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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】流体ポンピングシステム
(51)【国際特許分類】
   F04B 9/00 20060101AFI20220222BHJP
   F16H 3/72 20060101ALI20220222BHJP
   F16H 3/54 20060101ALI20220222BHJP
   F16C 19/18 20060101ALI20220222BHJP
   F16C 33/58 20060101ALI20220222BHJP
   F04D 13/06 20060101ALI20220222BHJP
   F04D 29/60 20060101ALI20220222BHJP
   F04D 29/62 20060101ALI20220222BHJP
   F04B 9/02 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
F04B9/00 C
F16H3/72 A
F16H3/54
F16C19/18
F16C33/58
F04D13/06 Z
F04D29/60 B
F04D29/62 A
F04B9/02 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020559416
(86)(22)【出願日】2019-03-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 EP2019055552
(87)【国際公開番号】W WO2019214864
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】102018207001.6
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520361450
【氏名又は名称】ハンオン システムズ エーエフペー ドイチュラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フーマー クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ラーチュ ヴィクトール
(72)【発明者】
【氏名】ワサック ミヒャエル
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08714942(US,B2)
【文献】独国特許出願公開第10125692(DE,A1)
【文献】特開2017-053454(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013211813(DE,A1)
【文献】国際公開第2006/089376(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01801386(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 9/00
F16H 3/72
F16H 3/54
F04D 13/06
F04D 29/60
F04D 29/62
F04B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を有する車両用の流体ポンピングシステムとして、
前記流体ポンピングシステムは、
ハウジング(3)と、
電気モーター(20)と、
前記内燃機関によって駆動される第1部材、前記電気モーター(20)によって駆動される第2部材、及び第3部材を有する遊星ギアセット(7)と、
前記遊星ギアセットの第3部材によって駆動されるポンプ(14)と、を含み、
前記ハウジング(3)はポンプフランジ(4)及びプーリーカバー(6)を有するプーリー(5)によって密閉されて、
少なくとも前記プーリー(5)、及び/または前記プーリー(5)の内部に配置されるリングギア(10)は、プラスチックで形成されており、
前記プーリー(5)は、内燃機関を介したベルト駆動のための摩擦面を提供する外周(5a)と、前記遊星ギアセット(7)に対する装着空間(5c)を形成する内側の小さな円周(5b)と、前記ハウジング(3)の軸方向延長領域(3a)と共にベアリング(16)用の前記装着空間(5c)を形成する接触面(5e)を形成するさらに小さな円周(5d)とを有することを特徴とする流体ポンピングシステム。
【請求項2】
前記プーリー(5)は板金で形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の流体ポンピングシステム。
【請求項3】
前記リングギア(10)はプラスチックで形成されており、前記プーリー(5)に圧入される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の流体ポンピングシステム。
【請求項4】
前記リングギア(10)は少なくとも1つの窪み部(13)及び/または突出部(15)を通じて位置的に安定な方式で前記プーリーカバー(6)に連結される、ことを特徴とする請求項1に記載の流体ポンピングシステム。
【請求項5】
前記プーリー(5)と前記リングギア(10)はプラスチックで一体に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の流体ポンピングシステム。
【請求項6】
前記ポンプ(14)は放射状シャフト密封部(19)によって前記電気モーターから密封される、ことを特徴とする請求項1に記載の流体ポンピングシステム。
【請求項7】
前記ポンプ(14)のインペラ(impeller)は複列ボールベアリング(18)により支持される、ことを特徴とする請求項1に記載の流体ポンピングシステム。
【請求項8】
シャフト(2)は単一ベアリングポイント(23)により支持される、ことを特徴とする請求項1に記載の流体ポンピングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内燃機関車両用流体ポンピングシステムに係り、より詳しくは、ハウジングと、電気モーターと、内燃機関により駆動される第1部材、前記電気モーターにより駆動される第2部材、そして第3部材を有する遊星ギアセットと、を含み、遊星ギアセットの第3部材により駆動されるポンプを含む流体ポンピングシステムに関し、前記ハウジングはポンプフランジ(flange)及びプーリーカバーを有するプーリーにより密閉される。
【背景技術】
【0002】
多くの車両にはポンプが備えられて圧力下で流体を車両の多様な箇所に伝達する。現在生産される多くの車両には車両の内燃機関によって駆動される1つ以上のポンプが備えられる。このようなポンプの例は、流体ポンプ、燃料ポンプ、水ポンプ、燃焼機関オイルポンプ、変速機オイルポンプ、過給機、ターボ過給機、動力操向ポンプ、エアコン圧縮機及び自動変速機、移送ケース、クラッチ及びその他の多くの車両ポンピングが必要な装置用作動システムに流れを供給する流体ポンプを含む。
【0003】
例えば、多くのポンプは固定型ポンプとして構成されて配置費用を最小化する。前記固定型ポンプはシステム要求に基づいて最大流量と最大圧力を提供するようにされる。しかし、要求される最大値は車両運行の多くの時間において必ずしも必要ではない。したがって、比較的低い出力が要求される場合、前記ポンプは比較的高い出力を非効率的に提供する。低出力ではなく高出力を提供するのに消費されるエネルギーはエネルギーの無駄遣いになる。また、ハイブリッド車両を含む一部新型車両の構成は常には内燃機関を用いない。最大の燃費を達成するために、ハイブリッド車両の内燃機関は車両作動中に複数回オフ、オンを繰り返す。
【0004】
したがって、内燃機関が流体ポンプの唯一のエネルギー源になることは好ましくない。電気モーターによって駆動されるポンプは自動車応用分野においても利用できる。しかし、電気モーターだけで駆動されるモーターは一般的に内燃機関によって機械的に駆動されるポンプと同様には効率的に作動しない。したがって、二つのエネルギー源を有し、車両のエネルギー効率を向上させて、必要な時、車両作動の互いに異なるモード中にポンピングされた流体を提供するポンプに対する技術的要求がある。
【0005】
米国特許US8714942 B2号によれば、内燃機関車両用流体ポンピングシステムが開示されるが、このシステムは電気モーターを含み、内燃機関によって駆動できる第1部材、前記電気モーターによって駆動される第2部材、及び第3部材を有する遊星ギアセットを含む。ポンプは前記遊星ギアセットの第3要素によって駆動される。ポンプが利用するチェーンホイールは遊星ギアセットのリングギアと一体に形成される。前記電気モーターは中空軸を通じて遊星ギアセットの遊星キャリアを駆動させて、流体ポンプ軸は太陽ギア(中心にあるギア)に連結される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は費用対効率が高い流体ポンピングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の技術的課題を達成するために、本発明は内燃機関を有する車両用の流体ポンピングシステムを提供するのに、前記流体ポンピングシステムはハウジングと、電気モーターと、前記内燃機関によって駆動される第1部材、前記電気モーターにより駆動される第2部材、及び第3部材を有する遊星ギアセットと、前記遊星ギアセットの第3部材により駆動されるポンプと、を含み、前記ハウジングはポンプフランジ(flange)及びプーリーカバーを有するプーリーによって密閉される。少なくともプーリー及び/またはプーリーの内側に配置されるリングギアはプラスチックで形成されて、前記プーリーの特別な形状によって費用効率的な生産が容易に可能である。
【0008】
前記プーリーが板金で形成されれば、特に有利である。板金で形成された構成要素は多様な製造工程によって複雑な形状に形成でき、したがって、本発明による解決手段が特別に最適化した方法で実現するようにする。
【0009】
前記リングギアがプラスチックで形成されてプーリーに圧入されれば板金を用いて前記プーリーを形成することが有利な解決手段になる。
【0010】
前記リングギアは少なくとも1つの窪み部及び/または突出部を通じて位置的に安全な方式で前記プーリーカバーに連結されることが有利である。
このような連結は互いに対する構成要素の位置を確認しながらプーリーカバーが容易に組み立てられるようにする。
【0011】
特に簡単な解決手段は前記プーリーと前記リングギアがプラスチックで一体に形成される。プーリーが遊星ギアセットに対する装着空間を形成することが有利である。プーリーの簡潔な設計はプーリーがハウジングの一部と共にベアリング用装着空間を形成する接触面を形成できるようにする。
【0012】
このような特殊なベアリング配列によって、力が直接ハウジングに伝わり、シャフトに影響しない。
【発明の効果】
【0013】
プーリーの特殊なベアリング配列によって、ポンプは放射状シャフト密封部によって電気モーターから密封でき端部面機械的密封が不要である。
【0014】
特殊なベアリング配列はまたポンプのインペラ(impeller)が複列ボールベアリングにより支持されるようにして設置空間を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は添付の図面を参考して例として下記に説明する。
図1】本発明の流体ポンピングシステムの概要を示す断面図である。
図2】本発明の流体ポンピングシステムの左側面図である。
図3】本発明の流体ポンピングシステムのリングギヤと遊星ギアカバーの関係を示す図である。
図4】本発明の流体ポンピングシステムの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1はポンプフランジ(4)により密閉されるポンプハウジング(3)からなる流体ポンピングシステム(1)の概略的な構造を図示する。前記流体ポンピングシステム(1)は3つの主要構成要素を有する。前記流体ポンピングシステムのポンプ(14)はシャフト(2)に沿って右側に配置される。中央は、ブラシレス(BLDC)モーターである電気モーター(20)がある。電気モーター(20)は中空軸として設計された回転子(rotor)(22)及び固定子(21)を有する。固定子(21)内部には湿気から前記電気モーター(20)を密封するポンプフランジ(4)の密封壁(4a)がある。プーリー(5)は前記シャフト(2)の端部領域(2a)の左側に配置される。前記プーリー(5)は遊星ギアセット(7)形態の減速ギアを含むように設計される。前記プーリー(5)は金属板を曲げた構成要素である。前記プーリー(5)は内燃機関を経てベルト駆動のための摩擦面を提供する外周(5a)を有する。また、前記プーリー(5)は内側の小さな円周(5b)を有するが、設置空間(5c)が形成されて前記遊星ギアセット(7)を収容する。さらに小さな円周(5d)によって、前記プーリー(5)はベアリング(16)に対する接触面(5e)を形成する。本実施例において、前記プーリー(5)は滑らかな外周(5a)を有するが、凸凹の駆動ベルトに対する凸凹の表面を有してもよい。前記遊星ギアセット(7)用リングギア(10)は前記プーリー(5)の設置空間(5c)に圧入される。
【0017】
リングギア(10)はプーリー(5)に圧入されるプラスチック素材で形成される。また金属製の遊星ギアカバー(6)は遊星ギアセット(7)を覆う役割をする。図3を参照すると、遊星ギアカバー(6)はプラスチック製のリングギア(10)の突出部(15)と結合されるように設計される1つ以上の窪み部(13)を有する。
【0018】
流体ポンプがプーリー(5)を通じて内燃機関によって駆動されれば、プーリー(5)はリングギア(10)及び遊星ギアカバー(6)と共に回転する。遊星ギアセット(7)はまたプラネット(planet、遊星)(11)が回転可能に装着されるプラネットキャリア(9)及び太陽ギア(8)からなる。太陽ギア(8)は回転可能に固定される方式でシャフト(2)に連結される。
【0019】
ポンプハウジング(3)の軸方向延長領域(3a)と共に、プーリー(5)はまた二重ボール(double ball)ベアリングであるベアリング(16)用装着空間(17)を形成する。ハウジングの複列ボール(double‐row ball)ベアリングによるプーリー(5)のこのようなベアリング配列は流体ポンピングシステム(1)の機能性駆動によるものではなく、ハウジング構造体を通じて、すなわちプラネットキャリア(9)、シャフト(2)、及びポンプのベアリングを通じて動力伝達を提供する。これは同一中心性を向上させるので、水ポンプの機械的密封に対する負荷を減少させる。したがって、放射状シャフト密封部(19)は従来の機械的端部面密封部に代えて利用することができる。流体ポンプのインペラ(impeller)ベアリング用複列ボールベアリング(18)を用いることによって従来用いられたニードル(needle)ベアリングを有するボールベアリングからなるベアリング組立体に比べて軸方向設置空間を節約する。シャフト(2)は単一ベアリングポイント(23)により支持される。
【0020】
他の実施例において、プーリー(5)は金属製でなく、リングギア(10)と共にプラスチックで射出成形される。
【0021】
流体ポンピングシステムは機械的電気的結合駆動によって動作できる。電気的駆動がBLDCモーターによって提供される一方、機械的駆動はベルト駆動及びプーリー(5)によって提供される。駆動機能はベルト駆動と電気駆動を直接互いに結合させるギア、すなわち遊星ギアセット(7)に結合される。
【符号の説明】
【0022】
1 流体ポンピングシステム
2 シャフト
2a 端部領域
3 ハウジング
3a 軸方向延長領域
4 ポンプフランジ
4a 密封壁
5 プーリー
5a 外周
5b 小さな円周
5c 設置空間
5d さらに小さな円周
5e 接触面
6 遊星ギアカバー
7 遊星ギアセット
8 太陽ギア
9 プラネットキャリア
10 リングギア
11 プラネッ
3 窪み部
14 ポンプ
15 突出部
16 ベアリング
17 装着空間
18 複列ボールベアリング
19 放射状シャフト密封部
20 電気モーター
21 固定子
22 回転子
23 ベアリングポイント
図1
図2
図3
図4