(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】スカーフ
(51)【国際特許分類】
A41D 23/00 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
A41D23/00 C
A41D23/00 A
A41D23/00 Z
(21)【出願番号】P 2017104301
(22)【出願日】2017-05-26
【審査請求日】2020-02-06
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517070394
【氏名又は名称】株式会社ムーア
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】平井 泰子
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-070819(JP,U)
【文献】実開昭49-066805(JP,U)
【文献】実開平03-006407(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2012/0131723(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さが10cm~25cmの切り目状の口孔部を備え、
前記口孔部は、スカーフ本体の或る一辺に対して平行な方向に延伸し、
表面に、撥水加工または防水加工が施されており、
シルク素材で構成され、バックカバーでもある、スカーフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スカーフに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な用途に合わせて、一般的な形状とは異なる形状を備えたスカーフが知られている(例えば、特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-47093号公報
【文献】特開平10-121311号公報
【文献】特開平5-247706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1~3に示すスカーフでは、バッグ(特に女性用の高級バッグ)を雨水から防護するための形状を備えていない。例えば、特許文献1に示すスカーフは、中央部の開口部分が首周り以上の長さとなるため、バッグの取っ手を開口部分に通すことができるものの、バッグと開口部分の隙間が大きくなってしまうため、バッグを雨水から保護する形状ではない。特許文献2に示すスカーフは、頂点から中心部に向けて切り欠きがある形状のため、バッグを雨水から保護する形状ではない。特許文献3に示スカーフも着用を目的とした形状であるため、バッグの取っ手を衿元部1に通すことができるものの、バッグと衿元部1の隙間が大きくなってしまうため、バッグを雨水から保護する形状ではない。
【0005】
本発明の目的は、スカーフとしての審美性を損なうことなく、雨水からバッグを防護する形状を備えたスカーフを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、長さが10cm~25cm、幅が7.5cm以下となる口孔部(11、31)を備えている、スカーフ(10、20、30)によって達成される。
【0007】
また、上記目的は、シルク素材で構成され、撥水加工または防水加工が施されている、上記に記載のスカーフ(10、20、30)によっても達成される。
【0008】
また、上記目的は、食物繊維、動物繊維、再生繊維、半合成繊維、合成繊維、またはこれらの繊維のうちのいずれかを配合した繊維で構成され、撥水加工または防水加工が施されている、上記に記載のスカーフ(10、20、30)によって達成される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スカーフとしての審美性を損なうことなく、雨水からバッグを防護する形状を備えたスカーフを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第一の実施形態によるスカーフ10の表面を説明する図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態によるスカーフ10の裏面を説明する図である。
【
図3】本発明の第二の実施形態によるスカーフ20の表面を説明する図である。
【
図4】本発明の第三の実施形態によるスカーフ30の表面を説明する図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態によるスカーフ10をバッグ100のカバーとして使用した状態を説明するための図である。
【
図7】本発明の第一の実施形態によるスカーフ10をバッグ100のカバーとして使用した状態を説明するための図である。
【
図8】本発明の第一の実施形態によるスカーフ10をバッグ100のアクセサリーとして使用した状態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、
図1~
図8を用いて、本発明の実施形態によるスカーフを説明する。なお、以下の全ての図面においては、理解を容易にするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせて図示している。
【0012】
図1、
図2を用いて、本発明の第一の実施形態によるスカーフ10を説明する。
図1は、スカーフ10の表面を正面から見た図であり、
図2は、スカーフ10の裏面を正面から見た図である。
【0013】
本発明の第一の実施形態によるスカーフ10は、シルク素材で形成されている。また、
図1、
図2に示すように、スカーフ10の中心に、長さが20cmの略直線状の口孔部11が設けられている。本実施形態の口孔部11の長さは、一般に市販されているバッグの取っ手を通すことが可能となる長さであるが、口孔部11の長さを10cm~25cmの範囲としてもよいし、口孔部11の長さを10cm以下としてもよいし、25cm以上にしてもよい。
【0014】
口孔部11は、スカーフ10の中心部分とスカーフ10に縫い付けられた補強布12を20cm程度、裁断することで形成される。また、
図1及び
図2に示すように、口孔部11は、補強布12によって、幅が1cm~2cmの玉縁12a、12bを形成することで補強される。また、玉縁12a、12bは、口孔部11に力が作用していない状態(スカーフ10をバッグのカバーとして使用しない状態)において、玉縁12a、12b同士がぴったりと接触するように形成されている。また、玉縁12a、12bの幅は1cm以下でもよいし、2cm以上でもよい。なお、これ以外の方法でも、口孔部11を補強する場合があってもよい。また、補強布12は、スカーフ10と同じシルク素材を用いてもよいし、シルク以外の布を用いてもよい。例えば、補強布12に伸縮性を備えたストレッチ素材(例えば、ポリウレタンやポリエステルを含む素材)を用いることで、口孔部11が伸縮自在になる。また、口孔部11は、スカーフ10の中心部分に設けられるのが好適であるものの、中心部分以外の箇所に設けてもよい。また、口孔部11は、長方形状や棒状や細長楕円状であってもよいし、これら以外の形状であってもよい。
【0015】
スカーフ10は、繊維密度を高くすると伴に繊維の表面にフッ素樹脂をコーティングすることで、防水加工及び撥水加工が施されている。なお、防水加工として、繊維と繊維の隙間にパラフィンなどの物質を埋めてもよいし、撥水加工として、繊維の表面にシリコン樹脂や非結晶二酸化ケイ素等をコーティングしてもよい。
【0016】
なお、スカーフ10の表面のみに撥水加工を薄く施す場合(例えば、霧状のフッ素コーティング剤やシリコンコーティング剤を吹き付ける場合)があってもよいし、防水加工や撥水加工を施さない場合があってもよい。
【0017】
図3を用いて、本発明の第二の実施形態によるスカーフ20を説明する。
図3は、スカーフ20の表面を正面から見た図である。
【0018】
図3に示すように、スカーフ20の表面には、口孔部11を被うための布片21が縫い付けられている。布片21を縫いつけることで、布片21の縫い付けられていない部分(
図3において布片21の右半分の部分)をめくることができ、口孔部11を露出させることもできる。布片21により口孔部11が隠されるため、スカーフとしての審美性が失われないという利点があると伴に、スカーフ20をバッグのカバーとして使用する場合には、口孔部11より雨水が進入することを防止することもできる。また、布片21は、スカーフ20の本体と同じ生地や同じ模様で形成されていることが好適である。また、布片21は、裏面に縫い付けられる場合があってもよい。
【0019】
また、口孔部11から雨水が進入しないように、口孔部11にホックやファスナー等の口孔を閉じる構造物が設けられる場合があってもよい。
【0020】
図4を用いて、本発明の第三の実施形態によるスカーフ30を説明する。
図4は、スカーフ30の表面を正面から見た図である。
【0021】
図4に示すスカーフ30は、口孔部31の長さが25cm、幅が7.5cmの大きさで形成されている。上述のスカーフ10、20の口孔部11とは異なり、口孔部に幅を持たせることで、バッグの取っ手を通し易くしている。なお、口孔部の幅は、7.5cm以上であってもよいし7.5cm以下であってもよいし、口孔部の幅を使用するバッグの取っ手の厚みに合せて形成してもよい。
【0022】
図5乃至
図8を用いて、本発明の第一の実施形態によるスカーフ10をバッグ100のカバーとして使用した状態とバッグ100のアクセサリーとして使用した状態を説明する。
【0023】
図6は、スカーフ10を
図5に示すバッグ100のカバーとして使用した状態を示している。スカーフ10の口孔部11にバッグ100の取っ手を通すことで、バッグ100をスカーフ10で被っている。バッグ100のカバーとしてスカーフ10を用いることで、スカーフ10の模様を楽しむこともできると伴に、バッグ100を雨水や太陽光線や埃等から防護することができる。
【0024】
図7は、スカーフ10をバッグ100のカバーとして使用した状態を示し、
図6とは異なる使用状態を示している。
図7に示す使用状態では、スカーフ10の端の部分を折りたたみヘアピン等で留めてことで、スカーフ10でバッグ100の全体を包み込むようにしている。また、スカーフ10の端の部分を結ぶことで、スカーフ10でバッグ100の全体を包み込むようにしてもよい。
【0025】
図8は、スカーフ10をバッグ100のアクセサリーとして使用した状態を示している。
図8に示すように、雨が降っていない場合に、バッグの取っ手にスカーフ10を結びつけることで、バッグのアクセサリーとして使用し、雨が降りだした場合に、
図6または
図7に示すようにスカーフ10をバッグのカバーとして使用することができる。
【0026】
また、スカーフ10、20、30は、バッグのカバーやアクセサリー以外の用途で用いてもよい。例えば、スカーフ10、20、30は、撥水加工が施されていることで汚れがつきにくいため、外出先において、幼児や乳児のよだれかけとしての用途や食事の際のエプロンとしての用途に用いてもよい。
【0027】
上述の実施形態は、本発明の好適な一例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上述の説明によって不当に限定されるものではない。また、上述の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。また、上述の実施形態で説明される構成は相互に付け足したり組み合わせたりしてもよい。
【0028】
本発明は、あらゆる素材(例えば、綿、麻等の食物繊維、シルク、ウール、カシミア、蜘蛛糸等の動物繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル、ポリウレタン等の合成繊維、またはこれらの繊維のうちのいずれかを配合した繊維)のスカーフ、ストール、及びハンカチにおいても適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、スカーフにおいて広く利用可能である。
【符号の説明】
【0030】
10、20、30 スカーフ
11、31 口孔部
12 補強布
12a、12b 玉縁
21 布片
100 バッグ