(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】転居管理装置及び転居管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20120101AFI20220224BHJP
【FI】
G06Q30/02
(21)【出願番号】P 2017136682
(22)【出願日】2017-07-13
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】P 2016231182
(32)【優先日】2016-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513233768
【氏名又は名称】染谷 豊浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100166774
【氏名又は名称】右田 敏之
(72)【発明者】
【氏名】染谷 豊浩
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-122241(JP,A)
【文献】特開2007-041891(JP,A)
【文献】特開2002-150144(JP,A)
【文献】特開2015-129980(JP,A)
【文献】特開2009-032285(JP,A)
【文献】特開2006-236007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の住所を含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶部と、
各不動産物件の住所を
含み、各不動産物件の賃貸又は売買に係る不動産広告情報を記憶する不動産広告情報記憶部から、前記顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報に含まれる顧客の住所に係る不動産物件の不動産
広告情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された不動産
広告情報の広告掲載時期に基づいて、前記顧客の転居の有無を判定する転居判定手段と
を備える、転居管理
装置。
【請求項2】
前記不動産
広告情報記憶部は、不動産物件の価値に関する価値情報を含む前記不動産広告情報を記憶するように構成されており、
前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、前記顧客の住所に係る不動産物件の不動産広告情報に含まれる前記価値情報に基づいて、当該顧客の富裕度を推定する富裕度推定手段と、
前記富裕度推定手段によって推定された富裕度に応じた広告情報を提供する第1提供手段とをさらに備える、
請求項1に記載の転居管理
装置。
【請求項3】
前記不動産
広告情報記憶部は、不動産物件の間取りに関する間取り情報を含む前記不動産広告情報を記憶するように構成されており、
前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、前記顧客の住所に係る不動産物件の不動産広告情報に含まれる前記間取り情報に基づいて、当該顧客の家族構成を推定する家族構成推定手段と、
前記家族構成推定手段によって推定された家族構成に応じた広告情報を提供する第2提供手段とをさらに備える、
請求項1又は2に記載の転居管理
装置。
【請求項4】
前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、前記
広告掲載時期に基づいて、当該転居した時期を推定する転居時期推定手段をさらに備える、
請求項1乃至3の何れかに記載の転居管理
装置。
【請求項5】
顧客の住所を含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶部と、
各不動産物件の住所を含み、各不動産物件が空室であるか否かを示す不動産空室情報を記憶する不動産空室情報記憶部から、前記顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報に含まれる顧客の住所に係る不動産物件の不動産空室情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された不動産空室情報に基づいて、前記顧客の転居の有無を判定する転居判定手段と
を備える、転居管理装置。
【請求項6】
前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、当該顧客に対して住所変更の手続を促す変更催促情報を提供する第3提供手段をさらに備える、
請求項1乃至5の何れかに記載の転居管理
装置。
【請求項7】
前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、当該顧客に対して転居に関するサービスを紹介するためのサービス情報を提供する第4提供手段をさらに備える、
請求項1乃至6の何れかに記載の転居管理
装置。
【請求項8】
コンピュータが、顧客の住所を取得するステップと、
前記コンピュータが、各不動産物件の住所を含み、各不動産物件の賃貸又は売買に係る不動産広告情報を記憶する不動産広告情報記憶部から、取得した顧客の住所に係る不動産物件の不動産広告情報を取得するステップと、
前記コンピュータが、取得した不動産広告情報の広告掲載時期に基づいて、前記顧客の転居の有無を判定するステップと
を有する、転居管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客の転居の有無を管理するための転居管理システム及び転居管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各事業者は、顧客に対して各種の連絡を行う等の目的で、顧客の住所を含む顧客情報を管理している。連絡を確実に行うためには正確な住所を把握しておく必要があるため、顧客が転居した場合、そのことを顧客情報に反映させる必要がある。このような顧客の転居を確認するための情報システムが、従来種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、顧客識別情報が印刷された転送不要の郵送物及び転送用の郵送物を作成して顧客宛に郵送し、これらの郵送物の返送状況を、返送されてきた郵送物に印刷されている顧客識別情報を読み取ることにより確認し、その結果に基づいて転居の有無及び住所の不備等を判定する転居管理システムが開示されている。この転居管理システムによれば、郵送物の返送状況を確認するのみで、転居の有無等を把握することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の転居管理システムの場合、郵送物の作成・郵送、及び返送された郵送物の受領等、相当な時間及び手間を要するという問題がある。また、当該転居管理システムの場合、顧客が転送サービスを利用していなければ、まったく機能しない。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、上記課題を解決することができる転居管理システム及び転居管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、近年の情報技術の進展に伴って、不動産物件に関する各種情報の蓄積が充実するに至っていることに鑑み、それらの情報を利用することによって、顧客の転居の有無を管理することができることを見出した。この知見に基づき、本発明者は以下の発明を得た。
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の転居管理装置は、顧客の住所を含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶部と、各不動産物件の住所を含み、各不動産物件の賃貸又は売買に係る不動産広告情報を記憶する不動産広告情報記憶部から、前記顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報に含まれる顧客の住所に係る不動産物件の不動産広告情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された不動産広告情報の広告掲載時期に基づいて、前記顧客の転居の有無を判定する転居判定手段とを備える。
【0009】
上記態様の転居管理装置において、前記不動産広告情報記憶部は、不動産物件の価値に関する価値情報を含む前記不動産広告情報を記憶するように構成されており、前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、前記顧客の住所に係る不動産物件の不動産広告情報に含まれる前記価値情報に基づいて、当該顧客の富裕度を推定する富裕度推定手段と、前記富裕度推定手段によって推定された富裕度に応じた広告情報を提供する第1提供手段とをさらに備えていてもよい。
【0010】
また、上記態様の転居管理装置において、前記不動産広告情報記憶部は、不動産物件の間取りに関する間取り情報を含む前記不動産広告情報を記憶するように構成されており、前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、前記顧客の住所に係る不動産物件の不動産広告情報に含まれる前記間取り情報に基づいて、当該顧客の家族構成を推定する家族構成推定手段と、前記家族構成推定手段によって推定された家族構成に応じた広告情報を提供する第2提供手段とをさらに備えていてもよい。
【0011】
また、上記態様の転居管理装置において、前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、前記広告掲載時期に基づいて、当該転居した時期を推定する転居時期推定手段をさらに備えていてもよい。
【0012】
本発明の他の態様の転居管理装置は、顧客の住所を含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶部と、各不動産物件の住所を含み、各不動産物件が空室であるか否かを示す不動産空室情報を記憶する不動産空室情報記憶部から、前記顧客情報記憶部に記憶されている顧客情報に含まれる顧客の住所に係る不動産物件の不動産空室情報を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された不動産空室情報に基づいて、前記顧客の転居の有無を判定する転居判定手段とを備える。
【0013】
また、上記態様の転居管理装置において、前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、当該顧客に対して住所変更の手続を促す変更催促情報を提供する第3提供手段をさらに備えていてもよい。
【0014】
また、上記態様の転居管理装置において、前記転居判定手段によって前記顧客が転居ありと判定された場合、当該顧客に対して転居に関するサービスを紹介するためのサービス情報を提供する第4提供手段をさらに備えていてもよい。
【0015】
本発明の一の態様の転居管理方法は、コンピュータが、顧客の住所を取得するステップと、前記コンピュータが、各不動産物件の住所を含み、各不動産物件の賃貸又は売買に係る不動産広告情報を記憶する不動産広告情報記憶部から、取得した顧客の住所に係る不動産物件の不動産広告情報を取得するステップと、前記コンピュータが、取得した不動産広告情報の広告掲載時期に基づいて、前記顧客の転居の有無を判定するステップとを有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、不動産管理情報を利用することによって顧客の転居の有無を容易に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る転居管理システム及びその通信先の構成を示すブロック図。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る転居管理装置の構成を示すブロック図。
【
図3】本発明の実施の形態1に係る転居管理装置に設けられている顧客情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図4】本発明の実施の形態1に係る転居管理装置に設けられている広告掲載情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図5】本発明の実施の形態1に係る転居管理装置によって実行される転居有無判定処理の手順を示すフローチャート。
【
図6】本発明の実施の形態1に係る転居管理装置によって実行される第1情報提供処理の手順を示すフローチャート。
【
図7】本発明の実施の形態1に係る転居管理装置によって実行される第2情報提供処理の手順を示すフローチャート。
【
図8】顧客端末のディスプレイ上に表示される住所変更催促画面の一例を示す図。
【
図9】顧客端末のディスプレイ上に表示される転居関連サービス画面の一例を示す図。
【
図10】本発明の実施の形態2に係る転居管理装置に設けられている広告掲載情報データベースのレイアウトの一例を示す図。
【
図11】本発明の実施の形態2に係る転居管理装置に設けられている賃料-収入レベルテーブルの一例を示す図。
【
図12】本発明の実施の形態2に係る転居管理装置に設けられている間取り-家族構成テーブルの一例を示す図。
【
図13】本発明の実施の形態2に係る転居管理装置によって実行される第3情報提供処理の手順を示すフローチャート。
【
図14】本発明の実施の形態2に係る転居管理装置によって実行される第4情報提供処理の手順を示すフローチャート。
【
図15】本発明の実施の形態3に係る転居管理装置によって実行される広告情報提供処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0019】
(実施の形態1)
[転居管理システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る転居管理システム及びその通信先の構成を示すブロック図である。本実施の形態の転居管理システムは、
図1における転居管理装置1により構成されている。転居管理装置1は、複数の顧客に対して各種のサービス・商品を提供する事業者(以下「サービス事業者」という)側に設けられる装置であり、
図1に示すとおり、その顧客側で用いられる複数の顧客端末2,2,…と通信可能に接続されている。その他にも、転居管理装置1は、不動産の賃貸・売買に係る広告情報を蓄積する不動産広告データベース(DB)3と通信可能に接続されている。
【0020】
顧客端末2,2,…は、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話機、タブレット端末及びPDA(Personal Digital Assistant)等の通信機能を有する装置等で構成される。転居管理装置1は、これらの顧客端末2,2,…とインターネット等の通信ネットワーク100を介して通信を行う。
【0021】
なお、不動産広告DB3としては、現在普及している「レインズ」(登録商標)等の不動産流情報システムを利用することが可能である。
【0022】
[転居管理装置の構成]
以下、上述した転居管理装置1の詳細な構成について説明する。
図2は、実施の形態1の転居管理装置1の構成を示すブロック図である。
図2に示すとおり、コンピュータ(転居管理装置)1は、CPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、及び通信インタフェース(I/F)14を備えており、これらのCPU10、ROM11、RAM12、ハードディスク13、及び通信I/F14は、バス15によって接続されている。
【0023】
CPU10は、RAM12にロードされた各種のコンピュータプログラムを実行する。これにより、コンピュータ1が本実施の形態の転居管理装置1として機能することになる。
【0024】
ROM11は、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、又はEEPROM(Electrically Erasable PROM)等によって構成されており、CPU10にて実行されるコンピュータプログラム及びその実行の際に用いられるデータ等が記憶されている。
【0025】
RAM12は、SRAM又はDRAMなどによって構成されている。このRAM12は、ハードディスク13に記憶されている各種のコンピュータプログラムの読み出し等に用いられる。また、CPU10が各種のコンピュータプログラムを実行するときに、CPU10の作業領域としても利用される。
【0026】
ハードディスク13には、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなど、CPU10に実行させるための各種のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータ等が予めインストールされている。また、このハードディスク13には、顧客に関する顧客情報が格納される顧客情報データベース(DB)13Aと、不動産広告DB3から取得した、不動産物件の広告掲載に関する広告掲載情報が格納される広告掲載情報データベース(DB)13Bとが設けられている。これらの各データベースの詳細については後述する。
【0027】
さらに、ハードディスク13には、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、各種のコンピュータプログラムが当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0028】
通信I/F14は、通信ネットワーク100を介して転居管理装置1が外部の装置と通信するためのインタフェース装置である。転居管理装置1は、この通信I/F14を介して、顧客端末2,2,…及び不動産広告DB3との間で各種のデータの送受信を行う。
【0029】
以下、ハードディスク13に設けられている各データベースの詳細について説明する。
(A)顧客情報DB13A
図3は、本発明の実施の形態1に係る転居管理装置1に設けられている顧客情報DB13Aのレイアウトの一例を示す図である。
図3に示すように、顧客情報DB13Aは、顧客を識別するための顧客IDが格納される顧客IDフィールド101、顧客の氏名又は名称が格納される氏名フィールド102、顧客の住所の郵便番号が格納される郵便番号フィールド103、顧客の住所が格納される住所フィールド104、その住所に顧客が居住していることが確認可能な日である確認日が格納される確認日フィールド105、後述する転居有無判定処理による転居の有無の判定結果が格納される転居フィールド106、転居したと判定された場合に後述するようにして推定された転居時期が格納される時期フィールド107、及び顧客の電子メールアドレスが格納される電子メールフィールド108を少なくとも有している。
【0030】
上記の確認日フィールド105には、例えば、顧客情報の登録日、顧客から住所変更の申請を受け取った日、及び、サービス事業者から顧客がダイレクトメールを受け取った日(未受領で返送されてこなかった場合におけるダイレクトメールの通知日、又は受領確認ができた日等)等のうち最も遅い日等が、確認日として格納される。
【0031】
上記の顧客情報DB13Aに格納される顧客情報は、顧客から得られた情報に基づいて生成される。また、当該顧客情報は、後述するように、転居有無判定処理において適宜更新される。
【0032】
(B)広告掲載情報DB13B
図4は、本発明の実施の形態1に係る転居管理装置1に設けられている広告掲載情報DB13Bのレイアウトの一例を示す図である。
図4に示すように、広告掲載情報DB13Bは、各不動産物件の広告を識別するための広告IDが格納される広告IDフィールド201、当該物件が賃貸及び売買の何れに係るものであるのかを示す物件種類が格納される物件種類フィールド202、当該物件の郵便番号が格納される郵便番号フィールド203、当該物件の住所が格納される住所フィールド204、当該広告の掲載が開始された時期(以下「掲載開始時期」という)が格納される掲載開始フィールド205、同じく終了した時期(以下「掲載終了時期」という)が格納される掲載終了フィールド206、当該広告の広告主が格納される広告主フィールド207、及びその広告主の連絡先が格納される連絡先フィールド208を有している。
【0033】
上記の広告掲載情報DB13Bに格納される広告掲載情報を参照することにより、不動産物件が賃貸又は売買される予定であるという当該不動産物件の管理状況を把握することができる。この広告掲載情報は、転居管理装置1が不動産広告DB3にアクセスして取得した情報により生成される。そのアクセスが適宜のタイミングで繰り返し行われることにより、広告掲載情報DB13Bの内容は最新の状態に保たれている。なお、広告掲載情報DB13Bに格納されている各種情報の一部が不動産広告DB3以外から取得された情報であってもよい。
【0034】
[転居管理システムの動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の転居管理システムの動作について、フローチャート等を参照しながら説明する。本実施の形態の転居管理システムにおいて実行される主な処理には、(1)顧客の転居の有無を判定するための転居有無判定処理、及び(2)転居の可能性があると判定した顧客に対して各種の情報を提供するための情報提供処理がある。以下では、これらの各処理の詳細について説明する。
【0035】
(1)転居有無判定処理
図5は、本発明の実施の形態1の転居管理装置1によって実行される転居有無判定処理の手順を示すフローチャートである。
図5に示すとおり、転居管理装置1はまず、顧客情報DB13Aを参照して処理対象となる顧客情報を特定する(S101)。次に、転居管理装置1は、特定した顧客情報から顧客の郵便番号及び住所を取得し(S102)、その郵便番号及び住所をキーとして広告掲載情報を検索する(S103)。
【0036】
上記のステップS103による検索の結果、広告掲載情報が検索されなかった場合、すなわち、顧客の住所と同一の住所の不動産物件に係る広告掲載情報が広告掲載情報DB13Bに存在しなかった場合(S104でNO)、転居管理装置1は、顧客は転居していないと判定する(S105)。顧客の住所と同一の住所の不動産物件に係る広告掲載情報が広告掲載情報DB13Bに存在しないということは、顧客の住所に係る物件が賃貸又は売買の広告に掲載されていないということになるため、転居管理装置1は、上記のとおり顧客が転居していないものと判断する。
【0037】
他方、上記のステップS103による検索で広告掲載情報が検索された場合、すなわち、顧客の住所と同一の住所の不動産物件に係る広告掲載情報が広告掲載情報DB13Bに存在している場合(S104でYES)、転居管理装置1は、その広告掲載情報に含まれている掲載開始時期と顧客情報に含まれている確認日とを比較し、掲載開始時期の方が前又は同一であるか否かを判定する(S106)。ここで、掲載開始時期の方が前又は同一ではない、すなわち確認日の方が掲載開始時期よりも前であると判定した場合(S106でNO)、転居管理装置1は、顧客は転居したものと判定する(S107)。確認日が掲載開始時期よりも前であるということは、確認日より後に顧客の住所に係る物件が賃貸又は売買の広告に掲載されたということになるため、顧客が転居した可能性が高く、したがって、転居管理装置1は、上記のとおり顧客が転居したものと判断する。
【0038】
顧客が転居したと判定された場合、転居管理装置1は、掲載開始時期に基づいて転居時期を推定する(S108)。この場合、転居管理装置1は、掲載開始時期又は掲載開始時期より所定期間前(例えば、1ヵ月前等)の時点を転居時期と推定する。
【0039】
他方、ステップS106において、確認日よりも掲載開始時期の方が前又は同一であると判定された場合(S106でYES)、転居管理装置1は、広告掲載情報に含まれている掲載終了時期と確認日とを比較し、掲載終了時期の方が前又は同一であるか否かを判定する(S109)。ここで、掲載終了時期の方が前又は同一であると判定した場合(S109でYES)、転居管理装置1は、顧客は転居していないものと判定する(S105)。この場合、広告の掲載が終了された後(又は広告の掲載終了と同日)に顧客の住所の確認ができているため、顧客がその広告に係る物件への居住を開始したと判断できる。そのため、転居管理装置1は、上記のとおり顧客が転居していないものと判断する。
【0040】
また、ステップS109において、掲載終了時期の方が前又は同一ではない、すなわち確認日の方が掲載終了時期よりも前であると判定した場合(S109でNO)、広告に係る物件に顧客が居住しているものと判断できるため、転居管理装置1は、顧客は転居する予定があるものと判定する(S110)。なお、広告掲載情報に掲載終了時期が含まれていない場合、すなわち広告掲載が継続している場合は、ステップS109において確認日の方が掲載終了時期よりも前であると判定される(S109でNO)。
【0041】
上述したようにしてステップS105、S107及びS108、又はS110が実行された後、転居管理装置1は、顧客情報を更新する(S111)。ここで、ステップS105が実行された場合は転居していないことを示す情報が、ステップS107及びS108が実行された場合は転居したことを示す情報が、ステップS110が実行された場合は転居する予定であることを示す情報が、転居フィールド106に格納されることになる。
【0042】
次に、転居管理装置1は、すべての顧客情報について処理を行ったか否かを判定し(S112)、まだ処理していない顧客情報が存在すると判定した場合(S112でNO)、ステップS101に戻ってそれ以降の処理を実行する。他方、すべての顧客情報について処理を行ったと判定した場合(S112でYES)、転居管理装置1は転居有無判定処理を終了させる。
【0043】
上記の転居有無判定処理は、所定の時間間隔で繰り返し実行される。これにより、顧客の住所についてのメンテナンスを行うことができる。
【0044】
(2)情報提供処理
上述した転居有無判定処理が終了した後、転居管理装置1は、情報提供処理を実行する。この情報提供処理には、転居したと判定された顧客に対して情報を提供するための第1情報提供処理と、転居の予定ありと判定された顧客に対して情報を提供するための第2情報提供処理とがある。以下、それぞれの処理について説明する。
【0045】
(2-1)第1情報提供処理
図6は、本発明の実施の形態1に係る転居管理装置によって実行される第1情報提供処理の手順を示すフローチャートである。
図6に示すとおり、転居管理装置1は、顧客情報DB13Aを参照して、転居フィールド106に転居したことを示す情報が格納されている顧客情報を抽出することにより、転居したと判定された顧客を特定する(S201)。次に、転居管理装置1は、その顧客に対して提供する住所変更催促情報及び転居関連サービス情報を生成する(S202)。ここで、住所変更催促情報とは、住所変更を容易に実行するための情報であり、転居関連サービス情報とは、転居に伴って利用することが多いサービス・商品に関する情報である。これら住所変更催促情報及び転居関連サービス情報の具体例については後述する。
【0046】
次に、転居管理装置1は、生成した住所変更催促情報及び転居関連サービス情報を参照するためのURLを、顧客情報に含まれている電子メールアドレス宛に電子メールにて送信する(S203)。この電子メールを受信した顧客端末2が当該URLにアクセスすることにより、転居したと判定された顧客に対して、住所変更催促情報及び転居関連サービス情報が提供されることになる。
【0047】
(2-2)第2情報提供処理
図7は、本発明の実施の形態1に係る転居管理装置によって実行される第2情報提供処理の手順を示すフローチャートである。
図7に示すとおり、転居管理装置1は、顧客情報DB13Aを参照して、転居フィールド106に転居の予定があることを示す情報が格納されている顧客情報を抽出することにより、転居の予定があると判定された顧客を特定する(S301)。次に、転居管理装置1は、その顧客に対して提供する転居関連サービス情報を生成し(S302)、上記の第1情報提供処理の場合と同様にして、当該転居関連サービス情報を参照するためのURLを電子メールにて送信する(S303)。この電子メールを受信した顧客端末2が当該URLにアクセスすることにより、転居の予定があると判定された顧客に対して、転居関連サービス情報が提供されることになる。なお、第1情報提供処理の場合と同様に、転居関連サービス情報と併せて住所変更催促情報を提供するようにしてもよい。
【0048】
上述した住所変更催促情報は、顧客端末2のディスプレイ上に表示される住所変更催促画面にて参照され、転居関連サービス情報は、同じく表示される転居関連サービス画面にて参照される。
図8及び
図9はそれぞれ、上記の住所変更催促画面及び転居関連サービス画面の一例を示す図である。
図8に示すとおり、住所変更催促画面1001には、転居した場合に新住所の登録を促すためのメッセージが表示されるとともに、新住所を入力するための入力欄1002と、入力された新住所を転居管理装置1に対して送信するための送信ボタン1003とが設けられている。この住所変更催促画面1001を参照した顧客は、実際に転居している場合、新住所を入力欄1002に入力して送信ボタン1003をクリックする。これにより、住所変更の手続をスムースに行うことができる。
【0049】
図9に示すとおり、転居関連サービス画面2001には、転居に伴って利用することが想定される各種のサービス・商品(例えば、家具・電化製品・各種保険・各種ローン等)を紹介する複数の表示欄2002と、それらの表示欄2002のそれぞれと対応付けられた複数のチェックボックス2003と、チェックボックス2003にチェックが入ったサービス・商品を特定する情報を転居管理装置1に対して送信するための送信ボタン2004とが設けられている。この転居関連サービス画面2001を参照した顧客は、興味があるサービス・商品が表示欄2002に表示されている場合、その表示欄2002と対応付けられたチェックボックス2003にチェックを入れた上で、送信ボタン2004をクリックする。これにより、転居管理装置1は、顧客が興味をもっているサービス・商品を把握することが可能になるため、その後当該サービス・商品についての詳細な情報を当該顧客に提供する等の対応をとることができる。
【0050】
上記のように、本実施の形態では、転居関連サービス画面2001を介して顧客の興味を確認することができるが、これにとどまらず、顧客が興味を有するサービス・商品の購入・契約申込を行うようにしてもよい。例えば、転居関連サービス画面2001に購入・契約申込用のボタンを設け、これが顧客によってクリックされた場合、そのことを検出した転居管理装置1が購入・契約申込に必要な手続を実行するようにしてもよい。
【0051】
なお、本実施の形態の場合、転居管理装置1は、転居時期を推定することができるため、その推定した時期に応じて適切な内容の転居関連サービス情報を提供することができる。例えば、情報の提供時期が転居して間もない時期である場合は当該時期に必要となることが多いサービス・商品、情報の提供時期が転居してから所定期間経過した後である場合はそのときに必要になることが多いサービス・商品に関する各種情報を提供すること等が可能になる。
【0052】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1では、転居した又は転居の予定があると判定された顧客に対して、転居関連サービス情報を提供している。これに対し、実施の形態2の転居管理システムは、転居とは直接関連しないサービス・商品に関する情報を提供する。
【0053】
[転居管理システム・転居管理装置の構成]
本実施の形態の転居管理システム及び転居管理装置の構成は、広告掲載情報DB13Bの内容以外は実施の形態1の場合と同様である。以下、広告掲載情報DB13Bの内容について説明する。
図10は、本発明の実施の形態2に係る転居管理装置に設けられている広告掲載情報DB13Bのレイアウトの一例を示す図である。
図10に示すように、広告掲載情報DB13Bは、各不動産物件の価値を示す情報が格納される価値フィールド209、及び当該物件の間取りを示す情報が格納される間取りフィールド210を有している。それ以外のフィールドについては、実施の形態1の場合と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
本実施の形態において、価値フィールド209には、不動産物件の賃料又は売買価格が格納されている。但し、これら以外にも、価値フィールド209に格納される不動産物件の価値を示す情報として、管理費、築年数、駅からの距離、及び構造(鉄筋、木造など)等を用いてもよい。また、これらの各情報を組み合わせることによって、不動産物件の価値を規定するようにしてもよい。
【0055】
また、本実施の形態において、間取りフィールド210には、不動産物件の間取りを直接示す情報が格納されているが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、間取りフィールド210には床面積が格納されており、転居管理装置1がその床面積に基づいて間取りを推定するようにしてもよい(例えば、床面積が100平法メートルの場合は3LDKと推定する等)。
【0056】
後述するように、本実施の形態の転居管理装置1は、上記の価値フィールド209に格納されている情報に基づいて、各顧客の富裕度を推定する。ここで、富裕度とは、顧客の富裕性の度合いを示す指標であって、例えば、収入レベル及び保有資産レベル等から導かれるものである。転居管理装置1は、賃料と収入レベルとの対応を示す賃料-収入レベルテーブル、及び売買価格と収入レベルとの対応を示す売買価格-収入レベルテーブルをハードディスク13に記憶しており、これらのテーブルから得られた顧客の収入レベルに基づいて、顧客の富裕度を推定する。
図11は、上記の賃料-収入レベルテーブルの一例を示す図である。この例では、賃料が0万円以上3万円未満の場合は収入レベルが100万円等のように、賃料と収入レベルとが対応付けられている。これと同様に、上記の売買価格-収入レベルテーブルでは、売買価格と収入レベルとが対応付けられている。
【0057】
また、本実施の形態の転居管理装置1は、後述するように、上記の間取りフィールド210に格納されている情報に基づいて、各過酷の家族構成を推定する。具体的には、転居管理装置1が、間取りと家族構成との対応を示す間取り-家族構成テーブルをハードディスク13に記憶しており、このテーブルより顧客の家族構成を推定する。
図12は、上記の間取り-家族構成テーブルの一例を示す図である。この例では、間取りが1K又は1DKの場合は家族構成が独身等のように、間取りと家族構成とが対応付けられている。
【0058】
[転居管理システムの動作]
次に、上述したように構成された本実施の形態の転居管理システムの動作について、フローチャートを参照しながら説明する。なお、本実施の形態の転居管理システムも、実施の形態1の場合と同様に、(1)転居有無判定処理、並びに(2-1)第1情報提供処理及び(2-2)第2情報提供処理を実行する。そして、本実施の形態の転居管理システムはさらに、下記の第3及び第4情報提供処理を実行する。
【0059】
(2-3)第3情報提供処理
図13は、本発明の実施の形態2に係る転居管理装置によって実行される第3情報提供処理の手順を示すフローチャートである。
図13に示すとおり、転居管理装置1は、顧客情報DB13Aを参照して、転居フィールド106に転居したことを示す情報が格納されている顧客情報を抽出することにより、転居したと判定された顧客及び転居の予定があると判定された顧客を特定する(S401)。次に、転居管理装置1は、特定した顧客の顧客情報から顧客の郵便番号及び住所を取得し(S402)、その郵便番号及び住所をキーとして広告掲載情報DB13Bから広告掲載情報を抽出する(S403)。
【0060】
転居管理装置1は、抽出された広告掲載情報に含まれている不動産物件の価値を示す情報(賃料又は売買価格)に基づいて、顧客の富裕度を推定する(S404)。より詳細について説明すると、転居管理装置1は、抽出された広告掲載情報に含まれている賃料(又は売買価格)と、賃料-収入レベルテーブル(又は売買価格-収入レベルテーブル)とから顧客の収入レベルを特定する。そして、転居管理装置1は、所定のルールに基づいて、その収入レベルから顧客の富裕度を推定する。このルールとしては、例えば、収入レベルが100万円の場合は富裕度1、同じく200万円の場合は富裕度2等と規定するものが想定される。
【0061】
次に、転居管理装置1は、推定した顧客の富裕度に基づいて、その顧客に対して提供する広告情報を生成する(S405)。具体的には、転居管理装置1が、富裕度に応じて定められているサービス・商品(例えば、富裕度が高い場合は高額なサービス・商品、低い場合は低額なサービス・商品等)に関する広告情報をハードディスク13に記憶しており、その広告情報の中から、推定した顧客の富裕度に対応したものを抽出することにより、その顧客に提供する広告情報を生成する。
【0062】
次に、転居管理装置1は、実施の形態1の場合と同様に、生成した広告情報を参照するためのURLを、顧客情報に含まれている電子メールアドレス宛に電子メールにて送信する(S406)。この電子メールを受信した顧客端末2が当該URLにアクセスすることにより、転居したと判定された顧客又は転居予定ありと判定された顧客に対して、その顧客の富裕度に応じた内容の広告情報が提供されることになる。
【0063】
(2-4)第4情報提供処理
図14は、本発明の実施の形態2に係る転居管理装置によって実行される第4情報提供処理の手順を示すフローチャートである。
図14に示すとおり、転居管理装置1は、上述した第3情報提供処理におけるステップS401乃至S403と同様にして、転居したと判定された顧客及び転居の予定があると判定された顧客を特定し(S501)、特定した顧客の顧客情報から顧客の郵便番号及び住所を取得し(S502)、その郵便番号及び住所をキーとして広告掲載情報DB13Bから広告掲載情報を抽出する(S503)。
【0064】
次に、転居管理装置1は、抽出された広告掲載情報に含まれている不動産物件の間取りを示す情報と、上述した間取り-家族構成テーブルとを用いて、顧客の家族構成を推定する(S504)。そして、転居管理装置1は、推定した家族構成に基づいて、その顧客に対して提供する広告情報を生成する(S505)。具体的には、転居管理装置1が、家族構成に応じて定められているサービス・商品(例えば、家族構成が独身である場合は独身向けのサービス・商品、子供がいる場合は子供向けのサービス・商品等)に関する広告情報をハードディスク13に記憶しており、その広告情報の中から、推定した顧客の家族構成に対応したものを抽出することにより、その顧客に提供する広告情報を生成する。
【0065】
次に、転居管理装置1は、実施の形態1の場合と同様に、生成した広告情報を参照するためのURLを、顧客情報に含まれている電子メールアドレス宛に電子メールにて送信する(S506)。この電子メールを受信した顧客端末2が当該URLにアクセスすることにより、転居したと判定された顧客又は転居予定ありと判定された顧客に対して、その顧客の家族構成に応じた内容の広告情報が提供されることになる。
【0066】
なお、本実施の形態では転居とは直接関連しないサービス・商品に関する情報を提供することを例として挙げたが、転居と関連するものであっても構わない。その場合、転居に関連するサービス・商品であって、顧客の富裕度・家族構成に応じたものに関する広告情報を提供することが可能になる。
【0067】
(実施の形態3)
上記の実施の形態1及び2では、転居したと判定された顧客又は転居予定ありと判定された顧客に対して、各種サービス・商品についての情報の提供を行っている。これに対し、実施の形態3の転居管理システムは、転居の有無とは関係なく、各顧客に対して、各種サービス・商品についての情報の提供を行う。すなわち、実施の形態3では、転居有無判定処理と情報提供処理とが独立して行われる。
なお、本実施の形態の転居管理システム及び転居管理装置の構成は、実施の形態2の場合と同様であるため、説明を省略する。以下、その動作について説明する。
【0068】
[転居管理システムの動作]
本実施の形態の転居管理システムの動作について、フローチャートを参照しながら説明する。なお、本実施の形態の転居管理システムも、実施の形態2の場合と同様に、(1)転居有無判定処理を実行する。そして、本実施の形態の転居管理システムは、実施の形態2における(2-3)第3情報提供処理及び(2-4)第4情報提供処理に代えて、下記の広告情報提供処理を実行する。
【0069】
(2-5)広告情報提供処理
図15は、本発明の実施の形態3に係る転居管理装置によって実行される広告情報提供処理の手順を示すフローチャートである。
図15に示すとおり、転居管理装置1は、顧客情報DB13Aを参照して処理対象となる顧客情報を特定する(S601)。次に、転居管理装置1は、特定した顧客情報から顧客の郵便番号及び住所を取得し(S602)、その郵便番号及び住所をキーとして広告掲載情報を検索する(S603)。
【0070】
上記のステップS603による検索の結果、広告掲載情報が検索されなかった場合(S604でNO)、転居管理装置1は処理を終了する。他方、広告掲載情報が検索された場合、すなわち、顧客の住所と同一の住所の不動産物件に係る広告掲載情報が広告掲載情報DB13Bに存在している場合(S604でYES)、転居管理装置1は、その広告掲載情報に含まれている不動産物件の価値を示す情報に基づいて、上記の第3情報提供処理の場合と同様にして顧客の富裕度を推定する(S605)。また、転居管理装置1は、その広告掲載情報に含まれている不動産物件の間取りを示す情報に基づいて、上記の第4情報提供処理の場合と同様にして顧客の家族構成を推定する(S606)。
【0071】
次に、転居管理装置1は、第3及び第4情報提供処理の場合と同様に、推定した顧客の富裕度及び家族構成に基づいて、その顧客に対して提供する広告情報を生成し(S607)、その広告情報を参照するためのURLを、顧客情報に含まれている電子メールアドレス宛に電子メールにて送信する(S608)。この電子メールを受信した顧客端末2が当該URLにアクセスすることにより、各顧客に対して、その顧客の富裕度及び家族構成に応じた内容の広告情報が提供されることになる。
【0072】
なお、本実施の形態では、顧客の富裕度及び家族構成の両方に基づいて広告情報が生成されているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、いずれか一方のみに基づいて広告情報が生成されてもよい。
【0073】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態において、転居管理装置1は、不動産物件の広告情報を用いて転居の有無を判定しているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、不動産の各種管理を行うためのそれ以外の情報を用いるようにしてもよい。例えば、各不動産物件が空室であるか否かを示す不動産空室情報を用いて転居の有無を判定することができる。この場合、転居管理装置1は、不動産空室情報を参照することにより顧客の住所の物件が空室であるか否かを判定し、空室である場合は顧客が転居したと判定する。ここで、不動産空室情報に空室になった時期が含まれている場合、転居管理装置1は、その時期を転居の時期と推定することができる。
【0074】
また、上記の実施の形態において、転居管理装置1は、顧客が転居したと判定した場合、その転居の時期を掲載開始時期に基づいて推定しているが、それ以外の情報に基づいて推定することもできる。例えば、不動産物件の広告情報には、広告掲載時において当該不動産物件が居住中であるか否か、居住中の場合はいつから入居可能であるのか等の情報が含まれている場合があるため、転居管理装置1は、これらの情報を広告掲載情報DB13Bに格納しておき、顧客が転居したと判定した場合に当該情報に基づいて転居の時期を推定するようにしてもよい。この場合、入居可能な時期が特定できる場合はその時期を転居の時期と推定したり、居住中であることのみが分かっている場合は掲載開始時期より所定期間後(例えば、1ヵ月後等)の時点を転居の時期と推定したりすることが可能である。
【0075】
また、上記の実施の形態において、転居管理装置1は、確認日を管理しているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、確認日を管理していなくてもよい。その場合、例えば、顧客の住所に係る不動産物件について賃貸又は売買の広告が存在すれば、当該顧客は転居した(又は転居の予定がある)と判定し、当該広告が存在しなければ、転居していないと判定する等の処理を転居管理装置1が実行する。
【0076】
また、掲載開始時期及び掲載終了時期と確認日との比較は、上記の実施の形態における方法に限らず、様々なものを採用することができる。例えば、上記のステップS106においては、掲載開始時期の方が確認日よりも前又は同一であるか否かを判定しているが、前であるか否かのみ(つまり、確認日の方が後又は同一であるか否か)を判定するようにしてもよい。また、広告掲載の申込をしてから実際に広告が掲載されるまでには一定の期間を要すること等を考慮し、掲載開始時期から所定期間前(例えば、2週間前等)の時点と確認日とを比較するようにしてもよい。
【0077】
また、上記の実施の形態における第1及び第2情報提供処理では電子メールを用いて情報の提供が行われているが、本発明はこれに限定されるわけではない。電話、郵送(自動転送を含む)、SNS、メッセンジャーアプリケーション、ブラウザのクッキーを使った端末の特定による自動広告表示など、様々な手法を用いて情報の提供を行うことが可能である。
【0078】
また、上記の実施の形態における転居有無判定処理では、ステップS109において掲載終了時期の方が確認日よりも前又は同一であると判定された場合(S109でYES)に顧客は転居していないものと判定し、当該顧客に対しては特段の情報提供を行っていないが、本発明はこれに限定されるわけではない。この場合、転居管理装置1は、掲載終了時期と確認日との差に基づいて顧客が転居してから間もないか否かを判定し(例えば、当該差が所定期間以内である場合は転居してから間もないと判定する等)、顧客が転居してから間もないと判定したときは、転居して間もない時期に必要となることが多いサービス・商品に関する情報を、上述した第2情報提供処理と同様にして当該顧客に提供するようにしてもよい。
【0079】
なお、上記の実施の形態では、転居管理装置1が適宜のタイミングで繰り返し不動産広告DB3にアクセスして広告掲載情報を取得しているが、本発明はこれに限定されるわけではない。例えば、転居管理装置1は、転居有無判定処理を実行する都度、不動産広告DB3にアクセスして広告掲載情報を取得するようにしてもよい。
【0080】
上述した実施の形態では、単一のコンピュータ1によって転居管理装置1の機能が実現されているが、例えば複数のコンピュータによる分散システムによって転居管理装置1の機能が実現されていてもよく、様々な態様が想定される。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の転居管理システム及び転居管理方法はそれぞれ、各種事業における顧客の転居の有無を判定するためのシステム及び方法等として有用である。
【符号の説明】
【0082】
1 転居管理装置
2 顧客端末
3 不動産広告データベース
10 CPU
11 ROM
12 RAM
13 ハードディスク
13A 顧客情報データベース
13B 広告掲載情報データベース
14 通信インタフェース
15 バス
100 通信ネットワーク
1001 住所変更催促画面
2001 転居関連サービス画面