(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】医療インジェクタのためのキャップ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
A61M5/32 502
(21)【出願番号】P 2020204431
(22)【出願日】2020-12-09
(62)【分割の表示】P 2018530063の分割
【原出願日】2016-12-08
【審査請求日】2020-12-24
(32)【優先日】2015-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エミリー グエン
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-512637(JP,A)
【文献】特表平11-502448(JP,A)
【文献】国際公開第2010/142812(WO,A1)
【文献】特開昭62-112566(JP,A)
【文献】米国特許第05928205(US,A)
【文献】国際公開第2014/143815(WO,A2)
【文献】米国特許第5147325(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、
前記ハウジングから延びる針であって、尖らされた端部を有する針、
前記針の前記尖らされた端部を被覆する第1のキャップ、および
前記第1のキャップの少なくとも一部を被覆する第2のキャップであって、
遠位端、近位端、および内壁を有するキャップ本体、
複数のリブであって、各リブはリブ遠位端およびリブ近位端を有し、各リブは前記内壁に沿って長手方向におよび前記リブ遠位端と前記リブ近位端との間において前記内壁から内側に延び、ならびに各リブは、前記第2のキャップが前記第1のキャップを受け入れるのを補助するための、その前記リブ近位端に先細にされた表面を含む、複数のリブ、
前記第1のキャップとの前記第2のキャップの係合を視覚的に眺めるための、前記第2のキャップの側壁を通して画定される第1の視界窓であって、前記リブ遠位端と前記リブ近位端との間の場所で前記側壁を通して延びる第1の視界窓、
前記第2のキャップの前記側壁を通して画定される第2の視界窓であって、前記リブ遠位端と前記キャップ本体の前記遠位端との間の場所で前記側壁を通して延びる第2の視界窓、
前記キャップ本体の前記遠位端から第1の方向に延びる第1の翼フランジ、および
前記キャップ本体の前記遠位端から前記第1の方向とは異なる第2の方向に延びる第2の翼フランジ、を含む第2のキャップ、
を含み、
前記第2のキャップの前記
複数のリブは、前記第2のキャップの取り外しが、遠位に向けられた力を介して、同時に前記針の前記尖らされた端部から前記第1のキャップを取り外すように、前記第1のキャップと係合されることを特徴とする医療インジェクタ。
【請求項2】
前記第2のキャップは摩擦嵌合によって前記第1のキャップと係合することを特徴とする請求項1に記載の医療インジェクタ。
【請求項3】
前記内壁は、前記
キャップ本体の前記近位端に空洞を画定し、前記空洞は、前記第1のキャップの少なくとも一部分を受け入れるように寸法付けられおよび成形されていることを特徴とする請求項1に記載の医療インジェクタ。
【請求項4】
前記複数の
リブは、前記第1のキャップを摩擦的に係合するのに適合されていることを特徴とする請求項1に記載の医療インジェクタ。
【請求項5】
前記第1のキャップは第1の材料を含み、および前記第2のキャップは第2の材料を含み、前記第1の材料は前記第2の材料とは異なることを特徴とする請求項1に記載の医療インジェクタ。
【請求項6】
前記第2の材料は前記第1の材料よりも硬いことを特徴とする請求項
5に記載の医療インジェクタ。
【請求項7】
前記第1のキャップは、前記針の少なくとも前記尖らされ
た端部を覆って配置される弾性スリーブを含むことを特徴とする請求項1に記載の医療インジェクタ。
【請求項8】
前記第1および第2の翼フランジは、前記キャップ本体の対向側面から延びることを特徴とする請求項1に記載の医療インジェクタ。
【請求項9】
前記第1および第2の翼フランジのそれぞれは、曲面状の近位に向けられた表面を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療インジェクタ。
【請求項10】
前記第1および第2の翼フランジのそれぞれは、実質的に平らな遠位に向けられた表面を含むことを特徴とする請求項1に記載の医療インジェクタ。
【請求項11】
前記第2のキャップは、T字形であることを特徴とする請求項1に記載の医療インジェクタ。
【請求項12】
針の尖らされた端部を被覆する針キャップを取り外すためのキャップリムーバであって、前記キャップリムーバは、
近位端および遠位端、ならびに前記針キャップを中に受け入れるように寸法付けられおよび成形された空洞を画定する内壁、を有するキャップ本体、
複数のリブであって、各リブはリブ遠位端およびリブ近位端を含み、各リブは前記内壁に沿って長手方向におよび前記リブ遠位端と前記リブ近位端との間において前記キャップ本体の前記内壁から内側に延び、ならびに各リブはその前記リブ近位端に先細にされた表面を含む、複数のリブ、
前記針キャップとの前記キャップリムーバの係合を視覚的に眺めるための、前記キャップ本体の側壁を通して画定される第1の視界窓であって、前記リブ遠位端と前記リブ近位端との間の場所で前記側壁を通して延びる、第1の視界窓、
前記キャップ本体の前記側壁を通して画定される第2の視界窓であって、前記リブ遠位端と前記キャップ本体の前記遠位端との間の場所で前記側壁を通って延びる第2の視界窓、
前記キャップ本体の前記遠位端から第1の方向に延びる第1の翼フランジ、および
前記キャップ本体の前記遠位端から、前記第1の方向とは異なる第2の方向に延びる第2の翼フランジ、
を含み、
前記第1の翼フランジおよび前記第2の翼フランジのそれぞれは、曲面状の近位に向けられた表面および平らな遠位に向けられた表面を含むこと特徴とするキャップリムーバ。
【請求項13】
前記
複数のリブは、前記針キャップを摩擦的に係合するのに適合されることを特徴とする請求項
12に記載のキャップリムーバ。
【請求項14】
前記キャップ本体の前記
複数のリブが前記針キャップと係合された状態で、前記キャップリムーバは、前記キャップリムーバに対して遠位に向けられた力が印加されると、前記針から前記針キャップを係合解除することを特徴とする請求項
13に記載のキャップリムーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
【0002】
本出願は、2015年12月8日に出願された米国仮出願第62/264,529号の利益を主張し、その開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、概して、流体または液体薬剤の送達のための医療インジェクタデバイスに関する。より具体的には、本開示は、医療インジェクタデバイスまたはシリンジのための安全キャップおよび/またはキャップリムーバに関する。
【背景技術】
【0004】
医療インジェクタおよびシリンジは、先行技術においてよく知られている。医療インジェクタは、液体薬剤または種痘を含む流体の選択された投与量を患者に送達することのできるオートインジェクタおよびペンインジェクタを含んでいてもよい。医療インジェクタは、典型的には、注射針が先端に付けられた、標準的な事前充填式のガラスまたはプラスチックシリンジを受け入れるように構成されていてもよい。これらのデバイスは、プランジャをシリンジバレル内に進めて針を通して液体薬剤を放出させるための駆動部材を含んでいてもよい。標準的な先行技術の皮下注射シリンジの必要とされる操作は、とりわけ、公の環境において注射が自己投与される場合、不便である可能性があり、および多くの医薬送達ペン、ペンインジェクタ、または他の自己インジェクタが、注射の自己投与を容易にするために開発されてきた。
【0005】
使用の前に無菌状態を維持するため、および偶発的な針突き刺しを招くリスクを低減させるために、針先端の保護は重要である。医療インジェクタは、典型的には、使用の前に針を防護するゴムまたはプラスチックのキャップが提供されている。使用の直前に、使用者は、本発明のキャッププロテクタを使用するなどによって、インジェクタから保護キャップを取り外さなければならない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態に従って、医療インジェクタは、リザーバを画定するインジェクタハウジング、プランジャロッド、およびプランジャロッドの一部分に係合されおよびリザーバ内部にスライド可能に配置されるストッパを含み、ストッパは、インジェクタハウジングの内部に対して相対的に寸法付けられて、インジェクタハウジングの側壁との封止係合を提供する。医療インジェクタは、リザーバと連通する、尖らされた第1の端部および第2の端部を有する針、針の尖らされた第1の端部を被覆する第1のキャップ、および第1のキャップの少なくとも一部を被覆する第2のキャップをさらに含む。第2のキャップは、第2のキャップの取り外しが同時に針の第1の端部から第1のキャップを取り外すように、第1のキャップと係合される。第2のキャップは、摩擦嵌合によって第1のキャップと係合してもよい。
【0007】
医療インジェクタは、第2のキャップの近位端内に空洞を画定する内壁をさらに含み、空洞は、第1のキャップの少なくとも一部分を受け入れるように寸法付けられおよび成形されている。複数の突出部は、第2のキャップの内壁から内側に延び、および第1のキャップを摩擦的に係合するのに適合されていてもよい。複数の突出部のうちの少なくとも1つは、第2のキャップが第1のキャップを受け入れるのを補助するための先細にされた表面を含んでいてもよい。
【0008】
第1のキャップは第1の材料から形成され、および第2のキャップは第2の材料から形成される。第1の材料は第2の材料とは異なる。1つの実施形態において、第1のキャップは、針の少なくとも尖らされた第1の端部を覆って配置される弾性スリーブから形成される。第2の材料は第1の材料よりも硬くてもよい。
【0009】
1つの実施形態において、第1のキャップとの第2のキャップの係合を視覚的に眺めるために、第2のキャップの側壁を通して窓が画定されていてもよい。医療インジェクタは、リザーバ内部に配置された液体薬剤をさらに含んでいてもよい。
【0010】
第2のキャップは、近位端および遠位端を有する本体、キャップ本体の一部分から第1の方向に延びる第1の翼フランジ、キャップ本体の一部分から第2の方向に延びる第2の翼フランジ、を含み、第1の方向は第2の方向とは異なる。第1および第2の翼フランジは、キャップ本体の対向側面から延びていてもよい。第1および第2の翼フランジは、それぞれ、曲面状の近位に向けられた表面および実質的に平らな遠位に向けられた表面を有していてもよい。
【0011】
また、本明細書中に提供されるのは、近位端および遠位端、ならびにキャップ本体の近位端内部に空洞を画定する内壁、を有するキャップ本体を含むキャップリムーバである。突出部は、キャップ本体の内壁から内側に延びる。第1の翼フランジはキャップ本体の一部分から第1の方向に延び、および第2の翼フランジはキャップ本体の一部分から第2の方向に延びる。前記第1の方向は、前記第2の方向とは異なっていてもよい。第1の翼フランジおよび第2の翼フランジは、曲面状の近位に向けられた表面、および平らな遠位に向けられた表面、を含む。
【0012】
1つの実施形態において、突出部は、キャップ本体の内壁から内側に延びる複数の突出部を含む。複数の突出部のうちの少なくとも1つは、先細にされた近位表面を含んでいてもよい。
【0013】
空洞は、針を被覆する針キャップを空洞の中に受け入れるように寸法付けられおよび成形され、および複数の突出部は、針キャップを摩擦的に係合するのに適合されている。キャップ本体の複数の突出部が針キャップと係合された状態で、キャップリムーバは、キャップリムーバに対して遠位に向けられた力が印加されると、針から針キャップを係合解除してもよい。視界窓は、キャップ本体の一部分を通して画定されていてもよい。
【0014】
添付の図面と併せて用いられる開示の実施形態の以下の記載を参照することにより、本開示の上述および他の特徴および利点ならびにそれらを獲得する方法は、より明らかになることとなり、および、開示それ自体はよりよく理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に従うキャップリムーバの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に従うキャップリムーバの斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に従うキャップリムーバの第1の正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に従うキャップリムーバの第2の正面図である。
【
図5】本発明の実施形態に従うキャップリムーバの第3の正面図である。
【
図6】本発明の実施形態に従うキャップリムーバの第4の正面図である。
【
図7】本発明の実施形態に従うキャップリムーバの第5の正面図である。
【
図8】本発明の実施形態に従うキャップリムーバの第6の正面図である。
【
図9】本発明の実施形態に従うキャップリムーバの斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態に従うキャップが付いた医療インジェクタの斜視図である。
【
図11】本発明の実施形態に従う医療インジェクタの斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態に従う医療インジェクタの断面図である。
【
図13】本発明の実施形態に従うキャップリムーバが付いた医療インジェクタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
対応する参照符号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。本明細書に提示された例示は、開示の例示的な実施形態を示し、およびそのような例示は、いかなる方法によっても開示の範囲を制限するように解釈されるべきではない。
【0017】
以下の記載は、当業者が本発明を実施するために検討された記載された実施形態を作製しおよび使用することができるように提供される。しかしながら、様々な修正、等価物、バリエーション、および代替物は、依然として、当業者にとって簡単に明らかになるであろう。ありとあらゆるそのような修正、バリエーション、等価物、および代替物は、本発明の精神および範囲に含まれることが意図される。
【0018】
以下、記述の目的のために、用語「上部(upper)」、「下部(lower)」、「右」、「左」、「鉛直の(vertical)」、「水平の(horizontal)」、「最上部(top)」、「底部(bottom)」、「側方(lateral)」、「長手方向の(longitudinal)」、およびそれらの派生語は、図面の図においてそれが方向付けられているように、本発明に関するものとする。しかしながら、本発明は、明らかにそれとは反対に規定されている場合を除き、様々な代替物バリエーションを当然としてもよいことは理解されよう。また、添付図面に示されおよび以下の明細書に記載される具体的なデバイスは、単純に本発明の例示的な実施形態であることも理解されよう。したがって、本明細書中に開示される実施形態に関する具体的な寸法および他の物理的特性は、制限的であるとしてみなされるべきではない。
【0019】
以下の検討において、「遠位」は、患者との接触および/または別個のデバイスとの係合に適合された医療インジェクタの端部に概して向かう方向に言及し、および「近位」は、遠位の反対方向、すなわち、別個のデバイスとの係合に適合された医療インジェクタの端部から離れた所に言及する。本開示の目的のために、上述の言及は、本開示に従う医療インジェクタの構成要素の説明に使用される。
【0020】
図1から
図13は、本開示の例示的な実施形態を示す。
図1から
図9および
図13を参照して、本開示のキャップリムーバまたは第2のキャップ32が示される。
図10から
図13を参照して、1つの実施形態において、本開示の医療インジェクタ10は、第1のキャップ30、および第2のキャップまたはキャップリムーバ32、を含む。例えば、
図13を参照して、第2のキャップまたはキャップリムーバ32が針14の遠位端50および第1のキャップ30を遮蔽および被覆するように、第2のキャップ32を医療インジェクタ10に固定することができる。
図10を参照して、第1のキャップ30は針14の遠位端50を遮蔽および被覆する。第1のキャップ30は、プラスチックおよび/またはゴムのガード材料で形成されていてもよい。第2のキャップ32は、第1のキャップ30よりも硬い材料から形成されていてもよい。1つの実施形態において、第2のキャップ32は、針14の遠位端50を遮蔽および被覆する唯一のキャップであってもよい。
【0021】
1つの実施形態において、第1のキャップ30が針14の遠位端50を被覆した状態、および第2のキャップ32が針14の遠位端50および第1のキャップ30を被覆した状態で、第2のキャップ32は、第2のキャップ32の取り外しが同時に針14の遠位端50から第1のキャップ30を取り外すように、摩擦嵌合によって第1のキャップ30と係合される。
【0022】
図10から
図12を参照して、医療インジェクタ10は、針14を有する針組立品12、インジェクタハウジング16、セプタム22によって封止された薬剤のためのリザーバ20を有するバレル18、ストッパ24、フランジ68を有するプランジャロッド26、ばね28、第1のキャップ30、および第2のキャップまたはキャップリムーバ32を含む。
【0023】
医療インジェクタ10は、遠位端34および近位端36を含む。バレル18のリザーバ20は、インジェクタハウジング16内部に包み込まれる。1つの実施形態において、リザーバ20は、インジェクタハウジング16によって画定されてもよい。別の実施形態において、リザーバ20は、インジェクタハウジング16内部に含有される別個の構成要素、例えば、カートリッジまたはバレルによって画定されてもよい。針組立品12は、針14およびハブ38を含む。針14は、患者への挿入のために形成された遠位端50、および近位端52を含む。
【0024】
本開示の医療インジェクタ10は、シリンジ、自己インジェクタ、オートインジェクタ、またはペンインジェクタであることを含む、様々な形態のものであってもよい。1つの実施形態において、医療インジェクタ10は、少なくとも1つの固定された用量を投与するためによく適している。別の実施形態において、医療インジェクタ10は、一連の固定された投与量を投与するためによく適している。医療インジェクタ10は、プランジャロッド26と両立できるとして知られる任意の方法で構成されていてもよい。医療インジェクタ10は、注射可能な薬剤を収容するためのリザーバ20を含んでいてもよく、これは、薬物カートリッジであってもよく、または医療インジェクタ10内に直接的に形成されていてもよい。リザーバ20は、リザーバ20に関連する1つまたは複数のストッパ24を有していてもよい。
【0025】
図10から
図11を参照して、医療インジェクタ10のインジェクタハウジング16は、上部ガード40、下部ガード42、およびベース44を含む。上部ガード40は、第1のフランジ46および第1の先細にされた壁48を含む。1つの実施形態において、上部ガード40は、指掴み凹みまたは同様の構造のような、使用者の指を収容するための表面を含むグリッピング構成要素を提供する。例えば、上部ガード40は、実質的に、使用者の指先に合って、使用者が医療インジェクタ10を操作しおよび医療処置において医療インジェクタ10を使用するのを補助する人間工学的に成形された表面を提供し、および使用者のために多数の指掴み位置を提供してもよい。上部ガード40は、使用者が医療インジェクタ10を様々な異なる方法で握りおよび/または掴むことを可能にする。
【0026】
下部ガード42は、第2のフランジ60および第2の先細にされた壁62を含む。下部ガード42は、指掴み凹みまたは同様の構造のような、使用者の指を収容するための表面を含む第2のグリッピング構成要素を提供する。1つの実施形態において、下部ガード42は、使用者に、掌中での、正確には医療インジェクタ10を用いた針挿入の間の、鉛直安定性を提供する。
【0027】
上部ガード40および下部ガード42は、一緒に、使用者が医療インジェクタ10を操作しおよび医療処置において医療インジェクタ10を使用するのを補助するための、使用者の指を収容するための表面を含むグリッピング構成要素を提供する。
【0028】
ベース44は、医療インジェクタ10の使用の間、使用者の肌に接触するフランジ64を含む。ベース44は、医療インジェクタ10の使用の間、医療インジェクタ10を使用者の肌の上に固定する固定部品(stability component)を提供する。1つの実施形態において、ベース44は、また、ばね28を隠す。
【0029】
図10から
図11を参照して、インジェクタハウジング16、上部ガード40、下部ガード42、およびベース44は、視界窓66を提供するように構成される。視界窓66は、使用者が薬剤を含むバレル18を見ることを可能にする。
【0030】
図10を参照して、第1のキャップ30は、針14の遠位端50を遮蔽および被覆する。
図13を参照して、1つの実施形態において、第2のキャップまたはキャップリムーバ32は、針14の遠位端50および第1のキャップ30を遮蔽および被覆する。1つの実施形態において、第2のキャップ32は、針14の遠位端50を遮蔽および被覆する唯一のキャップであってもよい。
【0031】
図1から
図9を参照して、第2のキャップまたはキャップリムーバ32は、遠位端101、近位端102、第1の翼フランジ106および第2の翼フランジ108を含む遠位フランジ104、側壁110、第1の側面開孔部112、第2の側面開孔部114、空洞116、遠位開孔部118、およびリブ120を有する本体100を含む。
図1から
図9を参照して、1つの実施形態において、第2のキャップ32は、概して逆さまのT字形本体を有する。いくつかの実施形態において、第1のキャップ30は、側面開孔部112、114または側面視界窓を通して見える。いくつかの実施形態において、2つの側面開孔部112、114は、第2のキャップ32の第1のキャップ30との係合を眺めるために、第2のキャップ32の同一のまたは対向する側壁110を通して設けられていてもよい。
【0032】
図2を参照して、1つの実施形態において、本体100の内壁103は、本体100の近位端102に空洞116を画定する。空洞116は、空洞116の中に第1のキャップ30の少なくとも一部分を受け入れるように、寸法付けられおよび成形される。突出部またはリブ120は、本体100の長手方向軸Lに向かって内壁103から内側に延びていてもよい。1つの実施形態において、突出部120は環状リブである。別の実施形態において、第2のキャップ32は、複数のリブ120を含む。複数のリブ120は、先細にされた近位表面122を含んでいてもよい。近位表面122は、内壁103から、本体100の長手方向軸Lに向かって内側におよび本体100の遠位端101に向かって下方に、角度がつけられていてもよい。先細にされた近位表面122は、第2のキャップ32が第1のキャップ30の上をスライドしおよび空洞116内部に第1のキャップ30を固定するのを補助する。第2のキャップ32が第1のキャップ30を被覆するとき、第2のキャップまたはキャップリムーバ32は、針14の遠位端50および第1のキャップ30を遮蔽および被覆する。
【0033】
第1のキャップ30が針14の遠位端50を被覆した状態、および第2のキャップ32が 針14の遠位端50および第1のキャップ30を被覆した状態で、第2のキャップ32は、第2のキャップ32の取り外しが同時に針14の遠位端50から第1のキャップ30を取り外すように、摩擦嵌合によって第1のキャップ30と係合される。1つの実施形態において、第2のキャップまたはキャップリムーバ32は、
図13に示されるように、遠位に向けられた力Fを第2のキャップまたはキャップリムーバ32に印加することによって、医療インジェクタ10から取り外される。
【0034】
1つの実施形態において、第2のキャップ32は、第1の翼フランジ106および第2の翼フランジ108または同様の構造を含む遠位フランジ104のような、使用者の指を収容するための表面を含むグリッピング構成要素を提供する。第1の翼フランジ106および第2の翼フランジ108は、本体100の対向側面から側方に延びていてもよい。第2のキャップ32の第1の翼フランジ106および第2の翼フランジ108は、実質的に、使用者の指先に合って、使用者が針14の遠位端50から第2のキャップ32を取り外すのを補助するおよび/または使用者が針14の遠位端50から第2のキャップ32および第1のキャップ30を同時に取り外すのを補助する人間工学的に成形された表面を提供してもよい。例えば、第2のキャップ32の第1の翼フランジ106および第2の翼フランジ108のそれぞれは、使用者に多数の指掴み位置を提供する曲面状の近位表面124を含んでいてもよい。第2のキャップ32の第1の翼フランジ106および第2の翼フランジ108は、使用者が様々な異なる方法で第2のキャップ32を取り扱いおよび/または掴むことを可能にする。1つの実施形態において、第2のキャップ32の形状は、障害者が第2のキャップ32および/または医療インジェクタ10をより容易におよびより便利に取り扱うのに役立つように設計される。第2のキャップ32の第1の翼フランジ106および第2の翼フランジ108は、第2のキャップ32が平らな平面上に置かれおよびそのままの状態にされてもよいように、実質的に平らな遠位表面126をさらに含んでいてもよい。
【0035】
1つの実施形態において、第2のキャップ32の第1の翼フランジ106および第2の翼フランジ108は、使用者が、指屈曲なしで第2のキャップ32を取り扱うことを可能にする。1つの実施形態において、第2のキャップ32の第1の翼フランジ106および第2の翼フランジ108は、使用者が第2のキャップ32および/または医療インジェクタ10をよりよく取り扱うのを可能にするグリッピング構成要素を提供する。
【0036】
本開示の医療インジェクタ10を使用することが望まれるとき、使用者は、第2のキャップ32に対して遠位に向けられた力のような取り外し力を印加して、針14の遠位端50から第1のキャップ30を容易におよび同時に取り外す。
図11を参照して、キャップ30、32が取り外された状態で、針14の遠位端50は、露出され、および使用者の肌の所望の部分に隣接して位置付けられる準備ができている。
【0037】
医療インジェクタ10のバレル18内部に含有された医薬を放出または送達することが望まれるとき、および医療インジェクタ10が適切に使用されて使用者の肌に接触しおよび使用者の肌を穿刺した状態で、プランジャロッド26のフランジ68およびインジェクタハウジング16の一部分を、例えば、プランジャロッド26のフランジ68上の使用者の親指で、およびインジェクタハウジング16の上部ガード40の第1のフランジ46の周りに延びる使用者の指で、把持することができる。このように、医療インジェクタ10を、 慣用の皮下注射シリンジの操作と同様のよく知られたおよびよく認識された方法で、使用者によって把持することができる。次に、使用者は、プランジャロッド26のフランジ68上の親指と上部ガード40の第1のフランジ46を把持する4本の指との間で圧迫動作(squeezing movement)を生じさせ、それによって、プランジャロッド26を矢印A(
図11)に概して沿った方向に移動させる。
【0038】
矢印Aに概して沿った方向のプランジャロッド26の運動は、医療インジェクタ10の遠位端34に向かう矢印Aに概して沿った方向のストッパ24の運動を作動させる。このように、矢印Aに概して沿った方向のストッパ24の運動は、バレル18のリザーバ20内部に含有された薬剤流体を、針14の遠位端50から押し出されおよび使用者および/または患者に押し込まれるようにさせる。
【0039】
薬剤流体の注射の後、針14を患者の肌から取り外すことができる。1つの実施形態において、医療インジェクタ10は、使用後の針14の安全な遮蔽のために、針14をインジェクタハウジング16内に移動させるための自動引き戻し機構を含んでいてもよい。1つの実施形態において、ばね28が、自動引き戻し機構の一部として使用されてもよい。
【0040】
医療インジェクタ10の構成要素の全ては、任意の知られている材料で作られていてもよく、および、望ましくは、医療グレードのポリマーで作られている。
【0041】
本開示は、例示的な設計を有するように記載されてきたが、本開示は、本開示の精神および範囲内において、さらに修正され得る。本出願は、従って、その一般的原理を使用する開示のあらゆるバリエーション、使用、または適応を対象とすることが意図される。さらに、本出願は、本開示が関連しおよび添付の特許請求の範囲の限定に含まれる、当技術分野の慣行または慣例内に入るような本開示からの逸脱を対象とすることが意図される。