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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-02-22
(45)【発行日】2022-03-03
(54)【発明の名称】訓練装置及び訓練システム
(51)【国際特許分類】
   G09B 9/00 20060101AFI20220224BHJP
   A62B 99/00 20090101ALI20220224BHJP
【FI】
G09B9/00 M
A62B99/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018019328
(22)【出願日】2018-02-06
(65)【公開番号】P2018128676
(43)【公開日】2018-08-16
【審査請求日】2021-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2017019612
(32)【優先日】2017-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】599093052
【氏名又は名称】ヤマト商工有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129207
【弁理士】
【氏名又は名称】中越 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】中西 一郎
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-118715(JP,A)
【文献】特開昭56-6290(JP,A)
【文献】実開平4-23274(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108630085(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-9/56,17/00-19/26
A62B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、テーブルと、
前記テーブルを昇降させるための第1シリンダ装置、第2シリンダ装置及び第3シリンダ装置と、
前記テーブルと前記第1シリンダ装置とを連結する第1連結部材、前記テーブルと前記第2シリンダ装置とを連結する第2連結部材及び前記テーブルと前記第3シリンダ装置とを連結する第3連結部材と、
を含んで成り、
前記第1シリンダ装置が前記テーブルの奥行方向の一辺側の中央部近傍に配設され、前記第1シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第1連結部材の一端部側とが自在継手を介して連結され、前記第1連結部材の他端部側と、前記一辺の中央部とが軸受ユニットを介して連結され、
前記第2シリンダ装置が前記一辺に相対する前記テーブルの他辺側の一端部近傍に配設され、前記第2シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第2連結部材の一端部とが自在継手を介して連結され、前記第2連結部材の他端部側と、前記他辺の一端部とが軸受ユニットを介して連結され、
前記第3シリンダ装置が前記他辺側の他端部近傍に配設され、前記第3シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第3連結部材の一端部とが自在継手を介して連結され、前記第3連結部材の他端部と、前記他辺の他端部側であって、且つ前記テーブルの幅方向の中央部近傍とが軸受ユニットを介して連結されることを特徴とする訓練装置。
【請求項2】
前記テーブルの昇降移動を案内する昇降ガイドが配設され、
前記第1連結部材、前記第2連結部材及び前記第3連結部材にそれぞれ配設された昇降ブロックに前記昇降ガイドを嵌通させ、前記テーブルの昇降移動に伴って前記昇降ブロックが前記昇降ガイドに沿って昇降移動することを特徴とする請求項1に記載の訓練装置。
【請求項3】
前記昇降ガイドが前記昇降ブロックの移動方向に沿って複数の挿入孔を備えると共に、該挿入孔に挿入可能な係止ピンを備えることを特徴とする請求項2に記載の訓練装置。
【請求項4】
前記テーブルの一辺の両端部にそれぞれ配設され、一端側が前記テーブルに回転自在に取り付けられた固定用ピンと、
前記テーブルの昇降移動に伴って各前記固定用ピンの他端側の昇降移動を案内するガイドプレートと、
前記ガイドプレートの一端側が自在継手を介して吊着される支柱と、
を含んで構成され、
前記テーブルを昇降移動させた後、前記固定用ピンの他端側を前記ガイドプレートに止着することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の訓練装置。
【請求項5】
少なくとも、テーブルと、
前記テーブルを昇降させるための第1aシリンダ装置、第1bシリンダ装置、第2シリンダ装置及び第3シリンダ装置と、
前記テーブルと前記第2シリンダ装置とを連結する第2連結部材と、前記テーブルと前記第3シリンダ装置とを連結する第3連結部材と、
を含んで成り、
前記第1aシリンダ装置が前記テーブルの奥行方向の一辺側の一端部近傍に配設され、前記第1aシリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記一辺の一端部近傍とが自在継手を介して連結され、
前記第1bシリンダ装置が前記一辺側の他端部近傍に配設され、前記第1bシリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記一辺の他端部近傍とが自在継手を介して連結され、
前記第2シリンダ装置が前記一辺に相対する前記テーブルの他辺側の一端部近傍に配設され、前記第2シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第2連結部材の一端部とが自在継手を介して連結され、前記第2連結部材の他端部側と、前記他辺の一端部とが軸受ユニットを介して連結され、
前記第3シリンダ装置が前記他辺側の他端部近傍に配設され、前記第3シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第3連結部材の一端部とが自在継手を介して連結され、前記第3連結部材の他端部と、前記他辺の他端部側であって、且つ前記テーブルの幅方向の中央部近傍とが軸受ユニットを介して連結されることを特徴とする訓練装置。
【請求項6】
前記テーブルの昇降移動を案内する昇降ガイドが配設され、
前記テーブルの前記一辺の中央部に、前記一辺側を支持する支持部材が配設され、
前記支持部材、前記第2連結部材及び前記第3連結部材にそれぞれ配設された昇降ブロックに前記昇降ガイドを嵌通させ、前記テーブルの昇降移動に伴って前記昇降ブロックが前記昇降ガイドに沿って昇降移動することを特徴とする請求項5に記載の訓練装置。
【請求項7】
前記昇降ガイドが前記昇降ブロックの移動方向に沿って複数の挿入孔を備えると共に、該挿入孔に挿入可能な係止ピンを備えることを特徴とする請求項6に記載の訓練装置。
【請求項8】
前記テーブルを上下方向に貫通する障害棒が立設されていることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載の訓練装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8の何れかに記載の訓練装置を、前記テーブルの奥行方向及び/又は上下方向に複数並べて設置したことを特徴とする訓練システム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時の救助活動を行うための訓練などに好適な訓練装置であって、特に地震などによる家屋やビルの倒壊現場を再現しての模擬訓練に好適な訓練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種災害時における救助活動の訓練を行うための訓練装置が種々開示されている(例えば、特許文献1又は特許文献2参照)。特許文献1には、土石流を模擬する斜面機構と、該斜面機構の土石流により倒壊する家屋を模擬する家屋機構と、該家屋機構から上記家屋を倒壊させた土砂を回収する土砂回収機構とを備え、上記斜面機構が角度を任意に変更可能な斜面上の土砂ピット内に保持された土砂を上記斜面上に滑落させることにより土石流を模擬し、上記家屋機構が鉄骨ヒンジ接合骨組みにより支持された家屋を上記土石流により倒壊させクレーンにより吊り上げることにより元の形状に復旧させ、上記土砂回収機構が上記家屋を倒壊させた土石流から土砂と水とを固液分離装置により分離し分離した土砂を上記土砂ピットまで土砂搬送装置により搬送することを特徴とする倒壊家屋模擬装置が開示されている。
【0003】
この特許文献1に開示された倒壊家屋模擬装置によると、特に、家屋機構により土砂の重量により家屋を倒壊させ、また家屋を短時間で復元することができるので、土石流により倒壊する家屋を模擬することができるとともに救助訓練後の家屋を容易に復旧させることができる旨、記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、河川を模擬的に造り出す河川模擬装置であって、水槽と、該水槽内に貯留された水に水流を生じさせるポンプと、前記水槽の底部に昇降可能に設けられた川底板とを有することを特徴とする河川模擬装置が開示されている。
【0005】
この特許文献2に開示された河川模擬装置によると、水槽の底部に設けた川底板を昇降させることにより、水槽内をポンプによって流される水流に変化を与えて自然界の河川の川底に類似した模擬的な河川を造り出すことができ、例えば風水害時における河川での救助活動の訓練を極めて実践的に実施することができる旨、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-282875号公報
【文献】特開平11-311940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来は災害現場を一旦模擬すると簡単には元に戻すことができないため、同じ状況で何度も救助訓練を繰り返すというのが一般的であった。その点、特許文献1に開示された倒壊家屋模擬装置や特許文献2に開示された河川模擬装置によると、実際の災害現場を想定した模擬訓練を行うことができるとともに、救助訓練を行った後に模擬装置を元の状態に戻すことができ、異なる災害現場の模擬を簡単に行うことができる。
【0008】
しかしながら、地震等による家屋やビルの倒壊現場などにおいて要救助者が閉じ込められ状況は非常に多岐にわたるため、簡単な装置構成でより多くの災害現場、特に家屋やビルの倒壊現場を模擬できる訓練装置が望まれていた。
【0009】
そこで本願発明者は、上記の問題点に鑑み、実際の災害現場、特に地震などによる家屋やビルの倒壊現場を想定した模擬訓練を行うことができるとともに、装置構成は簡単でありながら、あらゆる倒壊現場を再現することが可能な訓練装置及び訓練システムを提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
即ち、本発明の訓練装置は、少なくともテーブルと、前記テーブルを昇降させるための第1シリンダ装置、第2シリンダ装置及び第3シリンダ装置と、前記テーブルと前記第1シリンダ装置とを連結する第1連結部材、前記テーブルと前記第2シリンダ装置とを連結する第2連結部材及び前記テーブルと前記第3シリンダ装置とを連結する第3連結部材と、を含んで成り、前記第1シリンダ装置が前記テーブルの奥行方向の一辺側の中央部近傍に配設され、前記第1シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第1連結部材の一端部側とが自在継手を介して連結され、前記第1連結部材の他端部側と、前記一辺の中央部とが軸受ユニットを介して連結され、前記第2シリンダ装置が前記一辺に相対する前記テーブルの他辺側の一端部近傍に配設され、前記第2シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第2連結部材の一端部とが自在継手を介して連結され、前記第2連結部材の他端部側と、前記他辺の一端部とが軸受ユニットを介して連結され、前記第3シリンダ装置が前記他辺側の他端部近傍に配設され、前記第3シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第3連結部材の一端部とが自在継手を介して連結され、前記第3連結部材の他端部と、前記他辺の他端部側であって、且つ前記テーブルの幅方向の中央部近傍とが軸受ユニットを介して連結されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の訓練装置において、前記テーブルの昇降移動を案内する昇降ガイドが配設され、前記第1連結部材、前記第2連結部材及び前記第3連結部材にそれぞれ配設された昇降ブロックに前記昇降ガイドを嵌通させ、前記テーブルの昇降移動に伴って前記昇降ブロックが前記昇降ガイドに沿って昇降移動することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の訓練装置において、前記昇降ガイドが前記昇降ブロックの移動方向に沿って複数の挿入孔を備えると共に、該挿入孔に挿入可能な係止ピンを備えることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の訓練装置において、前記テーブルの一辺の両端部にそれぞれ配設され、一端側が前記テーブルに回転自在に取り付けられた固定用ピンと、前記テーブルの昇降移動に伴って各前記固定用ピンの他端側の昇降移動を案内するガイドプレートと、前記ガイドプレートの一端側が自在継手を介して吊着される支柱と、を含んで構成され、前記テーブルを昇降移動させた後、前記固定用ピンの他端側を前記ガイドプレートに止着することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の訓練装置は、少なくとも、テーブルと、前記テーブルを昇降させるための第1aシリンダ装置、第1bシリンダ装置、第2シリンダ装置及び第3シリンダ装置と、前記テーブルと前記第2シリンダ装置とを連結する第2連結部材と、前記テーブルと前記第3シリンダ装置とを連結する第3連結部材と、を含んで成り、前記第1aシリンダ装置が前記テーブルの奥行方向の一辺側の一端部近傍に配設され、前記第1aシリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記一辺の一端部近傍とが自在継手を介して連結され、前記第1bシリンダ装置が前記一辺側の他端部近傍に配設され、前記第1bシリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記一辺の他端部近傍とが自在継手を介して連結され、前記第2シリンダ装置が前記一辺に相対する前記テーブルの他辺側の一端部近傍に配設され、前記第2シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第2連結部材の一端部とが自在継手を介して連結され、前記第2連結部材の他端部側と、前記他辺の一端部とが軸受ユニットを介して連結され、前記第3シリンダ装置が前記他辺側の他端部近傍に配設され、前記第3シリンダ装置が備えるピストンロッドのロッドヘッドと、前記第3連結部材の一端部とが自在継手を介して連結され、前記第3連結部材の他端部と、前記他辺の他端部側であって、且つ前記テーブルの幅方向の中央部近傍とが軸受ユニットを介して連結されることを特徴とする。
【0015】
更に、本発明の訓練装置において、前記テーブルの昇降移動を案内する昇降ガイドが配設され、
前記テーブルの前記一辺の中央部に、前記一辺側を支持する支持部材が配設され、前記支持部材、前記第2連結部材及び前記第3連結部材にそれぞれ配設された昇降ブロックに前記昇降ガイドを嵌通させ、前記テーブルの昇降移動に伴って前記昇降ブロックが前記昇降ガイドに沿って昇降移動することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の訓練装置において、前記昇降ガイドが前記昇降ブロックの移動方向に沿って複数の挿入孔を備えると共に、該挿入孔に挿入可能な係止ピンを備えることを特徴とする。
【0017】
更にまた、本発明の訓練装置において、前記テーブルを上下方向に貫通する障害棒が立設されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の訓練システムは、上記の何れかに記載の訓練装置を、前記テーブルの奥行方向及び/又は上下方向に複数並べて設置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の訓練装置によると、簡単な構成で安定的にテーブルの傾きを自在に変化させることができる。そして、テーブルの傾きを変化させることによって、床面や天井面などとの間にあらゆる形状の空間を形成することができるため、テーブルと床面や天井面などとの間に形成された空間を家屋やビルの倒壊現場に見立てた救助訓練を行うことが容易に可能となる。
【0020】
また、本発明の訓練装置に係るテーブルの傾きは、第1シリンダ装置、第1aシリンダ装置、第1bシリンダ装置、第2シリンダ装置及び第3シリンダ装置がそれぞれ備えるピストンロッドの往復動によって容易に変化させることができるため、空間の形状を適宜変更することができ、異なる形状の空間における模擬訓練を容易に実施することができる。
【0021】
また、本発明の訓練装置において、テーブルの昇降移動を案内する昇降ガイドが配設され、第1連結部材又は支持部材、そして第2連結部材及び第3連結部材にそれぞれ配設された昇降ブロックに前記昇降ガイドを嵌通させ、テーブルの昇降移動に伴って昇降ブロックを昇降ガイドに沿って昇降移動させることによって、テーブルをより安定的に昇降移動させることができる。
【0022】
更に、本発明の訓練装置において、昇降ガイドが昇降ブロックの移動方向に沿って複数の挿入孔を備え、テーブルを降下させる際、挿入孔に挿入可能な係止ピンによってテーブルの降下を規制することにより、テーブルの傾きを容易に設定することができる。
【0023】
また、本発明の訓練装置において、支柱に自在継手を介して吊着されたガイドプレートによって、一端側がテーブルに回転自在に取り付けられた固定用ピンの他端側をテーブルの昇降移動に伴って案内し、テーブルを昇降移動させた後、固定用ピンの他端側をガイドプレートに止着することによって、訓練時におけるテーブルの安定性の更なる向上が図られる。
【0024】
更にまた、本発明の訓練装置において、テーブルを上下方向に貫通する障害棒を立設することによって、この障害棒が訓練時において障害物として機能し、テーブルの傾きと併せて複雑な空間を形成することができるため、より高度な訓練設備を提供することができる。
【0025】
また、本発明の訓練装置を、当該訓練装置に係るテーブルの奥行方向及び/又は上下方向に複数並べて設置した本発明の訓練システムによると、簡単な構成でありながら、パンケーキクラッシュのような更に複雑な建物の倒壊現場を再現することができ、実際の倒壊現場を想定した高度な模擬訓練を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の訓練装置の一実施形態を示した正面図である。
図2図1に示した訓練装置の平面図である。
図3図1に示した訓練装置の左側面図である。
図4図1に示した訓練装置に係るテーブルを傾斜させた状態の一例を示す正面図である。
図5図1に示した訓練装置に係るテーブルを傾斜させた状態の他の例を示す正面図である。
図6図1に示した訓練装置に係るテーブルを傾斜させた状態の他の例を示す左側面図である。
図7図1に示した訓練装置に係るテーブルを傾斜させた状態の他の例を示す左側面図である。
図8】本発明の訓練システムの一実施形態を示した正面図である。
図9図8に示した訓練システムの平面図である。
図10図8に示した訓練システムの右側面図である。
図11図8に示した訓練システムに係るテーブルを傾斜させた状態の一例を示す正面図である。
図12図8に示した訓練システムに係るテーブルを傾斜させた状態の他の例を示す右側面図である。
図13】本発明の訓練装置及び訓練システムの他の実施形態を示した平面図である。
図14図13に示した訓練システムの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の訓練装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る訓練装置10の正面図であり、図2図1に示した本実施形態の訓練装置10の平面図、図3図1に示した本実施形態の訓練装置10の左側面図である。
【0028】
これら図1図3に示すように、本実施形態の訓練装置10は、少なくともテーブル11と、テーブル11を昇降させるための第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40と、テーブル11と第1シリンダ装置20とを連結する第1連結部材25、テーブル11と第2シリンダ装置30とを連結する第2連結部材35及びテーブル11と第3シリンダ装置40とを連結する第3連結部材45とを含んで成る。
【0029】
本実施形態の訓練装置10に係るテーブル11は矩形状を成す。なお、図面ではテーブル11を構成する枠体のみが図示されているが、実際にはこの枠体の少なくとも上面、好ましくは上面及び下面を覆って板状部材(不図示)が取り付けられることとなる。
【0030】
このテーブル11は、テーブル11の周囲における所定の位置に配設された第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40によって昇降移動することとなる。具体的には、まず基台1上に立設された支柱2にブラケット2aを介して第1シリンダ装置20が配設されている。この第1シリンダ装置20は、テーブル11の奥行方向(D方向)の一辺12側の中央部近傍に配設されている。
【0031】
そして、テーブル11の一辺12の中央部と第1シリンダ装置20とが第1連結部材25によって連結されている。具体的には、第1連結部材25の一端部26側と、第1シリンダ装置20が備えるピストンロッド21のロッドヘッド22とが自在継手Uを介して連結され、第1連結部材25の他端部27側と、テーブル11の一辺12の中央部とがひしフランジ形の軸受ユニットBを介して連結されている。なお、本実施形態では、後述する昇降ブロック52に配設された軸受ユニットBを介して第1連結部材25の他端部27側と昇降ブロック52とが連結されると共に、軸受ユニットBに挿通された第1連結部材25の他端部27がテーブル11の一辺12の中央部に連結されているが、詳細については後述する。
【0032】
また、テーブル11を挟んで第1シリンダ装置20の配設位置の反対側には、基台1上に立設された支柱3にブラケット3aを介して第2シリンダ装置30が配設され、支柱4にブラケット4aを介して第3シリンダ装置40が配設されている。
【0033】
第2シリンダ装置30は、テーブル11の一辺12に相対する他辺13側の一端部側近傍に配設され、テーブル11の他辺13の一端部側と第2シリンダ装置30とが第2連結部材35によって連結されている。具体的には、第2連結部材35の一端部36と、第2シリンダ装置30が備えるピストンロッド31のロッドヘッド32とが自在継手Uを介して連結され、第2連結部材35の他端部37側と、テーブル11の他辺13の一端部とが軸受ユニットBを介して連結されている。なお、テーブル11の他辺13の一端部においても、後述する昇降ブロック52に配設された軸受ユニットBを介して第2連結部材35の他端部37側と昇降ブロック52とが連結され、第2連結部材35の他端部37は、テーブル11の他辺13の一端部から、テーブル11の幅方向(W方向)の中央部近傍まで延設されている。第2連結部材35の他端部37側をテーブル11の幅方向(W方向)の中央部近傍まで延設することによって、第2連結部材35による他辺13の一端部への応力集中を避けることができると共に、テーブル11の補強効果も得ることができる。
【0034】
第3シリンダ装置40は、テーブル11の他辺13側の他端部側近傍に配設されており、テーブル11の他辺13の他端部側と第3シリンダ装置40とが第3連結部材45によって連結されている。具体的には、第3連結部材45の一端部46と、第3シリンダ装置40が備えるピストンロッド41のロッドヘッド42とが自在継手Uを介して連結されている。
【0035】
一方、第3連結部材45の他端部47側は、まずテーブル11の他辺13の他端部側と軸受ユニットBを介して連結されると共に、第3連結部材45の他端部47は、テーブル11の他辺13の他端部側において、テーブル11の幅方向(W方向)の中央部近傍に配設された支持プレート48に、軸受ユニットBを介して連結されている。なお、テーブル11の他辺13の他端部側においても、後述する昇降ブロック52に配設された軸受ユニットBを介して第3連結部材45の他端部47側と昇降ブロック52とが連結され、軸受ユニットBに挿通された第3連結部材45の他端部47が、支持プレート48に軸受ユニットBを介して連結されている。
【0036】
特に、第3連結部材45の一端部46とロッドヘッド42とを自在継手Uを介して連結すると共に、第3連結部材45の他端部47とテーブル11に係る支持プレート48とを軸受ユニットBを介して連結することによって、第3連結部材45をテーブル11の奥行方向(D方向)に移動可能に構成することができる。なお、テーブル11の奥行方向(D方向)に移動する第3連結部材45は、テーブル11を形成する枠部材の所定箇所に形成された長孔49に挿通され、この長孔49内をテーブル11の奥行方向(D方向)に移動することとなる。
【0037】
以上の通り、第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40は、テーブル11の周囲に三角形を成すように配設されている。そして、第1連結部材25、第2連結部材35及び第3連結部材45を介して第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40に連結されたテーブル11は、第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40に係るピストンロッド21、31、41の往復動によって昇降移動することとなる。特に、第1連結部材25、第2連結部材35及び第3連結部材45の両端部が、それぞれ上記のように第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30、第3シリンダ装置40及びテーブル11と連結されているため、ピストンロッド21、31、41の往復動を個別に制御することによって、第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40の配設位置を移動させることなく、テーブル11の傾きを自在に変化させることができる。
【0038】
つまり、少なくとも上記の構成を備える本実施形態の訓練装置10によると、簡単な構成で安定的にテーブル11の傾きを自在に変化させることができる。そして、テーブル11の傾きを変化させることによって、この訓練装置10の設置場所における床面とテーブル11との間、訓練装置10を室内に設置した場合におけるテーブル11と天井面との間、訓練装置10の上方を覆って別途設置された天井面を模した板状部材とテーブル11との間などにあらゆる形状の空間を形成することができる。従って、テーブル11と床面や天井面などとの間に形成された空間を、家屋やビルの倒壊現場に見立てて救助訓練を行うことが容易となる。
【0039】
また、テーブル11の傾きは、第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40がそれぞれ備えるピストンロッド21、31、41の往復動によって容易に変化させることができるため、空間の形状を適宜変更することができ、異なる形状の空間における模擬訓練を容易に実施することができる。
【0040】
本発明の訓練装置は、少なくとも上記の構成を備えることによって、家屋やビルの倒壊現場における模擬訓練を容易に行うことができるが、本実施形態の訓練装置10には、更にテーブル11の昇降移動を案内する昇降ガイド50が配設されてもよい。昇降ガイド50は、テーブル11の周囲に配設された支柱2、3、4の近傍における基台1上にそれぞれ立設されている。
【0041】
また、支柱2に取り付けられた第1シリンダ装置20とテーブル11とを連結する第1連結部材25には昇降ブロック52が配設されている。昇降ブロック52には軸受ユニットBが配設され、この軸受ユニットBを介して第1連結部材25の他端部27側が連結され、第1連結部材25の他端部27がテーブル11の一辺12の中央部に連結されている。
【0042】
同様に、支柱3に取り付けられた第2シリンダ装置30及び支柱4に取り付けられた第3シリンダ装置40とテーブル11とを連結する第2連結部材35及び第3連結部材45にも昇降ブロック52がそれぞれ配設されている。各昇降ブロック52には軸受ユニットBがそれぞれ配設され、この軸受ユニットBを介して第2連結部材35の他端部37側及び第3連結部材45の他端部47側が連結されている。更に、第2連結部材35の他端部37は、テーブル11の他辺13の一端部から、テーブル11の幅方向(W方向)の中央部近傍まで延設されており、第3連結部材45の他端部47は、テーブル11の他辺13の他端部側において、テーブル11の幅方向(W方向)の中央部近傍に配設された支持プレート48に、軸受ユニットBを介して連結されている。
【0043】
そして、第1連結部材25、第2連結部材35及び第3連結部材45にそれぞれ配設された昇降ブロック52に、昇降ガイド50をそれぞれ嵌通させている。従って、テーブル11の昇降移動に伴って昇降ブロック52が昇降ガイド50に沿って昇降移動することとなる。
【0044】
このように、第1連結部材25、第2連結部材35及び第3連結部材45にそれぞれ配設された昇降ブロック52を昇降ガイド50に沿って昇降移動させることによって、テーブル11をより安定的に昇降移動させることができる。
【0045】
また更に、本実施形態の訓練装置10に係る昇降ガイド50が、昇降ブロック52の移動方向に沿って複数の挿入孔54を備えていることが好ましい。この挿入孔54には係止ピン56が挿入可能であって、昇降ブロック52の下方に位置する挿入孔54に係止ピン56を挿入することによって、昇降ブロック52の降下を規制することができる。つまり、昇降ブロック52の降下が規制されることによって、昇降ブロック52が配設された第1連結部材25、第2連結部材35及び第3連結部材45の降下が規制されることとなり、結果としてテーブル11の降下が規制されることとなる。
【0046】
従って、第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40に係るピストンロッド21、31、41の往復動によって昇降移動するテーブル11を所定の傾きに設定し、各昇降ブロック52の下方に位置する挿入孔54にそれぞれ係止ピン56を挿入することによって、所定の傾きに設定されたテーブル11の降下を規制することができ、訓練中におけるテーブル11の落下防止も図られる。
【0047】
また、図1の状態で、設定したいテーブル11の傾きとなるように、予め各昇降ガイド50に係る所定の挿入孔54に係止ピン56をそれぞれ挿入した上でピストンロッド21、31、41を伸長させることによって、第1連結部材25、第2連結部材35及び第3連結部材45を介してテーブル11が降下すると共に、第1連結部材25、第2連結部材35及び第3連結部材45に配設された各昇降ブロック52も降下する。そして、各昇降ブロック52が係止ピン56によって降下を規制されることによってテーブル11の降下も規制されるため、特別な制御手段などを適用することなく、テーブル11の傾きを容易に設定することができる。
【0048】
例えば、図4に示すように、第1シリンダ装置20に係るピストンロッド21のみを伸ばすことによって、第1連結部材25を介してテーブル11の一辺12側を降下させ、テーブル11を傾斜させることができる。このとき、テーブル11が所望の傾きとなるように予め第1シリンダ装置20側の昇降ガイド50に係る挿入孔54に係止ピン56を挿入しておく。そして、第1シリンダ装置20に係るピストンロッド21を伸ばしていくと、昇降ブロック52が係止ピン56によって係止され、ピストンロッド21の伸長が規制されるため、テーブル11が所望の傾斜状態に維持されることとなる。
【0049】
また、図5に示すように、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40側の昇降ガイド50に係る挿入孔54に係止ピン56をそれぞれ挿入しておき、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40に係るピストンロッド31、41を伸ばすことによって、第2連結部材35及び第3連結部材45を介してテーブル11の他辺13側を降下させ、テーブル11を傾斜状態に維持することができる。
【0050】
更には、図6に示すように、第1シリンダ装置20及び第2シリンダ装置30側の昇降ガイド50に係る挿入孔54に係止ピン56をそれぞれ挿入しておき、第1シリンダ装置20及び第2シリンダ装置30に係るピストンロッド21、31を伸ばすことによって、第1連結部材25及び第2連結部材35を介して、テーブル11の長手方向における第2連結部材35の配設側を大きく降下させ、テーブル11を傾斜状態に維持することができる。
【0051】
また更に、図7に示すように、第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40のそれぞれの配設位置における昇降ガイド50に係る挿入孔54に係止ピン56を挿入しておき、第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40に係るピストンロッド21、31、41を全て伸ばすことによって、第1連結部材25、第2連結部材35及び第3連結部材45を介してテーブル11を傾斜状態に維持することができる。
【0052】
ここで、本実施形態の訓練装置10においては、テーブル11の一辺12側の中央部近傍に第1シリンダ装置20が配設され、テーブル11の一辺12の中央部と第1シリンダ装置20とが第1連結部材25によって連結されている。そこで、テーブル11の一辺12の両端部近傍にはそれぞれ固定用ピン60、60が配設されており、この固定用ピン60の一端側はテーブル11に連結固定されている。一方、テーブル11の一辺12側の両端部近傍における基台1上には支柱64、64がそれぞれ立設されている。これら支柱64、64にはガイドプレート62、62がそれぞれ配設されている。具体的には、長尺のガイドプレート62が、その長手方向を支柱64と平行にした状態で、ガイドプレート62の一端側(図2中、上側)が自在継手Uを介して支柱64に吊着されている。そして、テーブル11の昇降移動に伴って上記の固定用ピン60の他端側も昇降移動することとなるが、この固定用ピン60の他端側の昇降移動がガイドプレート62によって案内されることとなる。
【0053】
従って、テーブル11を所定の傾きとなるように昇降移動させた後、固定用ピン60の他端側をガイドプレート62に止着することによってテーブル11の一辺12側の両端部を固定することができ、訓練時におけるテーブル11の安定性の更なる向上が図られる。
【0054】
更に、本実施形態の訓練装置10においては、テーブル11を上下方向に貫通する障害棒70が立設されている。この障害棒70は、訓練時における障害物として機能し、テーブル11の傾きと併せて複雑な空間を形成することができ、より高度な訓練設備を提供することができる。なお、図1及び図2に示すように、本実施形態の訓練装置10では、テーブル11の長手方向に沿って3本の障害棒70が立設されているが、障害棒70の立設位置や設置数などは特に限定されない。
【0055】
以上、本発明の訓練装置の一実施形態について詳述したが、本発明の訓練装置を、この訓練装置に係るテーブルの奥行方向及び/又は上下方向に複数並べて設置することによって、構成は簡単でありながら、パンケーキクラッシュのような更に複雑な建物の倒壊現場を再現することができ、実際の倒壊現場を想定した高度な模擬訓練を行うことができる訓練システムを提供することができる。
【0056】
本発明の一実施形態に係る訓練システム100は、図8図10に示すように、上述した実施形態に係る訓練装置10を上下方向に3台、また訓練装置10に係るテーブル11の奥行方向(D方向)に3台、合計9台並べて設置することによって構成されている。本実施形態の訓練システム100においては、上下方向に並べられた各訓練装置10に係る支柱2、3、4、昇降ガイド50、ガイドプレートを吊着するための支柱64、障害棒70などは、それぞれ一のものを共用するように構成されている。
【0057】
例えば、室内の床面Fに設置された基台1から訓練システム100に係る支柱2、3、4が天井面Cに向かって立設され、支柱2には、上下方向に併設される訓練装置10に係る各第1シリンダ装置20が配設されている。上下方向に併設される各第1シリンダ装置20は、それぞれが備えるピストンロッド21の往復動が上下に位置する他の第1シリンダ装置20に干渉しないように配設されている。なお、支柱3、4における第2シリンダ装置30、第3シリンダ装置40も、支柱2における第1シリンダ装置20と同様に配設されている。
【0058】
以上のように構成された本発明の一実施形態に係る訓練システム100によると、更に複雑な家屋などの倒壊現場を再現することができ、より実践的な模擬訓練を実施することができる。特に本実施形態の訓練システム100によると、地震時にビルなどの建築物において発生する「パンケーキクラッシュ」のような現象を再現することができ、より高度な模擬訓練を実施することができる。
【0059】
例えば、図11に示すように、上記実施形態の訓練システム100に係る複数のテーブル11において、上下方向に並んだテーブル11の傾きをそれぞれ任意に設定し、奥行方向には同じ傾きでテーブル11を並べることによって、狭い空間における救助訓練などを容易に実施することができる。
【0060】
また、図12に示すように、上記実施形態の訓練システム100に係る複数のテーブル11において、奥行方向に並んだテーブル11の傾きをそれぞれ任意に設定することによって、更に複雑な家屋などの倒壊現場を再現することができ、より実践的な模擬訓練を実施することができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態に係る訓練装置10及び訓練システム100について詳述したが、本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。
【0062】
図13及び図14に、本発明の他の実施形態に係る訓練装置10aを上下方向に3台、また訓練装置10aに係るテーブル11の奥行方向(D方向)に3台、合計9台並べて設置することによって構成された本発明の他の実施形態に係る訓練システム101を示す。なお、図13及び図14に示す本実施形態の訓練装置10a及び訓練システム101において、上記の実施形態に係る訓練装置10及び訓練システム100と同一の符号が付された構成要素については、本実施形態においても同一の構成要素、或いは同様の機能を備えるため、詳細な説明は省略する。
【0063】
まず図13及び図14に示す本実施形態の訓練システム101を構成する本実施形態の訓練装置10aは、同図に示すように、少なくともテーブル11と、テーブル11を昇降させるための第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20b、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40と、テーブル11と第2シリンダ装置30とを連結する第2連結部材35と、テーブル11と第3シリンダ装置40とを連結する第3連結部材45とを含んで成る。
【0064】
本実施形態の訓練装置10aに係るテーブル11は、テーブル11の周囲における所定の位置に配設された第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20b、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40によって昇降移動することとなる。具体的には、まず基台1上に立設された支柱5、6にブラケット5a、6aを介して第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20bがそれぞれ配設されている。この第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20bは、テーブル11の奥行方向(D方向)の一辺12側の両端部近傍、即ち第1aシリンダ装置20aが一辺12側の一端部近傍に配設され、第1bシリンダ装置20bが一辺12側の他端部近傍に配設されている。
【0065】
そして、テーブル11の一辺12の一端部近傍と第1aシリンダ装置20aとが連結され、テーブル11の一辺12の他端部近傍と第1bシリンダ装置20bとが連結されている。具体的には、テーブル11の一辺12の一端部近傍と、第1aシリンダ装置20aが備えるピストンロッド21aのロッドヘッド22aとが自在継手Uを介して連結されている。また、テーブル11の一辺12の他端部近傍と、第1bシリンダ装置20bが備えるピストンロッド21bのロッドヘッド22bとが自在継手Uを介して連結されている。
【0066】
なお、テーブル11を挟んで第1aシリンダ装置20a及び第1bシリンダ装置20bの配設位置の反対側、即ちテーブル11の他辺13側には、基台1上に立設された支柱3にブラケット3aを介して第2シリンダ装置30が配設され、支柱4にブラケット4aを介して第3シリンダ装置40が配設されているが、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40、更にこれら第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40とテーブル11との連結態様は、上記実施形態に係る訓練装置10と同一の構成であるため、説明は省略する。
【0067】
以上のように、本実施形態の訓練装置10aに係るテーブル11は、テーブル11の周囲に配設された第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20b、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40に係るピストンロッド21a、21b、31、41の往復動によって昇降移動することとなる。特に、第3連結部材45の両端部が、上記実施形態の訓練装置10と同様に第3シリンダ装置40及びテーブル11と連結されているため、ピストンロッド21a、21b、31、41の往復動を個別に制御することによって、第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20b、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40の配設位置を移動させることなく、テーブル11の傾きを自在に変化させることができる。
【0068】
つまり、少なくとも上記の構成を備える本実施形態の訓練装置10aによると、簡単な構成で安定的にテーブル11の傾きを自在に変化させることができる。そして、テーブル11の傾きを変化させることによって、この訓練装置10aの設置場所における床面とテーブル11との間、訓練装置10aを室内に設置した場合におけるテーブル11と天井面との間、訓練装置10aの上方を覆って別途設置された天井面を模した板状部材とテーブル11との間などにあらゆる形状の空間を形成することができる。従って、テーブル11と床面や天井面などとの間に形成された空間を、家屋やビルの倒壊現場に見立てて救助訓練を行うことが容易となる。
【0069】
また、テーブル11の傾きは、第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20b、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40がそれぞれ備えるピストンロッド21a、21b、31、41の往復動によって容易に変化させることができるため、空間の形状を適宜変更することができ、異なる形状の空間における模擬訓練を容易に実施することができる。
【0070】
本発明の訓練装置は、少なくとも上記の構成を備えることによって、家屋やビルの倒壊現場における模擬訓練を容易に行うことができるが、本実施形態の訓練装置10aにおいても、更にテーブル11の昇降移動を案内する昇降ガイド50が配設されてもよい。本実施形態に係る昇降ガイド50は、テーブル11の他辺13側においては支柱3、4の近傍における基台1上にそれぞれ立設され、テーブル11の一辺12側においては、テーブル11の一辺12側の中央部近傍に立設されている。
【0071】
また、テーブル11の一辺12の中央部には、テーブル11の一辺12側を指示する支持部材80が配設されている。そして、この支持部材80に昇降ブロック52が配設されている。昇降ブロック52には軸受ユニットBが配設されており、この軸受ユニットBを介して支持部材80の一端部が連結され、支持部材80の他端部がテーブル11の一辺12の中央部に連結されている。
【0072】
そして、支持部材80に配設された昇降ブロック52に、昇降ガイド50を挿通させている。従って、テーブル11の昇降移動に伴って昇降ブロック52が昇降ガイド50に沿って昇降移動することとなる。
【0073】
なお、支柱3に取り付けられた第2シリンダ装置30及び支柱4に取り付けられた第3シリンダ装置40とテーブル11とを連結する第2連結部材35及び第3連結部材45にも昇降ブロック52がそれぞれ配設され、これらの昇降ブロック52が昇降ガイド50にそれぞれ挿通されているが、これらの構成については上記実施形態に係る訓練装置10と同様である。
【0074】
このように、支持部材80、第2連結部材35及び第3連結部材45にそれぞれ配設された昇降ブロック52を昇降ガイド50に沿って昇降移動させることによって、テーブル11をより安定的に昇降移動させることができる。
【0075】
また更に、本実施形態の訓練装置10aに係る昇降ガイド50が、昇降ブロック52の移動方向に沿って複数の挿入孔54を備えていることが好ましい。この挿入孔54には係止ピン56が挿入可能であって、昇降ブロック52の下方に位置する挿入孔54に係止ピン56を挿入することによって、昇降ブロック52の降下を規制することができる。つまり、昇降ブロック52の降下が規制されることによって、昇降ブロック52が配設された支持部材80、第2連結部材35及び第3連結部材45の降下が規制されることとなり、結果としてテーブル11の降下が規制されることとなる。
【0076】
従って、第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20b、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40に係るピストンロッド21a、21b、31、41の往復動によって昇降移動するテーブル11を所定の傾きに設定し、各昇降ブロック52の下方に位置する挿入孔54にそれぞれ係止ピン56を挿入することによって、所定の傾きに設定されたテーブル11の降下を規制することができ、訓練中におけるテーブル11の落下防止も図られる。
【0077】
また、設定したいテーブル11の傾きとなるように、予め各昇降ガイド50に係る所定の挿入孔54に係止ピン56をそれぞれ挿入した上でピストンロッド21a、21b、31、41を伸長させることによって、支持部材80、第2連結部材35及び第3連結部材45を介してテーブル11が降下すると共に、支持部材80、第2連結部材35及び第3連結部材45に配設された各昇降ブロック52も降下する。そして、各昇降ブロック52が係止ピン56によって降下を規制されることによってテーブル11の降下も規制される。つまり、テーブル11の一辺12側の中央部及び他辺13側の両端部の計3カ所の降下を規制するのみで、第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20b、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40に特別な制御手段などを適用することなく、テーブル11の傾きを容易に設定することができる。
【0078】
そして、本実施形態の訓練装置10aを上下方向に3台、また訓練装置10aに係るテーブル11の奥行方向(D方向)に3台、合計9台並べて設置することによって、本実施形態に係る訓練システム101が構成されている。本実施形態の訓練システム101においては、上下方向に並べられた各訓練装置10aに係る支柱3、4、5、6、昇降ガイド50などは、それぞれ一のものを共用するように構成されている。なお、図14は本実施形態の訓練システム101の左側面図であるが、同図において、訓練システム101における右側面側に配設される支柱3、4、昇降ガイド50、第2シリンダ装置30、第3シリンダ装置40などは図示を省略する。
【0079】
例えば、室内の床面Fに設置された基台1から訓練システム101に係る支柱3、4、5、6が天井面Cに向かって立設され、支柱5には、上下方向に併設される訓練装置10aに係る各第1aシリンダ装置20aが配設されている。上下方向に併設される各第1aシリンダ装置20aは、それぞれが備えるピストンロッド21aの往復動が上下に位置する他の第1aシリンダ装置20aに干渉しないように配設されている。また、支柱6には、上下方向に併設される訓練装置10aに係る各第1bシリンダ装置20bが配設されている。上下方向に併設される各第1bシリンダ装置20bも、それぞれが備えるピストンロッド21bの往復動が上下に位置する他の第1bシリンダ装置20bに干渉しないように配設されている。
【0080】
なお、本実施形態の訓練システム101に係る最上段の訓練装置10aに係る第1aシリンダ装置20a及び第1bシリンダ装置20bは、支柱5、6間に掛け渡された梁部材7にブラケット5a、6aを介してそれぞれ配設されているが、ピストンロッド21a、21bの往復動が干渉しなければ支柱5、6に直接配設されてもよい。また、支柱3、4における第2シリンダ装置30、第3シリンダ装置40は、上記実施形態に係る訓練システム100と同様に配設されている。
【0081】
以上のように構成された本実施形態に係る訓練システム101によっても、更に複雑な家屋などの倒壊現場を再現することができ、より実践的な模擬訓練を実施することができる。本実施形態の訓練システム101によると、地震時にビルなどの建築物において発生する「パンケーキクラッシュ」のような現象を再現することができ、より高度な模擬訓練を実施することができる。
【0082】
また、本実施形態の訓練装置10a及び訓練システム101によると、図9図13とを比較しても明らかなように、訓練装置10a及び訓練システム101の設置スペースのコンパクト化を図ることができる。
【0083】
本発明の実施形態に係る訓練装置10、10a及びこの訓練装置10、10aを複数台併設して構成される訓練システム100、101では、昇降ブロック52を昇降ガイド50に沿って案内し、昇降ガイド50に形成された挿入孔51に係止ピン56を挿入することによって、テーブル11の落下防止やテーブル11の傾き設定を容易に行うことが可能である。しかし、テーブル11の落下防止やテーブル11の傾き設定の方法は当該実施形態に限定されない。
【0084】
例えば、訓練装置10に係る第1シリンダ装置20、第2シリンダ装置30及び第3シリンダ装置40に係るピストンロッド21、31、41や訓練装置10aに係る第1aシリンダ装置20a及び第1bシリンダ装置20bに係るピストンロッド21a、21bを、それぞれ市販のロックユニット(不図示)に挿通し、ピストンロッド21、21a、21b、31、41の往復動を、それぞれに配設されたロックユニットで規制することによって、簡単にテーブル11の落下防止やテーブル11の傾き設定を行うことができる。
【0085】
或いは、各実施形態の訓練装置10、10aにおいて、第1シリンダ装置20、第1aシリンダ装置20a、第1bシリンダ装置20b、第2シリンダ装置30、第3シリンダ装置40に落下防止機能付きのシリンダ装置を採用することによって、別途ロックユニットを配設することなく、更に簡単な装置構成でテーブル11の落下防止やテーブル11の傾き設定を行うことができる。特に、本発明の実施形態の訓練装置10aに係る第1aシリンダ装置20a及び第1bシリンダ装置20bに落下防止機能付きのシリンダ装置を採用することによって、本発明の一実施形態の訓練装置10に係る固定用ピン60をガイドプレート62に止着する構成を採用せずとも、テーブル11の一辺12側の両端部の降下を規制することができ、訓練時におけるテーブル11の安定性の更なる向上が図られる。
【0086】
また、本発明の実施形態に係る訓練システム100、101では、本発明の実施形態に係る訓練装置10、10aを上下方向に3台、テーブル11の奥行方向(D方向)に3台、合計9台並べて構成されているが、訓練装置の併設台数は特に限定されず、訓練システムの設置空間に合わせて、適宜設定することが可能である。更に、本実施形態の訓練装置10a及び訓練システム101においても障害棒を立設することが可能である、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0087】
1:基台
10、10a:訓練装置
11:テーブル
12:テーブルの一辺
13:テーブルの他辺
20:第1シリンダ装置
20a:第1aシリンダ装置
20b:第1bシリンダ装置
21、21a、21b、31、41:ピストンロッド
22、22a、22b、32、42:ロッドヘッド
25:第1連結部材
30:第2シリンダ装置
35:第2連結部材
40:第3シリンダ装置
45:第3連結部材
50:昇降ガイド
52:昇降ブロック
54:挿入孔
56:係止ピン
60:固定用ピン
62:ガイドプレート
70:障害棒
80:支持部材
100、101:訓練システム
B:軸受ユニット
U:自在継手

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14