(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】光起電力システムにおける単一障害許容型の絶縁抵抗判定
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20220222BHJP
【FI】
H02M7/48 M
(21)【出願番号】P 2019564973
(86)(22)【出願日】2018-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2018057513
(87)【国際公開番号】W WO2018228730
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-02-12
(31)【優先権主張番号】102017113192.2
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】プッツ,マルティン
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-529440(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0285102(US,A1)
【文献】国際公開第2007/026603(WO,A1)
【文献】特開2014-033519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータ(2)と、前記インバータに接続された太陽光発電機(3)と、を備える光起電力システム(1)の絶縁抵抗の単一障害許容型判定のための方法であって、前記絶縁抵抗が、抵抗回路網(8)の試験電圧降下に相関して判定され、前記抵抗回路網(8)が、第1の端子(11)を経由して可変電圧源(20)に、第2の端子(12)を経由して前記太陽光発電機(3)の第1の極(17)に、及び、第3の端子(13)を経由して絶縁リレー(9)を介して前記インバータ(2)の接地端子(15)に接続され、キャパシタ(14)が、前記接地端子(15)と、前記太陽光発電機(3)の前記第1の極(17)との間に配置されている方法において、任意の順序で以下のステップ、すなわち、
- 前記絶縁リレー(9)が閉じられると、前記可変電圧源(20)によって、第1のDC電圧値を前記第1の端子(11)に印加するステップ(ステップ21)と、
- 前記絶縁リレー(9)が閉じられると、前記可変電圧源(20)によって、第2のDC電圧値を前記第1の端子(11)に印加するステップ(ステップ22)と、
- 前記絶縁リレー(9)が閉じられると、前記可変電圧源(20)を用いて前記第1の端子(11)でAC電圧を生成するステップ(ステップ23)と、
- 前記絶縁リレー(9)が開かれると、前記可変電圧源(20)を用いて前記第1の端子(11)で前記AC電圧を生成するステップ(ステップ24)と、を含むとともに、前記絶縁リレー(9)の機能が、ステップ23とステップ24との間の前記試験電圧の振幅を比較することにより試験されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記絶縁抵抗が、ステップ21とステップ22との間の前記試験電圧の差異に相関して判定されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、前記インバータ(2)がグリッド(4)から分離されている間に実行されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の方法において、前記可変電圧源が、前記インバータ(2)のインバータブリッジ(6)によって形成され、前記インバータブリッジが、前記太陽光発電機(3)の前記第1の極(17)と第2の極(18)との間に配置されており、前記インバータブリッジ(6)の中間点(5)が、好ましくはグリッドフィルタ(7)を介して、前記第1の端子(11)に接続されていることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記第1のDC電圧値が、前記第1の極(17)との接続によって前記抵抗回路網(8)の前記第1の端子(11)に印加され、前記第2のDC電圧値が、前記第2の極(18)との接続によって前記抵抗回路網(8)の前記第1の端子(11)に印加されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の方法において、前記AC電圧が、前記第1の端子(11)におけるグリッド周波数で生成されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の方法において、前記方法が、以下の順序、すなわち、ステップ24、次にステップ23が続き、次にステップ21が続き、次にステップ22が続く順序で実行されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の方法において、前記絶縁リレー(9)の前記機能の前記試験、又は前記絶縁抵抗の前記判定により、許容できない結果が得られた場合に、前記方法が再度実行されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の方法において、負の機能試験の場合、又は絶縁抵抗が許容できないほど低いと判定された場合には、障害信号が生成されることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~9の何れか1項に記載の方法において、前記試験電圧が、前記太陽光発電機(3)の前記第1の極(17)に接続された抵抗器の両端の電圧降下として判定されることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1~10の何れか1項に記載の方法において、前記第1の端子(11)が、制限抵抗器を介して前記第3の端子(13)に接続されていることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1~11の何れか1項に記載の前記方法を実行するように構成されていることを特徴とするインバータ(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光起電力システムの絶縁抵抗の単一障害許容型判定のための方法、及びこの方法を実行するように構成されたインバータに関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力システムの動作を開始する前に、安全上の理由で、接続されている太陽光発電機が、基準電位としての接地電位に対して十分に高い抵抗を有しているかどうかを判定することが必要である。概して、この試験は少なくとも、インバータを接続されているグリッドに接続することによって、光起電力システムの動作を開始する前に実行される。
【0003】
特許文献欧州特許出願公開第1 857 825 A1号明細書、及び欧州特許出願公開第2 230 522 A1号明細書は、いずれの場合も、絶縁抵抗を判定する目的で、直流電流源の1つの極によって接地端子への電流路を交互に確立し、各場合に発生する電流の流れを互いに比較する方法についてそれぞれ記載している。
【0004】
さらに、特許文献独国特許第10 2012 104 752 B3号明細書は、インバータのハーフブリッジのブリッジスイッチによって交流電流路を提供し、グリッド周波数未満にあることが好ましい周波数でAC電圧によって比較の対象となる電流の流れが駆動可能であることを記載している。ここでは、電流路は、絶縁抵抗の判定中に接地スイッチを閉じることによって確立される。
【0005】
この方法では、接地スイッチが故障した場合、特に、接地スイッチが正しく閉じない場合には、測定結果が得られるが、この測定結果は、高い絶縁抵抗に、場合によっては判定不可能なほど高い絶縁抵抗に類似しており、したがって、存在する真の絶縁状態とは無関係に安全な絶縁状態を示唆している。この事例に対抗する保護を行うために、適切に寸法決めされた比較抵抗器を介して接地端子を直流電流源の極に接続することで、比較抵抗器の抵抗値よりも高い絶縁抵抗が判定された場合に、障害のある接地スイッチを推測できるようにすることが可能である。しかしながら、この手順の短所は、これによりインバータの固有の絶縁特性が永続的に低下するということである。
【0006】
或いは、非常時動作中に中性線が接地導体に接続されているはずである非常用発電機システムの場合には、独国特許第10 2015 102 468 B3号明細書は、この接続を試験する目的で、したがって、試験対象となる接続上に測定電流を発生させるために、電流低減素子を介して、電圧がそこに印加されている導体を接地導体に接続することを提案している。ここでは、上記の試験電流の結果生じる短所もまた存在する。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、光起電力システムのインバータの絶縁特性を損なうことなく、障害のある接地スイッチが識別可能な、光起電力システムの絶縁抵抗を判定するための方法を提供することを目的とする。
【0008】
この目的は、独立請求項1に記載の方法によって実現される。本発明による方法の有利な構成が従属請求項において記載されている。この方法は、インバータにおいて使用することができる。
【0009】
本発明による、絶縁抵抗の単一障害許容型判定のための方法は、インバータと、このインバータに接続された太陽光発電機と、を備える光起電力システム内で実行することができ、この絶縁抵抗は、抵抗回路網の試験電圧降下に相関して判定され、この抵抗回路網は、第1の端子を経由して可変電圧源に、第2の端子を経由して太陽光発電機の第1の極に、及び、第3の端子を経由して絶縁リレーを介してインバータの接地端子に接続されている。キャパシタは、接地端子と、太陽光発電機の第1の極との間に配置されている。本発明による方法は、任意の順序で以下のステップ、すなわち、
- 絶縁リレーが閉じられると、可変電圧源によって、第1のDC電圧値を第1の端子に印加するステップ(ステップA)と、
- 絶縁リレーが閉じられると、可変電圧源によって、第2のDC電圧値を第1の端子に印加するステップ(ステップB)と、
- 絶縁リレーが開かれると、可変電圧源を用いて第1の端子でAC電圧を生成するステップ(ステップC)と、
- 絶縁リレーが閉じられると、可変電圧源を用いて第1の端子でAC電圧を生成するステップ(ステップD)と、を含む。
絶縁リレーの機能は、AC電圧が生成される2つのステップの間の試験電圧の振幅を比較することにより試験される。キャパシタは、閉じた絶縁リレーの場合には、AC電流を流すことができる確定されたインピーダンスを形成するので、試験電圧の振幅は、絶縁リレーを切り換えることによって変化する。しかしながら、インバータのDC絶縁特性は、このキャパシタによって不利な方法で変更されることはなく、インバータのEMC挙動もまた向上させる。
【0010】
有利な点として、絶縁抵抗は、第1のDC電圧値及び第2のDC電圧値がそれぞれ、第1の端子に印加されるステップ間の試験電圧の差異に相関して判定することができる。
【0011】
本発明による方法を実行するとき、インバータは、グリッドから分離されていることが好ましい。例として、絶縁抵抗は、グリッドに接続する前の午前中に判定される。この接続は、絶縁抵抗の大きさが許容可能な場合、及び、機能する絶縁リレーの場合にのみ実行される。
【0012】
可変電圧源がインバータのインバータブリッジによって形成され、前記インバータブリッジが第1の極と第2の極との間に配置され、前記インバータブリッジの中間点が、好ましくはグリッドフィルタを介して、抵抗回路網の第1の端子に接続されていれば、特に有利である。ここでは、第1のDC電圧値及び第2のDC電圧値は、第1の極及び第2の極にそれぞれ接続されている第1の端子によって、単にインバータブリッジのスイッチのうちの1つをそれぞれ持続して閉じることによって、印加することができる。
【0013】
本発明による方法の好適な実施形態の変形例では、AC電圧は、第1の端子におけるグリッド周波数で生成される。しかしながら、異なる周波数、特に、グリッド周波数よりも高い周波数を使用することもまた想定できる。これにより、絶縁リレーが開かれているときの電圧振幅と比較して、絶縁リレーが閉じられたときのキャパシタによる電圧振幅の減衰に対する影響が増幅される。
【0014】
好ましくは、第1の端子は、グリッドフィルタを経由してインバータブリッジの中間点に接続されている。これにより、判定された試験電圧無線周波数から、AC電圧の生成時にハーフブリッジによって生成されたAC電圧信号が効果的に除去される。
【0015】
絶縁リレーの切り換えプロセスの回数を最小限に抑えるために、絶縁リレーが閉じられたときに実行されるステップを連続的に実行することが有利である。さらに、ハーフブリッジによってAC電圧を発生させる2つのステップを連続して実行することが有利である。ステップを実行するのに特に適切な順序は、最初にステップCを、次にステップDを、次にステップAを、続いてステップBを実行する。しかしながら、最初にステップA及びステップBを、続いてステップDを、そして最後にステップCを実行することが同様に想定できる。ただし、これは他の順序を排除しないものとする。
【0016】
1つの変形例では、絶縁リレーの機能の試験、又は絶縁抵抗の判定により、許容できない結果が得られた場合に、この方法が再度実行される。例として、ステップDにおいて判定された振幅がステップCにおいて判定された振幅よりも大きい場合に、これが当てはまる。しかしながら、方法全体を繰り返すのではなく、個々の方法ステップ、例えば、ステップC及びステップDだけを繰り返すこともまた可能である。光起電力システムの意図した動作を許可しないある特定の絶縁抵抗の場合の結果を検証するために、方法(又はステップA及びステップBのみ)を再度実行することもまた可能である。絶縁リレーの負の機能試験の場合には、第1の障害信号を生成することができ、判定された絶縁抵抗が、光起電力システムの許容できる動作には低すぎる場合には、第2の障害信号を生成することができる。第1の障害信号及び/又は第2の障害信号は、光起電力システム内で、若しくは光起電力システムの外部の受信機に転送することができる。
【0017】
1つの実施形態では、試験電圧は、太陽光発電機の第1の極に接続された抵抗器の両端の電圧降下として判定することができる。特に、インバータの測定電子機器の部品が、第1の極の電位を基準電位として使用する場合には、これは有利である。さらには、抵抗回路網は、第1の端子と第3の端子との間に配置され、特に、絶縁リレーが閉じられたときに、絶縁抵抗が極端に低い場合に流れる電流を制限する制限抵抗器を有する場合がある。
【0018】
本発明によるインバータは、この方法を実行するように構成され、インバータの制御電子機器によって方法ステップを制御する。
【0019】
以下に、図面を用いて本発明をより詳細に説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明による方法を実行するためのインバータを示す。
【
図2】
図2は、本発明による方法を実行するためのインバータの好適な実施形態を示す。
【
図3】
図3は、本発明による方法のフローチャートを示す。
【
図4a】
図4aは、欠陥のある絶縁リレーの場合の試験電圧の例示的な時間曲線を示す。
【
図4b】
図4bは、無傷の絶縁リレーの場合の試験電圧の例示的な時間曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明による方法を実行するように構成されたインバータ2を示す。太陽光発電機3が、インバータ2の第1の極17及び第2の極18に接続されている。DC/ACコンバータ21が、入力側で極17、極18の両方と接続され、太陽光発電機3のDC電力をAC電力に変換する役割を果たし、これは、出力側でグリッドフィルタ7及びグリッドリレー10を介して、グリッド端子16で、接続されたグリッド4に給電するために供給される。太陽光発電機3の絶縁抵抗の単一障害許容型判定の目的で、抵抗回路網8の第1の端子に接続された可変電圧源20が設けられ、この抵抗回路網8は、第1の極17に接続された第2の端子12と、絶縁リレー9を介して接地端子15に接続された第3の端子13と、をさらに有する。抵抗回路網8の試験電圧降下が、測定装置19によって判定される。さらに、キャパシタ14が、接地端子15を第1の極17に接続している。キャパシタ14は、Yキャパシタとも呼ばれ、とりわけ、インバータ2のEMC挙動を向上させる役割を果たす場合が多い。
【0022】
可変電圧源20は、DC電圧源、例えば、キャパシタによって形成することができ、抵抗器の直列回路とスイッチとの中間点を介して第1の端子で電圧を供給し、この電圧は、スイッチの切り換え状態によって可変に設定することができる。例として、キャパシタは、インバータ2に内蔵された電源によって所定の電圧に充電することができる。必要な電力は、太陽光発電機3及びグリッド4の両方から得ることができる。可変電圧源20は、太陽光発電機の電位を基準とする固定電位を有するとともに、
図1に破線で示されているように、例えば、第1の極17に直接1つの極で接続されている。
【0023】
絶縁リレー9が適切な切り換え状態である場合には、本発明による方法のステップに従って、絶縁リレー9及び可変電圧源20の適切な作動によって、第1の端子11で異なる電圧曲線を生成することが可能であり、且つ、個々のステップにおいて試験電圧又はその振幅を確認することが可能である。方法のステップは、インバータ2がグリッド4に接続される前に実行されることが好ましく、また、グリッドリレー10は、絶縁抵抗の判定により、機能する絶縁リレー9と、接続されている太陽光発電機3の十分に高い絶縁抵抗との両方が得られた後にのみ閉じられる。
【0024】
図2は、可変電圧源がインバータブリッジ6によって形成されているインバータ2の有利な実施形態を示すが、このインバータブリッジは第1の極17と第2の極18との間に配置されており、その中間点5は、ブリッジ出力として、グリッドフィルタ7を介して抵抗回路網8の第1の端子11に接続されている。本発明による方法の範囲内でDC電圧を第1の端子11に印加すること、及び、この端子でAC電圧を生成することが、インバータブリッジ6のスイッチの適切な作動によって実施される。特に、第1のDC電圧値は、一方のハーフブリッジスイッチを持続して閉じることによって、第1の端子11に印加することができ、この結果、第1の極(17)が第1の端子11に接続される。したがって、他方のハーフブリッジスイッチを持続して閉じることによって、第2のDC電圧値を第1の端子11に印加することができ、この結果、第2の極18が第1の端子11に接続される。AC電圧は、既知のやり方で両方のハーフブリッジスイッチを交互にクロック作動させることによって、第1の端子11で発生させることができる。
【0025】
本事例では、抵抗回路網8は抵抗電圧分割器で構成され、それは、第1の端子11と、第2の端子12との間に直列に接続された3つの抵抗器を備える。第1の端子11に接続された抵抗器と、中心の抵抗器との間の中間点は、第3の端子13に接続されている。測定装置19は、試験電圧を判定するが、この試験電圧は、第2の端子12に接続された電圧分割器の抵抗器の両端で降下する。
【0026】
図3は、本発明による方法の手順を示し、この手順は、例えば、
図1又は
図2に記載のインバータを使用して実行される。第1のステップ21において、絶縁リレーが閉じられると、可変DC電圧源によって第1のDC電圧値が、抵抗回路網の第1の端子に印加される。例として、太陽光発電機の第1の極は、抵抗回路網の第1の端子に接続されている。この接続は、太陽光発電機の第1の極に接続されているインバータのハーフブリッジの第1のスイッチを閉じることによって実施することができる。
【0027】
第2のステップ22において、可変DC電圧源によって第2のDC電圧値が抵抗回路網の第1の端子に印加され、絶縁リレーも同様に閉じられている。例として、太陽光発電機の第2の極は、第1の端子に接続されている。この接続は、太陽光発電機の第2の極に接続されているインバータのハーフブリッジの第2のスイッチを閉じることによって実施することができる。
【0028】
第3のステップ23において、絶縁リレーが閉じられている間に、特に、第1の極と第2の極との間に配置されたインバータブリッジを介して、可変DC電圧源によってAC電圧が第1の端子で生成される。第4のステップ24において絶縁リレーが開かれている間に、AC電圧は、第1の端子で可変DC電圧源によって引き続き生成される。
【0029】
この方法では、ステップ21~ステップ24を任意の順序で実行することができる。各ステップにおいて、それぞれ1つの試験電圧が確認され、前記試験電圧は、抵抗回路網の抵抗器の両端で降下している。第5のステップ25において、第3のステップ23と第4のステップ24との間の試験電圧の振幅を比較することによって、絶縁リレーの機能試験が実行される。さらに、第6のステップ26において、ステップ21~ステップ24の範囲内で確認された試験電圧から、絶縁抵抗が判定される。好ましくは、絶縁抵抗は、第1のステップ21、及び第2のステップ22において確認された試験電圧間の差異から判定される。しかしながら、絶縁抵抗を判定するときに、第3のステップ23、及び/又は第4のステップ24における試験電圧の振幅を考慮に入れることもまた想定できる。同様に、第5のステップ25の前に第6のステップ26を実行すること、又は、第5のステップ25の結果、機能する絶縁リレーが得られたという条件下でのみ、前記第6のステップを実行することが想定できる。
【0030】
本発明による方法が実行される間にあり得る、障害のある絶縁リレーの場合の試験電圧の曲線30が
図4aに示されており、一方、
図4bは、無傷の絶縁リレーの場合の試験電圧の曲線31を示している。
【0031】
示されている曲線では、最初に第4のステップ24が時間T
0まで実行され、この結果、振幅
を有するAC電圧が試験電圧として発生する。続いて、第3のステップ23が、インバータのハーフブリッジを介してAC電圧が生成される間に絶縁リレーが閉じられているおかげで、時間T
1まで実行される。振幅
を有するAC電圧が第3のステップ23の間に試験電圧として発生する。
図3aの基礎となっているシナリオでは、絶縁リレーは例えば、リレー接点が腐食しているために閉じないといったような、又は、例えば、リレー接点が溶接されているためにステップ23、ステップ24の両方の間に閉じているといったような、欠陥がある。ここから生じるのは、振幅
が振幅
と相違がないか、又は実質的に相違がない、ということである。
【0032】
続いて、第1のステップ21が、時間T2まで実行され、次に、第2のステップ22が、時間T3まで実行される。絶縁リレーは、時間T3において再度開かれる。絶縁抵抗の値は、第1のステップ21及び第2のステップ22で確認された試験電圧間で生じている差異△Uから確認することができる。ただし、絶縁リレーに欠陥がある場合には、例えば、動作に許容可能な大きさの絶縁抵抗値は、絶縁リレーを閉じることができない場合、存在する太陽光発電機の真の絶縁抵抗とは無関係に判定されるので、判定された値は、したがって信頼できない。この場合、もし絶縁リレーの停止が識別されなければ、光起電力システムの許容できない動作が発生する可能性がある。
【0033】
絶縁リレーが無傷の場合には、次に、
図3bによる試験電圧の曲線31に従って、振幅
を有するAC電圧が、第4のステップ24の間に試験電圧として同様に発生し、振幅
を有するAC電圧が、第3のステップ23の間に同様に発生する。絶縁リレーを閉じると、少なくとも接地端子と太陽光発電機の第1の極との間のキャパシタを介して、太陽光発電機のあり得る絶縁抵抗とは無関係に、印加されたAC電圧に追加の電流路が提供されるので、第3のステップ23の間の振幅
は、第4のステップ24の間の振幅
よりも小さい。振幅のこの差異は、機能する絶縁リレーを診断するために使用される。例として、機能する絶縁リレーの場合と、機能しない絶縁リレーの場合とを区別する閾値を、振幅間の差異又は比率として事前に決定することができる。
【0034】
接地端子と、太陽光発電機の第1の極との間にキャパシタがあるために、特に第1のステップ21と第2のステップ22との間に、再充電プロセスもまた発生する。したがって、絶縁抵抗測定を判定する目的で試験電圧を測定する前に、それぞれの再充電プロセスを待つことができるようにするために、十分な時間が残るように、第1のステップ21の期間、及び第2のステップ22の期間を設計することが有利である。再充電プロセスの期間は、キャパシタのキャパシタンス値、及び抵抗回路網の抵抗値を選ぶことによって、適切に選ぶことができる。当然ながら、再充電プロセスの間の電圧の曲線を取り込んで、試験電圧を判定するときにこれを考慮に入れることもまた可能である。再充電プロセスの間の電圧曲線を評価すると、通常、減衰期間を伴う指数関数曲線を有し、特に、キャパシタのキャパシタンス値がわかっている場合には、太陽光発電機の浮遊キャパシタンスによって生じた追加のキャパシタンス成分を定量的に取り込み、続いて、光起電力システムの動作中に前記追加のキャパシタンス成分を考慮することが可能になる。この取り込みは、開いているか、又は閉じられている絶縁リレーを用いて、ステップ23、及びステップ24の間の試験電圧の振幅を評価することによって実施することもまた可能である。
【符号の説明】
【0035】
1 光起電力システム
2 インバータ
3 太陽光発電機
4 グリッド
5 中間点
6 インバータブリッジ
7 グリッドフィルタ
8 抵抗回路網
9 絶縁リレー
10 グリッドリレー
11 端子
12 端子
13 端子
14 キャパシタ
15 接地端子
16 グリッド端子
17 極
18 極
19 測定装置
20 可変電圧源
21~26 ステップ
27 DC/ACコンバータ
30、31 曲線