(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】多目的税金計算書を利用した付加価値税算出システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/20 20120101AFI20220222BHJP
【FI】
G06Q20/20 350
(21)【出願番号】P 2020219774
(22)【出願日】2020-12-29
【審査請求日】2020-12-29
(31)【優先権主張番号】10-2020-0037262
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521004011
【氏名又は名称】サム-ジュン チャ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】サム-ジュン チャ
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0007396(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0050509(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0033872(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0028010(KR,A)
【文献】特開2008-262380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前段階税額控除法によって付加価値税を算出するシステムにおいて、
供給される財貨または用役の供給対価の領収日に多目的税金計算書を発行するが、税金が除かれた財貨または用役に対する価格である供給価格で課税項目と非課税項目を区分して記載し、供給価格に課税項目の売上げ税額を合わせた供給対価を記載した多目的税金計算書を発行する売上税金計算書発行部と、
前記供給される財貨または用役のために必要な財貨または用役を買い入れるための買入対価を支払いながら提供を受ける多目的税金計算書を収集する買入税金計算書収集部と、及び
一定な課税期間の間に前記売上税金計算書発行部によって発行された売上げ税額の総合で前記買入税金計算書収集部の収集された買入税額の総合を差引した金額を付加価値税で算出する付加価値税算出部と、
を含んで、
前記売上税金計算書発行部は、
前記多目的税金計算書に供給対価を支給することができる仮想口座を国税庁に申し込んで受けて記載し、前記仮想口座に振り込まれた金額のうちで供給価格は供給者の事業者口座に、課税項目の売上げ税額は供給者の売上げ税金口座で分離して振り込まれることを特徴として、
前記付加価値税算出部は、
前記買入税金計算書収集部の収集された買入税額のうちで多目的税金計算書の発行者が税金を納めない場合事実と異なる多目的税金計算書で見做して該当金額に対する買入税額控除を排除することを特徴とする多目的税金計算書を利用した付加価値税算出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費税(以下、付加価値税と称する)算出システム及び方法に関するものであり、前段階税額控除法によって付加価値税を算出する方式で重複課税効果及び還収効果を除去することで、ジュエリー産業などで有用に使用することができる多目的税金計算書を利用した付加価値税算出システム及びその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
付加価値税は課税事業者が生産した付加価値に一定な税率(例えば、10%)を掛けて納めるようにする税金である。
【0003】
付加価値税を算出する方式には主に前段階税額控除法は取引額控除法と前段階税額控除法がある。
【0004】
前段階税額控除法は取引額控除法(account method)は各事業者が一定期間に供給した売上高で買い入れ額(前段階税額控除法は取引額)を控除した金額を付加価値で見てこれを課税対象になる金額にして、ここに税率を適用して計算した金額を納付税額とする。
【0005】
納付税額(還付ない)=(売上げ価格-買入価格)×税率
これに比べて前段階税額控除法は、一定な課税期間の間に事業者の総売上価格全体に対して税率を適用して計算した金額(売上げ税額)で外部で買い入れる時に物品代に含んで出費した税額(買入税額)を差引した金額を納める税額で計算する。
【0006】
前段階税額控除法は取引額控除法(account method)は付加価値を新たにつくる事業者が付加価値税を納める生産者課税が原則である。しかし、国際的には消費地国課税に転換されながら国境を超える輸出には零税率が適用される。すなわち、A国で生産された品物がB国に輸出される時零税率を適用し、その間A国の流通過程で集めた税金をすべて戻してくれて、消費地国であるB国で別に付加価値税(あるいは、消費税)を課税するようにするので、付加価値税が消費地国の課税制度を施行するためには前段階税額控除法が不可避である。
【0007】
前段階税額控除法は取引をする毎に供給価格とその売上げ税額がそれぞれ表出される税金計算書(
図1参照)の発給を必須に義務化する特徴がある。この場合の納付税額は一定期間の売上げ税額合計額で買入税額合計額を控除して計算されるものである。大韓民国の場合この買入税額の控除は、発給を受けた税金計算書上に現われた税金の合計額のみを許容するように法で規制している。
【0008】
前段階税額控除法によれば、取引時ごとに財貨や用役の種類別に取引内容がはっきりと把握される。これによって個個の財貨または用役の種類によって負担する税金の把握はもちろん品目別に免税や課税を設定しやすい。また、輸出する財貨に零税率を適用して国内で納付された税額を輸出業者にはっきりと還付することができる。
【0009】
ところが、大韓民国の付加価値税法である前段階税額控除法によれば、事業者が税金計算書を発給した場合の買入税額のみを控除することができるので、免税農産物や中古品など税金計算書を発給することができない物品を購買し、これを製造加工するか、またはそのまま販売する場合買入税額の控除を受けることができなくて自分が新たに作り出した付加価値に対する税金よりさらに多い税金を出すようになる短所がある。
【0010】
このような短所を解消するために現在擬制買入税額を控除するようにしているが、これもまた超過する税金負担額は実際に全部除去されない。また、このような擬制買入税額は付加価値税が納付されない物品が輸出される場合にも零税率の適用を受けて還付されるので、擬制買入税額を還付した程度の国庫損失をもたらす短所がある。
【0011】
前段階税額控除法による納付税額計算方式は次のようである。
【0012】
納付税額(還付税額)=(売上げ価格×-(税率/(1+税率)))-買入価格-擬制買入税率
このように前段階税額控除法では軽減税率の適用や免税が小売段階ではないその前取引段階で適用されて次の段階で課税になれば、付加価値税の重複課税効果または還収効果が発生して軽減税率の適用や免税による最終消費者の税金負担上の軽減効果が消えることがある。
【0013】
言わば、付加価値税が既に課税された中古商品を収集して販売する事業者は、その収集時に税金計算書を受取することができなくて買入税額の控除を受けることができないので、その販売に関する税務申告をするようになれば、付加価値税の重複課税効果が発生する。そして、一般免税で取り扱いされる物品を購入し、それを原材料で製造・加工した製品などを課税物品で販売する課税事業者の場合には、前段階取引で付加価値税が免税された原材料部分に付加価値税が新たに課税されて政府の視覚から見れば還収効果が生ずることができる。
【0014】
このような重複課税効果と還収効果は、租税の中立性と公平性を毀損することで、前段階税額控除法を採択しながらも重複課税効果と還収効果を除去することができる付加価値税算出システムが要求される。
【0015】
また、大韓民国では税金計算書の発給時期は、原則的に財貨または用役の供給時期と一致するように要求しているが、帳付で供給しても税金計算書を発給するので、供給者に納税義務が発生する反面に供給を受けた者は付加価値税が含まれた供給対価を支給しなくても控除還付を受けることができて、不正還付による国庫流出の弊端がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-0787166号(2007.12.21.)
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1305276号(2013.09.06.)
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1075217号(2011.10.19.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、多目的税金計算書を使用することで前段階税額控除法を採択しながらも重複課税効果と還収効果を除去することができて、税金計算書発行日付けを供給対価の領収日に一致させることで、国家に納付されない買入税額によっては控除還付されなくて、国庫流出を阻むことができる多目的税金計算書を利用した付加価値税算出システム及びその方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の目的を達成するために、本発明による前段階税額控除法によって付加価値税を算出するシステムは、供給される財貨または用役の供給対価の領収日に多目的税金計算書を発行するが、税金が除かれた財貨または用役に対する価格である供給価格で課税項目と非課税項目を区分して記載し、供給価格に課税項目の売上げ税額を合わせた供給対価を記載した多目的税金計算書を発行する売上税金計算書発行部と、前記供給される財貨または用役のために必要な財貨または用役を買い入れるための買入対価を支払いながら提供を受ける多目的税金計算書を収集する買入税金計算書収集部と、及び一定な課税期間の間に前記売上税金計算書発行部によって発行された売上げ税額の総合で前記買入税金計算書収集部の収集された買入税額の総合を差引した金額を付加価値税で算出する付加価値税算出部と、を含んで構成される。
【0019】
前記の多目的税金計算書を利用した付加価値税算出システムにおいて、前記売上税金計算書発行部は前記の多目的税金計算書に供給対価を支給することができる仮想口座を国税庁に申し込んで受けて記載することを特徴とする。
【0020】
前記の多目的税金計算書を利用した付加価値税算出システムにおいて、前記仮想口座に振り込まれた金額のうちで供給価格は供給者の事業者口座に、課税項目の売上げ税額は供給者の売上げ税金口座で分離して振り込まれることを特徴とする。
【0021】
前記の多目的税金計算書を利用した付加価値税算出システムにおいて、前記付加価値税算出部は前記買入税金計算書収集部の収集された買入税額のうちで多目的税金計算書の発行者が税金を納めない場合事実と異なる多目的税金計算書で見做して該当金額に対する買入税額控除を排除することを特徴とする。
【0022】
前記他の目的を達成するために、本発明による前段階税額控除法によって付加価値税を情報処理装置によって算出する方法は、(a)供給される財貨または用役の供給対価の領収日に多目的税金計算書を発行するが、税金が除かれた財貨または用役に対する価格である供給価格で課税項目と非課税項目を区分して記載し、供給価格に課税項目の売上げ税額を合わせた供給対価を記載した多目的税金計算書を発行する段階と、(b)前記供給される財貨または用役のために必要な財貨または用役を買い入れるための買入対価を支払いながら提供を受ける多目的税金計算書を収集する段階と、及び(c)一定な課税期間の間に前記売上税金計算書発行部によって発行された売上げ税額の総合で前記買入税金計算書収集部の収集された買入税額の総合を差引した金額を付加価値税で算出する段階と、を含んで構成される。
【0023】
前記の多目的税金計算書を利用した付加価値税算出方法において、前記(a)段階は前記の多目的税金計算書に供給対価を支給することができる仮想口座を国税庁に申し込んで受けて記載することを特徴とする。
【0024】
前記の多目的税金計算書を利用した付加価値税算出方法において、前記仮想口座に振り込まれた金額のうちで供給価格は供給者の事業者口座に、課税項目の売上げ税額は供給者の売上げ税金口座で分離して振り込まれることを特徴とする。
【0025】
前記の多目的税金計算書を利用した付加価値税算出方法において、前記(c)段階は前記(b)段階で収集された買入税額のうちで多目的税金計算書の発行者が税金を納めない場合事実と異なる多目的税金計算書で見做して該当金額に対する買入税額控除を排除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、国際的に認められる消費地国の課税制度を施行し易い前段階税額控除法を使いながらも、重複課税効果と還収効果を効果的に除去するだけでなく、税金計算書の発給時期を原則的に財貨または用役の供給時期と一致するように規定することで発生する不正還付による国庫流出の弊端を除去することができる著しい効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来技術によって税金計算書を例示したものである。
【
図2】本発明による多目的税金計算書を利用した付加価値税算出システムを示した構成図である。
【
図3a】本発明による多目的税金計算書を例示したものである。
【
図3b】本発明による多目的税金計算書を例示した他のものである。
【
図4a】本発明による多目的税金計算書を利用した付加価値税算出方法をジュエリー産業のうちで貴金属問屋に適用して具体的に例示したものである。
【
図4b】本発明による多目的税金計算書を利用した付加価値税算出方法をジュエリー産業のうちで貴金属問屋に適用して具体的に例示した他のものである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では添付図面を参照して本発明に対して詳しく説明する。
【0029】
図2によれば、本発明による多目的税金計算書を利用した付加価値税算出システム1は売上税金計算書発行部10、買入税金計算書収集部20及び付加価値税算出部30を含んで構成される。
図2による本発明の各構成要素は情報処理装置(例えば、インターネット上に接続されたサーバーまたは端末機)に具備されたプロセッサ(図示せず)と関連ソフトウェアの結合体によって遂行される。
【0030】
売上税金計算書発行部10は
図3に例示されたような多目的税金計算書を財貨または用役の供給対価の領収日に発行する。売上税金計算書発行部10によって発行される多目的税金計算書には、税金が除かれた財貨または用役に対する価格である供給価格を記載するが、課税項目と非課税項目(課税除外項目)を区分して記載する。課税項目と非課税項目に区分された取引目録には供給日付けを記載する。このように本発明による売上税金計算書発行部10が発行した多目的税金計算書には物品代を受けた領収証機能があるので、発行者が税金を納めなかった場合該当多目的税金計算書は事実と異なる税金計算書で見なされて供給を受けた者の買入税額控除を排除することができる根拠になる。
【0031】
また、多目的税金計算書には供給価格(売上高)に課税項目の売上げ税額を合わせた供給対価を記載する。
【0032】
図1に例示されたような既存の税金計算書は課税項目と非課税項目を区分しないで供給対価に一律的に決まった税率(例えば、10%)を適用した付加価値税課税分のみを記載するので、重複課税及び還収効果を除去することができなかったが、本発明による多目的税金計算書では供給価格を記載するが、課税項目と非課税項目を区分して記載するので重複課税及び還収効果発生を源泉的に遮断する効果がある。
【0033】
売上税金計算書発行部10は電子的な方式で発行して財貨または用役の提供を受ける者と課税機関に提供することができるし、紙に記載した形式で発行することもできる。
【0034】
売上税金計算書発行部10は多目的税金計算書に供給対価を支給することができる仮想口座を国税庁に申し込んで受けて記載することができる。これは供給者が供給対価を受けて多目的税金計算書を作成交付したが、供給者が税金を納めない場合供給を受けた者が買入税額の控除を受けることができない憂慮を払拭させるために多目的税金計算書と連動された仮想口座に振り込むようにする。また、供給を受けた者が帳付けで買い入れて買入税額の控除を受けるか、または還付を受けることは国庫が流出されることであるので、仮想口座によってこれを防止することができる。
【0035】
また、仮想口座に振り込まれた金額のうちで供給価格は、供給者の事業者口座に、課税項目の売上げ税額は供給者の売上げ税金口座で分離して振り込まれるように処理することが望ましい。
【0036】
買入税金計算書収集部20は供給される財貨または用役のために必要な財貨または用役を買い入れるための買入対価を支払いながら提供を受ける多目的税金計算書を収集する。買入税金計算書収集部20は電子的な方式で発行された多目的税金計算書の供給を受ける者の登録番号が本発明による付加価値税算出システム1が処理する事業者の登録番号と一致するかの如何を判断して買入用途の多目的税金計算書を収集するか、または紙に記載した買入用多目的税金計算書を基礎にして記載した各項目値の入力を受けることもできる。
【0037】
付加価値税算出部30は一定な課税期間の間に売上税金計算書発行部10によって発行された売上げ税額の総合で買入税金計算書収集部20の収集された買入税額の総合を差引した金額を付加価値税で算出する。この時、付加価値税算出部30は買入税金計算書収集部20の収集された買入税額のうちで多目的税金計算書の発行者が税金を納めない場合事実と異なる多目的税金計算書で見做して該当金額に対する買入税額控除を排除することができる。
【0038】
以下では本発明による多目的税金計算書を利用した付加価値税算出方法をジュエリー産業に適用して説明することにする。
【0039】
ジュエリー産業とは、金や銀など貴金属とダイヤモンドなどの宝石がそれぞれ取り引きされるか、または両方が結合して指輪やネックレスなどの飾り形態で企画(デザイン、マーケティング)されて製造・加工(鋳造、細工、研磨など)された後売買取引につながる産業である。
一 方、消費税は消費者が最終的に使って価値が消滅すればこそ初めて国家の税収で定着される効果が生ずると見られる。だから、消費者に供給される財貨が最終的に消費することができなければ、付加価値税の課税対象になれないと思わなければならない。しかし、大韓民国では純金に対して付加価値税を賦課するので、価値の消費がない純金を消費者に販売する度に付加価値税が賦課されて重複課税する矛盾が生じて、還収効果の発生する問題点がある。
【0040】
大韓民国で金価格は国際価格と連動して国内価格が決まる。
【0041】
すなわち、国際価格が100と言う時、正常金の販売価格は110.66((輸入価100+流動マージン(0.6))×1.1)で決まって、消費者に売れて行ってから回収された故金はおおよそ105(収集価格102+収集マージン(2)+問屋マージン1)で形成される。
【0042】
付加価値税の基本原理によれば、故金を1,020,000ウォンに直接収集して1,040,000ウォンに販売する故金収集商は20,000ウォンの売上げ差益に対する付加価値税1,818ウォンのみを負担しなければならないが、現行制度下では表1のように還収効果92,728ウォンのために還収効果程度の付加価値税をさらに出すようになって94,546ウォンを出さなければならない。この場合に税金計算書を発給するようになれば、74,546ウォンが損になることであるために税金計算書を発給することができなくなる。故金を1,040,000ウォンに買い入れてからも税金計算書の発給を受けることができなかった故金問屋は10,000ウォンの売上げ差益で正常な納付税額は909ウォンであるが、還収効果94,846ウォンをさらに出すようになるので、納付税額は95,455ウォンである。さらに、故金や輸入金の価格は国際価格と連動されているので、事業者が任意に買入売上げ価格を決めることができない構造である。
【0043】
このために還収効果は避けることができないし、税金計算書発給は現実的に不可能であるので、このような金は陰性で取り引きされるしかない実情である。
【0044】
【0045】
ジュエリー産業の前取引過程に対して既存の方式による付加価値税算出方式を例示すれば、表2のようである。
【0046】
表2を詳しく見れば、ジュエリー産業で故金を収集する段階からジュエリー製品を作って問屋を経って小売業者に至るまで実質付加価値の合計は377,273ウォンであるにもかかわらず、従来の方式による税金計算書制度下では納付税額の合計は、650,908ウォンになるので、ジュエリー産業全体が付加価値税申告を忌避するしかないことが現実であるという点を見せてくれる。このような場合に前取引過程の国家税収は事実上0ウォンである(表2で買入部分の上部分の濃いボックスは供給を受けた者の買入税金計算書であり、買上部分の中間部分の濃いボックスは供給者が発行する税金計算書の内容であるが、現実的に従来の方式による付加価値税の算出方式では税金計算書の発行が不可能である)。
【0047】
【0048】
表3を見れば故金収集業者に故金に対して10/110で擬制買入税額を控除するようになれば、国内すべての事業者の重複課税及び還収効果が除去されることであるが、これを輸出する場合擬制買入税額が控除されること程度の国庫流出が発生する。すなわち、国家では故金収集業者1,818ウォン、故金卸売り業者909ウォン、ジュエリー加工業者20,000ウォン、ジュエリー問屋5,000ウォンと宝石供給業者520,000×10/110=47,272ウォン、合計74、999ウォンの納付を受けて167,727ウォンを還付するので国庫損失92,728ウォンが発生する。
【0049】
【0050】
これに対比して本発明による多目的税金計算書を利用した付加価値税算出方法によれば、表4に例示されたように初めて故金を収集する事業者からジュエリー製品の小売事業者まで多目的税金計算書が授受されるので取引段階別に自分が生産した付加価値に対する10%の税金のみを出す状況を見せてくれている。ここで全取引で生産された付加価値(宝石に対する付加価値は除外)は377,273ウォンで納付税額は37,727ウォンであることが分かる(表4で買入部分の上部分の濃いボックスは供給を受けた者の買入多目的税金計算書であり、買上部分の中間部分の濃いボックスは供給者が発行する多目的税金計算書内容であるが、多目的税金計算書を発行する場合自分が生産した付加価値税だけ出すことができるように改善したことを見られる)。
【0051】
【0052】
以下では本発明による多目的税金計算書を利用した付加価値税算出方法をジュエリー産業のうちで貴金属問屋に適用して具体的に説明することにする。
【0053】
貴金属問屋の付加価値税算出システム1で、売上税金計算書発行部10は
図4の(b)に例示されたように貴金属小売業者から貴金属に対する供給対価の領収日(例えば、2020.03.20.)に売上多目的税金計算書を発行する。
図4の(b)に示されたように、多目的税金計算書には供給価格(売上高)を記載するが、課税項目(750,000ウォン)と非課税項目(1,020,000ウォン)を区分して記載する。課税項目と非課税項目で区分された取引目録には供給日付け(例えば、2020.02.25.)を記載する。このように発行された多目的税金計算書には物品代を受けた領収証機能があるので、発行者が税金を納めなかった場合該当多目的税金計算書は事実と異なる税金計算書で見なされて供給を受けた者の買入税額控除を排除することができる根拠になる。また、売上多目的税金計算書には供給価格(1,770,000ウォン)に課税項目の売上げ税額(75,000ウォン)を合わせた供給対価(1、845、000ウォン)を記載する。
【0054】
図4の(b)にも示されていないが、売上税金計算書発行部10は多目的税金計算書に供給対価を支給することができる仮想口座を国税庁に申し込んで受けて記載することができる。これは供給者が供給対価を受けて多目的税金計算書を作成交付したが、供給者が税金を納めない場合供給を受けた者が買入税額の控除を受けることができない憂慮を払拭させるために多目的税金計算書と連動された仮想口座に振り込むようにできる。また、供給を受けた者が帳付けで買い入れて買入税額の控除を受けるか、または還付を受けることは国庫が流出されることであるので、仮想口座によってこれを防止することができる。
【0055】
また、仮想口座に振り込まれた金額のうちで供給価格は供給者の事業者口座に、課税項目の売上げ税額は供給者の売上げ税金口座に分離して振り込まれるように処理することが望ましい。
【0056】
一方、貴金属問屋の付加価値税算出システム1で、貴金属小売業者に販売するための貴金属を買い入れるための買入対価を支払いながら提供を受ける多目的税金計算書(
図4の(a)参照)を収集する。買入多目的税金計算書で買入金額は1,790,000ウォンであるが、これは課税項目(700,000ウォン)と非課税項目(1,020,000ウォン)に課税項目に対する付加価値税(70,0000ウォン)を合わせた金額である。
【0057】
以後、貴金属問屋の付加価値税算出システム1の付加価値税算出部30は一定な課税期間の間に売上税金計算書発行部によって発行された売上げ税額の総合(75,000ウォン)から買入税金計算書収集部20の収集された買入税額の総合(70,000ウォン)を差引した金額(5、000ウォン)を付加価値税で算出する。この時、買入税金計算書収集部20によって収集された買入税額のうちで多目的税金計算書の発行者が税金を納めない場合事実と異なる多目的税金計算書で見做して該当金額に対する買入税額控除を排除する。
【符号の説明】
【0058】
1 付加価値税算出システム
10 売上税金計算書発行部
20 買入税金計算書収集部
30 付加価値税算出部