(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】ベンズアミド誘導体
(51)【国際特許分類】
C07C 233/65 20060101AFI20220222BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220222BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20220222BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20220222BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220222BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220222BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20220222BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220222BHJP
A61P 19/06 20060101ALI20220222BHJP
C07D 237/24 20060101ALI20220222BHJP
A61K 31/50 20060101ALI20220222BHJP
A61K 31/501 20060101ALI20220222BHJP
C07D 401/06 20060101ALI20220222BHJP
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A61K 31/541 20060101ALI20220222BHJP
C07D 213/82 20060101ALI20220222BHJP
A61K 31/4418 20060101ALI20220222BHJP
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C07D 213/81 20060101ALI20220222BHJP
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A61K 31/40 20060101ALI20220222BHJP
A61K 31/5375 20060101ALI20220222BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20220222BHJP
C07D 277/82 20060101ALI20220222BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20220222BHJP
A61K 31/4535 20060101ALI20220222BHJP
C07D 333/38 20060101ALI20220222BHJP
C07D 409/06 20060101ALI20220222BHJP
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C07C 237/40 20060101ALI20220222BHJP
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C07C 273/00 20060101ALI20220222BHJP
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C07D 401/12 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
C07C233/65 CSP
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P11/00
A61P9/00
A61P17/06
A61P11/06
A61P3/10
A61P35/00
A61P1/04
A61P9/10 101
A61P19/06
C07D237/24
A61K31/50
A61K31/501
C07D401/06
A61K31/496
A61K31/541
C07D213/82
A61K31/4418
A61K31/55
C07D213/81
A61K31/445
C07D211/16
C07D211/46
C07D295/192
A61K31/54
A61K31/40
A61K31/5375
A61K31/495
C07D277/82
A61K31/428
A61K31/4535
C07D333/38
C07D409/06
C07C231/12
C07C237/28
C07C237/40
C07C275/42
B01J31/24 Z
C07C237/42
C07C273/00
C07D403/12
C07D401/12
(21)【出願番号】P 2018536326
(86)(22)【出願日】2016-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2016101038
(87)【国際公開番号】W WO2017054765
(87)【国際公開日】2017-04-06
【審査請求日】2019-08-22
(31)【優先権主張番号】201510638788.3
(32)【優先日】2015-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201610390661.9
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】518110947
【氏名又は名称】シイエスピイシイ・チョンチ・ファーマシューティカル・テクノロジー・(シーチアチョワン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【氏名又は名称】小池 勇三
(72)【発明者】
【氏名】シ,イン
(72)【発明者】
【氏名】ミ,イ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ハンユ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,シュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ゴン,デンフアン
(72)【発明者】
【氏名】バイ,ミン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シャオチュオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ユジエ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シュエジアオ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ユシュ
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,チンジー
【審査官】三木 寛
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-523193(JP,A)
【文献】特表2006-523194(JP,A)
【文献】特表2005-511532(JP,A)
【文献】特表2005-519932(JP,A)
【文献】特表2005-538100(JP,A)
【文献】特表2007-501831(JP,A)
【文献】特表2007-500129(JP,A)
【文献】特表2007-519694(JP,A)
【文献】国際公開第2008/152099(WO,A2)
【文献】特表2008-515898(JP,A)
【文献】Aston, Nicola M. et al.,p38α Mitogen-Activated Protein Kinase Inhibitors: Optimization of aSeries of Biphenylamides to Give a Molecule Suitable for Clinical Progression,Journal of Medicinal Chemistry ,2009年,Vol.52(20),p.6257-6269
【文献】Norman, Peter,Investigational p38 inhibitors for the treatment of chronic obstructive pulmonary disease,Expert Opinion on Investigational Drugs ,2015年,Vol.24(3),p.383-392
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 233/65
A61P 43/00
A61P 29/00
A61P 19/02
A61P 11/00
A61P 9/00
A61P 17/06
A61P 11/06
A61P 3/10
A61P 35/00
A61P 1/04
A61P 9/10
A61P 19/06
C07D 237/24
A61K 31/50
A61K 31/501
C07D 401/06
A61K 31/496
A61K 31/541
C07D 213/82
A61K 31/4418
A61K 31/55
C07D 213/81
A61K 31/445
C07D 211/16
C07D 211/46
C07D 295/192
A61K 31/54
A61K 31/40
A61K 31/5375
A61K 31/495
C07D 277/82
A61K 31/428
A61K 31/4535
C07D 333/38
C07D 409/06
C07C 231/12
C07C 237/28
C07C 237/40
C07C 275/42
B01J 31/24
C07C 237/42
C07C 273/00
C07D 403/12
C07D 401/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩:
【化1】
[式中、
Qは、
【化2】
からなる群から選択され;
R
c-dは、H、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシからなる群から独立に選択され、ここで、前記アルキルおよび前記アルコキシは、ハロゲン、ヒドロキシルおよびアミノからなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよく、前記アミノは、1または2個のC
1-6アルキルで任意に置換されていてもよく;
R
1は、
【化3】
{R
2およびR
3は、H、C
1-6アルキル、(CH
2)
0-3-3~7員シクロアルキルおよび1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキルからなる群から独立に選択され、かつ、R
2およびR
3は同時に水素であることはなく;ここで、前記C
1-6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C
1-6アルコキシ、(C
0-6アルキル)(C
0-6アルキル)アミノ、(C
0-6アルキル)チオ、(C
1-6アルキル)カルボニルおよび(C
1-6アルキル)スルホニルからなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよく;前記3~7員シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルは1個のR
mで置換され、ここで、前記R
mは、水素、C
1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノからなる群から選択され、前記ヘテロシクロアルキルのヘテロ原子は、O、NおよびSから選択され;または
R
2およびR
3は、それらに結合されている原子と一緒に5、6もしくは7員環を形成し、
ここで、
前記5、6もしくは7員環は1個のR
nで置換され、ここで、前記R
nは、水素、C
1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノから選択され;
前記5、6もしくは7員環は、R
2およびR
3に結合しているN原子に加え、O、N、およびSから選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子をさらに含有する};
【化4】
{R
4は、C
1-6アルキル、-(CH
2)
0-1-5~7員シクロアルキル、-CO(CH
2)
0-1-R
5および-CONH-R
6からなる群から選択され、
R
5およびR
6は、C
1-6アルキルおよび(CH
2)
0-1-5~7員シクロアルキルから独立に選択される}
であり、
Zは、(CH
2)
0-3-Yであり;Yは、3~7員シクロアルキル、1または2個のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、C
1-6アルコキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択され;ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノ、アルケニルおよびアルキニルは、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノおよびニトロからなる群から選択される置換基で任意に置換されていてもよく;前記ヘテロシクロアルキルのヘテロ原子は、N、SおよびOから選択される]。
【請求項2】
Zは
【化5】
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩。
【請求項3】
Zは
【化6】
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩。
【請求項4】
Zは
【化7】
であることを特徴とする、請求項1に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩。
【請求項5】
式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩:
【化8】
[式中、
Qは
【化9】
からなる群から選択され;
R
1は、
【化10】
{R
2およびR
3は、H、C
1-6アルキル、(CH
2)
0-3-3~7員シクロアルキルおよび1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキルからなる群から独立に選択され、かつ、R
2およびR
3は同時に水素であることはなく;ここで、前記C
1-6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C
1-6アルコキシ、(C
0-6アルキル)(C
0-6アルキル)アミノ、(C
0-6アルキル)チオ、(C
1-6アルキル)カルボニルおよび(C
1-6アルキル)スルホニルからなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよく;前記3~7員シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルは1個のR
mで置換され、ここで、前記R
mは、水素、C
1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノからなる群から選択され、前記ヘテロシクロアルキルのヘテロ原子は、O、NおよびSから選択され;または
R
2およびR
3は、それらに結合されている原子と一緒に5、6もしくは7員環を形成し、
ここで、
前記5、6もしくは7員環は1個のR
nで置換され、ここで、前記R
nは、水素、C
1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノから選択され;
前記5、6もしくは7員環は、R
2およびR
3に結合しているN原子に加え、O、N、およびSから選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子をさらに含有する};
【化11】
{R
4は、C
1-6アルキル、-(CH
2)
0-1-5~7員シクロアルキル、-CO(CH
2)
0-1-R
5および-CONH-R
6からなる群から選択され、
R
5およびR
6は、C
1-6アルキルおよび(CH
2)
0-1-5~7員シクロアルキルから独立に選択される}
であり、
Zは、(CH
2)
0-3-Yであり;Yは、3~7員シクロアルキル、1または2個のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、C
1-6アルコキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択され;ここで、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノ、アルケニルおよびアルキニルは、C
1-6アルキル、C
1-6アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノおよびニトロからなる群から選択される置換基で任意に置換されていてもよく;前記ヘテロシクロアルキルのヘテロ原子は、N、SおよびOから選択される]。
【請求項6】
Qは
【化12】
からなる群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩。
【請求項7】
R
1は
【化13】
であり、
R
2およびR
3は、H、C
1-6アルキル、(CH
2)
0-3-3~7員シクロアルキルおよび1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキルからなる群から独立に選択され、かつ、前記R
2およびR
3は同時に水素であることはなく;ここで、前記C
1-6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C
1-6アルコキシ、(C
0-6アルキル)(C
0-6アルキル)アミノ、(C
0-6アルキル)チオ、(C
1-6アルキル)カルボニルおよび(C
1-6アルキル)スルホニルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;前記3~7員シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルは1個のR
mで置換され、ここで、前記R
mは、水素、C
1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノからなる群から選択され、前記ヘテロシクロアルキルのヘテロ原子は、O、N、およびSから選択される;または
R
2およびR
3は、それらに結合されている原子と一緒に、5、6もしくは7員環を形成し、ここで、
前記5員、6員もしくは7員環は1個のR
nで置換され、ここで、前記R
nは、水素、C
1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノから選択され;
前記5、6もしくは7員環は、R
2およびR
3に結合しているN原子に加え、O、N、およびSから選択される0、1または2個のヘテロ原子をさらに含有する
ことを特徴とする、請求項1または5に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩。
【請求項8】
R
1は
【化14】
であり、
R
2およびR
3は、H、C
1-6アルキル、(CH
2)
0-3-3~7員シクロアルキルからなる群から独立に選択され、かつ、R
2およびR
3は同時に水素であることはなく;ここで、前記C
1-6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C
1-6アルコキシ、(C
0-6アルキル)(C
0-6アルキル)アミノ、(C
0-6アルキル)チオ、(C
1-6アルキル)カルボニルおよび(C
1-6アルキル)スルホニルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;前記3~7員シクロアルキルは1個のR
mで置換され、ここで、前記R
mは、水素、C
1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノからなる群から選択され;または
R
2およびR
3は、それらに結合されている原子と一緒に、5、6もしくは7員環を形成し、
ここで、
前記5員、6員もしくは7員環は1個のR
nで置換され、ここで、前記R
nは、水素、C
1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノから選択される
ことを特徴とする、請求項1または5に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩。
【請求項9】
R
1は
【化15】
であり、
R
2およびR
3の一方はHであり、他方はC
1-6アルキル、(CH
2)
0-3-3~7員シクロアルキルからなる群から選択され;ここで、前記C
1-6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C
1-6アルコキシ、(C
0-6アルキル)(C
0-6アルキル)アミノ、(C
0-6アルキル)チオ、(C
1-6アルキル)カルボニルおよび(C
1-6アルキル)スルホニルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;前記3~7員シクロアルキルは1個のR
mで置換され、ここで、前記R
mは、水素、C
1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノから選択される
ことを特徴とする、請求項1または5に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩。
【請求項10】
R
1は
【化16】
から選択されることを特徴とする、請求項1または5に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩。
【請求項11】
R
1は
【化17】
から選択されることを特徴とする、請求項1または5に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩。
【請求項12】
【化18】
から選択される化合物またはその互変異性体、光学異性体、および薬学上許容される塩。
【請求項13】
請求項1~
12のいずれか一項に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項14】
p38キナーゼ活性により媒介されるまたはp38キナーゼ活性により産生されるサイトカインにより媒介される症状または疾患の予防および/または治療のための薬剤の製造における請求項1~
12のいずれか一項に記載の式Iの化合物、もしくはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩、または請求項
13に記載の医薬組成物の使用。
【請求項15】
前記疾患は炎症性疾患から選択される、請求項
14に記載の使用。
【請求項16】
前記疾患は関節リウマチ、慢性肺閉塞、心血管疾患、痛風、乾癬、喘息、腫瘍、糖尿病、動脈硬化症およびクローン病から選択される、請求項
14に記載の使用。
【請求項17】
式IIの化合物と式IIIの化合物を縮合させて式Iの化合物を形成すること:
【化19】
(Q、ZおよびR
1は請求項1として定義され、Xはハロゲンである)
を含む、請求項1に記載の式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の技術分野に属し、新規なベンズアミド誘導体、それを含有する医薬組成物、その製造方法および薬物としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
セリン/トレオニンキナーゼに属すマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(Mitogen-activated protein kinase)(MAPK)は、受容体により送達されたシグナルを受け取ってそれらのシグナルを細胞核に持ち込むことができる重要な分子であり、遺伝子発現、細胞増殖および細胞死の調節に関与するための重要な機構を有し、多くの受容体シグナル伝達経路で鍵となる役割を果たしている。このマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)ファミリーの重要なメンバーであるP38キナーゼは、細胞因子により媒介される免疫応答機構の重要な部分と考えられ、p38キナーゼは炎症およびストレス反応において重要な役割を果たすだけでなく、細胞の生存、分化およびアポトーシスのプロセスにも関与し、従って、それは多くの細胞シグナル伝達経路において重要なタンパク質と考えられる。p38キナーゼはいくつかの細胞内タンパク質をリン酸化することができ、これが酵素段階のカスケードに関与し、サイトカイン(例えば、TNF-αおよびIL-1)の生合成および放出をもたらし得ることが知られている。研究によれば、p38キナーゼは多くの疾患の発生に対して明らかな調節効果を持ち、特に、炎症性応答疾患の調節に中枢的役割を果たすことが見出されている。炎症性応答は本質的にヒト自己免疫系の重要な成分であり、例外が発生すれば、関節リウマチ、慢性肺閉塞、心血管疾患、痛風、乾癬、喘息、腫瘍、糖尿病、動脈硬化症、およびクローン病などの一連の重篤な疾患が引き起こされる。
【0003】
サイトカインは様々な細胞(例えば、単細胞およびマクロファージ)により産生され、これが多くの生理学的効果をもたらし得ることは周知であり、これらの生理学的効果は疾病において極めて重要であると考えられる(例えば、炎症および免疫調節)。サイトカインは、また疾患の発生および進展にも影響を及ぼすと考えられる。
【0004】
腫瘍壊死因子-α(Tumor necrosis factor-α)(TNF-α)およびインターロイキン-1(interleukin-1)(IL-1)は、2つの重要な炎症性サイトカインであり、それらは細胞カスケード反応を活性化するための主要な媒体と考えられ、全身性炎症応答に主要な役割を果たすが、このことは非特許文献1に記載されている。研究では、特定の阻害剤がp38キナーゼに作用すると、TNF-αなどの炎症性サイトカインの発現量が著しく低下することが示され、このことは、炎症反応におけるTNF-αなどの過剰発現がp38キナーゼの活性に密接に関連することを示している。P38キナーゼは、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、インターロイキン-1β(IL-1β)などの炎症性サイトカイン、およびインターロイキン-10などの抗炎症因子の合成および放出プロセスを制御および調整することによって炎症反応プロセスに関与する。よって、サイトカイン(例えば、TNF-αおよびIL-1)は多くの疾患の媒介に関与すると考えられ、これらのサイトカインの生成および/または効果に対する阻害はこれらの疾患の予防、管理または治療を助け得ると期待される。
【0005】
非ステロイド系抗炎症薬(Non-steroidal anti-inflammatory drug)(NSAID)は、最も一般的な抗炎症薬であるが、多くの個体はこれらの疾患の長期処置により必要とされる用量を忍容できず、このような薬物の使用は、多くの場合、消化管、腎臓および肝臓の傷害などの重大な毒性および副作用を引き起こし、場合によっては心血管性の有害事象を誘発することがある。抗炎症性サイトカインの生体処置分野では、非ステロイド系抗炎症薬が無効または不都合な炎症患者を処置するためのエタネルセプト、インフリマブ(Inflimab)、アダリムマブ、およびアナキンラなどの生物薬剤の使用で大きな成功が達成されている。しかしながら、大分子薬としての生物薬剤は、相対的に長い研究期間、工業化が困難、相対的に高い生産コスト、および注射製剤として使用するには不都合などの多くの欠点を持ち、従って、抗炎症療法の分野で使用に好都合であり、かつ、良好な治癒的効果を備えた新規な経口抗炎症薬の必要がある。p38キナーゼは重要な抗炎症標的であると考えられ、それはTNF、IL-1および他の炎症因子を調節し、炎症性応答の調節に重要な生物学的役割を果たすので、小化学分子物質としてのp38キナーゼ阻害剤は、炎症性疾患を処置するための新規な小分子薬へと開発される可能性を持つ。しかしながら、低い経口バイオアベイラビリティおよび高い毒性が、これらの化合物を薬物とすることを阻む主要な問題であった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【文献】Charles A. Dinarello et al., inflammatory cytokines: interleukin-1 and tumor necrosis factor as effect or molecules in autoimmune diseases, Current Opinion in Immunology, 1991, 3(6), 941-948
【発明の概要】
【0007】
一態様において、本発明は、式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩:
【0008】
【0009】
[式中、
Qは、
【0010】
【0011】
からなる群から選択され;
Ra-fは、H、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシからなる群から独立に選択され、ここで、上記アルキルおよびアルコキシは、ハロゲン、ヒドロキシルおよびアミノからなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよく、上記アミノは、1または2個のC1-6アルキルで任意に置換されていてもよく;
R1は
【0012】
【0013】
{R2およびR3は、H、C1-6アルキル、(CH2)0-3-3~7員(例えば、(CH2)0-3-5~7員)シクロアルキルおよび1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキルからなる群から独立に選択され、かつ、R2およびR3は同時に水素であることはなく;ここで、上記C1-6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、(C0-6アルキル)(C0-6アルキル)アミノ、(C0-6アルキル)チオ、(C1-6アルキル)カルボニルおよび(C1-6アルキル)スルホニルからなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよく;上記3~7員(例えば、5~7員)シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルは1個のRmで置換され、ここで、上記Rmは、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノからなる群から選択され、上記ヘテロシクロアルキルのヘテロ原子は、O、NおよびSから選択され;または
R2およびR3は、それらに結合されている原子と一緒に5、6もしくは7員環を形成し、
ここで、
上記5、6もしくは7員環は1個のRnで置換され、ここで、上記Rnは、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノから選択され;
上記5、6もしくは7員環は、R2およびR3dに結合しているN原子に加え、O、N、およびSから選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子をさらに含有する};
【0014】
【0015】
{R4は、C1-6アルキル、-(CH2)0-1-5~7員シクロアルキル、-CO(CH2)0-1-R5および-CONH-R6からなる群から選択され、
R5およびR6は、C1-6アルキルおよび-(CH2)0-1-5~7員シクロアルキルから独立に選択される}
であり;
Zは、-(CH2)0-3-Yであり;Yは、3~7員シクロアルキル、1または2個のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、アルケニルおよびアルキニルからなる群から選択され;ここで、上記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アミノ、アルケニルおよびアルキニルは、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノおよびニトロからなる群から選択される置換基で任意に置換されていもよく;上記ヘテロシクロアルキルのヘテロ原子は、N、SおよびOから選択され;
ただし、式Iの化合物は、下記の化合物:
【0016】
【化5-1】
【化5-2】
【化5-3】
【化5-4】
【0017】
、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-(1-メチルブチル)ニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-イソブチル-N-メチルニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-(1、3-ジメチルブチル)ニコチンアミド、
N-シクロペンチル-6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-メチルニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-(3,3-ジメチルブチル)ニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-エチル-N-イソプロピルニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-(tertペンチル)ニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-(3,3,3-トリフルオロプロピル)ニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-(1,1-ジメチルブチル)ニコチンアミド、
N-シクロヘキシル-6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-エチルニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-メチル-N-(1-メチルシクロペンチル)ニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-イソプロピル-N-メチルニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-(3,3,3-トリフルオロ-2-メチルプロピル)ニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-(1-エチル-1-メチルプロピル)ニコチンアミド、
6-{5-[(シクロプロピルアミノ)カルボニル]-3-フルオロ-2-メチルフェニル}-N-エチルニコチンアミド、
N-シクロプロピル-3-フルオロ-4-メチル-5-{5-[(4-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル)ベンズアミド
N-シクロプロピル-3-{5-[(2-エチルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド、
N-シクロプロピル-3-{5-[(2-エチル-2-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド、
N-シクロプロピル-3-フルオロ-4-メチル-5-{5-[(2-プロピルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}ベンズアミド、
N-シクロプロピル-3-{5-[(2,4-ジメチルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド、
N-シクロプロピル-3-{5-[(2,3-ジメチルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド、
N-シクロプロピル-3-フルオロ-4-メチル-5-{5-[(2,2,3-トリメチルピロリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}ベンズアミド、
N-シクロプロピル-3-{5-[(3-エチルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド、
N-シクロプロピル-3-フルオロ-4-メチル-5-{5-[(2-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}ベンズアミド、
N-シクロプロピル-3-{5-[(3,3-ジメチルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}-5-フルオロ-4-メチルベンズアミド、
N-シクロプロピル-3-フルオロ-4-メチル-5-{5-[(3-メチルピペリジン-1-イル)カルボニル]ピリジン-2-イル}ベンズアミド
ではない]
を提供する。
【0018】
好ましくは、Ra-fは、H、F、ヒドロキシル、アミノ、メチルおよびメトキシルからなる群から独立に選択される。
【0019】
より好ましくは、Ra-fは、H、アミノ、Fおよびメチルからなる群から独立に選択される。
【0020】
好ましくは、Qは、
【0021】
【0022】
からなる群から選択される。
【0023】
より好ましくは、Qは、
【0024】
【0025】
からなる群から選択される。
【0026】
さらに好ましくは、Qは、
【0027】
【0028】
からなる群から選択される。
【0029】
さらに好ましくは、Qは、
【0030】
【0031】
から選択される。
【0032】
好ましくは、R1は、
【0033】
【0034】
であり、
R2およびR3は、H、C1-6アルキル、(CH2)0-3-3~7員(例えば、(CH2)0-3-5~7員)シクロアルキルおよび1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキルからなる群から独立に選択され、かつ、R2およびR3は同時に水素であることはなく;ここで、上記C1-6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、(C0-6アルキル)(C0-6アルキル)アミノ、(C0-6アルキル)チオ、(C1-6アルキル)カルボニルおよび(C1-6アルキル)スルホニルからなる群から選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;上記3~7員(例えば、5~7員)シクロアルキルもしくはヘテロシクロアルキルは1個のRmで置換され、ここで、上記Rmは、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノからなる群から選択され、上記ヘテロシクロアルキルのヘテロ原子は、O、N、およびSから選択され;または
R2およびR3は、それらに結合されている原子と一緒に、5、6もしくは7員環を形成し、
ここで、
上記5員、6員もしくは7員環は1個のRnで置換され、ここで、上記Rnは、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノから選択され;
上記5、6もしくは7員環は、R2およびR3に結合しているN原子に加え、O、N、およびSから選択される0、1もしくは2個のヘテロ原子をさらに含有する。
【0035】
より好ましくは、R1は、
【0036】
【0037】
であり、
R2およびR3は、H、C1-6アルキル、(CH2)0-3-3~7員(例えば、(CH2)0-3-5~7員)シクロアルキルからなる群から独立に選択され、かつ、R2およびR3は同時に水素であることはなく;ここで、上記C1-6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、(C0-6アルキル)(C0-6アルキル)アミノ、(C0-6アルキル)チオ、(C1-6アルキル)カルボニルおよび(C1-6アルキル)スルホニルからなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもく;上記3~7員(例えば、5~7員)シクロアルキルは1個のRmで置換され、ここで、上記Rmは、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノからなる群から選択され;または
R2およびR3は、それらに結合されている原子と一緒に、5、6もしくは7員環を形成し、
ここで、
上記5員、6員もしくは7員環は1個のRnで置換され、ここで、上記Rnは、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノから選択される。
【0038】
さらに好ましくは、R1は
【0039】
【0040】
であり、
R2およびR3の一方はHであり、他方はC1-6アルキル、(CH2)0-3-3~7員(例えば、(CH2)0-3-5~7員)シクロアルキルからなる群から選択され;ここで、上記C1-6アルキルは、ハロゲン、ヒドロキシル、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、(C0-6アルキル)(C0-6アルキル)アミノ、(C0-6アルキル)チオ、(C1-6アルキル)カルボニルおよび(C1-6アルキル)スルホニルからなる群から選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよく;3~7員(例えば、5~7員)シクロアルキルは1個のRmで置換され、ここで、上記Rmは、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、ハロゲンおよびアミノから選択される。
【0041】
好ましくは、R1は、
【0042】
【0043】
から選択される。
【0044】
【0045】
から選択される。
【0046】
好ましくは、Zは、
【0047】
【0048】
から選択される。
【0049】
より好ましくは、Zは、
【0050】
【0051】
から選択される。
【0052】
最も好ましくは、Zは、
【0053】
【0054】
である。
【0055】
好ましくは、本発明は、
【0056】
【化18-1】
【化18-2】
【化18-3】
【化18-4】
【0057】
から選択される化合物またはその互変異性体、光学異性体、および薬学上許容される塩を提供する。
【0058】
別の態様では、本発明はまた、上記のような式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩を含む医薬組成物も提供する。
【0059】
さらなる態様では、本発明はまた、p38キナーゼ活性により媒介されるまたはp38キナーゼ活性により産生されるサイトカインにより媒介される症状または疾患の予防および/または治療のための薬剤の製造における、上記のような式Iの化合物、もしくはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩、または上記のような医薬組成物の使用も提供し、上記疾患は、例えば、関節リウマチ、慢性肺閉塞、心血管疾患、痛風、乾癬、喘息、腫瘍、糖尿病、動脈硬化症、およびクローン病などの炎症性疾患から選択される。
【0060】
なおさらなる態様では、本発明がまた、式IIの化合物と式IIIの化合物を縮合させて式Iの化合物を形成すること:
【0061】
【0062】
(Q、ZおよびR1は上記のように定義され、Xは、ハロゲン、好ましくは、F、Cl、BrまたはIである)
を含む、上記のような式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩の製造方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0063】
幾何異性体が本発明の化合物に存在し得る、本発明の化合物は、E配置またはZ配置で炭素-炭素二重結合または炭素-窒素二重結合を含み得、ここで、用語「E」は、炭素-炭素または炭素-窒素二重結合の反対側のより高順位の置換基の存在を表し、用語「Z」は、炭素-炭素または炭素-窒素二重結合の同じ側のより高順位(カーン・インゴルド・プレローグ順位則により決定)の置換基の存在を表す。本発明の化合物はまた、「E」および「Z」異性体の混合物としても存在し得る。シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルの周りの置換基は、シス配置またはトランス配置と呼ばれる。
【0064】
本発明の化合物は、非対称置換された炭素原子をRまたはS配置で含み得、ここで、用語「R」および「S」は、IUPAC 1974 Recommendations for Section E, Fundamental Stereochemistry, Pure Appl. Chem.(1976)45,13-10に定義される通りである。非対称置換された炭素原子を等量のRおよびS配置で有する化合物は、それらの炭素原子におけるラセミ体である。一方の配置が他方よりも過剰である原子は、過剰、好ましくは、約85%~90%の過剰、より好ましくは約95%~99%の過剰、さらにより好ましくは約99%を超える過剰の配置に割り当てられる。従って、本発明は、ラセミ混合物、相対および絶対立体異性体ならびに相対および絶対立体異性体の混合物を包含することが意図される。
【0065】
NH、C(O)OH、OHまたはSH部分を含有する本発明の化合物は、それらにプロドラッグ形成部分が結合されていてもよい。プロドラッグ形成部分は代謝プロセスにより除去され、遊離型となったヒドロキシル、アミノまたはカルボン酸を有する化合物がin vivoで放出される。プロドラッグは、化合物の薬物動態特性、例えば、溶解度および/または疎水性、消化管での吸収、バイオアベイラビリティ、組織浸透、およびクリアランス速度を調整するために有用である。
【0066】
プロドラッグは、いくつかの特定された望ましくない物理的または生物学的特性を改善するように設計された、活性薬物の誘導体である。物理的特性は通常、溶解度(高すぎるまたは十分でない脂質溶解度または水溶解度)または安定性に関連するが、問題となる生物学的特性として、物理化学的特性に関連し得る早すぎる代謝または低いバイオアベイラビリティが含まれる。
【0067】
プロドラッグは通常、a)活性薬物のエステル、ヘミエステル、炭酸エステル、硝酸エステル、アミド、ヒドロキサム酸、カルバミン酸塩、イミン、マンニッヒ塩基、リン酸塩、リン酸エステル、およびエナミンの形成、b)薬物のアゾ、グリコシド、ペプチド、およびエーテル官能基での官能基化、c)薬物のアルデヒドアミン、ヘミアルデヒドアミン、ポリマー、塩、複合体、ホスホルアミド、アセタール、ヘミアセタール、およびケタール型の使用により調製される。例えば、参照によりその全内容が本明細書の一部として援用されるAndrejusKorolkovas’s, “Essentials of Medicinal Chemistry”, John Wiley-Interscience Publications, John Wiley and Sons, New York (1988), pp. 97-118参照。エステルは、当業者に既知の一般法により、ヒドロキシル基またはカルボキシ基のいずれかを含有する基質から調製することができる。これらの化合物の典型的な反応は、ヘテロ原子の1つを別の原子に置き換える置換である。アミドも同様に、アミノ基またはカルボキシ基を含有する基質から調製することができる。エステルはまた、アミンまたはアンモニアと反応させてアミドを形成することもできる。アミドを調製するための別法は、カルボン酸とアミンを一緒に加熱することである。
【0068】
本発明の化合物は、同位体で標識された形態または同位体が富化された形態で存在することができ、これらの化合物は、原子の原子質量または質量数が自然界に通常見られる多くの原子の原子質量または質量数とは異なる、1以上の原子を有する。同位体は放射性または非放射性同位体であり得る。水素、炭素、リン、硫黄、フッ素、塩素およびヨウ素などの原子の同位体としては、限定されるものではないが、2H、3H、13C、14C、15N、18O、32P、35S、18F、36Clおよび125Iが含まれる。これらのおよび/またはその他の原子の他の同位体を含む化合物も本発明の範囲内である。
【0069】
本明細書で使用される場合、用語「互変異性体」は、1つの原子が2つの位置の間を素早く移動することから生じる官能基異性体を表し、エノールとケトンの互変異性体など、それらは互いに相互変換してある状態で平衡に達し得、そのある状態が主要な状態である。
【0070】
本明細書で使用される場合、用語「光学異性体」は、同一の分子構造、類似の物理的および化学的特性を有するが、光学活性が異なる物質を表す。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「塩」は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、リンゴ酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩などから選択される。
【0072】
本明細書で使用される場合、用語「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有する直鎖または分岐飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどを表す。
【0073】
本明細書で使用される場合、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。
【0074】
本明細書で使用される場合、用語「C1-6アルコキシ」は、「C1-6アルキル-O-」を表し、ここで、C1-6アルキルは上記のように定義される。
【0075】
本明細書で使用される場合、用語「(C0-6アルキル)(C0-6アルキル)アミノ」は、2つ独立にC0-6アルキルで置換されたアミノを表し、C0アルキルでの置換は無置換を表す。
【0076】
本明細書で使用される場合、用語「(C0-6アルキル)チオ」は、C0-6アルキルで置換されたチオを表し、C0アルキルでの置換は無置換を表す。
【0077】
本明細書で使用される場合、用語「(C1-6アルキル)カルボニル」は、C1-6アルキルで置換されたカルボニルを表し、ここで、C1-6アルキルは上記のように定義される。
【0078】
本明細書で使用される場合、用語「(C1-6アルキル)スルホニル」は、C1-6アルキルで置換されたスルホニルを表し、ここで、C1-6アルキルは上記のように定義される。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「3~7員シクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを表す。
【0080】
本明細書で使用される場合、用語「5~7員シクロアルキル」は、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを表す。
【0081】
本明細書で使用される場合、用語「1または2個のヘテロ原子を含有する3~7員(例えば、5~7員)ヘテロシクロアルキル」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチル内の1または2個のC原子がO、NまたはSで置換されたもの、例えば、オキサシクロプロピル、アザシクロプロピル、オキサシクロブチル、アザシクロブチル、ピロリジン、テトラヒドロフリル、テトラヒドロピラニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、エポキシヘキシル、アザシクロヘプチル、テトラヒドロチオフェンまたは硫化シクロペンチルを表す。
【0082】
本明細書で使用される場合、用語「-(CH2)0-1-」はメチレンまたは結合を表し、すなわち、「-(CH2)1-」はメチレンを表し、「-(CH2)0-」は結合を表す。
【0083】
本明細書で使用される場合、用語「-(CH2)0-3-」は結合、メチレンまたは2~3連続のメチレンを表す。本明細書で使用される場合、用語「-(CH2)0-1-5~7員シクロアルキル」は、メチレンまたは結合で結合された5~7員シクロアルキルを表し、上記5~7員シクロアルキルは上記のように定義される。
【0084】
本明細書で使用される場合、用語「5~7員環」は、5、6または7環原子を含有する環を表し、上記環は、Nに加えて、環原子としての少なくとも1個のNを含有し、5、6または7員環は、O、NおよびSから選択される0、1または2個のヘテロ原子を含有し得る。5員、6員または7員環としては、限定されるものではないが、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、アザシクロヘプタンなどが含まれる。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「Q」の接続結合の意味は以下の通り:結合1はベンゼン環と接続し、結合2はR1と接続する。
【0086】
別の態様では、本発明は、本発明の化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0087】
本発明の医薬組成物は、例えば、顆粒、錠剤もしくはカプセル剤の形態で経口的に;例えば、無菌溶液懸濁液またはエマルションの形態で非経口的に(静注、皮下注射、筋肉内注射、くも膜下腔内注射もしくは注入を含む);例えば、軟膏もしくはクリームの形態で局所的に;例えば、坐剤の形態で直腸的に;または例えば、吸入薬の形態で肺に投与することができる。上述の組成物は、一般に、従来の医薬賦形剤を用いて従来の手順により製造することができる。
【0088】
さらなる態様では、本発明は、p38キナーゼ活性により媒介されるまたはp38キナーゼ活性により産生されるサイトカインにより媒介される症状または疾患の予防および/または治療のための薬剤の製造における、本発明の化合物、もしくは互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩、またはその医薬組成物の使用を提供し、上記疾患は、例えば、関節リウマチ、慢性肺閉塞、心血管疾患および痛風、乾癬、喘息、腫瘍、糖尿病、動脈硬化症、およびクローン病などの炎症性疾患から選択される。
【0089】
なおさらなる態様では、本発明はまた、式IIの化合物と式IIIの化合物を縮合させて式Iの化合物を形成すること
【0090】
【0091】
(Q、ZおよびRは請求項1のように定義され、Xはハロゲン、好ましくは、F、Cl、BrまたはIである)
を含む、式Iの化合物、またはその互変異性体、光学異性体および薬学上許容される塩の製造方法も提供する。
【0092】
好ましくは、縮合反応の溶媒はイソプロピルアルコールである。
【0093】
好ましくは、縮合反応において、式IIの化合物と式IIIの化合物のモル比は、0.8~1.2:1、好ましくは、1:1である。
【0094】
好ましくは、縮合反応は塩基性条件下で行われ、塩基は好ましくは重炭酸ナトリウムである。
【0095】
好ましくは、縮合反応は触媒条件下で行われ、触媒は好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。
【0096】
好ましくは、縮合反応の温度は80~100℃である。
【0097】
本発明の化合物は良好な生物活性、高いバイオアベイラビリティおよび良好な安全性を有する。これらの効果は、以下の実験により確認することができる。
【0098】
I.in vitro細胞実験
実験材料:
細胞:ヒト単球性白血病THP-1細胞(中国科学院上海セルバンクから入手)。
リポ多糖:大腸菌(Escherichia coli)O55:B5、L2880(Sigma社)。
キット:ヒトTNF-α Elisa MAX Deluxe Set、430206(Biolegend社)
【0099】
実験方法:
ヒト単球性白血病THP-1細胞を96ウェルプレートに5*105/ウェルの密度で播種し、一晩、接着培養し、培養培地で希釈した種々の濃度の化合物を加え、2時間インキュベートした後、LPS(10μg/ml)を加えて2時間刺激し、遠心分離後、上清を取り出し、ヒトTNF-α Elisa MAX Deluxe Setを用いてTNF-α濃度を調べ、上記化合物のIC50値を得た。
【0100】
本発明の化合物の活性を調べたところ、それらの結果は、本発明の化合物はTNF-αに対して強い阻害効果を有していたことを示し、IC50値は、0.5μM未満、好ましくは0.1μM未満、より好ましくは20nM未満、いっそうより好ましくは10nM未満、最も好ましくは5nM未満であった。
【0101】
【0102】
II.p38キナーゼ活性のアッセイ
実験方法:40nM p38αを、20mM HEPES(4-ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸)、5mM MgCl2および1mM DTT(ジチオトレイトール)pH7.4を含む反応バッファーに加えた。40μMのリン酸化ペプチド基質、次いで、種々の濃度の薬物および100μM ATP(アデノシン三リン酸)を加え、暗所で90分間反応させた。それぞれ544nMおよび590nMの励起波長および発光波長で蛍光値を決定した。これらの蛍光値に従って化合物のIC50値を得た。
【0103】
本発明の化合物の活性を調べたところ、それらの結果は、本発明の化合物はp38キナーゼに対して強い阻害効果を有していたことを示し、IC50値は、0.5μM未満、好ましくは0.1μM未満、より好ましくは20nM未満、さらにより好ましくは10nM未満、最も好ましくは5nM未満であった。
【0104】
【0105】
III.CYP450酵素阻害試験
実験方法:4-ヒドロキシジクロフェナク(CYP450および2C9酵素の基質)および種々の用量の化合物をヒト肝臓ミクロソーム(Xenotech、LLC)、次いで、NADPH(還元型補酵素II、Chem-impex international、Inc.社)を加え、混合した後、37℃の水浴中でインキュベートし、終了時点で停止溶液(アセトニトリルに溶解させた200ng/mLトルブタミドおよび200ng/mLラベタロール)を加えて反応を停止させ、メタノールまたはエタノールを用いてタンパク質を沈降させ、基質の代謝産物の濃度を、LC-MS/MSを用いて決定し、CYP450および2C9酵素に帯する化合物のIC50値を得た。
【0106】
CYP450酵素に対する本発明の化合物の阻害効果を調べたところ、それらの結果は、本発明の化合物はCYP450、2C9酵素に対して低い阻害効果を有していたことを示し、従って、本発明の化合物はより高い安全性を有する。
【0107】
【0108】
IV.薬物動態学実験
実験方法:SDラットに本化合物を経口投与し、血液サンプルをラットの眼窩から投与後の種々の時間間隔で採取した(0.25、0.5、1、2、4、6、8、24、48時間)。採取した全血をEDTA(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム)により抗凝固処理し(was anticoagulant by)、3000gのサンプルを遠心分離し(3000 g of samples were centrifugated)、ラットの血漿サンプルを得、メタノールまたはエタノールを用いてタンパク質を沈降させ、上記ラット血漿サンプルの薬物濃度を決定し、薬物濃度-時間曲線をプロットして薬物動態パラメーターを計算した。投与後のラットの薬物動態挙動をノンコンパートメントモデル統計モーメントパラメーターにより記述した。
【0109】
これらの薬物動態実験を化合物に対して行った。実験結果は、これらの化合物が高いバイオアベイラビリティを有していたことを示した。
【0110】
【実施例】
【0111】
本発明の化合物の例示的製造方法を以下の実施例に示す。原料は文献の手順に従って作製されるか、または市販され、J&K Chemical Ltd.社、Inno ChemLLC.社、Aladdin Regent Company、Alfa Aesar社およびAccela ChemBio(Shang Hai) Co. Ltd社から購入される。
【0112】
これらの実験では以下の略号が使用され、下記の意味を有する:
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
Pd(dppf)Cl2 1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウムジクロリド
Pd(PPh3)4 テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
【0113】
製造例
(1)化合物IIは以下のスキームに従って製造した:
スキーム1:
【0114】
【0115】
工程(1):
N-シクロプロピル-3-フルオロ-5-ヨード-4-メチルベンズアミド(化合物II-b)の製造
3-フルオロ-5-ヨード-4-メエチル安息香酸(化合物II-a、36mmol)および塩化チオニル(50mL)を反応フラスコに加え、80℃で6時間、加熱還流した。余分な塩化チオニルを減圧下で蒸発させて淡黄色オイルを得、そこにジクロロメタン(30mL)を加え、得られた生成物を次の反応に使用した。
【0116】
反応フラスコ内でシクロプロパンアミン(38.6mmol)をジクロロメタン(50mL)に溶かし、炭酸ナトリウム(71.7mmol)を加え、上記ジクロロメタン中の塩化アシルを0~5℃で滴下した。添加の完了後、室温で1時間、反応を行った。反応の完了後、相分分離のために水(50mL)を加えて撹拌した。有機相を5%塩酸(50mL)および飽和炭酸ナトリウム溶液(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濾過および濃縮し、白色固体(11.25g、収率:98.0%)を得、これは化合物II-bである。
【0117】
工程(2):N-シクロプロピル-5-フルオロ-4-メチル-3-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド(化合物II-1)の製造
反応フラスコ内で化合物II-b(35.1mmol)、ビス(ピナコラト)二ホウ素(52.9mmol)、酢酸カリウム(176.4mmol)およびPd(dppf)Cl2(0.36mmol)を無水DMF(100ml)に加え、80℃、撹拌下で12時間反応させた。反応の完了後、濾過を行い、この濾液に水(100mL)を加え、次いで、酢酸エチル(50mL)を加えて3回抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ、減圧下で濃縮乾固した。残渣をシクロヘキサンで再結晶させ、白色固体(6.2g、収率:55.4%)を得、これは化合物II-1である。
【0118】
スキーム2:
【0119】
【0120】
工程1:
3-フルオロ-4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)安息香酸(化合物II-c)の製造
化合物II-a(14.0g、50.0mmol)およびビス(ピナコラト)二ホウ素(19.0g、75.0mmol)を300mL DMFに懸濁させ、酢酸カリウム(14.7g、150mmol)およびPd(dppf)Cl2(3.65g、5.0mmol)をそれぞれ加え、100℃で18時間反応させた。反応の完了後、得られた物質を室温まで冷却し、濾過し、それに500mLの水を加え、酢酸エチル(300mL×3)を加えて抽出した。有機相を合わせ、1N希塩酸(200mL×2)で洗浄し、減圧下で濃縮乾固した。残渣を100mLイソプロピルエーテルで再結晶させ、白色固体(9.87g、収率:70.5%)を得、これは化合物II-cである。
【0121】
工程2:
N-(1-ベンジルアゼチジン-3-イル)-3-フルオロ-4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド(化合物II-e)の製造
化合物II-c(2.80g、10.0mmol)、1-3(ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.11g、11.0mmol)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.49g、11.0mmol)を100mLジクロロメタンに懸濁させ、室温で30分間撹拌した。それに化合物II-d(1.78g、11.0mmol)を加え、反応を室温で8時間継続した。反応の完了後、相分離のために100mL 1N希塩酸を加えた。有機相を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1から1:1へ)により精製し、白色固体(4.02g、収率:94.8%)を得、これは化合物II-eである。
【0122】
工程3:
N-(アゼチジン-3-イル)-3-フルオロ-4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド(化合物II-2)の製造
化合物II-e(3.99g、9.4mmol)および10%Pd/C(0.40g)を100mLメタノールに懸濁させ、室温、常圧下で5時間水素化し、濾過した。有機相 を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1から1:1へ)により精製し、白色固体(2.30g、収率:73.2%)を得、これは化合物II-2である。
【0123】
スキーム3:
【0124】
【0125】
工程1:
3-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド(化合物II-3)の製造
化合物II-c(2.80g、10.0mmol)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.11g、11.0mmol)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.49g、11.0mmol)を100mLジクロロメタンに懸濁させ、室温で30分間撹拌した。エタノールアミン(0.67g、11.0mmol)を加え、反応を室温で8時間継続した。反応の完了後、相分離のために100mL 1N希塩酸を加えた。有機相を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1から1:1へ)により精製し、白色固体(2.89g、収率:89.5%)を得、これは化合物II-3である。
【0126】
スキーム4:
【0127】
【0128】
工程1:
N-アリル-3-フルオロ-4-メチル-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンズアミド(化合物II-4)の製造
化合物II-c(2.80g、10.0mmol)、1-3(ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(2.11g、11.0mmol)および1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.49g、11.0mmol)を100mLジクロロメタンに懸濁させ、室温で30分間撹拌した。アリルアミン(0.63g、11.0mmol)を加え、反応を室温で8時間継続した。反応の完了後、相分離のために100mL 1N希塩酸を加えた。有機相を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1から1:1へ)により精製し、白色固体(2.17g、収率:67.9%)を得、これは化合物II-4である。
【0129】
(2)化合物III:化合物III(すなわち、化合物III-1~III-81)の製造は、下記の方法1~方法6に従った。
【0130】
【0131】
方法1:R1は
【0132】
【0133】
である。
【0134】
【0135】
化合物IIIおよび化合物III-aは同じ化合物を表し、R1、QおよびXの定義ならびに使用した原料AおよびGは下表に示した。
【0136】
【0137】
製造方法:
化合物A(例えば6.3mmol)を塩化チオニル(例えば5mL)に加え、6時間還流させた。余分な塩化チオニルを減圧下で蒸発させて化合物Bを得、その化合物Bに、塩化チオニル(例えば30mL)を加え、得られた生成物を次の反応に使用した。
【0138】
化合物G(例えば6.8mmol)をジクロロメタン(例えば30mL)に溶かし、上記ジクロロメタン中の化合物Bを0~5℃で滴下した。滴下の完了後、反応を室温で1時間行った。反応の完了後、有機相を5%塩酸(例えば50mL)および5%水酸化ナトリウム溶液(例えば50mL)で洗浄し、乾燥させた後、濃縮し、化合物IIIを得、収率は>90%であった。
【0139】
方法2:R1は
【0140】
【0141】
である。
【0142】
【0143】
R1、QおよびXの定義ならびに使用した原料Gは下表に示した。
【0144】
【0145】
製造方法:
化合物C(例えば4.6mmol)およびトリホスゲン(例えば4.6mmol)をテトラヒドロフラン(例えば30mL)に加え、4時間加熱還流し、室温まで冷却した。相分離のために5%水酸化ナトリウム溶液(例えば50mL)および酢酸エチル(例えば30mL)を加えた。有機相を乾燥させ、減圧下で濃縮して化合物Dを得た。
【0146】
化合物D(例えば4.1mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(例えば0.41mmol)および化合物G(例えば6.2mmol)をDMF(例えば30mL)に溶かし、室温で6時間反応させた。相分離のために水(例えば50mL)および酢酸エチル(例えば30mL)を加えた。有機相を乾燥させ、濃縮して化合物IIIを得た(収率は約80%であった)。
【0147】
方法3:R1は
【0148】
【0149】
であり、R4は-CONH-R6である。
【0150】
【0151】
R1、QおよびXの定義および使用した原料Gは下表に示した。
【0152】
【0153】
製造方法:
化合物E(例えば4.3mmol)を酢酸エチル(例えば30mL)、水(例えば30mL)および水酸化ナトリウム(例えば4.8mmol)に加え、得られた生成物を次の反応に使用した。
【0154】
クロロギ酸2,2,2-トリクロロエチル(例えば4.7mmol)を上記溶液に0~5℃で滴下した。滴下の完了後、反応を室温で1時間行った。有機相を分離し、乾燥させ、減圧下で濃縮して化合物Fを得、収率は>95%であった。
【0155】
化合物F(例えば3.0mmol)、化合物M(例えば6.0mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(例えば6.0mmol)をジメチルスルホキシド(例えば30mL)に溶かし、80℃で10時間反応させた。相分離のために水(例えば50mL)および酢酸エチル(例えば50mL)を加え、有機相を乾燥させ、減圧下で濃縮して化合物IIIを得た。
【0156】
方法4:R1はH2N-R7であり、R7はC1-6アルキルまたは5~7員シクロアルキルである。
【0157】
【0158】
R1、XおよびQの定義ならびに使用した原料Wは下表に示した。
【0159】
【0160】
製造方法:
化合物H(例えば3.0mmol)、化合物W(例えば6.0mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(例えば6.0mmol)をジメチルスルホキシド(例えば30mL)に加え、80℃で10時間反応させた。相分離のために水(例えば50mL)および酢酸エチル(例えば50ml)を加えた。有機相を乾燥させ、減圧下で濃縮して化合物IIIを得た。
【0161】
方法5:化合物III-47の製造
【0162】
【0163】
製造方法:
シクロヘキサンカルボン酸(9.3mmol)を塩化チオニル(5mL)に懸濁させ、80℃で6時間還流させた。余分な塩化チオニルを減圧下で蒸発させて淡黄色固体を得、そこにジクロロメタン(30mL)を加え、得られた生成物を次の反応に使用した。
【0164】
2-フルオロ-4-ヨードアニリン(8.4mmol)をジクロロメタン(30mL)に溶かし、上記ジクロロメタン中の塩化アシルを0~5℃で滴下した。滴下の完了後、反応を室温で1時間行った。反応の完了後、有機相を5%塩酸(50mL)および5%水酸化ナトリウム溶液(50mL)で洗浄し、乾燥させた後、濃縮して淡黄色固体(2.9g、収率:99.5%)を得、これは化合物III-47である。
【0165】
方法6:化合物III-48の製造
【0166】
【0167】
製造方法:
N-(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)シクロヘキシルホルムアミド(5.0mmol)および水素化ホウ素ナトリウム(15.0mmol)をテトラヒドロフラン(30mL)に懸濁させ、三フッ化ホウ素ジエチルエーテレート溶液(20.0mmol)を0~5℃で滴下した。滴下の完了後、反応を室温で1時間行った後、温度を40~50℃に上げ、この温度で2~3時間反応させた。水および塩酸をゆっくり加え、pHを2~3に調整し、30分間撹拌した。相分離のために酢酸エチル(50mL)を加えた。有機相を乾燥させ、減圧下で濃縮し、淡黄色固体(1.3g、収率は78.0%であった)を得、これは化合物III-48である。
【0168】
実施例1~56:化合物I-1~I-56の製造
合成経路:
【0169】
【0170】
ここで、R1、QおよびXの定義は下表に示した。
【0171】
製造方法:
化合物III(例えば1.5mmol)および化合物II(例えば1.5mmol)をイソプロピルアルコール(例えば30mL)中に加え、1M重炭酸ナトリウム水溶液(例えば1.9mL)およびPd(PPh3)4(例えば0.016mmol)を加え、90℃で10時間還流させた。反応の完了後、反応溶液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1~1:1)により精製して目的化合物を得た。
【0172】
【0173】
本発明による上記化合物の物理的特徴の結果を下表に示す。
【0174】
【0175】
実施例57~81:化合物I-57~I-81の製造
合成経路:
【0176】
【0177】
ここで、R1、Z、QおよびXの定義は下表に示した。
【0178】
製造方法:
化合物III(例えば1.5mmol)および化合物II(例えば1.5mmol)をイソプロピルアルコール(例えば30mL)中に加え、1M重炭酸ナトリウム水溶液(例えば1.9mL)およびPd(PPh3)4(例えば0.016mmol)を加え、90℃で10時間還流させた。反応の完了後、反応溶液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1~1:1)により精製して目的化合物を得た。
【0179】
【0180】
本発明による上記化合物の物理的特徴の結果を下表に示す。
【0181】
【0182】
比較例
6-(5-(シクロプロピルカルバモイル)-3-フルオロ-2-メチルフェニル)-N-ネオペンチルニコチンアミドの製造
【0183】
【0184】
化合物III-72(0.34g、1.5mmol)および化合物II(0.479g、1.5mmol)をイソプロピルアルコール(30mL)中に加え、1M重炭酸ナトリウム水溶液(1.9mL)およびPd(PPh3)4(19mg、0.016mmol)を加え、90℃で10時間還流させた。反応の完了後、反応溶液を減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル=5:1)により精製し、目的化合物を白色固体として得た(115mg、20%)。
【0185】
LC-MS (m/z): 384.2[M+H]+
1HNMR(600MHz, DMSO-d6) δ: 0.582-0.587(m, 2H), 0.683-0.715(m, 2H), 0.933(s, 9H), 2.258(d, 3H), 2.822-2.905(m, 1H), 3.164(d, 2H), 7.733-7.681(m, 2H), 7.762(s, 1H), 8.335(dd, 1H), 8.566(d, 1H), 8.632(t, 1H), 9.113(d, 1H)。