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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】外装材、及び外壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/12 20060101AFI20220222BHJP
   E04D 3/30 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
E04F13/12 101B
E04D3/30 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019014768
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2020070707
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2018201345
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000207436
【氏名又は名称】日鉄鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】分部 孝彦
(72)【発明者】
【氏名】蒲原 拓也
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-078248(JP,A)
【文献】実開平05-038165(JP,U)
【文献】実公平06-028591(JP,Y2)
【文献】特開平02-176053(JP,A)
【文献】特開2014-177830(JP,A)
【文献】特開昭63-181853(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/08-13/18
E04D 3/00- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けるための外装材であって、
第1端と、第2端と、接続部と、凹溝と、を備え、
前記第1端は、一方向に沿う前記外装材の両端のうちの一方にあり、
前記第2端は、前記一方向に沿う前記外装材の両端のうちの他方にあり、
前記接続部は、その一端が前記第1端にあり、
前記凹溝は、前記第2端に沿った位置にあり、前記建物の屋内側に向かって傾斜するようにして形成された傾斜片を有し、
前記傾斜片は、第1傾斜片と、第2傾斜片と、浅溝とを備え、
前記第1傾斜片は、前記第2傾斜片よりも前記一方向において前記第1端側にあり、
前記浅溝は、前記凹溝の底面側で前記第1端に向かって凹み、
前記浅溝と前記第1傾斜片とが繋がる部分は、前記浅溝と前記第2傾斜片とが繋がる部分よりも前記一方向において前記第1端側にあり、
前記接続部は、前記浅溝に接続するための先端部を有する、
外装材。
【請求項2】
前記凹溝は、その開口端を構成する第1辺と、第2辺とを有し、
前記第1辺は、前記一方向の前記第1端側にあり、
前記第2辺は、前記一方向の前記第2端側にあり、
前記第2辺は、前記第1辺に対して前記底面とは反対側にある、
請求項1に記載の外装材。
【請求項3】
前記第2辺と前記底面との間の寸法と、前記凹溝の深さと、が同じである態様、あるいは前記第2辺と前記底面との間の寸法が前記凹溝の深さよりも大きい態様のいずれかを含む、
請求項2に記載の外装材。
【請求項4】
前記傾斜片は前記第1辺から前記建物の屋内側に向かって傾斜するようにして形成されている、
請求項2又は3に記載の外装材。
【請求項5】
前記先端部は、傾斜片と、湾曲片と、折り返し片とを備え、
前記先端部の前記傾斜片と前記折り返し片とは、前記第1端に近づく部分ほど離れており、前記先端部の前記傾斜片と前記折り返し片とを、前記先端部の前記第1端側で、前記湾曲片が接続している、
請求項1~4のいずれか1項に記載の外装材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の外装材が複数設けられ、
前記複数の外装材のうち、一方の外装材の前記浅溝に、他方の外装材の前記先端部が接続している、
外壁構造。
【請求項7】
前記接続部は、前記建物の屋外側に向かって傾斜するように形成された側片を更に備え、
前記側片は、前記接続部の第2端側にあり、
前記凹溝は、その開口端のうちの前記第2端側にある接触辺と、受け片と、を更に備え、
前記受け片は、前記接触辺から屋内側に向かって傾斜しており、
前記側片と前記受け片とが接触している、
請求項6に記載の外壁構造。
【請求項8】
前記湾曲片と前記折り返し片とからなる部分のうちの少なくとも一部が前記接続部の前記先端部の傾斜片の弾性で前記浅溝に押し当てられ、前記先端部と前記浅溝とが接続される、
請求項6又は7に記載の外壁構造。
【請求項9】
前記一方の外装材が有する前記凹溝と、前記他方の外装材が有する前記接続部との間にある少なくとも2つの内部樋を備える、
請求項6~8のいずれか1項に記載の外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外装材、及び外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、板材に折り曲げ加工が施された外装材が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、すくいと、かぶせと、を備える金属板製外装材(外装材)が開示されている。そして、この外装材を複数用いて外装構造を形成する際、一方の外装材が有するかぶせを、他方の外装材が有するすくいに面接触させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3169303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の金属板製外装材は、かぶせを位置決めするための部位を有していない。このため、外装構造を形成する際、金属板製外装材を位置決めしにくい傾向がある。
【0006】
本発明の目的は、建物に複数の外装材を設ける際、各外装材の位置決めを容易にできる外装材、及び外壁構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様は、建物に設けるための外装材であって、第1端と、第2端と、接続部と、凹溝と、を備え、前記第1端は、一方向に沿う前記外装材の両端のうちの一方にあり、前記第2端は、前記一方向に沿う前記外装材の両端のうちの他方にあり、前記接続部は、その一端が前記第1端にあり、前記凹溝は、前記第2端に沿った位置にあり、前記建物の屋内側に向かって傾斜するようにして形成された傾斜片を有し、前記傾斜片は、第1傾斜片と、第2傾斜片と、浅溝とを備え、前記第1傾斜片は、前記第2傾斜片よりも前記一方向において前記第1端側にあり、前記浅溝は、前記凹溝の底面側で前記第1端に向かって凹み、前記浅溝と前記第1傾斜片とが繋がる部分は、前記浅溝と前記第2傾斜片とが繋がる部分よりも前記一方向において前記第1端側にあり、前記接続部は、前記浅溝に接続するための先端部を有する。
【0009】
本発明に係る一態様は、外壁構造であって、前記外装材が複数設けられ、前記複数の外装材のうち、一方の外装材の前記浅溝に、他方の外装材の前記先端部が接続している。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、建物に複数の外装材を設ける際、接続部が浅溝に接続することで、各外装材の位置決めを容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係る外装材の一例を示す斜視図である。
図2図2は、図1のA-A線に沿う断面図である。
図3図3Aは、上記実施形態に係る接続部の第1例を示す拡大断面図である。図3Bは、上記実施形態に係る接続部の第2例を示す拡大断面図である。図3Cは、上記実施形態に係る接続部の第3例を示す拡大断面図である。
図4図4Aは、上記実施形態に係る凹溝の第1例を示す拡大断面図である。図4Bは、上記実施形態に係る凹溝の第2例を示す拡大断面図である。
図5図5A図5Dは、図3Aの接続部と図4Aの凹溝とを備える外装材の施工方法を示す第1例の説明図である。また、図5Dは、上記実施形態に係る外壁構造の第1例を示す説明図でもある。
図6図6A図6Cは、図3Bの接続部と図4Bの凹溝とを備える外装材の施工方法を示す第2例の説明図である。また、図6Cは、上記実施形態に係る外壁構造の第2例を示す説明図でもある。
図7図7は、図3Cの接続部と図4Aの凹溝とを備える外装材の施工方法を示す第3例の説明図である。また、図7は、上記実施形態に係る外壁構造の第3例を示す説明図でもある。
図8図8は、上記実施形態に係る外壁構造の概念図である。
図9図9Aは、上記実施形態に係る接続部の第4例を示す拡大断面図である。図9Bは、上記実施形態に係る凹溝の第3例を示す拡大断面図である。
図10図10A図10Cは、図9Aの接続部と図9Bの凹溝とを備える外装材の施工方法を示す第4例の説明図である。また、図10Cは、上記実施形態に係る外壁構造の第4例を示す説明図でもある。
図11図11Aは、上記実施形態に係る外壁構造において外装材を縦継ぎ4枚重ねした部分の断面図である。図11Bは、外装材を縦継ぎ4枚重ねした態様の一例の説明図である。
図12図12は、図9Aの接続部と図9Bの凹溝とを備える外装材を複数積み重ねた輸送物の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を説明する。
【0013】
[第1実施形態]
<外装材>
まず、第1実施形態に係る外装材1を、図1図3A、及び図4Aを参照して説明する。
【0014】
外装材1は、建物8に設けるための外装材である。外装材1は、接続部201と、凹溝2と、第1端T1と、第2端T2と、を備える。第1端T1は、一方向(凹溝2の長さ方向と直交する方向)Xに沿う外装材1の両端のうちの一方にある(図1では、左側の端部)。第2端T2は、一方向Xに沿う外装材1の両端のうちの他方にある(図1では右側の端部)。接続部201は、その一端が第1端T1にある。凹溝2は、第2端T2に沿った位置にある。凹溝2は、その底面側で第1端T1に向かって凹んでいる浅溝231を有する。接続部201は、浅溝231に接続するための先端部212を有する。
【0015】
外装材1では、接続部201が先端部212を有し、かつ凹溝2が浅溝231を有することで、建物8に複数の外装材1を設ける際、先端部212が浅溝231に接続する。これにより、各外装材1を位置決めしやすくすると共に、母屋等の下地材に不陸が生じても下地材に外装材1を追随させて固定することができる。また、凹溝2が浅溝231を有していても、複数の外装材1を重ねて輸送することができる。このため、外装材1の輸送コストを抑えることができる。
【0016】
図1に示すように、外装材1は1枚の板材(例えば、平面視で矩形状の板材)から形成されている。板材の例は、金属板、及びプラスチック板を含む。外装材1が金属板から形成される場合は、金属板は、例えば、厚みが0.27mm以上である。また、金属板の例は、鋼板、亜鉛等を含有するめっき鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、及び塗装鋼板を含む。外装材1は、例えば、1枚の金属板をロール成形等の折り曲げ加工することにより任意の形状に形成されている。例えば、一方向Xにおいて、接続部201と凹溝2との間の形状が平らであってもよく、凹溝2とは別の凹溝(後述の凹溝21)が接続部201と凹溝2との間に複数形成されていてもよい。
【0017】
外装材1は、図2のように、働き幅Wを有する。働き幅Wの方向は、一方向Xと平行である。働き幅Wの寸法(図2の横方向の寸法)は、任意に形成されるが、例えば、500mm~800mmである。また、外装材1は、建物8のサイズ、及び外装材1の設置位置等の各種用途に応じた任意の長さに加工できる。このため、施工現場で使用される外装材1の長さLは長尺でも短尺でもあってもよい。外装材1が凹溝2とは別の凹溝を備える場合、例えば、幅が914mmの金属板を折り曲げ加工することにより、働き幅Wが600mm~800mmの外装材1が形成される。
【0018】
凹溝2は、一方向Xと直交する方向(例えば、建物8の上下方向Z)に沿う長尺の谷部である。このため、凹溝2は、屋外側に開口するようにして形成されている。凹溝2の長さは、図1のように、長さLと同じである。
【0019】
また、図4Aのように、凹溝2は、その開口端を構成する第1辺24と、第2辺(接触辺)25とを有する。凹溝2は、底片236を更に備える。底片236は、凹溝2の底を構成し、浅溝231と、後述の側片233とに接続する。第1辺24は、一方向Xにおいて、凹溝2の開口端のうちの第1端T1側にある。第2辺25は、一方向Xにおいて、凹溝2の開口端のうちの第2端T2側にあり、凹溝2の上に接続部201を重ねた状態で、第2辺25よりも屋外側にある外装材1の裏面に接触する。また、凹溝2は、深さHを有する。深さHは、底片236と第1辺24との間の寸法である。深さHは、例えば、10mm以上50mm以下である。凹溝2は、幅W2を有する(図2参照)。幅W2の方向は、一方向Xと平行である。幅W2は、任意に設定できるが、例えば70mmである。
【0020】
また、浅溝231は、底片236の屋外側にあり、一方向Xにおいて第1端T1に向かって凹んでいる。このような浅溝231は、側片211を受け片234に押し当てる際に、先端部212と浅溝231とが接続する部分を軸にして、少なくとも接続部201を扇状の軌道で屋内側に動かすことを可能にする(図5B、及び図5C参照)。また、浅溝231は、底片236と、後述の傾斜片232とに接続し、長さを有する。浅溝231の長さ方向は、一方向Xと直交する。浅溝231の長さは、外装材1の長さLと同じである。また、浅溝231は、幅W8と、深さH1とを有する。幅W8の方向は、一方向Xと直交し、深さH1の方向は、一方向Xと平行である。幅W8は、2mm以上7mm以下であることが好ましい。深さH1は、0mmよりも大きく3mm以下であることが好ましい。本実施形態の一例では、幅W8は5mmであり、深さH1は2mmである。
【0021】
本実施形態において、「凹溝2の底面側」とは、浅溝231の幅W8を二等分する中点が、深さHを二等分する中点から屋内側にあると共に、底片236から屋外側にあることを意味する。
【0022】
本実施形態では、凹溝2は、傾斜片232と、側片233と、受け片234と、を更に備える。傾斜片232は、浅溝231と第1辺24との間に介在し、第1辺24から建物8の屋内側に向かって傾斜するようにして形成されている。側片233は、底片236から屋外側の第2端T2に向かって傾斜している。受け片234は、側片233と第2辺25とに接続し、側片233から屋内側へ向かって傾斜している。具体的には、受け片234は、側片233と第2辺25との間に介在し、側片233の先端から第2端T2に向かって傾斜している。このような凹溝2において、第2辺25は、第1辺24に対して底面(底片236)とは反対側にあることが好ましい。この好ましい態様は、第2辺25と底片236との間の寸法H2と、深さHと、が同じである態様と、寸法H2が深さHよりも大きい態様とを含む。好ましい態様では、凹溝2の上に接続部201を重ねた状態で、受け片234は、屋内側に後退しながら、側片233の弾性により接続部201の裏面に確実に接触できる。これにより、凹溝2と接続部201との間に雨水等の水滴が侵入しても、受け片234と接続部201との接触部分は止水性を得やすくなる。また、寸法H2が深さHよりも大きい場合、第2辺25は、第1辺24よりも屋外側となるようにして配置されている。寸法H2は、具体的に限定されないが、例えば、15mmである。
【0023】
また、外装材1は、天板片235を更に備える。天板片235は、第2辺25と第2端T2との間に介在している。
【0024】
本実施形態に係る外装材1において、接続部201は、一方向Xと直交する方向に沿う長尺の部位である。接続部201の長さは、図1のように、長さLと同じである。接続部201は、図3Aのように、連結片216と、側片211と、を更に備える。側片211は、一方向Xにおいて接続部201の第2端T2側にある。側片211は、連結片216から屋外側に向かって傾斜するようにして形成されている。側片211は、その両端に、それぞれ屋外側端部221と屋内側端部222とを有する。連結片216は、先端部212と屋内側端部222との間に介在している。側片211の形状は、例えば、平板状である。
【0025】
図3Aのように、先端部212は、傾斜片213と、押し当て片214と、折り返し片215と、屋内側端部217とを備える。傾斜片213は、一方向Xにおいて先端部212の第2端T2側にあり、屋内側に向かって傾斜するようにして形成されている。言い換えると、傾斜片213は、連結片216の先端(第1端側端部)から屋外側に向かって傾斜している。屋内側端部217は押し当て片214と折り返し片215とに接続する部位である。そして、屋内側端部217と押し当て片214とからなる部分のうち、先端部212の先端となる位置に第1端T1がある。押し当て片214は、傾斜片213の先端(第1端側端部)と屋内側端部217との間に介在し、傾斜片213の先端から屋内側に向かって傾斜している。折り返し片215は、その先端が第2端T2側に向くようにして屋内側端部217で折り返している。
【0026】
本実施形態に係る外装材1において、屋内側端部217は、凹溝2の深さ方向と平行な方向Yにおいて、側片211が有する屋内側端部222よりも屋内側となるようにして配置されている。これにより、外装材1の施工時に、押し当て片214と屋内側端部217とを浅溝231に押し当てて接続することができる。連結片216が一方向Xに沿う平板状ある場合、屋内側端部217は、連結片216よりも屋内側となるようにして配置されている。また、本実施形態の一例では、折り返し片215の先端は、図3Aのように傾斜片213の裏面に接触しているが、傾斜片213の裏面から離間していてもよい。
【0027】
先端部212が傾斜片213と押し当て片214とを備えることで、先端部212は、へ字状の断面を有することができる。これにより、凹溝2の上に接続部201を重ねた状態で、先端部212と凹溝2との間に内部樋(後述の内部樋4)を形成することができる。凹溝2に接続部201を重ねた状態で、屋内側端部217が浅溝231に押し付けて当接することで、雨水等の侵入を防止することができる。また、雨水等が毛細管現象により凹溝2及び接続部201の間に侵入しても、雨水等を内部樋により外部に排水できる。
【0028】
外装材1は、図1のように、一方向Xにおいて、接続部201と凹溝2との間にある複数の凹溝21、及び複数の表面構造部3を更に備えてもよい。外装材1が凹溝21を備える場合、凹溝2は第1凹溝であり、凹溝21は第2凹溝である。
【0029】
各第2凹溝21は、隣り合う表面構造部3、3の間に介在し、表面構造部3、3を連結している。第2凹溝21は、一方向Xと直交する方向に沿う長尺の谷部である。このため、第2凹溝21は、屋外側に開口するようにして形成されている。第2凹溝21の長さは、図1のように、長さLと同じである。
【0030】
また、第2凹溝21は、図2のように、幅W5を有する。幅W5の方向は、一方向Xと平行である。第2凹溝21の数及び幅W5は、外装材1の働き幅Wに応じて任意に選択されるが、例えば、第2凹溝21の数は5つであり(図1参照)、幅W5は70mmである。また、第2凹溝21は、図2のように、深さHを有する。深さHは、第2凹溝21の底面と開口端との間の寸法である。深さHは、例えば、12.7mmである。
【0031】
表面構造部3は、外装材1に外観形状を付与する部位である。表面構造部3は、例えば、平板状であってもよく、あるいは任意の凹凸構造を有してもよい。表面構造部3が凹凸構造を有する場合、この凹凸構造における高低差は、深さHよりも小さいことが好ましい。図1及び図2に示される例では、表面構造部3は平板状である。
【0032】
表面構造部3は、図2のように、第1表面構造部301と、第2表面構造部302と、複数の第3表面構造部303と、を備える。第1表面構造部301は、外装材1の第1端T1側にあり、接続部201と第2凹溝21とを連結している。第2表面構造部302は、外装材1の第2端T2側にあり、第1凹溝2と第2凹溝21とを連結している。第3表面構造部303は、一方向Xにおいて、第1表面構造部301と、第2表面構造部302との間にある。各第3表面構造部303は、隣り合う第2凹溝21、21を連結している。第1~第3表面構造部301、302、303は、それぞれ、一方向Xに沿う、幅W4、W6、W7を有する。幅W4、W6、W7は、外装材1の働き幅Wに応じて任意に選択される。
【0033】
本実施形態に係る外装材1は、建物8の屋根及び外壁等に利用可能である。外装材1は、好ましくは、外壁に利用される。外壁に利用される場合、外装材1は、好ましくは、外壁材である。
【0034】
<外装材の施工方法>
次に、本実施形態に係る外装材の施工方法を図5A図5Dを参照して説明する。
【0035】
本実施形態に係る施工方法は、外装材1を施工するための方法である。このため、本施工方法は、外装材1の説明を参照できる。
【0036】
本実施形態に係る施工方法は、準備工程と、設置工程とを含む。
【0037】
準備工程は、外装材1等を用意する工程である。準備工程では、建物8のサイズや施工現場での作業性等から外装材1の長さLが設定される。この場合、外装材1は任意の長さに切断されてもよい。
【0038】
設置工程は、母屋等の下地材7に複数の外装材1を設置する工程である。設置工程は、第1工程と、第2工程と、固定工程とを含む。
【0039】
第1工程は、図5Aのように、複数の外装材1のうち、一方の外装材1を下地材7に配置させる工程である。第1工程中、下地材7上の外装材1は、第2凹溝21で固定具6により下地材7に固定される。
【0040】
第2工程は、図5B図5Cのように、一方の外装材1が有する凹溝2に、他方の外装材1が有する接続部201を重ねる工程である。第2工程中、図5Bのように、一方の外装材1が有する浅溝231に、他方の外装材1が有する押し当て片214と屋内側端部217とを押し当てて接触させることで、他方の外装材1を位置決めする。そして、押し当て片214と屋内側端部217とを浅溝231に押し当てながら接触させると共に、側片211を受け片234に押し当てる。屋内側端部222が底片236の屋外側にある状態で側片211を受け片234に押し当てることにより、側片233と、受け片234と、天板片235とを屋内側(下地材7側)に後退させる。これにより、受け片234は、側片233の弾性により側片211の裏面に確実に接触する。また、側片211を受け片234に押し当てる際、押し当て片214と屋内側端部217とを浅溝231に押し当てた状態で、先端部212は、連結片216の屋内側面を基準にして屋外側へ後退する。さらに連結片216と傾斜片213とに結合する結合部218が底片236の屋外側にある状態で、傾斜片213の弾性により、押し当て片214と屋内側端部217とが確実に浅溝231に押し当てられる。第2工程中、一方の外装材1が有する凹溝2に、他方の外装材1が有する接続部201を重ねることで、内部樋4、5が形成される。内部樋4は、底片236と、傾斜片213と、押し当て片214とで囲まれている。内部樋5は、底片236と、側片211と、側片233とで囲まれている。
【0041】
固定工程は、図5Dのように、凹溝2と接続部201とが重なった部分、具体的には連結片216と底片236とが重なった部分を固定具6で下地材7に固定する工程である。凹溝2と接続部201とが固定具6で下地材7に固定されることで、連結片216と底片236とが接触する。先端部212と浅溝231とが接続し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋4内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。また、側片211と受け片234とが接触し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋5内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。内部樋4、5内の水滴は、内部樋4、5の内面に沿って屋外へ排出される。
【0042】
外装材1が第2凹溝21を備える場合、固定工程中、他方の外装材1が有する第2凹溝21の底を固定具6により下地材7に固定される(例えば、図8参照)。
【0043】
本実施形態に係る施工方法では、第1工程、第2工程、及び固定工程を、この順で繰り返すことで、水平方向に沿って、複数の外装材1が下地材7に固定される。
【0044】
また、本実施形態に係る施工方法は、縦継ぎ工程を更に含んでもよい。縦継ぎ工程は、建物8の上下方向Zにおいて、下方にある外装材1の上部に、上方にある外装材1の下部を重ねる工程である(例えば、図8参照)。縦継ぎ工程中、第1工程、第2工程、及び固定工程を、この順で繰り返すことで、水平方向に沿って、上方の外装材1も下地材7に固定される。縦継ぎ工程の一例では、下方の外装材1と上方の外装材1とが重なった部分は、固定具6で下地材7に固定される。また、下方にある外装材1の上部と上方にある外装材1の下部との間に、ガスケット等のシール材を介在させていてもよい。
【0045】
<外壁構造>
次に、本実施形態に係る外壁構造10を図5D及び図8を参照して説明する。外壁構造10は、外装材1の施工方法により形成される。このため、本実施形態は、外装材1の説明と、外装材1の施工方法の説明とを参照できる。
【0046】
外壁構造10は、複数の外装材1と、複数の下地材7と、複数の固定具6とを備える(図8参照)。外壁構造10は、内部樋4、5を更に備える(図5D参照)。
【0047】
複数の外装材1は、建物8の水平方向、及び上下方向Zに沿って設けられている。このような複数の外装材1のうち、水平方向(一方向X)において、一方の外装材1が有する浅溝231に、他方の外装材1が有する押し当て片214と屋内側端部217とを押し当てることで浅溝231と先端部212とが接続している。また、側片211と受け片234とが接触し、連結片216と底片236とが接触している。受け片234は、側片233の弾性により側片211の裏面に接触する。
【0048】
内部樋4、5は、一方の外装材1が有する凹溝2と、他方の外装材1が有する接続部201との間にある(例えば、図5D参照)。内部樋4は、底片236と、傾斜片213と、押し当て片214とで囲まれている。内部樋5は、底片236と、側片211と、側片233とで囲まれている。
【0049】
外壁構造10において、押し当て片214と屋内側端部217とが浅溝231に押し当てられて接触し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋4内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。また、側片211と受け片234とが接触し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋5内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。
【0050】
外壁構造10は、内部樋4、5以外の他の内部樋を更に備えてもよい。他の内部樋は、例えば、連結片216と底片236と間に形成されていてもよい。この場合、連結片216の一部と底片236の一部とが接触しているため、外壁構造10が他の内部樋を備えていても、接続部201と凹溝2との間に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。外壁構造10は、他の内部樋を備えなくてもよい。
【0051】
また、外壁構造10では、一方の外装材1が有する傾斜片232と、他方の外装材1が有する傾斜片213とが、同一平面上にある(例えば、図5D参照)。この場合、外壁構造10において、先端部212と浅溝231との接続部分を目立ちにくくすることができる。
【0052】
「同一平面」は、傾斜片232と傾斜片213とが厳密な同一平面上にあることだけでなく、略同一平面上にある態様も含む。
【0053】
下地材7は、外装材1を建物8に設置させる部材であって、外装材1の屋内側にある。下地材7の例は、縦胴縁、及び横胴縁を含む。図8の例では、外装材1は横胴縁71に固定されている。下地材7が横胴縁71である場合、隣り合う横胴縁71、71の間の寸法L1は、任意に選択される。寸法L1、例えば、910mmである。
【0054】
固定具6は、外装材1を下地材7に固定させるための部品である。固定具6の例は、ねじ、釘、及びリベットを含む。固定具6は、外装材1の固定場所によって異なっていてもよく、あるいは同じであってもよい。
【0055】
[第2実施形態]
<外装材>
次に、第2実施形態に係る外装材1を、図3B及び図4Bを参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と共通する構成について、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
【0056】
外装材1は、接続部201と、凹溝2とを備える。接続部201は、先端部212を備える。
【0057】
先端部212は、図3Bのように、傾斜片213と、押し当て片214と、折り返し片215と、屋内側端部217とを備える。屋内側端部217は、押し当て片214と折り返し片215とに接続する部位である。押し当て片214は、傾斜片213の先端と屋内側端部217との間に介在し、一方向Xと直交する方向Yに沿って傾斜片213の先端から屋内側に向かって突出している。そして、屋内側端部217と押し当て片214とからなる部分のうち、先端部212の先端となる位置に第1端T1がある。また、折り返し片215は、その先端が屋外側に向くようにして屋内側端部217で折り返している。
【0058】
凹溝2は、図4Bのように、浅溝231の代わりに、壁部237を備える。壁部237は、凹溝2の底面から屋外側へ切り立っている。凹溝2の底面は、底片236にある。
【0059】
壁部237は、壁部本体238と、裾部239とを備える。壁部本体238は、一方向Xと直交する方向Yと平行な部位であり、凹溝2の底面に対して概ね垂直である。壁部本体238は、壁部237のうち、屋外側にある。裾部239は、壁部本体238の屋内側にあり、かつ壁部本体238と底片236とに接続する。裾部239は、第1端T1に近づく部分ほど屋外側に位置するように湾曲し、かつ屋内側に向かって凸となる円弧状の形状を有する。
【0060】
本実施形態に係る外装材1において、屋内側端部217は、凹溝2の深さ方向と平行な方向Yにおいて、側片211が有する屋内側端部222よりも屋内側となるようにして配置されている。これにより、外装材1の施工時に、屋内側端部217を裾部239に押し付けることで先端部212と壁部237とが接続される。
【0061】
壁部237は、浅溝231と同様の長さを有する。壁部237の長さは、外装材1の長さLと同じである。また、壁部237は、幅W8と有する。壁部237の幅方向は、一方向Xと直交する。幅W8は、2mm以上7mm以下であることが好ましい。
【0062】
先端部212が押し当て片214を備え、凹溝2が壁部237を備えることで、外装材1の施工時に、屋内側端部217を裾部239に押し付けながら押し当て片214の少なくとも一部を壁部本体238に押し当てることで、各外装材1を位置決めしやすくなる。また、壁部237が凹溝2の底面から屋外側へ切り立つことで、複数の外装材1を重ねて輸送することができる。このため、外装材1の輸送コストを抑えることができる。
【0063】
また、図4Bのように、凹溝2は、傾斜片232を更に備える。傾斜片232は、壁部237と第1辺24との間に介在し、第1辺24から建物8の屋内側に向かって傾斜するようにして形成されている。
【0064】
本実施形態に係る外装材1は、建物8の屋根及び外壁等に利用可能である。外装材1は、好ましくは、外壁に利用される。外壁に利用される場合、外装材1は、好ましくは、外壁材である。
【0065】
<外装材の施工方法>
次に、本実施形態に係る外装材の施工方法を図6A図6Cを参照して説明する。
【0066】
本実施形態に係る施工方法の、第2工程では、図6Aのように、一方の外装材1が有する裾部239に、他方の外装材1が有する屋内側端部217を押し付けながら、一方の外装材1が有する壁部本体238に、他方の外装材1が有する押し当て片214の少なくとも一部を押し当てる。これにより、第2工程で他方の外装材1が位置決めされる。そして、屋内側端部217を裾部239に押し付けた状態で、図6Bのように、側片211を受け片234を押し当てる。屋内側端部222が底片236の屋外側にある状態で側片211を受け片234に押し当てることにより、側片233と、受け片234と、天板片235とを屋内側(下地材7側)に後退させる。これにより、受け片234は、側片233の弾性により側片211の裏面に確実に接触する。側片211を受け片234に押し当てる際、屋内側端部217は裾部239との摩擦により動きにくいため、壁部本体238と押し当て片214とが離間していてもよい。また、壁部本体238と押し当て片214とが接触していてもよい。
【0067】
第2工程中、屋内側端部217を裾部239に押し付けた状態で、側片211を受け片234に押し当てることで、先端部212は、連結片216の屋内側面を基準にして屋外側へ後退する。これにより、結合部218が底片236の屋外側にある状態で、連結片216及び傾斜片213の弾性により、屋内側端部217は確実に裾部239に接触する。
【0068】
固定工程では、図6Cのように、屋内側端部217を裾部239に押し付け、かつ側片211を受け片234に押し当てた状態で、連結片216と底片236とが重なった部分を固定具6で下地材7に固定する。凹溝2と接続部201とが固定具6で下地材7に固定されることで、連結片216と底片236とが接触する。先端部212と壁部237とが接続し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋4内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。また、側片211と受け片234とが接触し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋5内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。内部樋4、5内の水滴は、内部樋4、5の内面に沿って屋外へ排出される。
【0069】
<外壁構造>
次に、本実施形態に係る外壁構造10を、図6Cを参照して説明する。
【0070】
本実施形態に係る外壁構造10では、一方の外装材1が有する裾部239に、他方の外装材1が有する屋内側端部217を押し付けることで壁部237と先端部212とが接続している。また、側片211と受け片234とが接触し、連結片216と底片236とが接触している。受け片234は、側片233の弾性により側片211の裏面に接触する。
【0071】
外壁構造10において、屋内側端部217が裾部239に押し付けられて接触し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋4内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。また、側片211と受け片234とが接触し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋5内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。
【0072】
また、本実施形態では、一方の外装材1が有する傾斜片232と、他方の外装材1が有する傾斜片213とが、同一平面上にある(例えば、図6C参照)。このため、外壁構造10において、先端部212と壁部237との接続部分を目立ちにくくすることができる。
【0073】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態の外装材1を、図3C及び図4Aを参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と共通する構成について、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
【0074】
本実施形態に係る外装材1では、先端部212は、傾斜片213と、押し当て片214と、屋内側端部217とを備える。屋内側端部217は押し当て片214に接続する部位であり、屋内側端部217に第1端T1と折り返し片215とがある。
【0075】
折り返し片215は、その先端が第2端T2側に向くようにして、屋内側端部217のうちの第1端側の端部で折り返されている(図3C参照)。このような折り返し片215は、一方向Xに沿う平板状である。
【0076】
折り返し片215が一方向Xに沿う平板状であることで、凹溝2に接続部201を重ねた状態で、折り返し片215は底片236に接触しやすくなる(例えば、図7参照)。このため、先端部212と凹溝2との接触面積が増えて、内部樋4内に雨水等の水滴を侵入させにくくできる。
【0077】
本実施形態に係る外装材1を施工するにあたって、第2工程では、更に折り返し片215と底片236とを接触させて、凹溝2に接続部201を重ねる。固定工程では、凹溝2に接続部201を重ねた状態で、連結片216と底片236との重なり部分を固定具6で下地材7に固定する(図7参照)。
【0078】
また、本実施形態に係る外装材1を複数用いて、図8のような外壁構造10が形成される。
【0079】
本実施形態に係る外壁構造10では、折り返し片215と底片236との接触部分が更に形成されている(図7参照)。
【0080】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態の外装材1を、図9A及び図9Bを参照して説明する。本実施形態では、第1実施形態と共通する構成について、図面に同じ符号を付して説明を省略する。
【0081】
本実施形態に係る外装材1は、図9Aのような接続部201と、図9Bのような凹溝2とを備える。
【0082】
接続部201は、図9Aのように、先端部212を備える。先端部212は、傾斜片213と、湾曲片219と、折り返し片215とを備える。
【0083】
傾斜片213と折り返し片215とは、一方向Xにおいて、第1端T1に近づく部分ほど離れている。そして、傾斜片213と折り返し片215とを、先端部212の第1端側で、湾曲片219が接続する。
【0084】
湾曲片219は、傾斜片213と折り返し片215との間に介在し、傾斜片213と折り返し片215とから離れる部分ほど屋外側に向かって湾曲した形状を有する。
【0085】
このような接続部201において、湾曲片219と折り返し片215とからなる部分のうち、先端部212の先端となる位置に第1端T1がある。さらに、湾曲片219と折り返し片215とからなる部分のうちの少なくとも一部は、凹溝2の上に接続部201を重ねた状態で、押し当て片となることができる。
【0086】
また、折り返し片215は、湾曲片219から屋内側に向かって傾斜する。本実施形態の一例では、折り返し片215の先端は、図9Aのように傾斜片213の裏面に接触しているが、傾斜片213の裏面から離間していてもよい。
【0087】
凹溝2は、図9Bのように、傾斜片232を備える。傾斜片232は、底片236と第1辺24との間に介在し、第1辺24から建物8の屋内側に向かって傾斜するようにして形成されている。
【0088】
また、傾斜片232に浅溝231が設けられている。具体的には、傾斜片232は、第1傾斜片23Aと、第2傾斜片23Bと、浅溝231とを備える。
【0089】
第1傾斜片23Aは、傾斜片232のうち浅溝231よりも屋外側にあり、浅溝231と第1辺24との間に介在すると共に、第1辺24から建物8の屋内側に向かって傾斜する。
【0090】
第2傾斜片23Bは、傾斜片232のうち浅溝231よりも屋内側にあり、浅溝231と底片236との間に介在すると共に、底片236から建物8の屋外側に向かって傾斜する。
【0091】
浅溝231は、底片236の屋外側にあり、一方向Xにおいて第1端T1に向かって凹んでいる。そして、浅溝231と第1傾斜片23Aとが繋がる部分は、浅溝231と第2傾斜片23Bとが繋がる部分よりも第1端T1側にある。
【0092】
本実施形態に係る外装材1によれば、建物8に複数の外装材1を施工する際、先端部212が浅溝231に接続する。これにより、各外装材1を位置決めしやすくすると共に、母屋等の下地材に不陸が生じても下地材に外装材1を追随させて固定することができる。
【0093】
第2傾斜片23Bが浅溝231と底片236との間に介在することで、先端部212が接続する前の浅溝321と底片236とを目視で区別しやすくなる。
【0094】
傾斜片232のうち、第1傾斜片23Aが第2傾斜片23Bよりも第1端T1側にあることで、先端部212が接続する前の浅溝321に影が生じにくくなり、浅溝321の表面形状が分かりやすくなり、しかも外装材1の施工時に、先端部212が浅溝231に接続した状態を視認しやすくなる。
【0095】
また、建物8の上下方向Z及び水平方向に沿って複数の外装材1を施工する際、得られる外壁構造10の一部で、図11Aのように4枚の外装材1を重ねることができる。
【0096】
外装材1の輸送時に、図12のように複数の外装材1を積み重ねることが容易になり、外装材1の輸送コストを軽減しやすくなる。
【0097】
本実施形態では、第2辺25と底片236との間の寸法H2と、凹溝2の深さHと、が同じであってもよい。この場合、凹溝2の上に接続部201を重ねた状態で、第2辺25は第1表面構造部301の厚みだけ屋内側に後退し、これに応じて受け片234も屋内側に後退する。これにより、受け片234は、側片233の弾性により接続部201の裏面に確実に接触できる。これにより、凹溝2と接続部201との間に雨水等の水滴が侵入しても、受け片234と接続部201との接続部分は止水性を得やすくなる。
【0098】
なお、本実施形態では、凹溝2の上に接続部201を重ねた状態で、湾曲片219と折り返し片215とが浅溝231に接続する位置にあり、連結片216と底片236とが接触し、受け片234が側片211の裏面に接触している。しかし、成形時等で僅かに歪みや反りが生じる場合がある。このような歪みや反りが湾曲片219に生じる場合、先端部212の断面形状が、図3Aのようなへ字状ではなく、直線状であることにより(図9A参照)、凹溝2の上に接続部201を重ねた状態で、この歪みや反りによる僅かな隙間を湾曲片219と浅溝231との間で部分的に形成しながら、別の部分で湾曲片219と浅溝231とが接続することができる。この場合、折り返し片215と浅溝231とが接続し、連結片216と底片236とが接触し、受け片234と側片211とが接触するため、止水性を得ることができる。
【0099】
本実施形態に係る外装材1を施工するにあたって、第2工程では、図10Aのように、一方の外装材1が有する浅溝231に、他方の外装材1が有する湾曲片219を押し当てる。これにより、第2工程で他方の外装材1が位置決めされる。第2工程中、他方の外装材1を位置決めできれば、湾曲片219のうちの一部は、浅溝231と僅かに離れていてもよい。
【0100】
位置決め後、湾曲片219を浅溝231に押し付けた状態で、図10Bのように、側片211を受け片234に押し当てると共に、側片233と、受け片234と、天板片235とを屋内側(下地材7側)に後退させる。これにより、受け片234は、側片233の弾性により側片211の裏面に確実に接触する。
【0101】
固定工程では、図10Cのように、湾曲片219を浅溝231に押し付け、かつ側片211を受け片234に押し当てた状態で、連結片216と底片236とが重なった部分を固定具6で下地材7に固定する。固定具6を下地材7に打ち付ける際、施工者は、指等で湾曲片219を浅溝231に押し付けることができる。凹溝2と接続部201とが固定具6で下地材7に固定されることで、連結片216と底片236とが接触すると共に、湾曲片219と折り返し片215とからなる部分のうちの少なくとも一部が傾斜片213の弾性でより強く浅溝231に押し当てられる。先端部212と浅溝231とが接続し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋4内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。また、側片211と受け片234とが接触し、かつ連結片216と底片236とが接触することで、内部樋5内に侵入した雨水等の水滴が屋内側に漏れにくくなる。内部樋4、5内の水滴は、内部樋4、5の内面に沿って屋外へ排出される。
【0102】
本実施形態では、縦継ぎ工程において、上下方向Zのうち下方にある外装材1の上部に、上方にある外装材1の下部を重ねた後、下方で水平方向に沿って第1工程、第2工程、及び固定工程を、この順で行うことで、下方の外装材1に他の外装材1が位置決めされて継がれる。さらに、上方でも水平方向に沿って第1工程、第2工程、及び固定工程を、この順で行うことで、上方の外装材1に他の外装材1が位置決めされて継がれる。
【0103】
上記の方法で複数の外装材1を施工することにより、図8及び図11Bのような外壁構造10が得られる。
【0104】
外壁構造10では、4枚の外装材1を水平方向及び上下方向Zに沿って継ぐことにより、各外装材1の一部は、図11Aのように重なり合う。この4枚の外装材1(1A、1B、1C、1D)が重なり合う部分11(以下、重なり部分11という場合がある)またはその近傍だけ、4枚の外装材1A、1B、1C、1Dのうち、最も屋外側にある外装材1Bの先端部212は浅溝231から屋外側に僅かにずれている(図11A参照)。しかし、屋内側から3枚目の外装材1Dの接続部201は2枚目の外装材1Aの凹溝2に接続しているため、重なり部分11であっても内部樋4、5を形成できる。しかも、重なり部分11で最も屋外側にある外装材1Bの先端部212は浅溝231から僅かにずれていても、この先端部212は外壁構造10全体の外観で目立ちにくいため、外壁材1の施工が容易になる。外壁構造10において、図11Cのように、傾斜片232の一部である第1傾斜片23Aと、傾斜片213とが、同一平面上にあってもよい。
【0105】
また、本実施形態に係る外装材1を輸送する際、図12のように、複数の外装材1を積み重ねて輸送物12にできる。これにより、積み重ねる外装材1の数が増えるほど、1度に多くの外壁材1を輸送できるため、外壁材1の輸送コストを軽減できる。
【0106】
複数の外装材1を積み重ねる際、上段の外壁材1が有する第1端T1を、一方向Xに沿って、下段の外装材1の第1端T1よりも僅かに第2端側にずらし、これを外装材1が積み重なる方向に沿って繰り返すことで輸送物12が得られる。輸送物12における外壁材1の数は、特に限定されないが、例えば、40枚である。外壁材1の数は、40枚より多くてもよく、例えば、100枚であってもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 外装材
201 接続部
2 凹溝
T1 第1端
T2 第2端
X 一方向(水平方向)
231 浅溝
237 壁部
212 先端部
8 建物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12