IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ コメロン コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図1
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図2
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図3
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図4
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図5
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図6
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図7
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図8
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図9
  • 特許-多軸磁石ベース巻き尺 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】多軸磁石ベース巻き尺
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/1048 20200101AFI20220222BHJP
【FI】
G01B3/1048
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021096545
(22)【出願日】2021-06-09
(65)【公開番号】P2021196361
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2021-06-09
(31)【優先権主張番号】10-2020-0070605
(32)【優先日】2020-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516365172
【氏名又は名称】コメロン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】ドンフン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ナムフン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ソクジュン・アン
(72)【発明者】
【氏名】ベクチョン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ブンフン・パク
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-160160(JP,U)
【文献】実開昭61-70702(JP,U)
【文献】特開2012-21910(JP,A)
【文献】実開昭59-149002(JP,U)
【文献】米国特許第5481813(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/10-3/1094
G01C 9/00-9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング、前記ハウジングの内部に収容されるリール、前記リールの外面に巻かれて前記ハウジングの入口から引き出しまたは回収されるブレードを含む巻き尺において、
前記ハウジングは磁力を利用して外部に密着されるベース、前記ベースの底面で前記ブレードが引き出しされる第1方向と平行な少なくとも一対の第1下端境界を提供する第1収容溝及び前記第1方向に交差する第2方向と平行な少なくとも一対の第2下端境界を提供する第2収容溝を含んで、
前記ベースは前記第1下端境界または前記第2下端境界を利用して曲面構造体に対して2軸以上の方向に固定が可能なことを特徴とする多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項2】
前記第1収容溝にはステープル形状(staple shape)の第1ヨーク及び前記第1ヨークに密着される第1磁石が装着され、前記第1ヨークで垂直に折曲された両足の端部に沿って前記第1下端境界が形成され、
前記第2収容溝にはステープル形状の第2ヨーク及び前記第2ヨークに密着される第2磁石が装着され、前記第2ヨークで垂直に折曲された両足の端部に沿って前記第2下端境界が形成されることを特徴とする請求項1に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項3】
前記第2下端境界が前記第1下端境界より高く形成されたことを特徴とする請求項1に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項4】
前記第2下端境界を形成する前記第2収容溝の左右端部に円弧、四角または多角形状の凹状境界が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項5】
離隔された前記凹状境界は、互いに同一な形状で形成されたことを特徴とする請求項4に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項6】
前記第2収容溝は前記第1収容溝に比べて前記ハウジングの前記入口に接するように位置することを特徴とする請求項1に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項7】
前記第2収容溝は前記リールの中心に対して上下に重畳される位置にあるように前記ハウジングの中央部に位置することを特徴とする請求項1に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項8】
前記ハウジング入口が形成された前記ハウジングの前方部の下端は、前記第1下端境界より高く位置することを特徴とする請求項1に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項9】
ハウジング、前記ハウジングの内部に収容されるリール、前記リールの外面に巻かれて前記ハウジングの入口から引き出しまたは回収されるブレードを含む巻き尺において、
前記ハウジングは磁力を利用して外部に密着されるベースを含んで、前記ベースの底面には前記ブレードが引き出しされる第1方向と平行な少なくとも一対の第1下端境界を提供する第1収容溝が形成され、
それぞれの前記第1下端境界には前記第1方向に交差する第2方向に離隔された少なくとも一対の凹状境界が形成され、前記ベースは前記第1下端境界または前記凹状境界を利用して曲面構造体に対して2軸以上の方向に固定ができることを特徴とする多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項10】
前記第1収容溝にはステープル形状の第1ヨーク及び前記第1ヨークに密着される第1磁石が装着され、前記第1ヨークで垂直に折曲された両足の端部が前記第1下端境界を形成し、
前記凹状境界は前記第1ヨークの前記両足の前記端部で凹に形成されたことを特徴とする請求項9に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項11】
前記第1下端境界の長さは、前記ハウジングの前記入口が位置した前端から前記ハウジングの後端までのハウジング長さ(L)の0.3~1.2であることを特徴とする請求項9に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項12】
一対の前記第1下端境界の間の幅は、前記ハウジングの最大幅の40~120%で形成されたことを特徴とする請求項9に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項13】
前記凹状境界の中心を基準に前記第1下端境界の前端までの前方距離(Lf)及び前記凹状境界の中心を基準に前記第1下端境界の後端までの後方距離(Lr)を定義する時、
前記前方距離(Lf)は前記ハウジング長さ(L)の0.1~1.0の範囲を有して、前記後方距離(Lr)は前記ハウジング長さ(L)の0.1~1.0の範囲を有して、前記前方距離(Lf)と前記後方距離(Lr)の和(Lf+Lr)は前記ハウジング長さ(L)の0.3~1.2の範囲を有することを特徴とする請求項11に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項14】
前記凹状境界の中心と前記第1下端境界までの距離で定義される前記凹状境界の深さ(h)は次の式によって定義され、
【数1】
ここで、rは前記凹状境界の曲率半径、Lcは前記凹状境界の前記第1方向に対する長さ、Yhはヨークの高さであることを特徴とする請求項11に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項15】
前記前方距離(Lf)と前記後方距離(Lr)の和(Lf+Lr)に対する前記凹状境界の幅(Lc)は、0.15~0.75の範囲を有することを特徴とする請求項13に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項16】
前記凹状境界の中心点(Co)は前記リールの中心軸から前記第1方向に対する前記ハウジングの長さ(L)の0.7内にあることを特徴とする請求項13に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項17】
前記ハウジング入口が形成された前記ハウジングの前方部の下端は、前記第1下端境界より高く位置することを特徴とする請求項9に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項18】
前記凹状境界は円弧、楕円、四角または多角形状で形成されたことを特徴とする請求項9に記載の多軸磁石ベース巻き尺。
【請求項19】
前記凹状境界は前記ベースに付着された磁石の底面と同一であるか、または低い高さで形成されることを特徴とする請求項9に記載の多軸磁石ベース巻き尺。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き尺に関するものであり、より詳細には、多軸方向に対して付着が可能な多軸磁石ベース巻き尺に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な巻き尺はハウジング、ハウジング内部に伸縮自在に支持されるリール(reel)、リールにコイル形態で巻かれたブレード(blade)、ブレードの端部に結合されたエンドフック(end hook)を含む。使用者は測定のためにブレードをエンドフックが結合された端部から引き出して、所望の長さ程度引き出して対象の長さまたは距離を測定することができる。
また、伸縮自在に作動するリール(reel)はぜんまいバネ及びぜんまいバネを収容するボビン(bobbin)を含んで、ボビンの外面にブレードが巻かれた状態で提供されてハウジングに引き出しされて、前記ぜんまいバネの復元力によって引き出しされたブレードは、ボビンに巻かれる方向に復帰することができる。
ブレードの引き出しされた状態を維持するためにブレーキを含むことができる。一般にブレーキはハウジング外部に露出されたボタンを含んで、ボタンを押す動作を通じてブレードの復帰を一時的に停止させるか、または止められたブレードを解除することができる。
【0003】
特許文献1を見れば、磁石を底面に装着した巻き尺が開示されている。しかし、該当巻き尺は磁石が平面であるので近付こうとする力は含むが、回転しようとする力に対しては何らの抵抗がない。
特許文献2を見れば、底面に磁石が設置された巻き尺が開示されている。これもまた平面の磁石だけ含んでいて、平たい底には密着されることができるが、足場を形成するパイプには固定された位置を維持することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開第2006-242661号公報
【文献】韓国登録実用新案第20-0216412号公報(2000.12.30.登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、足場(scaffold)などのパイプなどを利用した構造でも容易に付着することができる多軸磁石ベース巻き尺を提供する。
特に、パイプの長さ方向だけではなくそれに垂直であるか、または傾いた他の方向に対しても巻き尺を安定的に固定することができる多軸磁石ベース巻き尺を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した本発明の目的を達成するための本発明の例示的な一実施例によれば、ハウジング、ハウジングの内部に収容されるリール、リールの外面に巻かれてハウジングの入口から引き出しまたは回収されるブレードを含む巻き尺は、ハウジングは磁力を利用して外部に密着されるベースを含んで、ベースの底面にはブレードが引き出しされる第1方向と平行な少なくとも一対の第1下端境界を提供する第1収容溝及び第1方向に交差する第2方向と平行な少なくとも一対の第2下端境界を提供する第2収容溝が形成され、ベースは第1下端境界または第2下端境界を利用して曲面構造体に対して2軸方向に固定が可能である。
【0007】
一般に、高所作業が多い足場(scaffold)、アシバ(staging)、温室作業などには円形のパイプが使われて、円形のパイプは従来の平面の磁石を含む巻き尺が安定的に固定されることができない。
本実施例では、全体が平面ではない2つの方向に対して平行に形成された少なくとも一対の下端境界を利用して磁石とパイプの間の密着を提供することができる。また、第1方向と第2方向がお互いに交差するように、望ましくはお互いに垂直になるようにすることで、2つの方向に対して固定が可能になるようにできる。
【0008】
参照として、本明細書で第1、第2のように序数で表現したことは2個以外の複数を仮定したものであり、第2の序数で表現されても必ず2個だけを意味することではない。よって、本発明の多軸磁石ベース巻き尺では複数の方向に形成された下端境界を含むことができるし、それによって2個以上のn個方向に対しても固定ができる。
具体的にベースの第1収容溝にはステープル形状(staple shape)の第1ヨーク及び第1ヨークに密着される第1磁石が装着されることができるし、第1ヨークで垂直に折曲された両足の端部が第1下端境界を形成することができる。ここで、第1磁石は直方体で形成され、第1ヨークがステープラーピンカートリッジ形状でコの字型に折曲されて提供されることができる。
【0009】
これと類似に、第2収容溝にはステープル形状の第2ヨーク及び第2ヨークに密着される第2磁石が装着されることができるし、第2ヨークで垂直に折曲された両足の端部が第2下端境界を形成することができる。望ましくは、第1ヨークと第2ヨークがお互いに直角方向に配置されて円形パイプに対して第1ヨーク及び第1磁石を利用して巻き尺を第1方向に固定させることもでき、第2ヨークと第2磁石を利用して巻き尺を第2方向に、円形パイプに垂直に固定させることもできる。
第2下端境界が第1下端境界より高く形成されることができるし、この場合第1方向と円形パイプの長さ方向が一致する場合、第2ヨークの第2下端境界による邪魔を最小にすることができる。
【0010】
また、第2下端境界を形成する第2収容溝の左右端部、ベースの第2方向に離隔された左右端部には円弧、四角または多角形状等に削られた形状の境界(以下凹状境界と称する)が形成されることができる。円弧形状の凹状境界の曲率は、主に装着される円形パイプの曲率に対応することができるし、円形パイプを対象とするために同一な曲率で形成されることが有用であることができる。この外にも四角または多角形状の凹状境界は、同一な形状で境界が形成されることもできる。
【0011】
第2収容溝は第1収容溝に比べてハウジングの入口に接するように位置することができるし、相対的に第1収容溝はハウジングの後方に位置するようにできる。しかし、第2収容溝はハウジングの中央部に位置するようにすることがパイプに垂直に固定された時に安定された密着を維持することができる。
構造的に第2収容溝は、平面的にリールの中心に対して上下に重畳される位置にあるようにハウジングの中央部に位置することが有利であることができる。
【0012】
ハウジングの入口が形成されたハウジング前方部の下端は、第1下端境界より高く位置することができるし、巻き尺が底や円形パイプに密着された状態でハウジングの前方部下端及びホックの下端が地面から高く位置してブレード及びホックの復帰過程でホックやブレードが損傷されることを防止することができる。
【0013】
前述した本発明の目的を達成するための本発明の例示的な一実施例によれば、ハウジング、ハウジングの内部に収容されるリール、リールの外面に巻かれてハウジングの入口から引き出しまたは回収されるブレードを含む巻き尺は、ハウジングは磁力を利用して外部に密着されるベースを含んで、ベースの底面にはブレードが引き出しされる第1方向と平行な少なくとも一対の第1下端境界を提供する第1収容溝が形成され、それぞれの第1下端境界には第1方向に交差する第2方向に離隔された円弧、四角または多角形状などの凹状境界が形成されることができる。よって、ベースは第1下端境界または凹状境界を利用して曲面構造体に対して巻き尺を2軸方向に固定することができる。凹状境界は円、楕円、四角、多角柱の外面に密着するように円弧、楕円、四角、多角形状で形成されることができる。
【0014】
第1収容溝にはステープル形状の第1ヨーク及び第1ヨークに密着される第1磁石が装着され、第1ヨークで垂直に折曲された両足の端部が第1下端境界を形成することができるし、凹状境界は第1ヨークの両足の端部で凹に形成されることができる。
【0015】
第1下端境界の長さ(b)はハウジングの長さ(D)の0.3~1.2で形成されることができるし、第1下端境界の幅(A)はハウジング幅(C)の0.4~1.2で形成されることができる。
そのために第1下端境界上に凹方向に削られた形状の凹状境界を形成することで、円形パイプに第1下端境界が密着されても全体長さではない一部のみに対して密着された状態を維持するようにできて、凹状境界がおおよそ第1下端境界の中央部に位置して巻き尺が不安定に前方または後方に傾くことを防止することができる。
【0016】
これを構造的に分析すれば、凹状境界の中心を基準に第1下端境界の前端までの前方距離(Lf)及び凹状境界の中心を基準に第1下端境界の後端までの後方距離(Lr)を定義する時、前方距離(Lf)はハウジング長さ(L)の0.1~1.0の範囲を有して、後方距離(Lr)はハウジング長さ(L)の0.1~1.0の範囲を有して、前方距離(Lf)と後方距離(Lr)の和(Lf+Lr)はハウジング長さ(L)の0.3~1.2範囲を有することが有利なことがある。
これを構造的に分析すれば、凹状境界の中心を基準に第1下端境界の前端までの前方距離(Lf)及び凹状境界の中心を基準に第1下端境界の後端までの後方距離(Lr)を定義する時、前方距離(Lf)はハウジング長さ(L)の0.1~1の範囲を有するか、または後方距離(Lr)はハウジング長さ(L)の0.1~1以上の範囲を有することができる。
【0017】
第1ヨークの長さで凹状境界面を除いた長さは、第1ヨーク長さの5%以上であることがある。
【0018】
凹状境界の高さ(h)は多様に決まることができるし、第1ヨークの曲面に対する凹状境界は下端境界からy軸方向、すなわち高さ方向に離隔された距離(h)は、次のような範囲を有することができる。
【数1】
【0019】
ここでrは、前記凹状境界の曲率半径、Lcは前記凹状境界の前記第1方向に対する長さ、Yhはヨークの高さであることがある。
【0020】
前方距離(Lf)と後方距離(Lr)の和(Lf+Lr)に対する凹状境界の幅(Lc)は、0.15~0.75範囲を有するように形成されることができる。凹状境界の幅(Lc)が0.15*(Lf+Lr)より小さければ、第1下端境界による結合力がとても強くてパイプから巻き尺を分離し難く、第2方向に対して密着される部分が相対的に狭くて第2方向に対する固定が不安定になることがある。
【0021】
反対に凹状境界の幅(Lc)が0.75*(Lf+Lr)より大きければ、第1下端境界による結合力が弱くなって第1方向によるパイプに対する固定が不安定になることがあるし、第2方向に対して密着される部分が相対的に増加して第2方向に対する分離が難しくなることがある。
【0022】
前方距離(Lf)は後方距離(Lr)と同じであるか、またはそれより短く形成されることが望ましいことがあって、凹状境界がおおよそ巻き尺の中心に位置することが有利であることができるが、これを数値的に表現すればリールの中心(R0)に対して第1方向に凹状境界の中心(C0)までの距離(d0)はハウジング長さ(L)の10%以内を維持することが第2方向に対する結合力を安定的に形成することができる。
【0023】
第1ヨークの中心点は、リールの中心軸からハウジングの長さ(L)の0.7(70%)内にあることがある。
【0024】
ハウジングの入口が形成されたハウジング前方部の下端(Lv.3)は第1下端境界(Lv.1)より高く位置することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の多軸磁石ベース巻き尺は、足場などのパイプなどを利用した構造でも容易に付着することができるし、方向も2方向以上に選択して安定的に固定させることができる。
また、磁石を利用して結合力を形成するが、第1下端境界、第2下端境界または凹状境界の相互配合を適切に調節して過度な結合力発生を調整し、ベース全体的に安定された結合を形成することができる。
また、巻き尺を握った時に収容溝または凹状境界が指と自然に触れることで、加えられた磁石ベースによって従来の巻き尺の大きさよりサイズがちょっと伸びても相対的に楽なグリップ感を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の一実施例による多軸磁石ベースの巻き尺を説明するための斜視図である。
図2図2は、図1の多軸磁石ベース巻き尺の側面図である。
図3図3は、図1の多軸磁石ベース巻き尺の下部を説明するための断面図である。
図4図4は、図1の多軸磁石ベース巻き尺のベース結合構造を説明するための底面分解図である。
図5図5は、本発明の一実施例による多軸磁石ベース巻き尺を円形パイプに固定する過程を示した斜視図である。
図6図6は、円形パイプに固定した状態で本発明の一実施例による多軸磁石ベース巻き尺を利用する過程を説明するための側面図である。
図7図7は、本発明の一実施例による多軸磁石ベース巻き尺の下端境界との関係を説明するための側面図である。
図8図8は、本発明の一実施例による多軸磁石ベース巻き尺の下部構造を説明するための底面斜視図である。
図9図9は、図8の多軸磁石ベース巻き尺のベースの結合構造を説明するための分解斜視図である。
図10図10は、図2の多軸磁石ベース巻き尺の寸法最適化を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付された図面らを参照して本発明の望ましい実施例を詳細に説明するが、本発明が実施例によって制限されるか、または限定されるものではない。参照で、本説明で同一な番号は実質的に同一な要素を指称し、前記規則下で他の図面に記載された内容を引用して説明することができるし、当業者に自明であると判断されるか、または繰り返される内容は省略されることができる。
【0028】
図1は、本発明の一実施例による多軸磁石ベース巻き尺を説明するための斜視図らであり、図2図1の多軸磁石ベース巻き尺の側面図であり、図3図1の多軸磁石ベース巻き尺の下部を説明するための断面図であり、図4図1の多軸磁石ベース巻き尺のベース結合構造を説明するための底面分解図である。
【0029】
図1乃至図4を参照すれば、本実施例による巻き尺100はハウジング110、ハウジング110の内部に収容されるリール、リールの外面に巻かれてハウジング110の入口112から引き出しまたは回収されるブレード、ブレードの外側端部に結合されるホック152を含む。
【0030】
ハウジング110は左右に結合される第1ケースと第2ケースによって形成されることができるし、リールは第1ケース及び第2ケースを連結する回転軸を中心にハウジング内部に収容されることができる。図示されなかったが、リールはブレードが巻かれるボビン及びボビン内に収容されるスプリングを含むことができる。ボビン及びスプリングに対しては従来の他の巻き尺の構造を参照することができる。
【0031】
一例で、スプリングはゼンマイ(渦巻き)形状で提供されることができるし、内側端部はリールの回転軸に固定され、外側端部はブレードの端部に固定されることができる。よって、スプリングはブレードを巻くための力を持続的に提供することができるし、図6のように、ハウジング110外部に引き出しされたブレード150がハウジングの入口112を通じて内部に復帰してリールの外面に巻かれるようにすることができる。
【0032】
巻き尺100は測定可能な最大長さによって3.5m、5.5mなどを測定することができるブレードを含むことができるし、ブレードの材質または幅などによって多様な種類で提供されることができる。
【0033】
ハウジング110の下部には磁力を利用して外部に密着されるベース120を含むことができるし、ベース120の底面には第1収容溝122及び第2収容溝124が形成されることができる。
【0034】
第1収容溝122にはステープル形状またはコの字型の第1ヨーク132及び第1ヨーク132に密着される第1磁石130が装着されることができるし、第1ヨーク132で垂直に折曲された両足の端部は第1収容溝122の外部に突き出されてパイプなどと実質的に結合される第1下端境界134を形成することができる。第1磁石130は直方体で形成され、第1ヨーク132に3面が取り囲まれた状態でその内部に結合されるが、場合によっては磁石がヨークの上面だけに密着された形態でも提供されることができる。また、第1ヨーク132はステープラーピンカートリッジ形状またはコの字型に折曲されて提供されることができる。
【0035】
第2収容溝124にも類似にステープル形状またはコの字型の第2ヨーク142及び第2ヨーク142に密着される第2磁石140が装着されることができるし、第2ヨーク142で垂直になるように折曲された両足の端部は第2収容溝124の外部に突き出されてパイプなどと実質的に結合される第2下端境界144を形成することができる。但し、第1ヨーク132と第2ヨーク142はお互いに直角方向に配置されて円形パイプなどに対して第1ヨーク132及び第1磁石130を利用して巻き尺100を第1方向によって固定させることもでき、第2ヨーク142と第2磁石140を利用して巻き尺を第2方向によって、円形パイプに垂直に固定させることもできる。
参照として、本実施例では第1収容溝122及び第2収容溝124が開示されているが、他の実施例では3個以上の収容溝を形成することもできる。
【0036】
図5は、本発明の一実施例による多軸磁石ベース巻き尺を円形パイプに固定する過程を示した斜視図であり、図6は円形パイプに固定した状態で本発明の一実施例による多軸磁石ベース巻き尺を利用する過程を説明するための側面図である。
図5の(a)を参照すれば、第1収容溝122の第1ヨーク132及び第1磁石130を利用して巻き尺を円形パイプ20の長さ方向に平行に固定することができる。この場合、ベース120の第1ヨーク132によって定義される第1下端境界は透視されたように、円形パイプ20の上面から長さ方向に平行に配置された第1結合ライン134sを形成することができる。
【0037】
また、図5の(b)を参照すれば、第2収容溝124の第2ヨーク142及び第2磁石140を利用して巻き尺を円形パイプ20の長さ方向に垂直に固定することができる。この時にもベース120の第2ヨーク142によって定義される第2下端境界は透視されたように、円形パイプ20の上面から長さ方向に平行に配置された第2結合ライン144sを形成することができる。
【0038】
結局、円形パイプ20の長さ方向に対して全体面積で密着することではなく、長さ方向に、それも方向を選択して平行に配置される結合ライン134s、144sを利用することができる。
【0039】
図6の(a)を見れば、作業者ひとりでも円形パイプ20の一側に長さ方向に巻き尺を固定し、ホック及びブレード150を利用して円形パイプ20の長さ方向に対する長さを測定するのに有用に使われることができる。
【0040】
図6の(b)のように、円形パイプ20に巻き尺を垂直に固定し、パイプ20、20'の間の間隔を測定するか、またはパイプと周辺構造物までの距離を測定することにも有用であることができる。
【0041】
図7は、本発明の一実施例による多軸磁石ベース巻き尺の下端境界との関係を説明するための側面図である。
巻き尺は第2収容溝を利用して円形パイプに垂直な方向に固定されている。高所作業が多い足場(scaffold)、アシバ、温室作業などでも、巻き尺はどの方向でも安定的に固定されることができる。
【0042】
図7を見れば、第2下端境界144の位置(Lv.2)が第1下端境界134の位置(Lv.1)より高く形成されることができる。この場合第1方向と円形パイプの長さ方向が一致する場合、第2ヨーク142の第2下端境界144によって円形パイプ20が第1磁石130に確実に接近する邪魔になることを防止することができる。
【0043】
また、望ましくは第1磁石130の底面と第2下端境界144がおおよそ同一な高さに位置するようにすることで、第1方向と円形パイプ20が一致する方向に結合される場合、第1収容溝122では第1ヨーク132と円形パイプ20の上面が結合力を維持し、それと共に第2ヨーク142の第2下端境界144も円形パイプ20の最上端に磁力に密着されるようにできる。
【0044】
この場合、巻き尺がベース120のほとんど全体長さに対して結合力を維持し、第2ヨーク142によってベース120の前方でも支持されるために巻き尺が前に傾くことを防止することができる。
【0045】
また、図4及び図7に示されたように、第2下端境界144を形成する第2収容溝124の左右端部、ベースの第2方向に離隔された左右端部には円弧形状の凹状境界126が形成されることができる。
【0046】
凹状境界126の曲率は主に装着される円形パイプ20の曲率とほとんど同一であるように対応することができるし、規格の円形パイプ20を使用する足場やアシバなどに使われることができる。円形パイプ20を対象にするために凹状境界126の曲率も同一な曲率で形成されることが有用であることがある。
【0047】
図4を見れば、第2収容溝124は第1収容溝122に比べてハウジングの入口112に接するように位置することができるし、相対的に第1収容溝122はハウジング110の後方に位置するようにすることができる。しかしながら、第2収容溝124はハウジング110の中央部に位置するようにすることで、パイプに垂直になるように固定された時に安定された密着が維持される。
構造的に、図2のように、第2収容溝124は平面的にリールの中心に対して上下で重畳される位置にあるようにハウジングの中央部に位置することが有利であることがある。
【0048】
また、ハウジング110の入口112が位置した前方部の下端114の位置(Lv.3)は、第1下端境界134の位置(Lv.1)より高く形成されることができる。巻き尺が底や円形パイプに密着された状態でハウジング110の前方部下端114及びホックの下端が地面から高く位置するようにしてブレード及びホックの早い復帰過程でホックやブレードが底やパイプにぶつかって損傷されるか、または飛び出て高く跳ね上がることを防止することができる。
【0049】
図8は、本発明の一実施例による多軸磁石ベース巻き尺の下部構造を説明するための底面斜視図であり、図9図8の多軸磁石ベース巻き尺のベースの結合構造を説明するための分解斜視図であり、図10図2の多軸磁石ベース巻き尺の寸法最適化を説明するための側面図である。
【0050】
図8乃至図10を参照すれば、本実施例による巻き尺はハウジング210、ハウジング210の内部に収容されるリール、リールの外面に巻かれてハウジング210の入口212から引き出しまたは回収されるブレード、ブレードの外側端部に結合されるホックを含んで、基本的な構造は前の実施例を参照することができる。
本実施例でハウジング210の下部には磁力を利用して外部に密着されるベース220が含まれることができるし、ベース220の底面には一つの第1収容溝222が形成されることができる。
【0051】
第1収容溝222にはステープル形状またはコの字型に形成され、ベース220全体の長さに対応する長く延長された第1ヨーク232及び第1ヨーク232の内部で上面に密着される第1磁石230が装着されることができるし、第1ヨーク232で垂直に折曲された両足の端部は第1収容溝222の外部に突き出されてパイプなどと実質的に結合される第1下端境界234及びその中央部に位置した凹状境界として凹状境界236を形成することができる。第1磁石230は第1ヨーク232の長さに対応する直方体で形成され、第1ヨーク232に3面が取り囲まれた状態でその内部に結合される。
【0052】
第1収容溝222の第1ヨーク232及び第1磁石230を利用して巻き尺を円形パイプ20の長さ方向に平行に固定することができる。また、第1下端境界234に凹に形成された凹状境界236を利用して巻き尺を円形パイプ20の長さ方向に垂直に固定することができる。
【0053】
第1下端境界234はハウジング210の入口212が位置する前端からハウジングの後端までのハウジング長さ(L)の0.3より長く形成されて安定された密着力を維持することができる。ここでハウジング210の前端と後端は、装飾的な要素を除いた実質的にハウジングを定義する領域で理解されることができるし、場合によってはハウジングの入口を基準でハウジング内面の一番遠い位置までの水平距離で理解されることもできる。
そして、ベース220の第1下端境界234はハウジング長さ(L)の1.2よりは短く形成されることができる。なぜなら、第1下端境界234がとても長ければむしろ巻き尺の分離が難しいことがある。
【0054】
そのために第1下端境界234上に凹方向に削られた形状の凹状境界236を形成することで、円形パイプに第1下端境界234が密着されても全体長さではない一部のみに対して密着された状態を維持するようにすることができる。そして、図10のように、凹状境界236がおおよそ第1下端境界234の中央部に位置して巻き尺が不安定に前方または後方に傾くことを防止することができる。
【0055】
具体的に凹状境界236の中心(C0)を基準に第1下端境界234の前端までの距離を前方距離(Lf)、及び凹状境界236の中心(C0)を基準に第1下端境界234の後端までの距離を後方距離(Lr)であると定義することができる。
【0056】
ここで、前方距離(Lf)はハウジング長さ(L)の略10~100%、すなわち0.1~1.0の範囲を有して形成されることができる。また、後方距離(Lr)はハウジング長さ(L)の略0.1~1.0の範囲を有して、前方距離(Lf)と後方距離(Lr)の和(Lf+Lr)はハウジング長さ(L)の略0.3~1.2範囲を有することが有利であることがある。
前方距離(Lf)と後方距離(Lr)の和(Lf+Lr)に対する凹状境界の幅(Lc)は、略0.15~0.75の範囲を有するように形成されることができる。凹状境界236の幅(Lc)が0.15*(Lf+Lr)より小さければ、第1下端境界234による磁力がとても強くてパイプから巻き尺を分離し難くて、凹状境界236を通じて密着される部分が相対的に狭くて第2方向に対する固定が不安定になることがある。
【0057】
反対に凹状境界236の幅(Lc)が0.75*(Lf+Lr)より大きければ、第1下端境界234による結合力が弱くなって第1方向によるパイプに対する固定が不安定になることがあるし、凹状境界236によって密着される部分が相対的に増加して第2方向に対する分離が難しくなることがある。
【0058】
前方距離(Lf)は後方距離(Lr)と同じであるか、またはそれより短く形成されることが望ましいことがあって、凹状境界236がおおよそ巻き尺の中心に位置することが有利であることができるが、これを数値的に表現すればリールの中心(R0)に対して第1方向に凹状境界の中心(C0)までの水平距離(d0)はハウジングの長さ(L)の70%内にあり得る。望ましくは、ハウジング長さ(L)の10%以内を維持することが第2方向に対する結合力を安定的に形成することができる。
【0059】
凹状境界の中心(C0)と第1下端境界までの距離で定義される前記凹状境界の深さ(h)は、次の式によって定義されることができる。
【数2】

ここでrは凹状境界236の曲率半径であり、Lcは凹状境界236の第1方向に対する長さであり、Yhはヨークの高さであることがある。
【0060】
図10を見れば、ハウジング210の入口212が位置した前方部の下端の位置は、第1下端境界234の位置より高く形成されることができる。巻き尺が底や円形パイプに密着された状態でハウジング210の前方部下端及びホックの下端が地面から高く位置するようにしてブレード及びホックの早い復帰過程でホックやブレードが底やパイプにぶつかって損傷されるか、または飛び出て高く跳ね上がることを防止することができる。
【0061】
前述したように、本発明の望ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練された当業者なら下記の請求範囲に記載された本発明の思想及び領域から脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0062】
100 巻き尺
110 ハウジング
120 ベース
130 第1磁石
140 第2磁石
150 ブレード


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10