(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
A47C 27/15 20060101AFI20220224BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20220224BHJP
B60N 2/56 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
A47C27/15 B
A47C7/74 C
B60N2/56
(21)【出願番号】P 2020076550
(22)【出願日】2020-04-23
(62)【分割の表示】P 2016193299の分割
【原出願日】2016-09-30
【審査請求日】2020-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】沖村 篤
(72)【発明者】
【氏名】今野 竜海
(72)【発明者】
【氏名】西井 渉
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕司
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 啓史
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博郁
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6700556(JP,B2)
【文献】特開2008-22982(JP,A)
【文献】国際公開第2015/030195(WO,A1)
【文献】特開2004-215810(JP,A)
【文献】特開2016-147608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/00-27/22
A47C 7/00- 7/74
B60N 2/00- 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気路を有するシートパッドと、前記通気路に接続された送風装置と、を備え、
前記シートパッドは、パッド本体と、前記パッド本体の着座者側の面に重ねて配置されて前記パッド本体との間に前記通気路を形成するカバー部材と、を備え、
前記カバー部材は、前記パッド本体の着座者側の面に重ねて配置された第1カバー部材と、前記第1カバー部材の着座者側の面に重ねて配置された第2カバー部材と、を備え、
前記パッド本体および前記第1カバー部材の一方には、着座者側から見て突出する形状の第1係合凸部が設けられており、
前記パッド本体および前記第1カバー部材の他方には、前記第1係合凸部が嵌る、着座者側から見て凹む形状の第1係合凹部が設けられており、
前記第1カバー部材は、前記パッド本体に固着されており、
前記第2カバー部材は、前記第1カバー部材と前記パッド本体の両方に固着されており、
前記第2カバー部材は、前記第1係合凸部と前記第1係合凹部との接続部分を覆うように配置され、前記接続部分を跨って前記第1カバー部材と前記パッド本体に固着され
ており、
前記第1カバー部材は、着座者側から着座者側とは反対側に向けて貫通した通気溝を有し、
前記通気溝は、着座者側から着座者側とは反対側に向かう方向および左右方向と直交する所定方向において、前記第1係合凸部と重なる位置に配置されていることを特徴とするシート。
【請求項2】
前記パッド本体は、着座者側から着座者側とは反対側に向けて貫通した第1通気孔を有し、
前記第1通気孔は、前記所定方向において、前記第1係合凸部と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記第1係合凸部は、前記所定方向に間隔をあけた状態で並んで設けられた第1凸部と第2凸部を含み、
前記第1係合凹部は、前記第1凸部が嵌る第1凹部と、前記第2凸部が嵌る第2凹部を含むことを特徴とする請求項2に記載のシート。
【請求項4】
前記第1通気孔は、前記所定方向において、前記第2凸部と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のシート。
【請求項5】
前記第2カバー部材は、着座者側から着座者側とは反対側に向けて貫通した複数の第2通気孔を有し、
前記第2通気孔は、前記所定方向において、前記第1凸部と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項3または請求項4記載のシート。
【請求項6】
前記通気溝は、着座者側から見て、前記第1通気孔と重なる部位と、前記第2通気孔と重なる部位とを含むことを特徴とする請求項5に記載のシート。
【請求項7】
前記第2通気孔と重なる部位は、着座者側から見て、左右に延びる第1部分と、前記第1部分の左右両端から前記第1部分が延びる方向とは異なる方向に延びる左右の第2部分とを有する略U字状に形成されており、
前記複数の第2通気孔は、着座者側から見て、
左の第2部分と重なる位置に配置され、左右に並ぶ複数の孔の群が、前記左の第2部分が延びる方向に並んで複数設けられている通気孔群と、
右の第2部分と重なる位置に配置され、左右に並ぶ複数の孔の群が、前記右の第2部分が延びる方向に並んで複数設けられている通気孔群と、
を有することを特徴とする請求項6に記載のシート。
【請求項8】
前記シートパッドは、表皮材を吊り込むための左右の吊り込み溝を有し、
前記第1係合凸部および前記第1係合凹部は、左右方向において前記吊り込み溝よりも内側に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のシート。
【請求項9】
ダクトをさらに備え、前記送風装置から送風された空気が、前記ダクトと前記通気路を通って、前記シートパッドの着座者側の面から着座者に向けて吹き出されるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のシート。
【請求項10】
前記シートパッドを覆う表皮材を備え、
前記表皮材は、通気性を有する素材から形成されている、または、前記シートパッドから吹き出された空気を通すための穴が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通気路を有するシートパッドと、通気路に接続された送風装置とを備えるシートに関する。
【背景技術】
【0002】
通気路を有するシートパッドとして、例えば、特許文献1には、クッションパッド本体と、クッションパッド本体のシート表面側に接着固定されたスラブとで構成されたクッションパッドが開示されている。この技術では、スラブが、板状の表側スラブ層と、板状の裏側スラブ層とからなる2層構造であり、通気路が、クッションパッド本体に設けられた空気導入孔と、裏側スラブ層に設けられた溝状の配風通路と、表側スラブ層に設けられた孔状の複数の送風路とから構成されている。クッションパッドは、裏側スラブ層と表側スラブ層とを接着して2層構造のスラブとし、このスラブをクッションパッド本体のシート表面側に接着一体化することで得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の部品からなるシートパッドでは、人が座ってスラブ層の中央部付近が凹むように変形すると、端部がクッションパッド本体から離れようとする。このとき、従来の構成では、スラブ層の端部がクッションパッド本体から剥がれてしまうおそれがあった。同様のことは、表側スラブ層と裏側スラブ層との間でも言うことができる。
【0005】
そこで、本発明は、複数の部品からなるシートパッドを強固に一体化することができるシートを提供することを目的とする。
また、本発明は、シートパッドを構成するパッド本体とカバー部材の位置を容易に決めることを目的とする。
また、本発明は、着座フィーリングを向上させることを目的とする。
また、本発明は、パッド本体とカバー部材の位置を精度良く決めることを目的とする。
また、本発明は、パッド本体とカバー部材の誤組を抑制することを目的とする。
また、本発明は、シートパッドを簡単な構成とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明のシートは、通気路を有するシートパッドと、前記通気路に接続された送風装置と、を備え、前記シートパッドは、パッド本体と、前記パッド本体の着座者側の面に重ねて配置されて前記パッド本体との間に前記通気路を形成するカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記パッド本体の着座者側の面に重ねて配置された第1カバー部材と、前記第1カバー部材の着座者側の面に重ねて配置された第2カバー部材と、を備え、前記第1カバー部材は、前記パッド本体に固着されており、前記第2カバー部材は、前記第1カバー部材と前記パッド本体の両方に固着されていることを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、パッド本体、第1カバー部材および第2カバー部材が互いに固着されているので、複数の部品からなるシートパッドを強固に一体化することができる。
【0008】
前記したシートにおいて、前記第1カバー部材は、着座者側とは反対側の面が、前記パッド本体の着座者側の面に固着されており、前記第2カバー部材は、着座者側とは反対側の面が、前記第1カバー部材の着座者側の面と、前記パッド本体の着座者側の面の両方に固着されている構成とすることができる。
【0009】
これによれば、シートに着座者が座ったときなどに力がかかる面同士が互いに固着されることになるので、複数の部品からなるシートパッドを一層強固に一体化することができる。
【0010】
前記したシートにおいて、前記パッド本体および前記第1カバー部材の一方には、着座者側から見て突出する形状の第1係合凸部が設けられており、前記パッド本体および前記第1カバー部材の他方には、前記第1係合凸部が嵌る、着座者側から見て凹む形状の第1係合凹部が設けられている構成とすることができる。
【0011】
これによれば、カバー部材をパッド本体に配置するときに、第1係合凸部と第1係合凹部を係合させることで、パッド本体とカバー部材の位置を容易に決めることができる。
【0012】
前記したシートにおいて、前記第1係合凸部は、前記パッド本体に設けられており、前記第2カバー部材は、着座者側とは反対側の面が、前記第1係合凸部の着座者側の面に固着されている構成とすることができる。
【0013】
これによれば、複数の部品からなるシートパッドの切れ目となる第1係合凸部と第1係合凹部との境界部を第2カバー部材により覆うことができるので、着座フィーリングを向上させることができる。
【0014】
前記したシートにおいて、前記第1係合凸部は、所定方向に間隔をあけた状態で並んで設けられた第1凸部と第2凸部を含み、前記第1係合凹部は、前記第1凸部が嵌る第1凹部と、前記第2凸部が嵌る第2凹部を含む構成とすることができる。
【0015】
これによれば、パッド本体とカバー部材の位置を精度良く決めることができる。
【0016】
前記したシートにおいて、前記第1凹部と前記第2凹部は、互いに形状が異なっている構成とすることができる。
【0017】
これによれば、例えば、第1カバー部材をパッド本体に配置するときに第1カバー部材の向きや表裏などが間違っていると、第1係合凸部と第1係合凹部とが正しく係合しないので、パッド本体とカバー部材の誤組を抑制することができる。
【0018】
前記したシートにおいて、前記シートパッドは、中央部と、前記中央部の左右両側に設けられて前記中央部よりも着座者側に張り出した左右の側部とを有し、前記第1係合凸部および前記第1係合凹部は、左右方向において前記側部よりも内側に設けられている構成とすることができる。
【0019】
これによれば、第1係合凸部と第1係合凹部が側部よりも平坦な中央部に設けられることになるので、例えば、第1係合凸部と第1係合凹部を側部の傾斜面などに設ける構成と比較して、シートパッドを簡単な構成とすることができる。
【0020】
前記したシートにおいて、前記シートパッドは、表皮材を吊り込むための左右の吊り込み溝を有し、前記第1係合凸部および前記第1係合凹部は、左右方向において前記吊り込み溝よりも内側に設けられている構成とすることができる。
【0021】
前記したシートにおいて、前記シートパッドは、シートクッションのパッド材であり、前記パッド本体および前記第2カバー部材の一方には、前端部に第2係合凸部が設けられており、前記パッド本体および前記第2カバー部材の他方には、前記第2係合凸部が嵌る第2係合凹部が設けられている構成とすることができる。
【0022】
これによれば、カバー部材をパッド本体に重ねて配置するときに、第2係合凸部と第2係合凹部を係合させることで、パッド本体とカバー部材の位置を容易に決めることができる。また、第1係合凸部と第1係合凹部が設けられている場合には、さらに第2係合凸部と第2係合凹部を設けることで、パッド本体とカバー部材の位置を精度良く決めることができる。
【0023】
前記したシートにおいて、前記第2係合凸部および前記第2係合凹部は、当該シートの仕様に応じて形状、大きさ、配設位置、数の少なくとも1つが異なっている構成とすることができる。
【0024】
これによれば、例えば、パッド本体に仕様の異なるシートの第2カバー部材を配置しようとした場合には、第2係合凸部と第2係合凹部とが正しく係合しないので、仕様の異なるパッド本体とカバー部材の誤組を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、複数の部品からなるシートパッドを強固に一体化することができる。
【0026】
また、本発明によれば、第1カバー部材の着座者側とは反対側の面をパッド本体の着座者側の面に固着し、第2カバー部材の着座者側とは反対側の面を第1カバー部材とパッド本体の着座者側の面に固着することで、複数の部品からなるシートパッドを一層強固に一体化することができる。
【0027】
また、本発明によれば、パッド本体と第1カバー部材の一方に第1係合凸部を設け、他方に第1係合凹部が設けることで、パッド本体とカバー部材の位置を容易に決めることができる。
【0028】
また、本発明によれば、第1係合凸部をパッド本体に設け、第2カバー部材の着座者側とは反対側の面を第1係合凸部の着座者側の面に固着することで、着座フィーリングを向上させることができる。
【0029】
また、本発明によれば、第1係合凸部が第1凸部と第2凸部を含み、第1係合凹部が第1凹部と第2凹部を含むことで、パッド本体とカバー部材の位置を精度良く決めることができる。
【0030】
また、本発明によれば、第1凹部と第2凹部の形状を異ならせることで、パッド本体とカバー部材の誤組を抑制することができる。
【0031】
また、本発明によれば、第1係合凸部および第1係合凹部を左右方向において側部よりも内側に設けることで、シートパッドを簡単な構成とすることができる。
【0032】
また、本発明によれば、シートクッションのパッド本体と第2カバー部材の一方に第2係合凸部を設け、他方に第2係合凹部を設けることで、パッド本体とカバー部材の位置を容易に決めることができる。
【0033】
また、本発明によれば、第2係合凸部および第2係合凹部の形状などをシートの仕様に応じて異ならせることで、仕様の異なるパッド本体とカバー部材の誤組を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】実施形態に係るシートとしての車両用シートの斜視図である。
【
図2】左から見たシートクッションの断面図である。
【
図3】前から見たシートクッションの断面図である。
【
図4】運転席用のパッド本体、第1カバー部材、第2カバー部材の斜視図である。
【
図5】パッド本体の前側部分と第1カバー部材の平面図である。
【
図6】パッド本体の前側部分と第1カバー部材、第2カバー部材の平面図である。
【
図7】助手席用のパッド本体、第1カバー部材、第2カバー部材、着座センサの斜視図である。
【
図8】変形例に係る第1カバー部材、運転席用のパッド本体、助手席用のパッド本体の斜視図(a)と、第1カバー部材の平面図(b)である。
【
図9】他の変形例に係る第1カバー部材の斜視図(a)と、前から見たシートクッションの第2溝部付近の拡大断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付の図面を参照しながら、発明の一実施形態について説明する。なお、本明細書において、前後、左右、上下は、シートに座った者(着座者)から見た、前後、左右、上下を基準とする。
図1に示すように、本実施形態のシートは、自動車に搭載される車両用シートSとして構成されており、シートクッションS1と、シートバックS2と、ヘッドレストS3とを備えている。
【0036】
図2に示すように、シートクッションS1は、当該シートクッションS1の骨格を構成するシートクッションフレーム10と、シートパッドとしてのシートクッションパッド20と、表皮材30とを備えており、シートクッションフレーム10にシートクッションパッド20と表皮材30を被せることで構成されている。
【0037】
シートクッションパッド20は、通気路21を有している。通気路21は、第1通気路21Aと、第2通気路21Bと、複数の第3通気路21Cとを含む。第1通気路21Aは、第2通気路21Bから下側(着座者側とは反対側)に向けて延びて、第2通気路21Bとシートクッションパッド20の下側の空間とを連通させるように設けられている。また、第3通気路21Cは、第2通気路21Bから上側(着座者側)に向けて延びて、第2通気路21Bとシートクッションパッド20の上側の空間とを連通させるように設けられている。
【0038】
車両用シートSは、送風装置40と、ダクト50とをさらに備えており、
図2に矢印で示すように、送風装置40から送風された空気が、ダクト50と通気路21を通って、シートクッションパッド20の上面から着座者に向けて吹き出されるように構成されている。なお、表皮材30は、通気性を有する素材から形成されたものであってもよいし、第3通気路21Cに対応する位置に空気を通すための穴が形成されたものであってもよい。
【0039】
シートクッションフレーム10は、左右に離間して配置された図示しない左右のサイドフレームと、当該左右のサイドフレームを連結するパンフレーム12とを含んで構成されている。パンフレーム12は、金属板を板金加工することにより形成された板状のフレームであり、シートクッションS1の前部に配置されている。
【0040】
送風装置40は、一例として、シロッコファンであり、筐体41と、羽根車42と、羽根車42を回転させるための図示しないモータとを備えている。筐体41は、羽根車42やモータが収容される筐体本体44と、筐体本体44から後方に向けて延びる筒状の吹出部45とを有している。そして、筐体本体44の上面には、空気を吸い込むための吸込口40Aが形成されており、吹出部45の後端には、空気を吹き出すための吹出口40Bが形成されている。送風装置40は、ブラケット60を介してパンフレーム12に取り付けられている。また、送風装置40は、ダクト50などを介してシートクッションパッド20に形成された通気路21に接続されている。
【0041】
ダクト50は、管状の部材であり、前後に延びる第1管部51と、第1管部51の後端から屈曲して上方に向けて延びる第2管部52とを有している。また、第2管部52は、可撓性を有するとともに伸縮可能な蛇腹部53を有している。ダクト50は、第1管部51の前端部が送風装置40の吹出部45に接続され、第2管部52の上端部が管状の接続部材70を介してシートクッションパッド20に接続されている。
【0042】
図3に示すように、シートクッションパッド20は、中央部20Cと、中央部20Cの左右両側に設けられて中央部20Cよりも上側に張り出した左右の側部20L,20Rとを有している。また、シートクッションパッド20は、中央部20Cと左右の側部20L,20Rとの境界部に表皮材30を吊り込むための前後に延びる左右一対の吊り込み溝27を有している。一例として、シートクッションパッド20には、表皮材30を吊り込み溝27内に吊り込むための吊りワイヤ28がインサート成形により埋設されている。吊りワイヤ28は、吊り込み溝27の底部に形成された複数の穴から部分的に露出している。表皮材30は、フック部材31を吊りワイヤ28の露出した部分に係合させることでシートクッションパッド20に留められている。
【0043】
図4に示すように、シートクッションパッド20は、パッド本体100と、パッド本体100の上面(着座者側の面)に重ねて配置されたカバー部材200とを備えて構成されている。パッド本体100やカバー部材200は、例えば、ウレタンフォームなどから形成することができる。なお、パッド本体100とカバー部材200は、同じ材料から形成されていてもよいし、異なる材料から形成されていてもよい。
【0044】
パッド本体100は、カバー部材200とともに中央部20C(
図3参照)を構成する本体中央部110を有し、本体中央部110の左右両側に側部20L,20Rが一体に形成されている。本体中央部110は、第1本体部111と、第1本体部111の後側の第2本体部112と、第1本体部111の前側の第3本体部113とを有している。
【0045】
第1本体部111の上面は、第2本体部112および吊り込み溝27の底部よりも低くなっている。これにより、パッド本体100の上面のうち、左右方向中央部の前側部分には、側部20L,20Rおよび第2本体部112に対して凹む形状をなし、前側が開放されたカバー取付凹部120が形成されている。カバー取付凹部120には、カバー部材200が配置される。また、第1本体部111には、上下に貫通した第1通気孔131が設けられている。第1通気孔131は、第1通気路21Aを形成する孔であり、第1本体部111の後部に設けられている。詳しくは、
図5に示すように、第1通気孔131は、シートクッションパッド20の左右方向における中心Cよりも右側にずれた位置に設けられている。
【0046】
パッド本体100に形成されたカバー取付凹部120の左右の内側面121,121には、第1係合凸部140が略左右対称に設けられている。第1係合凸部140は、上側から見て左右方向内側に向けて突出する形状の凸部であり、第1凸部141と第2凸部142を含んでいる。第1凸部141と第2凸部142は、所定方向、具体的には、前後方向に間隔をあけた状態で並んで設けられている。詳しくは、第1凸部141は、内側面121の前部に設けられており、第2凸部142は、内側面121の後部に設けられている。また、第1凸部141は、上側から見て略台形状をなしており、第2凸部142は、上側から見て略半円形状をなしている。なお、凸部141,142の下端は、いずれも、第1本体部111とつながっている。つまり、凸部141,142は、カバー取付凹部120の内側面121と底面(第1本体部111の上面)とによって形成される隅部から左右内側に突出するように設けられている。
【0047】
図4に示すように、第3本体部113は、第1本体部111の前端から前側に向けて突出するように設けられている。第3本体部113の上面は、第1本体部111の上面よりも低くなっており、第1本体部111の上面との間に段差を形成している。また、パッド本体100には、その前端部である第3本体部113に第2係合凸部151が設けられている。第2係合凸部151は、第3本体部113の上面の左右中央から上方に向けて突出する凸部であり、前側から見て、上方に向かうほど左右の間隔が狭くなる略台形状に形成されている。なお、第2係合凸部151の後端は、第1本体部111とつながっている。つまり、第2係合凸部151は、第3本体部113の上面と第1本体部111の前面とによって形成される隅部から突出するように設けられている。
【0048】
カバー部材200は、パッド本体100の上面に重ねて配置されることでパッド本体100との間に通気路21(第2通気路21B)を形成する部材である。カバー部材200は、パッド本体100の上面に重ねて配置された第1カバー部材210と、第1カバー部材210の上面(着座者側の面)に重ねて配置された第2カバー部材220とを備えている。第1カバー部材210と第2カバー部材220は、同じ材料から形成されていてもよいし、異なる材料から形成されていてもよい。
【0049】
第1カバー部材210は、板状の部材であり、上下に貫通した通気溝230が設けられている。通気溝230は、第2通気路21Bを形成する溝であり、第1溝部231と、第2溝部232と、第3溝部233を含んでいる。
図5に示すように、第1溝部231は、上側から見て略U字状に形成されており、第2溝部232は、シートクッションパッド20の中心Cで、第1溝部231の左右中央の後端から後方に向けて延びている。また、第3溝部233は、第2溝部232の後端から右に向けて延び出ており、上側から見て、パッド本体100に形成された第1通気孔131と重なるように設けられている。
【0050】
また、第1カバー部材210の左右の側面211,211には、第1係合凹部240が略左右対称に設けられている。第1係合凹部240は、パッド本体100に形成された第1係合凸部140が嵌る凹部である。詳しくは、第1係合凹部240は、上側から見て左右内側に向けて凹む形状の凹部であり、第1凹部241と第2凹部242を含んでいる。第1凹部241は、第1係合凸部140のうちの第1凸部141が嵌る凹部であり、側面211の前部に設けられている。また、第2凹部242は、第1係合凸部140のうちの第2凸部142が嵌る凹部であり、側面211の後部に設けられている。第1凸部141が嵌る第1凹部241は、上側から見て略台形状をなしており、第2凸部142が嵌る第2凹部242は、上側から見て略半円形状をなしている。このため、第1凹部241と第2凹部242は、互いに形状が異なっている。
【0051】
第1係合凸部140および第1係合凹部240は、パッド本体100の上面に第1カバー部材210が重ねて配置された状態で、側部20L,20Rよりも左右方向において内側に設けられている。また、第1係合凸部140および第1係合凹部240は、吊り込み溝27よりも左右方向において内側に設けられている。
【0052】
第1カバー部材210は、下面(着座者側とは反対側の面)が、パッド本体100の上面に固着されている。詳しくは、第1カバー部材210は、下面が、カバー取付凹部120の底面に、ハッチングを付して示した接着剤300により固着されている。一方、本実施形態において、第1カバー部材210の左右や前後の側面は、パッド本体100などには固着されていない。言い換えれば、第1カバー部材210の左右や前後の側面には、接着剤は塗布されていない。
【0053】
なお、本実施形態では、パッド本体100とカバー部材200とが重なる方向における第1カバー部材210の厚さが、カバー取付凹部120の底面からの第1係合凸部140の突出量(高さ)と略等しくなっている。つまり、本実施形態では、第1係合凹部240の上下の長さが、第1係合凸部140の高さと略等しくなっている。さらに言えば、本実施形態では、第1係合凸部140の上面と第1カバー部材210の上面とが、第1係合凹部240と第1係合凸部140とが係合した状態で、略面一になるようになっている。
【0054】
図4に示すように、第2カバー部材220は、板状の部材であり、第1部位221と、第1部位221の前端から下方に屈曲して延びる第2部位222とを有している。本実施形態では、第1カバー部材210と第2カバー部材220は、左右のサイズが略同じサイズとなっている。
第1部位221には、上下に貫通した複数の第2通気孔260が設けられている。第2通気孔260は、第3通気路21Cを形成する孔であり、上側から見て、第1カバー部材210に形成された通気溝230の第1溝部231と重なる位置に設けられている(
図6参照)。
【0055】
また、第2部位222には、その下端部に第2係合凹部251が設けられている。第2係合凹部251は、パッド本体100に形成された第2係合凸部151が嵌る凹部である。詳しくは、第2係合凹部251は、第2部位222の下面の左右中央から上方に向けて凹む凹部であり、前側から見て略台形状に形成されている。
【0056】
図6に示すように、第2カバー部材220は、下面(着座者側とは反対側の面)が、第1カバー部材210の上面と、パッド本体100の上面の両方に固着されている。詳しくは、第2カバー部材220は、下面の大部分が、第1カバー部材210の上面に、ハッチングを付して示した接着剤300により固着されている。また、第2カバー部材220は、下面のうちパッド本体100に形成された第1係合凸部140の上側に位置する部分が、当該第1係合凸部140の上面に、接着剤300により固着されている。これにより、第2カバー部材220は、第1カバー部材210とパッド本体100の両方に固着されている。一方、本実施形態において、第2カバー部材220の左右や後の側面は、パッド本体100には固着されていない。言い換えれば、第2カバー部材220の左右や後の側面には、接着剤は塗布されていない。なお、第2カバー部材220の前端部(第2部位222)の下面と、パッド本体100の前端部(第3本体部113)の上面とは、固着されていてもよいし、固着されていなくてもよい。
【0057】
このように構成されたシートクッションパッド20を組み立てるときには、
図4に示すように、まず、パッド本体100の上面、具体的には、カバー取付凹部120の底面に接着剤を塗布する。そして、第1係合凹部240を第1係合凸部140に係合させながら、第1カバー部材210をカバー取付凹部120に配置し、第1カバー部材210の下面をパッド本体100の上面に接着剤により固着する。次に、第1カバー部材210の上面とパッド本体100に形成された第1係合凸部140の上面に接着剤を塗布する。そして、第2カバー部材220を第1カバー部材210の上に重ねるように配置し、第2カバー部材220の下面を第1カバー部材210と第1係合凸部140の上面に接着剤により固着する。これにより、シートクッションパッド20を組み立てることができる。
【0058】
なお、シートクッションパッド20の組み立ては、上記した方法に限定されない。例えば、先に第1カバー部材210と第2カバー部材220を接着剤などにより固着してカバー部材200を形成した上で、形成したカバー部材200をパッド本体100に接着剤などにより固着することで、シートクッションパッド20を組み立ててもよい。
【0059】
以上では、運転席で使用される車両用シートSについて説明した。次に、助手席で使用される車両用シートSの構成、具体的には、パッド本体100とカバー部材200の構成について説明する。なお、以下では、先に説明した構成と同様の構成については同一符号を付して適宜説明を省略し、先に説明した構成と異なる点について詳細に説明する。
【0060】
図7に示すように、助手席用のパッド本体100には、第1本体部111の後部に、上下に貫通した第1通気孔132が設けられている。第1通気孔132は、第1通気路21Aを形成する孔であり、運転席用のパッド本体100の第1通気孔131(
図4参照)とは逆に、シートクッションパッド20の中心Cよりも左側にずれた位置に設けられている。また、助手席用の第1カバー部材210には、通気溝230が設けられている。この通気溝230は、第1溝部231と、第2溝部232と、第4溝部234とを含んでいる。第4溝部234は、第2溝部232の後端から左に向けて延び出ており、上側から見て、パッド本体100の第1通気孔132と重なるように設けられている(
図8(b)も参照)。
【0061】
助手席用の車両用シートSは、シートクッションパッド20と図示しない表皮材との間に、着座者が車両用シートSに着座したことを検知するための着座センサ400を備えている。着座センサ400は、前側に配置された第1着座センサ410と、後側に配置された第2着座センサ420を含んでいる。
【0062】
第2カバー部材220の上面には、第1着座センサ410を配置するための凹状の第1センサ配置部270が設けられている。また、シートクッションパッド20には、第1着座センサ410に接続されたワイヤハーネス411を通してシートクッションパッド20の下側に引き出すための第1ハーネス挿通孔29が設けられている。第1ハーネス挿通孔29は、パッド本体100の第1本体部111の後部に設けられた第1挿通孔29Aと、第1カバー部材210の後部に設けられた第2挿通孔29Bと、第2カバー部材220の第1部位221の後部に設けられた第3挿通孔29Cとにより形成されている。挿通孔29A~29Cは、それぞれ上下に貫通した孔であり、上側から見て互いに重なるように設けられている。詳しくは、挿通孔29A~29C(第1ハーネス挿通孔29)は、シートクッションパッド20の中心Cよりも右側にずれた位置に設けられている。さらに説明すると、第1挿通孔29Aは、第1通気孔132と左右に並ぶように設けられており、第2挿通孔29Bは、第4溝部234と左右に並ぶように設けられている。
【0063】
また、パッド本体100の第2本体部112には、上面に第2着座センサ420を配置するための凹状の第2センサ配置部170が設けられており、第2センサ配置部170の後側に上下に貫通した第2ハーネス挿通孔190が設けられている。第2ハーネス挿通孔190は、第2着座センサ420に接続されたワイヤハーネス421を通してシートクッションパッド20の下側に引き出すための孔である。
【0064】
パッド本体100の第3本体部113には、第2係合凸部152が設けられている。第2係合凸部152は、第3本体部113の上面の左右中央から上方に向けて突出する凸部であり、運転席用のパッド本体100の第2係合凸部151(
図4参照)と同様に、前側から見て、上方に向かうほど左右の間隔が狭くなる略台形状に形成されている。一方、第2係合凸部152の大きさ(左右の長さ)は、第2係合凸部151よりも小さくなっている。このため、
図4に示した運転席用のパッド本体100に設けられ第2係合凸部151と、
図7に示した助手席用のパッド本体100に設けられた第2係合凸部152とは、その大きさが、車両用シートSの仕様、具体的には、車両における車両用シートSの配置場所に応じて異なっている。
【0065】
また、第2カバー部材220の第2部位222には、その下端部に、第2係合凸部152が嵌る第2係合凹部252が設けられている。第2係合凹部252は、運転席用のパッド本体100の第2係合凹部251(
図4参照)と同様に、前側から見て略台形状に形成されている。一方、第2係合凹部252は、第2係合凸部152が嵌るように、その大きさ(左右の長さ)が第2係合凹部251のよりも小さくなっている。このため、第2係合凹部251と第2係合凹部252とについても、その大きさが、車両用シートSの仕様に応じて異なっている。
【0066】
以上説明した本実施形態によれば、第1カバー部材210がパッド本体100に固着され、第2カバー部材220が第1カバー部材210とパッド本体100の両方に固着されていることで、パッド本体100、第1カバー部材210および第2カバー部材220が互いに固着されているので、複数の部品からなるシートクッションパッド20を強固に一体化することができる。具体的には、第2カバー部材220が、第1カバー部材210とパッド本体100の両方に固着されているので、シートクッションパッド20の一体性が増している。また、第1カバー部材210が、パッド本体100と第2カバー部材220の両方に固着されているので、これによっても、シートクッションパッド20の一体性が増している。さらに、パッド本体100が、第1カバー部材210と第2カバー部材220の両方に固着されているので、これによっても、シートクッションパッド20の一体性が増している。
【0067】
また、第1カバー部材210の下面がパッド本体100の上面に固着され、第2カバー部材220の下面が第1カバー部材210の上面とパッド本体100の上面の両方に固着されているため、車両用シートSに着座者が座ったときなどに力がかかる上下の面同士が互いに固着されることになるので、複数の部品からなるシートクッションパッド20を一層強固に一体化することができる。また、第2カバー部材220が、第1カバー部材210の上面とパッド本体100の上面の両方に載ることになるので、第2カバー部材220をパッド本体100で支持することができる。これにより、第1カバー部材210が必要以上につぶれて、例えば、通気路21(第2通気路21B)が狭くなってしまうようなことを抑制することができる。
【0068】
また、パッド本体100に第1係合凸部140が設けられ、第1カバー部材210に第1係合凹部240が設けられているので、カバー部材200をパッド本体100に配置するときに、第1係合凸部140と第1係合凹部240を係合させることで、パッド本体100とカバー部材200の位置を容易に決めることができる。
【0069】
また、第2カバー部材220の下面がパッド本体100に設けられた第1係合凸部140の上面に固着されていることで、複数の部品からなるシートクッションパッド20の切れ目となる第1係合凸部140と第1係合凹部240との境界部を第2カバー部材220により覆うことができる。これにより、第1係合凸部140と第1係合凹部240との境界部によって形成される切れ目を車両用シートSに座った着座者が感じにくくなるので、車両用シートSの着座フィーリングを向上させることができる。
【0070】
また、第1係合凸部140が第1凸部141と第2凸部142を含む複数であり、第1係合凹部240が第1凹部241と第2凹部242を含む複数なので、これらを係合させることで、パッド本体100とカバー部材200の位置を精度良く決めることができる。
【0071】
また、第1凸部141と第2凸部142、および、第1凹部241と第2凹部242は、互いに形状が異なっていることで、例えば、第1カバー部材210をパッド本体100に配置するときに第1カバー部材210の前後の向きや表裏(上下)などが間違っていると、第1係合凸部140と第1係合凹部240とが正しく係合しないので、パッド本体100とカバー部材200の誤組を抑制することができる。
【0072】
また、第1係合凸部140および第1係合凹部240が側部20L,20Rの左右内側に設けられていることで、第1係合凸部140と第1係合凹部240が側部20L,20Rよりも平坦な中央部20Cに設けられることになるので、例えば、第1係合凸部と第1係合凹部を側部20L,20Rの傾斜面などに設ける構成と比較して、シートクッションパッド20を簡単な構成とすることができる。
【0073】
また、パッド本体100に第2係合凸部151,152が設けられ、第2カバー部材220に第2係合凹部251,252が設けられているので、カバー部材200をパッド本体100に重ねて配置するときに、第2係合凸部151,152と第2係合凹部251,252を係合させることで、パッド本体100とカバー部材200の位置を容易に決めることができる。また、本実施形態では、パッド本体100に第1係合凸部140が設けられ、第1カバー部材210に第1係合凹部240が設けられているので、第2係合凸部151,152と第2係合凹部251,252をさらに設けたことで、パッド本体100とカバー部材200の位置を一層精度良く決めることができる。
【0074】
また、第2係合凸部151,152および第2係合凹部251,252が、運転席用の車両用シートSと助手席用の車両用シートSとの間で大きさが異なっているため、例えば、運転席用のパッド本体100に助手席用の第2カバー部材220を配置しようとした場合には、第2係合凸部151と第2係合凹部252とが正しく係合しないので、仕様の異なるパッド本体100とカバー部材200の誤組を抑制することができる。
【0075】
以上、発明の一実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、下記のように発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0076】
例えば、前記実施形態では、
図4に示した運転席用の第1カバー部材210と、
図7に示した助手席用の第1カバー部材210とを別部品として設けたが、これに限定されない。
図8(a),(b)に示すように、第1カバー部材210は、運転席と助手席で共通の部品として設けてもよい。共通の第1カバー部材210には、通気溝230が設けられている。通気溝230は、第1溝部231と、第2溝部232と、第3溝部233と、第4溝部234を含んでおり、溝部232~234により上側から見てT字形状の溝が形成されている。共通の第1カバー部材210を助手席用のパッド本体100Bに配置して使用する場合には、空気が第3溝部233を通って第1挿通孔29Aなどから漏れないように、第3溝部233の少なくとも一部に、例えば、第1カバー部材210と同じ材料などからなるシール部材500を嵌め込んで、第3溝部233を塞ぐ。なお、このとき、第3溝部233の、第1挿通孔29Aおよび第3挿通孔29C(
図7参照)に対応する位置は塞がないようにする。これにより、ワイヤハーネス411を通すための孔を、上下に貫通した第3溝部233の一部と、第1挿通孔29Aと、第3挿通孔29Cとにより形成することができる。また、共通の第1カバー部材210を運転席用のパッド本体100Aに配置して使用する場合には、第4溝部234に空気が流れ込むのを抑制するため、第4溝部234をシール部材で塞いでも構わない。
【0077】
また、
図9に示すように、第1カバー部材210には、通気溝230(通気路21)の周りに複数の溝280が設けられていてもよい。
図9の形態では、溝280は、一例として、第1カバー部材210の上面であって、通気溝230を形成する第2溝部232の周りに複数設けられている。詳しくは、溝280は、前後に延びる有底の溝(凹部)であり、第2溝部232の左右両側に左右に並んで2つずつ設けられている。溝280は、例えば、幅(左右の長さ)を15mmとし、深さを5mmとすることができる。このような溝280を第1カバー部材210の上面に設けることで、通気溝230によって形成される段差を車両用シートSに座った着座者が感じにくくなるので、車両用シートSの着座フィーリングを向上させることができる。なお、第2溝部の左右一方側における溝の数は、2つに限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、第2溝部の右側の溝の数と左側の溝の数とは、互いに異なっていてもよい。
【0078】
また、前記実施形態では、第1係合凹部240を構成する第1凹部241と第2凹部242の形状が互いに異なっていたが、これに限定されない。例えば、第1凹部と第2凹部は、同じ形状であってもよい。
【0079】
また、前記実施形態では、第1係合凸部140がパッド本体100に設けられ、第1係合凹部240が第1カバー部材210に設けられていたが、これに限定されず、例えば、第1係合凸部が第1カバー部材に設けられ、第1係合凹部がパッド本体に設けられていてもよい。また、前記実施形態では、第2係合凸部151がパッド本体100に設けられ、第2係合凹部251が第2カバー部材220に設けられていたが、これに限定されず、例えば、第2係合凸部が第2カバー部材に設けられ、第2係合凹部がパッド本体に設けられていてもよい。なお、係合凸部や係合凹部の数は、任意である。
【0080】
また、前記実施形態では、パッド本体および第1カバー部材の一方に第1係合凸部(凸部だけ)が設けられ、他方に第1係合凸部が嵌る第1係合凹部(凹部だけ)が設けられている構成であったが、これに限定されない。例えば、パッド本体および第1カバー部材の一方に、凸部と凹部の両方が設けられ、他方に、一方の凸部に嵌る凹部と、一方の凹部に嵌る凸部の両方が設けられている構成であってもよい。なお、凸部や凹部の数は、任意である。また、シートパッドは、第1係合凸部と第1係合凹部を備えない構成であってもよい。
【0081】
前記実施形態では、車両用シートSの仕様に応じて、運転席と助手席との間で、第2係合凸部151,152および第2係合凹部251,252の大きさが異なっていたが、これに限定されない。例えば、第2係合凸部および第2係合凹部は、車両用シートの仕様に応じて、形状が異なっていてもよいし、配設位置が異なっていてもよいし、数が異なっていてもよい。また、形状、大きさ、配設位置および数のうちの2つ以上が異なっていてもよい。また、前記実施形態では、運転席および助手席の両方に第2係合凸部と第2係合凹部を設けたが、これに限定されない。例えば、運転席および助手席の一方だけに第2係合凸部と第2係合凹部を設け、運転席および助手席の他方には第2係合凸部と第2係合凹部を設けない構成としてもよい。これによっても、仕様の異なるパッド本体とカバー部材の誤組を抑制することができる。また、シートパッドは、第2係合凸部と第2係合凹部を備えない構成であってもよい。
【0082】
また、前記実施形態では、第2カバー部材220の下面が、パッド本体100に形成された第1係合凸部140の上面に固着されていたが、これに限定されず、例えば、パッド本体に第1係合凹部が設けられ、第1カバー部材に第1係合凸部が設けられている構成で、第2カバー部材の下面が、パッド本体の第1係合凹部を形成する部分の上面に固着されていてもよい。また、前記実施形態では、第2カバー部材220の下面が、第1カバー部材210の上面と、パッド本体100の上面の両方に固着されていたが、これに限定されず、例えば、第2カバー部材は、下面が第1カバー部材に固着され、下面と上面をつなぐ側面が、パッド本体に固着されていてもよい。また、第2カバー部材は、パッド本体に下面と側面の両方が固着されていてもよい。また、前記実施形態では、第1カバー部材210は、パッド本体100に下面だけが固着されていたが、これに限定されず、例えば、パッド本体に側面だけが固着されていてもよいし、パッド本体に下面と側面の両方が固着されていてもよい。
【0083】
また、前記実施形態では、パッド本体100、第1カバー部材210および第2カバー部材220が接着剤300(接着)により固着されていたが、これに限定されず、例えば、溶着などにより固着されていてもよい。また、例えば、第1カバー部材と第2カバー部材とが溶着により固着され、カバー部材(第1カバー部材および第2カバー部材)とパッド本体とが接着により固着されていてもよい。
【0084】
また、前記実施形態では、送風装置40としてシロッコファンを例示したが、これに限定されず、例えば、プロペラファンやターボファンなどであってもよい。また、前記実施形態では、車両用シートSが送風装置40の作動によって空気を吹き出すように構成されていたが、これに限定されず、例えば、送風装置の作動によって空気を吸い込むように構成されていてもよい。また、送風装置は、例えば、羽根の回転方向を切り替えることで、送風と吸引を切り替えることができるものであってもよい。
【0085】
また、前記実施形態では、シートパッドが、シートクッションパッド20、つまり、シートクッションS1のパッド材であったが、これに限定されない。例えば、シートパッドは、シートバックのパッド材であってもよい。この場合、第1カバー部材は、パッド本体の前面(着座者側の面)に重ねて配置され、第2カバー部材は、第1カバー部材の前面(着座者側の面)に重ねて配置されることとなる。
【0086】
また、前記実施形態では、シートとして自動車に搭載される車両用シートSを例示したが、これに限定されず、自動車以外の乗物、例えば、鉄道車両や船舶、航空機などに搭載される乗物用シートであってもよい。また、シートは、乗物用のシートに限定されず、例えば、家庭などで使用されるシートであってもよい。
【0087】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0088】
20 シートクッションパッド
20C 中央部
20L,20R 側部
21 通気路
27 吊り込み溝
30 表皮材
40 送風装置
100 パッド本体
113 第3本体部
140 第1係合凸部
141 第1凸部
142 第2凸部
151,152 第2係合凸部
200 カバー部材
210 第1カバー部材
220 第2カバー部材
240 第1係合凹部
241 第1凹部
242 第2凹部
251,252 第2係合凹部
S 車両用シート
S1 シートクッション