(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】光起電電池の電力出力を管理するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H02J 3/38 20060101AFI20220222BHJP
H02S 10/00 20140101ALI20220222BHJP
H02S 50/00 20140101ALI20220222BHJP
G05F 1/67 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02S10/00
H02S50/00
G05F1/67 A
(21)【出願番号】P 2020202615
(22)【出願日】2020-12-07
(62)【分割の表示】P 2019042464の分割
【原出願日】2015-02-21
【審査請求日】2021-01-06
(32)【優先日】2014-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516247155
【氏名又は名称】ソーラーリティックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SOLARLYTICS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ピー マクナマラ
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス エム レイモンド
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/004622(WO,A1)
【文献】特表2013-531391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0139349(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02S 10/00
H02S 50/00
G05F 1/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池により供給される出力電力を管理するシステムであって、
電圧源手段と結合するための第1のポートと前記太陽電池の1以上の電力出力用の電極と結合するための第2のポートとを含む、スイッチ手段であって、前記電圧源手段と前記電力出力用の電極との間の電流パスを閉じて電場を前記太陽電池において生成する第1のスイッチングモードと、前記電流パスを開放する第2のスイッチングモードと、を切り替えることにより、各々が正の大きさを有する1以上の電圧パルスとして、前記電圧源手段からDC出力電圧を前記電力出力用の電極に印加するように構成されたスイッチ手段と、
前記スイッチ手段と結合して、前記第1のスイッチングモードと前記第2のスイッチングモードとの間の切り換え周波数、前記第1のスイッチングモードの第1の持続時間、前記第2のスイッチングモードの第2の持続時間、前記第1のスイッチングモードと前記第2のスイッチングモードとのデューティサイクル、前記第1のスイッチングモードの第1の繰り返し率、前記第2のスイッチングモードの第2の繰返し率、または、これらの組み合わせを調整することにより、前記電力出力用の電極を経由して前記太陽電池により供給される前記出力電力を管理するために前記電場を変化させるための制御手段と、
を含むシステム。
【請求項2】
前記スイッチ手段が、少なくとも1つの単極、双投、少なくとも1つのスイッチングトランジスタ、またはその組み合わせである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御手段が、前記スイッチ手段の制御ポートに結合されたパルス生成器を含み、該パルス生成器は、前記制御手段が前記第1のスイッチングモードと前記第2のスイッチングモードとの間を移行するための制御パルス信号を生成するように構成されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記切り換え周波数を20マイクロ秒を中心とする周波数範囲内で調整するか、前記第1の持続時間を10ナノ秒~2000ナノ秒の間の第1の持続時間範囲で調整するか、前記第2の持続時間を10ナノ秒~2000ナノ秒の間の第2の持続時間範囲で調整するか、前記電圧パルスの前記デューティサイクルを0.1%~10%の間のデューティサイクル範囲で調整するか、またはこれらの範囲の組み合わせを調整する、
請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記制御手段が、負荷条件に少なくとも部分的に基づいて、前記
切り換え周波数、前記第1の持続時間、前記第2の持続時間、前記デューティサイクル、または、これらの組み合わせを調整する、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記電場は、前記太陽電池により供給される前記出力電力を増加させるために、前記出力電力用の電極の極性と同じ方向の第1の方向、および/または、前記太陽電池により供給される前記出力電力を減少させるために、前記出力電力用の電極の極性と反対の方向の第2の方向で、生成される、
請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の方向で生成された前記電場は、前記太陽電池の電子-正孔対の電子および正孔の可動性を加速、および/または、前記第2の方向で生成された前記電場は、前記太陽電池の電子-正孔対の電子および正孔の可動性を減速させる、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記複数の太陽電池が、直列構成、並列構成、またはこれらの組み合わせの構成で配置される、
請求項1~7のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記スイッチ手段が、前記DC出力電圧を前記電圧源手段から前記電力出力用の電極に、前記太陽電池の構造的な変更を行わないで印加するように構成されている、
請求項1~8のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記電力出力用の電極が、前記太陽電池の1つ以上の既存の電極である、
請求項1~9のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記太陽電池の前記電力出力用の電極が、前記太陽電池から供給された前記出力電力を前記電力出力用の電極を経由して受け取る負荷と結合している、
請求項1~10のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記スイッチ手段の前記第2のポートが、前記負荷と結合し、前記太陽電池により供給された前記出力電力を、前記負荷に
、前記第2のスイッチングモードにおいて、供給するように構成されている、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記スイッチ手段が、前記負荷と結合し、前記太陽電池により供給された前記出力電力を、前記負荷に、前記第2のスイッチングモードにおいて、供給するように構成されている、
請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記負荷が、前記太陽電池により供給された前記出力電力をAC電力または電流に変換するインバータを含む、
請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
RF領域で、前記太陽電池から前記負荷を電気的に絶縁する、絶縁手段をさらに含む、
請求項13または14に記載のシステム。
【請求項16】
前記絶縁手段が、RFチョーク、キャパシタ、インダクタ、バッテリ、またはこれらの組み合わせである、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記スイッチ手段の前記第1のスイッチングモードにおいて、前記負荷における電圧降下を軽減するための軽減手段をさらに含む。
請求項11~16のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記軽減手段が、キャパシタ、インダクタ、バッテリ、またはそれらの組み合わせである、
請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記軽減手段が、前記スイッチ手段の前記第2のスイッチングモードの間、前記太陽電池により供給された前記出力電力を貯蔵する、
請求項17または18に記載のシステム。
【請求項20】
前記軽減手段が、貯蔵された前記出力電力を前記負荷に、前記スイッチ手段の前記第1のスイッチングモードの間、供給する、
請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記電場の生成により、前記太陽電池により供給された前記出力電力を、
低光状況下において、50%まで、
低光状況下において、50%を超えて、
および/または、
高強度光状況下において、20%まで、
増大させ
る、請求項1~20のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記太陽電池により供給された前記出力電力が、前記太陽電池に入射する光の強さ、前記太陽電池の厚さ、前記電圧パルスの幅、および/または、前記電圧パルスの周波数に基づく、
請求項1~21のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
複数の太陽電池により供給される出力電力を管理する方法であって、
スイッチ手段の第1のポートを電圧源手段と結合するステップであって、該スイッチ手段は、前記太陽電池の1以上の電力出力用の電極と結合するための第2のポートを含み、前記電圧源手段と前記電力出力用の電極との間の電流パスを閉じて電場を前記太陽電池において生成する第1のスイッチングモードと、前記電流パスを開放する第2のスイッチングモードと、を切り替えることにより、各々が正の大きさを有する1以上の電圧パルスとして、前記電圧源手段からDC出力電圧を前記電力出力用の電極に印加するように構成されているステップ、
を含み、
前記スイッチ手段は、前記第1のスイッチングモードと前記第2のスイッチングモードとの間のスイッチング周波数、前記第1のスイッチングモードの第1の持続時間、前記第2のスイッチングモードの第2の持続時間、前記第1のスイッチングモードと前記第2のスイッチングモードとのデューティサイクル、前記第1のスイッチングモードの第1の繰り返し率、前記第2のスイッチングモードの第2の繰返し率、または、これらの組み合わせを調整することにより、前記電力出力用の電極を経由して前記太陽電池により供給される前記出力電力を管理するために前記電場を変化させるための制御手段と結合されている、方法。
【請求項24】
前記電力出力用の電極を経由して前記太陽電池により供給された前記出力電力を受け取るために、前記スイッチ手段の前記第2のポートを前記太陽電池の前記出力電力用の電極と結合するステップ、前記スイッチ手段を前記制御手段に結合するステップ、および/または、前記太陽電池の前記出力電力用の電極または前記スイッチ手段の前記第2のポートを負荷と結合するステップをさらに含む、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
複数の太陽電池により供給される出力電力を管理する方法であって、
スイッチ手段の第2のポートを前記太陽電池の1つ以上の電力出力用電極と結合するステップであって、該スイッチ手段は、電圧源手段と結合するための第1のポートを含み、前記電圧源手段と前記電力出力用の電極との間の電流パスを閉じて電場を前記太陽電池において生成する第1のスイッチングモードと、前記電流パスを開放する第2のスイッチングモードと、を切り替えることにより、各々が正の大きさを有する1以上の電圧パルスとして、前記電圧源手段からDC出力電圧を前記電力出力用の電極に印加するように構成されているステップ、
を含み、
前記スイッチ手段は、前記第1のスイッチングモードと前記第2のスイッチングモードとの間のスイッチング周波数、前記第1のスイッチングモードの第1の持続時間、前記第2のスイッチングモードの第2の持続時間、前記第1のスイッチングモードと前記第2のスイッチングモードとのデューティサイクル、前記第1のスイッチングモードの第1の繰り返し率、前記第2のスイッチングモードの第2の繰返し率、または、これらの組み合わせを調整することにより、前記電力出力用の電極を経由して前記太陽電池により供給される前記出力電力を管理するために前記電場を変化させるための制御手段と結合されている、方法。
【請求項26】
前記電力出力用の電極を経由して前記太陽電池により供給された前記出力電力を受け取るために、前記スイッチ手段の前記第1のポートを前記電圧源手段と結合するステップ、前記スイッチ手段を前記制御手段に結合するステップ、および/または、前記太陽電池の前記出力電力用の電極または前記スイッチ手段の前記第2のポートを負荷と結合するステップをさらに含む、
請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2014年2月21日に出願された米国仮特許出願第61/943,127号、2014年2月21日に出願された米国仮特許出願第61/943,134号、2014年3月3日に出願された米国仮特許出願第61/947,326号、及び2014年7月8日に出願された米国特許出願第62/022,087号の利益を主張するものであり、これらの開示は、全体的に参照により本明細書に援用される。
【技術分野】
【0002】
本開示は、一般的には光起電デバイスに関し、より詳細には、例えば、太陽電池にわたり外部電場を印加して調整することにより、1つ又は複数の太陽電池の電力又は生成エネルギー及び全体効率を最大にするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽電池(光起電電池とも呼ばれる)は、「光起電効果」として知られるプロセスにより、光のエネルギーを電気に直接変換する電気デバイスである。光に露出されると、太陽電池は、いかなる外部電圧源にも取り付けられずに、電流を生成し、サポートすることができる。
【0004】
最も一般的な太陽電池は、
図1に示される太陽電池100内の半導体材料等の半導体材料(例えば、シリコン)から製作されるp-n接合110からなる。例えば、p-n接合110は、p型シリコンのより厚い層の上にn型シリコンの超薄層からなる薄いウェーハを含む。これらの2つの層が接触する場所において、太陽電池100の上面近傍で電場(図示せず)が生成され、高電子濃度の領域(p-n接合110のn型側)から低電子濃度の領域(p-n接合110のp型側)への電子の拡散が生じる。
【0005】
p-n接合110は、2つの導電性電極101aと101bとの間に封入される。上部電極101aは、入射(太陽)放射線を透過するか、又は太陽電池100の上部を全体的には覆わない。電極101a、101bは、直列結合される外部負荷30に接続された抵抗金属半導体接点として機能することができる。抵抗性のみが示されるが、負荷30は抵抗成分及び反応成分の両方を含むこともできる。
【0006】
通常、複数の太陽電池100が一緒に結合されて(直列及び/又は並列)、太陽パネル10(
図2に示される)を形成する。
図2を参照して、少なくとも1つの太陽パネル10を使用する典型的な設置構成を示す。太陽パネル10は、
図2に示されるように並列に、直列に、又はそれらの組合せで接続され、インバータ31等の負荷に取り付けることができる。インバータ31は、抵抗成分及び反応成分の両方を含むことができる。
【0007】
図1に戻ると、光子が太陽電池100に衝突すると、光子は、太陽電池材料を一直線に透過する-これは一般に、エネルギーのより低い光子の場合に生じる-か、太陽電池の表面から反射されるか、又は好ましくは、太陽電池材料に吸収される-光子エネルギーがシリコンバンドギャップよりも高い場合-電子-正孔対を生成する。
【0008】
光子が吸収される場合、光子のエネルギーは太陽電子材料内の電子に与えられる。通常、この電子は荷電子帯にあり、近傍の原子間の共有結合において強く結合され、したがって、遠くに移動することができない。光子によって電子に与えられたエネルギーは、電子を伝導帯に「励起」させ、伝導帯では、電子は太陽電池100内で自在に動き回ることができる。電子が前に一部であった共有結合はここでは、1つ少ない電子を有する-これは正孔として知られている。共有結合の欠損の存在により、近傍の原子の結合電子は正孔内に移動することができ、別の正孔を後に残す。このようにして、正孔も太陽電池100を通して効率的に移動することができる。したがって、太陽電池100に吸収された光子は、可動電子-正孔対を生成する。
【0009】
可動電子-正孔対は、電極101a、101bに向かって拡散又はドリフトする。通常、電子は、負電極に向かって拡散/ドリフトし、正孔は正電極に向かって拡散/ドリフトする。キャリア(例えば、電子)の拡散は、キャリアが電場によって捕捉されるまで、ランダム熱運動に起因する。キャリアの拡散は、太陽電池100の活性場にわたり確立される電場によって駆動される。薄膜太陽電池では、電荷キャリア分離の支配的なモードは、薄膜太陽電池の厚さ全体を通して延びるp-n接合110の静電場によって駆動されるドリフトである。しかし、活性領域に電場が略ないより厚い太陽電池の場合、電荷キャリア分離の支配的なモードは拡散である。少数キャリアの拡散長(すなわち、光子生成キャリアが再結合される前に移動することができる長さ)は、より厚い太陽電池では長くなければならない。
【0010】
最終的に、p-n接合110のn型側に生成され、p-n接合110によって「収集」され、n型側に掃引される電子は、電力を外部負荷30に提供し(電極101aを介して)、太陽電池100のp型側に戻る(電極101bを介して)ことができる。p型側に戻ると、電子は、p型側の電子-正孔対として生成されるか、又はn型側からp-n接合110にわたり掃引された正孔と再結合することができる。
【0011】
図1に示されるように、電子-正孔対は、電子-正孔対が生成されるポイントから電子-正孔対が電極101a、101bにおいて収集されるポイントまで回り道を移動する。電子-正孔対が移動する経路は長いため、電子又は正孔が別の正孔又は電子と再結合する十分な機会が存在し、再結合は、任意の外部負荷30への電流の損失を生じさせる。別の言い方をすれば、電子-正孔対が生成されるとき、キャリアの1つはp-n接合110に到達し(収集キャリア)、太陽電池100によって生成される電流に寄与し得る。代替的には、キャリアは、セル電流に正味の寄与を有さずに再結合することができる。電荷再結合は、量子効率(すなわち、太陽電池100場合、電流に変換される光子の割合)を下げ、したがって、太陽電池100の全体効率を下げる。
【0012】
太陽電池100又は太陽パネル10のコストは通常、公称条件下で生成することができるピーク電力のワット当たりのドル数という単位で与えられる。高効率太陽電池は、太陽エネルギーのコストを低減させる。太陽発電システム又は太陽発電所のコストの多くは、必要とされる太陽パネルの数及びパネルを搭載するために必要な(土地)面積に比例する。効率の高い太陽電池ほど、所与のエネルギー出力で必要とされる太陽パネルの数及びシステムの配備に必要な面積を低減することができる。パネル数及び使用スペースのこの低減は、セル自体のコストがより高い場合であっても、発電所の合計コストを低減し得る。
【0013】
最終的な目標は、太陽発電のコストを、天然ガス、石炭、及び/又は燃料油を利用して発電する従来の発電所に匹敵させるか、又はそれ未満にすることである。大規模な中央発電所を必要とする最も従来的な発電手段とは異なり、太陽発電システムは、電気事業者による大規模な中央ロケーション、電力のコストの相殺に役立つように商業ビルに、及び住宅毎に配備することができる。
【0014】
太陽電池のコストを低減し、効率を増大させる最近の試みは、太陽電池に使用される様々な材料及び様々な製作技法をテストすることを含む。別の手法は、p-n接合110の周囲に形成される空乏領域を強化して、太陽電池100を通る電荷キャリアの移動を強化しようと試みる。例えば、1991年5月3日に出願され、Hingoraniらに付与された米国特許第5,215,599号明細書(「Hingorani」)及び2010年12月3日の出願日への優先権を主張する2011年12月2日に出願され、Fornageに付与された米国特許第8,466,582号明細書(「Fornage」)を参照のこと。これらの開示は全体的に、参照により本明細書に援用される。
【0015】
しかし、太陽電池100を通る電荷キャリアの移動を強化するこれらの従来の手法では、太陽電池100の基礎構造を変更する必要がある。Hingorani及びFornageは、例えば、変更された太陽電池構造を使用する太陽電池に外部電場を印加することを開示している。外部電場を印加するには、電場を誘導する電極間に電圧を印加する必要がある(以下の式2を参照して更に詳細に説明する)。太陽電池100の基礎構造を変更しない場合、電圧を太陽電池100の既存の電極101a、101bに印加すると、外部負荷30を通して印加電圧が短絡する。別の言い方をすれば、太陽電池100の電極101a、101bへの電圧の印加は、外部電場を生成し、電荷キャリアの移動を強化するには非効率である。したがって、Hingorani及びFornageに開示される手法等の従来の手法では、太陽電池100のベースに1組の外部(且つ電気的に絶縁された)電極を挿入すること等により、太陽電池100の基礎構造を変更する必要がある。この手法には幾つかの欠点がある。
【0016】
例えば、外部電極は、製作プロセス中に太陽電池100に配置されなければならない-外部電極を既存の太陽電池又はパネルに追加導入することは略不可能である。製作プロセスへのこの変更は、製造コストを大幅に増大させるとともに、製造歩留まりを大幅に低減する。さらに、太陽電池100の前側、すなわち入射側を覆うように外部電極を配置することは、太陽電池100に達する光エネルギーを低減させ、それにより、生成される電力出力を低下させる。
【0017】
更なる欠点として、太陽電池100の電力出力の大幅な改善をもたらすために、かなりの電圧を太陽電池100の外部電極に印加しなければならない。例えば、Fornageは、印加される電場を効率的にし、太陽電池100の電力出力を増大させるために、約「1,000代」のボルトの電圧を外部電極に供給しなければならないことを開示している。この電圧の大きさは、サービス提供に特殊な訓練と、既存又は新しい太陽パネル配備に現在存在していない追加の高電圧機器及び配線とを必要とする。例として、外部電極と太陽電池100との間の絶縁層は、高い印加電圧に耐えるのに十分でなければならない。絶縁層の不具合が生じる場合、太陽電池100のみならず、故障した太陽電池に直列接続又は並列接続された全ての太陽パネル10及び外部負荷30(又はインバータ31)も破損する大きなリスクがある。
【0018】
更なる欠点として、変動する照明状況(例えば、雲が太陽を覆うこと及び/又は通常の天気変動に起因する)は、従来の太陽電池及び太陽パネルの電力出力に不安定性を生じさせるおそれがある。例えば、
図2を参照すると、インバータ31は通常、静的で変動しない電圧及び電流入力を必要とする。
図2に示されるように、太陽パネル10は、入力電圧及び入力電流をインバータ31に提供する。しかし、時変照明状況は、太陽パネル10からの出力を変動させるおそれがある(例えば、約数秒以下で)。インバータ31に供給される電圧及び電流の変動は、例えば、周波数、電圧、及び高調波成分に関してインバータ31によって出力される電力の品質を損なう。変動する照明状況に打ち克つ従来の努力は、インバータ31の入力に電池又はキャパシタを配置することを含むが、不都合なことに、これらの変動を最小に抑えるのみである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上記に鑑みて、従来の太陽電池システムの上述した障害及び欠陥を解消するために、電子-正孔対の可動性の増大投の効率及び電力出力を増大させる改善された太陽電池システム及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示は、光起電デバイスの電力出力を最適化するシステム並びにそのシステムを使用する方法及び製作する方法に関する。本明細書に開示される第1の態様によれば、光起電デバイスを管理する方法が記載され、本方法は、
電圧信号の第1の構成要素を光起電デバイスに印加することであって、第1の構成要素は、光起電デバイスにわたり外部電場を生成するオン状態を表す、第1の構成要素を印加することと、
電圧信号の第2の構成要素を光起電デバイスに印加することであって、第2の構成要素はオフサイクルを表す、第2の構成要素を印加することと
を含む。
【0021】
開示される方法の幾つかの実施形態では、第1の構成要素を印加することは、電圧パルサ回路から高電圧の時変電圧パルスを印加することを含み、第2の構成要素を印加することは、電圧パルサ回路を遮断することを含む。
【0022】
開示される方法の幾つかの実施形態では、第1の構成要素を印加することは、電圧源及び光起電デバイスを電圧源と光起電デバイスとの間に配置されるスイッチの第1の位置において接続することを含み、上記第2の構成要素を印加することは、スイッチの第2の位置において電圧源及び光起電デバイスを切断することを含む。
【0023】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、光起電出バイスにわたり結合される電圧プローブを介して、光起電デバイスの出力電圧をモニタすることと、光起電デバイスと光起電デバイスによって駆動される負荷との間に直列結合される電流センサを介して、光起電デバイスの出力電流をモニタすることとを更に含む。
【0024】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、電圧源に結合される制御回路を介して、上記モニタリングに基づいて、第1の構成要素の大きさ、持続時間、及び周波数のうちの少なくとも1つを調整することであって、それにより、電力出力を最大にする、調整することを更に含む。
【0025】
本明細書に開示される別の態様によれば、光起電デバイスを管理する方法が記載され、本方法は、
電圧源を光起電デバイスに結合できるようにすることと、
電圧源によって生成される電圧信号を光起電デバイスに印加することであって、電圧信号は、光起電デバイスにわたり外部電場を生成する第1の状態と、オフサイクルを表す第2の状態とを有する、電圧信号を印加することと
を含む。
【0026】
開示される方法の幾つかの実施形態では、電圧源を光起電デバイスに結合できるようにすることは、
光起電デバイスにわたり時変電圧パルスを提供する電圧パルサ回路を光起電デバイスに結合できるようにすることであって、時変電圧パルスは第1の状態及び第2の状態を提供する、電圧パルサ回路を光起電デバイスに結合できるようにすること、及び
スイッチを電圧源と光起電デバイスとの間に結合できるようにすることであって、スイッチは、第1の状態を生成する第1の位置において電圧源及び光起電デバイスを接続し、第2の状態を生成する第2の位置において電圧源及び光起電デバイスを切断する、スイッチを電圧源と光起電デバイスとの間に結合できるようにすること
のうちの少なくとも一方を含む。
【0027】
開示される方法の幾つかの実施形態では、電圧信号を印加することは、電圧パルサの切り換えトランジスタが、第1の状態を生成するオン位置にあるとき、電圧パルサ回路の高電圧源の出力を光起電デバイスに印加し、電圧パルサ回路のパルス生成器が、切り換えトランジスタを、第2の状態を生成するオフ位置にするまで、上記高電圧源の出力印加を継続することを含む。
【0028】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、制御回路をスイッチ及び電圧パルサ回路のうちの少なくとも一方に結合できるようにすることを更に含む。
【0029】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、電圧プローブを光起電デバイスにわたり結合できるようにすることであって、それにより、光起電デバイスの出力電圧をモニタする、電圧プローブを結合できるようにすることと、電流センサを光起電デバイスと光起電デバイスの負荷との間に直列結合できるようにすることであって、それにより、光起電デバイスの電流出力をモニタする、電流センサを直列結合できるようにすることとを更に含む。
【0030】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、出力電圧及び出力電流をモニタすることと、上記モニタに基づいて、制御回路を介して第1の状態の大きさを調整することであって、それにより、電力出力を最大にする、調整することとを更に含む。
【0031】
開示される方法の幾つかの実施形態では、電圧信号を印加することは、第1の方向及び第2の方向のうちの少なくとも一方を有する外部電場を生成することを含み、第1の方向及び光起電デバイスの内部電極の極性は同じ方向であり、光起電デバイスの電力出力を増大させ、第2の方向は、内部電極の極性とは逆の方向であり、電力出力を低減する。
【0032】
開示される方法の幾つかの実施形態では、電圧源を光起電デバイスに結合できるようにすることは、電圧源を太陽電池、太陽電池のアレイ、太陽パネル、及び太陽パネルのアレイのうちの少なくとも1つに結合できるようにすることを含む。
【0033】
本明細書に開示される別の態様によれば、光起電デバイスを管理する方法が記載され、本方法は、
電圧パルサを光起電デバイスに結合できるようにすることと、
電圧パルサによって生成される電圧信号を光起電デバイスに印加することであって、電圧信号は、光起電デバイスにわたり外部電場を生成する第1の状態と、オフサイクルを表す第2の状態とを有する、電圧信号を印加することと
を含む。
【0034】
開示される方法の幾つかの実施形態では、電圧信号を印加することは、調整可能な電圧を光起電デバイスに印加することを含む。
【0035】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、負荷への電圧信号の遮断周波数が所定の周波数よりも高い場合、1つ又は複数の直列インダクタを電圧パルサと光起電デバイスの負荷との間に結合できるようにすることを更に含む。
【0036】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、電圧パルサに結合される制御回路を介して、第1の状態及び第2の状態の周波数及び持続時間のうちの少なくとも一方を制御することを更に含む。
【0037】
本明細書に開示される別の態様によれば、光起電デバイスを管理する方法が記載され、本方法は、
スイッチの第1のポートを光起電デバイスに結合できるようにすることと、
スイッチの第2のポートを、光起電デバイスによって駆動される負荷に結合できるようにすることと、
スイッチの第3のポートを電圧源に結合できるようにすることであって、スイッチは、光起電デバイスと電圧源との間に電流路を提供する第1の位置及び光起電デバイスと負荷との間に電流路を提供する第2の位置で動作することができる、第3のポートを電圧源に結合できるようにすることと、
スイッチが第1の位置にあるとき、電圧源によって生成される電圧信号を光起電デバイスに印加することであって、電圧信号は、スイッチが第1の位置にあるとき、光起電デバイスにわたり外部電場を生成する第1の状態と、スイッチが第2の位置にあるとき、電圧源と負荷との間に電気的絶縁を提供する第2の状態とを有する、電圧信号を光起電デバイスに印加することと
を含む。
【0038】
開示される方法の幾つかの実施形態では、スイッチの第1のポートを光起電デバイスに結合できるようにすることは、双投スイッチの第1のポートを光起電出バイスに結合できるようにすることを含む。
【0039】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、双投スイッチに結合されるスイッチコントローラを介して、第1の位置と第2の位置とを切り換える周波数及び持続時間のうちの少なくとも一方を制御することを更に含む。
【0040】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、第1の構成要素の任意の電圧降下を軽減するデバイスを負荷と光起電デバイスとの間に結合できるようにすることを更に含む。
【0041】
開示される方法の幾つかの実施形態では、電圧信号を印加することは、調整可能な電圧を光起電デバイスに印加することを含む。
【0042】
開示される方法の幾つかの実施形態では、本方法は、光起電デバイスと負荷との間に直列結合される電流センサによって測定される光起電デバイスの出力電流と、光起電デバイスにわたり結合される電圧プローブによって測定される光起電デバイスの出力電圧とに基づいて、電圧源及びスイッチに結合される制御回路を介して第1の状態及び第2の状態の周波数、大きさ、及び持続時間のうちの少なくとも1つを制御することを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】従来技術の太陽電池の実施形態を示す例示的な上部レベル断面図である。
【
図2】
図1の太陽電池を使用する従来技術の太陽パネルアレイの一実施形態を示す例示的な上部レベルブロック図である。
【
図3】太陽電池管理システムの実施形態を示す例示的な上部レベルブロック図である。
【
図4】太陽パネルアレイがスイッチを通して電圧源に結合される、
図3の太陽電池管理システムの代替の実施形態を示す例示的なブロック図である。
【
図5A】
図4の太陽パネルアレイと併用されるスイッチの入力及び出力の時間の関数としての印加電圧を示す例示的な波形である。
【
図5B】
図4の太陽パネルアレイと併用されるスイッチの入力及び出力の時間の関数としての印加電圧を示す例示的な波形である。
【
図5C】
図4の太陽パネルアレイと併用されるスイッチの入力及び出力の時間の関数としての印加電圧を示す例示的な波形である。
【
図5D】
図4の太陽パネルアレイと併用されるスイッチの入力及び出力の時間の関数としての印加電圧を示す例示的な波形である。
【
図6】太陽パネルアレイが電圧パルサ回路に結合される、
図3の太陽電池管理システムの別の代替の実施形態を示す例示的なブロック図である。
【
図7】
図6の太陽パネルアレイと共に使用される時間の関数としての印加電圧を示す例示的な波形である。
【
図8】
図6の電圧パルサ回路の一実施形態を示す例示的なブロック図である。
【
図9A】太陽電池管理システムが制御回路を含む、
図4の太陽電池管理システムの代替の実施形態を示す例示的なブロック図である。
【
図9B】
図9Aに示される制御回路の状態図を示す例示的なフローチャートである。
【
図10A】太陽電池管理システムは制御回路を含む、
図6の太陽電池管理システムの代替の実施形態を示す例示的なブロック図である。
【
図10B】
図10Aに示される制御回路の状態図を示す例示的なフローチャートである。
【
図11A】
図3の光起電デバイスの改善された電流出力に対する印加電圧の関係の実施形態を示す例示的な波形である。
【
図11B】
図3の光起電デバイスの改善された電流出力に対するパルス周波数の関係の実施形態を示す例示的な波形である。
【
図11C】
図3の光起電デバイスの改善された電流出力に対するパルス幅の関係の実施形態を示す例示的な波形である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図が一定の縮尺で描かれておらず、同様の構造又は機能の要素が一般に、図全体を通して、例示のために同様の参照番号によって表されることに留意されたい。図が、好ましい実施形態の説明の促進のみを意図することにも留意されたい。図は、説明される実施形態のあらゆる態様を示しているわけではなく、本開示の範囲を限定しない。
【0045】
現在利用可能な太陽電池システムは、光起電電池の電力出力を最大にすることができないため、電子-正孔対の可動性を増大させ、半導体材料での再結合電流を低減する太陽電池システムは、太陽パネルとして構成された太陽電池の効率及び電力出力を増大させる等のために、望ましい太陽電池システムを提供するとともに、多種多様な太陽電池システムのベースを提供することができる。この結果は、
図3に示されるような太陽電池管理システム300により、本明細書に開示される一実施形態により達成することができる。
【0046】
図3を参照すると、太陽電池管理システム300は、多種多様な光起電デバイスとの併用に適する。一実施形態では、太陽電池管理システム300は、
図1に示される太陽電池100との併用に適することができる。例えば、太陽電池100は、結晶シリコンのウェーハベース電池(第一世代)、非晶質シリコン電池を含む薄膜太陽電池(第二世代)、及び/又は第三世代電池等の太陽電池の任意の適する世代を表すことができる。太陽電池管理システム300は有利なことに、構造的変更及び関連する欠点なしで、任意の世代の太陽電池100と併用することができる。
【0047】
別の実施形態では、太陽電池管理システム300は、
図2に示される太陽パネル10等の複数の太陽電池100との併用に適することができる。上述したように、複数の太陽電池100を一緒に結合して(直列及び/又は並列)、太陽パネル10を形成することができる。太陽パネル10は、地面搭載、屋根搭載、ソーラー追跡システム、固定ラック等を介して支持構造体(図示せず)に搭載することができ、地上用途及び衛星搭載用途の両方に利用することができる。同様に、太陽電池管理システム300は有利なことに、太陽パネル10の構造的変更及び関連する欠点なしで、任意の世代の太陽電池10と併用することができる。
【0048】
図3に示されるように、光起電デバイス200は電場250と協働する。幾つかの実施形態では、電場250の極性は、光起電デバイス200内の電極101a、101b(
図1に示される)の極性と同じ方向又は逆の方向のいずれかで印加することができる。例えば、電場250を光起電デバイス200内の電極101a、101bの極性と同じ方向で印加する場合、電場250は、光起電デバイス200内の電子-正孔対に作用して、力-e
-E又はh
+Eを電子又は正孔にそれぞれかけ、それにより、各電極に向けた電子及び正孔の可動性を加速化させる。代替的には、電場250の極性が逆になる場合、光起電デバイス200内の電子-正孔対の可動性は低減し、それにより、光起電デバイス200内の再結合電流を増大させる。したがって、光起電デバイス200の効率は、光起電デバイス200の電力出力の管理等のために、所望に応じて低減することができる。
【0049】
さらに、光起電デバイス200に印加される電場250は、所望に応じて静的又は時変であることができる。電場250は、時変である場合、非ゼロの時間平均大きさを有する。別の言い方をすれば、電子及び正孔への正味の力は非ゼロであり、光起電デバイス200の電子-正孔対の可動性の増大を提供する。
【0050】
外部負荷30(
図1に示される)がない状態で、
図1の従来の太陽電池100に印加される場合、外部電圧は太陽電池100の電極101a、101bにわたり印加されて、電場250を生成することができる。一実施形態では、電場250(例えば、電極101aと101bとの間)は、式1によって定義される。
【0051】
【0052】
式1中、Eは電場250を表し、VAPPは、光起電デバイス200に外部から印加される電圧であり、VPは、光起電デバイス200の電圧出力(例えば、~30ボルト)であり、tは、電極101aから101bまでの光起電デバイス200内の半導体材料の厚さである。例えば、VAPP-VP=200ボルト(公称)であり、厚さtが約0.02cmであると仮定すると、電場250は約10Kボルト/cmである。式1から、光起電デバイス200の厚さtが低減するにつれて(例えば、0.01cm未満)、同じ又はより低い電圧を使用して高い電場250を生成可能なことが分かる。
【0053】
上述したように、光起電デバイス200は通常、太陽電池100の負荷30等の外部負荷を駆動する。式1を参照して、外部電圧VAPPを、外部負荷30を駆動する光起電デバイス200に直接に印加する場合、外部負荷30は、印加電圧VAPPの電圧源から電流を消費する抵抗性構成要素を含むことができる。別の言い方をすれば、光起電デバイス200に外部電圧VAPPを印加することは、式2によって表される電力を全体回路に効率的に供給することができる。
【0054】
【0055】
式2中、RLは外部負荷30のインピーダンスを表す。幾つかの場合、入力電力は、光起電デバイス200の電力出力よりもはるかに大きいことができる。したがって、太陽電池管理システム300は、光起電デバイス200が生成可能なエネルギー又は光起電デバイス200にわたり電場を印加することによって得られるエネルギーよりも多くのエネルギーを注入せずに、光起電デバイス200にわたり電場250を印加するように構成される。
【0056】
太陽電池管理システム300は、
図4に示されるようなスイッチの使用を含め、本明細書に記載される任意の適する手段を使用して外部電圧V
APPを光起電デバイス200に印加することができる。
図4を参照すると、光起電デバイス200は、示されるような太陽電池100及び/又は太陽パネル10等の任意の数の光起電デバイスを表すことができる。太陽パネル10は、示されるように単極双投(又は三路)スイッチ等のスイッチ55に接続される。一実施形態では、スイッチ55は、電圧源50及び外部負荷R
L(例えば、インバータ31として示される)にも結合される。インバータ31は、DC電圧及びDC電流をAC電圧及びAC電流に変換することができ、このAC電圧及びAC電流は通常、従来のAC送電網の電圧及び周波数と互換性を有する。インバータ31の出力周波数及びAC電流/電圧の振幅は、電流、ロケーション、及び地域の送電要件に基づくことができる。
【0057】
電圧源50は、理想的な電圧源、被制御電圧源等を含め、定電圧を維持する任意の適する手段を含むことができる。しかし、
図9Aを参照して以下に示される実施形態等の幾つかの実施形態では、電圧源50は、可変の調整可能な出力(例えば、時変電圧)を有することができる。スイッチ制御デバイス(又はコントローラ)45がスイッチ55に結合されて、太陽パネル10への接続の持続時間及び/又は電圧源50とインバータ31との切り換え等の切り換えの周波数を制御する。スイッチコントローラ45は、一定の切り換え持続時間D及び切り換え周波数f(
図5A~
図5Cに示される)で動作するように予め設定することができる。スイッチ55の第1の位置において印加される電圧は、一定であり、電圧源50に基づくことができる。幾つかの実施形態では、電圧源50によって印加される電圧の大きさ、接続の持続時間D、及び/又は切り換えの周波数fは、予め設定してもよく、且つ/又は負荷の状況に基づいて変更されてもよい。
【0058】
例えば、スイッチ55は、第1の位置(
図4のスイッチ55において矢印で示されるように)において、太陽パネル10を電圧源50に接続する。第1の位置で接続される場合、電圧源50は、電圧を太陽パネル10の電極101a、101b(
図1に示される)にわたり電圧V
APPを印加し、電場250を各太陽パネル10にわたり誘導する(
図3に示される)。電場250が太陽パネル10にわたり確立されると、スイッチ55は、第2の位置において太陽パネル10をインバータ31(すなわち、負荷R
L)に接続するように切り替わる。したがって、電圧源50は、太陽パネル10及びインバータ31に同時に接続せずに、電場250を提供することができる。したがって、式2を再び参照すると、外部電圧V
APPの印加は、負荷R
L(例えば、インバータ31)に電圧源50から直接電流を消費させない。
【0059】
太陽パネル10への電場250の印加は、太陽パネル10が続けて、第2の位置においてインバータ31に接続される場合、所定量だけ太陽パネル10の電流及び電力出力を増大させることができる。所定量は、太陽パネル10に入射する光の強度、電圧源50によって太陽パネル10に印加される電圧VAPP、太陽パネル10の厚さ、電圧源50が太陽パネル10に接続される周波数f、及び第1の位置と第2の位置との切り換えプロセスのデューティサイクルに依存し、デューティサイクルは、太陽パネル10が電圧源50に接続される時間量を切り換え時間1/fで除算(すなわち、周波数fで乗算するか、又は信号の全周期で除算)したものとして定義される。切り換え持続時間D、切り換え周波数f、及びデューティサイクルが全て、任意の2つの数量の定量化により、第3の数量の特定が可能なように相互に関連する数量であることに留意されたい。例えば、切り換え周波数及びデューティサイクルの指定により、切り換え持続時間Dを特定することができる。例えば、高強度光状況下では、電力出力の改善は約20%であることができ、低光状況下では、50+%であることができる。
【0060】
図4に示される実施形態は有利なことに、追加の外部電極を含むように太陽パネル10及び/又は太陽電池100を変更する必要なく、電場250を光起電デバイス200に提供する。
【0061】
幾つかの実施形態では、キャパシタ41、インダクタ42、及び/又は電池43等のエネルギー貯蔵デバイスをインバータ31の前に配置して、スイッチ55が第1の位置にある間、インバータ31によって見られる任意の電圧降下を軽減することができる。したがって、スイッチ55が第1の位置にあり、電場250が太陽パネル10にわたり確立されているとき(すなわち、
図5A~
図5Dに示される切り換え時間D)、インバータ31(すなわち、負荷)が太陽パネル10から切断されている間、エネルギー貯蔵デバイスは、エネルギーをインバータ31に供給して、この切り換え期間中、電流が流れている状態を保つ。別の言い方をすれば、エネルギー貯蔵デバイスは、太陽パネル10がインバータ31から切断されている間、放電することができる。
【0062】
したがって、電圧源50からの定電圧-これは電場250を生成する-は、太陽パネル10の電力出力を改善するために、常に印加される必要はない。例えば、持続時間切り換え時間Dが公称10~2000nsであり、VAPPが公称100~500+ボルトであり、切り換え周波数fが20μ秒である場合、公称0.1~10%のデューティサイクルを使用することができる。インダクタ42、キャパシタ41、及び/又は電池43は、太陽パネル10が切断され、電場250が太陽パネル10にわたり配置されて、インバータ31の出力を降下させないようにしている間、十分な放電を提供するのに十分なサイズのものが選ばれる。
【0063】
例えば、負荷(例えば、インバータ31)にわたり配置されるキャパシタ41のサイズは、インバータ31が切り換え時間D中に耐えることができる許容可能な電圧降下によって決まる。例えば、切り換え時間D中の電圧降下が、光起電デバイス200によって生成される最大電圧の90%を下回るべきではない場合、キャパシタは、式3に従うようなサイズのものである必要がある。
【0064】
【0065】
式3中、Dは、スイッチが電圧源50に接続される持続時間であり、MaxVは、所要最大電圧の割合(例えば、上記例では90%)である。同様に、インダクタンス及び/又は電池も計算することができる。
【0066】
図5Aは、
図4の太陽電池管理システム300を使用してスイッチ55をアクティブ化し制御する、スイッチコントローラ45からの時間の関数としての制御電圧を示す。この例では、太陽パネル10は、スイッチ55の第1の位置において持続時間Dにわたり、インバータ31から切断され、電圧源50に接続されており、これは1/f秒毎に繰り返される。
図5Bは、第1の位置においてスイッチ55に提供される、電圧源50からの時間の関数としての電圧を示す。
図5Cは、第2の位置においてインバータ31に結合されるスイッチ55の出力での、時間の関数としての太陽パネル10(並列配線される場合)からのスイッチ55の出力電圧を示す。同様に、
図5Dは、間に結合されたキャパシタ41を有するインバータ31に接続するスイッチ55の出力における、時間の関数としての電圧を示す。
【0067】
切り換え持続時間Dの終わりに
図5Dに示されるインバータ31が受ける電圧降下は、上述した電圧降下に指定される。電圧降下は、キャパシタ41、インダクタ42、及び/又は電池43のサイズに依存する。キャパシタ41、インダクタ42、又は電池43を含まないシステム300の一例では、インバータ31の入力にわたり印加される電圧は、
図5Cに示される出力電圧として見られる。
【0068】
図6は、
図3の太陽電池管理システム300の代替の実施形態を示す。
図6を参照すると、光起電デバイス200は、示されるように、太陽電池100及び/又は太陽パネル10等の任意の数の光起電デバイスを表すことができる。示されるように、太陽パネル10は並列に配線されるが、直列又は任意のそれらの組合せで配線することもできる。
【0069】
高電圧パルス生成器等の電圧パルサ60が、時変電圧パルス71(
図7に示される)を太陽パネル10のうちの1つ又は複数にわたり印加することができる。一実施形態では、電圧パルス71の持続時間D
Pは、短い-公称で10~2000ns-ことができ、大きさは高い-公称で100~500+ボルト-であることができる。
図6に示される実施形態では、印加電圧、パルス幅、及びパルス反復率は、選択された動作条件下で最適な性能を提供する所定のレベルに固定される。例えば、
図6及び
図7を参照すると、電圧パルス71は、約1000nsの持続時間D
Pを有し、この電圧パルス71は、1/fの周期で繰り返される。電圧パルス71の持続時間D
P及び電圧パルス71の周波数fは、電圧インバータ31内のインダクタのリアクタンスが電圧パルサ60に対して高いインピーダンスを提示するように選ばれ、この高いインピーダンスは、太陽パネル10の電極101a、101b(
図1に示される)にわたり、インバータ31によって短絡されない高電圧を生成させることができる。
【0070】
さらに、直列インダクタ(図示せず)をインバータ31の入力に配置することができ、直列インダクタは、インバータ31への電流入力を取り扱い、電圧パルス71がインバータ31の抵抗構成要素によって減衰されない(又は事実上短絡しない)ように、RFチョークとして機能する。デューティサイクル(パルスがオンである時間/パルスがオフである時間)は公称で0.1~10%であることができる。
【0071】
光起電デバイス200に課される電場250の強度は、光起電デバイス200の厚さ、光起電デバイス200の材料及び誘電率、光起電デバイス200の最大絶縁破壊電圧等の光起電デバイス200の構造の関数である。
【0072】
図7に示される電圧パルス71では、この波形のフーリエ分析により、周波数ω=nω
oを有する一連のパルスが生成され、ここで、ω
o=2πfであり、パルスの強度は式4によって与えられる。
【0073】
【0074】
式4中、nは-∞~+∞の一連の整数である。したがって、0次パルス(すなわち、n=0)は、抵抗負荷R
Lを通して短絡されるDC構成要素を有する。太陽パネル10にわたり印加される一次電圧パルス71はV
APP(1-D
P/f)であり、ここで、D
P/fはパルスのデューティサイクルであり、D
Pはパルス持続時間であり、fはパルスの反復率である。インバータ31のインダクタンスは、
図6の実施形態によって生成される電圧パルス71に対して高インピーダンスZとして機能するため、高電圧パルス71が各太陽パネル10にわたり生成され、これは太陽パネル10にわたり高電場250を生成する。
【0075】
図6に示されるように、電圧インバータ31は外部負荷R
Lを表す。しかし、外部負荷R
Lは、1組のインダクタを負荷R
Lと直列に配置して、RFチョークとして機能し、それにより、電圧パルス71(及び電場250)が太陽パネル10にわたり印加されるような純粋に抵抗性の構成要素を含むことができる。
【0076】
任意の数の回路を電圧パルサ60に使用して、所望に応じて電圧パルス71を印加することができる。電圧パルサ60で使用されるそのような例示的な一回路を
図8に示す。示されるように、電圧パルサ60は、パルス生成器61(図示せず)、高電圧源69(図示せず)、及び
図6に示される太陽パネル10に高電圧パルス71を印加する切り換えトランジスタ68(例えば、高電圧源69の出力を太陽パネル10に切り換えることにより)を含む。
図8の電圧パルサ60は、光遮断器62等の、光を使用して電気信号を2つの電気的に絶縁された回路間で移送して、パルス生成器61を高電圧切り換えトランジスタ68から絶縁するデバイスを含む。有利なことに、光遮断器62は、高電圧(例えば、高電圧源69からの)がパルス信号71に影響しないようにする。光遮断器62は、ピン1~8を有して示されており、電圧パルサ60への入力回路の一部として示されている。
【0077】
バイアス電圧源63(図示せず)が、電圧(例えば、15VDC)を光遮断器62に提供して、光遮断器62が必要とするバイアスを供給する。キャパシタ64が、バイアス電圧源63を絶縁し、歪んだバイアス源から光遮断器62への任意の信号のAC路を生成する。光遮断器62のピン6及び7は、高電圧切り換えトランジスタ68の駆動に使用される光遮断器62の切り換え信号出力である。ダイオード66-ツェナーダイオード等-が使用されて、切り換えトランジスタ68の切り換え閾値をダイオード66の設定点上に維持し、いかなるノイズも不注意で切り換えトランジスタ68をトリガーしないようにする。抵抗67は、切り換えトランジスタ68のゲートG及びエミッタEのバイアス点を設定する。光遮断器62のピン6及びピン7にわたり印加される電圧が、抵抗67によって設定される閾値を超える場合、切り換えトランジスタ68は「オン」になり、電流は、高電圧切り換えトランジスタ68のコレクタCとエミッタEとの間で流れる。したがって、高電圧切り換えトランジスタ68は、パルス生成器61からの制御パルスINが、高電圧切り換えトランジスタ68のGにおいて設定閾値を下回るまで、注入高電圧源を太陽パネル10に提示し、設定閾値を下回ると、C-Gにわたる電流を停止させ、切り換えトランジスタ68を「オフ」にする。
【0078】
上述した前の実施形態と同様に、太陽パネル10への電場250の印加は、所定量(例えば、太陽パネル10に入射する光の強度、電圧源50により太陽パネル10に印加される電圧VAPP、太陽パネル10の厚さ、パルス幅DP、及び電圧パルス71が太陽パネル10に印加される周波数f等に依存)だけインバータ31に続けて接続される場合、太陽パネル10の電流及び電力出力を増大させることができる。同様に、高強度光状況下では、太陽パネル10の電力出力の改善は約20%であることができ、低光状況下では、50+%であることができる。
【0079】
電場250と協働した光起電デバイス200の性能の改善は、式5に示されるように、太陽電池の短絡回路電流ISCの増大として測定することができる。
【0080】
【0081】
式中、IBaseは、外部電場250が印加されない場合の短絡回路電流であり、pmaxは最大光強度であり、それにより、いかなる追加の強度もいかなる追加の電子-正孔対も生じさせない。太陽電池の電流出力の改善は電場250によって引き起こされるため、c(V(τ,f),t,ε)の形態は式6によって記述することができる。
【0082】
【0083】
式6中、m(t,ε)は光起電デバイス200に依存する。電場250に起因する短絡回路電流I
SCの改善は、印加電圧V
APPと線形であることができる。パルス反復率に関して観測される改善は、特徴的な遅延率(1/f
decay)を有し、パルス率fに関して指数的に挙動する。パルス幅τに関して観測される改善も指数的に挙動し、印加電圧V
APPが最大の大きさにいかに素早く達するかを記述することができる。パルス幅τに関して観測される改善は、電圧パルサ60の詳細に依存する。印加電圧V
APP、パルス反復率f、及びパルス幅τの関数としての短絡回路電流I
SCの増大は、それぞれ
図11A~
図11Cに示される。
【0084】
図11Aは、印加電圧パルスV
APPの大きさの関数としての、太陽パネル10(
図2に示される)での短絡回路電流I
SCの予期される改善を示す。示されるように、パルス幅及びパルス反復率は一定であり、パルス電圧の大きさは50ボルト~250ボルトで変化する。短絡回路電流の改善ΔI
SCは、公称で0.1アンペア~2アンペア増大する。印加電圧パルスV
APPの関数としての短絡回路電流の変化ΔI
SCは、一次まで概ね線形である。
図11Bは、一定のパルス幅及び一定の電圧パルスでのパルス反復率の関数としての短絡回路電流の改善の変化ΔI
SCを示す。
図11Bに示されるように、短絡回路電流の改善ΔI
SCは、パルス反復率が任意の時間単位で10から100に低減するにつれて、約1.7アンペアから約0.45アンペアに低減する。この挙動は概ね指数的である。
図11Cは、一定のパルス反復率及び一定の電圧パルスでパルス幅の関数としての短絡回路電流の改善ΔISCの変化を示す。この例では、短絡回路電流の改善ΔI
SCは、パルス幅が時間の経過に伴って0から2000に増大するにつれて、0アンペアから1.2アンペアに増大する。
【0085】
記載の各実施形態において、太陽電池100又は太陽パネル10の電極101a、101bにわたる電場250の強度の増大は、太陽電池100又はパネル10の効率を、例えば最高で最大電場強度Emaxまで増大させる。別の言い方をすれば、電場250の強度が最大強度に達すると、電子-正孔再結合率は最小になっている。したがって、変化する動作状況下で出力電流及び出力電圧を最大にするように、光起電デバイス200の制御回路を構成することが有利であり得る。
【0086】
例えば、
図9Aを参照すると、電流センサ33及び電圧プローブ32は、
図4の太陽電池管理システム300に結合されて示される。示されるように、電流センサ33は、太陽パネル10とインバータ31との間に直列結合される。電流センサ33は、太陽パネル10の電流出力をモニタすることができる。同様に、電圧プローブ32は、太陽パネル10及びインバータ31にわたり接続されて、太陽パネル10の出力電圧をモニタする。
【0087】
制御回路35は、制御リード33aを介して電流センサ33に結合されるとともに、制御リード32aを介して電圧プローブ32に結合される。電流センサ33は、インライン又は誘導性測定ユニットであることができ、太陽パネル10の電流出力を測定する。同様に、電圧センサ32を使用して、太陽パネル10の電圧出力を測定する。電流センサ33から測定される電流と、電圧プローブ32から測定される電圧との積は、太陽パネル10からインバータ31への電力出力である。
【0088】
幾つかの実施形態では、電圧プローブ32は、制御回路35の電源として機能することもでき、太陽パネル10が照明され、制御回路35のアクティブ化に十分な電力を提供する場合のみ、アクティブである。制御回路35はスイッチ55に更に結合して、
図4を参照して考察した切り換え時間及び周波数を決定する。切り換え時間の持続時間及び周波数は、太陽電池100内で生成される電流並びに電流センサ33及び電圧プローブ32によって測定される電流の両方が、様々な又は可変の照明状況下等の様々な動作状況で最大になるように、太陽パネル10にわたり電圧V
APPを印加するように制御することができる。
【0089】
電場250を印加する一実施形態では、太陽パネル10は最初、例えば、夜間又は雲がかなり覆っている間、発電しない。太陽パネル10が照明されると(例えば、朝の間)、電圧及び電流が太陽パネル10により生成され、リード32aは電流及び電圧の両方を制御回路35に送り始める。制御回路35は、低電圧論理電源(図示せず)を含み、制御論理を制御回路35内で駆動する。制御回路35は、高電圧電源を提供する電源50も含む。電圧源50は、制御回路35によって調整可能な可変出力を有し、リード38へのVAPPの印加を担当する。制御回路35からの高電圧出力VAPPは、リード38を駆動し、スイッチ55に接続される。リード38は、スイッチ55を通して電圧VAPPを太陽パネル10に印加するために使用される。この例では、制御回路35は、低電圧論理電源及び高電圧電源の両方をアクティブ化するのに十分な電力が太陽パネル10によって生成されるまで、いかなる電圧VAPPも太陽パネル10に印加しないように構成される。
【0090】
代替の実施形態では、制御回路35は、日中の照明が増減するにつれて、電場250を印加し、電力出力を最大にするように構成することができる。制御回路35は、
図9Bに示されるプロセス9000を含め、上述した任意の方法により、電場250を提供し、太陽パネル10の電力出力を安定化することができる。
【0091】
図9Bを参照すると、プロセス9000は、ステップ900において、電力を初期化することを含む。制御回路35内の制御論理を動作させる低電圧論理電源と、リード38上及びスイッチ55を通して高電圧を印加するために必要な高電圧電源との両方をアクティブ化するために、太陽パネル10の出力から十分な電力が提示されなければならない。代替的には、制御回路35は、外部ソース(図示せず)-例えば、電池、大容量キャパシタ、外部AC電源から給電することができ、それにより、低電圧論理電源が動作可能であり、制御回路35が、太陽パネル10への電場250の印加が電力出力を増大させることを保証するのに十分な電力出力を太陽パネル10が生成するまで、太陽パネル10の電力出力をモニタすることができる。制御回路35は始動中であるため、全てのパラメータ(例えば、印加高電圧V
APP、切り換え持続時間D、及び切り換え周波数f)は初期化される。一実施形態では、印加高電圧V
APPはゼロに設定され、一方、切り換え持続時間D及び切り換え周波数fは、公称値であるD=τ
0及びf=f
0に設定される。全ての制御インデックスn、i、及びjはゼロに初期化される。
【0092】
次に、制御回路35は、ステップ901において、電圧プローブ32で測定された電圧が、所定の最小vminを上回るか、それとも下回るかを判断するとともに、電流センサ33で測定される電流が所定の最小iminを上回るか否かを判断する。vmin及びiminの組合せは、太陽パネル10が照明されており、幾らかの公称割合、例えば平均定格電力の5%を生成していると判断され、制御回路35内の電源50に供給して、太陽パネル10の出力を増大させるのに十分な電力が生成されるように選ばれている。制御回路35が、測定された電流及び電圧の両方がそれぞれの所定の最小を超えると判断する場合、制御回路35はここで、動作可能であり、プロセス9000はステップ903に移り、その他の場合、プロセス9000は、ステップ902において、待機状態になり、ステップ900に戻る。
【0093】
ステップ903において、制御回路35は、電流センサ33を介してインバータ31に流れる電流を測定し、電圧センサ32を介してインバータ31にわたる電圧を測定し、インバータ31を通って流れる電力(公称では電流×電圧)を計算する。制御インデックスnはn+1にインクリメントされる。
【0094】
ステップ904において、制御回路35は、VAPPをVmaxと比較する。Vmaxは予め設定される値であり、太陽パネル10又はインバータ31を破損させずに太陽パネル10に印加することができる最大電圧を表す。太陽パネル10のタイプに応じて、Vmaxは通常、600V~1,000Vである。VAPPがVmax未満の場合、プロセス9000はステップ906に進み、その他の場合、プロセス9000はステップ905において待つ。
【0095】
ステップ906において、制御回路35は、量nΔVだけ印加高電圧VAPPを増分させ、スイッチ55をアクティブ化する。スイッチ55のアクティブ化は、太陽パネル10をインバータ31から切断させ、太陽パネル10をリード38上で制御回路35からのVAPPに接続する。この例では、ΔVは、25ボルトの一定電圧ステップであり得るが、より大きな又はより小さな電圧ステップを使用することもできる。電圧VAPPは、電場250の強度が印加電圧VAPPに比例するような電場250を太陽パネル10に印加する。制御回路35内でのVAPPへの太陽パネル10の接続の持続時間は、インバータ31の動作を妨げないように選ばれる。この例では、デューティサイクルは5%であるように選ばれ(太陽パネル10は、制御回路35内で時間のうちの5%でVAPPに接続される)、切り換え時間のデフォルト持続時間は、公称で1000nsであるように選ばれる。所望に応じて、代替の切り換え時間を使用することもできる。制御回路35は再び、電流センサ33を介してインバータ31に流れる電流の測定値を受信し、電圧センサ32を介してインバータ31にわたる電圧の測定値を受信し、インバータ31を通って流れる電力を再計算する。
【0096】
ステップ908において、制御回路35は、VAPPが太陽パネル10に印加される前の太陽パネル10の電力出力を最新の測定値と比較する。電力が増大した場合、プロセス9000はステップ901に戻り、繰り返される。リード38に印加される電圧は、印加高電圧VAPPがVmaxよりも大きくなるまで、又は印加高電圧VAPPの増大が太陽パネル10の出力電力を増大させなくなるまで、ΔVだけ増大する。ここでも、Vmaxは、いかなる破損も生じさせずに、太陽パネルに印加することができる最大電圧として定義される。太陽パネル10のタイプに応じて、Vmaxは通常、約600V~約1,000Vである。両事例で、プロセス9000はステップ905において待つ。待機状態の持続時間は、数秒から数分であり得る。
【0097】
待機ステップ905の後、プロセス9000はステップ907に続く。リード32a及び33aを通して測定された電力が変更されていなかった場合、インデックスnはデクリメントされ(n=n-1)、太陽パネル10へのリード38上の印加電圧VAPPは、量ΔVだけ低減し、制御回路35はスイッチ55をアクティブ化する。プロセス9000はステップ909に続き、電力出力は電流センサ33及び電圧プローブ32によって測定される。電力出力が降下を示す場合、プロセス9000はステップ910に続く。電力出力が増大した場合、プロセス9000はステップ907に戻り、印加電圧VAPPは、太陽パネル10の電力出力が低減を止めるまで、デクリメントされ続ける。プロセス9000はステップ910に進む。
【0098】
ステップ910において、制御回路35は、スイッチ55が、上述した第1の位置において、リード38上で太陽パネル10に接続される持続時間を増大させる。スイッチ55が電圧源50に接続される時間量は、量iΔτ0だけ増大される。スイッチ55はアクティブ化され、太陽パネル10の電力出力は再び、電流センサ33及び電圧プローブ34によってモニタされる。プロセス9000はステップ912に進み、太陽パネル10の電力出力が増大するか否かを判断する。増大する場合、プロセス9000はステップ910に移り、太陽パネル10が電圧源50に接続される持続時間が再び増大される。切り換え持続時間は、太陽パネル10の出力電力が最大に達するまで(又は一定の持続時間限度まで-例えば、3~5μ秒に達するまで)増大される。達した時点で、制御回路35によって駆動されるスイッチ持続時間の変更は停止する。しかし、ステップ912において、スイッチ持続時間Dの増大が、電流センサ33及び電圧プローブ32によって測定される電力出力を低減させると制御回路35が判断する場合、プロセス9000はステップ911に続き、スイッチ持続時間Dは、太陽パネル10の電力出力が再び最大になるまで、ステップ911と913との間を繰り返すことにより低減する。切り換え持続時間が、ステップ910~ステップ913を繰り返すことにより太陽パネル10の出力電力を最大にするように最適化されたと制御回路35が判断した後、プロセス9000はステップ914に続く。
【0099】
ステップ914において、制御回路35は、スイッチ55が制御回路35に接続される接続周波数fの増大を開始する。スイッチ55が電圧源50に接続される周波数fは、元の切り換え周波数f0から、f=f0+jΔfであるようなjΔfだけ増大する。ステップ914において、スイッチ55は、新しい周波数fでリード38と太陽パネル10との間に接続され、太陽パネル10の電力出力はここでも、電流センサ33及び電圧プローブ34によってモニタされる。プロセス9000はステップ916に続く。太陽パネル10の電力出力が増大した場合、プロセス9000はステップ914に戻り、太陽パネル10が電圧源50に接続されるレートは再び増大される。接続レートは、太陽パネル10の出力電力が最大に達するまで、又は最大周波数fmaxまで増大し、出力電力が最大に達するか、又は最大周波数fmaxになった時点で、プロセス9000はステップ915に移る。ステップ914において、スイッチ55がリード38で高電圧50に接続する周波数はここで、量jΔfだけ減分され、スイッチ55は再びアクティブ化され、太陽パネル10の電力出力はここでも、電流センサ33及び電圧プローブ32によってモニタされる。その時点で、制御回路35は、ステップ917において、接続レートの低減が太陽パネル10の電力出力を増大させるか否かを判断する。増大させる場合、プロセス9000はステップ915に戻る。代替的には、切り換え周波数が、ある最小周波数fminに達する場合、プロセス9000はステップ918に移り、待機する。
【0100】
ステップ918において、太陽パネル10の電力出力が最大になると、制御回路35は、ある時間期間にわたり待機状態になる。待機の時間期間は数秒又は数分であり得る。ステップ918において待機した後、プロセス9000はステップ901に移り、プロセス9000は再び、電圧、切り換え接続時間、及び切り換えレートを前の最適化された値から変更開始して、太陽パネル10がなお最大出力レベルで動作していることを確認する。制御回路35からの印加電圧50、切り換え持続時間、及び切り換えレートは全て、日中の動作の過程にわたり変更されて、太陽パネル10がその特定の日の動作状況下で最大出力電力下で動作していることを確実にする。
【0101】
ステップ901において、電圧センサ32で測定された電圧が所定の最小vminを下回り、電流センサ33で測定された電流が所定の最小iminを下回る場合、制御回路35は、線38上のいかなる電圧もなくし、制御回路35はステップ902に移り、待機して(システムが全てのパラメータ及びインデックスを再初期化する)からステップ900に戻る。プロセス9000は、電圧プローブ32で測定される電圧及び電流センサ33で測定される電流の両方が両方ともvmin及びiminをそれぞれ上回るまで、ステップ900から901、902、900へ交互になり、それぞれ上回った時点で、プロセス9000はステップ901からステップ903に移る。
【0102】
制御回路35内で異なる状態マシンが実施されて、同様の結果をもたらすことができ、本開示によって包含される。しかし、上述したプロセス9000は有利なことに、電流プローブ33によって測定される電流と電圧プローブ32によって測定される電圧との積が最大になるように、印加電圧VAPPの大きさを可能な最低値に最小化する。印加電圧VAPPは、最大電力出力を常に維持することができるように、日中の過程における太陽電池100、太陽パネル10、又は複数の太陽パネル10への入射光強度pの変化を説明するために、日中の動作の過程にわたり振動される-すなわち、小量だけ上下の両方に変更される。
【0103】
上のプロセス9000で記載されるステップの大半は、複数分又は複数時間の期間にわたりゆっくりと生じる照明の断熱変化に対処するように設計された。代替の実施形態では、仮に照明変動がより高い変化速度で生じる場合、プロセス9000は、DC出力電力が高すぎる変化速度で変化しないように試みることにより、インバータへのDC電力出力の高周波数変動を最小にするように構成することができ、したがって、インバータの品質を高くする。
【0104】
別の例では、
図10Aを参照すると、電流センサ33及び電圧プローブ32は、
図6の太陽電池管理システム300に結合されて示されている。示されるように、電流センサ33は、太陽パネル10とインバータ31との間に直列結合される。電流センサ33は、太陽パネル10の電流出力をモニタすることができる。同様に、電圧プローブ32は、太陽パネル10及びインバータ31にわたり接続されて、太陽パネル10の出力電圧をモニタする。
【0105】
制御回路36が、制御リード33aを介して電流センサ33に結合されるとともに、制御リード32aを介して電圧プローブ32に結合される。電流センサ33は、インライン又は誘導性測定ユニットであることができ、太陽パネル10の電流出力を測定する。同様に、電圧センサ32は、太陽パネル10の電圧出力の測定に使用される。電流センサ33から測定される電流と、電圧プローブ32から測定される電圧との積により、太陽パネル10からインバータ31への電力出力を計算することができる。
【0106】
幾つかの実施形態では、電圧プローブ32は、制御回路36の電源としても機能し得、太陽パネル10が照明され、制御回路36のアクティブ化に十分な電力を提供する場合のみ、アクティブである。制御回路36は、電圧パルサ60に更に結合されて、
図6を参照して考察した電圧パルスV
APPの振幅、パルス持続時間D
P、及びパルス周波数fを制御する。パルス持続時間D
P、パルス周波数f、及び太陽パネル10にわたって印加されるパルス電圧V
APPは、太陽パネル10内で生成され、電流センサ33及び電圧プローブ32によって測定される電流の両方が、異なる又は可変照明状況等の様々な動作状況下で最大になるように制御し調整することができる。
【0107】
電場250を印加する一実施形態では、太陽パネル10は最初は、例えば、夜間又は雲がかなり覆っている間、発電しない。太陽パネルが照明されると(例えば、朝の間)、電圧及び電流が太陽パネル10により生成され、リード32aは電流及び電圧の両方を制御回路36に送り始める。制御回路36は、低電圧論理電源(図示せず)を含み、制御論理を制御回路36内で駆動する。パルサ回路60は、低電圧電源及び高電圧電源(図示せず)の両方を含む。電圧パルサ60内の高電圧電源は、制御回路36によって調整することができる可変出力を有し、VAPPを太陽パネル10に印加することを担当する。この例では、制御回路36は、パルサ60内の低電圧論理電源及び高電圧電源の両方をアクティブ化するのに十分な電力が太陽パネル10によって生成されるまで、いかなる電圧も太陽パネル10に印加しないように構成される。
【0108】
代替の実施形態では、制御回路36は、日中の照明が増減するにつれて、電場250を制御し、電力出力を最大にするように構成される。制御回路36は、
図10Bに示されるプロセス10000を含め、上述した任意の方法により、電圧パルサ60によって印加される電場250を制御し、太陽パネル10の電力出力を安定化することができる。
【0109】
図10Bを参照すると、プロセス10000は、ステップ1000において、電力を初期化することを含む。制御回路36内の制御論理を動作させる低電圧論理電源と、電圧パルサ60内の低及び高電圧電力との両方をアクティブ化するために、太陽パネル10の出力から十分な電力が提示されなければならない。代替的には、制御回路36は、外部ソース(図示せず)-例えば、電池、大容量キャパシタ、外部AC電源から給電することができ、それにより、低定電圧論理電源が動作可能であり、制御回路36が、太陽パネル10への電場250の印加が電力出力を増大させることを保証するのに十分な電力出力を太陽パネル10が有するまで、太陽パネル10の電力出力をモニタすることができる。制御回路36は始動中であるため、全てのパラメータ(例えば、印加高電圧V
APP、切り換え持続時間D
P、及び切り換え周波数f)は初期化される。一実施形態では、印加高電圧V
APPはゼロに設定され、一方、切り換え持続時間D
P及びパルス反復率fは、公称値であるD
P=τ
0及びf=f
0に設定される。全ての制御インデックスn、i、及びjはゼロに初期化される。
【0110】
次に、制御回路36は、ステップ1001において、電圧プローブ32で測定された電圧が、所定の最小vminを上回るか、それとも下回るかを判断するとともに、電流センサ33で測定される電流が所定の最小iminを上回るか否かを判断する。vmin及びiminの組合せは、太陽パネル10が照明されており、幾らかの公称割合、例えば平均定格電力の5%を生成していると判断され、太陽パネル10の出力を増大させるのに十分な電力が生成され、高電圧電源に供給されるように選ばれている。制御回路36が、測定された電流及び電圧の両方がそれぞれの所定の最小を超えると判断する場合、プロセス10000はここで動作可能であり、プロセス10000はステップ1003に移り、超えない場合、プロセス10000は待機状態1002になり、ステップ1000に戻る。
【0111】
ステップ1003において、制御回路36は、電流センサ33を介してインバータ31に流れる電流を測定し、電圧センサ32を介してインバータ31にわたる電圧を測定し、インバータ31を通って流れる電力(公称ではI×V)を計算する。制御インデックスnはn+1にインクリメントされる。
【0112】
ステップ1004において、プロセス10000は、VAPPをVmaxと比較する。Vmaxは予め設定される値であり、太陽パネル10又はインバータ31を破損させずに太陽パネルに印加することができる最大電圧を表す。VAPPがVmax未満である場合、プロセス10000はステップ1006に進み、その他の場合、プロセス10000は、ステップ1005において待つ。
【0113】
ステップ1006において、制御回路36は、量nΔVだけ印加高電圧VAPPを増分させるように電圧パルサ60に通知し、太陽パネル10に電圧パルスを印加するように電圧パルサ60に通知する。この例では、ΔVは、25ボルトの一定電圧ステップであり得るが、より大きな又はより小さな電圧ステップを使用することもできる。電圧VAPPは、電場250の強度が印加電圧VAPPに比例するような電場250を太陽パネル10に印加する。この例では、パルス幅DPは1000nsであるように選ばれ、パルス反復率は20μ秒であるように選ばれる。他のパルス幅及びパルス反復率を選ぶこともできる。制御回路36は再び、電流センサ33を介してインバータ31に流れる電流の測定値を受信し、電圧センサ32を介してインバータ31にわたる電圧の測定値を受信し、インバータ31を通って流れる電力を再計算する。
【0114】
ステップ1008において、制御回路36は、VAPPが太陽パネル10に印加される前の太陽パネル10の電力出力を最新の測定値と比較する。電力が増大した場合、プロセス10000はステップ1001に戻り、繰り返される。印加電圧VAPPは、印加高電圧VAPPがVmaxよりも大きくなるまで、又は印加高電圧VAPPの増大が太陽パネル10の出力電力を増大させなくなるまで、ΔVだけ増大する。ここでも、Vmaxは、いかなる破損も生じさせずに、太陽パネル10に印加することができる最大電圧として定義され、太陽パネルのタイプに応じて、Vmaxは通常、約600V~約1,000Vである。両事例で、プロセス10000はステップ1005において待つ。待機状態の持続時間は、数秒から数分であり得る。
【0115】
待機ステップ1005の後、プロセス10000はステップ1007に入る。リード32a及び33aを通して測定された電力が変更されていなかった場合、インデックスnはデクリメントされ(n=n-1)、印加電圧パルスVAPPは、量ΔVだけ低減し、制御回路36はパルサ60をアクティブ化する。プロセス10000はステップ1009に続き、このステップで、電力出力は電流センサ33及び電圧プローブ32によって測定される。電力出力が降下を示す場合、プロセス10000はステップ1010に続く。電力出力が増大した場合、プロセス10000はステップ1007に戻り、印加電圧VAPPは、太陽パネル10の電力出力が低減を止めるまで、デクリメントされ続ける。プロセス10000はステップ1010に進む。
【0116】
ステップ1010において、制御回路36は、電圧パルスの持続時間DPを増大開始する。電圧パルス持続時間DPは、量iΔτ0だけ増大される。電圧パルサ60はアクティブ化され、太陽パネル10の電力出力は再び、電流センサ33及び電圧プローブ34によってモニタされる。プロセス10000はステップ1012に進み、太陽パネル10の電力出力が増大するか否かを判断する。増大する場合、プロセス10000はステップ1010に移り、電圧パルス71の持続時間DPは再び増大される。パルス持続時間DPは、太陽パネル10の出力電力が最大に達するまで、又は一定の持続時間限度まで-例えば、5μ秒のパルス持続時間に達するまで、増大される-達した時点で、制御回路36によって駆動されるパルス幅変更は停止する。しかし、ステップ1012において、パルス幅の増大が、電流センサ33及び電圧プローブ32によって測定される電力出力を低減させることが分かる場合、プロセス10000はステップ1011に続く。パルス幅は、太陽パネル10の電力出力が再び最大になるまで、ステップ1011と1013との間を繰り返すことにより低減する。パルス持続時間が、ステップ1010~ステップ1013を経ることにより太陽パネル10の出力電力を最大にするように最適化されたと制御回路36が判断した後、プロセスはステップ1014に続く。
【0117】
ステップ1014において、制御回路36は、電圧パルスの周波数を増大させる。電圧パルスの周波数は、元の切り換え周波数f0から、f=f0+jΔfであるようなjΔfだけ増大される。ステップ1014において、電圧パルスは、新しい周波数fで電圧パルサ60により太陽パネル10に印加され、太陽パネル10の電力出力は再び、電流センサ33及び電圧プローブ34によってモニタされる。プロセスはステップ1016に移る。
【0118】
太陽パネル10の電力出力が増大した場合、プロセス10000はステップ1014に戻り、電圧パルスが太陽パネル10に印加されるレートは再び増大される。電圧パルスのレートの増大は、太陽パネル10の出力電力が最大に達するまで、又は最大周波数fmaxまで増大し、出力電力が最大に達するか、又は最大周波数fmaxになった時点で、プロセス10000はステップ1015に移る。ステップ1014において、電圧パルスの周波数はここで、量jΔfだけ減分され、電圧パルサ60は、再びアクティブ化され、太陽パネル10の電力出力は再び、電流センサ33及び電圧プローブ32によってモニタされる。その時点で、制御回路36は、ステップ1017において、電圧パルスのレート低減が太陽パネル10の電力出力を増大させるか否かを判断する。増大させる場合、プロセス10000はステップ1015に戻る。代替的には、切り換え周波数が、ある最小周波数fminに達する場合、プロセス10000はステップ1018に移り、ステップ1018は待機状態である。
【0119】
ステップ1018において、太陽パネル10の電力出力が最大になると、プロセス10000は、ある時間期間にわたり待機状態になる。待機の時間期間は数秒又は数分であり得る。ステップ1018において待機した後、プロセス10000はステップ1001に移り、制御回路36は再び、パルス電圧、切り換え接続時間、及びパルス反復率を前の最適化された値から変更開始して、太陽パネル10がなお最大出力レベルで動作していることを確認する。パルス振幅VAPP、パルス持続時間、及びパルス反復率は全て、日中の動作の過程にわたり変更されて、太陽パネル10がその特定の日の動作状況下で最大出力電力下で動作していることを確実にする。
【0120】
ステップ1001において、電圧センサ32で測定された電圧が所定の最小vminを下回り、電流センサ33で測定された電流が所定の最小iminを下回る場合、制御回路36は、電圧パルサ60を停止させ、プロセス10000はステップ1002の待機状態に移り、次に、ステップ1000に移り、ここで、システムは全てのパラメータ及びインデックスを再初期化する。プロセス10000は、電圧プローブ32で測定される電圧及び電流センサ33で測定される電流の両方が両方ともvmin及びiminをそれぞれ上回るまで、ステップ1000から1001、1002、1000に移り、それぞれ上回った時点で、プロセス10000はステップ1001からステップ1003に移る。
【0121】
制御回路36内で異なる状態マシンが実施されて、同様の結果をもたらすことができ、本開示によって包含される。しかし、上述したプロセス10000は有利なことに、電流プローブ33によって測定される電流と電圧プローブ32によって測定される電圧との積が最大になるように、印加電圧パルスVAPPの大きさを可能な最低値に最小化する。印加電圧VAPPは、最大電力出力を常に維持することができるように、日中の過程における太陽電池100、太陽パネル10、又は複数の太陽パネル10への入射光強度pの変化を説明するために、日中の動作の過程にわたり振動される-すなわち、小量だけ上下の両方に変更される。
【0122】
プロセス10000で記載されるステップは、複数分又は複数時間の期間にわたりゆっくりと生じる照明の断熱変化に対処することができる。代替の実施形態では、仮に照明変動がより高い変化速度で生じる場合、プロセス10000は、DC出力電力が高すぎる変化速度で変化しないように試みることにより、インバータへのDC電力出力の高周波数変動を最小にするように構成することができ、したがって、インバータの品質を高くする。
【0123】
記載した実施形態は、様々な変更及び代替の形態を受けやすく、その特定の例が図面において例として示され、本明細書において詳細に説明されている。しかし、記載された実施形態が、開示される特定の形態又は方法に限定されるべきではなく、逆に、本開示が、全ての変更、均等物、及び代替を包含するべきであることを理解されたい。