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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】磁場生成器
(51)【国際特許分類】
   H01L 43/02 20060101AFI20220222BHJP
   H01L 21/8239 20060101ALI20220222BHJP
   H01L 27/105 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
H01L43/02 Z
H01L27/105 447
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018536110
(86)(22)【出願日】2017-01-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 FR2017050034
(87)【国際公開番号】W WO2017121947
(87)【国際公開日】2017-07-20
【審査請求日】2019-10-18
(31)【優先権主張番号】1650184
(32)【優先日】2016-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501089863
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ サイアンティフィク
(73)【特許権者】
【識別番号】510325651
【氏名又は名称】コミサリヤ ア レネルジ アトミク エ ウ エネルジ アルタナティブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】イザベル ジュマール
(72)【発明者】
【氏名】リカルド スサ
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-279504(JP,A)
【文献】特開2003-069111(JP,A)
【文献】特開2010-212453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 43/02
H01L 21/8239
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面(29、100)の上方に配置される、垂直軸(Z)の1つの第1極性端部(37、90)と、
前記水平面上に対称に配置される、少なくとも2つの第2極性端部(28A~28D、102、102’)と、を備える磁気回路を有する、方向を調整可能な磁場の生成器であって、
前記磁気回路は、フレームに接続された複数の磁気回路部分を有し、
前記1つの第1極性端部は、前記複数の磁気回路部分の1つの端部にあり、
前記少なくとも2つの第2極性端部のそれぞれの第2極性端部は、前記複数の磁気回路部分の対応する他の端部にあり、
前記生成器は、更に、
前記1つの第1極性端部と前記それぞれの第2極性端部とを接続する、前記複数の磁気回路部分のそれぞれの磁気回路部分が少なくとも1つのコイルの内部を通過するように配置される複数のコイル(50A~50D、52A、52B、82)であって、前記複数のコイルは、前記複数の磁気回路部分のうちの1つの磁気回路部分が内部を通過するコイルを有し、設定可能な強度および選択された方向の電流を伝導するように構成される回路に接続されるように適合する複数のコイルを備え
隣接する第2極性端部の対のそれぞれの極性端部(28A~28D、102、102’)は、前記垂直軸(Z)を含む面に関して対称に配置される平行な垂直面(40A~40D、42A~42D、104、104’)を有する、生成器。
【請求項2】
前記1つの第1極性端部(37、90)は、前記水平面(29、100)の上方に、0.5~5mmの範囲の高さ(H)において配置される円形下側表面(38、92)を有する切断された円錐の形状を有する、請求項1に記載の生成器。
【請求項3】
前記垂直軸を含む2つの直交面に関して対称な4つの第2極性端部(28A~28D)を備える、請求項1または2に記載の生成器。
【請求項4】
それぞれの極性端部は、前記フレーム(22)に接続されるアーム(26、36)の端部にある、請求項に記載の生成器。
【請求項5】
前記それぞれの第2極性端部(28A~28D)に繋がる前記アーム(26)は、コイル(50A~50D)により包囲されるバー(24)を水平方向に延長する、請求項に記載の生成器。
【請求項6】
前記1つの第1極性端部(37)に繋がる前記アーム(36)は、前記フレーム(22)の相対する側の中央に接続される水平ロッド(32)に接続され、コイル(52A、52B)は、前記水平ロッドのそれぞれの半分の周りに配置される、請求項またはに記載の生成器。
【請求項7】
前記1つの第1極性端部(37)に繋がる前記アーム(36)は、コイルにより包囲される、請求項またはに記載の生成器。
【請求項8】
2つの第2極性端部(102、102’)を備え、前記1つの第1極性端部および前記2つの第2極性端部(90、102、102’)のそれぞれは、ロッド(84)に接続されるアームの端部(88、96、96’)にあり、前記1つの第1極性端部に繋がる前記アーム(88)は、前記ロッドの中心に接続され、コイル(82)は、前記ロッドのそれぞれの半分の周りに配置される、請求項1または2に記載の生成器。
【請求項9】
前記1つの第1極性端部(90)に繋がる前記アーム(88)は、コイルにより包囲される、請求項に記載の生成器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2016年1月11日に出願されたフランス特許出願第16/50184号の優先権を主張するものであり、その内容はこれによりその全体が参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、磁場生成器(ge’ne’rateurs de champ magne’tique)の分野に関し、より特別には、設定可能な強度および方向の磁場を生成する装置に関する。
【背景技術】
【0003】
図1は、検証されることが望まれる特性を有する磁気メモリセル1の例を示す。
【0004】
メモリセル(point me’moire)1は、シリコンウェーハ(plaquette de silicium)3上に形成される。シリコンウェーハ3は、テスト機器の、図示されていないX、Y、およびZ位置決め装置上に固定される。この装置は、ウェーハを、ほぼ1マイクロメータの精度で位置決めできる。メモリセルは、メタル層7の2つの部分の間に位置する磁気伝導層(couches conductrices et magne’tiques)の部分5を備える。メタル層部分は、メモリセルの両側で(de part et d'autre)同一水平面に位置する接触子9により延長される。しかしながら、接触子レベルの間に2~3マイクロメータの違いがあってもよい。
【0005】
メモリセルをテストするために、テストプローブ11が接触子9上に位置し、テストプローブ11間の距離D1は、ほぼ数百マイクロメータである。設定可能な強度および方向の磁場がメモリセルに加えられる。磁場の強度および方向によるテストプローブ間の電気抵抗の変動により、メモリセル1を特徴付けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
テストプローブ11を位置決めしたり、磁場を作成するためには、シリコンウェーハの上方の空間のみが利用可能であり、ウェーハの下方の空間は、位置決め装置により使用されることに留意すべきである。
【0007】
そのため、磁場生成器に、設定可能な強度および方向の磁場を生成することを可能にさせることが望まれており、磁場生成器は、全体がメモリセルを含むウェーハの表面の上方に置かれる。
【0008】
より一般的には、磁場を生成するために利用可能な側を1つのみ有するウェーハ上に配置される構成要素を、方向を調整可能な磁場に投入する(plonger)ことが望まれる。
【0009】
半空間において磁場を生成するための周知の装置は、磁場のそれぞれの垂直または水平成分を、他の成分とは独立に調整することを可能にはせず、種々の実現上の問題をもたらしている。
【0010】
そのため、半空間において、それぞれの垂直および水平成分を独立して調整できる磁場を生成することを可能にする磁場生成器を有することが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このため、一実施形態によって、方向を調整可能な磁場の生成器が提供され、該生成器は、水平面の上方に配置される垂直軸の第1極性端部(extre’mite’ polaire)と、水平面上に対称に配置される少なくとも2つの第2極性端部を備える磁気回路(circuit magne’tique)を備え、該生成器は、更に、2つの極性端部を接続するそれぞれの磁気回路部分が少なくとも1つのコイルの内部を通過する(passe)ように配置されるコイルであって、設定可能な強度および選択された方向の電流を伝導するように構成される回路に接続されるように適合するコイルを備える。
【0012】
一実施形態によれば、隣接する(voisines)第2極性端部の対のそれぞれの極性端部は、垂直軸を含む面に関して対称に配置される平行な垂直面を有する。
【0013】
一実施形態によれば、第1極性端部は、水平面の上方に、0.5~5mmの範囲の高さに配置される円形下側表面を有する、切断された円錐の形状を有する。
【0014】
一実施形態によれば、生成器は、垂直軸を含む2つの直交面に関して対称な、4つの第2極性端部を備える。
【0015】
一実施形態によれば、それぞれの極性端部は、フレームに接続されるアームの端部にある。
【0016】
一実施形態によれば、それぞれの第2極性端部に繋がる(associe’)アームは、コイルにより包囲されるバーを水平方向に延長する(prolonge)。
【0017】
一実施形態によれば、第1極性端部に繋がるアームは、フレームの相対する側(co^te’s oppose’s)の中央に接続される水平ロッドに接続され、コイルは、水平ロッドのそれぞれの半分の周りに配置される。
【0018】
一実施形態によれば、第1極性端部に繋がるアームは、コイルにより包囲される。
【0019】
一実施形態によれば、生成器は2つの第2極性端部を備え、第1極性端部および第2極性端部のそれぞれは、ロッドに接続されるアームの端部にあり、第1極性端部に繋がるアームは、ロッドの中心に接続され、コイルは、ロッドのそれぞれの半分の周りに配置される。
【0020】
一実施形態によれば、第1極性端部に繋がるアームは、コイルにより包囲される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】磁気メモリセルの一例を示す図である。
図2A】磁気回路の一実施形態の斜視図である。
図2B図2Aに示される磁気回路の一部の底面図である。
図2C】テストされるウェーハの上方に位置する磁気回路の一部の側面図である。
図3図2Aに示される磁気回路と電流を伝導するコイルとを例示する簡略図である。
図4A】磁場生成器の一実施形態の簡略化された斜視図である。
図4B図4Aの生成器の底面図である。
図5】代替の磁気回路の部分底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
前述および他の特徴および利点は、添付する図面と連携した、具体的な実施形態の下記の非制限的な記述において詳細に検討される。
【0023】
種々の図面において、同じ要素には、同じ参照番号が付けられ、更に、種々の図面は、一定の寸法比ではない。簡明さのために、記述される実施形態の理解に有用な要素のみが図示され詳述される。特に、コイル電力供給回路は図示されていない。
【0024】
下記の記述において、特に指定されない限り、「左」、「右」などの用語のように、絶対位置を限定する用語に言及した場合、または「上部」、「底部」、「下側」などの用語のように、相対位置を限定する用語に言及した場合、または、「水平」、「垂直」などの用語のように、向きを限定する用語に言及した場合、対象となる図面における該当する要素の向きに言及する。特に指定されない限り、「ほぼ(de l'ordre de)」という表現は、向きに関しては、10度以内、好ましくは、5度以内を意味する。
【0025】
図2Aは、磁場生成器の磁気回路20の一実施形態の斜視図である。生成器は、図2Aには図示されていないが、磁気回路の一定の部分の周りに配置されるコイルを備える。図2Bは、生成器の垂直軸Zに近接する、磁気回路20の部分の、異なる寸法比による底面図である。図2Cは、テストされる磁気メモリセルを含むウェーハの上方に位置する、磁気回路20の部分の、異なる寸法比による側面図である。
【0026】
磁気回路は、例えば、軟鉄などの軟強磁性材料(mate’riau ferromagne’tique doux)から構成される。磁気回路20は、軸Zを有する正方形フレーム22を備える。円筒形垂直バー24は、フレーム22のそれぞれの隅から下方に向かって共に延伸する(s'e’tend)。それぞれのバー24は、半径方向アーム26により、軸Zに向けて延長される。それぞれの半径方向アーム26は、軸Zに向けられる先端が尖った極性端部(extre’mite’ polaire)28A~28Dのそれぞれにより延長される。極性端部28A~28Dは、(図2Cに示される)同一水平面29に位置する下側表面を有する。例として、フレーム22は、100~200mmの範囲における直径を有する円内に内接する(s'inscrit)。回路全体の軸Zに沿う寸法または高さは、100~200mmの範囲である。それぞれのバー24は、8~20mmの範囲の直径を有することができる。
【0027】
バー30は、フレーム22の2つの相対する側(co^te’s oppose’s)の中央から下方に垂直に共に延伸する。バー30の端部は、水平ロッド32により接続される。軸Zを中心とする接続ブロック34は、ロッド32の中央に位置する。接続ブロック34は、垂直円筒形アーム36により下方に延長される。円筒形アーム36は、軸Zを有する切断された円錐の形状の極性端部37を有する。円錐は、水平面29の上方の高さHに位置する円形水平面38で終わる。
【0028】
図2Bに例示されるように、底面図においては、極性端部28A~28Dは、極性端部37に占有される中心を有する十字形空間39の境界を形成する。この十字は、軸Yがロッド32の方向に平行な、方向XおよびYを有する水平軸に沿って配置される。このため、極性端部28A~28Dは、軸Zを通過する2つの直交垂直面に関して対称に配置される。極性端部28A~28Dは、軸Yに平行な垂直面40A~40Dをそれぞれ有することができる。極性端部28A~28Dは、軸Xに平行な垂直面42A~42Dをそれぞれ有することができる。例として、隣接する極性端部28A~28Dの垂直面を隔てる距離D2は等しく、5~15mmの範囲である。
【0029】
図2Cは、接触子48が設けられる磁気メモリセル46を備えるウェーハ44に対面する(en regard de)磁場生成器の下側部分を例示する横断面図である。ウェーハは、図示されていない位置決め装置に固定される。磁場生成器は、磁場の水平面29が、ウェーハ44の上側表面の上方に位置するように配置され、メモリセルは、極性端部37の表面38の下方に配置される。生成器の構造は、接触子48上にテストプローブ49を位置決めするための空間が利用できるようになる。例として、水平面29と、ウェーハの上側表面との間の高さは、0.5~5mmの範囲である。
【0030】
図3は、図2Aに示される磁気回路20と、電流の構成例による電流を伝導するコイルと、を例示する簡略図である。磁気回路20のそれぞれの要素は、要素により伝導される磁気伝導束(flux d'induction magne’tique)の伝搬方向に沿って細長い円筒形で示される。例として、実際のコイルは、50~70mmの範囲の外直径を有する。それぞれのコイルは、銅性の伝導ワイヤ(fil conducteur en cuivre)をらせん状に巻くこと(bobinage)により形成でき、伝導ワイヤの巻き数は、ワイヤの直径に依存する。それぞれのコイルは、伝導ワイヤの数百の巻き数を有することができ、例えば、200~3000の巻き数である。
【0031】
端部28A~28Dの1つに繋がるそれぞれのバー24は、その周りに配置されるコイル50A~50Dのそれぞれを有する。コイル52Aおよび52Bは、アーム36との接続部の両側に(de part et d'autre de)位置する、ロッド32の部分の周りに配置される。コイル50A~50Dと52Aおよび52Bとは同一であってよい。
【0032】
コイルは、図示されていない電力供給回路に接続される。これらの回路は、それぞれのコイルにおいて、選択された方向および強度の電流を伝導することを可能にする。
【0033】
図3に例示される電流の構成例において、同一の強度および方向の電流が、コイル50A~50Dを通って流れ、バー24において下方に向けられる磁気伝導束54A~54Dを生成する。反対の強度および方向の電流(courants d'intensite’ et de sens oppose’s)が、コイル52Aおよび52Bを通して流れる。コイル52Aおよび52Bにおける電流は、軸Zから遠ざかる(s'e’loignant)磁気誘導束56Aおよび56Bをそれぞれ生成し、それにより、垂直アーム36において上方に向けられる磁束(flux)という結果になる。
【0034】
前述したように、極性端部28A~28Dは、軸Zを通過する2つの直交垂直面に関して対称である。それにより、垂直軸Z上において、軸Xおよび軸Yに沿う磁場成分は相殺し合う。このため、図2Cの磁気メモリセルの周りの極性端部37の下方に作成される磁場BZは、垂直軸Zに沿って上方に向けられる。極性端部37が円錐形であることにより、円錐において、アームの中を伝搬する磁気誘導を集中させることが可能となる。発明者は、シミュレーションによって、例えば、0.5Tより大きい磁気誘導に対応する、極性端部37の下方に最大強度を有する、準一様磁場を提供する、面29を表面38から隔てる高さHの最適値が存在することを示した。例として、高さHは、0.5~2mmの範囲である。表面38は、3~7mmの範囲の直径を有することができる。軸Zと円錐の傾斜した表面との間の角度は、40~60度の範囲の値を有することができる。アーム36は、8~20mmの範囲の直径を有することができる。
【0035】
図2Bに関連して定義された軸Yに沿って方向づけられ、左から右へ向けられる磁場は、図3の電流の構成に基づいて、コイル50A、50B、および52Aにおける電流の方向を逆にすれば(inverse)得られる。この場合、コイルにより生成された磁気伝導束は、垂直アーム36において相殺し合う。前述したように、端部28A~28Dは、軸Xに平行な垂直面42A~42Dをそれぞれ有することができる。表面42A~42Dのそのような配置は、表面38の下方の軸Xに沿う成分のない、準一様磁場を提供する。更に、軸Zに沿う寸法、または極性端部28A~28Dの厚さは、大きな磁場を得るために、アーム26の厚さよりも小さくてもよい。コイル52Aおよび52Bにおける電流もまた相殺することができ、そして生成器は、小さな強度の、軸Yに沿う磁場を生成する。
【0036】
軸Xに沿って方向づけられた磁場は、図3に例示される電流構成から、コイル50Aおよび50Dにおける電流の方向を逆にし、コイル52Aおよび52Bにおける電流を相殺することにより得られる。この操作は、軸Yに沿って方向づけられる磁場を生成する操作に類似する。
【0037】
一般に、選択された強度および方向の電流の組み合わせがコイルを流れることにより、面29の下方に位置する容積において、極性端部37の下方の磁場の向きおよび強度を有利に選択でき、磁場生成器は、その全体が面29の上方に位置する。
【0038】
磁気回路20の要素の周りに配置されるコイルが、特定の構成において上記で記述されたが、他の構成も可能である。変形例として、コイル50A~50Dは、フレーム22の側面の周りに位置するコイルと置き換えることができる。コイルは、軸Yに平行なフレーム22のそれぞれの側面の周りに配置できる。軸Xに平行なそれぞれの側面は、垂直バー30の両側に配置される2つのコイルにより包囲することができる。他の変形例においては、コイル52Aおよび52Bは、アーム36の周りに配置される単一のコイルと置き換えることができる。この場合、バー30は削除でき、ロッド32は、繋がるフレーム22の側面の中央に直接接続される。
【0039】
図4Aは、磁場生成器80の一実施形態の斜視図である。図4Bは、軸Zに近い生成器80の磁気回路の部分の底面図である。
【0040】
磁場生成器80は、上記の生成器20よりも簡略化されており、面YZにおいて調整可能な方向を有する、選択された強度の磁場を提供する。生成器は、ロッド84の中央に位置する接続ブロック86の両側の水平ロッド84の周りに配置される2つの同一なコイル82を備える。接続ブロック86は、円筒形アーム88により下方に延長される。円筒形アーム88は、軸Zを有する切断された円錐の形状の極性端部90を有する。円錐は、円形水平面92で終わる。垂直バー94は、ロッド84の端部から共に延伸し、一点に向かうアーム(bras convergents)96により水平に延長される。アーム96は、2つの表面に共通で、表面92の下方で、高さHに位置する、水平面100に含まれる下側表面98を有する。底面図において、アームは軸Zに接近する(s'approchent)。例として、アーム96は、水平ロッド84の方向とほぼ45度の角度を形成する方向に沿って軸Zに接近する。それぞれのアーム96は、極性端部102で終わる。極性端部102は、軸Yに垂直で、軸Zを通過する面に関して対称な2つの平行な垂直面104を有する。
【0041】
図示される実施形態において、水平支持体106は、ロッド84のそれぞれの端部から共に延伸し、生成器を固定することを可能にする。
【0042】
図5は、磁気回路の変形例の部分底面図であり、図4Aおよび4Bに示される磁気回路に対応し、アーム96は、極性端部102’が設けられる類似のアーム96’と置き換えられる。図4Aおよび4Bのアーム96とは異なり、アーム96’は、水平ロッド84の方向に平行に軸Zに接近する。軸Zは、極性端部102’の平行な垂直面104’の間に位置する。垂直面104’は、軸Yに直交し、軸Zを通過する面に関して対称である。
【0043】
図4Aおよび4Bに例示される実施形態、および図5の変形例において、コイル82は、図示されていない回路に接続され、それぞれのコイルにおいて、選択された強度および方向の電流を伝導することを可能にする。
【0044】
同一の強度、および反対の方向を有する電流108がコイル82を流れると、電流のそれぞれにより、ロッドのそれぞれの半分において作成される磁気伝導束は、バー88において追加される。そして、極性端部90の表面92の下方で、軸Zに沿って方向づけられた磁場B2が得られる。同一の方向の電流110がコイルを流れると、軸Yに沿って方向づけられた磁場が得られる。一般に、コイル82における電流の組み合わせによって、設定可能な強度および選択された方向を有する電流が面YZにおいて提供される。
【0045】
磁場生成器80は、面100の上方にその全体が位置しており、2つのコイルのみで、面100の下方に位置する容積において、調整可能な強度および方向を有する磁場を面YZにおいて生成することを可能にする。
【0046】
図示されていない変形例において、コイルを、軸Zに沿う磁場成分の強度を高めるために、垂直アーム88の周りに配置できる。
【0047】
具体的な実施形態を記述してきた。当業者は容易に種々の変形、修正、および改良に想到するであろう。特に、磁気回路およびコイルの具体的な構成を記述してきたが、他の構成も可能であり、重要な点は、一方では、磁気回路が、水平面の上方に位置する極性端部が設けられた垂直アームを備え、水平面上に配置された少なくとも2つの対称極性端部を備えることであり、他方では、2つの極性端部を接続するそれぞれの磁気回路部分が、少なくとも1つのコイルの内部を通過することである。
【0048】
更に、記述された実施形態においては、磁場生成器は、シリコンウェーハ上に形成された磁気メモリセルを、テストプローブに接続してテストするために使用される。記述されたタイプの生成器はまた、ウェーハ上に配置された磁気メモリセルの磁気および光学的テストを行うためにも使用でき、このとき、ウェーハの一方の側は生成器により使用され、他方の側は、光学装置のために利用できるように残される。そのような生成器はまた、複数の磁気メモリセルを同時にテストするためにも使用でき、また、メモリセルアレイをテストするためにも使用できる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5