能を向上させることができる。その結果、流路38の温度分布を装置上下方向及び装置奥行き方向で均一に近づけることができ、冷却装置の冷却性能が向上する。
【0042】
また、冷却装置20では、連結部36によって一方の線状部34の振幅の頂部34Aと、振幅方向に隣接する他方の線状部34の一般部34Bとを連結している。このため、冷却装置20では、例えば、連結部36によって一方の線状部34の振幅の頂部34Aと、他方の線状部34の振幅の底部(頂部34Aの反対側、すなわち谷部)とを連結する構成と比べて、流路38を流れる冷媒の勢いが低下しにくくなる。また、上記冷却装置20では、例えば、連結部36によって一方の線状部34の一般部34Bと、他方の線状部34の一般部34Bとを連結する構成と比べて、打ち抜き成形後の板材(打ち抜き板32)に反りが生じにくくなる。
【0043】
さらに、冷却装置20では、積層コア30とケース22の波形状部24Dとの間に形成される流路42も、流路38と同様の作用を得られる。このため、冷却装置20の冷却性能がさらに向上する。
【0044】
また、冷却装置20では、同形状の複数の打ち抜き板32を表裏逆向きに積層して積層コア30を形成するため、例えば、異なる形状の複数の打ち抜き板を積層して積層コアを形成する構成と比べて、部品点数を低減できる。また、同形状の複数の打ち抜き板32で積層コア30を形成するため、製造工程において、部品の管理コスト及び金型コストを削減できる。
【0045】
前述の実施形態では、同形状の6枚の打ち抜き板32を積層して積層コア30を形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。少なくとも同形状の2枚の打ち抜き板32を積層して積層コアを形成すれば、前述の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
また、前述の実施形態では、線状部34を三角波状に形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、線状部34を正弦波状、台形波状に形成してもよい。
【0047】
さらに、前述の実施形態では、ケース22と積層コア30を別体としているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、図8図11に示される冷却装置50のように、積層コア30を形成する打ち抜き板32にケース52の外周部(側壁部)52Aとなる線状部54を形成する構成としてもよい。この構成により、同形状の打ち抜き板32を互いに表裏逆向きに積層することで、重ねられた線状部54によって外周部52Aが形成される。また、ケース52の上面52B(一方の伝熱面)及び下面52C(他方の伝熱面)は、同形状の板材56によって形成されている。このため、上記冷却装置50は、前述の実施形態と比べて、部品点数をさらに減らすことができる。
【0048】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲がこれらの実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0049】
20、50 冷却装置
22、52 ケース
24D 波形状部
27A 供給口
27B 排出口
30 積層コア
32 打ち抜き板
34 線状部
34A 頂部
34B 一般部
36 連結部
40 外側連結部
X 装置幅方向(冷媒の流れ方向、第1方向)
Y 装置奥行き方向(波の振幅方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11