(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】光走査装置及びヘッドアップディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20220224BHJP
G02B 27/01 20060101ALI20220224BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
G02B26/10 104Z
G02B27/01
B81B7/02
(21)【出願番号】P 2017170054
(22)【出願日】2017-09-05
【審査請求日】2020-08-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】坂上 洋一
(72)【発明者】
【氏名】西山 隆彦
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-174677(JP,A)
【文献】特開2007-334162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10
G02B 27/01
B81B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光反射面を有するミラーと、駆動信号が供給されると前記ミラーを前記光反射面の中心を通る所定の回転軸回りに揺動させる駆動源と、前記ミラーの前記所定の回転軸方向への回転角度に応じたセンサ信号を出力する圧電センサと、を含む光走査部と、
前記センサ信号が入力されるインピーダンス変換回路と、前記センサ信号を前記インピーダンス変換回路に入力させるセンサ信号配線と、が形成されたセンサ信号配線基板と、
前記駆動源へ前記駆動信号を供給するための駆動信号配線が形成された駆動信号配線基板と、
前記インピーダンス変換回路によってインピーダンス変換された前記センサ信号を出力するための出力用端子と、前記駆動信号が入力される駆動用端子と、を含むコネクタを有し、前記センサ信号配線基
板及び前記駆動信号配線基板
と接続する接続基板と、
前記接続基板と、前記センサ信号配線基板とを接続し、前記センサ信号を前記接続基板に出力する第一のケーブルと、
前記接続基板と、前記駆動信号配線基板とを接続し、前記駆動信号を前記接続基板に出力する、前記第一のケーブルとは異なる第二のケーブルと、を有する、光走査装置。
【請求項2】
前記圧電センサは、
前記光反射面の中心を通る垂直回転軸方向の回転角度に応じた第一のセンサ信号を出力する第一の圧電センサと、
前記光反射面の中心を通る水平回転軸方向の回転角度に応じた第二のセンサ信号を出力する第二の圧電センサと、を含み、
前記インピーダンス変換回路に入力される前記センサ信号は、前記第一のセンサ信号である、請求項1記載の光走査装置。
【請求項3】
前記圧電センサは、
前記光反射面の中心を通る垂直回転軸方向の回転角度に応じた第一のセンサ信号を出力する第一の圧電センサと、
前記光反射面の中心を通る水平回転軸方向の回転角度に応じた第二のセンサ信号を出力する第二の圧電センサと、を含み、
前記第一のセンサ信号及び前記第二のセンサ信号が前記インピーダンス変換回路に入力される、請求項1記載の光走査装置。
【請求項4】
前記インピーダンス変換回路は、前記光走査部の近傍に配置される、請求項1乃至3の何れか一項に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記光走査部と、前記インピーダンス変換回路とを、一体化させて封止した請求項1乃至3の何れか一項に記載の光走査装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載された光走査装置を有するヘッドアップディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光走査装置及びヘッドアップディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ミラーを回転軸回りに回転させて光を走査する光走査装置が知られている。このような光走査装置では、圧電アクチュエータに対して駆動信号が供給されて、ミラーが回転軸の回りを回転する。また、この光走査装置では、ミラーの回転角度に応じた振幅の電圧をセンサ信号として出力するセンサが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した光走査装置において、周波数が低いセンサ信号は、微弱な信号となる傾向がある。センサ信号が微弱な信号である場合、光走査装置の後段に設けられる回路の負荷や配線間の電磁誘導による外乱等の影響を受けるため、後段の回路の動作に影響を及ぼす。
【0005】
開示の技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、センサ信号に対する影響を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術は、光反射面を有するミラー(112)と、駆動信号が供給されると前記ミラー(112)を前記光反射面の中心を通る所定の回転軸回りに揺動させる駆動源(150、170)と、前記ミラー(112)の前記所定の回転軸方向への回転角度に応じたセンサ信号を出力する圧電センサ(111)と、を含む光走査部(110)と、
前記センサ信号が入力されるインピーダンス変換回路(120)と、前記センサ信号を前記インピーダンス変換回路に入力させるセンサ信号配線と、が形成されたセンサ信号配線基板と、
前記駆動源へ前記駆動信号を供給するための駆動信号配線が形成された駆動信号配線基板と、
前記インピーダンス変換回路によってインピーダンス変換された前記センサ信号を出力するための出力用端子と、前記駆動信号が入力される駆動用端子と、を含むコネクタを有し、前記センサ信号配線基板及び前記駆動信号配線基板と接続する接続基板と、
前記接続基板と、前記センサ信号配線基板とを接続し、前記センサ信号を前記接続基板に出力する第一のケーブルと、
前記接続基板と、前記駆動信号配線基板とを接続し、前記駆動信号を前記接続基板に出力する、前記第一のケーブルとは異なる第二のケーブルと、を有する、光走査装置である。
【0007】
尚、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0008】
センサ信号に対する影響を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一の実施形態の光走査装置を説明する図である。
【
図2】第一の実施形態の光走査装置の分解斜視図である。
【
図3】光走査部に対するトップハウジングの取り付けを説明する図である。
【
図4】トップハウジングが光走査部に取り付けられた状態を示す図である。
【
図5】インピーダンス変換回路基板と接続基板との接続を説明する図である。
【
図6】ボトムハウジングへの接続基板の取り付けを説明する図である。
【
図7】トップハウジングに固定された光走査部を示す図である。
【
図8】光走査部とインピーダンス変換回路基板、コネクタ用基板との接続を示す図である。
【
図9】光走査部にインピーダンス変換回路基板とコネクタ用基板とが接続された状態を示す図である。
【
図11】トップハウジングとボトムハウジングとの重ね合わせを説明する図である。
【
図13】組み立てが完成した光走査装置を示す第一の図である。
【
図14】組み立てが完成した光走査装置を示す第二の図である。
【
図15】第一の実施形態の光走査部の一例を示す上面側の斜視図である。
【
図16】第一の実施形態の光走査部の折り返し部の高さについて説明する図である。
【
図17】第一の実施形態の光走査装置が搭載されたヘッドアップディスプレイの一例を示す図である。
【
図18】第二の実施形態の光走査装置を説明する図である。
【
図19】第二の実施形態の光走査装置の外観を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下に、図面を参照して実施形態について説明する。
図1は、第一の実施形態の光走査装置を説明する図である。
【0011】
本実施形態の光走査装置100は、光走査部(MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス)110と、インピーダンス変換回路120と、を有する。
【0012】
光走査部110は、圧電センサ111と、アクチュエータ150、170と、を含む。光走査部110において、アクチュエータ150、170は、外部から供給される駆動信号に応じて駆動し、後述するミラーを水平方向と垂直方向に揺動させる。また、圧電センサ111は、ミラーの垂直方向の回転角度に応じたセンサ信号(電圧)を後段のインピーダンス変換回路120に出力する。尚、光走査部110の詳細は後述する。
【0013】
インピーダンス変換回路120は、FETで構成されており、圧電センサ111から出力される信号が入力される。また、インピーダンス変換回路120の出力は、光走査装置100の後段の回路に供給される。
【0014】
このように、本実施形態では、光走査装置100を、光走査部110と、光走査部110の後段にインピーダンス変換回路120とを有するモジュールとし、インピーダンス変換回路120によってインピーダンス変換されたセンサ信号を後段の回路に供給する。
【0015】
本実施形態では、この構成により、センサ信号に対する光走査装置100の後段の回路の負荷による影響を抑制できる。後段の回路とは、例えば、センサ信号を用いた処理を行う回路等である。
【0016】
また、本実施形態の光走査装置100では、インピーダンス変換回路120から出力されるセンサ信号と、光走査部110に供給される駆動信号とを分離するような基板の構成とした。このため、本実施形態によれば、センサ信号に対する、配線間の電磁誘導により生じる駆動信号からの外乱による影響を抑制できる。
【0017】
以下に、本実施形態の光走査装置100の基板の構成について説明する。
図2は、第一の実施形態の光走査装置の分解斜視図である。
【0018】
本実施形態の光走査装置100は、光走査部110、トップハウジング201、インピーダンス変換回路基板202、コネクタ用基板203、接続基板204、ボトムハウジング205、外装板206、ネジ207を含む。
【0019】
インピーダンス変換回路基板202は、高耐湿な材料を用いた基板であり、インピーダンス変換回路120が実装されている。高耐湿基板は、例えばエポキシ系の材料を使用した基板などが挙げられる。また、インピーダンス変換回路基板202は、コネクタ211とケーブル212(第一のケーブル)とを有する。
【0020】
コネクタ211は、光走査部110の圧電センサ111と、インピーダンス変換回路120とを接続するためのコネクタである。言い換えれば、コネクタ211は、圧電センサ111から出力されたセンサ信号を、インピーダンス変換回路120へ入力するためのコネクタである。
【0021】
ケーブル212は、インピーダンス変換回路基板202を接続基板204と接続するためのケーブルである。言い換えれば、ケーブル212は、インピーダンス変換回路120から出力されるインピーダンス変換後のセンサ信号を、接続基板204に出力させるためのケーブルである。
【0022】
つまり、インピーダンス変換回路基板202は、コネクタ211とケーブル212との間に、インピーダンス変換回路120とコネクタ211とを接続させるセンサ信号配線と、コネクタ211と圧電センサ111とを接続させるセンサ信号配線とが形成されたセンサ信号配線基板である。
【0023】
コネクタ用基板203は、コネクタ213が実装されている。コネクタ213は、光走査部110のアクチュエータ150、170と接続され、アクチュエータ150、170に駆動信号を供給するためのコネクタである。
【0024】
また、コネクタ用基板203は、ケーブル215(第二のケーブル)により、接続基板204と接続されている。つまり、コネクタ用基板203は、コネクタ213をケーブル215と接続させる駆動信号配線が形成された駆動信号配線基板である。
【0025】
このように、本実施形態では、接続基板204にインピーダンス変換回路基板202とコネクタ用基板203を接続することで、センサ信号が伝送される配線と、駆動信号が伝送される配線とを分岐させ、センサ信号と駆動信号とを分離させている。
【0026】
以下に、
図3乃至
図14を参照して、本実施形態の光走査装置100の組み立てについて説明する。
【0027】
図3は、光走査部に対するトップハウジングの取り付けを説明する図であり、
図4は、トップハウジングが光走査部に取り付けられた状態を示す図である。
図3及び
図4では、図中Z軸正方向が、光走査装置100の上面側となる。
【0028】
本実施形態では、トップハウジング201内に、光走査部110が嵌め込まれて固定される。本実施形態の光走査部110は、例えば、ミラーや圧電センサ111、アクチュエータ150、170等が、封止されたパッケージとして提供される。
【0029】
図5は、インピーダンス変換回路基板と接続基板との接続を説明する図である。
図5(A)は、接続前の状態を示し、
図5(B)は、接続後の状態を示す。
【0030】
インピーダンス変換回路基板202は、コネクタ211が実装された面の裏側の面に、コネクタ216が実装されている。コネクタ216は、インピーダンス変換回路基板202に実装されたインピーダンス変換回路120の出力と、ケーブル212とを接続するためのコネクタである。
【0031】
インピーダンス変換回路基板202は、ケーブル212をコネクタ216と接続させることで、接続基板204と接続される。言い換えれば、インピーダンス変換回路120は、ケーブル212をコネクタ216と接続させることで、インピーダンス変換後のセンサ信号を接続基板204へ出力する。
【0032】
本実施形態では、このように、センサ信号は、インピーダンス変換回路基板202からケーブル212を介して接続基板204へ伝送される。また、接続基板204には、ケーブル215を介してコネクタ用基板203が接続される。したがって、本実施形態では、駆動信号は、接続基板204からケーブル215を介してコネクタ用基板203へ伝送される。
【0033】
本実施形態では、このように、接続基板204から2本のケーブルを用いて、それぞれにインピーダンス変換回路基板202とコネクタ用基板203とを接続することで、センサ信号配線が形成される基板と、駆動信号配線が形成される基板とを分離する。
【0034】
尚、光走査部110には、圧電センサ111(第一の圧電センサ)の他に、ミラーの水平方向(図中X軸方向)の回転角度を検出するための圧電センサ(第二の圧電センサ)を有している。
【0035】
本実施形態のインピーダンス変換回路基板202では、ミラーの水平方向の回転角度を検出するための圧電センサから出力されるセンサ信号は、インピーダンス変換回路120に入力されず、ケーブル212を介して接続基板204に出力されても良い。水平方向の回転角度を検出するための圧電センサの詳細は後述する。
【0036】
図6は、ボトムハウジングへの接続基板の取り付けを説明する図である。
図6(A)は、接続基板の取り付け前の状態を示しており、
図6(B)は、接続基板の取り付け後の状態を示している。
【0037】
本実施形態では、接続基板204にインピーダンス変換回路基板202が接続されると、接続基板204がボトムハウジング205に嵌め込まれ、ボトムハウジング205に固定される。
【0038】
次に、
図7乃至
図9を参照して、光走査部110と、インピーダンス変換回路基板202及びコネクタ用基板203との接続について説明する。
【0039】
図7は、トップハウジングに固定された光走査部を示す図である。
図8は、光走査部とインピーダンス変換回路基板、コネクタ用基板との接続を示す図である。
図9は、光走査部にインピーダンス変換回路基板とコネクタ用基板とが接続された状態を示す図である。
【0040】
図7は、
図4に示すようにトップハウジング201に固定された光走査部110を、裏返した状態を示している。したがって、
図7では、図中Z軸負方向が光走査装置100の上面側となり、図中Z軸正方向が光走査装置100の底面側となる。また、以下の
図8乃至
図14でも、
図7と同様に、図中Z軸負方向が光走査装置100の上面側となり、図中Z軸正方向が光走査装置100の底面側となる。
【0041】
本実施形態の光走査部110は、底面に実装されたコネクタ220、221を有する。コネクタ220は、コネクタ211と接続されるものであり、コネクタ221は、コネクタ213と接続されるものである。
【0042】
本実施形態では、
図8に示すように、コネクタ211がコネクタ220と接続され、コネクタ213がコネクタ221と接続されるように、インピーダンス変換回路基板202、コネクタ用基板203、接続基板204が配置される。そして、コネクタ211とコネクタ220、コネクタ213とコネクタ221のそれぞれが接続されると、
図9に示す状態となる。
【0043】
本実施形態では、コネクタ211とコネクタ220とが接続されることで、光走査部110の圧電センサ111の出力が、インピーダンス変換回路120の入力と接続される。言い換えれば、コネクタ211とコネクタ220とが接続されることで、圧電センサ111から出力されるセンサ信号が、インピーダンス変換回路120に入力される。
【0044】
インピーダンス変換回路120によってインピーダンス変換されたセンサ信号は、コネクタ216、ケーブル212を介して接続基板204へ伝送される。接続基板204は、後述するコネクタ217を有しており、接続基板204へ伝送されたインピーダンス変換後のセンサ信号は、コネクタ217を介して光走査装置100の外部へ出力されることになる。
【0045】
また、本実施形態では、コネクタ213とコネクタ221とが接続されることで、外部から供給される駆動信号が、光走査部110のアクチュエータ150、170に供給される。
【0046】
図10は、スペーサの取り付けを説明する図である。
図10(A)は、スペーサの取り付け前の状態を示す図であり、
図10(B)は、スペーサの取り付け後の状態を示す図である。
【0047】
本実施形態では、トップハウジング201とボトムハウジング205とを重ねた状態において、インピーダンス変換回路基板202と接続基板204との間に空間が生じる場合に、その空間を埋めるためのスペーサ230を該当箇所に挿入しても良い。
【0048】
スペーサ230は、
図10(B)に示すように、接続基板204上に配置され、ボトムハウジング205に固定されても良い。尚、本実施形態では、スペーサ230が挿入されるものとしたが、これに限定されず、スペーサ230は挿入されなくても良い。
【0049】
図11は、トップハウジングとボトムハウジングとの重ね合わせを説明する図である。
図11(A)は、トップハウジング201とボトムハウジング205とが重なる前の状態を示す図であり、
図11(B)は、トップハウジング201とボトムハウジング205とが重なった状態を示す図である。
【0050】
本実施形態では、ケーブル212、215を折り曲げて、ボトムハウジング205の上面(図中Z軸正方向)が、トップハウジング201の裏面(図中Z軸正方向)に接触するようにして、トップハウジング201とボトムハウジング205とを重ねる。
【0051】
ここで、接続基板204は、スペーサ230が配置された面の裏面に、コネクタ217が実装されている。コネクタ217は、センサ信号配線と、駆動信号配線とが接続されるものである。
【0052】
本実施形態では、ケーブル212とコネクタ217を介して、インピーダンス変換後のセンサ信号が、光走査装置100の後段の回路へ出力される。また、本実施形態では、ケーブル215とコネクタ217を介して、外部から供給される駆動信号が、光走査部110に供給される。
【0053】
つまり、コネクタ217は、駆動信号の供給を受けるための駆動用端子と、インピーダンス変換回路120から出力された信号を光走査装置100の後段の回路に出力するための出力用端子とを含むコネクタである。
【0054】
本実施形態では、このようなコネクタ217を設けることで、例えば、インピーダンス変換回路120が設けられていない既存の光走査装置と同様の実装で光走査装置100が使用できるようになる。
【0055】
図12は、外装板の取り付けを説明する図である。
図12(A)は、外装板206の取り付け前の状態を示す図であり、
図12(B)は、外装板206の取り付け後の状態を示す図である。
【0056】
本実施形態では、トップハウジング201とボトムハウジング205とを重ね合わせると、トップハウジング201とボトムハウジング205の外周に沿うように、外装板206を取り付ける。尚、本実施形態の外装板206は、電磁干渉を抑制することができる金属であれば良い。
【0057】
外装板206は、略L字形の形状であり、トップハウジング201とボトムハウジング205を囲うように取り付けられる。そして、トップハウジング201、ボトムハウジング205、外装板206に形成されたネジ孔218とネジ207によって、トップハウジング201とボトムハウジング205を外装板206にネジ止めする。
【0058】
図13は、組み立てが完成した光走査装置を示す第一の図である。
図13に示す光走査装置100では、コネクタ217に後段の回路と駆動回路とを接続することで、光走査部110の圧電センサ111から出力されるセンサ信号が後段の回路に出力され、光走査部110に駆動信号が供給される。
【0059】
このように、本実施形態の光走査装置100では、光走査部110から出力されるセンサ信号が入力されるインピーダンス変換回路基板202と、駆動信号が入力されるコネクタ用基板203とを設けることで、センサ信号が駆動信号と同一基板上で伝送されることを防止している。
【0060】
したがって、本実施形態では、光走査部110から出力されるセンサ信号と、光走査部110へ供給される駆動信号とを分離することができ、センサ信号に対する、同一基板上における配線間の電磁誘導による影響を抑制できる。
【0061】
また、本実施形態では、インピーダンス変換回路基板202を、高耐湿の材料を用いた基板としている。したがって、本実施形態によれば、高湿度な環境における絶縁抵抗の低下を抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、外装板206を設けることで、他の回路からの電磁干渉の発生を抑制することができる。
【0063】
さらに、本実施形態によれば、光走査装置100の内部にインピーダンス変換回路120を含んでいるため、後段の回路において、センサ信号に対する負荷や電磁干渉の影響等を考慮する必要がなく、後段の回路の設計の自由度を向上させることができる。具体的には、例えば、本実施形態によれば、センサ信号が微弱な信号となる傾向にある場合でも、後段の回路に汎用部品を用いたりすることができる。
【0064】
さらに、本実施形態では、光走査部110の近傍にインピーダンス変換回路基板202を配置しているため、圧電センサ111からインピーダンス変換回路120までの間におけるセンサ信号に対する外乱等の影響を抑制することができる。
【0065】
尚、本実施形態の光走査装置100は、コネクタ217に対してケーブルを取り付けた状態を完成した状態としても良い。
【0066】
図14は、組み立てが完成した光走査装置を示す第二の図である。
図14に示す例では、コネクタ217に、ケーブル240が接続されている。
【0067】
本実施形態では、このようにケーブル240を接続した状態を、光走査装置100とすることで、後段の回路や駆動回路において、コネクタ217と接続させるための部品を設ける必要がなくなり、汎用性を高めることができる。
【0068】
次に、
図15及び
図16を参照して、本実施形態の光走査部110について説明する。
図15は、第一の実施形態の光走査部の一例を示す上面側の斜視図である。
図16は、第一の実施形態の光走査部の折り返し部の高さについて説明する図である。
【0069】
図15に示すように、光走査部110は、ミラー112を揺動させて光源から照射されるレーザ入射光を走査する部分である。光走査部110は、例えば圧電素子によりミラー112を駆動させるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー等である。
【0070】
光走査部110は、ミラー112と、ミラー支持部114と、捻れ梁130A、130Bと、連結梁140A、140Bと、第一の駆動梁150A、150Bと、可動枠160と、第二の駆動梁170A、170Bと、固定枠180とを有する。
【0071】
第一の駆動梁150A、150Bは、それぞれ駆動源151A、151Bを有する。第二の駆動梁170A、170Bは、それぞれ駆動源171A、171Bを有する。第一の駆動梁150A、150B、第二の駆動梁170A、170Bは、ミラー112を上下または左右に揺動してレーザ光を走査するアクチュエータであり、
図1に示したアクチュエータ150、170に想到する。言い換えれば、アクチュエータ150、170は、ミラー112を所定の軸回りに揺動させる駆動源である。
【0072】
光走査部110において、可動枠接続部A11は、可動枠160と第二の駆動梁170Aとが接続される部分である。また、固定枠接続部A12は、固定枠180と第二の駆動梁170Aとが接続される部分である。可動枠接続部A11は、ミラー112の光反射面の中心Cを通る軸(以下「垂直回転軸V」ともいう。)に対して、固定枠接続部A12が配置させる側とは、略反対側に配置されている。
【0073】
可動枠接続部A13は、可動枠160と第二の駆動梁170Bとが接続される部分である。固定枠接続部A14は、固定枠180と第二の駆動梁170Bとが接続される部分である。可動枠接続部A13は、垂直回転軸Vに対して、固定枠接続部A14が配置される側とは、略反対側に配置されている。
【0074】
尚、可動枠接続部A11、A13は、その端部が垂直回転軸Vを含むようにして、垂直回転軸Vに対して固定枠接続部A12、A14が配置される側とは反対側に配置されていてもよい。
【0075】
第二の駆動梁170Aと第二の駆動梁170Bとは、ミラー112の光反射面の中心Cを通り垂直回転軸Vに垂直な直線(以下「水平回転軸H」という。)を対称軸とする線対称の配置関係になっている。
【0076】
ミラー支持部114には、ミラー112の円周に沿うようにスリット122が形成されている。スリット122により、ミラー支持部114を軽量化しつつ捻れ梁130A、130Bによる捻れをミラー112へ伝達することができる。
【0077】
光走査部110において、ミラー支持部114の上面にミラー112が支持され、ミラー支持部114は、両側にある捻れ梁130A、130Bの端部に連結されている。捻れ梁130A、130Bは、揺動軸を構成し、軸方向に延在してミラー支持部114を軸方向両側から支持している。捻れ梁130A、130Bが捻れることにより、ミラー支持部114に支持されたミラー112が揺動し、ミラー112に照射された光の反射光を走査させる動作を行う。捻れ梁130A、130Bは、それぞれが連結梁140A、140Bに連結支持され、第一の駆動梁150A、150Bに連結されている。
【0078】
第一の駆動梁150A、150B、連結梁140A、140B、捻れ梁130A、130B、ミラー支持部114及びミラー112は、可動枠160によって外側から支持されている。第一の駆動梁150A、150Bは、可動枠160にそれぞれの一方の側が支持されている。第一の駆動梁150Aの他方の側は内周側に延びて連結梁140A、140Bと連結している。第一の駆動梁150Bの他方の側も同様に、内周側に延びて連結梁140A、140Bと連結している。
【0079】
第一の駆動梁150A、150Bは、捻れ梁130A、130Bと直交する方向に、ミラー112及びミラー支持部114を挟むように、対をなして設けられている。第一の駆動梁150A、150Bの上面には、駆動源151A、151Bがそれぞれ形成されている。駆動源151A、151Bは、第一の駆動梁150A、150Bの上面の圧電素子の薄膜(以下「圧電薄膜」ともいう。)の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。駆動源151A、151Bは、上部電極と下部電極に印加する駆動電圧の極性に応じて伸長したり縮小したりする。
【0080】
このため、第一の駆動梁150Aと第一の駆動梁150Bとで異なる位相の駆動電圧を交互に印加すれば、ミラー112の左側と右側で第一の駆動梁150Aと第一の駆動梁150Bとが上下反対側に交互に振動する。これにより、捻れ梁130A、130Bを揺動軸または回転軸として、ミラー112を軸周りに揺動させることができる。ミラー112が捻れ梁130A、130Bの軸周りに揺動する方向を、以後、水平方向と呼ぶ。例えば第一の駆動梁150A、150Bによる水平駆動には、共振振動が用いられ、高速にミラー112を揺動駆動することができる。
【0081】
また、可動枠160の外部には、第二の駆動梁170A、170Bの一端が、それぞれ連結梁172A、172Bを介して可動枠接続部A11、A13において連結されている。第二の駆動梁170A、170Bは、可動枠160を左右両側から挟むように、対をなして設けられている。そして、第二の駆動梁170A、170Bは、可動枠160を両側から支持すると共に、垂直回転軸V周りに揺動させる。そして、第二の駆動梁170Aの他端は、固定枠接続部A12において固定枠180の内側に連結されている。また、第二の駆動梁170Bの他端は、固定枠接続部A14において固定枠180の内側に連結されている。
【0082】
このように、光走査部110では、可動枠160と第二の駆動梁170Aとが接続される可動枠接続部A11は、垂直回転軸Vに対して、固定枠180と第二の駆動梁170Aとが接続される固定枠接続部A12が配置される側とは、略反対側に配置されている。
【0083】
また、光走査部110では、可動枠160と第二の駆動梁170Bとが接続される可動枠接続部A13は、垂直回転軸Vに対して、固定枠180と第二の駆動梁170Bとが接続される固定枠接続部A14が配置される側とは、略反対側に配置されている。
【0084】
また、可動枠接続部A11、A13は、その端部が垂直回転軸Vを含むようにして、垂直回転軸Vに対して固定枠接続部A12、A14が配置される側とは反対側に配置されていてもよい。さらに、第二の駆動梁170Aと第二の駆動梁170Bとは、水平回転軸Hを対称軸とする線対称の配置関係になっている。
【0085】
本実施形態の光走査部110は、
図15及び
図16に示すように、第二の駆動梁170Aは、水平回転軸Hに垂直な方向(第一の駆動梁150Aと平行な方向)に延在する複数の矩形状の垂直梁、及び隣接する垂直梁の端部同士を連結する折り返し部を備え、全体としてジグザグ状の形状である。
【0086】
例えば、第一の駆動梁150A側から数えて1番目の垂直梁の端部と2番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X1により連結されている。また、2番目の垂直梁の端部と3番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X2により連結されている。また、3番目の垂直梁の端部と4番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X3により連結されている。また、4番目の垂直梁の端部と5番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X4により連結されている。また、5番目の垂直梁の端部と6番目の垂直梁の端部とが折り返し部171X5により連結されている。尚、
図16では、各折り返し部を、便宜上、梨地模様で示している。
【0087】
第二の駆動梁170Bも同様に、水平回転軸Hに垂直な方向(第一の駆動梁150Bと平行な方向)に延在する複数の矩形状の垂直梁、及び隣接する垂直梁の端部同士を連結する折り返し部を備え、全体としてジグザグ状の形状である。
【0088】
例えば、第一の駆動梁150B側から数えて1番目の垂直梁の端部と2番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y1により連結されている。また、2番目の垂直梁の端部と3番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y2により連結されている。また、3番目の垂直梁の端部と4番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y3により連結されている。また、4番目の垂直梁の端部と5番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y4により連結されている。また、5番目の垂直梁の端部と6番目の垂直梁の端部とが折り返し部171Y5により連結されている。
【0089】
折り返し部171X1、171X2、171X3、171X4、及び171X5の高さは、各々H11、H12、H13、H14、及びH15とされている。又、折り返し部171Y1、171Y2、171Y3、171Y4、及び171Y5の高さは、各々H21、H22、H23、H24、及びH25とされている。なお、折り返し部の高さとは、水平回転軸Hに平行な方向(垂直回転軸Vに垂直な方向)の最大長さである。
【0090】
また、第二の駆動梁170A、170Bの上面には、それぞれ曲線部を含まない矩形単位である垂直梁ごとに駆動源171A、171Bが形成されている。駆動源171Aは、第二の駆動梁170Aの上面の圧電薄膜の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。駆動源171Bは、第二の駆動梁170Bの上面の圧電薄膜の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。
【0091】
第二の駆動梁170A、170Bは、垂直梁ごとに隣接している駆動源171A、171B同士で、異なる極性の駆動電圧を印加することにより、隣接する垂直梁を上下反対方向に反らせ、各垂直梁の上下動の蓄積を可動枠160に伝達する。第二の駆動梁170A、170Bは、この動作により、平行方向と直交する方向である垂直方向にミラー112を揺動させる。例えば第二の駆動梁170A、170Bによる垂直駆動には、非共振振動を用いることができる。
【0092】
例えば、駆動源171Aは、可動枠160側から右側に向かって並ぶ駆動源171A1、171A2、171A3、171A4、171A5及び171A6を含むものとする。また、駆動源171Bは、可動枠160側から左側に向かって並ぶ駆動源171B1、171B2、171B3、171B4、171B5及び171B6を含むものとする。この場合、駆動源171A1、171B1、171A3、171B3、171A5、171B5を同波形、駆動源171A2、171B2、171A4、171B4、171A6及び171B6を前者と位相の異なる同波形で駆動することで、ミラー112を垂直方向へ遥動できる。
【0093】
駆動源151Aの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Aに含まれる所定の端子と接続されている。また、駆動源151Bの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。また、駆動源171Aの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Aに含まれる所定の端子と接続されている。また、駆動源171Bの上部電極及び下部電極に駆動電圧を印加する駆動配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。
【0094】
また、光走査部110は、駆動源151A、151Bに駆動電圧が印加されてミラー112が水平方向に遥動している状態におけるミラー112の水平方向の傾き具合(水平方向の振角)を検出する水平振角センサとして圧電センサ113A、113Bを有する。圧電センサ113Aは連結梁140Aに設けられ、圧電センサ113Bは連結梁140Bに設けられている。
【0095】
また、光走査部110は、駆動源171A、171Bに駆動電圧が印加されてミラー112が垂直方向に遥動している状態におけるミラー112の垂直方向の傾き具合(垂直方向の振角)を検出する垂直振角センサとして圧電センサ111A、111Bを有する。圧電センサ111A、111Bは、
図1に示す圧電センサ111である。したがって、本実施形態では、圧電センサ111A、111B(第一の圧電センサ)から出力されるセンサ信号(第一のセンサ信号)がインピーダンス変換回路120に入力され、圧電センサ113A、113B(第二の圧電センサ)から出力されるセンサ信号(第二のセンサ信号)は、インピーダンス変換回路120を介さずにコネクタ217から出力される。
【0096】
圧電センサ111Aは第二の駆動梁170Aの有する垂直梁の一つに設けられており、圧電センサ111Bは第二の駆動梁170Bの有する垂直梁の一つに設けられている。
【0097】
圧電センサ113Aは、ミラー112の水平方向の傾き具合に伴い、捻れ梁130Aから伝達される連結梁140Aの変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ113Bは、ミラー112の水平方向の傾き具合に伴い、捻れ梁130Bから伝達される連結梁140Bの変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ111Aは、ミラー112の垂直方向の傾き具合に伴い、第二の駆動梁170Aのうち圧電センサ111Aが設けられた垂直梁の変位に対応する電流値を出力する。圧電センサ111Bは、ミラー112の垂直方向の傾き具合に伴い、第二の駆動梁170Bのうち圧電センサ111Bが設けられた垂直梁の変位に対応する電流値を出力する。
【0098】
圧電センサ113A、113B、111A、111Bは、圧電薄膜の上面に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。したがって、各圧電センサの出力は、上部電極と下部電極とに接続されたセンサ配線の電流値となる。
【0099】
圧電センサ113Aの上部電極及び下部電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。また、圧電センサ111Aの上部電極及び下部電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Aに含まれる所定の端子と接続されている。また、圧電センサ113Bの上部電極及び下部電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。また、圧電センサ111Bの上部電極及び下部電極から引き出されたセンサ配線は、固定枠180に設けられた端子群190Bに含まれる所定の端子と接続されている。
【0100】
したがって、本実施形態では、端子群190A、190Bのうち、圧電センサ111A、111Bから引き出されたセンサ信号配線と接続された端子をインピーダンス変換回路120の入力と接続すれば良い。また、本実施形態では、端子群190A、190Bのうち、圧電センサ113A、113Bから引き出されたセンサ配線と接続された端子をケーブル212と接続すれば良い。
【0101】
次に、
図17を参照して、本実施形態の光走査装置100が搭載されたヘッドアップディスプレイについて説明する。
【0102】
図17は、第一の実施形態の光走査装置が搭載されたヘッドアップディスプレイの一例を示す図である。
【0103】
本実施形態のヘッドアップディスプレイ1は、例えば、車両の運転席前方のダッシュボード内に埋設される。そして、ヘッドアップディスプレイ1は、スクリーン20に投影された各種情報(例えば、速度計、経路案内等)の表示画像を、車両のフロントウインドウに表示させることにより、この表示画像をドライバに視認させることが可能である。
【0104】
本実施形態のヘッドアップディスプレイ1は、光走査装置100に加え、システムコントローラ11、レーザ駆動回路12、光源部13、減光フィルタ14、光学系15、光センサ16、駆動回路17、バッファ18を有する。
【0105】
システムコントローラ11は、駆動回路17に角度制御信号を供給する。駆動回路17は、システムコントローラ11からの角度制御信号に基づいて、アクチュエータ150、170に駆動信号を供給し、ミラー112を水平及び垂直駆動させる。
【0106】
尚、駆動回路17と、アクチュエータ150、170とは、コネクタ217と、ケーブル215と、コネクタ213とを介して接続される。つまり、アクチュエータ150、170に供給される駆動信号は、ケーブル215に形成された駆動配線信号線S1を介して光走査部110に供給される。
【0107】
また、システムコントローラ11は、光走査装置100から出力されるセンサ信号に基づき、ミラー112の駆動を制御する。
【0108】
光走査装置100から出力されるセンサ信号は、バッファ18に対して出力され、バッファ18によって増幅されて、システムコントローラ11に供給される。
【0109】
より具体的には、光走査装置100のインピーダンス変換回路120から出力されるセンサ信号は、バッファ18の有するアンプ18Aに供給されて増幅された後に、システムコントローラ11に供給される。また、光走査装置100の圧電センサ113から出力されるセンサ信号は、バッファ18の有するチャージアンプ18Bに供給されて増幅された後に、システムコントローラ11に供給される。
【0110】
このとき、インピーダンス変換回路120及び圧電センサ113と、バッファ18とは、コネクタ217と、ケーブル212と、コネクタ211とを介して接続される。つまり、インピーダンス変換回路120からバッファ18に出力されるセンサ信号は、ケーブル212に形成されたセンサ信号配線S2を介して出力される。また。圧電センサ113からバッファ18に出力されるセンサ信号は、ケーブル212に形成されたセンサ信号配線S3を介して出力される。
【0111】
光走査装置100において、インピーダンス変換回路120からバッファ18に出力されるセンサ信号は、圧電センサ111(第一の圧電センサ)から出力される垂直方向の回転角度に応じたセンサ信号(第一のセンサ信号)である。また、光走査装置100において、インピーダンス変換回路120を介さずにバッファ18に出力されるセンサ信号は、圧電センサ113から出力される水平方向の回転角度に応じたセンサ信号である。
【0112】
このように、本実施形態の光走査装置100では、インピーダンス変換回路120によってインピーダンス変換された後のセンサ信号を、垂直方向の回転角度に応じたセンサ信号としてバッファ18に出力する。
【0113】
また、本実施形態では、駆動信号を光走査装置100に供給する駆動信号配線S1と、光走査装置100からセンサ信号を出力するセンサ信号配線S2、S3と、を、異なるケーブル上に形成し、分離している。
【0114】
したがって、本実施形態では、圧電センサ111から出力されるセンサ信号が微弱な信号であっても、光走査装置100の後段に設けられる回路の負荷の影響、湿度等の環境条件による影響、配線間の電磁誘導による外乱の影響等を抑制できる。このため、本実施形態のヘッドアップディスプレイ1では、光走査装置100の後段のバッファ18のアンプ18A等に、汎用部品を用いることができる。
【0115】
また、システムコントローラ11は、ディジタルの映像信号をレーザ駆動回路12に供給する。レーザ駆動回路12は、システムコントローラ11からの映像信号に基づいて、光源部13のレーザ13R、13G、13Bに駆動電流を供給し、レーザ13R、13G、13Bからレーザ光を出射させる。
【0116】
レーザ13R、13G、13Bは、システムコントローラ11から供給された駆動電流に基づいて、レーザ光を出射する。レーザ13Rは、例えば、赤色半導体レーザであり、波長λR(例えば、640nm)の光を出射する。レーザ13Gは、例えば、緑色半導体レーザであり、波長λG(例えば、530nm)の光を出射する。レーザ13Bは、例えば、青色半導体レーザであり、波長λB(例えば、445nm)の光を出射する。レーザ13R、13G、13Bから出射された各波長の光は、ダイクロイックミラー等により合成され、減光フィルタ14により所定の光量に減光されて、光走査部110のミラー112に入射される。
【0117】
ミラー112に入射されたレーザ光は、ミラー112の水平及び垂直駆動によって、その反射方向が変更され、さらに光学系15よって繰り返し反射された後、スクリーン20に照射される。
【0118】
光センサ16は、スクリーン20上に設けられており、レーザ光の水平走査の往路および復路のそれぞれにおいて、光センサ16に照射されたレーザ光を検出し、レーザ光の検出をシステムコントローラ11に通知する。システムコントローラ11は、光センサ16からの通知に応じて、水平走査方向の位相ずれや振れ角変動等を補償しても良い。
【0119】
尚、本実施形態では、インピーダンス変換回路120には、垂直方向の回転角度に応じたセンサ信号が入力されるものとしたが、これに限定されない。
【0120】
本実施形態の光走査装置100では、光走査部110において、第一の駆動梁150A、150B(水平アクチュエータ)を、第二の駆動梁170A、170Bの構造(垂直アクチュエータ)に置き換え、第一の駆動梁150A、150B、第二の駆動梁170A、170Bともに、折り返し構造を採用して非共振駆動としても良い。
【0121】
この場合、圧電センサ111(垂直センサ)から出力されるセンサ信号と、圧電センサ113(水平センサ)から出力されるセンサ信号の両方を、インピーダンス変換回路120に出力してインピーダンス変換し、その後にバッファ18に供給しても良い。
【0122】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態は、光走査部110と、インピーダンス変換回路120とが一体化されている点が、第一の実施形態と相違する。よって、以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0123】
図18は、第二の実施形態の光走査装置を説明する図である。本実施形態の光走査装置100Aは、圧電センサ111と、アクチュエータ150、170と、インピーダンス変換回路120とが一体化されている。より具体的には、本実施形態の光走査装置100Aは、第一の実施形態の光走査部110の内部に、インピーダンス変換回路120を設け、セラミックパッケージにより封止した構成である。
【0124】
図19は、第二の実施形態の光走査装置の外観を説明する図である。
図19(A)は、光走査装置100Aの上面図であり、
図19(B)は、光走査装置100Aの正面図であり、
図19(C)は、光走査装置100Aの底面図である。
【0125】
本実施形態の光走査装置100Aは、コネクタ217Aと、コネクタ219と、を有する。また、光走査装置100Aは、セラミックパッケージ内に、圧電センサ111から出力されるセンサ信号が入力されるインピーダンス変換回路120が設けられている。
【0126】
コネクタ217Aは、インピーダンス変換回路120によってインピーダンス変換された圧電センサ111のセンサ信号と、インピーダンス変換回路120を介さずに圧電センサ113から出力されるセンサ信号と、を後段の回路に出力するためのものである。
【0127】
コネクタ219は、光走査装置100Aの外部の駆動回路と接続され、アクチュエータ150、170に駆動信号を供給するためのものである。
【0128】
このように、本実施形態では、センサ信号が出力されるコネクタと、駆動信号が供給されるコネクタとを別に設け、センサ信号と駆動信号とを分離する構成とした。
【0129】
また、本実施形態の光走査装置100Aでは、インピーダンス変換回路120と光走査部110とを、セラミックパッケージで封止して一体化させたため、センサ信号に対する外部からの電磁干渉の影響を抑制できる。さらに、本実施形態によれば、絶縁抵抗の低下を防止できる。
【0130】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0131】
1 ヘッドアップディスプレイ
100、100A 光走査装置
110 光走査部
111 圧電センサ
120 インピーダンス変換回路
150、170 アクチュエータ
202 インピーダンス変換回路基板
203 コネクタ用基板
204 接続基板
212、215 ケーブル