(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】窓用巻取装置
(51)【国際特許分類】
E05F 11/04 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
E05F11/04
(21)【出願番号】P 2018024319
(22)【出願日】2018-02-14
【審査請求日】2020-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 信邦
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開昭50-041344(JP,A)
【文献】西独国特許出願公開第02525600(DE,A1)
【文献】特開昭54-160039(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210221(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0290044(US,A1)
【文献】特開平10-176461(JP,A)
【文献】米国特許第05682937(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00-17/00
E06B 3/04- 3/46
B65H 75/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓を開閉するためのワイヤーを巻き取る窓用巻取装置において、
無端状の環状体であって、前記ワイヤーの一端が直接的又は間接的に連結された環状体と、
前記環状体が掛け渡された第1回転体及び第2回転体であって、互いに離隔した位置に配置された第1回転体及び第2回転体と、
前記ワイヤーが巻き取られる向きに前記環状体を回転させるための駆動部と
、
前記第1回転体の回転中心軸線を中心に湾曲した外周面を有する第1巻取部材と、
前記第2回転体の回転中心軸線を中心に湾曲した外周面を有する第2巻取部材とを備え、
前記環状体はローラチェーンであり、
前記第1回転体及び前記第2回転体は、当該ローラチェーンと噛み合って回転するスプロケットであり、
さらに、前記ワイヤーが巻き取られると、当該ワイヤーは、前記第1巻取部材の外周面及び前記第2巻取部材の外周面に掛け渡された状態で巻き取られる窓用巻取装置。
【請求項2】
前記第1巻取部材は、前記第1回転体の回転中心軸線を中心に回転可能な回転体であって、当該第1巻取部材の外周面は、前記第1回転体の回転中心軸線を中心とする円周面であり、
前記第2巻取部材は、前記第2回転体の回転中心軸線を中心に回転可能な回転体であって、当該第2巻取部材の外周面は、前記第2回転体の回転中心軸線を中心とする円周面である請求項
1に記載の窓用巻取装置。
【請求項3】
前記第1巻取部材は、前記第1回転体と同期して回転するように構成されており、
前記第2巻取部材は、前記第2回転体と同期して回転するように構成されている請求項
2に記載の窓用巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窓を開閉するためのワイヤーを巻き取る窓用巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
窓用巻取装置のワイヤーは、例えば特許文献1に記載されているように、円筒状又は円柱状の巻取ドラムに巻き取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
円筒状又は円柱状の巻取ドラムを備える窓用巻取装置の幅寸法は、巻取ドラムの直径寸法より大きい。したがって、特許文献1に記載の窓用巻取装置では、窓用巻取装置の幅寸法を小さくすることが難しい。
【0005】
本願は、上記点に鑑み、幅寸法を小さくすることが可能な窓用巻取装置の一例を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
窓用巻取装置は、例えば、無端状の環状体(14)であってワイヤー(5A)の一端が連結された環状体(14)と、環状体(14)が掛け渡された第1回転体(15A)及び第2回転体(15B)であって、互いに離隔した位置に配置された第1回転体(15A)及び第2回転体(15B)と、ワイヤー(5A)が巻き取られる向きに環状体(14)を回転させるための駆動部(16)とを備えることが望ましい。
【0007】
これにより、当該窓用巻取装置では、ワイヤー(5A)が巻き取られる向きに環状体(14)が回転すると、当該ワイヤー(5A)は、環状体(14)が描く形状(例えば、長円状)に巻き取られていく。
【0008】
すなわち仮に、環状体(14)の周長が、円筒部材に構成された巻取ドラムの周長と同一長さである場合においては、環状体(14)が一回転する際に巻き取られるワイヤー(5A)の長さと円筒状の巻取ドラムが一回転する際に巻き取られるワイヤーの長さとは同一長さである。
【0009】
環状体(14)は、第1回転体(15A)及び第2回転体(15B)に掛け渡された状態で回転するので、環状体(14)が描く形状は円状ではなく、少なくとも2つの直線状の部分及び少なくとも2つの円弧状の部分を備えた形状(例えば、長円状)となる。
【0010】
したがって、例えば、当該長円の短径方向が当該窓用巻取装置の幅方向と一致した構成であれば、当該窓用巻取装置の幅寸法は、円筒状の巻取ドラムを備える従来の窓用巻取装置の幅方向寸法より小さくなる。
【0011】
つまり、当該窓用巻取装置は、従来の窓用巻取装置と同等以上の長さのワイヤー(5A)を巻き取ることが可能であって、かつ、幅方向寸法が従来の窓用巻取装置より小さくなり得る。
【0012】
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されるもではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】第1実施形態に係る窓用巻取装置の構造を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る窓用巻取装置の正面を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る窓用巻取装置の構造を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る窓用巻取装置の構造を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る窓用巻取装置の構造を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る窓用巻取装置の構造を示す図である。
【
図8】第2実施形態に係る窓用巻取装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
【0015】
なお、各図に付された方向を示す矢印等は、各図相互の関係を理解し易くするために記載されたものである。本明細書に記載された発明は、各図に付された方向に限定されるものではない。
【0016】
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りがある場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
【0017】
(第1実施形態)
1.窓開閉装置の概要
本実施形態は、
図1に示されるように、排煙窓1に適用される窓用巻取装置10の一例である。排煙窓1は、窓枠3、障子5及びステイダンパー7等を有して構成されている。窓枠3は、排煙窓1の開口を縁取る枠部である。
【0018】
当該窓枠3は、少なくとも2本の縦枠部3A、3B、及び少なくとも2本の横枠部3C、3D等を有して構成されている。縦枠部3A、3Bは上下方向に延びる桟である。横枠部3C、3Dは水平方向に延びる横桟である。縦枠部3A、3B及び横枠部3C、3Dは、アルミニウム等の軽金属製である。
【0019】
障子5は、横枠部3Dより上部の開口を閉塞するための部材であって、ヒンジ(図示せず。)を介して窓枠3(本実施形態では、横枠部3D)に揺動可能に連結されている。なお、横枠部3Dより下部の開口には、ガラス板等のパネル材が当該開口に嵌め込まれた状態で固定されている。
【0020】
ステイダンパー7は、障子5を窓枠3から離間させる力(以下、離間力という。)を発揮する部材である。本実施形態に係る排煙窓1は、2本のステイダンパー7を有している。各ステイダンパー7の一端側は、縦枠部3A、3Bそれぞれに装着されている。
【0021】
窓用巻取装置10はワイヤー5Aを巻き取るための装置である。ワイヤー5Aは、障子5を揺動させるための索体である。ワイヤー5Aが窓用巻取装置10に巻き取られると、障子5は窓枠3に近づくように揺動変位して上記開口、つまり排煙窓1が閉じた状態となる。
【0022】
窓用巻取装置10に巻き取られたワイヤー5Aが開放されると、各ステイダンパー7が発揮する離間力により、障子5が窓枠3から離間するように揺動変位して上記開口、つまり排煙窓1が開いた状態(
図1に示す状態)となる。
【0023】
2.窓用巻取装置
2.1 窓用巻取装置の概要
本実施形態に係る窓用巻取装置10は縦枠部3A内に収納されている(
図1参照)。当該窓用巻取装置10は、
図2に示されるように、基材11、フェイスプレート12及び巻取機構13等を有して構成されている。
【0024】
本実施形態に係る基材11は、第1ベースプレート11A、第2ベースプレート11B及びブロック部11C等を有して構成されている。第1ベースプレート11Aと第2ベースプレート11Bとは、帯板状の部材であって、巻取機構13を挟むように互いに対向配置されている。
【0025】
ブロック部11Cは、第1ベースプレート11Aと第2ベースプレート11Bとにより挟まれた状態で、第1ベースプレート11A及び第2ベースプレート11Bにねじ等の締結具により固定されている。
【0026】
フェイスプレート12は、縦枠部3Aの室内側に装着されて基材11(本実施形態では、第2ベースプレート11B)を覆うカバーである。フェイスプレート12には、
図3に示されるように、操作ボタン12A及びハンドル挿入部12Bに連通する貫通穴が設けられている。
【0027】
操作ボタン12Aは操作員に操作される操作部である。当該操作ボタン12Aが操作員により押圧操作されると、窓用巻取装置10、つまり巻取機構13に巻き取られたワイヤー5Aが開放されて排煙窓1が開く。
【0028】
ハンドル挿入部12Bは、巻取ハンドル(図示せず。)が着脱自在に挿入可能な部位である。ハンドル挿入部12Bに巻取ハンドルが装着された状態で、操作員が当該巻取ハンドルを回転操作すると、開放されているワイヤー5Aが巻取機構13に巻き取られる。
【0029】
ワイヤー5Aが巻取機構13に巻き取られると、障子5が窓枠3に近づいて行くため、排煙窓1が閉じた状態となる。なお、操作ボタン12A及びハンドル挿入部12Bは、基材11に装着されている。
【0030】
2.2 巻取機構
巻取機構13はワイヤー5Aを巻き取るための機構である。当該巻取機構13は、
図4に示されるように、無端状のローラチェーン14が描く形状(本実施形態では、長円状)にワイヤー5Aを巻き取るための機構である。ローラチェーン14は、無端状の環状体の一例であって、
図5に示されるように、ワイヤー5Aの一端が直接的又は間接的に連結されている。
【0031】
すなわち、巻取機構13は、
図2に示されるように、1本のローラチェーン14、第1スプロケット15A、第2スプロケット15B、並びに駆動部16等を少なくとも有して構成されている。
【0032】
第1スプロケット15A及び第2スプロケット15Bは、第1回転体及び第2回転体の一例である。2つのスプロケット15A、15Bは、互いに離隔した位置に配置されている。当該2つのスプロケット15A、15Bにはローラチェーン14が掛け渡されている。なお、2つのスプロケット15A、15Bの回転中心間距離は、ローラチェーン14が描く長円形状の直線部分長さに等しい。
【0033】
駆動部16は、ワイヤー5Aが巻き取られる向き(以下、巻取向きという。)にローラチェーン14を回転させるための機構である。当該駆動部16は、第1歯車16A及び第2歯車16B等を少なくとも有する。
【0034】
第1歯車16Aは第1スプロケット15Aと一体的に回転する平歯車である。第2歯車16Bは、ハンドル挿入部12Bと一体的に回転するとともに、第1歯車16Aと噛み合う平歯車である。
【0035】
このため、ハンドル挿入部12Bに巻取ハンドルが装着された状態で、操作員が当該巻取ハンドルを巻取向きに回転操作すると、当該回転が第1スプロケット15Aに伝達される。したがって、ローラチェーン14が巻取向きに回転する。なお、第2スプロケット15Bは、ローラチェーン14の回転に従動して回転する。
【0036】
遠心ブレーキ16Cは、第1スプロケット15Aの回転速が過度に大きくなることを抑止するための制動装置である。つまり、遠心ブレーキ16Cは、第1スプロケット15Aの回転速の増大に応じて制動力が大きくなる制動装置である。
【0037】
これにより、ワイヤー5Aが開放される向き(以下、開放向きという。)に第1スプロケット15Aが回転したときに、第1スプロケット15Aの回転速が過度に大きくなることが抑制される。なお、第1スプロケット15Aが巻取向きに回転する際の回転速は小さいので、遠心ブレーキ16Cで発生する制動力は略0である。
【0038】
ローラチェーン14が巻取向きに回転すると、
図5に示されるように、ワイヤー5Aは、第1巻取ドラム17の外周面17A及び第2巻取ドラム18の外周面18Aに掛け渡された状態で巻き取られる。
【0039】
すなわち、第1巻取ドラム17の外周面17Aは、第1スプロケット15Aの回転中心軸線L1を中心に湾曲した円筒又は円柱の外周面である。第2巻取ドラム18の外周面18Aは、第2スプロケット15Bの回転中心軸線L2を中心に湾曲した円筒又は円柱の外周面である。
【0040】
第1巻取ドラム17は、第1スプロケット15Aの回転中心軸線L1を中心に回転可能な第1巻取部材の一例である。このため、第1巻取ドラム17の外周面17Aは、第1スプロケット15Aの回転中心軸線L1を中心とする円周面となる。なお、本実施形態に係る外周面17Aは、円錐状の円周面である。
【0041】
第2巻取ドラム18は、第2スプロケット15Bの回転中心軸線L2を中心に回転可能な第2巻取部材の一例である。このため、第2巻取ドラム18の外周面18Aは、第2スプロケット15Bの回転中心軸線L2を中心とする円周面となる。なお、本実施形態に係る外周面18Aは、円錐状の円周面である。
【0042】
なお、本実施形態に係る第1巻取ドラム17は、第1スプロケット15Aと一体化されて当該第1スプロケット15Aと同期して回転する。同様に、第2巻取ドラム18は、第2スプロケット15Bに一体化されて当該第2スプロケット15Bと同期して回転する。
【0043】
図6に示されるラチェット機構19は、第1スプロケット15Aを規制状態とする場合と解除状態とする場合とを切り換えるための装置である。規制状態では、第1スプロケット15Aは開放向きに回転できない。解除状態は規制状態が解除された状態である。
【0044】
なお、第1スプロケット15Aは、ラチェット機構19の状態を問わず、常に巻取向きに回転可能である。ラチェット機構19は、ラチェット用歯車19A及び歯止め19B等を有して構成されている。ラチェット用歯車19Aは、第1スプロケット15Aと一体的に正転及び逆転する。
【0045】
歯止め19Bは、ラチェット用歯車19Aに引っ掛かるように係合する規制位置(実線で示される位置)と当該係合位置から離間した解除位置(二点鎖線で示される位置)との間で変位可能である。
【0046】
操作ボタン12Aが操作されると、作動部材19Cが実線で示される位置から二点鎖線で示される位置に移動し、歯止め19Bが規制位置から解除位置に変位する。歯止め19Bが解除位置になると、第1スプロケット15Aが解除状態となる。
【0047】
ハンドル挿入部12Bに巻取ハンドルが装着されると、復帰スライダ19D(
図2参照)が変位し、作動部材19C及び歯止め19Bが実線で示される位置、つまり規制位置に復帰する。このため、第1スプロケット15Aが規制状態となる。
【0048】
3.本実施形態に係る窓用巻取装置の特徴
仮に、ローラチェーン14の周長が、円筒部材に構成された巻取ドラムの周長と同一長さである場合においては、ローラチェーン14が一回転する際に巻き取られるワイヤー5Aの長さと円筒状の巻取ドラムが一回転する際に巻き取られるワイヤーの長さとは同一長さである。
【0049】
ローラチェーン14は、第1スプロケット15A及び第2スプロケット15Bに掛け渡された状態で回転するので、ローラチェーン14が描く形状は円状ではなく、少なくとも2つの直線状の部分及び少なくとも2つの円弧状の部分を備えた形状、つまり長円状となる。
【0050】
そして、本実施形態に係る窓用巻取装置10では、巻取向きにローラチェーン14が回転すると、ワイヤー5Aは、ローラチェーン14が描く形状、つまり長円状に巻き取られていく。
【0051】
したがって、当該長円の短径方向が当該窓用巻取装置10の幅方向(本実施形態では、水平方向)と一致した構成であれば、当該窓用巻取装置10の幅寸法は、円筒状の巻取ドラムを備える従来の窓用巻取装置の幅方向寸法より小さくなる。
【0052】
つまり、本実施形態に係る窓用巻取装置10は、従来の窓用巻取装置と同等以上の長さのワイヤー5Aを巻き取ることが可能であって、かつ、幅方向寸法が従来の窓用巻取装置より小さくなり得る。
【0053】
本実施形態に係る窓用巻取装置10では、第1巻取ドラム17及び第2巻取ドラム18が回転可能である。これにより、ワイヤー5Aが窓用巻取装置10から開放されるとき、及びワイヤー5Aが窓用巻取装置10に巻き取られるときに、第1巻取ドラム17の外周面17A及び第2巻取ドラム18の外周面18Aで大きな抵抗が発生することが抑制される。
【0054】
本実施形態に係る窓用巻取装置10では、第1巻取ドラム17は第1スプロケット15Aと同期して回転し、第2巻取ドラム18は第2スプロケット15Bと同期して回転する。これにより、ローラチェーン14の回転に同期させて第1巻取ドラム17及び第2巻取ドラム18を回転させることができる。
【0055】
延いては、本実施形態に係る窓用巻取装置10では、ワイヤー5Aが窓用巻取装置10から開放されるとき、及びワイヤー5Aが窓用巻取装置10に巻き取られるときに、第1巻取ドラム17の外周面17A及び第2巻取ドラム18の外周面18Aで大きな抵抗が発生することが確実に抑制される。
【0056】
(第2実施形態)
上述の実施形態では、ワイヤー5Aが第1巻取ドラム17及び第2巻取ドラム18に掛け渡されるように巻き取られる構成であった。しかし、本実施形態に係る窓用巻取装置10では、
図7に示されるように、ローラチェーン14それ自体にワイヤー5Aが巻き取られるように構成されている。
【0057】
具体的では、
図8に示されるように、ローラチェーン14を構成する各プレート14Aには、断面形状が略U字状又は略コの状に構成されたフランジ体14Bが固定されている。これにより、ローラチェーン14それ自体がボビン(糸巻き)として機能する。
【0058】
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号を付したので、重複する説明は省略する。
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る環状体は、ローラチェーン14にて構成されていた。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ローラチェーン以外のチェーン(例えば、サイレントチェーン)又はVベルトや歯付きベルト等のベルト等にて環状体が構成されていてもよい。
【0059】
上述の実施形態に係る第1巻取ドラム17及び第2巻取ドラム18は回転可能な構成であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、第1巻取ドラム17及び第2巻取ドラム18が回転不可な構成であってもよい。当該構成においては、外周面17A、18Aは少なくとも180度の範囲で設けられていれば十分である。
【0060】
上述の実施形態では、ローラチェーン14が描く形状が長円状であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ローラチェーン14が描く形状が、例えば、楕円状、紡錘体状及び多角形状等であってもよい。
【0061】
上述の実施形態では、巻取向きにローラチェーン14が回転すると、ワイヤー5Aは、ローラチェーン14が描く形状、つまり長円状に巻き取られていく構成の窓用巻取装置であった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
すなわち、例えば、特開2013-249183号公報に記載のごとく、動滑車及び定滑車にワイヤー5Aが掛け渡された窓用巻取装置であっても、幅寸法を小さくすることが可能な窓用巻取装置を得ることが可能である。
【0063】
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1… 排煙窓 3… 窓枠 5… 障子 5A… ワイヤー 7… ステイダンパー
10… 窓用巻取装置 11… 基材 11A… 第1ベースプレート
11B… 第2ベースプレート 11C… ブロック部
12… フェイスプレート 12A… 操作ボタン 12B… ハンドル挿入部
13… 巻取機構 14… ローラチェーン 15A… 第1スプロケット
16B… 第2スプロケット 16… 駆動部 16A… 第1歯車
16B… 第2歯車 16C… 遠心ブレーキ 17… 第1巻取ドラム
17A… 外周面 18… 第2巻取ドラム 18A… 外周面
19… ラチェット機構 19A… ラチェット用歯車 19C… 作動部材
19D… 復帰スライダ