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特許7028970歯のインピーダンスを判定するデバイスおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】歯のインピーダンスを判定するデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0534 20210101AFI20220222BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
A61B5/0534 ZDM
A61C19/04 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020526106
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2018080717
(87)【国際公開番号】W WO2019092164
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】102017126496.5
(32)【優先日】2017-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517104792
【氏名又は名称】フィリップス-ウニヴェルシテート・マールブルク
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ミハエル ケンテ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ヴィラモースキ
【審査官】▲瀬▼戸井 綾菜
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-45376(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0044755(US,A1)
【文献】特表2011-516109(JP,A)
【文献】特開2017-170134(JP,A)
【文献】特表2013-517022(JP,A)
【文献】特表2008-514328(JP,A)
【文献】特表2013-509916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0158169(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05- 5/0538
A61B 5/24- 5/398
A61C 1/00- 5/00
A61C 5/40- 5/68
A61C 5/90- 7/36
A61C 19/00-19/10
A61G 15/14-15/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツであって、
AC電圧を生成する測定部と
該測定部に接続された参照電極と
前記測定部に接続された測定電極と
前記測定部に接続された補償電極と、を備え、
前記測定電極および前記参照電極が、第1の位置にある前記測定電極と前記参照電極との間で交流電流が検査されている歯の上を流れることができるように、互いに対して配設され、
前記測定部が、結果として得られる電流強度からインピーダンスを判定することができ、
前記測定電極および前記補償電極の電位が同じであり、
絶縁層が、前記測定電極と前記補償電極との間に適用されて、該2つの電極を互いから絶縁し、
前記測定部が、検査されている歯の少なくとも2つの位置における判定の間、インピーダンスの変化を捕捉する、評価部を備え、
前記測定部が、インピーダンスおよび/またはインピーダンスの変化を出力する、出力手段に接続可能であり、
前記キットオブパーツが、判定の間、前記キットオブパーツを検査されている歯の上に配置することができるように、判定の間前記測定部を保持するハンドルを備え、
前記キットオブパーツが、前記測定電極が口腔内の唾液から絶縁されるよう配設可能な絶縁性ゲルを備える、歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項2】
前記絶縁性ゲルが電気固有抵抗ρ>500Ω・mを有する、請求項1に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項3】
前記絶縁性ゲルが寒天および蒸留水を備える、請求項2に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項4】
前記絶縁性ゲルが色素を含む、請求項1または2に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項5】
前記色素が青色である、請求項4に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項6】
前記測定部の前記出力手段が、光学および/または音響および/または触覚指示を備える、請求項1からのいずれか一項に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項7】
前記参照電極、前記測定電極および/または前記補償電極が、金属、合金、ステンレス鋼または炭素から成る、請求項1からのいずれか一項に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項8】
前記測定電極および前記補償電極が平面膜として具体化される、請求項1からのいずれか一項に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項9】
前記絶縁層が、プラスチックから成る、請求項1からのいずれか一項に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項10】
前記ハンドルが、電気絶縁性材料で作られた表面を有する、請求項1からのいずれか一項に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項11】
前記測定電極が、弾性要素を使用して弾性的な方式で取り付けられることによって、前記補償電極に対して軸線方向で変位可能な方式で配設される、請求項1から10のいずれか一項に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項12】
前記測定電極が先細端部を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項13】
前記参照電極が曲がったステンレス・ワイヤとして具体化される、請求項1から12のいずれか一項に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項14】
前記測定部が、1つの共通のハウジングがあればよいように、前記ハンドルに統合される、請求項1から13のいずれか一項に記載の歯のインピーダンスを判定するキットオブパーツ
【請求項15】
1.唾液を検査されている歯から除去するステップと、
.絶縁性ゲルを前記検査されている歯に塗布するステップと、
.測定電極および補償電極を前記検査されている歯の第1の位置に位置決めするステップであって、前記測定電極が、前記歯に直接付随するとともに口腔内の唾液から前記絶縁性ゲルを介して絶縁されるステップと、
.参照電極を口腔内の任意の地点に位置決めするステップと、
.測部を使用して前記測定電極と前記参照電極との間にAC電圧を印加するステップと、
.結果として得られる電流を測定するステップと、
7.前記AC電圧および前記結果として得られる電流からインピーダンスを判定するステップと、
8.前記検査されている歯の少なくとも1つの更なる位置で、ステップ3から7を繰り返すステップと、
9.インピーダンスが変化したことがプロセス中で捕捉されているか否かにかかわらず、少なくとも2つのインピーダンスを比較するステップと、
を含む、歯のインピーダンスを判定する方法。
【請求項16】
歯のインピーダンスを判定する、請求項1から14のいずれか一項に記載のキットオブパーツの使用法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯のインピーダンスを判定する装置および方法に関する。歯のインピーダンスは、虫歯(う蝕、う蝕病変、う蝕変化)の診断に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
虫歯は、歯科硬組織、即ちエナメル質および/または象牙質が損傷する、歯の疾患である。歯科硬組織は、硬物質または歯科硬物質とも呼ばれる。脱灰、変色、空洞化(歯科硬組織の崩壊)および歯髄に達する病変は、う蝕の症状である。
【0003】
う蝕がエナメル質のみに影響している場合はエナメル質う蝕と呼ばれ、う蝕が象牙質にも影響している場合は象牙質う蝕と呼ばれる。う蝕が歯の咀嚼面に影響している場合は咬合面う蝕と呼ばれ、う蝕が隣在歯に隣接している歯面に影響している場合は隣接面う蝕と呼ばれる。
【0004】
未処置のう蝕はう蝕罹患歯の欠損につながるので、できるだけ早い段階でう蝕を診断することが不可欠である。同時に、う蝕診断の範囲内での偽陽性結果は、過剰処置を防ぐためにできるだけ回避すべきである。したがって、う蝕診断の目標は、患者を適切に処置できるように、特異性および感受性をできるだけ高めることである。
【0005】
小さなう蝕変化は、臨床検査中にエナメル質の変色と視覚的に区別することができないので、歯のう蝕診断は困難な場合がある。したがって、以下の2つのリスクがある。第一に、変色しているだけの地点が誤ってう蝕と診断され、したがって削って詰め物をされた場合、過剰処置のリスクがあり、第二に、う蝕が特定されず、したがって未処置のままの場合、処置不十分のリスクがある。
【0006】
う蝕の確実な診断または確実な排除は、歯の隣接面では、即ち隣在歯に隣接している歯面では、特に困難である。歯間隙は、個々に異なるが非常に狭い場合があり、2つの隣在歯の隣接面の間に位置する。歯間隙が小さくなるにつれて、関連する隣接面にアクセスして目視検査するのが困難になる。隣接面う蝕は、特に非常に狭い歯間隙の場合、非常に簡単に見落とされてしまう。
【0007】
最新技術
以下の装置または方法はう蝕を診断するのに使用される。
【0008】
目視診断:清浄し乾燥させた歯を、歯科ミラーを使用して、観察によって、変色および空洞化(歯科硬組織の崩壊)に関して良好な照明の下で検査する。
【0009】
触覚プロービング:清浄し乾燥させた歯を歯科プローブによって感知する。
【0010】
光ファイバによる透照診(FOTI、透照法):歯科硬組織を、低温の光プローブを使用して透照する。ここで、光を回折したときの、健康な歯科硬組織およびう蝕歯科硬組織の異なる挙動が使用される。う蝕物質は、光強度の損失により、暗い影として特定可能になる。これによって、特に象牙質う蝕の良好な診断が可能になる。
【0011】
X線検査:従来の技術またはデジタル技術を使用したX線検査を、咬翼を用いて実施する。これによって、特に、隣接面の、即ち歯列の歯が接触している歯面の、エナメル質う蝕の良好な診断が可能になる。
【0012】
レーザ応用う蝕診断(レーザ蛍光測定):レーザ蛍光デバイスの波長650nmの光は、有機物質および無機物質両方によって再吸収される。レーザ蛍光デバイスは、少なくとも1つの光源と、設計に対して一般的なサイズを有する光学部とから成る。歯科硬物質のう蝕病変は、用いられるレーザによって励起されて蛍光を発するので、蛍光が存在する場合、う蝕があると推論することができる。この方法は、咬合面う蝕の診断に特に良好に適合している。
【0013】
歯のAC抵抗の判定(インピーダンス測定):歯科硬物質のインピーダンスは、この方法では、適切な測定デバイスを使用して判定される。う蝕がある場合、健康な歯科硬物質と比べて導電性が著しく増加し、したがってインピーダンスが著しく低減される。エナメル質は象牙質よりも実質的に高いインピーダンスを有するので、この方法を、特にエナメル質のう蝕病変の診断に使用することができる。う蝕がまだ空洞化に至っておらず、したがって視覚的にもまたは触覚プローブを用いても特定できない場合、インピーダンス測定は非常に良好に適合された方法である。
【0014】
交流で動作するデバイスは、インピーダンスを判定するのに使用される。これらの測定デバイスは、少なくとも参照電極、測定電極および測定部を備える。参照電極は口腔内の任意の位置に配置される。測定電極は、検査されている歯を感知するように使用される。う蝕変化に測定電極が接触するとすぐにインピーダンスが降下する。このインピーダンスの変化は、測定部によって登録され、例えば、音響による警告信号または光学表示を用いて、検査者に対して指示される。AC抵抗測定デバイスのポインタを、光学ディスプレイとして、または電気抵抗が変化すると、例えば緑色から赤色に色を変化させる発光型ディスプレイとして使用することができる。例として、発光型ディスプレイは、異なる色のダイオードを備えたLEDスケールであることができる。
【0015】
主に、測定電極を使用して検査されている歯の表面を感知すると、裂溝および小窩がある咬合面が検査される。測定電極がう蝕地点に接触した場合、歯のエナメル質はう蝕地点では多孔質なので、インピーダンスが低下する。
【0016】
従来技術の不利な点は次の通りである。
【0017】
目視診断:歯間隙およびしたがって歯の隣接面は、アクセスできないか、または非常にアクセスしづらく目視診断がしづらい。したがって、目視診断の範囲内では、隣接面う蝕は見落とされる場合が多い。この臨床検査プロセスの有意味性は、歯科医の経験および色認識に非常に大きく左右される。歯の生理学的変色はう蝕と誤診される恐れがある。
【0018】
触覚プロービング:触覚プロービングの範囲内における熟練していない動作は、十分に石灰化していないエナメル質の崩壊、または歯の他の損傷につながる恐れがある。更に、目視診断と比較して、それを上回る病識はほとんど得られない。これらの理由から、触覚プロービングは今では時代遅れと見なされている。
【0019】
光ファイバによる透照診:う蝕とは独立して起こることがある生理学的な歯の変色は、光ファイバによる透照診の結果を偽って偽陽性診断がなされる。
【0020】
X線検査:各検査は、原則としてできるだけ低く抑えるべきである放射線暴露を表す。したがって、特に小児および妊婦の患者の場合、X線検査が妥当であることを示すものがあるべきである。患者は、X線記録が取られている間一切動いてはいけないので、比較的低年齢の小児または認知機能に制限がある人の場合、X線記録は実施できない場合が多い。象牙質う蝕は、脱灰が象牙質まで著しく進行していて初めてう蝕として診断できるので、X線検査中に簡単に見落とされる恐れがある。咬合面う蝕は、う蝕病変が既に象牙質まで達するほど深くなっていなければ、X線画像で特定できない。X線は、既に存在する充填物によって吸収され散乱するので、既に存在する充填物の直下または傍にあるう蝕は、X線検査の範囲内で常に特定できるものではない。
【0021】
レーザ応用う蝕診断:この方法は、用いられるレーザ蛍光デバイスの設計に鑑みて一般的であるサイズを考えると、デバイスを2つの歯の間に(即ち、隣接面に向かって)配置することができないので、隣接面う蝕の診断にはほとんど使用できない。う蝕とは独立して起こることがある生理学的な歯の変色は、レーザ応用う蝕診断の結果を偽る。レーザ蛍光デバイスは、調達および運用両方の点で高価である。
【0022】
歯のAC抵抗の判定(インピーダンス測定):検査されている歯の上および口腔内にある唾液の組成および量は、導電性に、またしたがってインピーダンスに影響を及ぼす。う蝕が存在しなくても、多量の唾液が検査されている歯の上にある場合、インピーダンスは降下する。したがって、電流がこの場合、歯を通してだけではなく歯の表面上の唾液膜も通って口腔へ流れ、そのため、特定されない分流がある場合が多いので、偽陽性所見がなされる。同様に、患者ごとに異なる個々の唾液の電解質含量が、インピーダンスに影響を及ぼすことがある。
【0023】
この不利な点は、特に、インピーダンスを測定するのに現在使用されている測定デバイスにおいて存在する。インピーダンス測定に現在使用されている測定デバイスは、測定結果の再現性に関して不十分であり、それが歯科医を混乱させることがある。特に、進行をモニタリングするのに測定が繰り返される場合に問題がある。
【0024】
う蝕は、歯の表面の裂溝および小窩で主に発生するので、寸法が大きすぎる測定電極は初期う蝕変化を信頼性高く検出することができない。
【0025】
インピーダンスの測定に現在使用されている測定デバイスは、ロッド状、円筒状またはワイヤ状の測定電極である。この電極の形態により、従来技術の測定電極は歯の隣接面を感知するのには適さない。結論として、現在知られている測定デバイスを使用して隣接面う蝕を診断することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、う蝕を診断するために歯のインピーダンスの判定を改善する、装置および方法を提供すべきものである。特に、口腔内に存在する唾液の影響が低減されるべきである。更に、歯科医の混乱を低減し、結果として不正確な診断を低減するために、進行をモニタリングする際の測定の再現性が改善されるべきである。更に、初期段階のう蝕を信頼性高く特定するためにも、歯の表面にある裂溝および小窩のう蝕の診断が改善されるべきである。それに加えて、適切な測定電極を使用した隣接面う蝕の診断が容易にされるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明に係る課題は、請求項1(装置)および請求項14(方法)によって解決される。特に、本発明に係る課題は、従来技術を上回る以下の進歩によって解決される。
- 唾液の厄介な影響を回避するため、電気固有抵抗ρ>500Ω・mの絶縁性ゲル9を使用する。
- 補償電極6に結合することによって、測定電極5を改善する。結果として、歯の表面を介して測定電極5から側方に放電されていたであろう電流が、補償電極6を介してガイドされる。補償電極6は測定電極5に対するシールドとして作用する。
- 測定部2の測定電子部品を適合させる:ロックイン技術を使用して交流測定を実施した結果として、電流が非常に小さい場合であっても、安定した測定値が得られる。これにより、電流の大きさが10nA~2μAの場合に、安定した測定値を得ることが可能になる。
- 搬送周波数測定技術の原理に従って測定を実施する。
- 測定部2は、関数発生器を用いて規定の正弦波電圧を提供する。好ましくは、この正弦波電圧の周波数は600Hz、平均電圧は約70mV Urmsである。それぞれの場合にアイソレーション増幅器を用いて、この電圧は測定電極5および補償電極6の両方に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る装置の概略長手方向断面図である。
図2】本発明に係る装置の概略長手方向断面図である。
図3】本発明に係る装置の概略長手方向断面図である。
図4】本発明に係る装置の概略長手方向断面図である。
図5】本発明に係る装置の概略長手方向断面図である。
図6】平面膜として具体化される測定電極および補償電極の概略図である。
図7】平面膜として具体化される測定電極および補償電極の概略図である。
図8】平面膜として具体化される測定電極および補償電極の概略図である。
図9】平面膜として具体化される測定電極および補償電極の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
したがって、本発明に係る装置1および本発明に係る方法は、改善された方式で、検査されている歯科硬物質のインピーダンスを判定する。う蝕の場合、インピーダンスは歯科硬物質の罹患地点で低減される。インピーダンスを判定するのにオームの法則が適用される。インピーダンスは、所与の電圧における測定電極5と参照電極4との間の電流の流れの測定値から計算することによって判定される。あるいは、インピーダンスは、測定電極5と参照電極4との間の所与の電流の流れにおける電圧の測定値から計算することによって判定することもできる。
【0030】
口腔内に存在する唾液の影響を低減するために、検査されている歯に存在する唾液が最初に除去され、続いて、本発明に従ってインピーダンスを判定する際、絶縁性ゲル9が前記歯に塗布される。この絶縁性ゲル9は、低い導電性しか有さないことが可能であり、非毒性で安価に製造できなければならない。好ましくは、絶縁性ゲル9は電気固有抵抗ρ>500Ω・mを有する。絶縁性ゲル9の粘性は、検査されている歯に接着するような高粘性であるべきである。有利には、より簡単に特定できるように、口腔内の他の全ての構造と異なる色合いを有する。したがって、絶縁性ゲル9が十分な量で想定した地点に塗布されたか否かを、目視制御によって簡単に判定することができる。蒸留水100ml+色素1ml当たり0.9gのガラクトース・ポリマー・アガー(即ち、寒天)を含むゲルタイプの試料が、絶縁性ゲル9に特に有利であることが見出された。有利には、例えば、アントシアニン(E163)、ブリリアント・ブルーFCF(E133)、インジゴカルミン(E132)またはパテント・ブルーV(E131)などの青色食用色素が色素として使用される。
【0031】
あるいは、絶縁性ゲル9はゼラチンまたはスターチから作成することもできる。
【0032】
一実施形態では、絶縁性ゲル9は、検査されている歯に押し付けることができ、歯の表面に合致する、可撓性の袋またはパッドの形態で具体化される。これらの袋またはパッドは、より簡単に保存することができ、必要なときに個々の包装から取り出すことができるという点で有利である。
【0033】
本発明に係る装置1は、少なくとも以下の更なる構成要素を備える。
【0034】
測定部2:測定部2は、少なくとも1つの関数発生器と、絶縁増幅器と、ロックイン増幅器と、電圧インジケータと、評価部と、音響、光学および/または触覚信号の出力手段とを備える。測定部2は、参照電極4、測定電極5および補償電極6に接続可能である。有利には、この接続はプラグイン接続なので、患者に使用した後に電極4、5および6を清浄することができ、再使用することができる。
【0035】
関数発生器によって、測定部2は、測定部に接続された電極4、5および6に印加されるAC電圧を提供する。測定部2は、測定電極5から歯を通して参照電極4へと流れる電流強度を測定する。結果として得られる電流強度から、測定部2の評価部は所与の電圧におけるインピーダンス・レベルを判定する。代替実施形態では、測定部2は所与の電流強度における電圧を測定する。いずれの場合も、測定部2の評価部は、検査されている歯の少なくとも2つの異なる位置で、インピーダンスのレベルおよび変化を獲得する。
【0036】
したがって、測定部2の評価部は、インピーダンスの変化を登録し、測定結果を処理および評価し、出力手段を、例えば音響警告信号および/または光学指示および/または触覚指示を通して、検査者に適切なフィードバックを提供する。測定部2の出力手段は測定部2に接続可能である。
【0037】
歯のインピーダンスを判定するために測定される電流は非常に小さい。ロックイン増幅器はより良好な評価のために使用される。これにより、測定電流が小さい場合の誤りが回避される。ロックイン増幅器および潜在的にそれに伴うロックイン技術の結果として、電流が10nA~2μAと非常に小さい場合であっても、安定した測定値が得られる。
【0038】
ハンドル3:ハンドル3は、検査の間、測定部2を含む装置1を保持することができ、装置1の電極4、5および6を、口腔内または検査されている歯の上に配置できるようにして具体化される。ハンドル3は、電気絶縁性材料、例えばポリカーボネートまたはポリエチレンなどのプラスチックで作られた表面を有する。
【0039】
ハンドル3および測定部2に共通のハウジングがあればよいように、測定部2をハンドル3に統合することができる。この有利な実施形態では、ハンドル3は、測定部2への電極4、5および6の有利なプラグイン接続が容易になるようにして設計される。
【0040】
参照電極4:導電性材料から成り、口腔内の任意の地点に配置される。導電体を用いて測定部2に接続される。好ましい実施形態では、参照電極4は、プラグを用いて測定部2に接続可能であるように具体化される。結果として、参照電極4は、患者に使用した後で簡単に交換することができる。参照電極4は、簡単に清浄し殺菌できるようにして具体化される。
【0041】
測定電極5:導電性材料から成る。導電体を用いて測定部2に接続される。好ましい実施形態では、測定電極5は、プラグを用いて測定部2に接続可能であるように具体化される。結果として、測定電極5は、患者に使用した後で簡単に交換することができる。測定電極5は、簡単に清浄し殺菌できるようにして具体化される。
【0042】
測定電極5は、検査されている歯の第1の位置にある測定電極5と参照電極4との間を交流電流が流れることができるようにして、参照電極4に対して配設される。
【0043】
検査されている歯の表面は、測定電極5を使用して感知される。結果として、測定電極5は、検査されている歯の少なくとも1つの更なる位置へと移動させられる。測定電極5が歯に接触する地点で、絶縁性ゲル9を歯の表面から補償電極6とともに移動させ、参照電極4によって回路が閉じられる。無傷のエナメル質および無傷の象牙質は600kΩを超える高い電気抵抗を有するので、歯のこの地点がう蝕によって変化していない場合、インピーダンスは非常に高い。測定電極5がう蝕変化の領域に触れるとすぐに、インピーダンスは480kΩ未満に降下する。このインピーダンスの変化は、電流フローの測定を用いて、測定部2によって判定され、処理され、評価され、検査者に対して出力される。
【0044】
補償電極6:導電性材料から成る。導電体を用いて測定部2に接続される。好ましい実施形態では、補償電極6は、プラグを用いて測定部2に接続可能であるように具体化される。結果として、補償電極6は、患者に使用した後で簡単に交換することができる。補償電極6は、簡単に清浄し殺菌できるようにして具体化される。
【0045】
補償電極6の電位は測定電極5と同じである。結果として、電位は測定電極5と同じである。補償電極6は測定電極5に構造的に結合される。測定電極5をシールドするのに役立つ。
【0046】
測定電極5および補償電極6は、電気的には相互接続されず、絶縁層7(絶縁層、絶縁体)によって互いから分離される。したがって、絶縁層7は測定電極5と補償電極6との間に適用される。
【0047】
機械的結合と同時に電気的絶縁を行うこの構造的構成によって、測定電極5と同じ電位が、測定電極5および補償電極6を取り囲む絶縁性ゲル9に存在することが担保される。これにより、歯の表面を流れる電流が、測定電極5からではなく補償電極6のみからのものであることが担保される。したがって、補償電極6によって、検査されている歯のこの地点のエナメル質と塗布された絶縁性ゲル9とが、測定電極5と同じ電位を有するようになる。これにより、測定電極5から口腔へ、したがって歯の表面を介して参照電極4へと流れる電流を発生させる電界が作成されなくなる。この望ましくない電流の流れは、インピーダンス判定の再現性および精度を低減させるので、これが抑制されることが必須である。
【0048】
絶縁層7:絶縁層7は、測定電極5と補償電極6との間に、これら2つの電極が互いから電気的に絶縁され、前記2つの電極の間を電流が流れることがないような形で適用される。絶縁層7は、例えばプラスチック、例えばポリカーボネートまたはポリエチレンなどの、適切な絶縁性材料から成る。絶縁性ゲル9とともに、絶縁層7は、歯の表面の上を流れる電流が測定電極5から生じるのを防ぐ。これにより、測定の再現性および精度が大幅に改善される。
【0049】
本発明に係る装置の概略図が、図1および2に示されている。
【0050】
本発明に係る方法は、以下のステップを含む。
- 従来技術によって知られているプロセスを使用して、唾液の個々に異なる影響を防ぐために、検査されている歯はできるだけ乾燥させられる。例として、空気ブロアは、唾液膜を乾燥させる目的で歯に空気を吹き付けることができる。乾燥後、例えば、コットン・ロールまたはデンタル・ダムによって新たな唾液を近付けないようにする。
- 検査されている歯は、本発明に係る絶縁性ゲル9によって湿潤される。したがって、例えば、この歯は、蒸留水100ml+色素1ml当たり0.9gの寒天で作られたゲル状の試料を使用して湿潤される。湿潤は、歯の見えている表面全体にわたって、または検査されている地点のみで行われる。
- これにより、標準化された比較可能な測定条件が作られる。特に、導電性が高い天然の唾液は、電流の流れの測定を妨げる可能性があり、したがって口腔への、またしたがって参照電極4への分流としてのインピーダンスの判定を妨げる可能性があるので、前記唾液が入らないようにされる。
- 参照電極4は、測定電極5および補償電極6と直接接触することなく、口腔内の任意の地点に配置される。この地点は、病態変化(例えば、炎症、潰瘍または腫瘍状の変化)を何ら有してはならない。この地点は、参照電極4を適用し、結果として唾液で湿潤する前には処置されない。検査されている歯と参照電極4との間の組織の電気抵抗は、歯科硬物質の電気抵抗と比較して無視できる程度に小さいので、参照電極4と検査される歯との間の空間距離は無視できる程度である。したがって、参照電極4が配置される口腔内の位置は重要ではない。
- 測定電極5は、検査されている歯の地点に適用され、そこと接触させられる。したがって、検査されている歯の表面は、測定電極5を使用して感知される。このプロセスにおいて、測定電極5は、歯の接触地点にある絶縁性ゲル9を移動させ、結果として、前記絶縁性ゲルは、測定電極5の周りに壁状の絶縁層を形成する。
- 補償電極6を測定電極5に機械的に結合した結果として、補償電極6も検査されている歯の地点に同時に適用され、絶縁性ゲル9が補償電極6の周りに壁状の絶縁層を形成する。従前と同じく、測定電極5および補償電極6は、絶縁性ゲル9に浸漬し、結果として歯の表面と接触させる。これによって、測定電極5と参照電極4との間の回路が閉じる。
- AC電圧Uが測定電極5と参照電極4との間に印加される。例として、AC電圧Uは600~2000Hzの周波数を有する。好ましくは、最大振幅は約200mVである。好ましくは、平均振幅Urmsは約70mVである。
- AC電圧は同様に補償電極6に印加され、その振幅、周波数および位相角は測定電極5の電圧に相当する。
- ここで、測定部2は、定電圧で測定電極5を流れ、歯を通して参照電極4へと流れる電流を測定する。この電流の流れは測定値として使用され、そこから測定部2はインピーダンスを判定する。小さい電流は大きいインピーダンスに対応し、大きい電流は小さいインピーダンスに対応する。
- あるいは、測定部2は、一定の電流強度で測定電極5に印加される電圧を測定する。この電圧は測定値として使用され、そこから測定部2はインピーダンスを判定する。
- インピーダンスZは、オームの法則Z=U/Iに基づいて判定される。
【0051】
本発明に係る補償電極6を構成し、本発明に係る絶縁性ゲル9を使用した結果として、測定電極5からの電流の流れは、測定電極5の先端を介さないと検査されている歯に達することができず、歯の表面を介して歯肉へと側方に、またしたがって口腔内に入って参照電極4へと達することはない。結果として、邪魔な電界および望ましくない電流の流れが防止される。これにより、大幅に良好な再現性および精度が達成され、その結果として、より精密な進行度検査が容易になる。同様に、従来技術によるインピーダンスの判定と比較して、大幅に改善された特異性および感受性が達成される。
【0052】
更なる実施形態
一実施形態では、参照電極4は曲がったステンレス・ワイヤとして具体化される。
【0053】
一実施形態では、参照電極4は、チタン、銀もしくは鉄などの金属、または合金、または好ましくはステンレス鋼から成り、別の実施形態では、参照電極4は炭素から成る。
【0054】
一実施形態では、測定電極5は、チタン、銀もしくは鉄などの金属、または合金、または好ましくはステンレス鋼から成り、別の実施形態では、測定電極5は炭素から成る。
【0055】
有利には、AC電圧は、周波数約600Hzおよび最大振幅約200mVで、測定電極5に印加される。したがって、平均振幅Urmsは約70mVである。
【0056】
一実施形態では、補償電極6は、チタン、銀もしくは鉄などの金属、または合金、または好ましくはステンレス鋼から成り、別の実施形態では、補償電極6は炭素から成る。
【0057】
一実施形態では、測定電極5は、歯の表面の不規則性(裂溝、小窩)を補うために、弾性的に取り付けられる。
【0058】
好ましい実施形態では、測定電極5は、先端に向かう先細端部を有する細長い電極として具体化される。これによって更に、歯の表面の最も小さい窪みで測定を実施することが可能になる。同様に、これによって、歯の表面の裂溝または小窩における、う蝕が疑われる非常に小さい変化の測定を行うことが可能になる。直径1.5mm未満の測定電極5が、この目的のために特に有利であることが見出された。
【0059】
一実施形態では、機械的に結合された測定電極5および補償電極6は、平面膜として具体化される。これによって、検査されている歯の隣接面における歯間隙で測定を実施することも可能になる。膜のキャリア材料に関して、プラスチックまたは導電性が非常に低い他の任意の物質、例えばポリカーボネートもしくはポリエチレンを使用することができる。したがって、この実施形態では、このキャリア材料は絶縁層7として作用する。膜のキャリア材料は、歯科医が膜を通して歯の表面を特定することができるように、好ましくは透明である。測定電極5および補償電極6は、このキャリア材料(即ち、絶縁層7)に組み入れられる。この場合、測定電極5および補償電極6は、摩耗安定性材料、例えばチタン、銀もしくは鉄などの金属、または合金、または好ましくはステンレス鋼、または炭素から成る。
【0060】
一実施形態では、平面膜として具体化された測定電極5およびそれに機械的に結合された補償電極6は、補強縁部を有する。これによって、平面膜として具体化された測定電極5および補償電極6を、2つの歯の間(即ち、歯間領域)に配置することが単純になる。同様に、これによって、平面膜として具体化された測定電極5および補償電極6がしわにならない。
【0061】
一実施形態では、平面膜の補強縁部は補償電極6として具体化される。別の実施形態では、平面膜の補強縁部は測定電極5として具体化される。
【0062】
一実施形態では、平面膜は、測定部2によって互いとは別個に制御可能な、2つの測定電極5および2つの補償電極6を有する。結果として、平面膜を2つの隣在歯の間の歯間隙に配置した後、第1の測定電極5および第1の補償電極6を使用して一方の歯を最初に検査し、次に第2の測定電極5および第2の補償電極6を使用して他方の歯を検査することができる。これは、2つの隣在歯の隣接面を検査するときに、膜を歯間領域に一度だけ配置すればよいという点で有利である。これは、特に歯間領域が狭い場合に、患者および歯科医にとって有利である。
【0063】
一実施形態では、補償電極6は円筒状チューブとして具体化され、別の実施形態では、円筒状に巻かれたワイヤとして具体化される。両方の実施形態では、補償電極6は中央に配設された測定電極5を取り囲み、両方が絶縁層7によって互いから電気的に絶縁される。
【0064】
更なる実施形態では、補償電極6は測定電極5に対して、軸線方向で互いに対して変位可能であるような形で配設される。例として、これは、測定電極5または補償電極6に弾性要素8を組み込むことによって達成される。有利には、外部に配設された補償電極6は、ばね8を介して、中央に配設された測定電極5に結合される。ここで、これら2つの電極は絶縁層7によって互いから電気的に絶縁されることが必須である。以下の利点はこの構成によって達成される。測定電極5が検査されている歯の裂溝または小窩(即ち、好ましくはう蝕が生じているところ)に押し込まれた場合、補償電極6の先端が測定電極5の先端の後に続き、両方の電極が歯の表面近くに適用される。結果として、不適当な測定および測定のばらつきが低減される。
【0065】
一実施形態では、電極4、5および6は使い捨て電極として具体化される。この場合、電極4、5および6は、有利には、プラグイン接続を用いて測定部2に接続される。
【0066】
好ましい実施形態では、ハンドル3および測定部2に共通のハウジングがあればよいように、測定部2がハンドル3に統合される。
【0067】
図面の要点
図1は、本発明に係る装置1の概略長手方向断面図を示している。測定部2およびハンドル3は互いに独立して配設される。測定電極5および補償電極6は、互いに結合され、検査されている歯(概略的に図示)の上に配置される。補償電極6は、歯への接触地点において、チューブ状(円筒状)の実施形態を有し、結果として測定電極5をシールドする。参照電極4は口腔内の任意の位置に配置される。絶縁性ゲル9は歯の表面にまだ塗布されていない。
【0068】
図2は、本発明に係る装置1の概略長手方向断面図を示している。測定部2はハンドル3に統合されているので、1つの共通のハウジングがあればよい。測定電極5および補償電極6は、互いに結合され、検査されている歯(概略的に図示)の上に配置される。補償電極6は、歯への接触地点において、チューブ状(円筒状)の実施形態を有し、結果として測定電極5をシールドする。参照電極4は口腔内の任意の位置に配置される。絶縁性ゲル9は、検査されている歯の表面全体に塗布されている。測定電極5および補償電極6と歯との接触地点において、これらは絶縁性ゲル9を移動させる。結果として、絶縁性ゲル9は、測定電極5の周りおよび補償電極6の周りに、壁状の縁部を形成する。
【0069】
図3は、本発明に係る装置1の概略長手方向断面図を示している。測定部2はハンドル3に統合されているので、1つの共通のハウジングがあればよい。測定電極5および補償電極6は、互いに結合され、検査されている歯(概略的に図示)の上に配置される。補償電極6は、歯への接触地点で円筒状に巻かれたワイヤとして具体化され、結果として測定電極5をシールドする。参照電極4は口腔内の任意の位置に配置される。絶縁性ゲル9は歯の表面にまだ塗布されていない。
【0070】
図4は、本発明に係る装置1の概略長手方向断面図を示している。測定部2はハンドル3に統合されているので、1つの共通のハウジングがあればよい。測定電極5および補償電極6は、互いに結合され、検査されている歯(概略的に図示)の上に配置される。測定電極5は、弾性要素8を使用して弾性的に取り付けられる。結果として、測定電極5は、補償電極6に対して軸線方向で変位可能な構成を有する。ばねが弾性要素8として提供される。測定電極5が検査されている歯の裂溝または小窩(即ち、好ましくはう蝕が生じているところ)に押し込まれた場合、補償電極6の先端が測定電極5の先端の後に続き、両方の電極が歯の表面近くに適用される。補償電極6は、歯への接触地点で円筒状に巻かれたワイヤとして具体化され、結果として測定電極5をシールドする。参照電極4は口腔内の任意の位置に配置される。絶縁性ゲル9は歯の表面にまだ塗布されていない。
【0071】
図5は、本発明に係る装置1の概略長手方向断面図を示している。測定部2はハンドル3に統合されているので、1つの共通のハウジングがあればよい。測定電極5および補償電極6は、互いに結合され、検査されている歯(右側の歯、概略的に図示)の上に配置される。測定電極5および補償電極6は平面膜として具体化され、結果として、右の歯の隣接面を検査するために歯間隙に配置することができる。参照電極4は口腔内の任意の位置に配置される。絶縁性ゲル9は歯の表面にまだ塗布されていない。
【0072】
例示的実施形態として、図6は、平面膜として具体化される測定電極5および補償電極6の概略図を示している。同時に、平面膜は絶縁層7を表す。測定電極5は、この例示的実施形態では長方形である、平面電極として具体化される。ワイヤ状電極として、補償電極6は平面膜に設置される。補償電極6は、測定電極5をシールドするように、長方形の測定電極5の周りに配設される。
【0073】
例示的実施形態として、図7は、平面膜として具体化される測定電極5および補償電極6の概略図を示している。測定電極5および補償電極6は両方とも、直線のワイヤ状電極として平面膜に設置される。同時に、平面膜は絶縁層7を表す。
【0074】
例示的実施形態として、図8は、平面膜として具体化される測定電極5および補償電極6の概略図を示している。同時に、平面膜は絶縁層7を表す。測定電極5は、この例示的実施形態では円形である、平面電極として具体化される。ワイヤ状電極として、補償電極6は平面膜に設置される。補償電極6は、測定電極5をシールドするように、円形の測定電極5の周りに配設される。
【0075】
例示的実施形態として、図9は、平面膜として具体化される測定電極5および補償電極6の概略断面図を示している。同時に、平面膜は絶縁層7を表す。膜の2つの対向面上で、測定電極5および補償電極6はそれぞれ、直線のワイヤ状電極として平面膜に設置される。測定部2を適切にプログラミングすることによって、一方の側の測定電極5および補償電極6、または他方の側の測定電極5および補償電極6どちらかが始動され使用される。これによって、膜を交換することなく、1つの平面膜が2つの隣在歯を検査することが可能になる。
【符号の説明】
【0076】
1 本発明に係る装置
2 測定部
3 ハンドル
4 参照電極
5 測定電極
6 補償電極
7 絶縁層
8 補償電極6を測定電極5に機械的に結合する弾性要素、例えばばね
9 絶縁性ゲル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9