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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】便座装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/24 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
A47K13/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018007841
(22)【出願日】2018-01-22
(65)【公開番号】P2019126406
(43)【公開日】2019-08-01
【審査請求日】2020-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯村 隆秀
(72)【発明者】
【氏名】堀内 啓史
(72)【発明者】
【氏名】片山 透
(72)【発明者】
【氏名】竹村 賢司
(72)【発明者】
【氏名】鳥飼 優
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸幸
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-265365(JP,A)
【文献】特開2005-143628(JP,A)
【文献】意匠登録第1588623(JP,S)
【文献】国際公開第95/017844(WO,A1)
【文献】特表2016-538072(JP,A)
【文献】特開昭62-084726(JP,A)
【文献】特開2008-185215(JP,A)
【文献】特開平10-328077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00- 9/16
A47K 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に設置される便座装置であって、
前記便器の上面に固定される本体と、
前記本体に支持され、使用者が着座する着座部と、前記本体を覆うように前記着座部から後方の前記本体側まで延在する延在部とを有する便座と、
前記便座の前記延在部に設けられ、前記便座の表面から光を発する発光部と、前記発光部が発した光の反射光を受光可能な受光部とを有する反射型の光学センサと、
前記便座の幅方向に所定間隔を空けて並び、間に凹部を形成するように前記本体に設けられた右側支持ブロックおよび左側支持ブロックと、
前記凹部の内壁となる前記右側支持ブロックの内側壁部および前記左側支持ブロックの内側壁部との間に嵌まり込んで回動可能に軸支されると共に、前記光学センサを搭載したヒンジ部と、
を備え
前記ヒンジ部は、中空軸状のヒンジ軸により軸支されると共に、前記光学センサを前記延在部内に組み込むように前記便座の裏側に接続されており、
前記光学センサの配線は、前記便座と前記本体との間を前記ヒンジ軸内を通って引き回される
便座装置。
【請求項2】
請求項1に記載の便座装置であって、
前記便座は、幅方向の両端側で本体に回転可能に支持されており、
前記便座が前記両端側で前記本体に支持される箇所および前記ヒンジ部が前記凹部の両側の内壁に軸支される箇所のうち、少なくとも2箇所に前記便座に回転抵抗を付与するダンパを備える
便座装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の便座装置であって、
前記便座を覆う便蓋が設けられない便蓋レスの構造である
便座装置。
【請求項4】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の便座装置であって、
前記光学センサは、前記便座への使用者の着座を検知する着座センサである
便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の便座装置としては、便器上面の後方に固定される本体と、本体に回転可能に支持されて開閉する便座および便蓋と、本体に設けられて使用者(人体)を検知可能な光学センサと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この便座装置では、便座や便蓋の閉状態における後端側の形状を、本体に支持される左右の両端部が中央部よりも後方に延びた形状とすることにより、便座や便蓋が開状態および閉状態のいずれであっても光学センサを露出させるものとしている。これにより、便座や便蓋が開状態および閉状態のいずれであっても光学センサによる検知を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4467866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した便座装置では、光学センサによる検知を可能とするために便座などの形状が上述した形状に定められるため、便座のデザインや設計の自由度が制限されることになる。このような便座装置では、近年の使用者の意識の変化により清潔性や美観に対する要求も高まっているから、なお改善の余地がある。
【0005】
本発明は、光学センサによる適切な検知を可能とすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の便座装置は、便器に設置される便座装置であって、前記便器の上面に固定される本体と、前記本体に支持された便座と、前記便座に設けられ、前記便座の表面から光を発する発光部と、前記発光部が発した光の反射光を受光可能な受光部とを有する反射型の光学センサと、を備えることを要旨とする。
【0008】
本発明の便座装置では、本体に支持された便座に、便座の表面から光を発する発光部と、発光部が発した光の反射光を受光可能な受光部とを有する反射型の光学センサが設けられるから、使用者の入室や着座などを適切に検知することができる。なお、光学センサは、便座への使用者の着座を検知する着座センサであるものとしてもよい。
【0009】
本発明の便座装置において、前記便座は、使用者が着座する着座部と、前記本体を覆うように前記着座部から後方の前記本体側まで延在する延在部とを有し、前記光学センサは、前記延在部に設けられるものとしてもよい。これにより、使用者の着座を阻害することなく光学センサを検知に適した位置に設けて、便座が本体を覆う形状とすることが可能となる。ここで、便座装置の本体に光学センサを設けて便座の形状を光学センサを露出させる形状とした場合、便座と本体との間の隙間も露出して、その隙間に汚れが溜まることがある。便座が本体を覆うものとすることで隙間が露出するのを防止するから、便座装置の清潔性を維持することができる。また、隙間を見えなくして便座装置の外観をすっきりさせることができるから、便座装置の美観を向上させることができる。
【0010】
この態様の本発明の便座装置において、前記便座および前記本体の一方から他方に向けて幅方向の中央側から延出するように設けられると共に前記便座および前記本体の他方に設けられた凹部内に嵌まり込んで軸支され、前記便座を回転可能に支持するヒンジ部を備えるものとしてもよい。こうすれば、ヒンジ部は凹部内に嵌まり込んで軸支されるため、がたつきが少なく便座を安定して支持するものとなる。したがって、便座が本体を覆う形状としたために便座の重量が増えた場合でも便座の開閉動作を安定させることができる。なお、便座は、ヒンジ部だけでなく幅方向の両端側で本体に回転可能に支持されるものとしてもよい。こうすれば、便座は、幅方向の両端側と中央側とでより安定して支持されることになる。
【0011】
この態様の本発明の便座装置において、前記ヒンジ部は、中空軸状のヒンジ軸により軸支されており、前記光学センサの配線は、前記便座と前記本体との間を前記ヒンジ軸内を通って引き回されるものとしてもよい。こうすれば、光学センサを便座に設けるものとした場合に光学センサの配線を容易に引き回すことができる。
【0012】
この態様の本発明の便座装置において、前記便座は、幅方向の両端側で本体に回転可能に支持されており、前記便座が前記両端側で前記本体に支持される箇所および前記ヒンジ部が前記凹部の両側の内壁に軸支される箇所のうち、少なくとも2箇所に前記便座に回転抵抗を付与するダンパを備えるものとしてもよい。こうすれば、便座の重量が増えた場合でも便座の急激な開閉動作を適切に抑えることができる。
【0013】
本発明の便座装置において、前記便座を覆う便蓋が設けられない便蓋レスの構造であるものとしてもよい。こうすれば、便座に設ける光学センサの位置が便蓋によって制限されることがないから、便座の設計の自由度をさらに高めることができる。また、便蓋を設けないことにより便座のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図である。
図2】便座装置10の構成の概略を示す構成図である。
図3】便座装置10の要部を示す拡大図である。
図4】便座装置10の外観斜視図である。
図5】便座装置10の内部構成の一部を示す断面図である。
図6】着座センサ40の外観斜視図である。
図7】着座センサ40の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
図1は便座装置10が取り付けられた便器1の外観斜視図であり、図2は便座装置10の構成の概略を示す構成図であり、図3は便座装置10の要部を示す拡大図であり、図4は便座装置10の外観斜視図であり、図5は便座装置10の内部構成の一部を示す断面図である。本実施形態において、左右方向、前後方向及び上下方向は、各図に示した通りとする。なお、便座装置10内に配置される構成は、図2では点線で示すが、図3では図示の便宜上実線として太線で示す。
【0017】
図1に示すように、便器1は洋式便器であり、便器1の上面に便座装置10が設置されている。便座装置10は、便器1の上面の後方に固定される便座装置本体20と、便座装置本体20に開閉可能に軸支される便座30と、を備える。また、便座装置10は、使用者(人体)の着座を検知する着座センサ40と、便座装置10の状態を示す状態報知ランプ47とが便座30に設けられる。この便座装置10は、便座30を覆うための便蓋が設けられない便蓋レスの構造となっている。便座30が閉位置にある閉状態(図1参照)で上面となる面を表面とし、下面となる面を裏面とする。なお、図2図4は便座30が開位置にある開状態を示す。便座装置10は、この他に使用者の操作を受け付ける操作パネルなどを備えるが、図示は省略する。
【0018】
便座装置本体20は、使用者の局部を洗浄する複数(例えば2つ)の局部洗浄ノズル22と、便座装置10全体を制御する制御装置24と、を備える。便座装置本体20は、略三角柱状に形成され、三角柱の底面に相当する側面20aが略直角三角形状であり、前方に向かって下り勾配で傾斜した傾斜面20bを有する。傾斜面20bには、便座30を支持するための略直方体状の右側支持ブロック25と左側支持ブロック26とが設けられる。右側支持ブロック25および左側支持ブロック26は、左右方向(便座30の幅方向)に所定間隔を空けて並び、その間に凹部27が形成される。なお、右側支持ブロック25および左側支持ブロック26は、凹部27を挟んで左右対称の形状となっており、左側支持ブロック26内に制御装置24が配置される。
【0019】
便座30は、略円環状に形成されて使用者が着座可能な着座部30aと、着座部30aと滑らかに接続され着座部30aから後方に向かって上り勾配で傾斜した傾斜部30bと、傾斜部30bの上端から後方に向かって略平坦状に延びる平坦部30cとを有する。即ち、便座30は、着座部30aと、着座部30aから後方に延在する傾斜部30bおよび平坦部30cとにより構成される。なお、便座30は、これらの着座部30aと傾斜部30bと平坦部30cとが一体成型されており、各部の境界を厳密に定めるものではない。便座30には、着座部30aの表面である着座面を加熱するための便座ヒータ38が内蔵されている。傾斜部30bは、便座装置本体20の傾斜面20bに沿って傾斜しており、左右方向の中央上側に着座センサ40が設けられる。平坦部30cは、左右方向の中央に状態報知ランプ47が設けられる。便座30は、傾斜部30bと平坦部30cとにより便座装置本体20を上方から覆うものとなる。また、便座30は、傾斜部30bと平坦部30cの裏側に、閉状態で便座装置本体20の右側支持ブロック25と左側支持ブロック26とが収まるように窪んだブロック収容部32が形成されている。ブロック収容部32の左右方向における両端側には傾斜部30bと平坦部30cとの側壁をなす側壁部34が形成されている。側壁部34の先端(図2中の下端)側には回転軸34aが設けられ、便座30は回転軸34aを介して便座装置本体20に回動可能に支持される。
【0020】
また、便座装置10は、便座装置本体20と便座30との間にセンターヒンジ35が設けられる。このセンターヒンジ35は、回動部材36と、支持部材37とにより構成される。回動部材36は、便座装置本体20の凹部27の内壁となる右側支持ブロック25の内側壁部25aおよび左側支持ブロック26の内側壁部26aとの間に嵌まり込んで、回動可能に軸支される。支持部材37は、回動部材36に接続されると共にブロック収容部32の底に接続される。右側支持ブロック25の内側壁部25a側には、回動部材36内の右側に配設された回転軸36aに連結され回動部材36に回転抵抗を付与するメインダンパ28が設けられる。回動部材36は支持部材37を介して便座30に接続されるから、メインダンパ28は、回転軸S1において便座30に回転抵抗を付与するものとなる。また、回動部材36には、回動部材36内から左側支持ブロック26の内側壁部26aにわたって挿通されるヒンジ軸36bが設けられる。このヒンジ軸36bは、詳細は省略するが、内側壁部26aと回動部材36とにそれぞれ設けられる図示しないヒンジ筒に挿入されると共に回転軸S2回りにヒンジ筒を相対回転可能に連結するものであり、中空軸状に形成されている。右側支持ブロック25の右側壁部25bには、便座30の右側の側壁部34における回転軸34aに連結され、回転軸S3において便座30に回転抵抗を付与する補助ダンパ29が設けられる。同様に、左側支持ブロック26の左側壁部26bには、便座30の左側の側壁部34における回転軸34aに連結され、回転軸S4において便座30に回転抵抗を付与する補助ダンパ29が設けられる。なお、補助ダンパ29は、メインダンパ28よりも小さな回転抵抗を付与するように構成される。また、説明の便宜上、回転軸S1~S4を別々に示したが、回転軸S1~S4は同一軸線上の軸である。
【0021】
着座センサ40は、図6図7に示すように、センサ本体41と、フード42と、センサカバー43と、パッキン44とを備える。センサ本体41は、赤外光などの光を発する発光部40aと、発光部40aが発した光の反射光を受光する受光部40bとを有する。フード42は、センサカバー43内での光の乱反射を防止するために、センサ本体41とセンサカバー43との間に配設される。センサカバー43は、光透過性の材料で形成され、センサ本体41に取り付けられる。パッキン44は、センサ本体41側への水の浸入を防止するものである。着座センサ40は、フード42を間に挟むようにしてセンサカバー43をセンサ本体41に取り付けてパッキン44をセンサカバー43に載置した状態で、センターヒンジ35の支持部材37内に配設されたセンサ固定部材37a(図5参照)に搭載される。そして、センサ固定部材37aに着座センサ40が搭載された状態で支持部材37が回動部材36に取り付けられると、便座30のブロック収容部32の底に設けられたセンサ収容部33(図4参照)内に着座センサ40が収容されて便座30内に組み込まれる。これにより、着座センサ40は、便座30への使用者の着座の有無を検知可能となる。なお、着座センサ40が便座30内に組み込まれると、パッキン44が便座30(傾斜部30b)の裏面に押し付けられて、センサ本体41側への水の浸入を防止するものとなる。着座センサ40の配線45(図3参照)は、支持部材37と回動部材36、ヒンジ軸36b、左側支持ブロック26を通るように引き回され、左側支持ブロック26内に配置された制御装置24に接続される。即ち、配線45は、便座30と便座装置本体20との間を中空のヒンジ軸36b内を通って引き回されるものとなる。
【0022】
状態報知ランプ47は、複数のLEDにより構成されており、例えば、電源が供給されている状態で点灯する電源LED47aと、電力消費を抑える節電モードが設定されている状態で点灯する節電LED47bと、便座装置10の所定の点検時期である状態で点灯する点検LED47cとを有する。なお、節電モードは、上述した操作パネルなどにより設定可能である。これらの状態報知ランプ47の配線48(図3参照)は、着座センサ40の配線45と同様に、中空のヒンジ軸36b内を通って引き回され制御装置24に接続される。なお、便座ヒータ38の配線39(図3参照)も、中空のヒンジ軸36b内を通って引き回され制御装置24に接続される。
【0023】
制御装置24は、図示は省略するが、CPUを中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、CPUの他にROMやRAM,入出力ポートなどを備える。制御装置24には、着座センサ40からの検知信号や図示しない操作パネルからの操作信号などが入力ポートを介して入力される。また、制御装置24からは、局部洗浄ノズル22への駆動信号や便座ヒータ38への駆動信号,状態報知ランプ47の各LEDへの点灯信号などが出力ポートを介して出力される。
【0024】
こうして構成された便座装置10では、着座センサ40からの検知信号により便座30への使用者の着座の有無を検知する。制御装置24は、着座センサ40からの検知信号により着座が検知されると、操作パネルの設定に基づき便座ヒータ38への駆動信号を出力して便座30の着座面を加熱したり、局部洗浄ノズル22から洗浄水を吐出する準備を行ったりする。また、制御装置24は、着座センサ40により使用者の着座が検知されている場合に操作パネルの操作に基づき局部洗浄ノズル22から洗浄水を吐出させたりする。制御装置24は、着座センサ40からの検知信号により着座が検知されなくなると、便座ヒータ38による便座30の着座面の加熱を終了させる。便座装置10が便蓋レスの構造で便座30に着座センサ40が設けられているため、便座30が閉状態で着座センサ40が適切に着座を検知可能となる。また、便座30が開状態では、通常は着座センサ40が着座を検知することがないものとすることができるから、例えば男性の小用時に使用者を誤検知して便座装置10が誤動作するのを防止することができる。
【0025】
以上説明した便座装置10では、便座30に着座センサ40が設けられるから、便座30が閉位置にある場合に使用者の検知を可能としつつ、便座装置本体20に着座センサを設ける場合のように着座センサを露出させる形状に便座30を設計する必要がないものとすることができる。また、便座装置本体20ではなく便座30に着座センサ40を設けるから、便座装置本体20に着座センサ40を設けた場合のように着座センサ40を露出させる形状に便座30を設計する必要がない。したがって、着座センサ40による使用者の適切な検知を可能としつつ便座30の設計の自由度を高めることができる。
【0026】
また、便座30は、着座部30aから後方に延在する傾斜部30bおよび平坦部30cを有し、閉位置で便座装置本体20を覆うものとなっている。このため、便座30と便座装置本体20との間の隙間が露出するのを防止して便座装置10の清潔性を維持することができると共に便座装置10の外観をすっきりさせて便座装置10の美観を向上させることができる。
【0027】
また、便座30が左右方向(幅方向)の中央側でセンターヒンジ35により支持され、センターヒンジ35は凹部27に嵌め込まれてがたつきが抑えられているから、便座装置本体20を覆う形状としたために便座30の重量が増えた場合でも、便座30の開閉動作を安定させることができる。また、回転軸S1,S3,S4の3箇所にダンパ(メインダンパ28と補助ダンパ29)が設けられるから、便座30の急激な開閉動作を適切に抑えることができる。
【0028】
また、着座センサ40の配線45を、ヒンジ軸36b内を通して容易に引き回すことができる。また、使用者の着座を適切に検知するために、通常は便座30の左右方向の中央側に着座センサ40を設けるから、センターヒンジ35のヒンジ軸36b内に配線45を通すことで配線45が必要以上に長くなるのを防止して効率よく引き回すことができる。また、便座ヒータ38の配線39や状態報知ランプ47の配線48もヒンジ軸36b内を通すから、各配線をまとめて引き回すことができる。
【0029】
また、便座装置10は、便蓋レスの構造であるから、着座センサ40の位置が便蓋によって制限されることがなく、便座30の設計の自由度をさらに高めることができる。また、便蓋レスとすることで、便座装置10のコストダウンを図ることもできる。
【0030】
上述した実施形態では、光学センサとして便座30への着座を検知する着座センサを例示したが、これに限られず、便座装置10が設けられた室内への使用者の入室を検知する入室検知センサなどとしてもよい。また、着座センサと入室検知センサとを便座30に設けるなど、複数の光学センサを便座30に設けるものとしてもよい。
【0031】
実施形態では、便座装置10を便座30を覆うための便蓋が設けられない便蓋レスの構造としたが、これに限られず、便蓋が設けられる構造としてもよい。また、便座30が便座装置本体20を覆う構造としたが、これに限られず、便座30が便座装置本体20を覆わずに露出させる構造としてもよい。
【0032】
実施形態では、回転軸S1~S4の4箇所のうち3箇所にダンパを設けるものとしたが、これに限られず、少なくとも2箇所にダンパを設けるものであればよい。あるいは、1箇所のみにダンパを設けるものとしてもよいが、便座装置本体20を覆うものとした場合の便座30の重量の増加を考慮して少なくとも2箇所に設けるものが好ましい。
【0033】
実施形態では、便座30に付与する回転抵抗の大きさが異なる2種類のダンパ(メインダンパ28と補助ダンパ29)を設けるものとしたが、これに限られず、付与する回転抵抗の大きさが同じ複数のダンパを設けるものなどとしてもよく、例えば両端側にそれぞれダンパ(メインダンパに相当)を設けてもよい。
【0034】
実施形態では、センターヒンジ35の中空のヒンジ軸36b内に着座センサ40の配線45を通すもの即ち便座30の中央部から便座装置本体20へ配線45を引き回すものとしたが、これに限られず、便座30の左右の端部側から便座装置本体20へ配線45を引き回すものなどとしてもよい。また、便座ヒータ38のヒータ配線39や状態報知ランプ47のランプ配線48をヒンジ軸36b内に通すものとしたが、これに限られず、着座センサ40の配線45のみを通すものなどとしてもよい。なお、ヒータ38や状態報知ランプ47が設けられるものに限られず、設けられないものなどとしてもよい。
【0035】
実施形態では、センターヒンジ35が便座30に接続(固定)されて便座装置本体20に設けられる凹部27に軸支されるものとしたが、これに限られず、便座装置本体20に接続されて便座30に設けられる凹部に軸支されるものとしてもよい。また、便座30が左右方向の両端側と中央側とで支持されるものとしたが、これに限られず、両端側と中央側とのいずれか一方で支持されるものとしてもよい。ただし、便座装置本体20を覆うものとした場合の便座30の重量の増加を考慮して両端側と中央側とで支持されるものが好ましい。なお、ヒンジ部が凹部に嵌まり込まないように構成してもよい。
【0036】
本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。本実施形態の便座装置10が本発明の「便座装置」に相当し、便座装置本体20が「本体」に相当し、便座30が「便座」に相当し、着座センサ40が「光学センサ」に相当する。着座部30aが「着座部」に相当し、傾斜部30bと平坦部30cとが「延在部」に相当する。凹部27が「凹部」に相当し、センターヒンジ35が「ヒンジ部」に相当し、ヒンジ軸36bが「ヒンジ軸」に相当する。配線45が「光学センサの配線」に相当する。メインダンパ28と補助ダンパ29とが「ダンパ」に相当する。
【0037】
なお、本実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、本実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、本実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0038】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、便座装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 便器、10 便座装置、20 便座装置本体、20a 側面、20b 傾斜面、22 洗浄ノズル、24 制御装置、25 右側支持ブロック、25a,26a 内側壁、25b,26b 外側壁、26 左側支持ブロック、27 凹部、28 メインダンパ、29 補助ダンパ、30 便座、30a 着座部、30b 傾斜部、30c 平坦部、32 ブロック収容部、33 センサ収容部、34 側壁部、35 センターヒンジ、36 回動部材、36a 回転軸、36b ヒンジ軸、37 支持部材、37a センサ固定部材、38 便座ヒータ、39 ヒータ配線、40 着座センサ、40a 投光部、40b 受光部、41 センサ本体、42 フード、43 センサカバー、44 パッキン、45 センサ配線、47 状態報知ランプ、47a 電源LED、47b 節電LED、47c 点検LED、48 ランプ配線、S1~S4 回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7