(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】プレスシステムおよびプレスシステムの制御方法
(51)【国際特許分類】
B30B 15/28 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
B30B15/28 K
(21)【出願番号】P 2015142977
(22)【出願日】2015-07-17
【審査請求日】2018-06-07
【審判番号】
【審判請求日】2020-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】394019082
【氏名又は名称】コマツ産機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 隆彦
【合議体】
【審判長】刈間 宏信
【審判官】河端 賢
【審判官】田々井 正吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5327349(US,A)
【文献】米国特許第6237479(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0090040(US,A1)
【文献】特開平9-314259(JP,A)
【文献】特公昭37-1637(JP,B1)
【文献】特許第4044443(JP,B2)
【文献】特開平8-314539(JP,A)
【文献】特許第4794904(JP,B2)
【文献】特許第3913488(JP,B2)
【文献】特開2000-42795(JP,A)
【文献】特許第5537138(JP,B2)
【文献】特開2001-100817(JP,A)
【文献】特許第4555346(JP,B2)
【文献】特許第3650810(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークをプレス加工する際のプレス装置の異常発生を前記プレス装置に設けられたセンサからの検出信号に基づいて検出する検出部と、
前記検出部により検出された前記プレス装置の異常と、前記異常の発生により前記プレス装置のプレス動作を停止した期間とに基づいて、前記異常の異常レベルを判断する異常判断部
と、
前記プレス動作の停止期間をカウントするカウント部とを備え、
前記カウント部は、
所定のプレス動作が実行された場合にはカウントを停止せず、
前記所定のプレス動作が実行されない場合にはカウントを停止する、プレスシステム。
【請求項2】
前記異常判断部の判断結果に基づいて異常および異常レベルの少なくとも一方を発報する異常発報部をさらに備える、請求項1記載のプレスシステム。
【請求項3】
前記異常判断部の判断結果に基づいて異常データを保存する異常保存部をさらに備える、請求項1記載のプレスシステム。
【請求項4】
前記検出部により検出された異常内容を判断する異常内容判断部をさらに備え、
前記異常保存部は、前記異常内容判断部および前記異常判断部の判断結果に基づいて前記異常データを保存する、請求項3記載のプレスシステム。
【請求項5】
前記異常保存部は、
前記異常判断部の判断結果に従って前記異常データを保存するか否かを問い合わせる問合わせ部と、
前記問合わせ部に対するユーザの指示に従って前記異常データの保存処理を実行する実行部とを含む、請求項3記載のプレスシステム。
【請求項6】
ワークをプレス加工する際のプレス装置の異常発生を検出する、前記プレス装置に設けられたセンサからの異常発生信号を受信するステップと、
受
信された前記異常発生信号と、前記異常発生信号の発生により前記プレス装置のプレス動作を停止した期間情報とに基づいて、前記異常の異常レベルを判断するステップと、
前記プレス動作の停止期間をカウントする
ステップとを備え、
前記カウント
するステップは、所定のプレス動作が実行された場合にはカウントを停止
せず、前記所定のプレス動作が実行されない場合にはカウントを停止する、プレスシステムの制御方法。
【請求項7】
前記判断の結果に基づいて異常および異常レベルの少なくとも一方を発報するように指示する発報指示データを送信するステップとをさらに備える、請求項6記載のプレスシステムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレスシステムであって、特にワークをプレスするプレスシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばトランスファプレスのサーボフィーダ装置において、サーボモータを制御しているコントローラは、サーボ系の状態量(偏差、軸間ずれ量、アンプ異常、オーバラン、センサ異常、システムの安全に係わる状態量等)を常時監視しており、これら状態量が予め設定された範囲を超える異常状態が検出されると、この異常状態を外部表示器に表示して装置を停止させるといった異常処理を行っている。
【0003】
この点で、例えば、特開平9-314259号公報および特開2000-6854号公報等においては、異常時の際の状態を示すデータを保存して解析処理に利用する方式が知られている。
【0004】
一方で、プレス機械では、プレス加工の状態によっては異常状態が生じ易く、また、1つの異常で関連する複数の異常が生じる場合もあり、異常レベルの峻別が重要となってくる。
【0005】
この点で、特開2004-36506号公報においては、異常事象の発生頻度を分析して、発生頻度の高い異常事象のデータを優先して保存する方式が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平9-314259号公報
【文献】特開2000-6854号公報
【文献】特開2004-36506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プレスシステムにおいては、異常事象の発生頻度が高いからといって異常の重要度が高いか否かは判断できず、異常事象の発生頻度が高い場合であっても異常の重要度としては低い可能性もあり得る。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、簡易な方式で異常レベルの峻別が可能なプレスシステムおよびプレスシステムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある局面に従うプレスシステムは、ワークをプレス加工する際の異常発生を検出する検出部と、検出部により検出された異常と異常が発生した後のプレス動作の停止期間とに基づいて異常レベルを判断する異常判断部とを備える。
【0010】
本発明によれば、異常が発生した後のプレス動作の停止期間に基づいて異常レベルを判断するため簡易な方式で異常レベルを判断することが可能である。
【0011】
好ましくは、異常判断部の判断結果に基づいて異常および異常レベルの少なくとも一方を発報する異常発報部をさらに備える。
【0012】
本発明によれば、異常判断部の判断結果に基づいて異常および異常レベルの少なくとも一方を発報することにより異常および異常レベルの少なくとも一方を認知することが可能である。
【0013】
好ましくは、異常判断部の判断結果に基づいて異常データを保存する異常保存部をさらに備える。
【0014】
本発明によれば、異常判断部の判断結果に基づいて異常データを保存することで異常レベルの高い異常データを保存可能なため、確保するメモリの容量を低減することが可能である。
【0015】
好ましくは、検出部により検出された異常内容を判断する異常内容判断部をさらに備える。異常保存部は、異常内容判断部および異常判断部の判断結果に基づいて異常データを保存する。
【0016】
本発明によれば、異常内容判断部および異常判断部の判断結果に基づいて異常データを保存するため効率的に異常データを保存することが可能である。
【0017】
好ましくは、異常保存部は、異常判断部の判断結果に従って異常データを保存するか否かを問い合わせる問合わせ部と、問合わせ部に対するユーザの指示に従って異常データの保存処理を実行する実行部とを含む。
【0018】
本発明によれば、ユーザに保存の有無を問い合わせて、保存の意思を確認しつつ、指示に従って異常データを保存するためユーザの意思を尊重しつつ異常データを確実に保存することが可能である。
【0019】
好ましくは、プレス動作の停止期間をカウントするカウント部をさらに備える。カウント部は、所定のプレス動作が実行された場合にはカウントを停止しない。
【0020】
本発明によれば、所定のプレス動作が実行された場合にはカウントを停止しないことにより、運転再開(復旧)ではない所定のプレス動作により異常レベルの判定が誤判定とならないようにすることが可能であり、判定の精度を高くすることが可能である。
【0021】
ある局面に従うプレスシステムの制御方法は、ワークをプレス加工する際の異常発生信号を受信するステップと、受信された異常発生信号と異常発生信号が発生した後のプレス動作の停止期間情報とに基づいて異常レベルを判断するステップとを備える。
【0022】
本発明によれば、異常が発生した後のプレス動作の停止期間に基づいて異常レベルを判断するため簡易な方式で異常レベルを判断することが可能である。
【0023】
好ましくは、判断結果に基づいて異常および異常レベルの少なくとも一方を発報するように指示する発報指示データを送信するステップとをさらに備える。
【0024】
本発明によれば、判断の結果に基づいて異常および異常レベルの少なくとも一方を発報するように発報指示データを送信することにより異常および異常レベルの少なくとも一方を認知することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明のプレスシステムおよびプレスシステムの制御方法は、簡易な方式で異常レベルの峻別が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実施形態1に基づくプレスシステムの構成を説明する図である。
【
図2】実施形態1に基づくプレス装置10の斜視図である。
【
図3】プレス装置10の要部を示す側断面図である。
【
図4】プレス装置10の別の要部を示す一部断面の平面図である。
【
図5】実施形態1に基づくプレス装置10の構成の一部を説明する図である。
【
図6】実施形態1に基づく制御装置40の機能ブロックを説明する図である。
【
図7】実施形態1に基づくプレス装置10の異常判断の具体例を説明する図である。
【
図8】実施形態1に基づくプレスシステムの異常レベルを処理するフローを説明する図である。
【
図9】実施形態1に基づく異常データの保存について説明する概念図である。
【
図10】実施形態2に基づく制御装置40Aの機能ブロックを説明する図である。
【
図11】実施形態2に基づく問合わせ画面を説明する図である。
【
図12】実施形態2に基づくプレスシステムの異常レベルを処理するフローを説明する図である。
【
図13】実施形態3に基づく制御装置40Bの機能ブロックを説明する図である。
【
図14】実施形態3に基づくプレスシステムの異常レベルを処理するフローを説明する図である。
【
図15】実施形態3に基づく異常の異常内容の種別分類を説明する図である。
【
図16】実施形態に基づくプレスシステムの別の形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0028】
本例においては、プレス機械に関し、順送型のプレス機械を例に挙げて説明する。
(実施形態1)
<全体構成>
図1は、実施形態1に基づくプレスシステムの構成を説明する図である。
【0029】
図1に示されるように、プレスシステムは、アンコイラ100と、レベラーフィーダ200と、プレス装置10と、搬送コンベア120とを含む。
【0030】
アンコイラ100には、コイルが巻き付けられておりレベラーフィーダ200を介してプレス装置10にコイルが搬送される。本例においては、ワーク(材料)としてコイルをプレス加工する場合について説明する。
【0031】
レベラーフィーダ200は、アンコイラ100からプレス装置10に搬送するコイルの送り高さの位置を調整するとともにプレス装置10に対してコイルを所定タイミングで搬送する。
【0032】
プレス装置10は、レベラーフィーダ200から搬送されたコイルに対して選択された成形条件(プレスモーション)に従ってプレス加工する。
【0033】
搬送コンベア120は、プレス装置10にてプレス加工により成形したワークを搬送する。例えば、次のプレス機械に搬送することも可能である。
【0034】
プレスシステムの各部は同期しており、一連の作業が順次連続して実行される。アンコイラ100からコイルがレベラーフィーダ200を介してプレス装置10に搬送される。そして、プレス装置10でプレス加工され、加工されたワークは搬送コンベア120により搬送される。上記一連の処理が繰り返される。
【0035】
なお、上記プレスシステムの構成は、一例であり、特に当該構成に限られるものではない。
【0036】
<プレス機械>
図2は、実施形態1に基づくプレス装置10の斜視図である。
【0037】
図2に示されるように、一例として順送型のプレス機械が示されている。本例においてはプレス装置10としてサーボプレスが示されている。
【0038】
プレス装置10は、本体フレーム2と、スライド20と、ベッド4と、ボルスタ5と、コントロールパネル6と、制御装置40とを備える。
【0039】
プレス装置10の本体フレーム2の略中央部には、スライド20が上下動自在に支承されている。スライド20に対する下方には、ベッド4上に取り付けられたボルスタ5が配置されている。本体フレーム2の前方には、コントロールパネル6が設けられている。本体フレーム2の側方には、コントロールパネル6が接続された制御装置40が設けられている。
【0040】
スライド20の下面には、金型を固定するためのボルスタプレート22Aが設けられている。金型の内の上金型32Aは、ボルスタプレート22Aに装着されている。ボルスタ5の上面には、金型を固定するためのボルスタプレート22Bが設けられている。ワークを加工するための金型の内の下金型32Bは、ボルスタプレート22Bに装着されている。こうして、これからの金型に対応する所定のワークを下金型32Bに位置させ、上金型32Aをスライド20と共に降下させてプレス加工する。
【0041】
また、プレス装置10本体と通信可能に設けられた外部から遠隔操作可能なリモコン70が設けられている。リモコン70を操作することにより各種の設定操作を行うことが可能である。リモコン70は、制御装置40と通信し、リモコン70からの指示に従ってプレス装置10を動作させることが可能である。
【0042】
本例においては、リモコン70において、スライドを上下動作させることが可能な上ボタン72および下ボタン74と、運転モードを切り替えることが可能なモード切替ボタン76とが設けられている場合が示されている。たとえば、モード切替ボタン76を選択することにより、一例として通常のプレス加工を実行する生産モードを切り替えて寸動運転が可能な寸動運転モードに切り替えることが可能である。当該寸動運転モードにおいては、上ボタン72および下ボタン74を操作することによりスライドの上下動作によりスライド位置の高さの調節が可能である。なお、本例においては、リモコン70を利用して寸動運転を実行する場合について一例として説明するが、特にリモコン70を用いることなく、後述するコントロールパネル6から操作することも可能である。
【0043】
コントロールパネル6は、プレス装置10を制御するために必要な各種データを入力するものであり、データを入力するためのスイッチやテンキー、および設定画面やプレス装置10から出力されるデータを表示する表示器を有している。
【0044】
表示器としては、透明タッチスイッチパネルを液晶表示器やプラズマ表示器等のグラフィック表示器を前面に装着した、プログラマブル表示器が採用されている。
【0045】
なお、このコントロールパネル6は、予め設定されたデータを記憶したICカード等の外部記憶媒体からのデータ入力装置、または無線や通信回線を介してデータを送受信する通信装置を備えていてもよい。
【0046】
なお、本例においては、プレス装置10に対してコントロールパネル6およびリモコン70が設けられる構成について説明するが、上記プレス機械の構成は一例であり、例えば一方のみ設けられた構成とすることも可能であり、特に当該構成に限られるものではない。
【0047】
図3は、プレス装置10の要部を示す側断面図である。
図4は、プレス装置10の別の要部を示す一部断面の平面図である。
【0048】
図3に示されるように、プレス装置10は、サーボプレスであり、サーボモータ121と、球面孔33Aと、ねじ軸37と、球体部37Aと、ねじ部37Bと、コンロッド本体38と、雌ねじ部38Aと、コンロッド39と、メインシャフト110と、エキセン部110Aと、サイドフレーム111と、軸受部112~114と、メインギア115と、動力伝達軸116と、伝達ギア116Aと、軸受部117,118と、プーリ119とをさらに有する。
【0049】
プレス装置10では、サーボモータ121によりスライド20を駆動している。スライド20の上部に形成された球面孔33A内には、ダイハイト調整用のねじ軸37の下端に設けられた球体部37Aが抜け止めされた状態で回動自在に挿入されている。球面孔33Aおよび球体部37Aにより、球状継手が構成されている。ねじ軸37のねじ部37Bは、上方に向けてスライド20から露出し、ねじ軸37の上方に設けたコンロッド本体38の雌ねじ部38Aに螺合している。ねじ軸37およびコンロッド本体38により、伸縮自在なコンロッド39が構成されている。
【0050】
なお、ダイハイトとは、スライド20を下死点にしたときのスライド下面からボルスタ上面の距離をいう。
【0051】
コンロッド39の上部は、メインシャフト110に設けられたクランク状のエキセン部110Aに回動自在に連結されている。メインシャフト110は、本体フレーム2を構成する左右一対の厚板状のサイドフレーム111間において、前後3箇所の軸受部112,113,114で支承されている。メインシャフト110の後部側には、メインギア115が取り付けられている。
【0052】
メインギア115は、その下方に設けられた動力伝達軸116の伝達ギア116Aと噛合している。動力伝達軸116は、サイドフレーム111間において、前後2箇所の軸受部117,118で支承されている。動力伝達軸116の後端には、従動側のプーリ119が取り付けられている。プーリ119は、その下方に配置されたサーボモータ121で駆動される。
【0053】
プレス装置10は、ブラケット122と、出力軸121Aと、プーリ123と、ベルト124と、ブラケット125と、位置検出器126と、ロッド127と、位置センサ128と、補助フレーム129と、ボルト131,132とをさらに有する。
【0054】
サーボモータ121は、略L字形状のブラケット122を介してサイドフレーム111間に支持されている。サーボモータ121の出力軸121Aは、プレス装置10の前後方向に沿って突出しており、出力軸121Aに設けられた駆動側のプーリ123と従動側のプーリ119に巻回されたベルト124により動力が伝達される。
【0055】
また、スライド20の背面側には、上下2箇所からサイドフレーム111間に向けて後方に突出した一対のブラケット125が取り付けられている。上下のブラケット125間には、リニアスケール等の位置検出器126を構成するロッド127が取り付けられている。このロッド127には、スライド20の上下位置を検出するためのスケールが設けられており、同じく位置検出器126を構成する位置センサ128に上下動自在に嵌挿されている。位置センサ128は、一方のサイドフレーム111に設けられた補助フレーム129に固定されている。
【0056】
補助フレーム129は、上下方向に縦長に形成されており、下部がボルト131によりサイドフレーム111に取り付けられ、上部が上下方向に長い長孔内に挿入されたボルト132により上下方向に摺動自在に支持されている。このように補助フレーム129は、上下いずれか一方側(本実施形態では下側)のみがサイドフレーム111に固定され、他方側が上下動自在に支持されているため、サイドフレーム111の温度変化による伸縮の影響を受けないようになっている。これにより、位置センサ128は、サイドフレーム111のそのような伸縮の影響を受けずに、スライド位置およびダイハイト位置を正確に検出可能としている。
【0057】
一方、スライド20のスライド位置およびダイハイトは、スライド20内に設けられたスライド位置調整機構133によって調整される。スライド位置調整機構133は、
図4にも示すように、ねじ軸37の球体部37Aの外周にピン37Cを介して取り付けられたウォームホイール134と、ウォームホイール134と噛合するウォームギア135と、ウォームギア135の端部に取り付けられた入力ギア136と、入力ギア136に噛合する出力ギア137を有したインダクションモータ138とで構成される。インダクションモータ138は、軸方向長さが短いフラット形状とされ、コンパクトに構成されている。インダクションモータ138の回転動をウォームホイール134を介してねじ軸37を回動させることによって調整している。
【0058】
<プレス装置の構成>
図5は、実施形態1に基づくプレス装置10の構成の一部を説明する図である。
【0059】
図5において、制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)42と、一時メモリ44と、メモリ45と、通信回路46とを含む。
【0060】
また、制御装置40と通信可能に設けられたリモコン70が設けられている。
また、プレス装置10には、異常を検出するためのセンサ50が設けられる。
【0061】
制御装置40は、プレス装置10の異常を検出するセンサ50からの検出信号の入力を受ける。なお、ここでは、プレス装置10の異常を検出するセンサとして1つのセンサについて説明するが、特にこれに限られず、プレス装置10の種々の異常を検出する複数のセンサを設けることが可能である。
【0062】
通信回路46は、リモコン70と通信可能に設けられている。なお、通信回路46は、ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信することも可能である。
【0063】
CPU42は、メモリ45に格納されている各種プログラムに基づいてプレス装置10全体を制御する。
【0064】
一時メモリ44は、一例として循環型のリングバッファを利用し、一例としてプレス装置10の状態量を予め設定されるサンプリング周期にて格納する。プレス装置10の状態量としては、サーボ系の状態量、スライドの偏心量、プレス荷重値等のプレス装置の安全に係わる状態量を含む。
【0065】
そして、サンプリング周期にて順次、一時メモリ44に格納することにより異常が発生した後だけでなく、異常発生前のプレス装置10の状態量も取得することが可能である。
【0066】
なお、本例においては、一時メモリ44として、循環型のリングバッファを利用する場合について説明するが、特にこれに限られずスタック型であってもよく、特にその方式については限定されない。
【0067】
メモリ45は、プレス装置10の各種のプログラムを格納する記憶部であるとともに、一時メモリ44に保存された異常データを格納する。
【0068】
<プレス装置の制御装置40の機能構成>
図6は、実施形態1に基づく制御装置40の機能ブロックを説明する図である。
【0069】
図6に示されるように、制御装置40は、プレス制御部400と、検出部402と、異常判断部404と、異常保存部406と、カウント部412と、異常発報部416とを含む。
【0070】
プレス制御部400は、装置全体を制御する。例えば、メモリ45に格納されている所定のモーションプログラムに基づいてサーボ系を制御して生産モードにおけるプレス加工を実行する。また、プレス制御部400は、指示に従い寸動運転モードにおいて寸動運転を実行する。
【0071】
検出部402は、一例としてセンサ50の検出信号に基づいてプレス装置10の異常を検出する。
【0072】
異常判断部404は、検出部402で検出したプレス装置10の異常の異常レベルを判断する。
【0073】
異常保存部406は、異常判断部404の判断結果に基づいて異常データを保存する。具体的には、一時メモリ44に格納されている異常データをメモリ45に格納する。
【0074】
カウント部412は、異常が発生した後のプレス動作の停止期間をカウントする。
異常発報部416は、異常判断部404の判断結果に基づいて異常および異常レベルの少なくとも一方を発報する。
【0075】
<異常判断の具体例>
図7は、実施形態1に基づくプレス装置10の異常判断の具体例を説明する図である。
【0076】
図7(A)を参照して、生産モードによるプレス加工の運転中に異常が発生した場合が示されている。そして、当該異常が発生してプレス装置10が停止してから運転が再開(復旧)されるまでの間の期間(異常停止期間)が所定期間よりも短い場合が示されている。
【0077】
当該異常の場合には、異常停止期間が短いため異常レベル判定として異常レベルが小さいと判定する。したがって、この場合には、一時メモリ44に格納されている異常データをメモリ45に保存しない。なお、異常データとしては、異常が発生した後と、異常が発生する前の所定範囲を異常データの保存範囲とする場合が示されている。
【0078】
図7(B)を参照して、ここでは、異常が発生してプレス装置10が停止してから運転が再開(復旧)されるまでの間の期間(異常停止期間)が所定期間以上の場合が示されている。
【0079】
当該異常の場合には、異常停止期間が長いため異常レベル判定として異常レベルが大きいと判定する。したがって、この場合には、一時メモリ44に格納されている異常データをメモリ45に保存する。なお、異常データとしては、異常が発生した後と、異常が発生する前の所定範囲を異常データの保存範囲とする保存する場合が示されている。
【0080】
図7(C)を参照して、ここでは、異常が発生してプレス装置10が停止してから生産モード以外の運転が実行された場合が示されている。例えば、スライド高さを調節する寸動運転が行なわれた場合が示されている。
【0081】
この場合には、生産モード以外の運転については、運転が再開(復旧)されたとは判断されず、生産モード以外の運転期間中も異常停止期間に含めて運転が再開(復旧)されるまでの間の期間(異常停止期間)が所定期間以上の場合が示されている。
【0082】
当該場合は、生産モード以外の運転は、運転再開(復旧)ではないため異常停止期間が長い場合には、異常レベル判定として異常レベルが大きいと判定する。したがって、この場合には、一時メモリ44に格納されている異常データをメモリ45に保存する。なお、異常データとしては、異常が発生した後と、異常が発生する前の所定範囲を異常データの保存範囲とする保存する場合が示されている。これにより、異常レベルが大きいと判定される可能性のある異常が異常レベルが小さいと判定される誤判定を防止し、判定の精度を高くすることが可能である。
【0083】
<制御フロー>
図8は、実施形態1に基づくプレスシステムの異常レベルを処理するフローを説明する図である。当該フローを実現するためのプログラムは、メモリ45に予め格納されており、当該プログラムを実行することにより実現されるものである。以降で説明するフローについても同様である。
【0084】
図8に示されるように、制御装置40は、異常が有るか否かを判断する(ステップS2)。具体的には、検出部402は、センサ50からの異常を検出したか否かを判断する。
【0085】
次に、制御装置40は、異常が有ると判断した場合(ステップS2においてYES)には、次に、停止期間のカウントを開始する(ステップS4)。具体的には、検出部402は、カウント部412に指示して異常によるプレス装置10の停止している期間(異常停止期間)をカウントする。
【0086】
次に、制御装置40は、動作が有るかどうかを判断する(ステップS6)。具体的には、プレス制御部400は、異常発生によりプレス加工が停止した場合に、異常が解消した後運転を再開する。プレス制御部400による運転が再開された場合に動作が有ると判断する。
【0087】
次に、制御装置40は、ステップS6において、動作が無いと判断した場合(ステップS6においてNO)にはその状態を維持し、動作が有ると判断した場合(ステップS6においてYES)には、寸動運転であるか否かを判断する(ステップS8)。具体的には、プレス制御部400は、運転再開として寸動運転が開始されたか否かを判断する。寸動運転モードで運転されているか否かにより判断することが可能である。
【0088】
ステップS8において、制御装置40は、寸動運転でないと判断した場合(ステップS8においてNO)には、停止期間のカウントを停止する(ステップS10)。具体的には、プレス制御部400は、寸動運転で無い場合には、運転再開に従ってカウント部412のカウントを停止する。
【0089】
一方、ステップS8において、制御装置40は、寸動運転であると判断した場合(ステップS8においてYES)には、ステップS6に戻る。したがって、カウント動作を停止させない。具体的には、プレス制御部400は、寸動運転が開始された場合には、カウント部412にカウントの停止を指示しない。
【0090】
次に、制御装置40は、停止期間が所定期間以上であるか否かを判断する(ステップS12)。具体的には、異常判断部404は、カウントした異常停止期間が所定期間以上であるか否かを判断する。
【0091】
次に、制御装置40は、停止期間が所定期間以上であると判断した場合(ステップS12においてYES)には、異常レベルが大きいと判定する(ステップS14)。具体的には、異常判断部404は、カウント部412でカウントした異常停止期間が所定期間以上であるかと判断した場合には、異常レベルが大きいと判定する。プレス運転の再開(復旧)に時間がかかる場合(異常停止期間が長い場合)には異常レベルが大と判断することが可能である。
【0092】
そして、制御装置40は、保存処理を実行する(ステップS16)。具体的には、異常保存部406は、異常判断部404の判断結果(異常レベルが大きい)に基づいて異常データを保存する保存処理を実行する。
【0093】
そして、制御装置40は、発報処理を実行する(ステップS18)。具体的には、異常発報部416は、異常判断部404の判断結果(異常レベルが大きい)に基づいて異常レベルに関する発報処理を実行する。例えば、異常発報部416は、コントロールパネル6の表示器にエラー表示する。あるいは、異常発報部416によりエラー音を出力する。また、異常発報部416は、異常判断部404の判断結果(異常レベルが大きい)に基づいて異常データを保存することを発報するようにしても良い。
【0094】
そして、処理を終了する(エンド)。
一方、ステップS12において、制御装置40は停止期間が所定期間以上で無いと判断した場合(ステップS10においてNO)には、異常レベルが小さいと判断する(ステップS20)。具体的には、異常判断部404は、カウント部412でカウントした異常停止期間が所定期間以上で無い(所定期間未満)と判断した場合には、異常レベルが小さいと判定する。プレス運転の再開(復旧)に時間がかからない場合(異常停止期間が短い場合)には異常レベルが小と判断することが可能である。
【0095】
そして、処理を終了する(エンド)。したがって、この場合には、保存処理および発報処理は実行しない。異常保存部406および異常発報部416は、異常判断部404の判断結果(異常レベルが小さい)に基づいて異常データを保存する処理を実行しない。
【0096】
当該処理により、異常が発生した後のプレス動作の停止期間(異常停止期間)に基づいて異常レベルを判断するため簡易な方式で異常レベルを判断することが可能である。
【0097】
そして、異常停止期間が長い場合に異常レベルを大と判定し、異常停止期間が短い場合に異常レベルを小と判定する。そして、異常レベルの大小の判定に基づいて異常データを保存する処理を実行するため、異常レベルが大の異常データに注目して解析することが可能となり、解析処理も容易となる。異常レベルが小の異常データを保存しないことにより記憶容量の点でも有利であり、確保するメモリの容量を低減することも可能である。また、異常レベルの大小の判定に基づいて異常データの発報処理を実行するため異常レベルが大の異常データに注目することが可能であり、異常レベルが小の異常の発報処理による作業効率の低下を抑制することが可能である。
【0098】
なお、上記においては、異常発報部416は、異常判断部404の判断結果(異常レベルが大きい)に基づいて異常レベルに関する発報処理を実行する場合について説明したが、異常レベルのみならず、異常を発報するようにしても良い。また、いずれか一方としても良い。例えば、プレス動作の停止期間(異常停止期間)が長いことに関する異常を発報するようにしても良い。
【0099】
<異常データの保存>
図9は、実施形態に基づく異常データの保存について説明する概念図である。
【0100】
図9に示されるように、異常停止期間が所定期間以上である場合には、異常レベル判定において、異常レベルが大であると判定する。
【0101】
本例において示されるように、一時メモリ44には順次格納される状態量のうち異常発生地点の前後の所定範囲の状態量を異常データとして指定する。そして、当該異常データを保存範囲としてメモリ45に格納(保存)する。
【0102】
当該異常データをメモリ45に格納(保存)するか否かは、異常停止期間が所定期間以上であるか否かに基づいて判断される。
【0103】
(実施形態2)
図10は、実施形態2に基づく制御装置40Aの機能ブロックを説明する図である。
【0104】
図10に示されるように、制御装置40Aは、
図6で説明した制御装置40と比較して、異常保存部406を異常保存部406#に置換した点が異なる。その他の構成については
図6で説明したのと同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0105】
異常保存部406#は、問合わせ部408と、実行部410とを含む。
問合わせ部408は、ユーザに異常データを保存するか否かを問い合わせる。また、問合わせ部408は、当該問い合わせに対するユーザの回答を受け付ける。具体的には、問合わせ部408は、コントロールパネル6の表示器に問合わせ画面を表示する。
【0106】
実行部410は、問合わせ部408に対するユーザからの回答に基づいて保存処理を実行する。
【0107】
図11は、実施形態2に基づく問合わせ画面を説明する図である。
図11に示されるように、問合わせ部408は、コントロールパネル6の表示器に対して問合わせ画面300を表示するように指示する。
【0108】
問合わせ画面300には、「異常データとして保存しますか」のメッセージとともに、「はい」ボタン302と、「いいえ」ボタン304とが設けられている場合が示されている。
【0109】
「はい」ボタン302の選択が有る場合には、問合わせ部408は、異常データを保存の指示を受け付ける。
【0110】
「いいえ」ボタン304の選択が有る場合には、問合わせ部408は、異常データを保存しないとの指示を受け付ける。
【0111】
問合わせ部408は、ユーザからの保存の指示あるいは保存しないとの指示に従って実行部410に指示する。
【0112】
具体的には、問合わせ部408は、「はい」ボタン302の選択に従う保存するとの指示を受け付けた場合には、実行部410に指示する。実行部410は、一時メモリ44に格納されている異常データをメモリ45に保存する。
【0113】
一方、問合わせ部408は、「いいえ」ボタン304の選択に従う保存しないとの指示を受け付けた場合には、実行部410に保存の指示をしない。この場合、実行部410は、一時メモリ44に格納されている異常データをメモリ45に保存しない。
【0114】
例えば、プレス装置10が異常を検知して、プレス動作が停止した後、軽微な異常であってもすぐに復旧動作をせずにプレス装置10から離れることも考えられる。
【0115】
上記の実施形態1においては、異常停止期間が所定期間以上である場合には異常レベルが大であると判定するため、復旧動作のタイミングによっては軽微な異常の場合にも異常が大として判定される結果となる。これにより異常データがメモリ45に保存される。
【0116】
したがって、当該状況を考慮してユーザに保存の有無を問い合わせることにより、軽微な異常を排除して異常レベルが大きい異常データを確実に保存することが可能である。
【0117】
図12は、実施形態2に基づくプレスシステムの異常レベルを処理するフローを説明する図である。
【0118】
図12に示されるように、
図8で説明したフロー図と比較して、ステップS15AおよびS15Bを追加した点が異なる。その他の処理については
図8で説明したのと同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0119】
制御装置40は、ステップS14において、異常レベルが大きいと判定した後、次に、問合わせ処理を実行する(ステップS15A)。具体的には、問合わせ部408は、コントロールパネル6の表示器に対して
図11で説明した問合わせ画面300を表示するように指示する。
【0120】
次に、制御装置40は、保存指示が有るかどうかを判断する(ステップS15B)。具体的には、問合わせ部408は、問合わせ画面300において、ユーザから「はい」ボタン302の選択に従う保存指示を受け付けたか否かを判断する。
【0121】
次に、制御装置40は、保存指示が有ると判断した場合(ステップS15BにおいてYES)には、保存処理を実行する(ステップS16)。具体的には、実行部410は、保存指示に基づいて一時メモリ44に格納されている異常データをメモリ45に保存する保存処理を実行する。
【0122】
一方、制御装置40は、保存指示が無いと判断した場合(ステップS15BにおいてNO)には、ステップS16およびS18をスキップして処理を終了する(エンド)。具体的は、異常保存部406#における保存処理および異常発報部416における発報処理は実行されない。
【0123】
したがって、ユーザに保存の有無を問い合わせて、保存の意思を確認しつつ、異常レベルが大きい異常データを確実に保存することが可能である。
【0124】
(実施形態3)
図13は、実施形態3に基づく制御装置40Bの機能ブロックを説明する図である。
【0125】
図13に示されるように、制御装置40Bは、
図6で説明した制御装置40と比較して、異常内容判断部414をさらに含む点で異なる。その他の構成については
図6で説明したのと同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0126】
異常内容判断部414は、検出部402で検出した異常の異常内容を判断する。
図14は、実施形態3に基づくプレスシステムの異常レベルを処理するフローを説明する図である。
【0127】
図14に示されるように、
図8で説明したフロー図と比較して、ステップS3A,S3B,S3Cとをさらに追加した点が異なる。その他の処理については
図8で説明したのと同様であるのでその詳細な説明については繰り返さない。
【0128】
制御装置40は、異常が有ると判断した場合(ステップS2においてYES)には、異常内容を判断する(ステップS3A)。具体的には、異常内容判断部414は、検出部402で検出した異常の異常内容を判断する。
【0129】
図15は、実施形態3に基づく異常の異常内容の種別分類を説明する図である。
図15に示されるように、ここでは異常レベルA~Cの3つの種別が設けられ、分類されている場合が示されている。異常レベルAが異常の重要度として高く、異常レベルCが異常の重要度として低いものとして分類されている。
【0130】
具体的には、異常レベルAとしては、一例としてエンコーダ異常が挙げられている。
異常レベルBとしては、一例としてオーバーロード異常が挙げられている。
【0131】
異常レベルCとしては、一例としてバッテリ異常が挙げられている。
なお、ここで挙げられている異常内容は一例であり、他の異常内容を含めることも当然可能である。
【0132】
本例においては、一例として、当該異常の異常内容としては、センサからの検出信号により判断が可能であるものとする。例えば、エンコーダ異常を検出するためのセンサからの検出信号であればエンコーダ異常であると判定することが可能である。
【0133】
過負荷異常を検出するためのセンサからの検出信号であればオーバーロード異常であると判定することが可能である。
【0134】
バッテリの電圧あるは電流異常を検出するためのセンサからの検出信号であればバッテリ異常であると判定することが可能である。
【0135】
異常内容判断部414は、検出部402で検出したセンサからの検出信号に基づいて異常内容(異常レベルA~C)を判断する。
【0136】
再び
図14を参照して、次に、制御装置40は、異常内容が異常レベルAであるか否かを判断する(ステップS3B)。
【0137】
ステップS3Bにおいて、制御装置40は、異常内容が異常レベルAであると判断した場合(ステップS3BにおいてYES)には、ステップS14に進み、異常レベルが大きいと判定する。以降の処理は、
図8で説明したのと同様である。
【0138】
一方、ステップS3Bにおいて、制御装置40は、異常内容が異常レベルAでないと判断した場合(ステップS3BにおいてNO)には、異常内容が異常レベルBであるか否かを判断する(ステップS3C)。
【0139】
ステップS3Cにおいて、制御装置40は、異常内容が異常レベルBであると判断した場合(ステップS3CにおいてYES)には、ステップS4に進み、停止期間のカウントを開始する(ステップS4)。以降の処理は、
図8で説明したのと同様である。
【0140】
一方、ステップS3Cにおいて、制御装置40は、異常内容が異常レベルCであると判断した場合(ステップS3CにおいてNO)には、ステップS20に進み、異常レベルが小さいと判定する。以降の処理は、
図8において説明したのと同様である。
【0141】
実施形態2に従う方式により、異常内容も考慮して異常レベルを判定することにより、より精度の高い異常レベルの判定が可能である。また、異常内容によって異常レベルの判断が容易なものは、当該内容に基づいて判定されるため効率的な判定が可能である。
【0142】
また、異常内容に基づいて異常データが保存されるため必要な異常データが保存され、効率的に異常データを保存することが可能である。
【0143】
なお、上記においては、異常内容判断部414において、異常内容を判断する方式として、センサからの検出信号に基づいて異常内容を判断する場合について説明したが特にこれに限られず、異常が発生した際の状態量に基づいて異常内容を判断するようにしても良く、その方式には限定されない。
【0144】
(その他の形態)
図16は、実施形態に基づくプレスシステムの別の形態を説明する図である。
【0145】
図16に示されるように、ここでは、プレス装置10と通信可能に設けられた外部装置30が設けられている。外部装置30の一例としては、サーバを利用することが可能である。
【0146】
プレス装置10の異常発報部416は、上記の実施形態においては、コントロールパネル6の表示器にエラー表示する場合について主に説明したが、特にこれに限られず異常レベルの発報処理として外部装置30に送信することも可能である。
【0147】
具体的には、異常発報部416は、異常データを外部装置30に送信するようにしても良い。当該処理により、外部装置30において、プレス装置10から送信された異常データを受信することにより、外部装置30側で取得した異常データに基づく解析処理を実行することが可能である。これにより、プレス装置10側で復旧処理に時間がかかった場合の原因解析等を早期に実行することが可能である。
【0148】
また、他の実施形態においては、プレス装置10において実行される情報処理の少なくとも一部が、ネットワーク(広域ネットワークおよび/またはローカルネットワーク)によって通信可能な複数の装置によって分散して実行されてもよい。例えば、一部の処理を外部装置30で実行するようにすることも可能である。
【0149】
例えば、外部装置30に異常判断部404の機能を持たせるようにしても良い。例えば、外部装置30の異常判断部404が、プレス装置10で発生した異常発生信号を受信し、異常停止期間(停止期間情報)と異常発生信号とに基づいて異常レベルを判断するようにしても良い。そして、外部装置30の異常判断部404の判断の結果に基づいて異常および異常レベルの少なくとも一方を発報するように指示する発報指示データをプレス装置10に送信するようにしても良い。そして、プレス装置10において発報指示データを受信して異常および異常レベルの少なくとも一方を発報するようにしても良い。なお、異常停止期間は、外部装置30でカウントしても良いし、プレス装置10のカウント結果を利用するようにしても良い。
【0150】
また、上記の実施形態においては、運転が再開されてから異常レベルの判定を実行する方式について説明したが、特にこれに限られず、異常停止期間が所定期間以上経過したと判断した際に異常レベルを判定して、異常データを保存するようにすることも可能である。
【0151】
また、当該場合に、プレス装置10から外部装置30に異常データを発報(送信)する処理を実行するようにして早期にプレス装置10の異常を判断するようにすることも可能である。
【0152】
なお、上記の実施形態においては、異常停止期間が所定期間以上か否かに従って異常レベルの大小を判断する方式について説明したが、これに限られず、異常停止期間として複数の閾値となる所定期間を設けて、異常レベルをさらに複数のレベルに分類して判断するようにすることも可能である。当該処理によりさらに精度の高い異常判断が可能である。
【0153】
なお、上記においては、順送型のプレス機械について適用可能である場合について説明したが、トランスファー型のプレス機械にも同様に適用可能であり、特にこれに限られず、他のプレス機械にも利用することができる。
【0154】
なお、本例においては、制御装置40の各部の機能構成としてプレス機械に設けられる構成について説明したが、特に当該プレス機械に限られるものではなく、プレス機械を含むプレスシステムとすることも可能である。例えば、ネットワークを介して外部サーバと接続されている場合には、当該外部サーバのCPUと連携して各部の機能を実行することも可能である。また、プレス機械の表示器に表示する構成に限定されるのではなく、ネットワークを介してプレス機械と接続可能な端末の表示器に表示することも可能である。
【0155】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0156】
2 本体フレーム、4 ベッド、5 ボルスタ、6 コントロールパネル、10 プレス装置、20 スライド、30 外部装置、32A 上金型、32B 下金型、40 制御装置、44 メモリ、46 通信回路、400 プレス制御部、402 検出部、404 異常判断部、406,406# 異常保存部、408 問合わせ部、410 実行部、412 カウント部、414 異常内容判断部、416 異常発報部、70 リモコン、100 アンコイラ、110 メインシャフト、110A エキセン部、115 メインギア、200 レベラーフィーダ。