(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】光モジュール及び光伝送装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02355 20210101AFI20220222BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
H01S5/02355
H01L31/02 B
(21)【出願番号】P 2017167122
(22)【出願日】2017-08-31
【審査請求日】2020-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】301005371
【氏名又は名称】日本ルメンタム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-130263(JP,A)
【文献】特開2016-018862(JP,A)
【文献】特開2006-080418(JP,A)
【文献】特開2017-005159(JP,A)
【文献】特開2005-286305(JP,A)
【文献】特開2015-204398(JP,A)
【文献】特開2017-108064(JP,A)
【文献】特開2008-211072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0086300(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 5/00 - 5/50
H01L 31/00 - 31/02
H01L 33/00 - 33/64
H04B 10/00 - 10/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側表面から外側表面まで貫通する第1貫通孔を有する、導体板と、
前記第1貫通孔を前記内側表面から前記外側表面へ貫くとともに前記外側表面よりさらに突出し、前記第1貫通孔に
第1誘電体によって固定される、信号リード端子と、
第1の面
を有し、前記外側表面に対向する第2の面を有し、
前記第1の面から前記第2の面まで貫通する第2貫通孔を有し、前記第1の面
に配置される信号ストリップ導体
と、前記第1の面に配置されて前記第2貫通孔を囲う信号ランドと、
前記信号リード端子と前記第2貫通孔の内壁との間で前記第2貫通孔の内側に少なくとも部分的に介在する第2誘電体と、前記第2の面に配置される接地導体層と
、を備える、配線基板と、
を備え、
前記
信号ランドは
、前記信号ストリップ導体と接し、
前記信号リード端子が前記第2貫通孔を前記第2の面から前記第1の面へ貫くとともに
前記信号ランドを介して前記信号ストリップ導体に電気的に接続されている、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュールであって、
前記配線基板は、前記第2貫通孔の内側で前記信号リード端子と前記第2貫通孔の前記内壁との間に空気層をさらに有する、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光モジュールであって、
前記配線基板は、前記信号ストリップ導体の上にあるとともに、前記信号ランドの少なくとも外縁の上にある保護層をさらに備える、光モジュール。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれかに記載の光モジュールであって、
前記配線基板は、前記接地導体層
の上にある保護層をさらに備える、光モジュール。
【請求項5】
請求項
4に記載の光モジュールであって、
前記保護層は、前記第2の面に配置され、前記接地導体層を覆い、前記第2誘電体よりも低い柔軟性を有する、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至
5のいずれかに記載の光モジュールであって、
前記第2貫通孔の
前記内壁は、前記信号リード端子から離れている、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項7】
請求項1乃至
6のいずれかに記載の光モジュールであって、
前記導体板の最大幅は6mm以下であり、
前記信号リード端子の最大幅は0.22mm以上0.35mm以下であり、
前記第1貫通孔の最大幅は0.4mm以上0.85mm以下であり、
前記
信号ランドの最大幅は、前記信号ストリップ導体との接続部分以外において、0.9mm以上である、
ことを特徴とする、光モジュール。
【請求項8】
請求項1乃至
7のいずれかに記載の光モジュールが搭載される、光伝送装置。
【請求項9】
請求項1に記載の光モジュールであって、
前記第2誘電体は、前記第1誘電体とは異なることを特徴とする光モジュール。
【請求項10】
請求項1に記載の光モジュールであって、
前記配線基板は、前記信号ランドの上にあって前記信号リード端子を前記信号ランドに接続する半田と、前記第2貫通孔の内側で前記半田と前記第2誘電体の間にある空気層と、をさらに有することを特徴とする光モジュール。
【請求項11】
第1の面と、第2の面と、前記第1の面から前記第2の面まで貫通して信号リード端子を挿入可能になっている貫通孔と、を有する基材と、
前記第1の面に配置される信号ストリップ導体と、
前記第1の面に配置されて前記貫通孔を囲って前記信号ストリップ導体と接している信号ランドと、
前記貫通孔の内側に少なくとも部分的に介在して前記信号リード端子の一部を囲めるようになっている誘電体と、
前記第2の面に配置される接地導体層と、
を備えることを特徴とする配線基板。
【請求項12】
請求項11に記載の配線基板であって、
前記貫通孔の内側に、前記信号リード端子の他の一部を囲めるように空気層をさらに有することを特徴とする配線基板。
【請求項13】
請求項11に記載の配線基板であって、
前記信号ストリップ導体の上および前記信号ランドの一部の上にある保護層をさらに有することを特徴とする配線基板。
【請求項14】
請求項13に記載の配線基板であって、
前記信号ランドの他の一部の上にあって前記信号リード端子を前記信号ランドに接続可能にする半田をさらに有することを特徴とする配線基板。
【請求項15】
請求項13に記載の配線基板であって、
前記保護層は、第1保護層であり、
前記接地導体層の少なくとも一部の上にある第2保護層をさらに有することを特徴とする配線基板。
【請求項16】
請求項15に記載の配線基板であって、
前記第2保護層は、前記接地導体層と導体板の間に少なくとも部分的に配置されるようになっていることを特徴とする配線基板。
【請求項17】
請求項16に記載の配線基板であって、
前記貫通孔は、第1貫通孔であり、
前記誘電体は、第1誘電体であり、
前記導体板は、第2貫通孔と、前記第2貫通孔の内側にある第2誘電体と、含むことを特徴とする配線基板。
【請求項18】
請求項17に記載の配線基板であって、
前記第2誘電体は、前記第1誘電体とは異なることを特徴とする配線基板。
【請求項19】
請求項15に記載の配線基板であって、
前記第2保護層は、少なくとも部分的に、前記基材の前記第2面の上にあることを特徴とする配線基板。
【請求項20】
請求項15に記載の配線基板であって、
前記第2保護層は、前記誘電体よりも低い柔軟性を有することを特徴とする配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光モジュール及び光伝送装置に関し、特に、特性インピーダンスの不整合を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光半導体素子を備える光サブアセンブリ(OSA:Optical SubAssembly)が用いられている。1又は複数の光サブアセンブリを備える光モジュールに、近年、高速化のみならず、低価格化への要求が高まっている。
【0003】
光サブアセンブリは、一般に、電気的に接地(GND)されているステムと、ステムを貫通するとともにステムから電気的に絶縁されているリード端子とを有している。また、ステムとステムに取り付けられるキャップとによって、光半導体素子を収容する筐体が構成されている。リード端子とステムとで同軸線路を構成している。リード端子の一方の端部は、光半導体素子に必要に応じて配線基板などを介して接続される。リード端子の他方の端部は、フレキシブル基板(FPC)などの配線基板を介して、変調電気信号を出力する/が入力されるIC等に接続される。フレキシブル基板には、一方側の表面に信号線路が、他方側の表面には接地導体層(GND)が、それぞれ形成されている。そして、変調電気信号は、フレキシブル基板やリード端子などで構成される伝送線路を伝達する。
【0004】
通信速度の上昇に伴い、変調電気信号に含まれる周波数は高周波に及ぶこととなる。そのため、電気信号の高周波化に起因して、伝送線路における特性インピーダンスの不整合箇所で電気信号の反射が生じやすくなってしまう。特性インピーダンスの不整合は、例えば、リード端子とステムとによって形成される同軸線路と、FPCなどの配線基板と、の間で生じやすい。特性インピーダンスの不整合箇所では、電気信号の反射波が伝送線路内に顕在化し、本来の変調電気信号と干渉し、例えば光送信においては結果的に光信号の波形品質が低下を招く。そこで、特性インピーダンスの不整合が生じやすいリード端子とFPCとの接続箇所において、光波形に与える影響を抑える従来技術が開示されている。
【0005】
特許文献1に、通常空気層となるリード端子の周囲を誘電体で覆うことで、リード端子に寄生するインダクタンスを低減させる技術が開示されている。特許文献2に、リード端子に寄生するインダクタンスをフレキシブル基板のスルーホールにキャパシタンスを付加することで打消し、特性インピーダンスを調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-5159号公報
【文献】特許第3990674号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、誘電材料の塗布量が適量でない場合、リード端子周囲に空隙を作り込み、所望の特性インピーダンスより増加してしまう恐れがある。特許文献2に開示される技術では、キャパシタンスを調整することにより、リード端子周りに寄生するインダクタンスを補償することができ、かかるキャパシタンスによりインピーダンスを平均化することが可能である。近年の光サブアセンブリには、前述の通り、高速化の要求が高まっているが、特許文献2に示すように、インダクタンスを許容し、それに応じたキャパシタンスを設けることにより低周波帯域におけるインピーダンスは平均化されるものの、高周波帯域では、キャパシタンスとインダクタンスの影響が顕著となり、インピーダンスの平均化は困難となり、特性インピーダンスの甚大な不整合を招く恐れがある。それゆえ、高速化に伴って、インダクタンスとキャパシタンスをともに低減する必要があるが、特許文献2に開示する技術ではそれが非常に困難である。
【0008】
一般に、フレキシブル基板上の信号線路に接続される貫通孔にリード端子を挿入し、半田付けにより信号線路とリード端子とが電気的に接続される。フレキシブル基板の貫通孔にリード端子を挿入するのは手作業で行うのが一般的であり、半田付けによる貼り合わせ作業において、リード端子が導電体若しくは誘電体に覆われていない領域に空気層を発生させてしまう恐れがあるが、空気層の体積のばらつきに起因して製造ばらつきが発生し、リード端子に寄生するインダクタンスがさらに増加してしまう可能性がある。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、特性インピーダンス不整合の抑制に関してロバスト性と低コスト化が両立される、光モジュール、及び光伝送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る光モジュールは、内側表面から外側表面まで貫通する第1貫通孔を有する、導体板と、前記第1貫通孔を前記内側表面から前記外側表面へ貫くとともに前記外側表面よりさらに突出し、前記第1貫通孔に誘電体によって固定される、信号リード端子と、第1の面と第2の面とを有し、前記第1の面にそれぞれ配置される信号ストリップ導体及びランドと、前記第2の面に配置される接地導体層と、前記信号リード端子が貫通して前記信号ストリップ導体と電気的に接続させるための第2貫通孔と、を備える、配線基板と、を備え、前記ランドは、前記第2貫通孔を囲うとともに前記信号ストリップ導体と接し、前記配線基板の前記第2の面が、前記導体板の前記外側表面と対向し、前記信号リード端子が前記第2貫通孔を前記第2の面から前記第1の面へ貫くとともに前記第1の面よりさらに突出するよう、前記配線基板が前記導体板に対して配置され、前記信号リード端子と前記ランドとが半田を介して物理的に接続されることにより、前記信号リード端子と前記信号ストリップ導体とが電気的に接続され、平面視して、前記ランドは、前記信号ストリップ導体と接する部分に加えて、前記第1貫通孔の外縁より、少なくとも一部は外方に広がる。
【0011】
(2)上記(1)に記載の光モジュールであって、前記信号リード端子と前記第2貫通孔との間の少なくとも一部に、外気環境となる領域があってもよい。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)に記載の光モジュールであって、前記第1の面に配置され、前記信号ストリップ導体を覆うとともに、前記ランドの外縁の少なくとも一部を覆う、第1保護層、をさらに備えていてもよい。
【0013】
(4)上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第1保護層は、前記ランドのうち、前記信号リード端子と物理的に接続するために前記半田が配置される領域を避けて配置されてもよい。
【0014】
(5)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記第2の面に配置され、前記接地導体層を覆うとともに、平面視して前記配線基板と前記導体板とが重畳する領域を避けて配置される、第2保護層、をさらに備えていてもよい。
【0015】
(6)上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記信号リード端子と前記第2貫通孔との間の少なくとも一部に、誘電体が配置されてもよい。
【0016】
(7)上記(6)に記載の光モジュールであって、前記誘電体は、前記配線基板を前記導体板に対して配置する際に、前記第2保護層より柔軟性を有する素材であってもよい。
【0017】
(8)上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記信号リード端子と前記信号ストリップ導体とは、前記信号リード端子と前記ランドとが半田を介して物理的に接続されることのみにより電気的に接続されていてもよい。
【0018】
(9)上記(1)乃至(8)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記配線基板の前記第2の面に、前記ランドに電気的に接続されるランドパタンは形成されていなくてもよい。
【0019】
(10)上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記配線基板の前記第2貫通孔の内壁に、前記ランドに電気的に接続される導体は形成されていなくてもよい。
【0020】
(11)上記(1)乃至(10)のいずれかに記載の光モジュールであって、前記導体板の最大幅は6mm以下であり、前記信号リード端子の最大幅は0.22mm以上0.35mm以下であり、前記第1貫通孔の最大幅は0.4mm以上0.85mm以下であり、前記ランドの最大幅は、前記信号ストリップ導体との接続部分以外において、0.9mm以上であってもよい。
【0021】
(12)本発明に係る光伝送装置は、上記(1)乃至(11)のいずれかに記載の光モジュールが搭載される、光伝送装置であってもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、特性インピーダンス不整合の抑制に関してロバスト性と低コスト化が両立される、光モジュール、及び光伝送装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る光伝送装置及び光モジュールの構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る光サブアセンブリの側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る光サブアセンブリ101の構造を示す図である。
【
図4A】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブル基板の平面図である。
【
図4B】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブル基板の底面図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る光モジュール一部の構造を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るフレキシブル基板の平面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係るフレキシブル基板の平面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係るフレキシブル基板の平面図である。
【
図9】本発明の比較例に係る光モジュール一部の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面に基づき、本発明の実施形態を具体的かつ詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、以下に示す図は、あくまで、実施形態の実施例を説明するものであって、図の大きさと本実施例記載の縮尺は必ずしも一致するものではない。
【0025】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光伝送装置1及び光モジュール2の構成を示す模式図である。光伝送装置1は、プリント回路基板11(PCB)とIC12を備えている。光伝送装置1は、例えば、大容量のルータやスイッチである。光伝送装置1は、例えば交換機の機能を有しており、基地局などに配置される。光伝送装置1に、複数の光モジュール2が搭載されており、光モジュール2より受信用のデータ(受信用の電気信号)を取得し、IC12などを用いて、どこへ何のデータを送信するかを判断し、送信用のデータ(送信用の電気信号)を生成し、プリント回路基板11を介して、該当する光モジュール2へそのデータを伝達する。
【0026】
光モジュール2は、送信機能及び受信機能を有するトランシーバである。光モジュール2は、プリント回路基板21と、光ファイバ3Aを介して受信する光信号を電気信号に変換する光受信モジュール23Aと、電気信号を光信号に変換して光ファイバ3Bへ送信する光送信モジュール23Bと、を含んでいる。プリント回路基板21と、光受信モジュール23A及び光送信モジュール23Bとは、それぞれフレキシブル基板22A,22B(FPC)を介して接続されている。光受信モジュール23Aより電気信号がフレキシブル基板22Aを介してプリント回路基板21へ伝送され、プリント回路基板21より電気信号がフレキシブル基板22Bを介して光送信モジュール23Bへ伝送される。光モジュール2と光伝送装置1とは電気コネクタ5を介して接続される。光受信モジュール23Aや光送信モジュール23Bは、プリント回路基板21に電気的に接続され、光信号/電気信号を電気信号/光信号にそれぞれ変換する。
【0027】
当該実施形態に係る伝送システムは、2個以上の光伝送装置1と2個以上の光モジュール2と、1個以上の光ファイバ3(図示せず:例えば光ファイバ3A,3B)を含む。各光伝送装置1に、1個以上の光モジュール2が接続される。2個の光伝送装置1にそれぞれ接続される光モジュール2の間を、光ファイバ3が接続している。一方の光伝送装置1が生成した送信用のデータが接続される光モジュール2によって光信号に変換され、かかる光信号を光ファイバ3へ送信される。光ファイバ3上を伝送する光信号は、他方の光伝送装置1に接続される光モジュール2によって受信され、光モジュール2が光信号を電気信号へ変換し、受信用のデータとして当該他方の光伝送装置1へ伝送する。
【0028】
図2は、当該実施形態に係る光モジュール2主要部の側面図である。光モジュール2に備えられる光送信モジュール23Bは、1又は複数の光サブアセンブリ101を備えている。各光サブアセンブリ101は、1又は複数の光半導体素子を備えている。なお、当該実施形態に係る光送信モジュール23Bは、25Gbit/s級の光信号の伝送を行う光サブアセンブリを1つ備えている。当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、1の光半導体素子を備える、TO-CANパッケージ型TOSA(Transmitter Optical Subassembly)である。光サブアセンブリ101にフレキシブル基板102が接続され、フレキシブル基板102はさらにプリント回路基板103に接続される。ここで、フレキシブル基板102は、フレキシブル基板22Bの一部又は全部であり、プリント回路基板103はプリント回路基板21の一部又は全部である。プリント回路基板103に搭載される駆動IC(図示せず)から、プリント回路基板103に半田等によって接続されるフレキシブル基板102を介し、光サブアセンブリ101へ変調電気信号が伝送される。当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、フレキシブル基板102に接続される側に、ステム104と、1対の信号リード端子111と、接地リード端子112と、を備えている。
【0029】
図3は、当該実施形態に係る光サブアセンブリ101の構造を示す図である。ステム104は、
図3に図示する内側表面Aと
図3に図示されていない外側表面Bとを有している。ステム104は、内側表面Aから外側表面Bまで貫通する1対の第1貫通孔113を有する導体板である。光サブアセンブリ101を駆動する際、ステム104は接地電位(GND)に維持される。
図3に示す通り、1対の信号リード端子111それぞれは、対応する第1貫通孔113を内側表面Aから外側表面Bへ貫くとともに外側表面Bよりさらに突出している。また、1対の信号リード端子111それぞれは、対応する第1貫通孔113の内壁との空間に誘電体120(例えばガラス)を充填することにより、対応する第1貫通孔113に誘電体120により固定される。また、接地端子112(図示せず)は、ステム104の外側表面にろう接される接地リード端子(ケースピン)である。
【0030】
さらに、ステム104は、本体となるアイレット121(金属円盤)と、台座部122と、台座部122の上面に配置されるセラミック基板123と、セラミック基板123に搭載される光半導体素子124(ここでは、半導体レーザ素子)と、複数のボンディングワイヤ125と、を備えている。台座部122は、ステム104本体(アイレット121)に内側表面Aから垂直方向に突出するよう配置される。セラミック基板123は、光半導体素子124と近い熱膨張係数を持つ窒化アルミニウムなどからなり、セラミック基板123は台座部122の上面にダイボンディングされている。セラミック基板123は、表裏面にメタライズパタンが形成される。セラミック基板123は、裏面のメタライズパタンにより、接地導体となるステム104本体(アイレット121)に電気的に接続される。光半導体素子124が搭載される、セラミック基板123の表面のメタライズパタンにより伝送線路を構成しており、該メタライズパタンと表面に搭載される光半導体素子124とは電気的に接続される。また、1対の信号リード端子111とセラミック基板123は、複数のボンディングワイヤ125により電気的に接続される。
【0031】
図4Aは、当該実施形態に係るフレキシブル基板102の平面図であり、
図4Bは、当該実施形態に係るフレキシブル基板102の底面図である。フレキシブル基板102は、第1の面(表面)と第2の面(裏面)を有する配線基板であり、フレキシブル基板102本体は誘電体からなる基材160(図示せず)である。
図4Aはフレキシブル基板102の第1の面を、
図4Bはフレキシブル基板102の第2の面を、それぞれ示している。なお、フレキシブル基板102の第1の面には第1保護層150Aが、第2の面には第2保護層150Bが、それぞれ形成されているが、構造の理解を容易くするために、ここでは省略している。
【0032】
図4A及び
図4Bに示す通り、フレキシブル基板102は、1対の第2貫通孔141と、接地貫通孔142と、第1の面にそれぞれ配置される1対の信号ストリップ導体143及び1対の信号ランド144と、第1の面に配置される接地ランド145と、第2の面に配置される接地導体層146と、を備える。フレキシブル基板102をステム104と接続(固定)させるために、フレキシブル基板102の第2の面(裏面)が、ステム104の外側表面Bと対向し、1対の信号リード端子111が1対の第2貫通孔141を第2の面から第1の面へ貫くとともに第1の面よりさらに突出するよう、フレキシブル基板102がステム104に対して配置される。同様に、接地端子112が接地貫通孔142を第2の面から第1の面へ貫くとともに第1の面よりさらに突出する。
【0033】
図4Aに示す通り、1対の信号ランド144及び接地ランド145は、1対の第2貫通孔141及び接地貫通孔142に対応して第1の面に配置される。1対の信号ランド144それぞれは、対応する第2貫通孔141を囲うとともに、対応する信号ストリップ導体143の一端と接する。接地ランドは、接地貫通孔142を囲うとともに、1対の信号ランド144及び1対の信号ストリップ導体143とは離間して配置される。1対の信号ストリップ導体143それぞれは、対応する信号ランド144より延伸し、隣接する接地ランド145と離間するよう屈曲し、さらに、フレキシブル基板102の延伸方向に沿って延伸して、1対の信号ストリップ導体143の他端は1対の第1信号端子151にそれぞれ接続する。1対の信号ストリップ導体143の主たる部分は、一定の間隔で離間しつつ一定の幅でフレキシブル基板102の延伸方向に沿って延伸している。1対の第1信号端子151の両側に、1対の第1接地端子152が配置される。なお、信号ストリップ導体143と信号ランド144とは一体となって形成されている。信号ストリップ導体143と信号ランド144との境界は、信号ストリップ導体143の一定の幅で延伸している部分の端とする。
【0034】
図4Bに示す通り、フレキシブル基板102の第2の面に、接地導体層146が配置される。接地導体層146は、接地貫通孔142を囲うとともに、第2の面を広がって形成される。フレキシブル基板102の第2の面には、1対の第2貫通孔141をそれぞれ囲うランドは配置されていない。接地導体層146はステム104と接続する箇所の上半分には形成されておらず、1対の第2貫通孔141とも離間している。フレキシブル基板102の他端(ステム104と接続される側とは反対側)には、平面視して1対の第1信号端子151と重畳するよう、1対の第2信号端子153が配置されている。接地導体層146は、1対の第2信号端子153それぞれと離間して、両側に配置される1対の第2接地端子154に接続する。1対の第2接地端子154は、平面視して1対の第1接地端子152と重畳するよう配置されている。1対の信号ストリップ導体143と接地導体層146とを含んで、差動伝送線路となるマイクロストリップ線路が構成されている。なお、1対の第1信号端子151それぞれは対応する第2信号端子153と内壁に導体が形成される複数の貫通孔により電気的に接続されている。同様に、1対の第1接地端子152それぞれは対応する第2接地端子154と内壁に導体が形成される複数の貫通孔により電気的に接続されている。
【0035】
図5は、当該実施形態に係る光モジュール2一部の構造を示す断面図であり、フレキシブル基板102及びステム104の構造を示している。
図5は、
図4Aに示すV-V線による断面を示している。
図5に示す通り、フレキシブル基板102は、誘電体からなる基材160の第1の面に1対の信号ストリップ導体143及び1対の信号ランド144が、基材160の第2の面に接地導体層146が、それぞれ配置される。信号リード端子111が第2貫通孔141を第2の面から第1の面へ貫くとともに第1の面よりさらに突出している。信号ランド144は、第2貫通孔141を囲っている。信号リード端子111と信号ランド144とが半田161を介して物理的に接続されている。それにより、信号リード端子111と信号ストリップ導体143が電気的に接続されている。信号リード端子111と第2貫通孔141との間には空気層162(空隙)が存在する。なお、第2貫通孔141の内壁に、信号ランド144に電気的に接続される導体は形成されておらず、フレキシブル基板102の第2の面(裏面)に、信号ランド144に電気的に接続されるランドパタンは形成されていない。すなわち、第2貫通孔141はいわゆるノンスルーホールである。信号リード端子111と信号ストリップ導体143とは、信号リード端子111と信号ランド144が半田161を介して物理的に接続されていることのみにより電気的に接続される。
【0036】
半田161が、信号リード端子111と信号ランド144とを、基材160の第1の面において(物理的にも電気的にも)接続している。第2貫通孔141の内壁に導体が形成されず、基材160の第2の面に信号ランドが形成されないことにより、半田161が基板160の第2の面側へまわり込むことを抑制している。これにより、信号リード端子111が基材160の第2の面に配置される接地導体層146と電気的に接続し、ショートしてしまう可能性(ポテンシャル)が低減されるとの効果を奏している。一方で、基材160の第1の面においてのみ、半田161が、信号リード端子111と信号ランド144とを、物理的に接続しているので、物理的な接続の信頼性が低下してしまう。また、信号リード端子111と第2貫通孔141との間の少なくとも一部に、外気環境となる領域がある。ここでは、信号リード端子111と第2貫通孔141との間に空気層162が存在する。これにより、インダクタンスの増加を招いている。なお、外気環境は空気に限定されることはなく、他の気体(例えば窒素ガス)であってもよい。
【0037】
当該実施形態に係る光サブアセンブリ101の主な特徴は、平面視して、信号ランド144は、信号ストリップ導体143と接する部分に加えて、第1貫通孔113の外縁より、少なくとも一部は外方に広がることにある。ここでは、信号ランド144は円形状を有しており、その外径は第1貫通孔113の内径より大きい。すなわち、平面視して、信号ランド144は、第1貫通孔113の外縁すべてより外方に広がっている。信号ランド144が広い領域を有することにより、半田161を介して信号リード端子111と信号ランド144との物理的接続がより強固なものとすることが出来、さらに、キャパシタンスを増加させることができる。キャパシタンスの増加により、空気層162に起因するインダクタンスの増加を補償することができている。
【0038】
ここでは、光サブアセンブリ101は、TO-CANパッケージ型光送信器であり、伝送線路の特性インピーダンスが25Ωとなるよう整合されている。誘電体120は一般にはガラスなどの材料により実現されるが、その比誘電率は6~7である。1対の第1貫通孔113の開口(内径)はそれぞれ0.7mmであり、1対の信号リード端子111の外径はそれぞれ0.25mmである。これにより、ステム104における同軸線路の特性インピーダンスを25Ω近傍に整合することができる。これに対して、フレキシブル基板102の1対の信号ランド144の外径はそれぞれ1mmであり、1対の第1貫通孔113の内径よりそれぞれ大きい。
【0039】
ステム104のアイレット121(金属円盤)の最大幅は6mm以下が望ましい。信号リード端子111の最大幅は0.22mm以上0.35mm以下が望ましい。第1貫通孔113の最大幅は0.4mm以上0.85mm以下が望ましい。信号ランド144の最大幅は、信号ストリップ導体143との接続部分以外において、0.9mm以上であるのが望ましい。なお、アイレット121が円形状又は略円形状を有する場合、アイレット121の最大幅は外径である。信号リード端子111の断面が円形状を有する場合、信号リード端子111の最大幅は外径である。第1貫通孔113の断面が円形状を有する場合、第1貫通孔113の最大幅は内径である。信号ランド144が円形状を有する場合、信号ランド144の最大幅は外径である。
【0040】
図6は、当該実施形態に係るフレキシブル基板102の平面図である。
図6には、
図4Aと異なり、第1保護層150Aが示されている。また、
図6に示すフレキシブル基板102は、
図4Aとは異なり、ステム104に対して配置されている状態を示している。
【0041】
以下、保護層について説明する。一般に、保護層はポリイミドなどの樹脂材料でできたシートを、熱硬化の接着剤を用いて、配線パタンが蒸着される基材に塗り付け、熱と荷重をかけ貼付される。貼り合せのずれなどを考慮すると、通常微小な領域しか有しないランドパタンの一部にでも保護層が重畳すると、半田による接続領域が狭くなってしまう。それゆえ、ランドパタンが円形状を有する場合、ランドパタンの外径より大きな開口径を保護層に設けることが一般的である。
【0042】
これに対して、当該実施形態に係る第1保護層150Aは、フレキシブル基板102の第1の面に配置され、信号ストリップ導体143を覆うとともに、信号ランド144の外縁の少なくとも一部を覆っている。信号ランド144の外径が第1貫通孔113の内径より大きいので、たとえ第1保護層150Aが信号ランド144の一部に重畳しても、半田161を配置する領域を確保することが出来る。そのため、熱負荷によるランド剥離防止を目的として、信号ランド144に一部重畳するよう第1保護層150Aを配置するのが望ましい。すなわち、第1保護層150Aは、信号ランド144のうち、信号リード端子111と物理的に接続するために半田161が配置される領域を避けて配置される。第1保護層150Aの圧着により、たとえ過剰な熱負荷がかかっても、基材160から信号ランド144が剥離することを防止することができる。
【0043】
また、
図5に示す通り、フレキシブル基板102の第2の面に第2保護層150Bが配置されている。第2保護層150Bは接地導体層146を覆っている。また、フレキシブル基板102とステム104(アイレット121)とが接続する箇所において、第2保護層150Bは、1対の第2貫通孔141及び接地貫通孔142を含む一部の領域を除いて覆っている。また、接地貫通孔142を含む円形状の領域には第2保護層150Bは形成されていない。接地貫通孔142を含む円形状の直径は、第2貫通孔141を含む円形状の直径と同程度であってもよい。
【0044】
図9は、本発明の比較例に係る光モジュール200一部の構造を示す断面図であり、
図5に示す当該実施形態に係る光モジュール2一部の断面に対応している。当該比較例に係る光モジュール200は、光サブアセンブリ101とフレキシブル基板202を有する。光サブアセンブリ101において、ステム104及び1対の信号リード端子111の構造は、当該実施形態と同じである。当該比較例に係るフレキシブル基板202は、当該実施形態に係るフレキシブル基板102とは異なる構造を有している。当該実施形態に係るフレキシブル基板102では、1対の信号ストリップ導体143の一端に接続するのは、1対の信号ランド144のみである。これに対して、当該比較例に係るフレキシブル基板202では、1対の信号ストリップ導体143の一端に接続するのは、基材160の第1の面に配置される1対の第1信号ランド244に加えて、第2貫通孔141の内壁に形成される導体245及び基材160の第2の面に配置される1対の第2信号ランド246である。導体245は例えば銅メッキなどにより実現される。
【0045】
当該比較例に係るフレキシブル基板202は、第1信号ランド244に加えて第2信号ランド246を有している。半田261は、第1信号ランド244と信号リード端子111とを物理的に接続しているが、それのみではない。半田261は、信号リード端子111と第2貫通孔141との間に進入し、導体245と信号リード端子111とを、第2信号ランド246と信号リード端子111とを、それぞれ物理的に接続している。これらの接続により、信号ストリップ導体143と信号リード端子111とは電気的に接続される。第2信号ランド246は接地電位(GND)となるアイレット121から近い距離にあるため、キャパシタンスの増加を招いてしまう。それゆえ、第1信号ランド244及び第2信号ランド246がそれぞれ円形状を有する場合、それらの外径を出来るだけ小さくしなければ所望のインピーダンス特性を得ることができない。また、キャパシタンスを低減させる観点では、第2信号ランド246をアイレット121から遠ざけることが考えられる。この場合、アイレット121とフレキシブル基板202との間に隙間が生じ、その部分(アイレット121とフレキシブル基板202との間の部分)の信号リード端子部111により、インダクタンスが増加し、特性インピーダンスを増加させてしまう。よって、アイレット121とフレキシブル基板202との距離をより低減させるとともに、第1信号ランド244及び第2信号ランド246の外径をより小さくするのが望ましい。しかしながら、製造ばらつきによる信号リード端子111の偏心や、半田付け時の作業性から、半田261が、信号リード端子111と第2貫通孔141との間を進入し、さらにフレキシブル基板202の第2の面に回りこむ。半田261がフレキシブル基板202の第2の面まで回りこむことにより、信号リード端子111と信号ストリップ導体143との接続信頼性は増すものの、過剰に半田261が供給されることにより、信号リード端子111と接地導体層146やアイレット121とが電気的に接続し、ショートする可能性が増してしまう。
【0046】
それゆえ、当該比較例に係るフレキシブル基板202では、ショートする可能性を低減させるために、信号リード端子111を誘電体で覆ったり、フレキシブル基板202とアイレット121との間にスペーサを挿入するなど、物理的な障壁によりショートを防止する必要があるところ、当該実施形態にかかるフレキシブル基板102にはそのような工夫は必要としておらず、作業工数・部品点数の低減を図ることが出来る。
【0047】
また、当該比較例に係るフレキシブル基板202では、低い伝送速度では特性インピーダンス整合がとれるものの、25Gbit/sといった高い伝送速度では、特性インピーダンス整合が困難になってしまう。高い伝送速度において特性インピーダンス整合をするためには、インダクタンスもキャパシタンスも低減させる必要があるが、当該比較例に係るフレキシブル基板202では、第2信号ランド246の存在によりキャパシタンスの低減には限界がある。これに対して、当該実施形態に係るフレキシブル基板102では、第2の面にランドパタンが形成されていないために、ランドパタンに寄生するキャパシタンスを低減することができている。インダクタンス低減の様々な技術を用いることにより、インダクタンスとキャパシタンスとともに低減することができ、高い伝送速度においても特性インピーダンスを整合することができるという格別の効果を奏する。
【0048】
半田供給時の熱負荷により、ランドパタンが基材160より剥離してしまうおそれがある。当該比較例に係るフレキシブル基板202では、第2貫通孔141の内壁に導体245が形成され、第2の面に第2信号ランド246が形成されることにより、ランドパタンの基材160からの剥離を抑制している。これに対して、当該実施形態に係るフレキシブル基板101では、信号ランド144のために広い領域を確保することにより、ランドパタンの基材160からの剥離を抑制している。さらに、信号ランド144の外縁(の少なくとも一部)を、信号ストリップ導体143との接続部分に加えて、保護層150が重畳するよう形成されることにより、基材160との物理的な接続が強化されている。
【0049】
[第2の実施形態]
図7は、本発明の第2の実施形態に係る光モジュール2一部の構造を示す断面図であり、
図5に示す第1の実施形態に係る光モジュール2一部の断面図に対応している。当該実施形態に係るフレキシブル基板102は、第1の実施形態に係るフレキシブル基板102とは異なる構造を有しているが、それ以外の構造は同じである。具体的には、当該実施形態に係るフレキシブル基板102の第2の面に配置される第2保護層150Bの形状が、第1の実施形態に係る第2保護層150Bの形状と異なっている。
【0050】
図7に示す通り、第2保護層150Bは、フレキシブル基板102の第2の面がステム104(アイレット121)の外側表面と対向している領域には形成されていない。すなわち、第2保護層150Bは、第2の面に配置され、接地導体層146を覆うとともに、平面視してフレキシブル基板102とステム104とが重畳する領域を避けて配置される。かかる領域に第2保護層150Bが形成されないことにより、フレキシブル基板102本体(基材160)とステム104(アイレット121)との距離がさらに短くなり、信号リード端子111に寄生するインダクタンスを低減することができている。
【0051】
[第3の実施形態]
図8は、本発明の第3の実施形態に係る光モジュール2一部の構造を示す断面図であり、
図7に示す第2の実施形態に係る光モジュール2一部の断面図に対応している。当該実施形態に係るフレキシブル基板102は、第2の実施形態に係るフレキシブル基板102とは異なる構造を有しているが、それ以外の構造は同じである。具体的には、信号リード端子111と第2貫通孔141との間の少なくとも一部に、誘電体164が配置されている。信号リード111の側面(の少なくとも一部)が誘電体164で囲われていることにより、信号リード端子111に寄生するインダクタンスをさらに低減することができている。
【0052】
誘電体164は、フレキシブル基板102をステム104に対して配置する際(フレキシブル基板102をステム104に実装する際)に、前記第2保護層150Bより柔軟性を有する素材であるのが望ましい。誘電体164は、フレキシブル基板102を実装する際に、第2貫通孔141の内壁の凹凸を埋める程度に柔軟性を有しているのが望ましい。ステム104の外側表面や第2貫通孔141の内壁に発生し得る空隙を誘電体164にて充填することができ、信号リード端子111に寄生するインダクタンスをより低減することができ、また製造ばらつきを抑制することができている。なお、当該実施形態に係る第2保護層150Bの形状は、第2の実施形態に係る第2保護層150Bの形状と同じとしたが、ごれに限定されることはない。第1の実施形態に係る第2保護層150Bの形状と同じであってもよいし、他の形状であってもよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態に係る光モジュール、光伝送装置、及び光伝送システムについて説明した。本発明は上記実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能であり、本発明を広く適用することができる。上記実施形態で説明した構成を、実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えることができる。上記実施形態では、アイレット121は金属円盤であるが、円盤形状であることに本質的な意義はなく、完全な円盤形状である必要がなく一部が欠けていたり突出していてもよく、四角形などその他の形状であってもよい。また、金属製に限定されることもなく、他の良導体による導体板であってもよい。当該実施形態に係る光サブアセンブリ101は、TO-CANパッケージ型としたが、ボックス型であってもよい。この場合、配線基板は、誘電体板によって実現されるフィールドスルーである。
【0054】
上記実施形態に係る光アセンブリ101に備えられる1の光半導体素子124は、発光素子である半導体レーザ素子であり、光サブアセンブリ101はTOSAであるが、これに限定されることはない。光サブアセンブリは複数の光半導体素子を備えていてもよい。光サブアセンブリがROSA(Receiver Optical Subassembly)であり、光サブアセンブリに備えられる光半導体素子が、フォトダイオードなどの受光素子であってもよい。また、光サブアセンブリが、BOSA(Bidirectional Optical Subassembly)であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、1対の信号リード端子111としたが、これに限定されることはなく、他の信号リード端子であってもよい。例えば、それぞれシングルエンド伝送のための1本の信号リード端子であってもよい。また、上記実施形態では、ステム104が有する第1貫通孔113は2つで、1対の信号リード端子111がそれぞれ配置されるとしたが、これに限定されることはなく、さらに他の信号リード端子などをさらに備えていてもよい。また、ステム104に1の接地リード端子112がロウ付けされるとしたが、これに限定されることはなく、さらに他の接地リード端子をさらに備えていてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 光伝送装置、2,200 光モジュール、3,3A,3B 光ファイバ、11,21、103 プリント回路基板、12 IC,22A,22B、102,202 フレキシブル基板、23A 光受信モジュール、23B,光送信モジュール、101 光サブアセンブリ、104 ステム、111 信号リード端子、112 接地リード端子、113 第1貫通孔、120,164 誘電体、121 アイレット、122 台座部、123 セラミック基板、124 光半導体素子、125 ボンディングワイヤ、141 第2貫通孔、142 接地貫通孔、143 信号ストリップ導体、144 信号ランド、145 接地ランド、146 接地導体層、150A 第1保護層、150B 第2保護層、151 第1信号端子、152 第1接地端子、153 第2信号端子、154 第2接地端子、160 基材、161,261 半田、162 空気層。