(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-21
(45)【発行日】2022-03-02
(54)【発明の名称】印刷された基材を乾燥するための乾燥ユニット
(51)【国際特許分類】
B41F 9/00 20060101AFI20220222BHJP
B41F 23/04 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B41F9/00 A
B41F23/04 Z
(21)【出願番号】P 2021514361
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(86)【国際出願番号】 EP2019078622
(87)【国際公開番号】W WO2020108864
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-03-15
(31)【優先権主張番号】102018130280.0
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521058896
【氏名又は名称】ケーニヒ アンド バウアー アクツィエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Koenig & Bauer AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シェード,ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ステアマン,ロバート
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-243316(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056703(WO,A1)
【文献】国際公開第03/020522(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102015111525(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 9/00
B41F 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスによって酸素還元されたガス状媒体を有するチャンバ(23)を備え、印刷された基材(21)を乾燥するための乾燥ユニット(22)であって、
前記基材(21)は、前記チャンバ(23)を通って案内され、又は少なくとも案内可能であり、
前記チャンバ(23)は、前記基材(21)の搬送方向(T)に前記基材(21)を前記チャンバ(23)内に案内するための入口を有し、
前記基材(21)を前記チャンバ(23)内に案内するための前記入口には、それぞれ長手
方向に互いに対向して当接された2つの胴(04;06)が配置されており、
前記チャンバ(23)の前記入口に互いに対向して当接された前記2つの胴(04;06)は、印刷機構(03)を形成しており、
前記チャンバ(23)内に案内される前記基材(21)の前記入口は、それぞれ長手
方向に互いに対向して当接された前記2つの胴(04;06)によって形成されており、
一方の胴(04)が圧胴(04)として形成され、他方の胴(06)が前記圧胴(04)と協働して印刷画像を該当する前記基材(21)に付与する胴(06)として形成されている、乾燥ユニット(22)において、
前記チャンバ(23)内に案内される前記基材(21)の前記入口は、それぞれ長手
方向に互いに対向して当接された前記2つの胴(04;06)によって形成されており、
前記乾燥ユニット(22)の前記チャンバ(23)は、互いに対向して当接された前記2つの胴(04;06)の円弧部分をそれぞれ取り囲んでおり、
圧力をかけて互いに対向して当接された前記2つの胴(04;06)は、前記チャンバ(23)の前記入口において、前記チャンバ(23)からの酸素還元された前記ガス状媒体の漏れ出し、及び/又は、周囲空気からの前記チャンバ(23)への酸素の侵入に対して、これらの胴(04;06)に軸方向に延びるシールを形成し、
前記チャンバ(23)の前記入口に配置された前記印刷機構(03)は、グラビア印刷法において印刷する印刷機構(03)として形成されていることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記チャンバ(23)は、前記基材(21)の搬送方向(T)に前記チャンバ(23)を通って案内される前記基材(21)のための出口を有し、
前記出口には、前記チャンバ(23)からの酸素還元された前記ガス状媒体の漏れ出しに対する、及び/又は、周囲空気からのこのチャンバ(23)への酸素の侵入に対するシールが配置されており、
前記シールは、可撓性シール(34)として、又はドクターノズル(24)として形成されていることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項3】
請求項2に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記チャンバ(23)を通って案内される前記基材(21)のための前記出口が、前記基材(21)の前記搬送方向(T)に対して横方向に全幅にわたって延びるスリットとして形成されていることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項4】
請求項3に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記ドクターノズル(24)が、前記チャンバ(23)のスリット形状の前記出口に沿って延びるノズルバーの形状に形成されていることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の乾燥ユニット(22)において、
印刷された前記基材(21)を乾燥するために、前記チャンバ(23)内において前記基材(21)の方向に向けられた電子線を有する電子線発生器(28)が設けられていることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記チャンバ(23)内の酸素還元された前記ガス状媒体が、最大でも1%の酸素含有量を有すること、及び/又は、
前記乾燥ユニット(22)の前記チャンバ(23)内の前記不活性ガスが、元素ガス、又は貴ガス、又はガス状分子化合物であることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記圧胴(04)と協働する前記他方の胴(06)が、版胴(06)として形成されており、
前記圧胴(04)及び前記版胴(06)はそれぞれ鋼製であることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項8】
請求項7に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記版胴(06)に対して拭取り胴(07)が当接されており、
前記拭取り胴(07)の外周面は合成樹脂によってコーティングされていることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記版胴(06)に当接される、又は少なくとも当接可能なオルロフ胴(08)が設けられ、
インク機構ユニット(09)の複数のシャブロン胴(11)が、前記オルロフ胴(08)に当接される、又は少なくとも当接可能であることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項10】
請求項7乃至9の何れか1項に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記圧胴(04)がグリッパレスに形成されていることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか1項に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記チャンバ(23)の入口に互いに対向して当接された前記2つの胴(04;06)の少なくとも一方は吸引胴として形成されており、
前記吸引胴は、該当する前記基材(21)をその吸引胴の外周面に保持するための保持要素として、吸引部を有していることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項12】
請求項1乃至9又は11の何れか1項に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記チャンバ(23)の入口において互いに対向して当接された2つの胴(04;06)の少なくとも一方は、前記基材(21)の搬送方向(T)に対して横方向に延びるチャネル(51)内に、前記基材(21)のうちの1つを該当する前記胴(04;06)の外周面に保持するための少なくとも1つのグリッパを有していることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項13】
請求項12に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記チャネル(51)はカバーによって覆われており、
前記カバーは、該当する前記グリッパの位置に凹部を有していることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか1項に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記胴(04;06)は、それぞれの外周において、複数のそれぞれ大きさの等しいセグメントに区分化されており、及び/又は、
前記圧胴(04)に順々に配置された前記セグメントのそれぞれに印刷ブランケットが配置されている、又は少なくとも配置可能であることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【請求項15】
請求項1乃至14の何れか1項に記載の乾燥ユニット(22)において、
前記チャンバ(23)の入口に配置され、グラビア印刷法において印刷する前記印刷機構(03)は、凹版印刷法において印刷する印刷機構(03)として形成されていることを特徴とする、乾燥ユニット(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の印刷された基材を乾燥するための乾燥ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第03/020522号パンフレット及びその優先出願である独国特許出願公開第10141755号明細書によって、放射モジュールと不活性化チャンバとから構成され、印刷機及び/又はコーティング機の基材上のインク及び/又はニス及び/又はコーティングを放射乾燥するための乾燥システムが知られている。その乾燥システムでは、その不活性化チャンバは、基体と、ノズルシステムと、横方向シール要素と、並びに、入口要素及び出口要素とから構成されている。その横方向シール要素と出口要素とがシート案内胴に対して不活性化チャンバをシールし、その入口要素が、シート案内胴と、紙の走行方向から見て乾燥システムの上流側に位置する胴との間の胴間隙に対して不活性化チャンバをシールする。また、不活性化チャンバの基体には乾燥放射に対して透過性の領域が形成されている。乾燥プロセスで使用される放射器としては、UV放射器又はいわゆるエキシマUV放射器が使用される。不活性ガスとしては、通常、窒素が用いられる。意図する不活性化の際には、残存酸素含有量が可能な限り1%未満の値に低減される必要がある。
欧州特許出願公開第2987634号明細書によって、複数の印刷機構を有する枚葉印刷機が知られている。その印刷機では、それぞれの印刷機構は、グラビア印刷法によって印刷する印刷機構として形成されており、それぞれの印刷機構には、放射器を含む少なくとも1つの乾燥機が割り当てられている。
【0003】
独国特許出願公開第19857984号明細書によって、シート印刷機のシート上のニス及び/又はインクを、乾燥及び/又は硬化させるためのエキシマ放射器を用いて動作する乾燥機が知られている。その乾燥機は、シート搬送路に沿ってシート案内胴の上に搬送されるシートに割り当てられ、少なくとも1つのエキシマ放射器と少なくとも1つの不活性ガス送風機とが1つの鐘体によって囲まれている。その鐘体は、シート案内胴の両側に割り当てられた外周面部と、シート搬送路の幅にわたって延び、入口部と出口部とを有する上部領域とからなり、また、鐘体は、シート案内胴と少なくとも1つのさらなる胴とによって、内部空間を取り囲んでいる。
独国特許出願公表第10083500号明細書によって、活性エネルギー光線を有する照射チャンバ内において、照射に不活性ガス雰囲気又は反応性ガス雰囲気が必要とされる場合において、活性エネルギー光線によって対象物を照射するための方法及び装置が知られている。
独国特許出願公開第102015116491号明細書によって、印刷シートの両面に単色又は複数色の印刷をするための枚葉オフセット印刷機が知られており、その印刷機では、印刷画像は、印刷シートの各面のそれぞれの最後のインク塗布の後に、放射線硬化処理を受ける。
欧州特許出願公開第1995062号明細書によって、凹版印刷法において印刷する枚葉印刷機が知られており、その印刷機では、枚葉印刷機内の印刷されたシートが乾燥機によって乾燥される。
【0004】
欧州特許出願公開第2982510号明細書によって、加工される印刷シートを個別に印刷するためのハイブリッド枚葉オフセット印刷機における版レス印刷ユニットが知られている。その印刷ユニットでは、少なくとも1つのインクジェット印刷ヘッドが、ハイブリッド枚葉オフセット印刷機の、印刷機構内に、コーティング機構内に、フィードエリア内に、及び/又は、デリバリエリア内に、組み込まれている。ハイブリッド枚葉オフセット印刷機内において、印刷シートは、オフセット印刷法における静的な単色又は多色印刷画像と、インクジェット印刷法に従った可変的な個別化印刷画像とを用いて印刷される。そこでは、少なくとも1つのインクジェット印刷ヘッドを有し、その構造が可変であるモジュール式印刷ユニットが提供されている。そのモジュール式印刷ユニットは、その機能的構造において、さらなるモジュールユニットから形成される。そのモジュールユニットは、設定された印刷タスク及び1つ以上の選択可能な基本条件に依存して、印刷量、印刷の品質要求、基材材料、コーティング材料、乾燥条件に対する、少なくとも所定の印刷条件からのパラメータセットに基づいて、ハイブリッド枚葉オフセット印刷機の中において、構成可能に及び位置調整可能に選択され、配置される。
【0005】
欧州特許第0830217号明細書によって、紙、合成樹脂、ガラス、木材、又は金属から成る基材をコーティングする印刷インク層、ニス層、接着剤層、又はシリコーン層を硬化させるための装置が知られている。その装置は、基材を搬送する搬送体の方に開口し、基材の入口のギャップ及び基材の出口のギャップを維持しながら基材を覆うハウジングと、そのハウジングの内部に配置され、通過する基材に紫外線を照射する、反射板を有するUVランプとを備える。少なくとも1つのパージガスラインは、一方ではパージガス供給源に接続され、他方ではノズルを介してハウジングの内部に接続されている。基材入口ギャップ及び基材出口ギャップに加えて、好ましくは、水によって冷却可能なリンスガスノズルが設けられ、そのリンスガスノズルの流れ方向角度が通過する基材に対して調整可能であり、またリンスガスノズルは、ガスの流れ方向及び流量調整器と、流れにおいて関連している。また、通過基材を冷却するための温度調整器が設けられ、リンスガスノズルがハウジング側壁に設けられ、ハウジング、反射板、及び搬送体には冷却流路が配置されている。
【0006】
特開平04-145400号公報によって、印刷シートに塗布されたインクを乾燥するための、枚葉印刷機に配置された電子線装置が知られており、その電子線装置では、乾燥チャンバが不活性ガス(窒素)によって満たされている。
【0007】
独国特許出願公開第19704284号明細書によって、印刷機内のインク及び/又はニスを乾燥及び/又は硬化させるための放射装置用の、特に、エキシマ放射器を有する枚葉印刷機用の、及び不活性化チャンバ内に配置されたブローノズル用の不活性化装置が知られている。そのブローノズルは、印刷材料ウェブの幅にわたって、領域的に絞り可能及び/又は遮断可能に形成されている。また、印刷材料の先端及び後端を検出し、また、ブローノズル及び/又はエキシマ放射器を制御する制御装置が、ブローノズル及び/又はエキシマ放射器の上流に配置されている。
【0008】
国際公開第2005/097927号パンフレットによって、凹版印刷機を用いて基材上にインクを印刷する印刷方法が知られており、その印刷方法では、インクを印刷後に硬化させ、その硬化は例えば電子線によって行われる。この方法は、例えば、銀行券の製造に用いられる。
【0009】
独国特許出願公開第102006032679号明細書によって、基材を用いて、セキュリティ紙、貴重文書などのセキュリティ要素を製造する方法が知られている。その方法では、基材は、少なくとも部分的に、以下のステップによって、少なくとも2つの層を含むコーティングを備える。
a)基材に第1の層を塗布する、
b)少なくとも1つの第2の層を第1の層上に塗布し、その際、第2の層の塗布の前に第1の層の完全な硬化を行わない、
c)コーティングの少なくとも1つの層をエンボス加工する、
d)コーティングを硬化する。
ここで、層の塗布は、例えば印刷法、特にグラビア印刷、フレキソ印刷、又は、オフセット印刷によって行われ、層の硬化は、例えば紫外線放射及び/又は電子放射によって行われる。
【0010】
独国特許出願公開第102016200544号明細書によって、シート案内胴と、そのシート案内胴に割り当てられた不活性化装置とを有し、シート状の基材を加工するための装置が知られている。その装置では、シート案内胴は、基材の先端を保持するための第1の保持手段と、基材の先端から離間した領域においてシート案内胴上に基材を保持する第2の保持手段とを有する。シート案内胴によって案内された基材は、不活性ガスに当たることが可能であり、第3の保持手段が、シート案内胴の外周の外側に配置されている。
【0011】
本発明の課題は、印刷された基材を乾燥するための乾燥ユニットを創造することにあり、その乾燥ユニットは、工業生産プロセスにおいて、印刷機における印刷速度を可能な限り高めることに適している。
【0012】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴によって解決される。従属請求項は、見出された解決の、有利な実施形態及び/又はさらなる形態を示す。
【0013】
本発明において達成可能な利点は、特に、印刷機の乾燥ユニットが、工業生産プロセスにおける印刷機の印刷速度を可能な限り高くするのに適していることである。さらなる利点は、記載された実施例から明白となる。
【0014】
本発明の実施例を図面に示し、以下にさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、少なくとも1つの印刷機構を有する印刷機を示す。
【
図2】
図2は、電子線硬化用の乾燥ユニットを示す。
【
図3】
図3は、印刷機構内における電子線硬化用の乾燥ユニットの第1の配置を有する、
図1に示された印刷機の一部分を示す。
【
図4】
図4は、印刷機構内における電子線硬化用の乾燥ユニットの第2の配置を有する、
図1に示された印刷機の一部分を示す。
【
図5】
図5は、中間胴への電子線硬化用の乾燥ユニットの配置を有する、
図1に示された印刷機の一部分を示す。
【
図6】
図6は、搬送装置への電子線硬化用の乾燥ユニットの配置を有する、印刷機の一部分を示す。
【
図7】
図7は、吸引胴に当接された電子線硬化用の乾燥ユニットを示す。
【
図8】
図8は、複数の吸引ローラと関連した電子線硬化用の乾燥ユニットを示す。
【
図9】
図9は、独立した構成ユニットとして使用可能な乾燥ユニットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、印刷機、好ましくは輪転印刷機の一例を示しており、それぞれの場合において少なくとも1つの印刷機構を有する。印刷機は、例えば、枚葉印刷機、好ましくは枚葉輪転印刷機として形成され、特に枚葉グラビア印刷機として形成され、とりわけ、凹版印刷法によって印刷する枚葉輪転印刷機として形成される。凹版印刷法はグラビア印刷法であり、グラビア印刷法は、好ましくは銀行券、セキュリティ文書、又はセキュリティ要素の工業生産に使用される
【0017】
図1に例示した、特に凹版印刷法において印刷する枚葉輪転印刷機は、好ましくは、少なくとも以下の機械ユニット又は構成グループを有する。
a)シートフィーダ01:このシートフィーダ01によって、印刷される基材21が、特に、積層された印刷シート21の形状において、枚葉輪転印刷機に提供され、又は少なくとも提供可能であり;長方形の印刷シート21は、例えば、475×450mmと700×820mmとの間の範囲のエッジ寸法を有し;印刷シート21のグラム数は、例えば、70g/m2と120g/m2との間の範囲であり;
b)シート装置02:このシート装置02によって、シートフィーダ01に供給された印刷シート21が、例えば1つ以上の搬送ドラムを介して、枚葉輪転印刷機の印刷機構03に順番に、すなわち、個別に次々に供給され、又は少なくとも供給可能であり;
c)対向圧胴とも呼ばれる圧胴04と、圧胴04と協働して、該当する印刷シート21に印刷画像を付与する版胴06とを有する少なくとも1つの印刷機構03:ここで、圧胴04と版胴06とは、高圧力下において互いに対向して当接されており、又は、少なくとも当接可能であり;拭取り胴07は、版胴06に対して当接されており、又は、少なくとも当接可能であり;圧胴04と版胴06とは、好ましくは鋼製であり;拭取り胴07は、その外周面において、例えば合成樹脂によってコーティングされており;好ましい実施形態においては、圧胴04と版胴06とは、それぞれその外周に、それぞれ複数のセグメントに、特に、それぞれ大きさの等しい3つのセグメントに区分化されており、その際、圧胴04に順次配置されたセグメントのそれぞれにおいて、例えば支持体上に、印刷ブランケットが、それぞれ配置されており、又は、少なくとも配置可能であり;
d)版胴06に対して当接されている、又は少なくとも当接可能な、オルロフ胴08とも呼ばれる集合胴08:オルロフ胴08は、好ましくは、圧胴04及び版胴06と同様に、その外周に大きさの等しい3つのセグメントを有しており;
e)オルロフ胴08に対してそれぞれ当接されている、又は少なくとも当接可能な、複数の、例えば5個又は6個のシャブロン胴11を有するインク機構ユニット09:シャブロン胴11のそれぞれの外周にシャブロン版が配置されており、又は少なくとも配置可能であり;この場合、シャブロン胴11のそれぞれは、好ましくは、異なる印刷インクによってオルロフ胴08にそれぞれインクを注入し、その際、オルロフ胴08は、1回転の間に、当接されたすべてのシャブロン胴11からそれぞれの印刷インクを収集し;各シャブロン胴11には、1つ以上のインク塗布ローラ12が当接されており、又は少なくとも当接可能であり、インク塗布ローラ12はそれぞれ、インクタンク14からの、例えば、インクボックスから取り出したインク送りローラ13からの印刷インクによってインク塗りされ;ここで記載した印刷機の構造方式は、このようにして、単一の印刷位置において印刷シート21の多色印刷を可能にしており;インク機構ユニット09の代替として又は追加として、それぞれの印刷シート21にニスを塗布するためのニス塗布装置を設けることも可能であり;
f)例えば、循環する搬送ベルト又は循環するチェーン機構、特にチェーングリッパ機構として形成されている搬送装置16:この搬送装置16には、圧胴04と版胴06との間の印刷ギャップ17内において印刷された印刷シート21が、直接又は少なくとも1つの中間胴36;37を介して搬送され;搬送装置16に搬送された印刷シート21は、この搬送装置16によって、例えば、多連パイルデリバリとして形成されているデリバリ18(本実施形態では、シートデリバリ18)に搬送され、又は少なくとも搬送可能であり、また、そのデリバリ18に配置され、又は少なくとも配置可能であり;
図1において、シートデリバリ18は、印刷シート21の搬送方向Tに順次配置された、例えば3つのパイルを有し;搬送装置16の領域には、一般に、例えば光電子、好ましくはカメラベースの検査システム19が配置されており、この検査システム19によって、印刷された印刷シート21の品質が検査され、又は少なくとも検査可能であり;印刷シート21は、特に、所定の印刷原稿と比較して無欠陥性が検査され;この検査結果に応じて、印刷シート21は、次に、多連デリバリの特定のパイル上に配置される。
【0018】
工業生産プロセスにおいて、例えば、上記の印刷機を用いて、例えば1時間当たり1万枚の印刷シート21の印刷速度を可能な限り最高にするためには、印刷シート21に塗布された印刷インク及び/又は印刷シート21に塗布されたニスを乾燥することが好ましい。好ましくは、にじまない、すなわち粘性のある印刷インク及び/又はニスが使用される。好ましい実施形態では、放射硬化性のインク及び/又はニスが使用される。特に好ましい実施形態では、溶媒を含まず、電子線によって硬化可能なインク及び/又はニスが使用される。このような印刷インク及び/又はニスは、電子線の照射によってミリ秒以内に重合し、それによって極めて短時間において乾燥する。このようなインク及び/又はニスからなるインク膜又はニス膜は、完全に重合され、それによって硬化される。そのため、乾燥後には、インク内又はニス内に、基材21を介して他の場所に移行する可能性のある断片又は分解残基は残存しない。電子線によって乾燥されたインク又はニスは、傷や薬品に強く、それぞれ弾性を持った光沢のあるインク膜又はニス膜を形成する。
【0019】
しかしながら、電子線を用いた乾燥法の問題として、乾燥、すなわち凝結硬化反応を、酸素を減らした不活性雰囲気中において行う必要がある。不活性雰囲気中では、高い生産品質を達成するために、酸素含有量は、最大でも1%であり、好ましくは300ppmから500ppmの範囲、特に150ppmから250ppmの範囲、場合によっては50ppm未満の範囲である。不活性雰囲気中における酸素含有量の許容範囲は、使用される基材21の材質及び/又は使用される印刷インク又はニスの化学組成に依存する。他の場合には、すなわち、より高い酸素含有量においては、まだ液体の印刷インク又はニスに含まれるフリーラジカル、すなわち、それぞれが自由電子を含む原子又は原子群は、お互いによりも、この空気中に含まれる酸素分子とより速く化学反応し、不完全で不均一な架橋のみを形成する。これは、特に、酸素含有量が約21%の通常の周囲空気下において当てはまる。酸素含有量が1%を超える雰囲気下、特に通常の周囲空気下においては、凝結硬化反応の結果、インク又はニスは、まだ湿ったままで、粘着性があり、光沢がなく、悪い接着性及び単に低い傷耐性を有することとなる。
【0020】
良好な乾燥結果は、酸素含有量が最大でも1%に低減された雰囲気を有する乾燥ユニット22において得られる。その際、不活性ガスは、すなわち化学的に非常に不活性なガス、例えば、窒素のような元素ガス、又は、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン又はラドンのような貴ガス、又は、六フッ化硫黄および二酸化炭素のようなガス状分子化合物は、空気中に含まれる酸素を排除する。不活性ガスによって、酸化プロセスは、酸素の排除又は大幅な還元の結果として、防止される。用語「雰囲気」は、本実施形態及び以下では、乾燥ユニット22の容積に関係する限りにおいて、乾燥ユニット22内において印刷インク又はニスを乾燥するために設けられた空間内に存在し、不活性ガスによって酸素が還元されたガス状媒体を、全体的に意味する。
【0021】
図2は、電子線を用いた放射乾燥の原理を明確に示す。以下に説明する例では、主に印刷インクの乾燥について説明しているが、その例はニスの乾燥についても同様に適用される。印刷機、特に例によって上述した印刷機に関連して使用することができる乾燥ユニット22は、基材21、例えば印刷シート21が通過するチャンバ23を有し、このチャンバ23は不活性ガスによって満たされている、又は少なくとも一種類の不活性ガスを含んでいる。印刷シート21が不活性ガスを含むチャンバ23に案内されるチャンバ23の入口には、チャンバ23からの不活性ガスの漏れ出し及び/又は周囲空気からの酸素のチャンバ23への侵入を防止するために、例えば、特にノズルバーの形状のドクターノズル24が配置されている。印刷シート21の平面性によって、チャンバ23の入口は、一般に、印刷シート21の搬送方向Tに対して横方向において、印刷シートの全幅にわたって延びる細長いスリットとして形成されている。チャンバ23に不活性ガス、例えば窒素を充填するために、及び/又は、所望の充填レベルを維持するために、必要に応じて、チャンバ23内に不活性ガスを入れる、特に遠隔操作可能な充填ノズル26が設けられている。この充填ノズル26は、不活性ガス供給源、例えばタンクに接続されている。さらに、好ましくは、不活性ガスを含むチャンバ23内の酸素含有量を測定するためのセンサ27が設けられている。好ましくは、充填ノズル26は、不活性ガスを含むチャンバ23内の酸素含有量を測定するためのセンサ27の測定結果に依存して、チャンバ23内への不活性ガスの投入に関して制御される、又は、少なくとも制御可能である。従って、不活性ガス供給源に接続され、特に遠隔操作可能な充填ノズル26と、このチャンバ23内に存在する酸素含有量を測定するためのセンサ27とが、それぞれ乾燥ユニット22のチャンバ23内に設けられている場合には、チャンバ23内に存在する不活性雰囲気中の酸素含有量は、酸素含有量を測定するためのセンサ27の測定結果に依存して、及び/又は、乾燥される印刷シート21の材料に依存して、及び/又は、印刷シート21に適用される少なくとも1つの印刷インク又はニスの化学組成に依存して、例えば、制御ユニットによって、特に自動的に制御される、又は制御可能である。
【0022】
乾燥ユニット22は、真空チャンバ29内に配置された電子線発生器28を有する。真空チャンバ29と、不活性ガスによって充填されたチャンバ23とは、窓によって空間的に分離されている。窓は、例えば、0.01mmと0.3mmの間の範囲の、好ましくは約0.2mmの材料厚さのチタンフォイルから作られた蓋31を有している。電子線発生器28は、例えばフィラメント状のカソード32と、カソード32から間隔をおいて配置されたアノード33とを有する。カソード32から出た電子は、カソード32とアノード33との間に印加される電圧によって、アノード33に向かって光速に近い速度まで加速される。電子を加速するための電圧は、性状に依存して、例えば、使用されるインクの化学組成、及び/又は、そのインクへの所望の浸透深さに応じて、及び/又は、使用される基材21の材料に依存して、例えば、80keVから300keVの間の範囲にある。このようにして加速された高エネルギー電子は、例えば薄いチタンフォイルからなる窓の蓋31を貫通し、好ましくは、不活性ガスを含むチャンバ23内において、この窓のそばを通過する印刷シート21に、実質的に垂直に衝突する。この高エネルギー電子は、いわば、基材21に塗布された印刷インクの中に射出される。これらの電子が、例えば0.1mm程度の層厚で基材21に塗布された印刷インクに衝突し、このインク層に電子が侵入する場合、この印刷インク内において化学連鎖反応が起こる。その化学連鎖反応の際に、印刷インクに含まれる短鎖アクリレート分子が結合して長鎖ポリマーが形成され、それによって、一瞬の間に硬化したインク層が形成される。その際、基材21は加熱されない。電子線発生器28から基材21に射出される電子のエネルギーは、インク中に第1のラジカルを発生させ、かつ、このインクのモノマー(希釈剤)又はオリゴマー(結合剤)において、その重合を直接開始させるのに十分な大きさであるため、使用するインクに、例えばUV乾燥プロセスにおいて必要とされるような光重合開始剤を添加する必要はない。
【0023】
凹版印刷法に適したインクに用いられるオリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート、アクリレートオイル、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、シリコーンアクリレート、アクリレートアミン、アクリル飽和樹脂、アクリルアクリレートが含まれる。
【0024】
ほとんどのオリゴマーの粘度が高いため、電子線硬化性インクの全体的な粘度を低下させるために、また、それによってそのインクの取り扱いや適用を助けるために、例えば、そのインクを、拭取り胴07によって版胴06から拭取るのに適したものにするために、希釈剤が必要とされる。好適な希釈剤は、該当する印刷インクに組み込まれた水又は「反応性」モノマーを含み得る。反応性モノマーは、典型的にはアクリレート又はメタクリレートであり、単官能性又は多官能性であってもよい。多官能性モノマーの例としては、ポリエステルアクリレート又はポリエステルメタクリレート、ポリオールアクリレート又はポリメタクリレート、及びポリエーテルアクリレート又はポリエーテルメタクリレートであってもよい。
【0025】
電子線によってそれぞれ乾燥することができる、印刷インクの層又はニスの層のそれぞれの構成例を以下に示す。
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
銀行券、セキュリティ文書又はセキュリティ要素の工業生産のための印刷機において、電子線を用いて基材21に塗布された印刷インク又はニスの放射乾燥をそれぞれ行うための、いくつかの配置変形を以下に記載する。これらの配置変形のすべてにおいて、乾燥ユニット22は、高エネルギー電子を基材21上に射出する電子線発生器28を有する。
【0034】
本発明によらない第1の配置変形では、印刷機全体を周囲空気に対して気密性のハウジング内に配置し、ハウジング内には酸素含有量が最大でも1%の不活性雰囲気が設けられる。この場合、乾燥ユニット22の不活性ガスを含むチャンバ23は、印刷機のハウジングによって実現される。印刷される印刷シート21は、ハウジングに形成された入口エアロックを介して印刷機に供給され、ハウジングに形成された出口エアロック介して印刷機から排出される。この第1の配置変形においては、乾燥ユニット22は、特に印刷シート21としてそれぞれ形成された基材21の搬送方向Tにおいて、圧胴04と版胴06とによって形成された印刷ギャップ17の下流の任意の位置に配置される。乾燥ユニット22は、例えば、搬送装置16に、又は、印刷シート21の搬送方向Tにおいて、搬送装置16の下流に配置される。その搬送装置16は、印刷シート21の搬送方向Tにおいて、印刷機構03の下流に配置され、例えば循環する搬送ベルトとして、又は循環するチェーン機構として、又はチェーングリッパ機構として形成されている。
【0035】
第2の配置変形では、印刷機の印刷機構03内に配置された乾燥ユニット22が提供される。不活性ガスを含む、乾燥ユニット22のチャンバ23は、この場合、このチャンバ23内に圧胴04の少なくとも1つの円弧部分(Bogenabschnitt)が配置されるように、印刷機構03内に配置されている。本発明による実施形態においては、圧胴04の円弧部分と、圧胴04と協働する版胴06の円弧部分とが、不活性ガスを含むチャンバ23内にそれぞれ配置されている。
【0036】
図3は、
図1に示した印刷機の一部分を示す。ここでは、不活性ガスを含むチャンバ23内に、圧胴04の円弧部分と、この圧胴04と協働する版胴06の円弧部分とが配置されている。その際、好ましくは、不活性ガスを含むチャンバ23に可撓性シール34が配置されている。その可撓性シールは、圧胴04及び版胴06のそれぞれの端面において、及び、版胴06の外周面において、並びに、場合によっては、圧胴04及び版胴06によって形成された印刷ギャップ17において、及び回転する圧胴04の外周面上に位置する乾燥された基材21の、チャンバ23からの出口において、このチャンバ23を、周囲空気に対してそれぞれシールする。その際注目すべきは、該当する印刷機によって行われる印刷プロセスにおいて、圧胴04と版胴06とが、それらによって形成された印刷ギャップ17内において高圧力下において互いに対向して当接されており、この互いに対向して当接された胴04;06が、印刷ギャップ17内において、不活性ガスを含むチャンバ23のために、これらの胴04;06に対して、軸方向に延びるシールを既に形成していることである。乾燥ユニット22によって乾燥された基材21、特に印刷シート21は、圧胴04から、印刷シート21の搬送方向Tにおいてその圧胴04に後続する搬送装置16に搬送される。
【0037】
図4は同様に、
図1に示した印刷機の一部分を示し、不活性ガスを含むチャンバ23内には、圧胴04の円弧部分のみが配置されている。好ましくは、不活性ガスを含むチャンバ23に可撓性シール34が配置されており、この可撓性シールは、圧胴04の端面において、及び、圧胴の外周面上に位置する乾燥基材21のチャンバ23からの出口において、チャンバ23を周囲空気に対してそれぞれシールする。チャンバ23への入口においては、基材21の搬送方向Tに対して横方向にその全幅にわたって延びる幅の狭いスリットが形成されており、そのスリットを通って、圧胴04の外周面上に位置している基材21が、乾燥ユニット22のチャンバ23内に案内される、又は少なくとも案内可能である。その際、この入口においてチャンバ23から不活性ガスが漏れ出すことを防止するために、及び/又は、周囲空気から酸素がこのチャンバ23内に侵入することを防止するために、そのスリットに沿って、特にノズルバーの形状のドクターノズル24が配置されている。また、本実施形態においては、乾燥ユニット22によって乾燥された基材21、特に印刷シート21は、圧胴04から、印刷シート21の搬送方向Tにおいてその圧胴04に後続する搬送装置16に搬送される。
【0038】
図5は、また、
図1に示した印刷装置の一部分を示す。この場合、
図1に示した実施形態とは異なり、圧胴04と版胴06との間の印刷ギャップ17において印刷された印刷シート21は、印刷シート21の搬送方向Tに順次配置された2つの中間胴36;37を介して、搬送装置16に搬送される。第3の配置変形においては、中間胴36;37の1つに配置された乾燥ユニット22が提供される。好ましくは可撓性シール34が、ここにおいても不活性ガスを含むチャンバ23に配置されており、その可撓性シール34は、該当する中間胴36;37の端面において、及び、該当する中間胴36;37の外周面上に位置する乾燥基材21のチャンバ23からの出口において、チャンバ23を周囲空気に対してそれぞれシールする。チャンバ23の入口には、基材21の搬送方向Tに対して横方向にその全幅にわたって延びる幅の狭いスリットが形成されており、このスリットを通って、該当する中間胴36;37の外周面上に位置している基材21が、乾燥ユニット22のチャンバ23内に案内される、又は少なくとも案内可能である。その際、不活性ガスがチャンバ23から漏れ出すことを、及び/又は、周囲空気からの酸素が
この入口においてチャンバ23に侵入することを防止するために、このスリットに沿って、特にノズルバーの形状のドクターノズル24が配置されている。
【0039】
図6に例示的に示されるように、
本発明によらない第4の配置変形として、例えばベルトコンベアとして形成された搬送装置16に配置されている、又は、少なくともその搬送装置16と関連して配置されている乾燥ユニット22が提供される。好ましくは可撓性シール34が、ここにおいても不活性ガスを含むチャンバ23に配置されており、その可撓性シール34は、搬送装置16によって搬送される乾燥基材21のチャンバ23からの出口において、周囲空気に対してチャンバ23をシールする。チャンバ23への入口においては、基材21の搬送方向Tに対して横方向にその全幅にわたって延びる幅の狭いスリットが形成され、そのスリットを通って、搬送装置16によって搬送された基材21が乾燥ユニット22のチャンバ23内に案内される、又は少なくとも案内可能である。その際、不活性ガスが
この入口から漏れ出すことを、及び/又は、周囲空気から酸素がこのチャンバ23に侵入することを防止するために、このスリットに沿って、特にノズルバーの形状のドクターノズル24が配置されている。
【0040】
第2から第4の配置変形によって示されるように、不活性ガスを含むチャンバ23を有する乾燥ユニット22を、印刷機の印刷機構03内に、又は、本発明によらず、基材21の搬送方向Tにおいて印刷機構03の下流に配置された中間胴36;37に、又は、基材21をデリバリ18に搬送する搬送装置16に配置することができる。
【0041】
図7及び
図8は、電子線硬化のための乾燥ユニット22の異なる
本発明によらない形態の例を、概略的に示す。そのため、
図7は、吸引胴38に当接された電子線硬化のための乾燥ユニット22を示している。ここで、吸引胴38は、例えば圧胴04又は中間胴36;37の特別な形態であり得、乾燥ユニット22のチャンバ23内に存在する少なくとも1つの円弧部分を有している。基材21の搬送方向Tにおいて吸引胴38の直ぐ上流に配置された第1の搬送装置は、例えば搬送ベルト、特に好ましくは吸引ボックス41を有する吸引ベルト39の形状において、又は、胴の形状において、又は、ローラの形状において、印刷された基材21を吸引胴38に順次供給する。吸引胴38は、複数の、例えば3枚の、特にシート21として形成された基材21を、その外周面に順次受ける取ることが可能である。吸引胴38に供給された基材21は、吸引空気によってその外周面に保持される。吸引胴38の回転が継続されることによって、印刷された基材21は、基材21の搬送方向Tに対して横方向にその全幅にわたって延びる幅の狭いスリットを通って、不活性ガスを含む乾燥ユニット22のチャンバ23内に案内される。乾燥ユニット22内には、上述した方法において、高エネルギー電子を衝突させることによって印刷基材21を乾燥する電子線発生器28が配置されている。回転する吸引胴38の外周面に位置している乾燥基材21は、チャンバ23の出口において乾燥ユニット22から出る。チャンバ23の出口は、基材21の搬送方向Tに対して横方向においてその全幅にわたって延びる幅の狭いスリットとして形成され、好ましく、特に可撓性シール34によってシールされている。吸引胴38の回転方向、したがって基材21の搬送方向Tにおいて、チャンバ23からの出口の直ぐ下流には、第2の搬送装置が、ここにおいても、例えば搬送ベルト、特に好ましくは吸引ボックス43を有する吸引ベルト42の形状に、又は胴の形状に、又はローラの形状において配置されており、その第2の搬送装置は、乾燥された基材21を、例えばデリバリ18に搬送する。
【0042】
図7から分かるように、この
本発明によらない実施形態の変形においては、互いに分離された2つの空気圧システムが設けられている。第1の空気圧システムは、搬送される基材21を保持するために必要な吸引空気を、ポンプ44によって、一般に、対応するラインを介して、例えば、吸引胴38に、及び/又は、第1の搬送装置の吸引ベルト39の吸引ボックス41に、及び/又は、第2の搬送装置の吸引ベルト42の吸引ボックス43に、それぞれ供給する。第2の空気圧システムは、乾燥ユニット22によって必要とされる不活性ガスを供給するための、例えばタンク46の形状の不活性ガス供給源を有する。好ましくは、乾燥ユニット22のチャンバ23に配置され、チャンバ23内に不活性ガスを入れる充填ノズル26が、このタンク46に接続されている。さらに、乾燥ユニット22のチャンバ23内にある吸引胴38の円弧部分に位置する基材21を、吸引によってこの吸引胴38の外周面に保持するために、第2の空気圧システムは、例えば入力側では吸引胴38に接続され、出力側ではタンク46に接続されたポンプ47を有する。この点において、第2の空気圧システムは吸引空気も生成する。第2の空気システムにおいて使用されるこの吸引空気は、第1の空気システムによって通常使用される周囲空気に対して酸素が大幅に低減された、好ましくは最大でも1%の酸素含有量を有する不活性雰囲気を有する。有利には、互いに別個に形成されている第1の空気圧システムと第2の空気圧システムとが提供される。その際、第1の空気圧システムは、吸引胴38の外周面に保持された基材21が乾燥ユニット22のチャンバ23の外側に位置している場合に、搬送される基材21を保持するために必要な吸引空気を吸引胴38に提供する。また、その際、第2の空気圧システムは、少なくとも吸引胴38の外周面に保持された基材21が乾燥ユニット22のチャンバ23の内側に位置している場合に、搬送される基材21を保持するために必要な吸引空気を提供する。
【0043】
さらなる本発明によらない実施形態の変形においては、例えば、単一の空気圧システムのみが設けられる。その際、吸引胴38の外周面上において搬送する基材21を、特に該当する吸引胴38上でのそれらの全滞留時間の間において保持するのに必要な吸引空気のために、乾燥ユニット22のチャンバ23内と同じ気体媒体が供給される。これによって、例えば、基材21を印刷するための少なくとも1つの印刷機構03を有する1つの輪転印刷機が提供される。その際、該当する印刷機構03は、少なくとも2つの協働する胴04;06を有し、これらの胴04;06のうちの少なくとも1つは、基材21をその外周面上において搬送する吸引胴として形成され、該当する胴04;06の外周面上において搬送する基材21を保持するのに必要な吸引空気を供給するための空気圧システムが、設けられる。この場合、基材21の搬送経路において、該当する印刷機構03の内部に又は下流に、乾燥ユニット22が設けられる。その際、該当する印刷機構03によって印刷された基材21は、乾燥ユニット22のチャンバ23を通って案内され、又は少なくとも案内可能であり、乾燥ユニット22のチャンバ23内には、不活性ガスによって酸素還元されたガス状媒体が提供されている。その場合、有利な実施形態においては、該当する吸引胴の外周面上において搬送される基材21を保持するための空気圧システム内に供給される吸引空気は、乾燥ユニット22のチャンバ23内と同じガス状媒体である。 好ましくは、該当する印刷機構03において協働する胴04の一方は、圧胴04として形成され、圧胴04と協働する他方の胴06は、該当する基材21上に印刷画像を付与する版胴06として形成されている。非常に好ましい実施形態においては、該当する印刷機構03は、グラビア印刷法、特に凹版印刷法において印刷する印刷機構03として形成されている。
【0044】
図8は、電子線硬化のための乾燥ユニット22の
本発明によらない形態を示し、この乾燥ユニット22の場合においては、乾燥ユニット22のチャンバ23を通って基材21を搬送するために、電子線発生器28を有する真空チャンバ29を部分的に、例えば半円状に囲むハウジング49内において、基材21の搬送経路に沿って複数の吸引ローラ48が設けられている。これらの吸引ローラ48は、それぞれの回転によって、乾燥ユニット22のチャンバ23内に案内された基材21をチャンバ23の入口からその出口まで搬送する。電子線発生器28は、例えば乾燥ユニット22の中心部又はその近傍に静止した状態で配置され、半径方向外側に向けられた電子線を有する。乾燥される基材21は、印刷面を電子線発生器28に向けた状態において、基材21の搬送経路に沿って、少なくとも部分的に、例えば半円状の円弧を描くように、電子線発生器28を有する真空チャンバ29の周囲を回って、それぞれ搬送される状態にある、あるいは搬送される。基材21の搬送経路に沿って配置された吸引ローラ48は、乾燥ユニット22のチャンバ23を通って搬送されるこれらの基材21の乾燥されない側にそれぞれ配置されている。好ましくは、チャンバ23の入口及び出口は、基材21の搬送方向Tに対して横方向において、その全幅にわたって延びる幅の狭いスリットとしてそれぞれ形成されている。基材21の搬送方向Tにおいて、チャンバ23への入口の直ぐ上流に配置された第1の搬送装置は、例えば、搬送ベルト、特に好ましくは吸引ボックス41を有する吸引ベルト39の形状に、又は胴の形状に、又はローラの形状に形成され、印刷された基材21を乾燥ユニット22のチャンバ23に順次供給する。基材21の搬送方向Tにおいて、チャンバ23からの出口の直ぐ下流には、第2の搬送装置が、ここにおいても、例えば搬送ベルト、特に好ましくは吸引ボックス43を有する吸引ベルト42の形状において、又は胴の形状において、又はローラの形状において配置されており、乾燥した基材21を、例えばデリバリ18に搬送する。
【0045】
図8による
本発明によらない実施形態の変形においては、例えば、ここにおいても2つの別々の空気圧システムが設けられている。第1の空気圧システムは、ポンプ44を用いて、対応するラインを介して、例えば第1の搬送装置の吸引ベルト39の吸引ボックス41に、及び/又は、第2の搬送装置の吸引ベルト42の吸引ボックス43に、搬送される基材21を保持するためにそれぞれ必要な吸引空気を供給する。第2の空気圧システムは、乾燥ユニット22によって必要とされる不活性ガスを供給するための、例えばタンク46の形状の不活性ガス供給源を有する。乾燥ユニット22のチャンバ23に配置され、チャンバ23内に不活性ガスを入れる充填ノズル26が、このタンク46に接続されている。さらに、第2の空気圧システムは、例えば、入力側において吸引ローラ48に接続され、出力側においてタンク46に接続されたポンプ47を有する。乾燥ユニット22のチャンバ23内にある搬送路上を吸引ローラ48によって搬送される基材21は、ポンプ47による吸引作用によって、設けられた搬送路上に保持される。
【0046】
電子線硬化のために工業生産プロセスに組み込まれた乾燥ユニット22への不活性ガス、例えば窒素の供給は、相当なコストと結びつくため、乾燥ユニット22のチャンバ23への基材21のために設けられた入口、及び/又は、このチャンバ23からの出口は、例えばスリット形状にそれぞれ形成され、及び/又は、例えば、特にノズルバーの形状のドクターノズル24によって、又は、好ましくは可撓性シール34によってそれぞれシールされている。
【0047】
酸素還元されたガス状媒体、特に不活性ガスのチャンバ23からの漏れ出し、及び/又は、このチャンバ23への周囲空気からの酸素の望ましくない侵入を最小化するためのさらなる処置は、乾燥ユニット22のチャンバ23を、少なくとも部分的に(例えば、円弧部分において)通過する胴に、例えば、圧胴04に、又は版胴06に、又は中間胴36;37に、又は吸引胴38に形成されたチャネル51又は溝51を、カバーによってそれぞれ覆うことによって構成される。基材21の搬送方向Tに対して特に横方向において、その幅にわたって延びるチャネル51内において、基材21を保持するための少なくとも1つのグリッパが、該当する胴のそれぞれの外周面上に配置されている場合には、このチャネル51を覆うカバーは、該当するグリッパの位置に凹部を有している。しかしながら、乾燥ユニット22のチャンバ23の気密性に関しては、該当する胴04;06;36;37;38をグリッパレス、すなわち機械的なグリッパなしで形成することは有利であり、又は、圧胴04及び版胴06のような協働する胴04;06の場合には、これらの胴04;06のうちの少なくとも1つをグリッパレスで形成することは有利である。グリッパレス胴04;06;36;37;38において、それぞれの外周面に配置される基材21は、好ましくは、吸引空気のみでそれぞれ保持される。同様に、基材21を搬送するための、コンベアベルトとして形成された搬送装置16をグリッパレスに形成することも有利である。
【0048】
したがって、例えば、基材21を印刷するための少なくとも1つの印刷機構03を有する1つの輪転印刷機が提供される。その際、基材21の搬送経路において、少なくとも1つの印刷機構03の中に又は下流に、乾燥ユニット22が設けられており、少なくとも1つの印刷機構03によって印刷された基材21は、この乾燥ユニット22のチャンバ23を通って案内される、又は少なくとも案内可能である。乾燥ユニット22のチャンバ23内には、不活性ガスによって酸素を還元した雰囲気が設けられており、乾燥ユニット22のチャンバ23は、乾燥される基材21を搬送する胴04;06;36;37;38の少なくとも1つの円弧部分を取り囲んでいる。その胴04;06;36;37;38は、基材21の搬送方向Tに対して横方向に延びるチャネル51内に、基材21の1つを該当する胴04;06;36;37;38の外周面上に保持するための少なくとも1つのグリッパを有する。該当するチャネル51はカバーによって覆われており、そのカバーは、該当するグリッパの位置に凹部を有している。該当する胴04;06;36;37;38は、少なくとも1つのグリッパに加えて、該当する胴04;06;36;37;38の外周面上に該当する基材21を保持するための少なくとも1つのさらなる保持要素を、その外周面上に有する。
【0049】
代替的に、例えば、基材21を印刷するための少なくとも1つの印刷機構03を有する1つの輪転印刷機が提供される。この場合、基材21の搬送経路において、少なくとも1つの印刷機構03の中に又は下流に、乾燥ユニット22が設けられており、少なくとも1つの印刷機構03によって印刷された基材21は、この乾燥ユニット22のチャンバ23を通って案内される、又は少なくとも案内可能である。その際、乾燥ユニット22のチャンバ23内には、不活性ガスによって酸素還元した雰囲気が設けられており、乾燥ユニット22のチャンバ23は、乾燥される基材21を搬送する胴04;06;36;37;38の少なくとも1つの円弧部分を取り囲んでいる。この胴04;06;36;37;38は、グリッパレスに形成されている。
【0050】
特別の実施形態変形が、例えば、基材21を印刷するための少なくとも1つの印刷機構03を有する輪転印刷機に存在する。この場合、基材21の搬送経路において、少なくとも1つの印刷機構03の中に又は下流に、乾燥ユニット22が設けられており、少なくとも1つの印刷機構03によって印刷された基材21は、この乾燥ユニット22のチャンバ23を通って案内される、又は少なくとも案内可能である。その乾燥ユニット22のチャンバ23内には、不活性ガスによって酸素還元した雰囲気が設けられており、乾燥ユニット22のチャンバ23内には、基材21の搬送経路に沿って、複数の吸引ローラ48が配置されており、その吸引ローラ48は、それぞれの回転によって基材21を、チャンバ23を通って搬送する。
【0051】
また、具体的な一実施形態変形も、例えば、印刷シート21を印刷するための少なくとも1つの印刷機構03を有する枚葉印刷機によって与えられる。この場合、基材21の搬送経路において、少なくとも1つの印刷機構03の中に又は下流に、乾燥ユニット22が設けられており、少なくとも1つの印刷機構03によって印刷された基材21は、この乾燥ユニット22のチャンバ23を通って案内される、又は少なくとも案内可能である。その乾燥ユニット22のチャンバ23内には、不活性ガスによって酸素を還元した雰囲気が設けられており、その乾燥ユニット22は、チャンバ23内において方向付けされた電子線によって、印刷シート21を乾燥するための電子線発生器28を有しており、乾燥ユニット22のチャンバ23内の雰囲気は、最大でも1%の酸素含有量を有している。
【0052】
さらに、例えば印刷シート21を印刷するための少なくとも1つの印刷機構03を有する枚葉グラビア印刷機が提供される。この場合、該当する印刷機構03内には、圧胴04と、この圧胴04と協働する版胴06とが配置されている。また、版胴06に対して当接される、又は少なくとも当接可能な拭取り胴07が設けられている。また、印刷シート21の搬送経路において、少なくとも1つの印刷機構03の中に又は下流に、乾燥ユニット22が設けられており、少なくとも1つの印刷機構03によって印刷された印刷シート21は、この乾燥ユニット22のチャンバ23を通って案内される、又は少なくとも案内可能である。その乾燥ユニット22は、チャンバ23内において方向付けされた電子線によって、印刷シート21を乾燥するための電子線発生器28を有している。
【0053】
上記印刷機のさらなる実施形態及び/又は追加の形態が、例示のために上記した特徴の意義のある、したがって矛盾しない、それぞれの組み合わせから生じる。
【0054】
図9は、ここでさらに、印刷機に後付けするのに特に適した一実施形態変形を示している。この実施形態変形は、ガス状媒体を含むチャンバ23を有し、好ましくはシート21として形成された、印刷された基材21をそれぞれ乾燥するための乾燥ユニット22に関するものであり、ここで、チャンバ23内に含まれるガス状媒体は、不活性ガスによって酸素還元されたものである。この好ましい実施形態においては、この乾燥ユニット22は、独立した構成ユニットを形成しており、これはまた、後に、特に印刷機の中に、印刷基材21の搬送経路に提供することができる。乾燥される基材21は、この乾燥ユニット22のチャンバ23を通って案内される、又は少なくとも案内可能である。このチャンバ23は、基材21の搬送方向Tにおいて、基材21をこのチャンバ23内に搬送するための、基材21の搬送方向Tに対して横方向に延びる、好ましくはスリット状の入口を有している。このチャンバ23内に搬送する基材21のための入口は、特に高圧力下において長手方向に互いに対向して当接されている2つの胴04;06の間のローラギャップ17によって形成されている。これら2つの胴04;06のそれぞれの回転方向は、
図9において、回転方向を示す矢印によってそれぞれ示されている。有利な方法において、互いに対向して当接された2つの胴04;06は、このチャンバ23の入口において、酸素還元されたガス状媒体の、特に、このチャンバ23からの不活性ガスの漏れ出し、及び/又は、このチャンバ23への周囲空気からの酸素の侵入に対するシールを形成している。乾燥ユニット22には、印刷された基材21を乾燥するために、好ましくは、チャンバ23内において基材21に方向付けられた電子線を有する電子線発生器28が設けられている。特に、後者の実施形態では、電子線発生器28と組み合わせて、雰囲気、すなわちチャンバ23内のガス状媒体は、上記したように、最大でも1%の酸素含有量を有する。この乾燥ユニット22のチャンバ23は、また、このチャンバ23を通って案内される基材21のために、好ましくは、基材21の搬送方向Tに対して横方向に延びるスリットの形状の
入口を有する。酸素還元されたガス状媒体の、特に不活性ガスの、このチャンバ23からの漏れ出しに対する、及び/又は、周囲空気からのこのチャンバ23への酸素の侵入に対するシールとして、好ましくは、可撓性シール34及び/又はドクターノズル24が、この出口に配置されている。
【0055】
有利なさらなる一形態においては、チャンバ23の入口において互いに対向して当接された2つの胴04;06は、印刷機構03を形成する。この場合、一方の胴04は圧胴04として形成され、他方の胴06は、圧胴04と協働して印刷画像を該当する基材21に付与する版胴06として形成されている。その際、乾燥ユニット22のチャンバ23の入口に形成された印刷機構03は、例えば、グラビア印刷法において、特に凹版印刷法において印刷する印刷機構03として形成されている。
【0056】
有利には、チャンバ23を通って、基材21を搬送するように配置された搬送装置16が設けられている。その搬送装置16は、好ましくは循環する搬送ベルトとして、又は、好ましくは循環するチェーン機構、特にチェーングリッパ機構とし形成されている。また、チャンバ23の入口において互いに対向して当接された2つの胴04;06のうちの少なくとも1つが、吸引胴として設けられてもよい。代替的又は追加的に、例えば、チャンバ23の入口において互いに対向して当接された2つの胴04;06のうちの少なくとも1つは、基材21の搬送方向Tに対して横方向に延びるチャネル51内に、基材21のうちの1つを該当する胴04;06の外周面に保持するための少なくとも1つのグリッパを有する。その際、該当するチャネル51は、好ましくはカバーで覆われており、そのカバーは、該当するグリッパの位置に凹部を有する。
【符号の説明】
【0057】
01 シートフィーダ
02 シート装置
03 印刷機構
04 圧胴、胴
05 -
06 版胴、胴
07 拭取り胴
08 集合胴、オルロフ胴
09 インク機構ユニット
10 -
11 シャブロン胴
12 インク塗布ローラ
13 インク送りローラ
14 インクタンク
15 -
16 搬送装置
17 印刷ギャップ、ローラギャップ
18 デリバリ、シートデリバリ
19 検査システム
20 -
21 基材、印刷シート
22 乾燥ユニット
23 不活性ガスが充填されたチャンバ
24 ドクターノズル
25 -
26 充填ノズル
27 酸素測定センサ
28 電子線発生器
29 真空チャンバ
30 -
31 蓋
32 カソード
33 アノード
34 シール
35 -
36 中間胴
37 中間胴
38 吸引胴
39 吸引ベルト
40 -
41 吸引ボックス
42 吸引ベルト
43 吸引ボックス
44 ポンプ
45 -
46 タンク
47 ポンプ
48 吸引ローラ
49 ハウジング
50 -
51 チャネル、溝
T 搬送方向