(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20220222BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20220222BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220222BHJP
H01L 23/52 20060101ALI20220222BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20220222BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/12 501P
H01L23/52 C
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2016228004
(22)【出願日】2016-11-24
【審査請求日】2019-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】507292184
【氏名又は名称】株式会社アムコー・テクノロジー・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100094709
【氏名又は名称】加々美 紀雄
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 俊寛
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-009602(JP,A)
【文献】特開2016-058417(JP,A)
【文献】特開2013-197258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0211221(US,A1)
【文献】特開2013-069807(JP,A)
【文献】特開2016-115711(JP,A)
【文献】特開2011-249410(JP,A)
【文献】特開2016-039238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 23/12
H01L 23/52
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのパワー素子を備えたパワー回路部を含んだ半導体装置であって、
前記パワー素子は、前記パワー素子の表面上に大電流通電用又は大電圧印加用の第1の電極と小電圧印加用の第2の電極とを有し、
前記パワー素子と、該パワー素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第1の封止体と、
前記第1の封止体上に設けた第1の配線層と、該第1の配線層を封止する封止材とを含む、前記第1の封止体上に設けた第2の封止体と、
前記パワー素子の裏面側の前記第1の封止体側に設けた第2の配線層と、該第2の配線層を封止する封止材とを含む第3の封止体と、を含み、
前記第1の配線層は、前記パワー素子の前記第1の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線aと、前記パワー素子の前記第2の電極と金属ビアにより電気的に接続している第1の配線bとを有し、
前記第1の配線aは、前記第2の配線層が前記パワー素子の前記第1の電極に接続するように、前記第3の封止体の前記第2の配線層と
前記第1の配線a及び前記第2の配線層の両方に接する金属ビアにより電気的に接続しており、
前記第3の封止体は、前記第2の配線層を露出する第1開口部を有
し、前記第1の配線aと前記第2の配線層とを接続する金属ビアは、前記第2の配線層の第1面で前記第2の配線層に接し、前記第1開口部は、前記第2の配線層における前記第1面と反対側の第2面を露出し、前記第1の開口部に隣接する前記第3の封止体の裏面側は、前記半導体装置の外面を含む、半導体装置。
【請求項2】
少なくとも1つのパワー素子を備えたパワー回路部と、少なくとも1つの制御素子を備えた制御回路部とを含んだ半導体装置であって、
前記パワー素子は、主面に大電流通電用又は大電圧印加用の第1の電極と小電圧印加用の第2の電極を有し、
前記制御素子は主面に第4の電極を有し、
前記パワー素子と、該パワー素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第1の封止体と、
前記第1の封止体上に設けた第1の配線層と、該第1の配線層を封止する封止材とを含む、前記第1の封止体上に設けた第2の封止体と、
前記パワー素子の裏面側の前記第1の封止体側に設けた第2の配線層と、該第2の配線層を封止する封止材とを含む第3の封止体と、
前記第2の封止体上に配置された前記制御素子と、該制御素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第4の封止体と、
前記第4の封止体上に設けた第3の配線層と、該第3の配線層を封止する封止材とを含む、前記第4の封止体上に設けた第5の封止体と、を含み、
前記第1の配線層は、前記パワー素子の前記第1の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線aと、前記パワー素子の第2の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線bとを有し、
前記第3の配線層は前記制御素子の前記第4の電極と金属ビアにより電気的に接続されており、
前記第3の配線層と前記第1の配線bとは前記第4の封止体に設けた金属ビアを介して電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項3】
前記第2の封止体の封止材がフィラーを含む請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2の封止体の封止材中のフィラーの含有量が70質量%以上である請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記フィラーの最大粒径が前記第2の封止体の厚さの2/3以下である請求項3又は4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の封止体の厚みは20μm以上であり、かつ前記第2の封止体の封止材の絶縁抵抗率が10
11Ω・cmである、請求項1~5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2の封止体内に前記第1の配線層が多層に形成されており、前記第1の配線a及び前記第1の配線bの両方の配線の一部又は一方の配線の一部が異なる配線層に設けられている、請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記パワー素子が裏面に第3の電極を有し、該第3の電極と前記第2の配線層との間に導電材を設けた、請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記導電材は複数の金属ビアである、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記金属ビアの周りに前記第1の封止体の封止材の樹脂とは異なる樹脂を設けた、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記パワー素子はMOSFETであり、前記第1の電極がソース電極であり、前記第2の電極がゲート電極であり、前記第3の電極がドレイン電極である、請求項8~10のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項12】
少なくとも1つのパワー素子を備えたパワー回路部と、少なくとも1つの制御素子を備えた制御回路部とを含んだ半導体装置であって、
前記パワー素子は、主面に大電流通電用又は大電圧印加用の第1の電極と小電圧印加用の第2の電極を有し、
前記制御素子は主面に第4の電極を有し、
前記パワー素子と、該パワー素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第1の封止体と、
前記第1の封止体上に設けた第1の配線層と、該第1の配線層を封止する封止材とを含む、前記第1の封止体上に設けた第2の封止体と、
前記パワー素子の裏面側の前記第1の封止体側に設けた第2の配線層と、該第2の配線層を封止する封止材とを含む第3の封止体と、
前記第2の封止体上に配置された前記制御素子と、該制御素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第4の封止体と、を含み、
前記第1の配線層は、前記パワー素子の前記第1の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線aと、前記パワー素子の第2の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線bとを有し、
前記制御素子は、前記パワー回路部上にワイヤボンディングにより前記第1の配線bと電気的に接続されている、半導体装置。
【請求項13】
少なくとも1つのパワー素子を備えたパワー回路部と、少なくとも1つの制御素子を備えた制御回路部とを含んだ半導体装置であって、
前記パワー素子は、主面に大電流通電用又は大電圧印加用の第1の電極と小電圧印加用の第2の電極を有し、
前記制御素子は主面に第4の電極を有し、
前記パワー素子と、該パワー素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第1の封止体と、
前記第1の封止体上に設けた第1の配線層と、該第1の配線層を封止する封止材とを含む、前記第1の封止体上に設けた第2の封止体と、
前記パワー素子の裏面側の前記第1の封止体側に設けた第2の配線層と、該第2の配線層を封止する封止材とを含む第3の封止体と、
前記第2の封止体上に配置された前記制御素子と、を含み、
前記第1の配線層は、前記パワー素子の前記第1の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線aと、前記パワー素子の第2の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線bとを有し、
前記制御素子は、前記パワー回路部上にフリップチップボンディングにより前記第1の配線bと電気的に接続され、アンダーフィル封止されている、半導体装置。
【請求項14】
前記第2の封止体における封止材が補強繊維を含まない封止材である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1の封止体における封止材は補強繊維を含まない封止材であり、
前記第1の封止体とは反対側の前記第2の封止体の主面側に、前記第1の封止体の反りを相殺して、半導体装置の反りを低減する反り調整層を備えている、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項16】
請求項1に記載の半導体装置の製造方法であって、
支持体の表面に少なくとも一つのパワー素子を搭載する工程と、
前記パワー素子を封止材によって封止して第1の封止体を得る工程と、
前記第1の封止体の表面から、パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程と、
前記第1の封止体上に第1の配線層を形成すると共に金属ビアを形成する工程と、
前記第1の配線層を封止材によって封止して第2の封止体を得る工程と、
前記支持体を除去する工程と、
前記支持体と接触していた封止体の裏面側に第2の配線層を形成する工程と、
前記第2の配線層を封止材によって封止して第3の封止体を得る工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項2に記載の半導体装置の製造方法であって、
支持体の表面に少なくとも一つのパワー素子を搭載する工程と、
前記パワー素子を封止材によって封止して第1の封止体を得る工程と、
前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程と、
前記第1の封止体上に第1の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程と、
前記第1の配線層を封止材によって封止して第2の封止体を得る工程と、
前記第2の封止体上に制御素子を搭載する工程と、
前記制御素子を封止材によって封止して第4の封止体を得る工程と、
前記第4の封止体の表面から、前記制御素子の電極に達する金属ビア用の開口と、前記第1の配線層に達する金属ビア用の開口とを形成する工程と、
前記第4の封止体上に第3の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程と、
前記第3の配線を封止材によって封止して第5の封止体を得る工程と、
前記支持体を除去する工程と、
前記支持体と接触していた封止体の裏面側に第2の配線層を形成する工程と、
第2の配線層を封止材によって封止して第3の封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記支持体の表面にパワー素子を搭載する工程の前に、前記支持体の表面に第6の封止体を形成する工程を有する、請求項16又は17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記支持体の表面にパワー素子を搭載する工程の前に、前記支持体の表面に金属配線層を形成する工程を含み、
前記パワー素子を封止材によって封止して第1の封止体を得る工程が、前記パワー素子と金属配線層とを封止材によって封止して第1の封止体を得る工程であり、
前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程が、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成すると共に、金属薄膜配線層に達する金属ビア用の開口を形成する工程であり、
前記第1の封止体上に第1の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程が、第1の配線を形成すると共に前記パワー素子の電極に達する金属ビア及び金属薄膜配線層に達する金属ビアを形成する工程である、
請求項16~18のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
予め前記支持体の表面に応力緩和層を形成する工程を含む、請求項16又は17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記支持体を除去する際に前記応力緩和層を同時に除去する、請求項20に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記パワー素子が裏面に第3の電極を有しており、
前記支持体を除去した後に、
前記パワー素子の前記第3の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程と、
前記支持体と接触していた封止体の裏面側に第2の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程と
を含む、請求項16又は17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記支持体の表面にパワー素子を搭載する工程が、支持体上に形成した金属配線層上に導電材を用いてパワー素子を搭載する工程である、請求項19に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法であって、
支持体の表面にパワー素子を搭載する工程と、
前記パワー素子を補強繊維を含まない封止材によって封止して第1の封止体を得る工程と、
前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程と、
前記第1の封止体上に第1の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程と、
前記第1の配線を封止材によって封止して第2の封止体を得る工程と
、
前記第2の封止体上に反り調整層を形成する工程と、
前記支持体を除去する工程と、
前記支持体と接触していた封止体の裏面側に第2の配線層を形成する工程と、
前記第2の配線層を封止材によって封止して第3の封止体を得る工程と
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項25】
前記支持体の表面にパワー素子を搭載する工程の前に、前記支持体の表面に金属配線層を形成する工程を含み、
前記第1の封止体を得る工程が、前記パワー素子と前記金属配線層とを補強繊維を含まない封止材によって封止して第1の封止体を得る工程であり、
前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程が、前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成すると共に、前記金属配線層に達する金属ビア用の開口を形成する工程であり、
前記第1の封止体上に第1 の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程が、第1の配線を形成すると共にパワー素子の電極に達する金属ビア及び金属配線層に達する金属ビアを形成する工程である、請求項24に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項26】
前記支持体の表面に予め応力緩和層を形成する工程を含む、請求項24又は25に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一種であるパワーモジュールは、負荷への電力の供給を担う主電流(負荷電流)を断続するなど主電流の流れを変調制御する電力用半導体素子を備えるパワー回路と、この電力用半導体素子の動作を制御する制御回路とが、1個の装置に組み込まれた半導体装置である。このパワーモジュールは、例えば、モータ等の動作を制御するインバータ、あるいは無停電電源などに利用が拡大しつつある。以下では「パワーモジュール」を「半導体装置」ということがある。
【0003】
パワーモジュールのパワー回路は電力回路であり、例えば、スイッチング素子(例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)等)等のパワー素子を含む。パワー素子には、一方の面にソース電極とゲート電極を、また、他方の面にドレイン電極を配置し、ソース電極からドレイン電極に垂直方向に通電する縦型構造のものと、ソース電極とドレイン電極とゲート電極とが同一面に配置され、ソース電極からドレイン電極に水平方向に通電する横型構造のものとがある。
【0004】
MOSFETやIGBT等のパワー素子は、ロジック素子やメモリ素子と異なり、1A以上の電流、または100V以上の電圧が2電極間に印加され、ゲート端子への数V程度のON/OFF電圧を印加することにより、大電流、または大電圧出力のON/OFFのスイッチング素子として機能する。
一方の制御回路は弱電回路であって、その回路素子には微弱な電流しか流れない。
【0005】
特許文献1には、パワー素子部分と制御回路部分とを同一基板上に配置した半導体装置が開示されている。
特許文献1に記載の半導体装置を
図16に示す。
放熱機能とモジュール全体の基板としての機能とを果たす第1の金属基板1上には、第1の絶縁層2が設けられている。パワースィッチング素子群6は、第1の金属基板1上にある第1の絶縁層2の露出面に形成してある金属配線層5aにより、この第1の絶縁層2の露出面に搭載されている。
第1の絶縁層2の露出面の一部に第2の金属基板3が配置され、第2の金属基板3上には第2の絶縁層4が配置されている。第2の金属基板3は第2の絶縁層4に設けられた基板アース用ホール12を介して、ボンディングワイヤ20で金属配線層5に接続されることにより接地電位に保たれた導電層を形成している。第2の絶縁層4の表面にパワースィッチング素子群6を駆動し制御するための駆動制御回路を集積回路化したプリドラィバIC8が配置されている。
【0006】
しかしながら、パワー素子部分と制御回路部分とを同一基板上に設ける構造である場合、上記両部分の電磁干渉(EMI:Electro Magnetic Interference)を防止するため、上記両部分の配線の間を一定距離以上に保つ必要がある。また、これらの回路を接続するボンディングワイヤの引き回しにより配線長が長くなり、モジュール全体としての損失が大きく、ボンディングワイヤの等価インダクタンスに起因してスイッチング時に発生するサージ電圧が大きくなる等の懸念点が認められていた。過大なサージ電圧は、例えば、パワースィッチング素子やドライブ回路の半導体素子等を損傷させる虞がある。
【0007】
特許文献2及び特許文献3には、パワー素子部分と制御回路部分とを垂直方向に配置した半導体装置が開示されている。
特許文献2に記載の半導体装置を
図17に示す。
この半導体装置はDC-DCコンバータであり、スイッチング素子をオン・オフ制御して直流入力電圧を昇圧、降圧、反転、或いは昇降圧して出力電圧を生成するに係るものである。
このDC-DCコンバータは、基板11、半導体チップ(ハイサイドトランジスタチップ)13、配線プレート14、半導体チップ(ローサイドトランジスタチップ)15、及び制御IC(制御部)チップである半導体チップ16が積層されることによって形成される。基板11は絶縁性セラミックからなり、主面上に金属(例えば、Cu(銅))からなる板状リード12a乃至12eが設けられる。
半導体チップ13は、板状リード12aの第一主面上に載置される。配線プレート14は、半導体チップ13の第一主面上に載置される。半導体チップ15は、配線プレート14の第一主面上に載置される。半導体チップ16は、半導体チップ15の第一主面上に載置される。このDC-DCコンバータは上記のように複数の半導体チップを積層形成してゲート配線長を短縮化し、ゲート配線インピーダンスを低減している。
【0008】
特許文献3に記載の半導体装置を
図18に示す。
この半導体装置は、第1電子回路基板20上にパワー素子21を搭載したパワー素子部分と、第2電子回路基板10上に回路素子12を搭載した制御回路部分とが垂直方向に積層されている。第2電子回路基板10は、誘電体層からなる基材14と、基材14の開口部分に埋設された内層電極15と、基板の第1電子回路側の表面である第1表面に形成された第1表面電極16と、を含んでなる。第1表面電極16は、基材14の内部に埋設され、第2電子回路基板10と第1電子回路基板20との積層時にパワー素子21の端子に対向する面が第1表面において露出している。第1電子回路基板20のパワー素子21が配設されている表面とは反対側の表面には、パワー素子21から発生する熱を放出するための放熱手段として、ヒートシンク22が設けられている。更に、ヒートシンク22及び第2電子回路基板10の外縁部には、ヒートシンク22と第2電子回路基板10とを接続するケース30が設けられている。なお、内層電極15が埋設された誘電体層と同一の誘電体層にはダミー内層電極17が埋設されており、これにより、回路基板の主面に平行な平面内において同時焼成時における収縮挙動のバラツキが小さくなり、同時焼成時に発生し得る当該回路基板の変形、平面性の悪化等の問題が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第3466329号公報
【文献】特開2012-196111号公報
【文献】特開2014-53575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
パワー素子と制御ICを上下に積層し、ボンディングワイヤでの接続の代わりにパネル技術を用いて、パワー素子と制御ICとをビア及び配線で接続することにより、配線経路長が短縮でき、低オン抵抗、低インピーダンス、パッケージの低背化が可能となる。
しかしながら、パワー素子と制御ICを上下に積層する場合には、平面状に配置する場合に比べるとパワー素子と制御ICとがより近接するため、制御ICが大電圧に耐えられるような構造とすることが課題となる。
本発明は、少なくとも1つのパワー素子を備えたパワー回路部を含んだ半導体装置において、絶縁信頼性を向上させると共に薄型化、小型化を可能にした半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は以下に記載する通りの半導体装置及び半導体装置の製造方法に係るものである。
(1)少なくとも1つのパワー素子を備えたパワー回路部を含んだ半導体装置であって、
前記パワー素子は、主面に大電流通電用又は大電圧印加用の第1の電極と小電圧印加用の第2の電極とを有し、
前記パワー素子と、該パワー素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第1の封止体と、
前記第1の封止体上に設けた第1の配線層と、該第1の配線層を封止する封止材とを含む、前記第1の封止体上に設けた第2の封止体と、
前記パワー素子の裏面側の前記第1の封止体側に設けた第2の配線層と、該第2の配線層を封止する封止材とを含む第3の封止体と、を含み、
前記第1の配線層は、前記パワー素子の前記第1の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線aと、前記パワー素子の前記第2の電極と金属ビアにより電気的に接続している第1の配線bとを有する、半導体装置。
(2)少なくとも1つのパワー素子を備えたパワー回路部と、少なくとも1つの制御素子を備えた制御回路部とを含んだ半導体装置であって、
前記パワー素子は、主面に大電流通電用又は大電圧印加用の第1の電極と小電圧印加用の第2の電極を有し、
前記制御素子は主面に第4の電極を有し、
前記パワー素子と、該パワー素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第1の封止体と、
前記第1の封止体上に設けた第1の配線層と、該第1の配線層を封止する封止材とを含む、前記第1の封止体上に設けた第2の封止体と、
前記第2の封止体上に配置された前記制御素子と、該制御素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第4の封止体と、
前記第4の封止体上に設けた第3の配線層と、該第3の配線層を封止する封止材とを含む、前記第4の封止体上に設けた第5の封止体と、を含み、
前記第1の配線層は、前記パワー素子の前記第1の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線aと、前記パワー素子の第2の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線bとを有し、
前記第3の配線層は前記制御素子の前記第4の電極と金属ビアにより電気的に接続されており、
前記第3の配線層と前記第1の配線bとは前記第4の封止体に設けた金属ビアを介して電気的に接続されている、半導体装置。
(3)前記第2の封止体の封止材がフィラーを含む、上記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(4)前記第2の封止体の封止材中のフィラーの含有量が70質量%以上である、上記(3)に記載の半導体装置。
(5)前記フィラーの最大粒径が前記第2の封止体の厚さの2/3以下である、上記(3)又は(4)に記載の半導体装置。
(6)前記第2の封止体の厚みは20μm以上であり、かつ前記第2の封止体の封止材の絶縁抵抗率が1011Ω・cmである、上記(1)~(5)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(7)前記第2の封止体内に前記第1の配線層が多層に形成されており、前記第1の配線a及び前記第1の配線bの両方の配線の一部又は一方の配線の一部が異なる配線層に設けられている、上記(1)~(6)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(8)前記パワー素子が裏面に第3の電極を有し、該第3の電極と前記第2の配線層との間に導電材を設けた、上記(1)~(7)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(9)前記導電材は複数の金属ビアである、上記(8)に記載の半導体装置。
(10)前記金属ビアの周りに前記第1の封止体の封止材の樹脂とは異なる樹脂を設けた、上記(9)に記載の半導体装置。
(11)前記パワー素子はMOSFETであり、前記第1の電極がソース電極であり、前記第2の電極がゲート電極であり、前記第3の電極がドレイン電極である、上記(8)~(10)のいずれか1項に記載の半導体装置。
(12)前記制御素子は、前記パワー回路部上にワイヤボンディングにより前記第1の配線bと電気的に接続され、封止材によって封止されている、上記(2)に記載の半導体装置。
(13)前記制御素子は、前記パワー回路部上にフリップチップボンディングにより前記第1の配線bと電気的に接続され、アンダーフィル封止された、上記(2)に記載の半導体装置。
(14)前記第2の封止体における封止材が補強繊維を含まない封止材である、上記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(15)前記封止材は補強繊維を含まない封止材であり、
前記第1の封止体とは反対側の封止体の主面側に、封止体の反りを相殺して、半導体装置の反りを低減する反り調整層を備えている、上記(1)又は(2)に記載の半導体装置。
(16)上記(1)に記載の半導体装置の製造方法であって、
支持体の表面に少なくとも一つのパワー素子を搭載する工程と、
前記パワー素子を封止材によって封止して第1の封止体を得る工程と、
前記第1の封止体の表面から、パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程と、
前記第1の封止体上に第1の配線層を形成すると共に金属ビアを形成する工程と、
前記第1の配線層を封止材によって封止して第2の封止体を得る工程と、
前記支持体を除去する工程と、
前記支持体と接触していた封止体の裏面側に第2の配線層を形成する工程と、
前記第2の配線層を封止材によって封止して第3の封止体を得る工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
支持体の表面に少なくとも一つのパワー素子を搭載する工程と、
前記パワー素子を封止材によって封止して第1の封止体を得る工程と、
前記第1の封止体の表面から、パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程と、
前記第1の封止体上に第1の配線層を形成すると共に金属ビアを形成する工程と、
前記第1の配線層を封止材によって封止して第2の封止体を得る工程と、
前記支持体を除去する工程と、
前記支持体と接触していた封止体の裏面側に第2の配線層を形成する工程と、
前記第2の配線層を封止材によって封止して第3の封止体を得る工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
(17)上記(2)に記載の半導体装置の製造方法であって、
支持体の表面に少なくとも一つのパワー素子を搭載する工程と、
前記パワー素子を封止材によって封止して第1の封止体を得る工程と、
前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程と、
前記第1の封止体上に第1の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程と、
前記第1の配線層を封止材によって封止して第2の封止体を得る工程と、
前記第2の封止体上に制御素子を搭載する工程と、
前記制御素子を封止材によって封止して第4の封止体を得る工程と、
前記第4の封止体の表面から、前記制御素子の電極に達する金属ビア用の開口と、前記第1の配線層に達する金属ビア用の開口とを形成する工程と
前記第4の封止体上に第3の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程と、
前記第3の配線を封止材によって封止して第5の封止体を得る工程と、
前記支持体を除去する工程と、
前記支持体と接触していた封止体の裏面側に第2の配線層を形成する工程と、
第2の配線層を封止材によって封止して第3の封止体を得る工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
(18)前記支持体の表面にパワー素子を搭載する工程の前に、前記支持体の表面に第6の封止体を形成する工程を有する、上記(16)又は(17)に記載の半導体装置の製造方法。
(19)前記支持体の表面にパワー素子を搭載する工程の前に、前記支持体の表面に金属配線層を形成する工程を含み、
前記パワー素子を封止材によって封止して第1の封止体を得る工程が、前記パワー素子と金属配線層とを封止材によって封止して第1の封止体を得る工程であり、
前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程が、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成すると共に、金属薄膜配線層に達する金属ビア用の開口を形成する工程であり、
前記第1の封止体上に第1の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程が、第1の配線を形成すると共に前記パワー素子の電極に達する金属ビア及び金属薄膜配線層に達する金属ビアを形成する工程である、
上記(16)~(18)のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
(20)予め前記支持体の表面に応力緩和層を形成する工程を含む、上記(16)又は(17)に記載の半導体装置の製造方法。
(21)前記支持体を除去する際に前記応力緩和層を同時に除去する、上記(20)に記載の半導体装置の製造方法。
(22)前記パワー素子が裏面に第3の電極を有しており、
前記支持体を除去した後に、
前記パワー素子の前記第3の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程と、
前記支持体と接触していた封止体の裏面側に第2の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程と
を含む上記(16)又は(17)に記載の半導体装置の製造方法。
(23)前記支持体の表面にパワー素子を搭載する工程が、支持体上に形成した金属配線層上に導電材を用いてパワー素子を搭載する工程である、上記(19)に記載の半導体装置の製造方法。
(24)上記(1)又は(2)に記載の半導体装置の製造方法であって、
支持体の表面にパワー素子を搭載する工程と、
前記パワー素子を補強繊維を含まない封止材によって封止して第1の封止体を得る工程と、
前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程と、
前記第1の封止体上に第1の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程と、
前記第1の配線を封止材によって封止して第2の封止体を得る工程と
前記第2の封止体上に反り調整層を形成する工程と、
前記支持体を除去する工程と、
前記支持体と接触していた封止体の裏面側に第2の配線層を形成する工程と、
前記第2の配線層を封止材によって封止して第3の封止体を得る工程と
を含む半導体装置の製造方法。
(25)前記支持体の表面にパワー素子を搭載する工程の前に、前記支持体の表面に金属配線層を形成する工程を含み、
前記第1の封止体を得る工程が、前記パワー素子と前記金属配線層とを補強繊維を含まない封止材によって封止して第1の封止体を得る工程であり、
前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成する工程が、前記第1の封止体の表面から、前記パワー素子の電極に達する金属ビア用の開口を形成すると共に、前記金属配線層に達する金属ビア用の開口を形成する工程であり、
前記第1の封止体上に第1の配線を形成すると共に金属ビアを形成する工程が、第1の配線を形成すると共にパワー素子の電極に達する金属ビア及び金属配線層に達する金属ビアを形成する工程である、
上記(24)に記載の半導体装置の製造方法。
(26)前記支持体の表面に予め応力緩和層を形成する工程を含む、上記(24)又は(25)に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、絶縁信頼性を向上させると共に薄型化、小型化を可能にした半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の第1の実施形態の半導体装置の構造を示す図である。
【
図2】
図2は本発明の第2の実施形態の半導体装置の構造を示す図である。
【
図3】
図3は本発明の第3の実施形態の半導体装置の構造を示す図である。
【
図4】
図4は本発明の第4の実施形態の半導体装置の構造を示す図である。
【
図5】
図5A、
図5Bは本発明の第4の実施形態の半導体装置の構造を説明する図である。
【
図6】
図6は本発明の第5の実施形態の半導体装置の構造を示す図である。
【
図7】
図7は本発明の第6の実施形態の半導体装置の構造を示す図である。
【
図8】
図8は本発明の第7の実施形態の半導体装置の構成部材のレイアウトを示す図である。
【
図9】
図9は本発明の第8の実施形態の半導体装置の構成部材のレイアウトを示す図である。
【
図14】
図14は縦型のパワー素子を複数の封止体層に配置した場合の半導体装置の構造を説明する図である。
【
図15】
図15は横型のパワー素子を用いた場合の半導体装置の構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正は本発明に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における実施の形態の例を例示するものであって、本発明を限定するものではない。
【0015】
本発明の基本的な構成は次の通りである。本発明の半導体装置は、少なくとも1つのパワー素子を備えたパワー回路部を含んでいる。
パワー素子は主面に大電流通電用又は大電圧印加用の第1の電極と小電圧印加用の第2の電極とを有しており、封止材によって第1の封止体内に封止されている。
第1の封止体上には第1の配線層が設けられ、この第1の配線層は封止材によって第2の封止体内に封止されている。
パワー素子の裏面側の第1の封止体側に設けた第2の配線層は封止材によって第3の封止体内に封止されている。
第1の配線層は、パワー素子の第1の電極に金属ビアにより電気的に接続している第1の配線aと、パワー素子の第2の電極と金属ビアにより電気的に接続している第1の配線bとを有している。
第1の配線層は第1の配線a(大電流通電用配線又は大電圧印加用配線)、第1の配線b(小電圧印加用配線)とグラウンド、電源配線からなっている。例えばMOSFETを例に説明すると、第1の配線aはパワー素子のソース電極及びドレイン電極と電気的に接続されており、第1の配線bは制御回路部の制御素子の電極及びパワー素子のゲート電極と電気的に接続されている。
以下では、大電流通電用配線又は大電圧印加用配線である第1の配線aを「大電流通電配線」といい、小電圧印加用配線である第1の配線bを「小電流通電配線」ということがある。
【0016】
以下では、上記の本発明の基本的な構成を備えた種々の実施形態について説明する。
なお、本発明は、第1の電極に1A以上の大電流が流れる場合、及び、第1の電極に流れる電流が1A未満であるが第1の電極に100V以上の電圧が印加される場合を実施形態として含む。
また、以下では、「封止体」については「第1の封止体」、「第2の封止体」、「第3の封止体」、「第4の封止体」および「第5の封止体」というに5種類の封止体があるが、それぞれの用語は次のように区別して用いている。
第1の封止体: パワー素子を封止する封止体である。第1の封止体を複数設けて、それぞれにパワー素子を封止してもよい。また、制御ICもパワー素子と共に封止されていてもよい。
第2の封止体:前記第1の配線aと前記第1の配線bとを含む配線層を封止する封止体であり、パワー素子及び制御ICを封止しない。第2の封止体を複数層設ける場合には、第1の配線aを含む配線層を封止した第2の封止体の上方又は下方に第1の配線bもしくは小電圧動作チップが設置されている配線を封止した第2の封止体を設ける。
第3の封止体:パワー素子の裏面側の第1の封止体側に設けた第2の配線層を封止する封止体である。
第4の封止体:制御ICのような小電圧動作素子のみを封止する封止体である。
第5の封止体:配線層を封止する封止体で有り、第4の封止体上に形成される。
第5の封止体は、封止される配線層に前記第1の配線aを含む場合は第2の封止体と同様に耐電圧性を有することが望ましい。
【0017】
(第1の実施形態)
本実施形態の半導体装置を
図1に示す。
本実施形態の半導体装置はパワー素子を含むパワー回路部と、制御素子を含む制御回路部とをワンパッケージ化したものである。
以下では「パワー素子」を「第1のチップ」といい、「パワー素子」を制御する「制御素子」を「第2のチップ」という。
第1のチップは例えばMOSFETのようなパワー素子である。
以下では、パワー素子として、表裏両面に電極を有する縦型構造のものを使用する場合について述べる。
パワー素子が縦型構造である場合、チップの主面S1に形成されている第1の電極11はソース電極であり、第2の電極12はゲート電極であり、チップの裏面S2に形成されている第3の電極13はドレイン電極である。このパワー素子においてはドレイン電極に大電圧を印加し、小電圧のゲート電圧により、ソース電極へのドレイン電流のON/OFFの制御が行われる。
【0018】
第1のチップ1は主面S1及び側面S3が封止材によって封止されて第1の封止体51が形成されている。
第1の封止体51の上面には第1の配線層31が形成されており、第1の配線層31は封止材によって封止されて第2の封止体52が形成されている。
第1の配線層31は第1のチップ1の第1の電極11と金属ビア43によって電気的に接続されている。
また、第1の配線層31は第1の封止体51内に形成された金属ビア41によって第2の配線層32と電気的に接続し、外部端子60と電気的に接続している。
【0019】
このように、第1のチップ1上の第1の電極11から第1のチップ1以外の領域の第1の封止体51に形成した金属ビア41により、第1のチップ1に対して第3の電極13と同じ側の第2の配線層32に電気的に接続した構造にすることにより、例えば、
図16及び
図17に示すボンディングワイヤを用いる場合と比較して、幅広の配線及び大径のビア、多数のビアを設けることが可能となり、導通経路の低抵抗化と、経路短縮による低インダクタンス化が図れ、大電流通電によるジュール発熱の低減やサージ電圧低減が可能となる。
【0020】
第2の封止体52の表面には第4の電極14を有する第2のチップ2が積層されており、第2のチップ2は封止材によって封止されて第4の封止体53が形成されている。
第4の封止体53の表面には第3の配線層33が形成され、この第3の配線層33は封止材によって封止されて第5の封止体54が形成されている。
第3の配線層33は第4の封止体53内に形成された金属ビア44によって第2のチップ2の第4の電極14と電気的に接続されている。また、第3の配線層33は第4の封止体53内に形成された金属ビア42によって第1の配線層31と電気的に接続されている。
【0021】
第1のチップ1の場合と同様に、第2のチップ2の第4の電極14から第2のチップ2以外の領域の第4の封止体53に形成した金属ビア42により、第2のチップ2に対して第4の電極14と逆側の第1の配線層31と電気的接続した構造にすることにより、例えば、
図16及び
図17に示すボンディングワイヤを用いる場合と比較して、幅広の配線及び大径のビア、多数の金属ビアを設けることが可能となり、低インダクタンスにより、より高速制御が可能となる。
【0022】
上記のように半導体装置を構成することにより、第2の配線層32、金属ビア41、第1の配線層31、第1の電極(ソース電極)11及び第3の電極(ドレイン電極)13によって大電圧の電気的接続C1が形成される。一方、第2のチップ2の第4の電極14、金属ビア44、第3の配線層33、金属ビア42、第1の配線層31、金属ビア43及び第2の電極(ゲート電極)12との間に小電圧の電気的接続C2が形成される。
そして、第1の電極(ソース電極)11と第3の電極(ドレイン電極)13との間に大電圧を印加しておき、第4の電極14と第2の電極(ゲート電極)12との間に制御用の小電圧を印加することにより、ソース電極へのドレイン電流のON/OFFの制御が行われる。
【0023】
第2の封止体52は、第2の封止体上に配置されている、動作電圧が低く/小電流で動作している第2のチップ2と、大電圧が印加されて大電流が通電される第1の配線層31との間にリーク電流が発生するのを防ぐために設けられる。第1の配線層31には大電流が流れても第1の配線層31は第2の封止体52の封止材によって封止され絶縁が確保されているため、リーク電流によって第2のチップ2の動作に影響を与えることがない。
【0024】
リーク電流の発生を防ぐため、第2の封止体52の厚みは、金属ビアにより配線間を接続する場合は、金属ビアの製造上適度な厚み範囲が必要であり、例えば、第1の配線層上から概略20μm以上であることが望ましい。
また、第2の封止体52の絶縁抵抗率は1011Ω・cm以上であることが望ましい。つまり、厚みのバラツキを考慮して、第2の封止体の厚みが10μm以上であれば、第1の配線層31の面積を例えば1cm2程度とすると絶縁抵抗は108Ω程度となる。第1のチップ2のSi基板の抵抗は数~数百Ωであるので、抵抗比からリーク電流は主に第2の封止体52の絶縁抵抗値に依存し、中電圧域の数百Vの電圧が第1の配線層31に印加されても、そのリーク電流は1μA以下である。このため、数mA/数mVで動作する第2のチップ2及び後述する第4の実施形態における第4の配線層34への影響を抑えることができる。第2の封止体の絶縁抵抗率は、1014Ω・cm以上であることが好ましく、この場合、高電圧域の数千Vの電圧が印加されてもリーク電圧は、数nA程度となり、汎用CMOSのリーク電流と同等となる。
【0025】
第2の封止体52の封止材としては、少なくとも、第1のチップ1、第1の配線層31との熱応力ミスマッチを抑えるためにSiO2等の無機物のフィラーを70質量%以上の高充填率で含有したエポキシ等の絶縁体を用いることが好ましい。フィラーとしてはエポキシ等の樹脂成分より体積抵抗率が高いものを用いるが、その場合、含有するフィラー表面に沿ってリーク電流が流れることを防止するために、エポキシ等樹脂との密着を確保するとともに、樹脂成分内にフィラーが内包されるようにする必要がある。
そのためには、フィラー粒径は第2の封止体の厚みの2/3以下であることが好ましく、最大粒子径が10μm以下であることが好ましく、さらには6μm以下であることがより好ましい。
また、最大粒子径以上の粒子はフィラー全体の2質量%以下であることが望ましい。
第2の封止体は、チップの発熱に対する耐熱性を確保するために、少なくとも、ガラス転移点(DMA法)が150℃以上であることが望ましい。
封止体の例としては次のものを挙げることができる。
エポキシ系樹脂(ガラス転移温度(DMA):172℃、熱膨張係数(α1):23ppm/℃、弾性率(RT):35GPa以下)
【0026】
第1の配線層31は比較的大電流が通電するため、第1の配線層31の配線層の厚さは、第2のチップ2と接続される第3の配線層33の配線層の厚さよりも厚くしてもよい。例えば第3の配線層33の配線層の厚さが15μmである場合、第1の配線層31の配線層の厚みは30μm以上としてよい。
このため、パワー回路部を比較的大電流を通電する複数の第1のチップ(パワー素子)で構成する場合、第1のチップを第1の封止体51の1層に横に並べて搭載し、比較的厚い第1の配線層31を形成することにより、大電流通電するパワー素子の配線層を1層形成し、かつ、より微細パッドピッチの制御素子に対しても第3の配線層33の配線層厚を薄くでき、より微細配線の形成が可能となり、素子の選択の自由度が増すので望ましい。
【0027】
前記したように、パワー素子には、SiのMOSFET、IGBTのようにチップの主面とチップの裏面との両面に電極を持ち、チップ内を垂直方向に大電流通電させる縦型構造のものと、GaN on Siのように片面にのみ、つまり主面にのみ電極をもち水平方向へ大電流を通電する横型構造のものとがある。
上記実施形態では縦型構造のものを用いた場合について説明したが、縦型構造及び横型構造のいずれにおいても、パワー回路部と制御回路部とを積層する場合には、第2の封止体52の耐電圧性は重要である。
【0028】
第1の電極11及び第2の電極12は、SiNやSiO2のパッシベーション膜に開口が形成されたAl等の電極であり、その上にシードメタル層を形成し、このシードメタル層上にめっき技術等を用いて5um厚程度のCu膜等を形成すると、レーザーによるビア用開口形成の際のAl電極のダメージを防止できる。また、第3の電極13は、Si、SiCの半導体基板に電極としてバックメタルが全面に形成され、オーミック接続されており、同様に必要に応じてめっき技術等を用いて5μm厚程度のCu膜等を形成してもよい。
【0029】
図1ではパワー素子の裏面側の接続構造については詳細には示していないので、この接続構造について述べる。
縦型構造のパワー素子の場合は、そのチップ裏面にバックメタルと呼ばれる金属膜層を形成し、これと第2の配線層32とを電気的に接続する。その接続には、例えば50μm厚の銀や銅の焼結材やはんだ材等の導電性材料を用いてダイボンドする方法や、大電流通電が可能なように多数の金属ビアを用いて接続する方法がある。
【0030】
チップ裏面に層状に設けた導電性材料を用いて接続する場合と、金属ビアを用いて接続する場合とを比較する。
層状に設けた導電性材料によって接続する場合、導電性材料として現在一般的に用いられている鉛含有量が95質量%のはんだの熱伝導率は35W/m・Kである。これに対し、金属ビアの材料であるCuの熱伝導率は398W/m・Kであり、はんだの熱伝導率の約11倍である。このため、金属ビアを用いて接続することが好ましい。また、金属ビアの熱伝導率を良くするために、Cuのフィルドビアを第1のチップの面積に対して1/10以上、例えば1/4以上の面積率で形成することが好ましい。
実際には、パッケージ熱抵抗のような温度低下に対して、熱伝導率の影響は反比例するため、1/4以上の面積のフィルドビアによる接続であれば、約200W/m・K以上の焼結Ag材を層状に設けた場合と比べても、実際の温度低下はあまり大きく変わらない。
【0031】
また、金属ビアの周囲には、チップをダイアタッチするための接着材を設けてもよい。その場合には、第1のチップ1と第2の配線層32との熱膨張ミスマッチを吸収するために、ビア面積率を1/10以上にし、第1のチップ領域の第2の配線層32の配線層にスリット等を設け、接着材の弾性率を数十M~数GPaとし、厚みを例えば5~20μmの範囲としてもよい。この接着材は封止材に用いた樹脂とは異なる樹脂から選択してもよい。
【0032】
また、第1のチップ1を支持体101にダイアタッチするための接着材と支持体との間にさらに追加の封止体を設けてもよい。接着材は、樹脂成分が多く、比較的柔らかいものを用いると、チップとの熱膨張ミスマッチが緩和できるために望ましいが、追加の第6の封止体を設けると、接着材が第1の封止体と追加の第6の封止体とに囲まれているので、第2の配線層32の導電パターン形成の際のエッチング等の工程で接着材に求められる耐エッチング液性を必ずしも必要としないので、接着材の選択範囲が広がる。
【0033】
パワーデバイスは大電流を通電させると、オン抵抗によるジュール熱により温度上昇するために、放熱経路の確保が重要となる。第2の配線層32を厚くすると、発生した熱が第2の配線層32内を伝熱し、第1のチップ1の裏面側の放熱面積が増加し、放熱性向上が得られる。また、第1のチップ1の領域の第2の配線層を外部端子とすると、実装する有機基板、冷却板等への放熱経路が短く、ほぼ第1のチップと同サイズ、もしくはそれ以上の放熱領域が得ることができる。
【0034】
第1のチップ1の裏面に電極を持つ場合には、第2の配線層32が伝熱拡大層としての機能も有するが、チップの片面(S1面)にのみ電極を持つ場合でも、高熱伝導材料からなる第2の配線層32を第1のチップ1の裏面の領域に設置することにより放熱性が向上する。
【0035】
このようなパッケージ構造とすると、第2の封止体52の厚みを薄く抑え、かつパワーデバイスで数千Vの電圧が印加しても耐圧を維持でき、ビアの挟ピッチ化や低背化の点で有利となる。
さらに好ましくは、第1の配線層31の大電流通電配線上に第2のチップ(制御IC)2を配置するのではなく、例えば、第1の電極11(ソース電極)や第3の電極13(ドレイン電極)と電気接続する大電流通電配線上ではない領域の第2の封止体52上や、第2の電極12(ゲート電極)と電気的に接続する小電流通電配線上の領域の第2の封止体52上に第2のチップ2を配置すると、第2のチップとの大電流/大電圧の耐電圧を確保でき、電界ノイズの影響を低減できる。
【0036】
(第2の実施形態)
第2の実施形態を
図2に示す。
本実施形態の半導体装置はパワー素子を含むパワー回路部と、制御素子を含む制御回路部とをワンパッケージ化したものである。
図2に示したものは、第2のチップ2を接着材3によって第1の配線層31を封止材で封止した第2の封止体52の上にダイボンドした後、ボンディングワイヤ21によって第4の電極14と第1の配線層31の接続用ランド22とをワイヤボンディングし、次いで、第2のチップ2及びボンディングワイヤ21をモールド樹脂等の封止材で封止して第4の封止体53を形成したものである。
【0037】
(第3の実施形態)
第3の実施形態を
図3に示す。
本実施形態の半導体装置はパワー素子を含むパワー回路部と制御素子を含む制御回路部とをワンパッケージ化したものである。
図3に示したものは、第2の封止体52の第1の配線層31上に接続用ランド23を設けて、第2のチップ2を第4の電極14を下向きにして、この電極14と接続用ランド23とをフリップチップ接続したのち、アンダーフィル樹脂4を第2のチップ2と第2の封止体52との間の隙間に充填したものである。第2のチップ上の第4の電極14と接続用ランド23とを直接電気接続できるため、導通経路短により低インダクタンスとなり、さらに高速制御が可能となる。
【0038】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体装置を
図4に示す。
第4の実施形態の半導体装置はパワー素子を含むパワー回路部と制御素子を含む制御回路部とをワンパッケージ化したものである。
本実施形態の半導体装置は
図1に示した第1の実施形態の半導体装置において、第1の配線層31を封止材で封止してなる第2の封止体(A)52aと、第2のチップ2を封止材で封止してなる第3の封止体53との間に、第4の配線層34を封止材で封止した第2の封止体(B)52b設けたものである。
この構造は次のようにして形成される。
第1の封止体51上に第1の配線層31を形成した後、この第1の配線層31を封止材で封止して第2の封止体(A)52aを形成する。次いで、第2の封止体(A)52a上に第4の配線層34を形成し、この第4の配線層34を封止材で封止して第2の封止体(B)52bを形成する。
第2の封止体(B)52b上に第2のチップ2を積層し、第2のチップ2を封止材で封止して第4の封止体53を形成する。
次いで、第4の封止体53の表面に第3の配線層33を形成し、この第3の配線層33を封止材で封止して第5の封止体54を形成する。
第2のチップ2の第4の電極14は、金属ビア44、第3の配線層33、第4の封止体53と第2の封止体(B)52bとに形成された金属ビア42を介して第4の配線層34と電気的に接続されている。また、第4の配線層34は第2の封止体(A)52a内に形成された金属ビア45b、第1の配線層31及び金属ビア46を介して第1のチップ1の第2の電極(ゲート電極)12と電気的に接続されている。
このように、第1(第4)の配線層、第2の配線層及び第3の配線層を多層に設けることは、必要に応じて、金属ビア、封止体、配線層を逐次形成して、任意に実施することができる。
【0039】
本実施形態である
図4では、第2の封止体(A)52a内の第1の配線層31に大電流通電配線及び小電流通電配線を含み、第2の封止体(B)52b内の第4の配線層34に小電流通電配線と、大電流通電配線と同電位の配線とを含んでいる。
第2の封止体(A)52a及び第2の封止体(B)52bはそれぞれ大電流通電配線と電気的に接続される第1の配線層及び第4の配線層を含む封止体であり、その耐電圧性は重要である。
また、このように第1のチップ1と第2のチップ2との間に複数の封止体層を設け、第2のチップ2と第1の配線層31の大電流通電配線との間にグラウンドに接続した導電パターンを第4の配線層34に設けると、リーク電流は第2のチップ2のSi基板とは接続されず、特にパワー素子のスイッチング周波数が大きくなっても、第2のチップ2の信号が安定する。
【0040】
第2の封止体52内に配線層を多層に設ける場合には、大電流通電配線上に小電流通電配線を設けないことがより望ましいが、大電流通電配線上に小電流通電配線を設ける場合には、第4の配線層34に含まれる小電流配線の電流は数十mAであるので、リーク電流は数十μA以下であることが望ましい。
封止体の厚みバラツキを考慮すると、第2の封止体の封止材の絶縁抵抗率が1012Ω・cm以上であれば、第4の配線層34が、第1の配線層31の上にあって、第1の配線層31上の第4の配線層34の面積が例えば1cm2程度あったとしても、第2の封止体の厚みが10μm以上あれば、第1の配線層31と第4の配線層34間の絶縁抵抗は109Ω程度となり、リーク電流を数μA以下に抑えることができる。
【0041】
図4に示した構造においては、第2のチップ(制御素子)2のチップ厚が50μm厚の場合は、第2のチップ2の回路面から第1の配線層31までの距離が概略60μm以上となるため、パワー素子のスイッチングによる電磁気ノイズに対する制御素子の影響を軽減できる。
また、大電流通電する第1の配線層31上に第4の配線層34を設け、第1の配線層31と第4の配線層34とを
図4の点線で示すようにコの字上に電気的に接続すると第1の配線層31の大電流の電流変化に対して逆位相の電界が生じ、パワー素子のスイッチングノイズが低減され、第3の配線層や、第2のチップ2への影響を小さくすることができる。この場合の大電流通電する第1の配線層31と第4の配線層34の電気的接続は、
図4の点線で示すように第1の配線層31のチップ外に引き出される通電経路の反対側に位置する金属ビア45aにより接続されることが望ましい。
【0042】
またパワー素子1の過電流検知のために、グラウンドに接続された第1の電極11、第1の配線層31(第4の配線層34)、金属ビア42、第3の配線層33及び金属ビア44を介して第2のチップ2の第4の電極14に電気的に接続する配線パターンを形成することもできる。このような層状の配線層を形成することは、電気接続経路の設計自由度が向上する。
【0043】
実施形態1においては第2の封止体52による半導体装置の厚さ方向の絶縁性向上効果に関して述べた。ところで第2の封止体52の封止材は、ガラスクロスや不織布等の補強繊維を含まない、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂等にフィラーを含有させた縦横の構成が同じ絶縁体であることが好ましい。補強繊維を含まない封止材を用いることにより、補強繊維を含まない封止材は第1の配線層31の上面だけではなく第1の配線層31の側面にも配置されているので、半導体装置の水平方向に関しても同様の絶縁性向上効果が得られる。
【0044】
(第5の実施形態)
第5の実施形態の半導体装置を
図5A,
図5Bに示す。
図5Aは第4の実施形態の半導体装置の第1の封止体51の部分と第2の封止体(A)52aと第2の封止体(B)52bの部分とを示したものである。
図5Aに示した構造を有する構造体をパッケージ化してパワー素子を含むパッケージとして用いることができる。
第1のチップ1においては大電流通電/大電圧通電用の第1の電極11と、小電流通電/小電圧通電用の第2の電極12とが同一面に設置されており、大電流通電/大電圧印加用の配線である第1の配線(A)31aは第1の電極11の上方に設けられ、小電流通電/小電圧印加用の配線である第1の配線(B)31bは第2の電極12の上方に設けられている。
そして、第1の配線(A)31aと第1の配線(B)31bとの間には第2の封止体(A)52aが存在し絶縁性が良いため第1の配線31aと第1の配線31bとの水平方向の間隔d2がより小さくでき、小型化、高密度配線化が可能となる。
また、第2の封止体52を用いることにより厚み方向の配線間の間隔d1をより小さくすることができる。このため、第2の封止体を用いると、パワー回路部の薄膜化が可能となる。
【0045】
なお、この効果は、第4の実施形態で示した第4の配線層34を設ける場合のみでなく、下記のいずれの場合にも奏される。
・大電流通電用/大電圧印加用の配線と、小電圧印加用の配線とが同一配線層内にある場合
・大電流通電用/大電圧印加用の配線と小電圧印加用の配線とが多層配線である場合
・大電流通電用/大電圧印加用の配線と小電圧印加用の配線とが同一配線層内にあり、更にその上に小電流通電の配線層がある場合
【0046】
例えば、従来の半導体装置は、製造工程時における反り防止および製品としての反り防止や強度確保の目的から、封止材として少なくとも一部に補強繊維にエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸し硬化させてなる剛性を有する複合材料(以下「プリプレグ」ということもある)からなる絶縁材料が用いられる。一方、第2の封止体52は封止材としてガラスクロスや不織布等の補強繊維を含まない、縦横の構成が同じ絶縁材料を用いるため、耐電圧に対して同一配線層内及び厚さ方向ともに同様の効果が得られる。必ずしも、
図5Aに示すように第1の配線層31と第4の配線層34とからなる多層構造でなくとも、
図5Bに示すように、1層の第1の配線層31でも同様の効果が得られる。なお、第1のチップ1の第2の電極12と金属ビア43で電気的に接続されている第1の配線層31bは、図示していないが、例えば、金属ビア41、第2の配線層32を介して、外部端子へ電気的接続される。
図5Bに示した構造を有する構造体をパッケージ化してパワー素子を含むパッケージとして用いることができる。
【0047】
また、チップ、金属ビアのいずれかが隣接している第1の封止体51においても、第2の封止体52において用いた封止材と同一、または同様の特徴をもつ封止材を用いることにより、第1のチップ上の第1の電極11と第2の電極12との間隔をデバイス特性が得られる距離まで縮めて、第1の電極11のサイズをより大きくし、第1の配線層31との接続用の金属ビアをより多く形成できるため、パッケージのオン抵抗を下げることもできる。また、第1のチップの横に設置されるビア/チップ間、またはビア間の耐電圧を向上できる。
【0048】
また、第2のチップ2は、例えば、Siデバイスの制御ICの他、数A以下/数V以下の小電流通電/小電圧印加で動作するセンサー等小電流動作素子であってもよい。さらに、制御回路部はパワー回路部のパッケージと
図1、
図2、
図3に示したように積層しなくても、パワー回路部のパッケージの外部端子を介して電気的に接続される別パッケージを実装ボードでモジュール化してもよい。
【0049】
図5A又は
図5Bに示す構造を有するパワー素子を含むパッケージと、制御素子をパッケージ化してなるパッケージと組み合わせてパワーモジュールとして使用することができる。
【0050】
(第6の実施形態)
第6の実施形態を
図6に示す。
本実施形態の半導体装置はパワー素子を含むパワー回路部と制御素子を含む制御回路部とをワンパッケージ化したものである。
図6に示したものは、第2のチップ2を接着材3によって第2の封止体(B)52bにダイボンドした後、ボンディングワイヤ21によって第4の電極14と第4の配線層34の接続用ランド22とをワイヤボンディングし、次いで、第2のチップ、及びボンディングワイヤ21を封止材で封止して第4の封止体53を形成したものである。
【0051】
(第7の実施形態)
第7の実施形態を
図7に示す。
本実施形態の半導体装置はパワー素子を含むパワー回路部と制御素子を含む制御回路部とをワンパッケージ化したものである。
図7に示したものは、第2の封止体(B)52bの上に接続用ランド23を設けて、第2のチップ2を電極14が下向きになるようにし、この電極14と接続用ランド23とをフリップチップ接続したのち、アンダーフィル樹脂4を第2のチップ2と第2の封止体(B)52bとの間の隙間に充填したものである。
【0052】
(第8の実施形態)
第8の実施形態を
図8に示す。
図8は、
図1に示した半導体装置において、ひとつの第1のチップ1として、その表面に第1の電極11と第2の電極12を、裏面に第3の電極をもつ縦型構造のパワー素子を用いた場合の、第1の配線層31の配線層のパターンと第1のチップ1、第1のチップ横の金属ビア41、第1の電極11及び第2の電極12上の金属ビア43、第2の電極12と第2のチップを電気的に接続する第2のチップ横の金属ビア42のレイアウトの例を示したものである。なお、
図1で積層された第2のチップは
図8には図示していない。また第2のチップは別パッケージとして、実装ボード上でモジュール化してもよい。
図8では、オン抵抗を低減し、許容電流をアップするために、第1の電極11と大電流通電配線である第1の配線層31とを接続するための金属ビア43を多数形成すると共に、第1の配線層31を
図8の左右両側へ櫛歯状に引き出し、第1のチップ1の第3の電極と同じ面側に形成する第2の配線層と接続するための金属ビア41を第1のチップ横に多数形成する。金属ビア41は第2の配線層32(図示なし)に接続し、外部端子60に電気的接続する。また、小電流/小電圧の第2の電極12からの信号を少なくともひとつの金属ビア43を形成し第1の配線層31と接続し、第2のチップ横の金属ビア42を用いて、第4の電極14と同一面側の第3の配線層33と接続する。
【0053】
第1のチップ1内を縦方向に通電する大電流は、第1のチップ1の外側の通電経路の抵抗が低い領域に偏る。このため、第1の電極11と接続される第1のチップ横の金属ビア41の配置を、第1の電極11に対して対称の位置に設ける。金属ビア41の配置を、第1の電極11に対して対称の位置に設ない場合には第1のチップ1内の通電経路がビアを設けた側に偏るのに対して、このように対称の位置に設けた場合には第1のチップ1内の通電領域の偏りを低減することができる。また、第1のチップ1内の通電面積を大きくすることにより実質的な第1のチップ1のオン抵抗を下げることができる。さらに、大電流が通電する第1の配線層を複数に分割し、隣接する第1の配線に通電する電流の向きを逆にすることにより、周囲の電磁場が打ち消され、インダクタンスや電磁場ノイズを低減することができる。
【0054】
第1のチップ1が片面にのみ電極を持つ横型構造の場合には、チップ横のビアを形成せずに、第1の配線層31と同一層、もしくは多層配線層を介して外部端子に電気的接続すると、第1のチップ1のサイズにより近いパッケージ外形となり、小型化ができる。
【0055】
(第9の実施形態)
第9の実施形態を
図9示す。
図9は、
図1に示した半導体装置において、表裏に電極をもつ縦型構造の第1のチップ1を2つ使用する場合における、第1の配線層31の配線パターンと、第1のチップ1、第1のチップ横の金属ビア41、第1の電極11及び第2の電極12上の金属ビア43、第2のチップ2、第2のチップ2横の金属ビア42のレイアウトの例を示したものである。
第1のチップ1の第1の電極11と第1の配線層31とを金属ビア43を介して電気的に接続し、第1の配線層31は、第1のチップ横の金属ビア41を介して第2の配線層32(図示なし)に接続し、多層に形成した第2の配線層、もしくは単一層の第2の配線層32を介して、外部端子60に電気的に接続している。
【0056】
制御ICなどの小電流/小電圧の第2のチップ2を、第1のチップ1の第2の電極12と接続した第1の配線層31を覆う第2の封止体52上に配置する。第2の電極12に金属ビア43を介して電気的に接続された第1の配線層31は、上側へ接続される第2の封止体52および第4の封止体内53に形成した金属ビア42を介して、第3の配線層33に電気的に接続されている。なお、
図9には第3の電極13側に形成する第2の配線層32や、第2のチップ2の第4の電極14側に形成する第4の配線は図示していない。
【0057】
このように配置すると、第2の電極12からの信号は小電流/小電圧の電気信号であり、第2の電極12と接続された第1の配線を覆う第2の封止体52上に配置された第2のチップ2は大電流通電配線と近接していないので、より耐電圧性、耐リーク性、耐ノイズ性が確保できる。
パッケージ設計の際、
図4に示した半導体装置のように、第4の配線層34を設ける場合においても、第2のチップ2や小電流/小電圧の第4の配線層34の配置は、大電流/大電圧の第1の電極11からビア接続された第1の配線層31の領域以外に配置するのが望ましいが、パッケージ外形、配線制約等を考慮して、第2の封止体52(A)a、第2の封止体(B)52bを設けることにより、第2の封止体(A)52a上に第4の配線層34を設け、第2の封止体(B)52b上に第2のチップ2を設けることができる。
【0058】
なお、
図9における第2の配線層32(図示なし)については、第1の電極11から第1の配線層31と第1のチップ横の金属ビア41とを介して左右2つの第1のチップ1を接続する第2の配線層32の結線と、外部端子に接続する第2の配線層32の結線がある。つまり、第1のチップ1の大電流通電経路を直列に接続する場合は、図右の第1のチップ1に対して、外部端子から第2の配線層32を介して図右の第1のチップ1の第3の電極13へ結線され、図右の第1のチップ1内をとおり、その第1の電極11に接続された第1の配線層31を図右の第1のチップ1の左横の金属ビア41を介して、第2の配線層32に電気的に接続し、外部端子及び図左の第2のチップの第3の電極13に電気的に接続している。さらに図左の第1のチップ1内をとおり、その第1の電極11、金属ビア43、第1の配線層31、図左の第1のチップ1の左横の金属ビア41を介して第2の配線層32に接続し、外部端子に至る大電流通電の経路となる。大電流通電のON/OFFは左右の第1のチップそれぞれの第2の電極に金属ビア42を介して印加される第2のチップの信号により制御する。
【0059】
図10Aに示した回路図は位置指令に基づいてモータ制御を行うための回路の一例である。また、
図10Aに示すように、ゲート制御IC201ともう一組のMOSFETを含んだ回路200の構成をモジュール化(ワンパッケージ化)し、位置アンプ202、ポテンショメータ203、モータ204及び電源、グラウンド用の外部端子を設け、電気的に接続しモータの制御回路を形成することもできる。
図10B、C、Eに示したものは、パワー回路部をパッケージ化したものと制御回路部をパッケージ化したものを中間基板208を用いてモジュール化し実装ボード207に実装したものである。
図10B、Cには実装ボード207にパワー回路部205と制御回路部206が実装されている状態を示す。
【0060】
前記パワー回路部205としては、
図5A、
図5Bに示したような、制御回路部を有さず、パワー素子と、該パワー素子及びその周辺を封止する封止材とを含む第1の封止体と、第1の封止体上に設けた第1の配線層と、該第1の配線層を封止する封止材とを含む、第1の封止体上に設けた第2の封止体とからなるものであって、制御回路部と電気的に接続することが可能な端子を形成したものを用いることができる。
【0061】
また、
図5Aの第2の封止体(B)52b側、
図5Bの第2の封止体52側も放熱ゲルのような接着材でヒートスプレッダ、ヒートパイプや筐体等の冷却体に接着することにより、パワー回路部205の上下両面からの放熱が可能となり、放熱性が向上することができる。その際、漏電等を防止すれば、
図5Aの第2の封止体(B)52b、
図5Bの第2の封止体52側も配線層を露出させる等してもよい。
図1のような積層構造の場合でも複数の金属ビア42を介して表層となる第3の配線層33に接続し、好ましくは第3の配線層33を大面積で形成することにより、同様にパッケージ両面への放熱により熱特性が向上する。
【0062】
図10Bに、第1のチップ1であるパワー素子(例えば逆電流防止用のダイオードを同一チップ内に形成したMOSFET)4つをそれぞれパッケージ化したパッケージ205と、第2のチップ2である制御素子をパッケージ化したパッケージ206とを、中間基板208を用いてモジュール化し、このモジュールを実装ボード207に実装した例を示す。
図9は一組のMOSFETと1つの第2のチップ2をワンパッケージ化した場合であったが、
図10Cに、第2のチップ2を別パッケージ206とし、中間基板208に用いてモジュール化し、実装ボード207に実装した例を示す。
図10Dに、第1のチップ1であるパワー素子を二つ直列に接続したものを二組並列に配置し、例えば第2のチップ2である制御素子と配線及び金属ビアを介してそれぞれの第1のチップ1上の計4つの第2の電極(ゲート)と電気接続しワンパッケージ化した半導体装置を直接実装ボード207に実装したものを示す。
図10Eに、4つのパワー素子1をそれぞれパッケージ化したパッケージ205と1つの制御素子パッケージ化したパッケージ206とを、直接実装ボード207に実装した例を示す。
本発明は、上記したような、第1のチップを含むパッケージ205と第2のチップを含むパッケージとを中間基板208でモジュール化したもの(
図10B、10C)、パワー回路部と制御回路部とをワンパッケージ化したもの(
図10D)、パワー素子をパッケージ化したもの(
図10Eに示すようなパワー回路部(パッケージ205)を実施形態として含む。
なお、ダイオードはパワー素子とは別素子であってもよく、その場合、パワー素子と同じパッケージに内蔵されていても、別に実装されていてもよい。
【0063】
図10Aに示されるようにパワー素子は複数個用いられて回路を形成される。高耐圧で、小型化・薄型化可能な半導体装置であることの利点は、例えば、
図10Aに示すように、MOSFET(パワー素子)、及び制ゲート御ICを個々にパッケージ化し、実装ボード上に設置してモジュール化しても、個々のパーケージが、
図16及び
図17に示すようにワイヤボンディングで接続する場合より、金属ビア41を近接させ小型化・薄型化が可能であり、回路全体を小型、薄化型化できる。
【0064】
さらに複数の素子をワンパッケージ化すると、パッケージ内に結線する配線が封止されるため、マイグレーション等の生成物によるリーク電流を防止できるため、より耐圧長寿命化が狙える。その際、複数のパワー素子を第1の封止体51内に設けると、大電流/大電圧が許容できる比較的厚い配線としては、第1の封止体51の上方にある第1の配線層31及び第1の封止体51の下方にある第2の配線層32のみ形成すればよい。
このパワー素子を直列に接続した基本構成とゲート制御ICとの構成は、DC-DCコンバータや、モータ制御用回路等に用いられ、ワンパッケージ化する素子の組み合わせ・数量は、設計制約等により逐次決定し、薄型化、小サイズ化が図れる。
【0065】
(半導体装置の製造方法)
第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について以下述べる。
<第1のチップ及び支持体の準備工程(
図11A参照)>
図11においては、パネルに多面付けされた製品単位の内、1つの製品単位部分の製造工程を示している。第1の電極11、第2電極12及び第3の電極13を有する第1のチップ1と、第1のチップ1を支持するための支持体101と、第1のチップ1を支持体101に搭載するための接着材3を準備する。
図12Aに示すように支持体101は、表面に応力緩和層116及び接着層117を介して銅箔キャリア121と極薄銅箔120とからなる銅箔キャリア付き極薄銅箔118を貼り付けて形成される。支持体101は、パネルに剛性を与え製造工程流動中の反り防止の役割を果たす。
【0066】
前記応力緩和層について説明する。一般に金属と樹脂とでは熱膨張係数に大きな差があるため、支持体として金属基板を用いた半導体パッケージの製造工程においては、金属基板と半導体素子を封止する樹脂との間における熱膨張係数の差に起因して内部応力が発生し、封止体に反りが発生する。応力緩和層の役割は、平板115の物性値と第1の封止体51の物性値との差に起因する内部応力(支持体101と第1の封止体51との境界面に生じる応力)を低減することである。そのため、応力緩和層116としては、平板115及び第1の封止体51の弾性率より小さい弾性率を有する絶縁層を用いることが望ましい。
【0067】
具体的には、同一温度条件下で、平板115の弾性率をA、応力緩和層116の弾性率をB、第1の封止体51の弾性率をCとした場合、A>C>B若しくはC>A>Bが成り立つように、平板115、応力緩和層116及び第1の封止体51の組み合わせを決定すればよい。
【0068】
このように応力緩和層116は、低弾性であることが望ましい。例えば、約25℃(室温)の温度領域で2GPa以下、かつ、100℃を超える温度領域で100MPa以下の弾性率を有することが望ましい。それぞれの温度領域において弾性率に上限を設けた理由は、それら上限値を超えると応力緩和層116が硬すぎて応力緩和層としての機能が落ちてしまうからである。
【0069】
すなわち、室温においては、ある程度の硬さがあっても(弾性率が高くても)応力緩和層116として十分機能するため、応力緩和層116の弾性率は、少なくとも2GPa以下であればよい。一方、熱硬化性樹脂の硬化温度(170℃前後)付近など、100℃を超える温度領域(望ましくは150℃を超える温度領域)においては、応力緩和層116の弾性率を100MPa以下とする。そのような高温域で100MPaを上回ると、応力緩和層としての機能を果たせなくなる虞があるからである。
【0070】
なお、弾性率が低ければ低いほど応力緩和層としての機能は高くなるが、あまりにも弾性率が低すぎると流動性が極端に高くなり、もはや層としての形状を維持できなくなる虞がある。したがつて、室温から260℃(リフロー温度)の範囲内において形状を維持できる範囲の弾性率であることが条件となる。また、応力緩和層116として、上述した弾性率の関係を満たす絶縁層を用いた場合、結果的に、同一温度条件下で、平板115の線膨張係数をa、応力緩和層の線膨張係数をb、第1の封止体51の線膨張係数をcとすると、a≦c<b(又は、a≒c<b)が成り立つ。一般的に、金属基板の線膨張係数は、20ppm/℃程度であり、第1の封止体51の線膨張係数は、数十ppm/℃程度である。そのため、本実施形態に係る半導体装置では、200℃以下の温度領域において、線膨張係数が100~200ppm/℃、望ましくは100~150ppm/℃である絶縁層を用いる。なお、200℃以下の温度領域という条件は、半導体装置の製造工程における上限温度が200℃前後であることに因る。少なくとも半導体装置の製造工程中において、線膨張係数が前述の範囲に収まることが望ましいという趣旨である。
【0071】
さらに、本発明の実施形態に係る半導体装置では、応力緩和層として、5%質量減少温度が300℃以上である接着材を用いることが望ましい。この条件は、一般的なリフロー温度が260℃前後であるため、リフロー処理を経ても質量減少の少ない絶縁層(すなわち、リフロー耐性のある絶縁層)を用いることにより、半導体装置の信頼性の低下を防ぐためである。なお、「質量減少温度」とは、物質の耐熱性を示すために用いられる指標の一つであり、窒素ガスや空気を流しながら、室温から徐々に微量の物質を加熱していき、一定の質量減少が起きる温度で示す。ここでは、5%の質量減少が起きる温度を示している。
【0072】
さらに、応力緩和層116として、平板115(鉄合金や銅合金等の代表的な金属材料で構成される基板)と第1の封止体51(エポキシ系、フェノール系またはポリイミド系などの樹脂)の双方に対して、JISの碁盤目テープ試験(旧JISK5400)において「分類0」に分類される密着力を有する樹脂を用いることが望ましい。これにより、平板と第1の封止体51との聞の密着性を高め、さらに第1の封止体51の膜剥がれを抑制することができる。
【0073】
上記のように、応力緩和層として、(1)同一温度条件下で、平板115の弾性率をA、応力緩和層116の弾性率をB、第1の51封止体の弾性率をCとした場合、A>C>B若しくはC>A>Bが成り立つこと、(2)同一温度条件下で、平板115の線膨張係数をa、応力緩和層の線膨張係数をb、第1の封止体51の線膨張係数をcとした場合、a≦c<b(又は、a≒c<b)が成り立つこと、の少なくともいずれか1つ(望ましくは全て)を満たすことが好ましい。これにより、平板115と第1の封止体51との間の物性値の差に起因する内部応力の発生を低減し、平板115や第1の封止体51に極力反りを発生させないようにすることができる。
なお、応力緩和層116に関しては、特願2014-125982号(半導体パッケージ及びその製造方法)を参考にすることができる。
【0074】
平板115は、樹脂硬化体又はステンレススチール、42アロイ、銅、銅合金等の金属板を用い、サイズとしてはプリント配線板のワークサイズを適用し、例えば400mm×500mm、500mm×600mmなどを用いることができる。従来のウェハレベルパッケージングに対し、大面積のパネル状態で製造工程を流動させることで生産効率が高まり、低コスト化が可能となる。前記銅箔キャリア付き極薄銅箔118の上下向きは、製品側が1.5μm~5μmの極薄銅箔となるようにする。銅箔キャリア付き極薄銅箔118としては、プリント配線板のMSAP(Modified Semi Additive Process)回路形用やコアレス基板の製造用途として広く使われている市販品を用いることができる。
【0075】
なお、製造工程を流動中に銅箔キャリア付き極薄銅箔118が剥がれるのを防止するために、銅箔キャリア付き極薄銅箔118のサイズを平板115、接着層117及び第1の封止体51より小サイズとし、銅箔キャリア121と極薄銅箔120の境界端部を前記接着層117及び前記第1の封止体51で被覆保護することができる。
【0076】
後述する
図11Lに示されるように支持体101は製品から剥離される。なお、銅箔キャリア121と極薄銅箔120とからなる銅箔キャリア付き極薄銅箔118は支持体101を構成する部材であるが、支持体101を剥離する際には極薄銅箔は製品側に残され、次いでエッチングして除去される。
【0077】
また、この応力緩和層116は支持体101の一部を構成して製造工程途中で第1の封止体51から剥離されてもよく、半導体装置の製品側に残されてもよい。
応力緩和層116が製造工程途中で第1の封止体51から剥離される場合は、応力緩和層116は製造工程中における半導体装置の反りを抑制するものである。この場合、支持体101を剥離した後における半導体装置の反り抑制の役割は、
図1で示す半導体装置の場合には、第1のチップに対して支持体101と逆側の表面にある第4の封止体53が、また、
図5で示す半導体装置の場合には、第2の封止体52(52a及び52b)がそれぞれ反り調整層として機能することによって担う。
【0078】
支持体101を剥離する際には、
図12BのAからBの点線部分でパネルを切断し、銅箔キャリア121と極薄銅箔120の境界端部を再び露出させることで、支持体101の剥離は容易となる。さらに、工程能力を高める等の目的で製造工程途中でパネルを分割、切断する場合がある。このような場合には、銅箔キャリア付き極薄銅箔の剥がれ防止策として、
図12Cに示すように、切断部分(
図12CのCからDの点線部分)の銅箔キャリア付き極薄銅箔118を銅箔キャリア121の厚み方向の途中までハーフエンチングを行い銅箔キャリア付き極薄銅箔118に溝122を形成し、この溝122に第1の封止体51を充填する。第1の封止体51が充填されることで、パネルを分割、切断した後の銅箔キャリア121と極薄銅箔120の境界端部を前記第1の封止体51によって被覆保護することができる。支持体101を剥離する際には、
図12CのEからF、E’からF’の点線部分でパネルを切断し、銅箔キャリア121と極薄銅箔120の境界端部を再び露出させることで、支持体101の剥離が容易となる。
【0079】
次に
図11Aに示すように極薄銅箔120上にセミアディティブ工法によって金属配線層102を形成する。セミアディティブ工法に限定されるものではないが、極薄銅箔120を電解銅めっきのシード層として使えることや、回路形成のファイン化に適している点などから、当該工法を適用するのが好ましい。
【0080】
既に述べたように、第1のチップ1と接着材3との熱膨張ミスマッチを緩和する効果及び接着材3の耐エッチング液性の効果が得られるように、
図13Aに示すように、金属配線層102上に前記第1の封止体51を形成する前に第6の封止体61を形成してもよい。また既に述べたように、放熱性を良好にするために、
図13Bで示すように金属配線層102を第1のチップ1の領域に形成し、第1のチップ1を導電材103でダイアタッチしてもよい。または、第1のチップ1を表裏面を逆に搭載して、第1の電極11及び第2の電極12を非導電性樹脂を予め設置したフリップチップボンディング(Non Conductive FilmまたはPaste Flip-Chip Bonding)により第2の配線層と接続してもよい。
これらの場合には、第2の配線層を金属薄膜配線102で兼ねることもできる。
【0081】
<第1のチップの支持体への搭載工程(
図11B参照)>
主面を上向きにした第1のチップ1を支持体101の表面に接着材3を介して搭載する。
【0082】
<第1のチップの封止工程(
図11C参照)>
第1のチップ及びそれらの周辺を層状の封止材で封止して第1の封止体51を形成する。
【0083】
<金属ビア用の開口を形成する工程(
図11D参照)>
次に、第1の封止体51に第1のチップ1の第1の電極11及び第2の電極12と第1の配線層31とを接続する金属ビアを形成するための開口43aを形成する。また、同時に第1の配線層31と第2の配線層32とを接続する金属ビアを形成するための開口41aを形成する。開口形成には、C0
2レーザー加工、UV一YAGレーザー加工等の従来技術を用いることができる。
【0084】
<金属ビア形成工程(
図11E参照)>
次に、セミアディティブ工法やMSAP工法等の従来技術を用いて、開口41a及び開口43aに金属ビア41及び金属ビア43を形成すると共に、第1の配線層31を形成する。半導体装置を使用時、通電する最大電流仕様によりビアは導電材を充填したフィルドタイプや充填していないコンフォーマルタイプのビアを形成する。なお大電流通電ビアについては、導電材を充填したフィルドタイプのビアを形成しビア抵抗を低減するのが望ましい。
【0085】
<第2の封止体を形成する工程(
図11F参照)>
次に、第1の配線層31の上面及び側面を封止材で封止して第2の封止体52を形成する。大電流通電配線が多層に及ぶ場合には、第2の封止体52の形成、穴あけ加工、及び回路形成を繰り返すことで複数層からなる第2の封止体52を形成することができる。例えば第2の封止体を
図4に示したように52a及び52bからなる2層構成とすることができる。
【0086】
<第2のチップを搭載する工程(
図11G参照)>
第2の封止体52上に接着材3を用いて第2のチップ2を搭載する。本工程において用いる接着材としては、後述する
図11Nで示した工程におけるパターニング等処理条件が異なる場合、
図11Aで用いた接着材と異なる材料を用いることができる。
【0087】
<第4の封止体を形成し、開口を形成する工程(
図11H参照)>
第2のチップ2及び第2の封止体52の表面を封止材で封止して第4の封止体53を形成する。
【0088】
<金属ビア用の開口を形成する工程(
図11I参照)>
図11Dで示した工程と同様に、第4の封止体53の表面から第2のチップ2の第4の電極14にまで達する開口44aを形成する。また、第4の封止体53の表面から第1の配線層31まで達する開口42aを形成する。
【0089】
<第3の配線層及び金属ビアを形成する工程(
図11J参照)>
図11Eに示した工程と同様に、第4の封止体53の表面に第3の配線層33を形成し、開口42a及び開口44aに金属ビア43及び金属ビア44を形成する。
【0090】
<第3の封止体を形成する工程(
図11K参照)>
第3の配線層33及び金属ビア42、44を封止材で封止して第5の封止体54を形成する。第2のチップ2の第4の電極と接続される金属ビア42、44は、小電流/小電圧のみであれば、コンフォーマルタイプのビアであってもよく、第5の封止体54でビアの中央分も充填する。以上により、第1の封止体51、第2の封止体52、第4の封止体53及び第5の封止体54からなる積層体を得る。
以下では上記積層体を絶縁材料層130ということがある。
【0091】
<支持体を分離する工程(
図11L、
図11M参照)>
図11Lに示すように、支持体101を前記絶縁材料層130から分離する。
図11Mは支持体101を分離した後の状態を示す。支持体101は、平板115、応力緩和層116、銅箔キャリア121と極薄銅箔120とからなる銅箔キャリア付き極薄銅箔118で構成されるが、支持体101を剥離する際には銅箔キャリア121と極薄銅箔120との界面で分離し、極薄銅箔120は製品側に残され、次いでエッチングして除去される。また、銅箔キャリア121を第1のチップ1側にすることによって、銅箔キャリア121を製品側に残すこともできる。これにより、例えば、第1のチップ1を、導電材で比較的厚い銅箔キャリア121にダイアタッチし、支持体101を分離した後、銅箔キャリア121をエッチング等でパターニングすることにより、第2の配線層32として用いることもできる。
【0092】
前述したように、第1の封止体51、第2の封止体52及び第4の封止体53としては、ガラスクロスや不織布等の補強繊維を含まない熱硬化樹脂を用いる場合、支持体101はパネルに剛性を与え製造工程流動中の反り防止の役割を果たす。第1のチップ1を複数並べて配置するとパネルの剛性は向上するが、それでも支持体101を分離した後においては、製品部を形成する絶縁材料の種類、第1のチップ1(パワー素子)や第2のチップ2(制御I)の配置及び配置される層数、半導体装置の占める体積、銅箔部の面積比率(残同率)等に応じて一定の反りを示す。
【0093】
そこで、支持体101を分離する前に、支持体101とは反対側の表面に、製品部が示す反りの方向とは反対の方向の反りを示す層(以下、「反り調整層」という)を配置して製品部の反りを相殺し、もって半導体装置の反りを低減する。反り調整層は製品部との熱膨張係数のミスマッチによって反りを生じる層であり、例えば、
図1の第5の封止体54もしくは
図5の第2の封止体(B)52bのような単一の材料からなる層であっても良く、
図2に示す電子部品を含む第4の封止体53もしくは
図7のアンダーフィル樹脂4であっても良い。具体的には、反り調整層は、絶縁樹脂からなる層又は1つないし複数の電子部品と該電子部品を封止する絶縁樹脂とからなる層が好ましい。反り調整層を第5の封止体54もしくは
図5の第2の封止体(B)52bの単一の絶縁樹脂だけとする場合は、ゾルダーレジスト材料を適用してもよい。また、所望の物性値を得るなど樹脂組成物の設計の容易さを考えると、光硬化機構を用いない熱硬化型樹脂を適用するのが好ましい。熱硬化型の場合は、たとえば該樹脂を硬化させた後、レーザー直描や、銅箔またはドライフィルムをマスクにしてレーザー加工、ブラスト処理、過マンガン酸塩水溶液等でエッチングを行うことで所望のソルダーレジスト・パターンを形成することができる。
【0094】
また、例えば、第1のチップ1(パワー素子)を第1の封止体51の1層に横に並べて搭載し、第2のチップ2(制御IC)を第4の封止体で封止した場合、
図10Aの回路図で示すように、第1の封止体内に占めるチップ体積よりも、第4の封止体内に占めるチップ体積が小さくなる。従って、第1の封止体内に占める封止材の体積よりも第4の封止体内に占める封止材の体積が大きくなる。このため、反り調整層の材料としては、第4の封止体の成形後の硬化収縮、及び常温まで降温する際に生じる熱圧縮を相殺するように、第4の封止体より200℃以下の温度領域における線膨張係数が小さい絶縁材料を用いるとよい。
【0095】
具体的には、例えば反り調整層として特定の絶縁樹脂からなる層を選択したとき、半導体装置の反りが低減されるように、絶縁材料層130の反りを調整するために、絶縁材料層130を形成する絶縁材料の種類、半導体素子の配置および配置する層数、半導体素子装置の占める体積率、銅箔部の面積比率(残銅率)等を設計することが考えられる。また、反り調整層として電子部品と該電子部品を封止する絶縁樹脂とからなる層を用いる場合には、絶縁材料層130の反りを相殺するように、絶縁材脂の種類、電子部品の配置及び電子部品の占める体積率等を設計することが考えられる。
【0096】
<金属ビア用の開口を形成、第2の配線層及び金属ビアを形成する工程(
図11N参照)>
支持体101を分離し、製品側に残された極薄銅箔をエッチング除去したのち、反り調整層により反りを低減した状態で、第1のチップ1の第3の電極13と電気的に接続する金属ビアを形成するための開口を第1のチップ1を支持体101に固着するために使用された接着材層にC0
2レーザー加工、UV一YAGレーザー加工等の従来技術を用いて形成する。その後、第3の電極と電気的接続するように、セミアディティブエ法やMSAP工法等の従来のめっき技術を用いて、絶縁材料層130の裏面に第2の配線層32を形成すると同時に第1のチップ1の第3の電極13と第2の配線層32とは金属ビア47によって接続する。
【0097】
また、反り緩和層の効果と例えば
図8もしくは
図9で示したような比較的厚く広範囲に及んだ第1の配線層のパターンと第2の配線層で複数の第1のチップ1を挟んだ構造により、剛性を確保し、反りを抑制することができる。
【0098】
ここまで第1のチップ1を、表面に第1の電極11と第2の電極12を有し、裏面側に第3の電極13を有するように配置した場合を例に挙げて説明した。しかしながら、ここで説明したパターニングされた第2の配線層32と金属ビア47を介して第1のチップ1上の電極と電気的接続を得ることは、第1のチップ1の表裏面の電極数には無関係にできるため、第1のチップ1の表裏には限定されず、前記の第1のチップ1の表裏を逆にして、裏面に第1の電極11と第2の電極12を有し、表面に第3の電極13を有するように配置してもよい。この場合には、第1の電極11と第2の電極12を有している側の第1の封止体と接している封止体が第1の封止体上に設けた第2の封止体となる。
【0099】
<配線保護層を形成する工程(
図11O参照)>
第2の配線層32上に配線保護層(ソルダーレジスト層)として第3の封止体55を形成し、外部端子用開口60aを形成する。なお、この例では、外部端子60aを第1のチップ1の第1の電極11と逆面側の第3の電極13側に形成する例を示したが、第2の配線層32は、電気的接続のみの用途で用い、外部端子60を第1のチップ1の第1の電極11と同じ面側に形成してもよく、その場合、外部端子は第5の封止体54の形成時や、
図5の第2の封止体(B)52bの形成時に外部端子用の開口を設け、外部端子を形成してもよく、導通経路によるオン抵抗、放熱経路によるパッケージ熱抵抗、外部端子数等を考慮し、外部端子を配置する。
支持体101を分離した後の金属配線層(第2の配線層32)及び配線保護層(第3の封止体55)等は、層上に形成するため、150℃以下の比較的低温で形成し、熱収縮量を抑え、反りを低減することが望ましい。
【0100】
<外部端子を形成する工程(
図11P参照)>
開口60a内の第2の配線層32にめっき膜を形成して外部端子60を形成する。必要に応じて、はんだボール等を形成してもよい。次に、ブレード等で個片化することにより、本発明の第1の実施形態による半導体装置を得る。
【0101】
なお、上記では
図1に示される第1の実施形態の半導体装置の製造方法について述べたが、他の実施形態の半導体装置の製造は、上記第1の実施形態の半導体装置の製造方法の工程を省略したり、応用することにより当業者であれば容易になし得る。
【0102】
例えば、第2の封止体52及び第4の封止体53をそれぞれ複数設けることにより、複数個の第1のチップ1を複数の第2の封止体のそれぞれに配置し、第2のチップ2を複数の第4の封止体のそれぞれに配置することができる。
図14に示した例は、二つの第1のチップ1を第1の封止体(A)51a中に配置し、第1の封止体(A)51aの上に第1の配線(A)31aを配置し、他の二つの第1のチップ1を第1の封止体(B)51b中に配置したものである。そして、第1の封止体(B)51bの上に第1の配線層(B)31bを封止材で封止した第2の封止体52を積層し、この第2の封止体52上に第2のチップ2を封止した第4の封止体53を積層し、この第4の封止体53上に第3の配線層33を封止した第5の封止体54を積層する。
【0103】
また、上記ではパワー素子として、一方の面にソース電極とゲート電極を、また、他方の面にドレイン電極を配置し、ソース電極からドレイン電極に垂直方向に通電する縦型構造のものについて実施形態を説明した。
しかしながら、本発明は、ソース電極とドレイン電極とゲート電極とが同一面に配置され、ソース電極からドレイン電極に水平方向に通電する横型構造のものについても適用可能である。
【0104】
図15Aに示すものは、二つの横型構造のパワー素子1を第1の封止体51内に封止したものである。パワー素子1は一方の面にソース電極11a、ドレイン電極11b及びゲート電極12を有しており、その裏面にはバックメタル層70が設けられている。
図に示すように電流はドレイン電極11b側からパワー素子内を通ってソース電極11a側に流れ、第1の配線層31及び金属ビア41を通って外部端子60に流れる。
図15Aに示したものでは、バックメタル層70には金属ビア47が接触しており、金属ビア47は放熱経路を形成している
【0105】
また、
図15Bに示したものは、
図15Aに示したものにおいて、バックメタル層70に導電材103を接触させたものであり、導電材103は放熱経路を形成している。
【0106】
このように、ガラスクロスや不織布等の補強繊維を含まない熱硬化樹脂を封止体に用いると、付随する第1の配線層31のファイン化、前記金属ビアの小径化、及び層間厚の薄化ができるため、高密度配線が可能となり、層数低減の効果等半導体装置の小型・薄型化が可能となる。また、大電流通電配線を封止する第1の封止体51、第2の封止体52、金属ビア及び金属配線層102を逐次積層によって行い多層化でき、第1のチップ1の複数層への配置も第1の封止体51、第2の封止体52の多層化、第2のチップ2の複数層への配置も封止する第4の封止体53、第5の封止体54、配線層を逐次積層できるので、任意の単数又は複数層面に任意の数のパワー素子、制御素子を搭載することが可能である。配線設計の自由度が増すほか、支持体101の剛性付与機能が、工程途中で反り調整層および第1の配線層/第1のチップ/第2の配線層の剛性へと引き継がれることにより、製造バンクエンドエ程中の流動品及び完成品の反り特性は低下することなく維持され、反り対策として残銅率等とのバランス設計が可能となる。
また、前記した本実施形態にかかる半導体装置の構造及び製造方法を採用することにより、前記
図10Aに示したような回路に限らず、汎用性のある回路設計が可能となる。
【符号の説明】
【0107】
1 第1のチップ(パワー素子)
2 第2のチップ(制御素子)
3 接着材
4 アンダーフィル樹脂
11 第1の電極(ソース電極)
11a ソース電極
11b ドレイン電極
12 第2の電極(ゲート電極)
13 第3の電極(ドレイン電極)
14 第4の電極
21 ボンディングワイヤ
22、23 接続用ランド
31 第1の配線層
31a 第1の配線(A)、大電流通電配線
31b 第1の配線(B)、小電流通電配線
32 第2の配線層
33 第3の配線層
34 第4の配線層
41、42、43、44、45a、45b、46、47 金属ビア
41a、42a、43a、44a ビア用開口
51 第1の封止体
52 第2の封止体
52a 第2の封止体(A)
52b 第2の封止体(B)
53 第4の封止体
54 第5の封止体
55 第3の封止体(ソルダーレジスト層)
60 外部端子
60a 外部端子用開口
61 第6の封止体
70 バックメタル
100 200 半導体装置(パワーモジュール)
101 支持体
102 金属配線層
103 導電材
115 平板
116 応力緩和層
117 接着層
118 銅箔キャリア付き極薄銅箔
120 極薄銅箔
121 銅箔キャリア
122 銅箔キャリア付き極薄銅箔の溝
130 絶縁材料層
200 ゲート制御ICとMOSFETを含む回路
201 ゲート制御IC
202 位置アンプ
203 ポテンショメータ
204 モータ
205 パワー回路部、パッケージ
206 制御回路部、ッケージ
207 実装ボード
208 中間基板
C1 大電圧の電気的接続
C2 小電圧の電気的接続
S1 第1チップの主面
S2 第1チップの裏面
S3 第1チップの側面
d1、d2 間隔