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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】接続コード用クリップ
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/24 20060101AFI20220224BHJP
   H01R 4/70 20060101ALI20220224BHJP
   H01R 13/15 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
H01R11/24
H01R4/70 B
H01R13/15 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018046211
(22)【出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2019160588
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107467
【弁理士】
【氏名又は名称】員見 正文
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真一
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-147178(JP,U)
【文献】実開昭48-75176(JP,U)
【文献】登録実用新案第3204156(JP,U)
【文献】特開2017-216911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が端子(1)に取り付けられるクリップ付接続コードに用いるための接続コード用クリップ(10)であって、
先端部がワニ口にされた、かつ、末端部にリード線(40)が接続されるワニグチクリップ(20)と、
前記ワニグチクリップが閉じた状態では該ワニグチクリップ全体を被覆できる長さにされた絶縁カバー(30)と、
前記絶縁カバーの中央部に取り付けられた付勢手段(31)とを具備し、
作業員が前記絶縁カバーの前記付勢手段よりも先端部を該付勢手段の付勢力に抗して該絶縁カバーの末端部に向けてずらすと、該付勢手段の先端側だけが縮むとともに、前記ワニグチクリップの前記ワニ口の先端部が露出して該ワニグチクリップを開けられるようにされており、
前記作業員が前記ワニグチクリップを開いて前記リード線を前記端子に取り付けると、前記絶縁カバーの先端部が前記付勢手段の付勢力によって該ワニグチクリップの先端部に向けてずれるようにされている、
ことを特徴とする、接続コード用クリップ。
【請求項2】
前記付勢手段が、前記絶縁カバーの中央部に取り付けられたバネであることを特徴とする、請求項1記載の接続コード用クリップ。
【請求項3】
前記バネの付勢力が、前記絶縁カバーの先端部を前記ワニグチクリップの先端部が露出するまで該ワニグチクリップの末端部に向けてずらしたときに該絶縁カバーの先端部の該ワニグチクリップに対する締付力よりも小さくされているとともに、前記クリップ付接続コードの一端を前記端子に取り付けた際に前記絶縁カバーの先端部を前記ワニグチクリップの先端部に向けてずらせる大きさにされていることを特徴とする、請求項2記載の接続コード用クリップ。
【請求項4】
前記バネが、2つのリング状部と、両端が該2つのリング状部にそれぞれ固定された螺旋状部とを備えることを特徴とする、請求項3記載の接続コード用クリップ。
【請求項5】
前記ワニグチクリップが、
ワニ口を形成するための第1および第2の刃(22a,22b)が先端部にそれぞれ形成された第1および第2の挟持片(21a,21b)と、
前記ワニグチクリップの中央部に取り付けられた、かつ、前記第1および第2の挟持片を軸支持するための軸(23)と、
前記軸に外嵌めされた、かつ、前記ワニグチクリップを閉じるように前記第1および第2の挟持片を付勢するための捩りコイルバネ(24)と、
前記第2の挟持片(21b)の末端部に取り付けられた、かつ、前記リード線を前記ワニグチクリップの末端部に取り付けるための突片(25)および薄片(26)とを備え、
前記バネの前記2つのリング状部および前記螺旋状部の内径が、前記ワニグチクリップを閉じたときの前記第1および第2の挟持片の末端部間の長さ(La)よりも大きくされている、
ことを特徴とする、請求項4記載の接続コード用クリップ。
【請求項6】
前記バネの前記2つのリング状部の一方が、前記第1および第2の挟持片の前記第1および第2の刃よりも前記軸側に取り付けられており、
前記バネの前記2つのリング状部の他方が、前記ワニグチクリップを開くために前記第1および第2の挟持片の末端部を前記作業員が摘んで閉じる部分よりも前記軸側に取り付けられている、
ことを特徴とする、請求項5記載の接続コード用クリップ。
【請求項7】
前記絶縁カバーは、中央部が膨らんだ円筒状にされており、
前記絶縁カバーの先端の開口の径が、前記ワニグチクリップを閉じたときの前記第1および第2の挟持片の前記第1および第2の刃が形成された部分の末端側間の長さ(Lb)よりも小さくされている、
ことを特徴とする、請求項5または6記載の接続コード用クリップ。
【請求項8】
前記絶縁カバーの末端部を前記リード線に固着するための固着部材(50)をさらに具備することを特徴とする、請求項1乃至7いずれかに記載の接続コード用クリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ付接続コードに用いるのに好適な接続コード用クリップに関する。
【背景技術】
【0002】
通信作業等で回路試験を行う際には、リード線の両端に接続コード用クリップがそれぞれ取り付けられたクリップ付接続コードを用いて、一方の接続コード用クリップで回路の端子台の端子(ネジ山等)を挟んで端子台を介してリード線の一端を回路に接続するとともに、他方の接続コード用クリップで測定器の入力端子やアース端子等を挟んでリード線の他端を測定器やアース等に接続している(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0003】
このような接続コード用クリップは、図4に示す接続コード用クリップ110のように、金属製のワニグチクリップ120と、塩化ビニール製の絶縁カバー130とを具備する。
【0004】
ここで、ワニグチクリップ120は、軸支持された第1および第2の挟持片121a,121b(金属片)と、軸123と、捩りコイルバネ124と、突片125と、薄片126とを備える。
【0005】
第1および第2の挟持片121a,121bの先端部には、ワニ口を形成するために、幅方向両端から立設されて互いに当接し合う辺に山谷状の第1および第2の刃122a,122bがそれぞれ形成されている。
【0006】
第1および第2の挟持片121a,121bは、中央部が軸123の軸心回りに揺動自在に枢着されており、軸123に外嵌めされた捩りコイルバネ124によってワニグチクリップ120(第1および第2の挟持片121a,121bの先端部)が閉じるように付勢されている。
これにより、作業員が第1および第2の挟持片121a,121bの基端部(摘み部)を2本の指で摘んで閉じると、ワニグチクリップ120(第1および第2の挟持片121a,121bの先端部)が開くようにされている。
【0007】
第2の挟持片121bの基端側には、リード線140の端部の電線露出部分がハンダ付けされる。また、第2の挟持片121bの基端側には突片125が設けられているとともに、突片125の長さ方向中間部の幅方向両端には短冊状の2個の薄片126(手前側の薄片126のみ図示)がそれぞれ立設されている。
これにより、2個の薄片126を内側に折り曲げてリード線140の端部の被覆部分を挟み込むことにより、通常の引張力等の外力によってリード線140がハンダ付部分から剥離しないようにされている。
【0008】
絶縁カバー130は、ワニグチクリップ120(第1および第2の挟持片121a,121b)の先端部以外を被覆している。
【0009】
しかし、接続コード用クリップ110を用いて構成されたクリップ付接続コードを通信作業等での回路試験に使用した場合には、何かの拍子にリード線140に大きなテンションが加わると、接続コード用クリップ110が端子から外れてしまいそのまま他の端子と接触して短絡状態になり、重要な回線を停止させたり遮断器をミストリップ(誤遮断)させたりするという事故が発生する。
【0010】
このような事故発生を防止する解決手法として、下記の特許文献2には、2個の挟持片の絶縁カバーより露出した先端部の外面に絶縁被覆を形成したワニグチクリップ(鰐口クリップ)が開示されている。
【0011】
なお、下記の特許文献3には、絶縁カバーの基端部を蛇腹状にしてスプリング効果を持たせることにより、バナナクリップ付配線コードとしても機能できるようにしたワニグチクリップ付配線コードが開示されている。
【0012】
また、下記の特許文献4には、導電性部材の長さ方向に沿って弾性的に伸縮可能とするために蛇腹形状を備えさせた、計器に接続される導電性部材を覆う導電性部材保護カバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2010-009941号公報
【文献】実開昭60-126980号公報
【文献】実開昭63-033574号公報
【文献】特開2013-258903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記の特許文献2に開示されたワニグチクリップでは、市販品のワニグチクリップの挟持片の絶縁カバーより露出した先端部の外面に絶縁被覆を形成する必要があるという問題がある。
【0015】
本発明の目的は、落下による端子間短絡等を防止することができる接続コード用クリップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の接続コード用クリップは、一端が端子(1)に取り付けられるクリップ付接続コードに用いるための接続コード用クリップ(10)であって、先端部がワニ口にされた、かつ、末端部にリード線(40)が接続されるワニグチクリップ(20)と、前記ワニグチクリップが閉じた状態では該ワニグチクリップ全体を被覆できる長さにされた絶縁カバー(30)と、前記絶縁カバーの中央部に取り付けられた付勢手段(31)とを具備し、作業員が前記絶縁カバーの前記付勢手段よりも先端部を該付勢手段の付勢力に抗して該絶縁カバーの末端部に向けてずらすと、該付勢手段の先端側だけが縮むとともに、前記ワニグチクリップの前記ワニ口の先端部が露出して該ワニグチクリップを開けられるようにされており、前記作業員が前記ワニグチクリップを開いて前記リード線を前記端子に取り付けると、前記絶縁カバーの先端部が前記付勢手段の付勢力によって該ワニグチクリップの先端部に向けてずれるようにされていることを特徴とする。
ここで、前記付勢手段が、前記絶縁カバーの中央部に取り付けられたバネであってもよい。
前記バネの付勢力が、前記絶縁カバーの先端部を前記ワニグチクリップの先端部が露出するまで該ワニグチクリップの末端部に向けてずらしたときに該絶縁カバーの先端部の該ワニグチクリップに対する締付力よりも小さくされているとともに、前記クリップ付接続コードの一端を前記端子に取り付けた際に前記絶縁カバーの先端部を前記ワニグチクリップの先端部に向けてずらせる大きさにされていてもよい。
前記バネが、2つのリング状部と、両端が該2つのリング状部にそれぞれ固定された螺旋状部とを備えてもよい。
前記ワニグチクリップが、ワニ口を形成するための第1および第2の刃(22a,22b)が先端部にそれぞれ形成された第1および第2の挟持片(21a,21b)と、前記ワニグチクリップの中央部に取り付けられた、かつ、前記第1および第2の挟持片を軸支持するための軸(23)と、前記軸に外嵌めされた、かつ、前記ワニグチクリップを閉じるように前記第1および第2の挟持片を付勢するための捩りコイルバネ(24)と、前記第2の挟持片(21b)の末端部に取り付けられた、かつ、前記リード線を前記ワニグチクリップの末端部に取り付けるための突片(25)および薄片(26)とを備え、前記バネの前記2つのリング状部および前記螺旋状部の内径が、前記ワニグチクリップを閉じたときの前記第1および第2の挟持片の末端部間の長さ(La)よりも大きくされていてもよい。
前記バネの前記2つのリング状部の一方が、前記第1および第2の挟持片の前記第1および第2の刃よりも前記軸側に取り付けられており、前記バネの前記2つのリング状部の他方が、前記ワニグチクリップを開くために前記第1および第2の挟持片の末端部を前記作業員が摘んで閉じる部分よりも前記軸側に取り付けられていてもよい。
前記絶縁カバーは、中央部が膨らんだ円筒状にされており、前記絶縁カバーの先端の開口の径が、前記ワニグチクリップを閉じたときの前記第1および第2の挟持片の前記第1および第2の刃が形成された部分の末端側間の長さ(Lb)よりも小さくされていてもよい。
前記絶縁カバーの末端部を前記リード線に固着するための固着部材(50)をさらに具備してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の接続コード用クリップは、以下に示す効果を奏する。
(1)端子から外れて落下するとバネによって瞬時に絶縁カバーを閉じることができるため、落下による端子間短絡等を防止することができる。
(2)構造がシンプルで小型化にも対応できるとともに安価に量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例による接続コード用クリップ10について説明するための図であり、内部構造を示すために絶縁カバー30を透明状にした図である。
図2図1に示した接続コード用クリップ10を用いたクリップ付接続コードの使用方法の一例について説明するための図であり、(a)~(c)は手順1~3についてそれぞれ説明するための図である。
図3図1に示した接続コード用クリップ10の技術的効果の一例について説明するための図であり、(a)は接続コード用クリップ10を端子1に取り付けた状態を示す図であり、(b)は接続コード用クリップ10が端子1から外れて落下したときの状態を示す図である。
図4】従来の接続コード用クリップ110について説明するための図であり、内部構造を示すために絶縁カバー130を透明状にした図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上記の目的を、絶縁カバーを通常時にはワニグチクリップ全体を被覆できる長さにするとともに、絶縁カバーが伸びる方向に絶縁カバーの先端部を付勢するためのバネを絶縁カバーの中央部に取り付けることにより実現した。
【実施例1】
【0020】
以下、本発明の接続コード用クリップの実施例について図面を参照して説明する。
本発明の一実施例による接続コード用クリップ10は、図1に示すように、先端部がワニ口にされるとともに末端部にリード線40が接続されるワニグチクリップ20(第1および第2の挟持片21a,21b、軸23、捩りコイルバネ24、突片25および薄片26を備える。)と絶縁カバー30とを具備する点では、図4に示した接続コード用クリップ110と同様である。
【0021】
しかし、接続コード用クリップ10は、以下の点で、図4に示した従来の接続コード用クリップ110と相違する。
(1)絶縁カバー30は、通常時にはワニグチクリップ20全体を被覆できる長さにされている。
(2)絶縁カバー30に、ワニグチクリップ20が閉じると絶縁カバー30を伸ばしてワニグチクリップ20全体を被覆するための付勢手段として機能する絶縁性のバネ31(圧縮コイルバネ)が取り付けられている。
(3)絶縁カバー30の末端部をリード線40に固着するための固着部材としてビニールテープ50を具備する。
【0022】
ここで、バネ31は、絶縁カバー30の中央部に取り付けられているとともに、第1および第2のリング状部と、両端が第1および第2のリング状部にそれぞれ固定された螺旋状部とを備える。
【0023】
バネ31の第1のリング状部は、ワニグチクリップ20の第1および第2の挟持片21a,21bの第1および第2の刃22a,22bよりも軸23側に取り付けられており、バネ31の第2のリング状部は、ワニグチクリップ20を開くために第1および第2の挟持片21a,21bの末端部を2本の指等で摘んで閉じる部分(摘み部)よりも軸31側に取り付けられている。
バネ31の第1および第2のリング状部および螺旋部の内径は、ワニグチクリップ20を閉じたときの第1および第2の挟持片21a,21bの末端部間の長さLaよりも大きくされている。
【0024】
バネ31の付勢力は、絶縁カバー30の先端部をワニグチクリップ20(第1および第2の挟持片21a,21b)の先端部が露出するまでワニグチクリップ20の末端部に向けてずらしたときに絶縁カバー30の先端部のワニグチクリップ20に対する締付力によって絶縁カバー30の先端部がワニグチクリップ20の先端部に向けてずれない大きさにされている。
また、バネ31の付勢力は、クリップ付接続コードの一端を端子1(図2(c)参照)に取り付けた際に絶縁カバー30の先端部をワニグチクリップ20の先端部に向けてずらせる大きさにされている。
【0025】
絶縁カバー30は、中央部が膨らんだ円筒状にされている。
また、絶縁カバー30の先端の開口の径は、ワニグチクリップ20を閉じたときの第1および第2の挟持片21a,21bの第1および第2の刃22a,22bが形成された部分の末端側間の長さLbよりも小さくされている。
【0026】
次に、接続コード用クリップ10を用いたクリップ付接続コードの使用方法の一例として、接続コード用クリップ10を端子台の端子1に取り付ける際の手順について、図2(a)~(c)を参照して説明する。
【0027】
(手順1)作業員は、図2(a)に白抜き矢印で示すように、ワニグチクリップ20の第1および第2の挟持片21a,21bの末端部を片方の手の2本の指で第1および第2の挟持片21a,21bの先端部が開かない程度に絶縁カバー30を介して軽く摘んだのち、絶縁カバー30の先端部を他方の手の2本の指で摘んで第1および第2の刃22a,22bが半分程度露出するまで第1および第2の挟持片21a,21bの末端部に向けてずらす。
【0028】
このとき、第1および第2の挟持片21a,21bの末端部は軽く摘まれているため、バネ31の第1のリング状部は絶縁カバー30と同様に第1および第2の挟持片21a,21bの末端部に向けてずれていくが、バネ31の第2のリング状部はほとんどずれない。
これにより、絶縁カバー30のバネ31の第1のリング状部よりも先端側だけを縮ませることができる。
【0029】
(手順2)作業員は、他方の手の2本の指を絶縁カバー30の先端部から離したのち、図2(b)に太い白抜き矢印で示すように第1および第2の挟持片21a,21bの末端部を片方の手の2本の指で強く摘んでワニグチクリップ20を開いていく。
【0030】
このとき、絶縁カバー30の先端の開口の径は長さLbよりも小さくされているため、第1および第2の挟持片21a,21bの先端部が絶縁カバー30の先端部によって強く締め付けられ、また、バネ31の付勢力は絶縁カバー30の先端部のこの締付力よりも小さくされているため、作業員が他方の手の2本の指を絶縁カバー30の先端部から離しても絶縁カバー30の先端部がずれないようにできる。
【0031】
(手順3)作業員は、接続コード用クリップ10を端子1に近付けたのち、図2(c)に示すようにワニグチクリップ20の第1および第2の刃22a,22bの先端部で端子1を挟み付けて、クリップ付接続コード(リード線40)の一端を端子1に取り付ける。
【0032】
このとき、バネ31の付勢力は絶縁カバー30の先端部をワニグチクリップ20の先端部に向けてずらせる大きさにされているため、同図に矢印で示すように絶縁カバー30の先端部がバネ31の付勢力によってワニグチクリップ20の先端部から突出するまでずれる。
これにより、ワニグチクリップ20全体を絶縁カバー30によって被覆できるため、ヒューマンエラーによって接続コード用クリップ10を落下させても端子間短絡等を防止できる。
【0033】
また、複数の端子板が隔壁を介して並んで配列されている端子台では、図3(a)に示すように端子1は隔壁の中に設けられるため、接続コード用クリップ10のワニグチクリップ20を端子1に取り付ける際に絶縁カバー30の先端部が隔壁の前面に当接して、第1および第2の挟持片21a,21bの先端部が露出した状態で第1および第2の刃22a,22bの先端部で端子1を挟み付けることになる。
【0034】
その後、何かの拍子にリード線40に大きなテンションが加わって接続コード用クリップ10が図3(b)に白抜き矢印で示すように端子1から外れてしまっても、ワニグチクリップ20は閉じるため、同図に矢印で示すように絶縁カバー30の先端部がバネ31の付勢力によってワニグチクリップ20の先端部から突出するまでずれる。
【0035】
その結果、ワニグチクリップ20全体を絶縁カバー30によって被覆できるため、ヒューマンエラーによって接続コード用クリップ10を落下させても端子間短絡等を防止できる。
【0036】
以上の説明では、バネ31は第1および第2のリング状部と螺旋状部とを備えたが、螺旋状部のみ備えるものでもよい。
また、絶縁カバー30の末端部をリード線40に固着するための固着部材としてビニールテープ50を用いたが、絶縁性の紐等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 端子
10,110 接続コード用クリップ
20,120 ワニグチクリップ
21a,21b,121a,121b 第1および第2の挟持片
22a,22b,122a,122b 第1および第2の刃
23,123 軸
24,124 捩りコイルバネ
25,125 突片
26,126 薄片
30,130 絶縁カバー
31 バネ
40,140 リード線
50 ビニールテープ
La,Lb 長さ
図1
図2
図3
図4