(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】軌間可変車輪セット
(51)【国際特許分類】
B61F 7/00 20060101AFI20220222BHJP
B60B 35/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B61F7/00
B60B35/00
(21)【出願番号】P 2020570609
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 CN2018106593
(87)【国際公開番号】W WO2019196340
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】201810333761.7
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518232342
【氏名又は名称】中車青島四方机車車輛股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 旭
(72)【発明者】
【氏名】▲喬▼ 青峰
(72)【発明者】
【氏名】周 平宇
(72)【発明者】
【氏名】魏 家麒
(72)【発明者】
【氏名】▲カイ▼ ▲榮▼生
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107757652(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第107757653(CN,A)
【文献】特開平11-091562(JP,A)
【文献】特開平08-216881(JP,A)
【文献】特開2016-164035(JP,A)
【文献】特開2003-327121(JP,A)
【文献】特開2001-270439(JP,A)
【文献】特開平11-091560(JP,A)
【文献】特開平09-301169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 7/00
B60B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪、車軸、及びロック機構を備え、前記車輪は、前記車軸の両端に設けられ、且つスプラインを介して前記車軸に接続され、前記ロック機構は、それぞれ前記車輪の外側に設けられ、且つ前記車軸の両端の軸箱体中に位置し、前記ロック機構は、前記車輪に接続されており、車輪の軌間の変更を実現するように車輪のロック及びロック解除に用いられ
、
前記ロック機構は、外側スリーブとロックピンとを備え、
前記外側スリーブの外側の対向する両側には、それぞれ、前記外側スリーブの軸方向に沿って延びるボスが設けられ、前記ボスの長手方向に沿って間隔を置いて複数の凹溝が設けられ、前記外側スリーブは前記軸箱体の内表面に隙間嵌めされ、前記軸箱体の内壁には、前記凹溝と1対1対応する凹弧面が設けられ、前記ロックピンは、前記凹溝及び前記凹弧面で限定されたロック空間に挿入するためのものであって、車輪の軌間の変更を実現するように、外力の作用下で複数の前記ロック空間の間で切り替えることができ、
前記ロックピンは、ピン本体を備え、前記ピン本体の一側には開口溝が設けられ、前記開口溝は前記ピン本体の径方向に沿って貫通し、前記開口溝内には、前記ピン本体の軸方向に沿って延びるラグが少なくとも1つ設けられ、前記ラグの上端は前記開口溝の溝頂に接続され、前記ラグの下端と前記開口溝の溝底との間に切り欠きが設けられ、前記ラグは前記凹溝に挿入するためのものであることを特徴とする軌間可変車輪セット。
【請求項2】
前記ロック機構は内側スリーブと転がり軸受とを更に備え、前記内側スリーブ、
前記転がり軸受、及び
前記外側スリーブは、内から外に向かって順次にしっかり套接され、前記内側スリーブは前記車軸に隙間嵌めされ、前記内側スリーブの前記車輪に面する一端は前記軸箱体から延び出して、前記車輪に締結接続されていることを特徴とする請求項
1に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項3】
前記車軸は、中間直径が両端直径より大きい段付き軸として設置され、前記車輪は、前記段付き軸の中間軸に設けられ、且つ前記中間軸の両端にそれぞれ設けられ、前記ロック機構は前記段付き軸の両端軸に設けられていることを特徴とする請求項
2に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項4】
前記車輪の内周には内スプラインが設けられ、前記段付き軸の中間軸の両端には外スプラインがそれぞれ設けられ、前記車輪と前記中間軸の両端は内スプライン及び外スプラインを介して嵌合して接続されていることを特徴とする請求項
3に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項5】
前記中間軸の両端は、それぞれ、3段の段付き軸が構成され、前記3段の段付き軸は、外から内に向かって直径が拡径している第1のフランジ、第2のフランジ、及び第3のフランジを備え、前記外スプラインは前記第2のフランジの外周に設けられ、前記車輪の中心孔は3段の段付き孔として構成され、前記3段の段付き孔は、外から内に向かって直径が拡径している第1の接続孔、第2の接続孔、及び第3の接続孔を備え、前記内スプラインは前記第2の接続孔の内壁の周方向に設けられ、前記第1の接続孔は、前記第1のフランジに嵌合され、前記内スプラインと
前記外スプラインは嵌合して接続され、前記第3の接続孔と前記第3のフランジはお互いに嵌合されることを特徴とする請求項
4に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項6】
前記内側スリーブは前記段付き軸の両端軸に外嵌され、且つ前記内側スリーブと前記段付き軸のショルダとの間に軌間変更間隔が設けられ、隣接する2つの前記凹溝の間の距離は必要な変更の軌間の半分に等しいことを特徴とする請求項
3に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項7】
前記内側スリーブの前記車輪に接続されている一端は外向きに拡張された段付き孔として設置され、前記段付き孔の大孔の内径は、前記段付き軸の中間軸の外径に適合し、前記段付き孔の小孔の内径は、前記段付き軸の両端軸の内径に適合することを特徴とする請求項
6に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項8】
前記車軸の両端は、それぞれ位置決め軸受を介して前記軸箱体に接続され、前記車輪の内側と
前記車軸はソフトシール接続されていることを特徴とする請求項1-
7のいずれかに記載の軌間可変車輪セット。
【請求項9】
前記軸箱体は内側が開口しており、その外側に着脱可能な外側エンドカバーが設けられ、前記外側エンドカバーと前記車軸は前記位置決め軸受を介して接続されていることを特徴とする請求項
8に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項10】
前記凹弧面は、前記ピン本体の開口溝が設けられた側の反対側の外表面にマッチングすることを特徴とする請求項
1に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項11】
前記ピン本体の底面は、その中心軸線の両側においてそれぞれ上方に傾斜した案内斜面として設置されることを特徴とする請求項
1に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項12】
前記ピン本体はリターンスプリングにより前記軸箱体中に取り付けられ、前記ピン本体の上端は前記リターンスプリングに接続され、前記ピン本体の下端は前記軸箱体の底面から延び出していることを特徴とする請求項
1に記載の軌間可変車輪セット。
【請求項13】
前記開口溝内には、前記ピン本体の軸方向に沿って延びる2つの平行な前記ラグが設けられることを特徴とする請求項
1に記載の軌間可変車輪セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本願は、2018年04月13日に提出された、発明の名称が「軌間可変車輪セット」であり、出願番号が2018103337617である中国特許出願を引用し、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施例は、軌道車両の軌間変更の技術分野に関し、特に軌間可変車輪セットに関する。
【背景技術】
【0003】
隣接する国での軌間の異なる軌道間の輸送要件を満たすために、現在、国境で車輪セットの内側の距離が異なる台車を交換する方法がよく採用されている。当該解決策は、コストが高く、長い時間がかかる。スペインと日本は、軌間の異なる軌道間で連続に走行することができる軌間可変な台車をそれぞれ発明した。
【0004】
スペインの軌間可変台車は、独立した車輪セットの形態を採用し、当該解決策は、別途に案内構造を設置する必要があるので、構造が複雑である。日本の軌間可変台車は、スライド機構が車輪の内側に設置され、車軸の外側に外側スリーブが追加され、車軸の直径を大きくすることに相当するため、モータ、ギアボックスの設計スペースが制限され、ギアボックスの軸受に対する要求が高くなり、コストが増加し、寿命が短くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の実施例は、従来技術又は関連技術中に存在する技術課題の少なくとも1つを解決することを目的とする。
【0006】
本開示の実施例の目的は、構造が簡単で、既存の車の構造に対する変更が小さく、既存の車に対するバッチ改造を容易にし、軌間可変車輪セットの汎用性及び信頼性を向上させる軌間可変車輪セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術課題を解決するために、本開示の実施例は、軌間可変車輪セットを提供し、軌間可変車輪セットは、車輪、車軸、及びロック機構を備え、前記車輪は、前記車軸の両端に設けられ、且つスプラインを介して前記車軸に接続され、前記ロック機構は、それぞれ前記車輪の外側に設けられ、且つ前記車軸の両端の軸箱部中に位置し、前記ロック機構は、前記車輪に接続されており、車輪の軌間の変更を実現するように車輪のロック及びロック解除に用いられる。
【0008】
そのうち、前記ロック機構は、外側スリーブとロックピンとを備え、前記外側スリーブの外側の対向する両側には、それぞれ、前記外側スリーブの軸方向に沿って延びるボスが設けられ、前記ボスの長手方向に沿って間隔を置いて複数の凹溝が設けられ、前記外側スリーブは前記軸箱部の内表面に隙間嵌めされ、前記軸箱部の内壁には、前記凹溝と1対1対応する凹弧面が設けられ、前記ロックピンは、前記凹溝及び前記凹弧面で限定されたロック空間に挿入するためのものであって、車輪の軌間の変更を実現するように、外力の作用下で複数の前記ロック空間の間で切り替えることができる。
【0009】
そのうち、前記ロック機構は内側スリーブと転がり軸受とを更に備え、前記内側スリーブ、転がり軸受、及び外側スリーブは、内から外に向かって順次にしっかり套接され、前記内側スリーブは前記車軸に隙間嵌めされ、前記内側スリーブの前記車輪に面する一端は前記軸箱部から延び出して、前記車輪に締結接続されている。
【0010】
そのうち、前記車軸は、中間直径が両端直径より大きい段付き軸として設置され、前記車輪は、前記段付き軸の中間軸に設けられ、且つ前記中間軸の両端にそれぞれ設けられ、前記ロック機構は前記段付き軸の両端軸に設けられている。
【0011】
そのうち、前記車輪の内周には内スプラインが設けられ、前記段付き軸の中間軸の両端には外スプラインがそれぞれ設けられ、前記車輪と前記中間軸の両端は内スプライン及び外スプラインを介して嵌合して接続され、各前記外スプラインの両端は位置決め突起として構成されている。
【0012】
そのうち、前記中間軸の両端には、それぞれ、3段の段付き軸が構成され、前記3段の段付き軸は、外から内に向かって直径が拡径している第1のフランジ、第2のフランジ、及び第3のフランジを備え、前記外スプラインは前記第2のフランジの外周に設けられ、前記車輪の中心孔は3段の段付き孔として構成され、前記3段の段付き孔は、外から内に向かって直径が拡径している第1の接続孔、第2の接続孔、及び第3の接続孔を備え、前記内スプラインは前記第2の接続孔の内壁の周方向に設けられ、前記第1の接続孔は、前記第1のフランジに嵌合され、前記内スプラインと外スプラインは嵌合して接続され、前記第3の接続孔と前記第3のフランジはお互いに嵌合される。
【0013】
そのうち、前記内側スリーブは前記段付き軸の両端軸に外嵌され、且つ前記内側スリーブと前記段付き軸のショルダとの間に軌間変更間隔が設けられ、隣接する2つの前記凹溝の間の距離は必要な変更の軌間の半分に等しい。
【0014】
そのうち、前記内側スリーブの前記車輪に接続されている一端は外向きに拡張された段付き孔として設置され、前記段付き孔の大孔の内径は、前記段付き軸の中間軸の外径に適合し、前記段付き孔の小孔内径は、前記段付き軸の両端軸の内径に適合する。
【0015】
そのうち、前記車軸の両端は、それぞれ位置決め軸受を介して前記軸箱部に接続され、前記車輪の内側と車軸はソフトシール接続されている。
【0016】
そのうち、前記軸箱部は内側が開口しており、その外側に着脱可能な外側エンドカバーが設けられ、前記外側エンドカバーと前記車軸は前記位置決め軸受を介して接続されている。
【0017】
そのうち、前記ロックピンは、ピン本体を備え、前記ピン本体の一側には開口溝が設けられ、前記開口溝は前記ピン本体の径方向に沿って貫通し、前記開口溝内には、前記ピン本体の軸方向に沿って延びるラグが少なくとも1つ設けられ、前記ラグの上端は前記開口溝の溝頂に接続され、前記ラグの下端と前記開口溝の溝底との間に切り欠きが設けられ、前記ラグは前記凹溝に挿入するためのものである。
【0018】
そのうち、前記凹弧面は、前記ピン本体の開口溝が設けられた側の反対側の外表面にマッチングする。
【0019】
そのうち、前記ピン本体の底面は、その中心軸線の両側においてそれぞれ上方に傾斜した案内斜面として設置される。
【0020】
そのうち、前記ピン本体はリターンスプリングにより前記軸箱部中に取り付けられ、前記ピン本体の上端は前記リターンスプリングに接続され、前記ピン本体の下端は前記軸箱部の底面から延び出している。
【0021】
さらに、前記開口溝内には、前記ピン本体の軸方向に沿って延びる2つの平行な前記ラグが設けられる。
【発明の効果】
【0022】
従来技術に比べて、本公開の上記技術案は以下の利点を有する。
【0023】
本開示の実施例は、軌間可変車輪セットを提供し、当該軌間可変車輪セットは、ロック機構が車輪の外側にそれぞれ設けられ、車輪内側部分の車軸は従来の車軸と一致することで、一方で、車輪の内側の車軸に取り付けられるモーター、ギアボックスなどの部材のための十分な設計スペースを持ち、他方で、既存の車のインターフェースとの一致性を維持し、既存の車に対するバッチ改造を容易にすることができる。また、車輪と車軸はスプラインを介して接続されることで、トルクが車輪の内周に均一に分布し、トルクが容易に伝達されるとともに、車輪が車軸に沿って摺動して軌間変更が実現されやすい。
【0024】
そして、車軸の中間軸の両端を3段の段付き軸としてそれぞれ設置し、外スプラインを3段の段付き軸の中間セクションに設置し、車輪の中心孔を更に3段の段付き孔として設置し、内スプラインを3段の段付き孔の中間セクションに設置することで、全体として「フランジ+スプライン+フランジ」の嵌合接続の形態が形成され、外スプラインの両端のフランジにより径方向の荷重を受け、内外スプラインの嵌合によりトルクを伝達することで、径方向の荷重の受けとトルク伝達の機能の分離を実現し、軌間可変車輪セットの構造の信頼性を向上させることができる。
【0025】
さらに、開口溝内においてピン本体の軸方向に沿って延びる2つの平行なラグを設けることにより、単一のラグの力受けの状況を改善し、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本開示の実施例に係る軌間可変車輪セットの軸方向断面図である。
【
図2】本開示の実施例に係る軌間可変車輪セットにおける外側スリーブの斜視模式図である。
【
図3】本開示の実施例に係る軌間可変車輪セットにおけるロックピンの斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面及び実施例を参照しながら、本公開の具体的な実施形態を詳細に説明する。以下の実施例は、本公開を説明するためのものに過ぎず、本公開の範囲を制限するためのものではない。
【0028】
本開示の実施例の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などの用語が示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づく方位又は位置関係であり、本開示の実施を便利に又は簡単に説明するためのものに過ぎず、示された装置又は素子が必ず特定の方位にあり、特定の方位において構成されて操作されると明示又は暗示するものではないので、本開示に対する限定であると理解されるべきではない。
【0029】
本発明の説明において、明確な規定と限定がない限り、「取り付け」、「互いに接続」、「接続」の用語の意味は広く理解されるべきである。例えば、固定接続や、着脱可能な接続や、あるいは一体的な接続でも可能であり、機械的な接続や、電気的な接続でも可能であり、直接接続することや、中間媒体を介して互いに間接接続することや、2つの素子の内部の連通でも可能である。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本開示の実施例での具体的な意味を理解することができる。
【0030】
本開示の実施例の説明において、特に明記しない限り、「複数」、「複数本」、「複数組」とは、2つ又は2つ以上を意味する。
【0031】
図1-3に示すように、本開示の実施例に係る軌間可変車輪セットは、車輪6、車軸7、及びロック機構を備え、前記車輪6は、前記車軸7の両端に設けられて、スプラインを介して前記車軸7に接続され、具体的には、車輪6の内周には内スプラインが設けられ、車軸7には外スプラインが設けられ、車輪6と車軸7は内スプライン及び外スプラインを介して嵌合して接続されて、トルクが車輪6の内周に均一に分布し、トルクが容易に伝達されるとともに、車輪6が車軸7に沿って摺動して軌間変更が実現されやすい。前記ロック機構は、それぞれ前記車輪6の外側に設けられ、且つ前記車軸7の両端の軸箱部中に位置する。車輪6の外側の車軸7に対してわずかな改善のみが必要であり、車輪6の内側部分の車軸7は従来の車軸と一致することで、一方で、車輪6の内側の車軸7に取り付けられるモーター、ギアボックスなどの部材のための十分な設計スペースを持ち、他方で、既存の車のインターフェースとの一致性を維持し、既存の車に対するバッチ改造を容易にすることができる。前記ロック機構は、前記車輪6に接続されており、車輪6の軌間の変換を実現するように、車輪6のロック及びロック解除に用いられ、構造が簡単で、操作が便利である。
【0032】
具体的には、前記ロック機構は、内側スリーブ4、転がり軸受3、外側スリーブ1、及びロックピン2を備え、前記内側スリーブ4、転がり軸受3、及び外側スリーブ1は、内から外に向かって順次にしっかり套接されてスライドユニットとして形成され、且つスライドユニットの両端がシールされ、転がり軸受3における潤滑油の漏れを防止することができるとともに、外部のほこりや雑物が当該スライドユニット内に侵入することを避けることができる。列車が正常に動作している時、内側スリーブ4及び転がり軸受3の内輪は、車輪6とともに回転し、転がり軸受3の外輪及び外側スリーブ1は相対的固定に維持され、前記内側スリーブ4は前記車軸7に隙間嵌めされ、前記内側スリーブ4の前記車輪6に面する一端は前記軸箱部から延び出して、ボルトなどの締結具で前記車輪6に締結接続され、外側スリーブ1は転がり軸受3に隙間嵌めされ、且つ、外側スリーブ1と転がり軸受3との相対位置を固定するように、外側スリーブ1の両端には止リングが設置され、前記外側スリーブ1は前記軸箱部の内表面に隙間嵌めされ、スライドユニットは軸箱部に対して水平にスライドすることができる。
図2に示すように、前記外側スリーブ1の外側の対向する両側には前記外側スリーブ1の軸方向に沿って延びるボス11がそれぞれ設けられ、ボス11が水平に設置されてもよく、前記ボス11の長手方向に沿って間隔を置いて複数の凹溝12が設けられ、前記軸箱部の内壁には前記凹溝12と1対1対応する凹弧面(図示せず)が設けられ、前記ロックピン2は、前記凹溝12及び前記凹弧面で限定されたロック空間に挿入するためのものであって、車輪6の軌間の変更を実現するように、外力の作用下で複数の前記ロック空間の間で切り替えることができる。具体的には、ロックピン2がロック空間に挿入される時、ロックピン2は、一方の部分が凹溝12中に位置し、他方の部分が凹弧面に貼合され、外側スリーブ1は軸箱部に対して位置が固定され、ロックが実現され、この時、車輪6は車軸7に対して位置が固定され、軌間を変更する必要がある場合、ロックピン2は、外力の作用下で所在するロック空間から外し、ロック解除が実現される。本実施例では、上向きの推力でロックピン2をロック空間から外すことができ、この時、車輪6が押されて車軸7に沿って外側又は内側へ移動し、それと伴い、スライドユニットは連動されて軸箱部及びロックピン2に対して移動し、変更された軌間と対応するロック空間がロックピン2の真下まで移動したと、ロックピン2は、それ自体の重力及び下向きの力の作用下で当該ロック空間に挿入され、車輪6の軌間の変更が完了する。
【0033】
本開示の実施例では、ロック機構の取り付け及び位置決めを容易にするために、前記車軸7は、中間直径が両端直径より大きい段付き軸として設置され、前記車輪6は、前記段付き軸の中間軸に設けられ、且つ前記中間軸の両端にそれぞれ設けられ、前記ロック機構は前記段付き軸の両端軸に設けられている。具体的には、前記内側スリーブ4は前記段付き軸の両端軸に外嵌され、両者は隙間嵌めされ、且つ前記内側スリーブ4と前記段付き軸のショルダとの間に軌間変更間隔が設けられ、このように、軌間を変更する時、内側スリーブ4は、車軸7と干渉することなく、車軸7に沿って移動するのに十分な距離を有すように確保され、隣接する2つの前記凹溝12間の距離は必要な変更の軌間の半分に等しく、軌間を変更する時、車軸7の両端の車輪6は同時に移動し、2つの車輪6は、それぞれ必要な変更の軌間の距離の半分だけ移動し、このように、総移動距離は必要な変更の軌間の距離であり、例えば、標準軌間から狭軌間又は広軌間に変更し、あるいは狭軌間又は広軌間から標準軌間に変更する場合、必要に応じて変更軌間を選択することができる。
【0034】
さらに、前記段付き軸の中間軸の両端には外スプラインがそれぞれ設けられ、前記車輪6と前記中間軸の両端は内スプライン及び外スプラインを介して嵌合して接続され、さらに、前記中間軸の両端には3段の段付き軸がそれぞれ構成され、前記3段の段付き軸は、外から内に向かって直径が拡径している第1のフランジ71、第2のフランジ72、及び第3のフランジ73を備え、前記外スプラインは前記第2のフランジ72の外周に設けられ、前記車輪の中心孔は3段の段付き孔として構成され、前記3段の段付き孔は、外から内に向かって直径が拡径している第1の接続孔、第2の接続孔、及び第3の接続孔を備え、前記内スプラインは前記第2の接続孔の内壁の周方向に設けられ、前記第1の接続孔は前記第1のフランジ71に嵌合され、前記内スプラインと外スプラインは嵌合して接続され、前記第3の接続孔は前記第3のフランジ73に嵌合され、全体として「フランジ+スプライン+フランジ」の嵌合接続の形態が形成され、外スプラインの両端のフランジにより径方向の荷重を受け、内外スプラインの嵌合によりトルクを伝達することで、径方向の荷重の受けとトルク伝達の機能の分離を実現し、軌間可変車輪セットの構造の信頼性を向上させることができる。
【0035】
具体的には、前記内側スリーブ4の前記車輪6に接続されている一端は外向きに拡張された段付き孔として設置され、前記段付き孔の大孔の内径は、前記段付き軸の中間軸の外径に適合し、前記段付き孔の小孔の内径は、前記段付き軸の両端軸の内径に適合し、このように、軌間を変更する時、内側スリーブ4(段付き孔の小孔)の車軸7に対する移動と伴い、段付き孔の大孔は段付き軸の中間軸に外嵌することができ、段付き孔の大孔の内階段面と段付き軸のショルダとの間の距離は軌間変更間隔であり、段付き孔の大孔の内階段面と段付き軸的ショルダとを突き合わせると、両者は、最大制限距離、即ち変更する軌間の最大距離に達する。
【0036】
車軸7の横方向の位置決めを実現するために、前記車軸7の両端は、それぞれ位置決め軸受を介して前記軸箱部に接続され、車軸7が車軸箱部に対して横方向に動くのが防止され、位置決め軸受には深溝玉軸受を採用することができ、ほこりや雑物等が車輪6の内側に侵入することを防止するように、前記車輪6の内側と車軸7の間はソフトシール接続され、当該ソフトシール構造は車輪6の移動に影響を与えなければよい。
【0037】
さらに、スライドユニットが容易に軸箱部に沿ってスライドするように、前記軸箱部の内側が開口しており、軸箱部の外側には着脱可能な外側エンドカバーが設けられ、前記外側エンドカバーと前記車軸7は前記位置決め軸受を介して接続され、車軸7の軸箱部に対する横方向の位置決めが実現される。
【0038】
具体的には、本実施例では、
図3に示すように、前記ロックピン2は、ピン本体21を備え、前記ピン本体21の一側には開口溝22が設けられ、前記開口溝22は前記ピン本体21の径方向に沿って貫通し、前記開口溝22内には、前記ピン本体21の軸方向に沿って延びるラグ23が少なくとも1つ設けられ、前記ラグ23の上端は前記開口溝22の溝頂に接続され、前記ラグ23の下端と前記開口溝22の溝底との間に切り欠き24が設けられ、前記ラグ23は前記凹溝12に挿入するためのものである。本開示の実施例では、開口溝22内には、前記ピン本体21の軸方向に延びる2つの平行な前記ラグ23が設けられてもよく、2つのラグ23の間の間隔は隣接する2つの凹溝12の間の間隔と一致する。2つのラグ23を設けることにより、単一のラグ23が力受けの状況の改善に役立ち、ロック、ロック解除の信頼性を向上させることができる。軌間を変更する時、ロックピン2は、鉛直の上向きの外力の作用下で下から上へ凹溝12から外す時、まず、ラグ23が下から上へ凹溝12から外し、凹溝12の上方に移動し、この時、ラグ23の下方の切り欠き24は2つの凹溝12の間のボス11の位置に対向し、この時、左向き又は右向きの外力が加わると、外側スリーブ1は車輪6とともに移動し、ボス11は、切り欠き24に係入されて切り欠き24に沿って移動し、ラグ23の下端はボス11の面に支持され、別の凹溝12の位置まで移動すると、ピン本体21は、それ自体の重力及び下向き力の作用下で下へ移動し、ラグ23は、当該凹溝12に挿入され、ロックが実現され、軌間の変更が完了する。
【0039】
そのうち、前記ラグ23の幅は前記凹溝12の幅にマッチングすることで、ラグ23の凹溝12への挿入又は凹溝12からの外しを容易にし、且つラグ23が凹溝12に挿入された後、ロック機構全体の位置が安定して、揺れを避けるのを確保することができ、前記切り欠き24の幅は前記ボス11の厚み以上であるため、ボス11が切り欠き24に係入可能で、更に切り欠き24において摺動可能となる。
【0040】
本開示の実施例では、ピン本体21の軸箱部に挿入された部分が軸箱部と確実に嵌合することを確保するために、前記軸箱部に設置された凹弧面は、前記ピン本体21の開口溝22が設けられた側の反対側の外表面にマッチングする。
【0041】
そのうち、前記ピン本体21の底面は、その中心軸線の両側においてそれぞれ上方に傾斜した案内斜面25として設置され、ピン本体21に上向きの作用力を与えるために、地面に当該案内斜面25と同じ傾きを有するガイドレールを設けることができ、ロックピン2の案内斜面25が当該ガイドレールに沿って傾斜して上向きに移動する時、ロックピン2に上向きの作用力を与え、ロック解除を容易にする。
【0042】
そのうち、前記ピン本体21はリターンスプリング5により前記軸箱部中に取り付けられ、具体的には、軸箱部中に支持座が設置されてもよく、前記ピン本体21の上端は前記リターンスプリング5に接続され、リターンスプリング5の上端は支持座に接続され、リターンスプリング5は、ピン本体21にロック後、常にロック状態を維持するためのロック力を持たせ、且つロック解除後、再びロックする時、ピン本体21に反対の作用力を与え、迅速なロックを助けるためのものである。軸箱部の底面にはピン本体21の直径より少し大きい貫通孔が設けられ、前記ピン本体21の下端は貫通孔を介して前記軸箱部の底面から延び出していることで、地面軌間変更施設は容易にピン本体21に作用力を加えて軌間の変更を実現する。
【0043】
上記実施例から、本開示の実施例は、ロック機構が車輪6の外側にそれぞれ設置され、車輪6の内側部分の車軸7が従来の車軸7と一致し、一方で、車輪6の内側の車軸7に取り付けられるモーター、ギアボックスなどの部材のための十分な設計スペースを持ち、他方で、既存の車のインターフェースとの一致性を維持し、既存の車に対するバッチ改造を容易にすることができる。また、車輪6と車軸7がスプラインで接続されることで、トルクが車輪6の内周に均一に分布し、トルクが容易に伝達されるとともに、車輪6が車軸7に沿って摺動して軌間変更が実現されやすく、軌間可変車輪セットの信頼性も向上したことが分かる。
【0044】
そして、本開示の実施例のロック機構は、構造が簡単で操作が便利であり、ロック及びロック解除を確実に実現することができ、これにより、列車軌間の変更を便利且つ確実に実現することができる。
【0045】
以上に説明した内容は、本開示の好適な実施例に過ぎず、本開示を制限するものではない。本開示の精神及び原則の範囲内で実施した変更、同等の交換、改善などは、本開示の保護の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
1 外側スリーブ
11 ボス
12 凹溝
2 ロックピン
21 ピン本体
22 開口溝
23 ラグ
24 切り欠き
25 案内斜面
3 転がり軸受
4 内側スリーブ
5 リターンスプリング
6 車輪
7 車軸
71 第1のフランジ
72 第2のフランジ
73 第3のフランジ。